JPH0738527B2 - Yig薄膜マイクロ波装置 - Google Patents

Yig薄膜マイクロ波装置

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JPH0738527B2
JPH0738527B2 JP15043085A JP15043085A JPH0738527B2 JP H0738527 B2 JPH0738527 B2 JP H0738527B2 JP 15043085 A JP15043085 A JP 15043085A JP 15043085 A JP15043085 A JP 15043085A JP H0738527 B2 JPH0738527 B2 JP H0738527B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、YIG(イットリウム・鉄・ガーネット)薄膜
のフェリ磁性共鳴を用いたマイクロ波素子に直流バイア
ス磁界を印加する手段を具備するYIG薄膜マイクロ波装
置に係わる。
〔発明の概要〕
本発明はYIG薄膜のフェリ磁性共鳴を用いたマイクロ波
素子に直流バイアス磁界を印加する磁気回路に夫々特定
の磁気特性を有する夫々、少くとも1種の材料より成る
永久磁石とソフトフェライトの整磁板とを用いるもので
あり、これにより、温度特性の良好なYIG薄膜マイクロ
波装置を構成する。
〔従来の技術〕
マイクロ波装置として、GGG(ガドリニウム・ガリウム
・ガーネット)非磁性基板上に、フェリ磁性体であるYI
G(イットリウム・鉄・ガーネット)薄膜を液相エピタ
キシャル成長(以下LPEという)させたYIG薄膜をフォト
リソグラフィー技術による選択的エッチングによって円
形或いは矩形等の所要形状に加工し、これのフェリ磁性
共鳴を利用することによってフィルタ,オシレータ等の
マイクロ波装置を構成するものが提案されている。これ
らマイクロ波装置は、マイクロストリップライン等を伝
送線路としてマイクロ波集積回路を作成することが可能
であり、他のマイクロ波集積回路とハイブリッド接続を
容易に行うことができるという利点がある。また、YIG
薄膜磁気共鳴によるマイクロ波素子は、上述したように
LPEとリソグラフィー技術によって作製することができ
ることから量産性にすぐれている。
このようにYIG薄膜磁気共鳴素子によるマイクロ波装置
は、従前のYIG球を用いたものに比し、実用上の多くの
利点を有する。
ところが、このようなYIG薄膜のフェリ磁性共鳴を利用
したマイクロ波装置は、YIG薄膜のフェリ磁性共鳴周波
数fの温度Tの依存性が大であることから温度特性が悪
いという実用上に大きな問題点がある。
以下、これについて説明する。
YIG薄膜のフェリ磁性共鳴周波数fは、異方性磁界の寄
与が小さいとしてこれを無視すると、キッテル(Kitte
l)の式を用いて、次式(1)のように表わすことがで
きる。
f(T)=γ{Hg(T)‐NZ Y4πMS Y(T)}・・・
(1) 但し、γは磁気回転比でγ=2.8MHz/0e、Hgは直流バイ
アス磁界、NZ YはYIG薄膜の反磁界係数で静磁モード理論
を用いて計算される値、4πMS YはYIGの飽和磁化であ
る。f,Hg,4πMS Yは全て温度Tの関数となる。具体例と
しては、アスペクト比(厚み/直径)が、0.01のYIG円
板の垂直共鳴では、NZ Y=0.9774であり、仮にバイアス
磁界Hgが温度によらず一定とした場合、4πMS Yは、−2
0℃で1916G(ガウス)、+60℃では、1622Gとなるから
共鳴周波数fはこの温度範囲で、823MHzもの変化をす
る。
このようなYIG薄膜マイクロ波装置において、外囲温度
による共鳴周波数の変動を回避する方法としては、YIG
薄膜磁気共鳴素子を恒温槽内に配置して素子自体を一定
の温度に保持するとか電磁石によって温度に依存して磁
界を変化させて素子の共鳴周波数を一定に保持させるな
どの方法が考えられているが、これらは、電流制御など
の外部からのエネルギー供給を必要とすることからその
構成は複雑となる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は上述した問題点が解消された、すなわち、温度
特性を補償するための外部回路を必要とせず、更にこれ
に伴って温度特性を補償するための電力消費がなく、し
かも固定周波数,可変周波数の両方のYIG薄膜マイクロ
波装置に適用できて広範囲の使用周波数のYIG薄膜マイ
クロ波装置において、温度特性の補償を良好に行うこと
ができるようにするものである。
本発明の説明に先立って本発明の理解を容易にするため
に、永久磁石および磁気回路について説明する。
磁性材料の磁気特性は、磁化曲線および磁気履歴曲線に
よりそのほとんどが示される。よく知られているよう
に、全く磁化されていない材料に外部から磁界を作用さ
せ、その磁界の強さを種々変えていくと、これによって
材料中に誘起される磁束密度の状況は、第9図に示す磁
化曲線に示す経路を辿り、いわゆる磁気履歴曲線すなわ
ち磁気ヒステリシス曲線を描くことになる。永久磁石
は、一旦飽和まで磁化されたのち、磁界を取り去ること
により、その残留している磁気を利用するものであるか
ら、その磁気的状態は、第9図中Br(このBrを残留磁束
密度ないしはレマネンスと呼ぶ)の状態にあると考えら
れる。
永久磁石は、外部に磁界を供給する目的で使用するもの
であるから、その磁気回路中には、必ず磁気空隙(磁気
ギャップ)が設けられるものであり、この磁気ギャップ
は磁石内部に反対方向の磁界すなわち反磁界を発生させ
ることになる。したがって、永久磁石の動作点は、第9
図の磁気履歴曲線の第2象限、すなわち減磁曲線と呼ば
れるレマネンスBr点から保磁力Hcに至部分の曲線上にく
るこになる。フェライトおよび希土類磁石の減磁特性
は、ほとんど真空の透磁率に等しい傾斜すなわちリコイ
ル透磁率μrをもつ直線部分と、急激に垂下していく直
線部分との2つからなっており、2部分を分つ屈曲点を
クニック点と呼ぶ。
さらに、いま、第10図に示すようにヨーク3の磁気ギャ
ップgに永久磁石4が配置されて閉磁路1が形成された
磁気回路2についての磁界計算について説明する。
この場合、マックスウエルの方程式 を第10図の回路に適用する。
ここで、永久磁石4の断面積をAm、磁気ギャップの断面
積をAg、永久磁石4の厚さをそれぞれ 磁気ギャップ長をlg永久磁石(4)及び磁気ギャップg
内の磁束密度を永久磁石(4)及び磁気ギャップg内の
磁界をHm及びHgとし、ヨークの透磁率を無限大と仮定す
ると、ヨーク内の磁界は0であるから、 いまの場合Am=Agであるから、 〔問題点を解決するための手段〕 第1図はYIG薄膜マイクロ波装置の構成図で、図中
(1)はYIG薄膜によるマイクロ波素子、(2)はこの
マイクロ波素子(1)にバイアス磁界を与える磁気回路
で、この磁気回路(2)は、例えばコ字状ヨーク(3)
とその両端部の相対向する面に、夫々厚さlmの永久磁石
(4)と例えばソフトフェライトより成る厚さlxの整磁
板(5)とが配置され、両整磁板(5)間に間隔lgをも
って磁気ギャップgが形成され、この磁気ギャップg内
にマイクロ波素子(1)が配置される。
本発明においては、この磁気回路(2)中に、foを使用
周波数、γを磁気回転比、NZ YをYIG薄膜の反磁界係数、
4πMSO Yを室温におけるYIGの飽和磁化、α1 Yを室温付
近におけるYIGの飽和磁化の1次の温度係数とすると
き、室温でのレマネンスBr或いは平均レマネンス が(fo/γ)+NZ Y4πMSO Y以上で、且つ室温付近でのBr
或いは の1次の温度係数が 以上の永久磁石と、室温での飽和磁化、或いは平均飽和
磁化が(fo/γ)+NZ Y4πMSO Y以上で、且つ室温付近で
の飽和磁化或いは平均飽和磁化の1次の温度係数が 以下のソフトフェライト整磁板とを組合せ用いる。
尚、ここに使用周波数foとは、マイクロ波装置の使用周
波数が固定である場合は、この周波数を指称し、可変と
するときは、固定のバイアス磁界に重畳して磁気回路に
図示していないが電磁コイルへの通電制御によってバイ
アス磁界が可変されるようになされているが、この電磁
コイルへの通電電流をオフとしたときの周波数を指称す
る。
〔作用〕
第1図に示す磁気回路において、磁束はすべて磁気ギャ
ップg内を通り、このギャップg内の磁界は一様であ
り、またヨークの透磁率が無限大であるとすると、前述
したように、マッスクウェルの方程式により次式が成り
立つ。
Bm=Bx=Bg・・・・(2) lmHm=lgHg+lxHx・・・・(3) 但し、Bm,Bx及びBgは、夫々永久磁石(4)、整磁板
(5)及び磁気ギャップ内の磁束密度、Hm,Hx及びHg
は、夫々同様に永久磁石(4)、整磁板(5)及び磁気
ギャップg内の磁界で、Hmはその向きがHg,Hx,Bm,Bx,Bg
の向きと逆となる。
更に、第9図で定義したように、永久磁石(4)がクニ
ック点を持たないものであって、リコイル透磁率μrが
一定、つまり減磁特性が直線性を示すものと定義する
と、次式(4)が成立する。
今、フェライト整磁板(5)は充分に飽和していると仮
定し、その飽和磁化を4πMS Xとし、その反磁界係数をN
Z Xとすると、フェライト整磁板の内磁界Hxは次式(5)
で表せる。
Hx=Hg−NZ X4πMS X・・・・(5) 今、熱膨脹による磁気回路の寸法変化の寄与は、充分小
さく無視できると仮定すると、(3)式,(4)式及び
(5)式より、この磁気回路(2)のギャップ磁界Hg
は、温度Tの関数として、次式(6)として求められ
る。
一方、永久磁石のレマネンスBr及びYIGの飽和磁化4πM
S Yは、室温Toを中心として±数十℃の温度範囲で、具体
的には±40℃の温度範囲では、夫々磁石,YIG,フェライ
ト整磁板の2次までの温度係数α1 B2 B1 Y2 Y
1 X2 Xを考慮すれば、充分精度良く表現することが可
能である。
Br(T)=BrO1+α1 B(T−To)+α2 B(T−T
o)}‥‥(7) 4πMS Y(T)=4πMSO Y{1+α1 Y(T−To)+α2 Y
(T−To)}‥‥(8) 4πMS X(T)=4πMSO X{1+α1 X(T−To)+α2 X
(T−To)}‥‥(9) (1)式及び(6)式から共鳴周波数f(T)が温度T
に依存せず、一定の値foになるためには、(1)式と
(6)式とにより次式(10)が成立する必要がある。
この(10)式に、(7)式,(8)式及び(9)を代入
し、温度Tについての0次,1次,及び2次の各項を等し
いとすることにより次式が求められる。
(lmBro/μr)+lxNzX4πMSO X={lg+(lm/μr)+l
x}{(fo/γ)+NZ Y4πMSO Y}‥‥(11) (lmBrOα1 B/μr)+lxNZ X4πMSO Xα1 X={lg+(lm/
μr)+lx}NZ Y4πMSO Yα1 Y‥‥(12) (lmBrOα2 B/μr)+lxNZ X4πMSO Xα2 X={lg+(lm/
μr)+lx}NZ Y4πMSO Yα2 Y‥‥(13) 今、YIG,永久磁石,フェライト整磁板の3つの材料が与
えられ、且つギャップ間隔lgも与えられたとすると、
(11)式,(12)式,(13)式を同時に満すlmとlxの組
み合せを求めることは不可能である。したがって主要項
である0次と1次の係数が等しくなる、すなわち(11)
式と(12)式とを満すlmと、lxとを求めると以下のよう
になる。
(14)式及び(15)式よりlm,lxが正の解をもつには、
以下の条件が成立する必要があることが分る。
BrO>(fo/γ)+NZ Y4πMSO Y‥‥(16) NZ X4πMSO X<(fo/γ)+NZ Y4πMSO Y‥‥(17) (17)式でNZ X1であるから、次式(20)の条件が成
立すれば(17)式は常に成立することが分る。
4πMSO X<(fo/γ)+NZ Y4πMSO Y‥‥(20) したがって、室内でのレマネンスBrが(fo/γ)+NZ Y4
πMSO Yよりも大きく、且つ室温付近でのレマネンスBrの
1次の温度係数α1 Bが、 よりも大きい永久磁石材料と、室温での飽和磁化4πM
SO Xが、(fo/γ)+NZ Y4πMSO Yよりも小さく、且つ室温
付近での飽和磁化4πMS Xの1次の温度係数α1 Xよりも小さいいわゆるソフトフェライト整磁板とを組み
合せて良好な温度特性を実現できることになる。
〔実施例〕
第1図に示す構成において、整磁板(5)として第2図
に示すような温度特性を有するMgMnAlフェライトを用
い、永久磁石(4)として、Br=11,000G、α1 B=−1.2
×10-3、α2 B=−0.75×10-6のNd2 Fe14B磁石、Br=6,0
00G、α1 B=−0.9×10-3、α2 B=0のCeCo5磁石、Br=
8,500G、α1 B=−0.5×10-3、α2 B=0のSmCo5磁石の3
種の永久磁石のうちのいずれか1種類を用いた場合の夫
々の厚さlx,lmの値及び−20℃〜+60℃の温度範囲にお
ける2次の係数までを考慮した周波数変動Δfを第3
図,第4図及び第5図に示す。但し、この場合ギャップ
間隔lg=3mmとし、第2図から4πMSO X=943.8G、α1 X
=−6.38×10-3、α2 X=−1.40×10-5とした。このと
き、式(20)及び(18)式の条件は、周波数foによら
ず、常に成立していることが分る。更にまた第3図〜第
5図により、使用する永久磁石(4)の種類に対応して
実現可能な周波数foに範囲があることが分る。
第6図は、MgMnAlフェライト整磁板(5)と、Nd2 Fe14
B磁石(4)との組み合せにより磁気回路(2)を構成
した場合のYIGの共鳴周波数の温度特性を測定した結果
を示したもので、これによれば−20℃〜+60℃の温度範
囲で中心周波数1.575GHzの±2.9MHz以内に周波数変動Δ
fが収っていることが分る。
上述した例では、夫々1種類の永久磁石(4)と1種類
のソフトフェライト整磁板とを有する磁気回路(2)と
を有する構成とした場合であるが、2種類の磁石と、1
種類のソフトフェライト整磁板との組み合せとすること
もできる。
第7図に、2種類の永久磁石(4a)及び(4b)とソフト
フェライト整磁板(5)との組み合せによって磁気回路
(2)を構成する場合について説明する。
この場合、(6)式に対応して次式(21)が導出され
る。
但し、Br1,Br2は夫々永久磁石(4a)及び(4b)のレマ
ネンス、μr1,μr2は夫々永久磁石(4a)及び(4b)の
リコイル透磁率、lm1,lm2は夫々永久磁石(4a)及び(4
b)の合計の厚さである。
今、永久磁石(4a)及び(4b)の全部の厚さをlmtとす
ると、 lmt=lm1+lm2‥‥(22) であり、永久磁石(4a)及び(4b)の全体の平均リコイ
ル透磁率を とすると、 永久磁石(4a)(4b)の平均レマネンスをBr(T)とす
ると、 この(24)式に を代入し、両辺の温度についての0次,1次,2次の各項を
比較して次式を得る。
今、永久磁石(4a)及び(4b)の厚さの比aを、a=lm
1/lm2、永久磁石(4a)及び(4b)のリコイル透磁率の
比bをb=μr1/μr2、永久磁石(4a)及び(4b)の室
温でのレマネンスの比cをc=▲BrO 1/BrO 2▼とする
と、(25)式は、更に次式(26)のように書くことがで
きる。
上述したように各パラメータを定義すると、(21)式
は、(6)式と同一の形式で書くことができる。
(27)式から、(16)式及び(18)式に対応する各次式
(28),(29)で表わすことができる。
上述したところを要約すれば、永久磁石(4a)及び(4
b)の厚さの比aをa=lm1/lm2、同様の各リコイル透磁
率の比bをb=μr1/μr2、同様の室温でのレマネンス
の比cをc=▲BrO 1/BrO 2▼としたとき、(26)式で定
義される室温における平均レマネンス rO及び平均レマネンスの1次の温度係数 が式(28)及び(29)を満足する永久磁石の組合せと、
前述したように、室温での飽和磁化4πMSO Xが、(fo/
γ)+NZ Y4πMSO Yよりも小さく、且つ室温付近での飽和
磁化4πMS Xの1次の温度係数 よりも小さいいわゆるソフトフェライト整磁板とを組み
合せて良好な温度特性を実現できることになる。
このように2種類の永久磁石(4a)及び(4b)とソフト
フェライト整磁板とを組み合せ用いて磁気回路を構成す
る場合、2種類の磁石(4a)及び(4b)のみを用いる場
合に比して、次のような利点がある。
すなわち、2種類の永久磁石のみを組合せて用いる場
合、永久磁石材料のレマネンスBrのばらつきは比較的大
きく着磁後の磁石を削ることは困難であるため、YIG薄
膜の共鳴周波数を目的の周波数に合せるには、ギャップ
間隔を最終的に調整する必要がある。しかしながら、ギ
ャップ間隔lgを設計値からずらすと、温度特性も変化し
てしまうという問題が生じる。
これに対し、ソフトフェライト整磁板を用いる場合、こ
れで温度特性をほぼ合せておき、永久磁石材料のレマネ
ンスのばらつきによるギャップ間隔調整で生じる温度特
性のずれを、このソフトフェライト整磁板によって最終
的に微調整できるものであり、共鳴周波数と温度特性と
を同時に目的値に一致させることが可能となる。
更に次に第8図に示すように、磁気回路(2)に、1種
の永久磁石(4)と、第1及び第2の材料を異にする2
種のソフトフェライト整磁板(5a)及び(5b)とを用い
た場合について説明する。
この場合(6)式に対応する(30)式が導出される。
但し、ここに、4πM▲X S及び4πM▲X Sは夫
々第1及び第2のフェライト整磁板(5a)及び(5b)飽
和磁化で、N▲X Z及びN▲X Zは夫々各整磁板
(5a)及び(5b)の反磁界係数、lX1及びlX2は各整磁板
(5a)及び(5b)の夫々の和の厚さである。
そして、今、整磁板(5a)(5b)の全体の厚さをlXtと
すると lXt=lX1+lX2‥‥(31) フェライト整磁板(5a)(5b)の平均反磁界を したがって (32)式に次式 を代入し、両辺の温度についての0次,1次,2次の各項を
比較して次式を得る。
今、フェライト整磁板(5a)(5b)の厚さの比aを、a
=lX1/lX2、両整磁板(5a)(5b)の反磁界係数の比b
をb=N▲X Z1/N▲X Z、両整磁板(5a)(5b)の
室温での飽和磁化の比cをc=4πM▲X1 SO▼/4πM▲
X2 SO▼とすると、(33)式は更に次のように表わせる。
上述したように各パラメータを定義すると、前記(34)
式は、前記(6)式と同一形式に書き直すことができ
る。
(35)式から前記(17)式及び(18)式に対応する次式
の条件が求められる。
以上の例について要約すれば、ソフトフェライト整磁板
(5a)及び(5b)の厚さの比aを、a=lX1/lX2、その
反磁界係数の比bをb=N▲X Z1/N▲X Z、両整磁
板(5a)及び(5b)の室温における飽和磁界の比cをc
=4πMSO X/4πM▲X2 SO▼としたとき、平均反磁界係数
と、室温における平均飽和磁化の が(38)式を満足し、平均飽和磁化の1次の温度係数α
1 Xが(37)式を満足するようなソフトフェライト整磁板
と、前述した条件下の永久磁石、すなわち、室内でのレ
マネンスBrが(fo/γ)+NZ Y4πMSO Y▼よりも大きく、
且つ室温付近でのレマネンスBrの1次の温度係数α
1 Bが、 よりも大きい永久磁石(4)とを組合せ用いることによ
って良好な温度特性を実現できることになる。
尚、上述した例では、使用周波数が固定したマイクロ波
装置に本発明を適用した場合であるが、磁気回路(2)
のヨーク(3)に図示しないが、コイルが巻装された可
変型のYIG薄膜マイクロ波装置に適用することもでき
る。
〔発明の効果〕
上述したように本発明によれば、YIG薄膜による磁気共
鳴を利用するマイクロ波素子(1)に対してバイアス磁
界を与えるための磁気回路中に、夫々特定した特性の永
久磁石材料と整磁板とを用いることによって良好な温度
特性を有するマイクロ波装置が実現できる。
したがって冒頭に述べたように量産性にすぐれたYIG薄
膜によるマイクロ波装置の特徴を活かして、よりその利
用度が高められ、その工業的利益は大である。
【図面の簡単な説明】
第1図,第7図及び第8図は夫々本発明によるYIG薄膜
マイクロ波装置の各例の構成図、第2図は温度特性曲線
図、第3図,第4図及び第5図は夫々中心周波数と周波
数変動値を示す表図、第6図は周波数温度特性曲線図、
第9図は磁化曲線図、第10図は磁気回路図である。 (1)はマイクロ波素子、(2)は磁気回路、gはその
磁気ギャップ、(3)はヨーク、(4)は永久磁石、
(5)はソフトフェライト整磁板である。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 誠吾 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 玉田 仁志 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 山田 敏郎 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−189205(JP,A) 小西,「フェライトを用いた最新のマイ クロ波回路技術」(電子通信学会,昭和47 年),第153頁

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】YIG薄膜のフェリ磁性共鳴を利用したマイ
    クロ波素子にバイアス磁界を与える磁気回路中に、foを
    使用周波数(固定周波数ではその周波数、可変周波数装
    置では周波数制御用の電磁石コイルに電流を通じない状
    態での周波数)、γを磁気回路比、NZ YをYIG薄膜の反磁
    界係数、4πMSO Yを室温におけるYIGの飽和磁化、α1 Y
    を室温付近におけるYIGの飽和磁化の1次の温度係数と
    するとき、室温でのレマネンスBr或いは平均レマネンス が(fo/γ)+NZ Y4πMSO Y以上で、且つ室温付近でのBr
    或いは の1次の温度係数が 以上の永久磁石と、室温での飽和磁化、或いは平均飽和
    磁化が(fo/γ)+NZ Y4πMSO Y以上で、且つ室温付近で
    の飽和磁化或いは平均飽和磁化の1次の温度係数が 以下のソフトフェライト整磁板とが組合せ用いられて成
    るYIG薄膜マイクロ波装置。
JP15043085A 1985-07-09 1985-07-09 Yig薄膜マイクロ波装置 Expired - Fee Related JPH0738527B2 (ja)

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