JPH0739612B2 - プレス成形性に優れたシャドウマスク原板の製造方法 - Google Patents

プレス成形性に優れたシャドウマスク原板の製造方法

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JPH0739612B2
JPH0739612B2 JP61128018A JP12801886A JPH0739612B2 JP H0739612 B2 JPH0739612 B2 JP H0739612B2 JP 61128018 A JP61128018 A JP 61128018A JP 12801886 A JP12801886 A JP 12801886A JP H0739612 B2 JPH0739612 B2 JP H0739612B2
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智良 大北
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/02Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
    • C21D8/0205Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips of ferrous alloys

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、鉄及びニツケルを主成分とする低熱膨張合
金のテレビ受像管用のプレス成形性に優れたシャドウマ
スク原板の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
近年、カラーテレビの高品位にともない、色ずれの問題
から低熱膨張のシヤドウマスク材料が求められ、36%Ni
などFe−Ni系のインバー合金が注目されている。
ところで、このようなFe−Ni系合金は本質的に強度が高
く、該合金を冷延したり、冷延後再結晶焼鈍させて製造
された原板は曲面成形時のプレス成形性の問題から従来
プレス成形前に1100℃程度の高温焼鈍を再度行ない結晶
粒を粗大化させることで軟質化を図つていた。
又、この粗粒化を合理的に行なわせるために、プレス前
焼鈍を真空中で行ない、表面の純化を通じて表面結晶粒
を粗粒化させる技術が特開昭59−200721号に提案されて
いる。
更に、特開昭60−251227号では、1冷圧乃至多冷圧法に
おいて、最終冷延前後の焼鈍を800〜1200℃の高温で行
なつて粗粒化させ、これにより製造された原板を低温の
プレス前焼鈍で軟質化せしめる技術が開示されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、従来行なわれていたプレス前軟化焼鈍は前述の
ようにかなり高温で実施されて軟質化を達成できるた
め、熱経済性の面からより低温化できる方法や同一焼鈍
条件で従来よりもより軟質化できる技術が強く望まれて
いた。
一方、上記した特開昭59−200721号の技術は不純物の表
面から拡散律速型の蒸発現象を利用しているため、短時
間焼鈍では純化する範囲が表層近傍に限られ。板厚全体
で見れば粗粒化による軟質化が不十分で基本的に温間プ
レスが必要であるとしており、このような温間プレスは
実生産面で考えると、温度制御、プレス技術など未解決
な問題が多く、コスト高で実用的でない。又、焼鈍中に
板厚全体にわたる純化をねらうとすると焼鈍は長時間を
要し、熱経済性に不利であることは言うまでもない。
更に、特開昭60−251227号では、最終冷圧前後の焼鈍を
従来技術と同じく1100℃程度の高い温度範囲に設定して
も、耐力25kgf/mm2程度にしかならず十分な軟質化が達
成されないという問題を有している。
本発明は以上述べた従来技術及び提案技術の問題を解決
し、原板製造時の焼純及びプレス前焼鈍における熱経済
性に優れ、且つプレス成形も温間で行なう必要のない、
プレス成形性に優れたシャドウマスク原板の製造方法を
提供せんとするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
以下、本発明の構成要件について詳細に説明する。
本発明は鉄及びニツケルを主成分とした低熱膨張係数を
有する36Ni−Fe合金などのいわゆるインバー合金を対象
とする(このような合金は連続鋳造法又は薄物鋳造法に
より鋳造されたものを表面研削後熱間圧延して製造され
たり、無酸化状態で薄物鋳造された場合は表面研削せず
に製造される)が、成分面でとくにC及びO量が規定さ
れる。
Cはマトリツクス強化元素であり、軟質化の観点からは
好ましくない元素である。そこで、強度とC量の関係を
調べたところ、C量の低下とともに強度は低下するが、
0.008wt%以下では強度的にほぼ一定になつたのでこれ
を上限とした。
次に本発明者等はインバー合金の結晶粒粗大化による軟
質化条件に着目し、粒成長を支配するあらゆる要因を検
討した結果、とくに950℃以上における比較的高温での
粒成長はO量により著しく影響を受けることを見い出し
た。
第1図はO量の異なるインバー合金の80%冷圧まま材を
用いて、10分の焼鈍でのオーステナイト粒径に及ぼすO
量、焼鈍温度の影響を示している(尚、該インバー合金
のC及びNi量はC:0.006%、Ni:35.7%である)。これよ
りO量が少ないほど大きく成長することがわかる。この
ような結果は、粒成長に対するOの影響は酸化物の量と
サイズに相関があり、インバー合金の上記温度域におれ
る粒成長に著しく影響を及ぼす粒子はサイズ1.2μm以
下の酸化物であり、しかもこのようなサイズの酸化物粒
子はOレベルがある値を越えると著しく多くなることに
基づいていると考えられる。
ところで、インバー合金でプレス成形が十分可能な引張
強度は0.2%耐力で20kgf/mm2といわれている。一方、第
2図は36Niインバーで焼鈍温度をかえ、0.2%耐力とオ
ーステナイト粒径の関係を調べた結果を示している。こ
れより上記プレス成形性を満足させるには、オーステナ
イト粒径を約140μm以上とすることが必要であるが、
第1図よりO量を0.0060wt%以下としたものは、焼鈍温
度1050℃の場合でもオーステナイト粒径を140μm以上
にすることができる。これに対し、O量がそれを越える
場合はそれよりも高い焼鈍温度が必要となる。従つて例
えばO量を0.0080wt%から0.0060wt%以下に低減すれ
ば、オーステナイト粒径を140μm以上の大きさにする
場合に、焼鈍温度を50℃程度低温に出来る。このような
結果からO量は0.0060wt%を上限とした。
更に、本発明者等は本発明成分範囲のインバー合金を用
いてプレス成形前焼鈍時の粒成長に及ぼす原板製造時の
冷圧・焼鈍条件をあらゆる範囲で調べた。その結果当該
合金を冷間圧延後再結晶焼鈍(680℃以上、好ましくは7
00〜770℃の軟化焼鈍をして、オーステナイト結晶粒径1
0〜20μmに再結晶させる。この時複数回冷圧しても良
い。)して得たシヤドウマスク原板はプレス成形前焼鈍
時に良好な粗粒化が達成されたが、更に再結晶焼鈍後に
調質圧延を付加することがプレス成形前焼鈍時の粗粒化
に対し、とくに0レベルが低い条件下で著しく効果のあ
ることがわかつた(尚、前記再結晶焼鈍でオーステナイ
ト結晶粒径20μmより大きく再結晶させると当該調質圧
延で不均一変形等を生ずるので注意する必要があ
る。)。このような微少歪付加後焼鈍での粗粒化は一般
的現象として周知のところであるが、本発明が対象とす
る上記合金成分範囲での適正条件は従来明らかでなかつ
た。第3図はC:0.006wt%、O:0.0025wt%、Ni:36.1wt
%、残部Feからなる合金(以下第1合金とする)と、C:
0.006wt%、O:0.0082wt%、Ni:35.8wt%、残部Feからな
る合金(以下第2合金とする)を用い、85%冷圧後750
℃×30分再結晶焼鈍し、次に調質圧延を施し、プレス成
形前焼鈍を1000℃および1050℃で10分間行つたときのオ
ーステナイト粒径と調質圧延率の関係を示す。これよ
り、本発明範囲にある第1合金では調質圧延率が2〜5
%で著しく粗粒化していることがわかる。従つて上記し
た合金を素材として冷間圧延しこれに続く再結晶焼鈍を
行なつた後、2〜5%内で調質圧延を行なうと、プレス
前焼鈍時の粗粒化に極めて顕著な効果を有するシヤドウ
マスク原板が得られることになる。又本発明ではこのよ
うな範囲の調質圧延によつてオーステナイト粒径140μ
mを得るのにプレス前焼鈍を本発明成分合金で更に約50
℃低下できる。
ところでO量が本発明範囲外の第2合金の場合は、前記
酸化物により粒成長が阻害されるので、調質圧延の効果
はほとんど見られず、調質圧延による粗粒化は本発明の
O量範囲を満した時のみ有効であることは前に述べた如
くである。
また、本発明範囲の調質圧延率は普通鋼の微少歪付加後
焼鈍での粗粒化に必要な調質圧延率より高いが、このこ
とはFe−Ni合金の粒界移動の活性化エネルギーが普通鋼
に比べて高いことに対応していると思われる。
以下本発明の具体的実施例につき説明する。
〔実施例1〕 下記第1表に示すような36Niインバー成分の合金を真空
溶解炉にて溶製し、分塊−熱延を経たものを表面研削し
て素材(No.1材〜No.8材)とした。
これらの素材を I:85%冷間圧延→750℃×30min焼鈍 II:85%冷間圧延→750℃×30min焼鈍 →3%調質圧延 の2方法によりシヤドウマスク原板を製造した。これら
の原板をプレス前焼鈍に対応させて1000℃、1050℃及び
1100℃の各温度で10minの焼鈍を行ない、その際のオー
ステナイト粒径と0.2%耐力を調べ同表に示した。
No.1材及びNo.2材はC量、O量とも本発明で規定した成
分範囲にある合金の上記製造方法IIによるものである
が、焼鈍温度が1050℃以上でγ粒径は約140μm以上、
0.2%耐力20kgf/mm2以下でシヤドウマスク曲面のプレス
成形が十分可能なレベルまで軟質化している。
これらに対し、No.5材〜No.8材はO量に関し本発明範囲
外の合金であり、製造方法Iによる場合はもちろん製造
方法IIの調質圧延付加を行なつても容易に軟質化せず、
プレス成形を可能にするため、本発明の合金よりもはる
かに高温で焼鈍しなければならないことがわかる。
又、No.3材及びNo.4材はC量が本発明範囲外の合金であ
るが、焼鈍粒成長を主に支配するOレベルは本発明の範
囲内にあるため、No.1材と比べほとんど同等の粒粗大化
がプレス前焼鈍において達成されることになる。しか
し、その強度は同一粒径において高く、プレス成形性を
確保するためにはより高温での焼鈍を要することがわか
る。
〔実施例2〕 次にC:0.006wt%、Ni:35.7wt%、O:0.0043wt%及び残部
Feの本発明範囲にある合金を用いて85%冷圧後750℃×3
0minの再結晶焼鈍を行い、さらに種々調圧率をかえて調
質圧延した。これらのサンプルを1020℃で10min焼鈍し
その際のγ粒径と0.2%耐力とを調べ、その結果を第2
表に示す。
No.9材〜No.11材は本発明の範囲内の調質圧延を行つた
ものであり、前記条件のプレス前焼鈍によつてγ粒径14
0μm以上、0.2%耐力20kg/mm2以下となり、十分プレス
成形が可能な程度に軟質になつている。これに対しNo.1
2材〜No.15材は本発明範囲外の調圧条件で製造されてお
り、上記No.9材〜No.11材に比べて硬質である。
〔実施例3〕 36Niに微量Crを添加し、かつC,Oが本発明成分範囲の35.
8%Ni−0.005%C−0.0045%O−0.7%Cr合金を真空溶
解炉にて溶製し、分塊−熱延を経たものを表面研削して
素材とした。シヤドウマスク原板の製造法としては実施
例1に示したI、IIの製造方法を採つた。これらの材料
をプレス前焼鈍に対応させて1000℃、1050℃及び1100℃
の各温度で10minの焼鈍を行ない、その際のオーステナ
イト粒径と0.2%耐力を調べた。
その結果を第3表に示す。
製造方法Iによるものは、1050℃以上でγ粒径は約140
μm以上、0.2%耐力20kgf/mm2以下でシヤドウマスク曲
面プレス成形が十分可能なレベルまで軟質化している。
更に製造方法IIによる場合は製造方法Iに比べ同一焼鈍
において更に軟質化しており、プレス前焼鈍温度は一層
低下できることになる。
このようにC、O量が本発明範囲を満足すれば、微量Cr
を含有する場合でも本発明の目的とする効果は十分得ら
れる。以上の如く、シヤドウマスク用インバー材として
熱延時の高温粒界酸化対策や、シヤドウマスクの黒化処
理性改善のため微量のCrをインバー合金としての本来の
低熱膨張機能を損なわない範囲で添加することがしばし
ば行われるが、本発明によれは微量Cr添加合金でも十分
効果が発揮されることがわかる。
〔発明の効果〕
以上のような本発明のシヤドウマスク原板によれば、原
板製造工程並びに最終製品であるシヤドウマスクの製造
過程での各段階の焼鈍温度の低下を可能にし、低熱膨張
材料によるシヤドウマスクを熱経済的に有利に製造する
ことができると共に、従来高温焼鈍のみでは軟質化が不
十分なために行なわれる温間プレス成形も不要であると
いう優れた効果を有している。しかもプレス成形前焼鈍
の焼鈍温度の低下は更に焼鈍による歪発生の防止にも効
果的に作用し、焼鈍後のローラレベリング等の歪矯正の
負担軽減も期待できる。
尚、本発明では36Niインバー合金のみではなく、32〜49
%Niの低熱膨張係数を有するいずれのFe−Ni合金をも対
象にでき、本発明の上記効果はこれらに対し十分発揮で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図はオーステナイト粒径とO量、焼鈍温度の関係を
示すグラフ図、第2図は強度とオーステナイト粒径の関
係を示すグラフ図、第3図はオーステナイト粒径と調質
圧延率の関係を示すグラフ図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的にFeおよびNiからなり、不純物とし
    ての炭素および酸素含有量をC:0.008wt%以下、O:0.006
    0wt%以下とした低熱膨張合金を素材とし、冷間圧延と
    それに引き続く再結晶焼鈍を行なった後、さらに調質圧
    延率2〜5%の調質圧延を行うことを特徴とするプレス
    成形性に優れたシャドウマスク原板の製造方法。
  2. 【請求項2】実質的にFe、Niおよび0.7wt%以下のCrか
    らなり、不純物としての炭素および酸素含有量をC:0.00
    8wt%以下、O:0.0060wt%以下とした低熱膨張合金を素
    材とし、冷間圧延とそれに引き続く再結晶焼鈍を行なっ
    た後、さらに調質圧延率2〜5%の調質圧延を行うこと
    を特徴とするプレス成形性に優れたシャドウマスク原板
    の製造方法。
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