JPH0739515U - 射出成形靴用の溝付きラスト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 メッシュの甲被による射出成形靴を成形する
際、甲被と熱可塑性テープとの接着を向上させ、甲被と
テープの剥離を防止する。 【構成】 ラストの下方周側部に適宜巾の溝を適宜数施
し、メッシュの甲被をこの溝付きラストに吊り込み、熱
可塑性樹脂を射出して斜交編みしたポリアミド糸に射出
した熱可塑性樹脂を絡ませる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、甲被がメッシュ構造である場合の射出成形靴用のラストに関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から作業靴の甲被は通常の靴と同じ綿布又は合成皮革等を使用している。 しかしながらこれ等の素材は通気性が悪く通気が不充分であるから靴の内部が蒸 れて履用者に不快感を与えている。その為に通気性の良好なるスリッパ或いはサ ンダル等を履用する場合もあるが、工場等では作業上の問題がある。従って、最 近は甲被を全てメッシュ構造にした作業靴が製造されている。 メッシュの甲被を用いて熱可塑性樹脂のテープ及び底材を射出し、メッシュの 甲被とテープとを接着させる。その際、甲被がポリアミド糸の斜交編みであるか ら接着部分はポリアミド糸の部分で接着面積が少ない、故に接着が不充分である 。従って、該対策としてメッシュの甲被の下方部に２〜４回の糊引きを行ってい る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術に記載したように、メッシュの甲被とテープとの接着を向上させる 為に行う２〜４回の糊引は、糊層を厚くして接着力の向上を図る為である。しか しながらこの方法は、綿布又は合成皮革等の甲被に１〜２回の糊引きをするのに 比較し２倍程度の手間隙を費やすことになる。にもかかわらず接着力が充分では なく、稀には甲被とテープの接着が剥離する事態が生じることがある。

【０００４】 その上、甲被がメッシュ故にその部分からラストに糊が進入しラストが糊で汚 れ、それにより靴の内部が汚れる。またラストに付着した糊を拭きとる必要があ る。その上、甲被に糊引きを数回行う為に糊引きした部分の甲被が固くなり履用 した際の感触が良くない。 接着力の向上とこうした汚れを防止するためにテープの接着面を綿布又は合成 皮革のテープ部よりやや幅広の帯状体にて巻くこともあるが、それでは加工工程 の増加によるコストアップを生じ、さらに通気性がダウンして内部が蒸れること になる。 本考案は以上のような種々の欠点を解決する為に行われたのである。

【０００５】

【課題を解決する為の手段】

メッシュの甲被を用いて射出成形靴を成形する際に、ラストの下方周側部に適 宜な巾及び深さの溝を適宜数施し、テープ及び底材としての熱可塑性樹脂を射出 する。その際、甲被のポリアミド糸に射出した熱可塑性樹脂が絡みあって、充分 に接着するようにしたものである。

【０００６】

【実施例】

本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 先ず、本考案の溝付きラスト（１）であるが、図１に示す如くラストの下方周 側部（３）に溝（４）を施す。下方周側部（３）はラスト、サイドモールド（５ ）を組んだ際にサイドモールド（５）のリップ（６）より下方、即ち熱可塑性樹 脂を射出し底（８）を成形した際に靴のテープ（７）となる部分であり、該部分 のラストの全周に巾１．５ｍｍ、深さ２ｍｍの略半円状の溝（４）を２．５ｍｍ ピッチに３本施し、溝付きラスト（１）を製作する。該溝付きラスト（１）にメ ッシュの甲被（２）を吊り込む。

【０００７】 メッシュの甲被（２）は、ポリアミド糸を斜交編みしたメッシュ布と中底とを 袋縫いしたカリフタイプの甲被である。 メッシュの甲被（２）を吊り込んだ溝付きラスト（１）とサイドモールド（５ ）、ソールモールド（９）を型組して、テープ（７）及び底（８）の材料である スポンジの熱可塑性樹脂を射出しテープ（７）及び底（８）を同時成形した。本 考案においてはテープ（７）及び底（８）の材料としてスポンジの熱可塑性樹脂 を用いたが、ソリッドの熱可塑性樹脂でも良いしポリウレタン樹脂又はゴムでも 良い。

【０００８】 このようにして成形した靴は、熱可塑性樹脂が図１に示す如くメッシュの甲被 （２）のメッシュ部からラストの下方周側部（３）に施してある溝（４）に流れ 込み、斜交編みしたポリアミド糸に絡み充分に接着し、テープ（７）とメッシュ の甲被（２）との接着が向上する。

【０００９】

【効果】

本考案における最大の効果は、甲被に糊引きをすることなく甲被とテープとの 接着力を向上させ、従来のように甲被とテープとが剥離することを防止したこと にある。さらに糊引きしないことにより、甲被の下方部が固くならず履用した際 の履き心地が良く、しかも蒸れない。 又、ラストが汚れない為に、靴内部の汚れを防止出来、ラストの汚れを拭きと るという不要な作業をしなくてすむ。 その上、接着力向上の為に綿布又は合成皮革のテープ部よりやや幅広の帯状体 を甲被の下方部に巻いていたが、これを廃止することによって、通気性が良くな るとともに作業工程が削減出来るので経済的効果も大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２のＡ矢視図。

【図２】本考案の溝付きラストを用いて射出成形した靴
の一部切欠図。

【符号の説明】 １ 溝付きラスト ２ メッシュの甲被 ３ 下方周側部 ４ 溝 ５ サイドモールド ６ リップ ７ テープ ８ 底 ９ ソールモールド

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 メッシュの甲被（２）を用いて射出成形
   靴を成形する際に、ラストの下方周側部（３）に適宜な
   巾及び深さの溝（４）を適宜数施したことを特徴とする
   射出成形靴用の溝付きラスト（１）。