JPH073827U - プレス加工装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は、１つのプレス型で同一工程によりワ
ークの端縁に凹み円座又は凹溝の凹部とワークの端末を
Ｌ形に折り曲げ加工する２つの加工を可能にし、加工カ
ムの強度を確保したプレス加工装置を提供するものであ
る。 【構成】下型２０にワークＷの端縁Ｂ１に凹部Ｂ３を成
形する凹み面２１ａと、ワークのＷ端末Ｂ２をＬ形に折
り曲げる曲げ面２１ｂとを有する固定曲刃２１と、スプ
リング２４で常に後退方向に付勢され、上面に凸部２２
ａを有し、前進移動によって前記固定曲刃２１の曲げ面
２１ｂに対接する可動曲刃２３を設けた受動カム２２と
を設け、上型２５に設けられているワーク押さえ部材２
６に前記受動カム２２の凸部２２ａが係合する当接面２
８ａを有し、前記固定曲刃２１の凹み面２１ａに対し進
退移動する上吊り受動カム２７を設け、前記上型２５
に、上型２５の下降によって前記下型２０の受動カム２
２を前進移動させる第１能動カム２９と、上型２５の上
昇によって上吊り受動カム２７を後退移動させる第２能
動カム３０とを備えた構造を特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、パネル状のワークの端縁を加工するプレス加工装置に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

自動車ボディーの外板又は内板等のパネル状のワークで、その端末をＬ形に折 り曲げ、端縁にビスを挿通する穴の周囲に凹み円座あるいは凹溝をプレス加工す るものがある。

【０００３】 このようなワークのプレス加工は、前記ワークの端末をＬ型に折り曲げるには 図９で示すように、前加工により所定の角度に折り曲げた端縁Ｂ１を有するワー クＷの端末Ｂ２をＬ形に折り曲げる曲げ面２ａを持つ固定曲刃２と、スプリング ５で常に後退方向に付勢され、前進移動によって前記固定曲刃２の曲げ面２に対 接する可動曲刃４を設けた受動カム３を下型１に備え、上型６にワーク押さえ部 材７と、上型６の下降によって前記下型１の受動カム３を前進移動させる能動カ ム８とを備えたワーク端末折り曲げ専用のプレス型９により加工する。

【０００４】 また、ワークＷの端縁Ｂ１に凹み円座あるいは凹溝をプレス加工するには前記 ワーク端末折り曲げ専用のプレス型９とは別個の図１０で示すように、ワークＷ の端縁Ｂ１に円座あるいは凹溝Ｂ３を成形する凹み面１０ａを有する固定曲刃１ ０を下型１に備え、上型６に設けられているワーク押さえ部材７に前記固定曲刃 １０の凹み面１０ａに対し進退移動する上吊り受動カム１１を設け、前記上型６ に、上型６の下降によって前記上吊り受動カム１１を前進移動させる第１能動カ ム８ａと、上吊り受動カム１１に開設したガイド穴１２に挿入され、上型６の上 昇によって後退移動させる第２能動カム１３とを備えた前記ワーク端末折り曲げ 専用のプレス型９とは別個の凹み円座あるいは凹溝成形専用のプレス型１４によ り加工する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のプレス加工装置では、同一のワークＷの端縁Ｂ１の端末Ｂ２をＬ形 に折り曲げ、端縁Ｂ１に凹み円座あるいは凹溝Ｂ３を加工するには、それぞれ専 用の２種類のプレス型９，１４を必要とし、それには、当然２つのプレス機が必 要となり、多くの加工工程を要している問題がある。

【０００６】 また、凹み円座あるいは凹溝Ｂ３を加工する第２能動カム１３の前進作動は、 第１能動カム８ａの下降方向の作用力をテーパカム面によって直接第２能動カム １３の前進方向に変換して付与されるため、第２能動カム１３に付与される作用 力は第２能動カム１３の前進方向と、鉛直方向との２方向に分散して伝達され、 第２能動カム１３に無理な力がかかり、スライド面の摩耗が大であり、耐久性に 難点があった。

【０００７】 本考案の目的は、上記従来の問題を解消したプレス加工装置を提供することで ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するための本考案の要旨は、パネル状のワークの端縁に凹部 を成形する凹み面と、ワークの端末をＬ形に折り曲げる曲げ面とを有する固定曲 刃と、上面に凸部を有し、前面に前記固定曲刃の曲げ面に対接する可動曲刃を設 け、スプリングで常に後退方向に付勢された進退移動可能な受動カムとを下型に 備え、前記下型に対し昇降動する上型に設けられているワーク押さえ部材に前記 受動カムの凸部が係合する当接面を有し、前記受動カムの前進移動により前記固 定曲刃の凹み面に向かって前進移動する上吊り受動カムを進退移動可能に設け、 前記上型に、上型の下降によって前記受動カムを前進移動させる第１能動カムと 、上型の上昇によって前記上吊り受動カムを後退移動させる第２能動カムとを備 えたものである。

【０００９】

【作用】

上記の構成により、上型の下降によってワークの端縁に凹部を、またワークの 端末のＬ形の折り曲げを１つのプレス型で同時に加工を可能にすると共に、凹部 を成形する上吊り受動カムは、受動カムの凸部が上吊り受動カムに係合して、受 動カムの前進移動作用力を上吊り受動カムの前進軸線方向に付与するため、上吊 り受動カムには無理な力がかからず、カム強度を確保する。

【００１０】

【実施例】

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１において、２０は下型で ある。この下型２０には、パネル状のワークＷの端縁Ｂ１に凹部を成形する凹み 面２１ａと、ワークＷの端末Ｂ２をＬ型に折り曲げる曲げ面２１ｂとを有する固 定曲刃２１と、スプリング２４で常に後退方向に付勢され、上面に凸分２２ａを 有し、前面には前進移動によって前記固定曲刃２１の曲げ面２１ｂに対接する可 動曲刃２３を設けた受動カム２２とを備えている。

【００１１】 ２５は上型である。この上型２５には、ワーク押さえ部材２６に前記固定曲刃 ２１の凹み面２１ａに対し進退移動する上吊り受動カム２７が設けられている。 この上吊り受動カム２７には前記受動カム２２の凸部２２ａの前面が係合する当 接面２８ａと、後述する第２能動カム３０の後面が係合するガイド穴２８ｂとが 設けられている。

【００１２】 また、上型２５には、上型の下降によって前記下型２０の受動カム２２を前進 移動させる第１能動カム２９と、上型２５の上昇によって上吊り受動カム２７を 後退移動させるための上吊り受動カム２７のガイド穴２８ｂに挿入された第２能 動カム３０とを備えている。

【００１３】 上記構成による本考案の動作を説明する。図１は上型２５が上昇している作動 開始前の状態である。この状態で前加工により所定の角度に折り曲げた端縁Ｂ１ を有するワークＷが下型２０上に搬入される。

【００１４】 図３は上型２５が下降を始めて作動を開始した状態である。この状態ではワー ク押さえ部材２６がワークＷを下型２０に押さえ込み、上吊り受動カム２７が固 定曲刃２１の凹み面２１ａと対応位置し、図４で示すように、上吊り受動カム２ ７に形成されている当接面２８ａが下型２０側に設けられている受動カム２２の 凸部２２ａの前面と対面位置する。また、上型２５側の第１能動カム２９が受動 カム２２に当接する。

【００１５】 上型２５がさらに下降することにより第１能動カム２９は受動カム２２をスプ リング２４の後退作用力に抗して前進作動し、図５及び図６で示すように、して 第１能動カム２９が下型２０の受動カム２２を前進移動し、受動カム２２の凸部 ２２ａの前面が上吊り受動カム２７の当接面２８ａに係合して上吊り受動カム２ ７を前進作動する。この上吊り受動カム２７の前進作動力は、受動カム２２の凸 部２２ａと上吊り受動カム２７の当接面２８ａとによって受動カム２２の前進移 動軸線と平行な軸線で上吊り受動カム２７に伝達される。

【００１６】 さらに、上型２５の下死点では図７及び図８で示すように、前記受動カム２２ の前進移動と、この受動カム２２の前進移動で前進作動する上吊り受動カム２７ とにより、ワークＷの端末Ｂ２は固定曲刃２１の曲げ面２１ｂと受動カム２２に 設けられている可動曲刃２３とによりＬ形に折り曲げ、同時にワークＷの端縁Ｂ １を上吊り受動カム２７と固定曲刃２１の凹み面２１ａとにより円座又は凹溝Ｂ ３を成形する。

【００１７】 上型２５が下死点から上昇するときには、第１能動カム２９が受動カム２２か ら離れるため、受動カム２２はスプリング２４によって後退移動し、受動カム２ ２の凸部２２ａが上吊り受動カム２７の当接面２８ａより離間する。その後、上 型２５の上昇で第２能動カム３０が上吊り受動カム２７のガイド穴２８ｂの後端 面に当接して上吊り受動カム２７を後退作動し、上型２５の上死点では図１で示 す原位置に戻る。

【００１８】

【考案の効果】

以上のように本考案によると、１つのプレス型で同一工程によりワークの端縁 に凹み円座又は凹溝の凹部とワークの端末をＬ形に折り曲げ加工することができ 、装置の削減と加工工程の短縮が得られる。また、上吊り受動カムの前進作動力 は、受動カム凸部と上吊り受動カムの当接面とによって受動カムの前進移動軸線 と平行な軸線で上吊り受動カムに伝達されるため、上吊り受動カムの加工方向に 際し、無理な力がかからず、スライド面の摩耗が低減され、カム強度が容易に確 保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案装置の作動開始前の断面図

【図２】図１のＡ断面図

【図３】本考案装置の作動開始状態の断面図

【図４】図３のＢ断面図

【図５】本考案装置の加工開始状態の断面図

【図６】図５のＣ断面図

【図７】本考案装置の加工完了状態の断面図

【図８】図７のＤ断面図

【図９】従来のワーク端末折り曲げ専用プレス加工装置
の断面図

【図１０】従来の凹み円座あるいは凹溝成形専用プレス
加工装置の断面図

【符号の説明】

２０ 下型 ２１ 固定曲刃 ２１ａ 凹み面 ２１ｂ 曲げ面 ２２ 受動カム ２２ａ 凸部 ２３ 可動曲刃 ２４ スプリング ２５ 上型 ２６ ワーク押さえ部材 ２７ 上吊り受動カム ２８ａ 当接面 ２８ｂ ガイド穴 ２９ 第１能動カム ３０ 第２能動カム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 パネル状のワークの端縁に凹部を成形す
   る凹み面と、ワークの端末をＬ形に折り曲げる曲げ面と
   を有する固定曲刃と、上面に凸部を有し、前面に前記固
   定曲刃の曲げ面に対接する可動曲刃を設け、スプリング
   で常に後退方向に付勢された進退移動可能な受動カムと
   を下型に備え、前記下型に対し昇降動する上型に設けら
   れているワーク押さえ部材に前記受動カムの凸部が係合
   する当接面を有し、前記受動カムの前進移動により前記
   固定曲刃の凹み面に向かって前進移動する上吊り受動カ
   ムを進退移動可能に設け、前記上型に、上型の下降によ
   って前記受動カムを前進移動させる第１能動カムと、上
   型の上昇によって前記上吊り受動カムを後退移動させる
   第２能動カムとを備えたことを特徴とするプレス加工装
   置。