JPH0742156A - 硬岩法面における緑化工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】硬岩法面における緑化工法に関するもので、本
発明の出願人が先に出願した特公平２−５２０５０号
（特許第1,628,729 号）の特許発明の改良に係るもので
あり、軽量で作業性がよく、且つモルタル吹付工を行わ
ない場合でも適用できるようにする。 【構成】地山法面の所定位置に客土袋を設置し、その客
土袋の左右横方向に向けて塩化ビニ−ル製帯状ネットを
渡してその左右両端部をアンカ−で地山に固定し、且つ
少なくとも客土袋部分にはモルタル吹付工又はコンクリ
−ト吹付工を行わず客土吹付工を行うことを特徴とする
硬岩法面における緑化工法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、硬岩法面における緑化
工法に関するもので、特に本発明の出願人が先に出願し
た特公平２−５２０５０号（特許第 1,628,729号）の特
許発明の改良に係るものであり、軽量で作業性がよく、
且つモルタル吹付工を行わない場合でも適用できるよう
にしたものである。

【０００２】

【従来の技術】上記の特許発明は、硬岩法面における緑
化工法において、地山法面に添ってネット体を密接的に
張設し、当該ネット体に植栽しようとする部位に客土袋
を位置させると共に、これを保持枠で抱持し、アンカ−
ピンを介して前記客土袋を保持枠と一緒に法面に固定
し、客土袋上面に植栽用口部を残して客土袋き周囲にモ
ルタル又はコンクリ−ト吹付工を行って吹付層を形成し
た後、客土袋上面の植栽口の位置に合わせた客土袋の開
口部を通じて客土袋内に植栽を行うようにした、発明を
提供した。これによって、特にモルタル又はコンクリ−
ト吹付層は、客土袋及び保持枠の周囲だけに施工され、
それ以外の法面に吹付けることがない。従って地表面へ
の全面吹付工に比べて手間が掛からず能率的である等の
効果を有している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特許発
明においては、山間奥地の施工現場においては、モルタ
ル吹付工ができない個所も多い。また、その山間奥地の
施工現場は、比較的冷涼地域も多く、モルタル吹付けに
よる断熱効果を期待する必要がない。また、地表面に張
設ネット体は重量が重く且つ面積も大きいため取扱が非
常に面倒で手間が掛かる。そして、保持枠も保型性の関
係でエキスパンドメタルで保型成形することが多いので
重くて嵩張り、こ従ってこれを法面高所に運ぶのが難儀
である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記の
特許発明の目的を生かしながら、なお施工の改良を図る
ことを目的とする。すなわち本発明は、硬岩法面におけ
る緑化工法において、地山法面の所定位置に客土袋を設
置し、その客土袋の左右横方向に向けて塩化ビニ−ル製
帯状ネットを渡してその左右両端部をアンカ−で地山に
固定し、且つ少なくとも客土袋部分にはモルタル吹付工
又はコンクリ−ト吹付工を行わず客土吹付工を行うもの
である。

【０００５】

【作用】本発明工法に基づく作用ないし施工順序は、上
記の特許発明と共通する部分があるが、次の通り説明す
る。施工の準備として、法面を測量して設計図を作成
し、客土袋設置個所を設定する。また、必要に応じて法
面の清掃を行う。そして、設計図に基づいて法面に客土
袋設置個所のマ−キングをしておく。次に、壌土を詰め
た客土袋をマ−キングに従って法面に載置し、その客土
袋の中央部において左右方向に塩化ビニ−ル製帯状ネッ
トを渡してその左右端部にアンカ−ピンを打ち込んで客
土袋を地山に固定する。そして、客土袋体の開口部付近
を除く部位からその客土袋周辺の法面に種子入りの客土
吹付工を行う。客土吹付工を終了し、適度に固まった後
に客土袋の上部開口して所定の草本類の植栽を行う。

【０００６】

【実施例】次に、本発明に係る硬岩法面における緑化工
法の実施例について、図面を以て説明する。図１は法面
に客土袋を設置固定した状態の一部縦断側面面図、図２
は客土袋及び帯状ネットの斜視図である。図において、
１は壌土を詰めて成る客土袋であり、その上部を植栽す
るための開口部としている。前記の客土袋１は長手部を
横向きにして法面Ａに設置する。２は前記客土袋の中央
部において左右横方向にわたして客土袋を固定するため
の塩化ビニ−ル製帯状ネットであり、その大きさは、客
土袋の大きさによってことなるが、少なくとも長さは当
該ネット体両端部２₁ が客土袋１の横長端部より長く設
定し、且つ幅は客土袋１の上下幅の３分の１から２分の
１程度に設定しておく。３は塩化ビニ−ル製帯状ネット
の左右両端部位を法面に固定するためのアンカ−ピン、
４は客土袋の開口から植栽する草本類、５は客土吹付層
である。

【０００７】

【具体的な製造工程例】上記の手段に基づく本考案の具
体的な製造工程例を説明する。あらかじめ、法面Ａに客
土袋設置個所のマ−キングをしておく。次に、壌土を詰
めた客土袋１をマ−キングに従って法面Ａに設置する。
そして、客土袋１の中央部において左右方向に塩化ビニ
−ル製帯状ネット２を渡してその左右端部２₁ にアンカ
−ピン３を打ち込んで客土袋１を法面Ａに固定する。さ
らに、客土袋体１の開口部付近１₁ を除く部位からその
客土袋周辺の法面に種子入りの客土吹付工を行って客土
吹付層を形成する。その客土吹付層の厚さは５〜１０ｃ
ｍ程度に設定する。客土吹付工を終了し、適度に固まっ
た後に客土袋の上部開口して所定の草本類４の植栽を行
う。

【０００８】

【発明の効果】本発明に係る硬岩法面における緑化工法
は上記の構成であるから、客土袋を法面に固定する塩化
ビニ−ル製帯状ネットは、軽量で作業性が良く、且つモ
ルタル吹付工を行わない場合でも適用できる。すなわ
ち、山間奥地での施工現場においは、モルタル吹付工が
できない場合がある。そのようなときに従来の特許発明
における保持枠をエキスパンドメタルで成形した場合、
これが露呈していることにより、すぐに錆が出てしまっ
て具合が悪い。また、前記の山間奥地における施工現場
にあっては、冷涼な地域があり、モルタル吹付による断
熱効果を期待しないでよい場合においては、前記の金網
製保持枠を用いる必要がない。これに対して本発明にあ
っては、塩化ビニ−ル製帯状ネット体で抱持固定する客
土袋とモルタル吹付工に代わる草本類の併用により、早
期に緑化が可能である。さらに、従来の特許発明におけ
る、金網類を張設を行わなくても、客土吹付工及び草本
類の成育による根活着により、緊縛力が生じて岩石類の
崩落を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】法面に客土袋を設置固定した状態の一部縦断側
面図である。

【図２】客土袋及び帯状ネット体の斜視図である。

【符号の説明】

１ 客土袋 ２ 塩化ビニ−ル製帯状ネット体 ３ アンカ−ピン ４ 草本類 ５ 客土吹付層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地山法面の所定位置に客土袋を設置し、
   その客土袋の左右横方向に向けて塩化ビニ−ル製帯状ネ
   ットを渡してその左右両端部をアンカ−で地山に固定
   し、且つ少なくとも客土袋部分にはモルタル吹付工又は
   コンクリ−ト吹付工を行わず客土吹付工を行うことを特
   徴とする硬岩法面における緑化工法。