JPH0451604Y2 -

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【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、靴の甲被の改良に関する。

〔従来の技術〕

従来、靴の甲被は、裏材と甲材を貼着して底部
材に縫着して作成されており、甲材としては皮
革、布材、合成樹脂等が採用されている。

又、編物使用の甲被には、厚みを出すために表
編物、中間ウレタンフオーム、裏編物を接合し、
三層ラミネート構造としたものがある。

また、実公昭37−30434号、実開昭52−32440
号、実開昭60−98407号等の甲被の通気性を向上
させる構成のものが開示されている。

〔解決しようとする問題点〕

しかし、従来の甲被には、足との接触感、フイ
ツト感がもう一歩というほかに次のような問題点
がある。

貼り合せ材やラミネート品は、剥離を起こす
場合がある。

剥離を防止するために接着剤の塗布量を増大
させると通気性が低くなる。

ウレタンフオームを設けたものは、蓄熱して
しまい運動中の放熱性が不満足である。

接着剤を用いるので製造工程において速乾性
に欠け製造効率に影響を及ぼしている。

貼り合せ材やラミネート品は、ムレ感があ
る。

前記の実公昭37−30434号、実開昭52−32440
号は、その間隙は狭小で通気性やクツシヨンン
性がなく、実開昭60−98407号には中間間隙の
構造はなく、甲被の通気性を向上させる構成の
ものが、要請されていた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、このような甲被の問題点を改良する
ものであり、接着剤を用いずに、表編地と裏編地
の間に縦配列繊維を同時に編み立ててなる靴の甲
被を提供する。

表裏編地と中間の縦配列繊維を同時に編みあげ
てゆくので、接着の必要がないとともに甲被とし
ての強度、フイツト感にすぐれた利点がある。

〔実施例〕

図面の実施例は、複列のニードル経編機により
編成したもので、表編地１と中間縦配列繊維２と
裏編地３との三層構造を同時に連続的に編みたて
た靴の甲被Ａを示している。

複列のニードル経編機は、種々のニードル編み
に調整できるが、表面及裏面をダブルラツセルで
編み立ててゆき、同時に中間に縦配列繊維を差し
込み波状やリング状に糸を組回して編みたてる。

この三層構造の編成生地は靴の舌片Ｂにも使用
している。

中間縦配列繊維２は、ナイロンやポリエステル
の反発性素材を用いて、縦方向に巾Ｘをもつて編
みあげられ、内部に間隙２０を形成する。

間隙２０は、通気性、クツシヨン性を高める機
能を有する。

縦配列繊維２は、第２図、第３図のように縦方
向からの荷重に反作用するような配列であればよ
く、波状配列やリング状配列などがある。

三層構造の甲被Ａは、靴の底部Ｃに縫着する際
は、縫着部が縫糸により圧着されるので、余分な
空間をとることなく本底Ｃに接合される。

つまり、甲被Ａの部分では適切な厚みを維持
し、縫着部ではその厚みを潰すことができる利点
がある。

又、表編地１や裏編地３には、三層構造に編成
後に、所定化学剤の噴霧などによる二次加工をす
る。

編地生地は連続的に生産されてゆくので、二次
加工は容易にでき、例えば表編地１には撥水加工
をし、裏編地３には吸水加工等を行ない高機能性
をもたせることができる。

しかも、中間に間隙２０を有する構造であるの
で、二次加工の際の速乾性も増しており製造効率
が高いものとなつている。

甲被Ａの厚さは、1.5mm〜10mm位までであるが、
中間縦配列繊維２の巾Ｘを編成時に調整できる。

〔効果〕

本考案に係る靴の甲被は、前記構成のように三
層構造の編成生地であり、次のような特有な効果
がある。

接着剤を使用していないので、剥離などの心
配がなく、又製造工程が簡略化され製造コスト
を低廉化できる。

編地なので通気性があり、足ムレや蓄熱など
の不快感がない。

縦配列繊維のクツシヨン方向に足の甲が当接
するので、フイツト感があり、かつ十分な強
度、および保形成がある。

極めて軽量であり、しかも足を保護するため
の厚みが十分にだせる。

二次加工が簡単にでき、種々の用途に対応す
ることができる。

従来のウレタンフオームを介在させた甲被と
比較すると、通気性は、60〜70％以上向上して
いる実験結果を得ている。

このように、本考案に係る新規な靴の甲被はス
ポーツ用シユーズや一般履物のはきごごちや品質
を向上させるものであり、すぐれた有用性があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る靴の甲被の実施例を示
すもので、一部切開斜視図、第２図と第３図は、
異なる甲被の拡大断面図である。符号の簡単な説明、１……表編地、２……縦配
列繊維、３……裏編地、Ａ……甲被、Ｂ……舌
片、Ｃ……底部。

【実用新案登録請求の範囲】