JPH0737473B2 - モノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩及びこれを含有する化粧料 - Google Patents

モノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩及びこれを含有する化粧料

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JPH0737473B2
JPH0737473B2 JP2004064A JP406490A JPH0737473B2 JP H0737473 B2 JPH0737473 B2 JP H0737473B2 JP 2004064 A JP2004064 A JP 2004064A JP 406490 A JP406490 A JP 406490A JP H0737473 B2 JPH0737473 B2 JP H0737473B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩
及びこれを含有する化粧料に関する。更に詳しくは、新
規なモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩、特に板状
結晶粒子が主成分であり、滑剤として優れた性能を有す
るモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩、その製造法
及び当該モノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩を含有
する化粧料に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
粉体を含有した化粧料としては、ファンデーション、ア
イシャドー等のメイクアップ化粧料、ボディーパウダ
ー、ベビーパウダー等のボディー化粧料など、種々存在
する。しかし、従来より使用されている化粧料用粉体、
例えば、タルク等の無機体質顔料;酸化亜鉛等の無機着
色料;有機タール系色素等の有機着色料;雲母チタン等
の複合化顔料;及びこれらの表面をシリコン等の公知の
コーティング剤で処理したコーティング処理粉体等で
は、優れた化粧料に必要な平滑性、付着性等の性能の全
てを満足することはできなかった。
そこで、平滑性、付着性等を付与させる目的で金属石鹸
を化粧料中に配合する場合があるが、金属石鹸では、平
滑性、付着性等の面に於いて、化粧料に満足な性能を充
分に付与しているとは言い難い。
その他の、平滑性、付着性等を付与する物質としてナイ
ロンパウダーやスチレン共重合体等の球形ポリマーが化
粧料用原料として使用されているが、これらはかさつき
感が強く、付着性が悪いため、化粧料に柔軟性、しっと
り感を与えることができず、化粧料の皮膚への付きを悪
くし、その上、プレス成型性を低下させる欠点があっ
た。
本発明者は、モノアルキルリン酸金属塩が平滑性、付着
性等の化粧料用パウダーに適した諸性質を有することを
見いだし、これを含有する化粧料について先に特許出願
した。更に反応溶媒として水と水溶性有機溶剤の混合溶
媒を用いることにより化粧料用粉体に適した性能を有す
るモノアルキルリン酸金属塩を経済性良く製造する方法
についても先に特許出願した(特開昭61-229889号)。
本発明者は、モノアルキルリン酸金属塩の中でも特にモ
ノアルキルリン酸亜鉛塩粒子が滑剤、化粧料用パウダー
として優れた性能を有していることを既に見いだしてい
るが、従来の製造法では、塩交換終了後、反応系が強酸
性(多くの場合pH<2)を示すことが判明し、この状態
ではモノアルキルリン酸亜鉛塩の結晶形状が、板状(鱗
片状を含む)及び針状の混合物、又は不定形等の形状の
ものが生成し、板状結晶(鱗片状結晶を含む)を主成分
とするモノアルキルリン酸亜鉛塩を製造することは非常
に困難であった.斯かる従来の様々な結晶の混合物を用
いると、塗布時にむらがあり白っぽさが残り、滑剤、化
粧料用パウダーとしての性能が充分満足されていなかっ
た。また、これらの粒子の大きさは均一でないことが多
く、滑剤として使用する場合には分級や粉砕等の工程が
必要であった。
このように安全性に優れ、平滑性、透明感、付着性、撥
水性等の滑剤、化粧料用パウダーとして優れた性能を有
するモノアルキルリン酸金属塩の開発が待ち望まれてい
た。
〔課題を解決するための手段〕
斯かる実情に於いて、本発明者らは、上記欠点のない、
平滑性、透明感、付着性、撥水性等の性質を有する優れ
た使用感の化粧料を提供すべく、鋭意研究を行った結
果、香化粧品に既に応用され、安全性に優れた素材であ
ることが知られているもののうち、特定のモノアルキル
リン酸のアルカリ金属塩と亜鉛塩を反応させ、次いで得
られる反応混合物のpHをアルカリ化合物で2〜6の範囲
に調整し、結晶を析出せしめることにより板状結晶粒子
が主成分であり、凝集も少なく、針状結晶、不定形粒子
等を殆ど含まず粒子径がほぼ均一で、安全性に優れ、化
粧料用基剤として平滑性、透明感、付着性、撥水性等の
優れた性能を有するモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金
属塩を製造できることを見いだし、更にこれを化粧料に
配合すると、皮膚上でよく伸び、よく付き、塗った感じ
が厚ぼったくなく透明感があり、かつ、撥水性を有する
という優れた性能を持つ化粧料が得られることを見いだ
し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は一般式(I) (式中、Aはアルカリ金属を示し、Rは炭素数8〜32の
飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す) で表わされるモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩及
びこれを含有する化粧料を提供するものである。
本発明のモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩(I)
において、炭素数8〜32の飽和又は不飽和、直鎖又は分
岐鎖の炭化水素基としては、例えば、オクチル、ノニ
ル、デシル、ドデシル、ウンデシル、トリデシル、テト
ラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシ
ル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイ
コシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタ
コシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、
ノナコシル、トリアコンチル、ヘントリアコンチル、ド
トリアコンチル基等が挙げられ、就中モノアルキルリン
酸亜鉛アルカリ金属塩が粒子の形や大きさより滑剤、化
粧料用パウダーとして優れた性能を有するためには、炭
素数12〜18の直鎖飽和炭化水素基が好ましい。対イオン
となるアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナ
トリウム等が挙げられる。
本発明のモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩は、そ
の粒子が板状結晶粒子を主成分とするものであることが
好ましい。
ここで板状結晶粒子とは、形状が四角板状、楕円板状、
円板状、六角板状、菱形板状等である粒子の総称であ
る。また、本発明において板径とは、四角板状、六角板
状の場合は一辺の長さを意味し、菱形板状の場合は対角
線を意味し、楕円板状の場合は短径又は長径を意味し、
円板状の場合は直径を意味する。板状結晶粒子は、大き
さ等に関しては、走査型電子顕微鏡による観察で、 (i)板状方向の一辺の長さ(板径)が1〜50μであ
り、 (ii)板径/厚さ(板状比)が2以上であり、かつ (iii)最長径/最短径(板径比)が10以下である という条件を具備するものであることが好ましい。
本発明のアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩には、上記
板状結晶粒子を数にて60%以上含んでいるものが好まし
い。上記の条件を具備する粒子の数が60%より少ない場
合には、これを化粧料に配合したとき本発明が所望する
性能が得られ難く、好ましくない。なお、板状結晶粒子
の数の計測は、走査型電子顕微鏡下に行うが、独立した
形状を有するもののみを数え、周辺が明瞭でないか又は
粒子表面の単なる凹凸若しくは粒子表面の単なる紋様の
ようなものは1個の粒子として数えない。
本発明のモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩は、例
えば、中和度が0.8〜1.2である一般式(II) (式中、Rは炭素数8〜32の飽和又は不飽和の直鎖又は
分岐鎖の炭化水素基を示す) で表されるモノアルキルリン酸(II)のアルカリ金属塩
と一般式(III) XmYn (III) (式中、Xは亜鉛を、Yを無機アニオン又は有機酸アニ
オンを示し、m及びnはそれぞれY及びXの原子価に対
応する整数を示す) で表される亜鉛塩を塩交換により反応させ、次いで得ら
れる反応混合物のpHをアルカリ化合物で2〜6の範囲に
調整し、結晶を析出せしめることにより製造される。
ここでいう中和度とは、モノアルキルリン酸を中和しな
いときを0.0、アルカリ金属塩で第1当量点まで中和し
た場合を1.0、第2当量点まで中和した場合を2.0と定義
する。本発明に於いて、モノアルキルリン酸(II)のア
ルカリ金属塩の中和度は0.8〜1.2で、好ましくは0.9〜
1.1である。
本発明に於いて原料として使用されるモノアルキルリン
酸(II)のアルカリ金属塩は、モノアルキルリン酸を水
酸化アルカリ金属で中和する方法、或いはジアルカリ金
属塩をイオン交換樹脂又は酸によってカチオン交換する
方法等により得ることができる。
該モノアルキルリン酸アルカリ金属塩を製造する際に、
原料として使用されるモノアルキルリン酸の純度がモノ
アルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩の結晶形状に影響を
与え、滑剤としての性能を著しく左右させることから、
モノアルキルリン酸の純度は80重量%以上、特に95重量
%以上が好ましい。
また、式(III)中、Yは無機アニオン又は有機酸アニ
オンであり、例えば、ハロゲン、SO4、NO3、CO3、PO4
OH等の無機アニオン;酢酸、プロピオン酸、クエン酸等
の有機酸アニオン等が挙げられるが、中でも、ハロゲ
ン、SO4、PO4、NO3、CO3等の無機アニオンが好ましく、
就中、水溶性のZnSO4、ZnCl2等の亜鉛塩が特に好まし
い。
モノアルキルリン酸(II)のアルカリ金属塩と、(II
I)式で表される亜鉛塩は、水或いは水と水溶性有機溶
剤との混合溶媒からなる反応溶媒中で、モノアルキルリ
ン酸(II)のアルカリ金属塩が完全に溶解する温度以上
で反応させることが好ましい。ここで水溶性有機溶剤と
しては、例えばアセトン、メタノール、エタノール、is
o−プロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n
−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−
ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスル
ホキシド(DMSO)等が挙げられる。これらは単独で或い
は2種以上混合して用いることができる。就中、アセト
ン、メタノール、エタノール、iso−プロピルアルコー
ル、n−プロピルアルコール等が好適なものとして挙げ
られる。反応溶媒としては、水のみを用いてもよいし、
また、水及び1種類以上の上述の水溶性有機溶剤との混
合溶媒を用いてもよいが、とりわけ、アセトン、メタノ
ール、エタノール、iso−プロピルアルコール、n−プ
ロピルアルコール等の水溶性有機溶剤と水との混合溶媒
が適している。水と水溶性有機溶剤の混合方法は如何な
る方法であってもよいし、また更に反応に影響しない非
水溶性有機溶剤を水と水溶性有機溶剤の混合溶媒に加え
ることもでき、反応溶媒の作り方も如何なる方法であっ
てもよく、何等限定されるものではない。
反応溶媒中のモノアルキルリン酸(II)のアルカリ金属
塩の濃度は特に限定するものではない。しかしながら、
この濃度が、生成するモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ
金属塩の粒子の大きさに影響を与えることがある。即
ち、モノアルキルリン酸(II)のアルカリ金属塩の濃度
が高い程、生成するモノアルキルリン酸亜鉛塩の平均粒
子径は小さくなる傾向がある。従って、滑剤の性能の面
から見て粒子の板径が1〜50μのものが好ましいことか
ら、モノアルキルリン酸(II)のアルカリ金属塩の濃度
は70重量%以下が好ましい。
(III)式で表される亜鉛塩の添加量は、モノアルキル
リン酸(II)のアルカリ金属塩1に対して、モル比で0.
4以上、好ましくは0.4〜0.6である。亜鉛塩(III)は水
溶液として、或いは固体のまま反応に供される。水溶液
で加える場合は、生産効率の観点から亜鉛塩(III)の
濃度は高濃度であるのが好ましい。
反応温度は、特に限定されるものではなく、モノアルキ
ルリン酸(II)が完全に溶解すればよいが、70℃以上が
特に好ましい。
モノアルキルリン酸(II)のアルカリ金属塩に亜鉛塩
(III)を加えると反応系のpHはモノアルキルリン酸(I
I)の濃度及び温度にもよるが、モノアルキルリン酸(I
I)が10%以上の場合は、70〜80℃で2よりも低く、多
くの場合、1.5より低くなる。以下、pHの測定は70〜80
℃で行った場合の値である。また本発明に於いて用いた
pH電極は、保証温度が90℃のものである(IWAKI GLAS
S、pH複合電極、CODE IW050−BNC. Lot No.830027)。p
Hが2よりも低い状態ではモノアルキルリン酸亜鉛アル
カリ金属塩の粒子形状は針状及び板状の混合物となり、
多くの場合、針状結晶が板状結晶よりも多く含まれてお
り、滑剤としての性能が良好でない。この様に反応系の
pHの低下が、粒子形状及び滑剤としての性能に影響を及
ぼすと考えられるため、アルカリ化合物により系のpHを
調整する必要がある。系のpHの調整に於いて、pHが6を
越えるとモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩の粒子
形状は大部分不定形になり、滑剤としての性能が著しく
低下するので、モノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩
の粒子形状を板状にし、尚且、滑剤としての優れた性能
を付与するためには形のpHを2〜6に、好ましくは3〜
5に調整する必要がある。また、系のpHの調整は、アル
カリ化合物の添加量で規定することができる。pHの調整
を行う為に添加するアルカリ化合物は、モノアルキルリ
ン酸(II)のアルカリ金属塩に対して0.3〜0.7当量であ
り、好ましくは0.45〜0.55当量である。かかるアルカリ
化合物としては、水酸化アルカリ金属塩が好ましく、特
に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが好ましい。この
反応液のpHの調整方法は、何等限定されるものではな
く、例えば、亜鉛塩(III)を投入後に調整してもよ
く、また亜鉛塩(III)を投入しながら同時に調整して
一定に保つこともできる。具体的なpHの調整方法として
は、例えば水酸化アルカリ金属塩により順次pHを調整し
ながらモノアルキルリン酸(II)のアルカリ金属塩に亜
鉛塩(III)を加えて反応させる方法;モノアルキルリ
ン酸(II)のアルカリ金属塩に亜鉛塩(III)を全て加
えた後に水酸化アルカリ金属塩によりpHを調整する方法
等がある。
この様にして反応させた反応液を冷却し、濾取、水洗、
乾燥すれば上記の如き板状結晶粒子が主成分であり、滑
剤として優れた性能を有するモノアルキルリン酸亜鉛ア
ルカリ金属塩が得られる。
本発明化粧料には、基剤であるモノアルキルリン酸亜鉛
アルカリ金属塩の他に、従来から使用されている化粧料
用粉体及び任意成分として各種油剤、界面活性剤、潤滑
剤、水、アルコール、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、香料等を適宜配合することができる。
化粧料用粉体としては、公知の何れのものも使用するこ
とができ、例えばタルク、カオリン、セリサイト、雲母
等の無機体質顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、群青、酸化
クロム、酸化鉄等の無機着色料;有機タール系色素、レ
ーキ等の有機着色料;雲母チタン、酸化鉄コーテッド雲
母等の複合化顔料;及びこれら化粧料用粉体の表面をシ
リコン、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワッ
クス等の公知のコーティング剤で処理したコーティング
処理粉体等が挙げられる。これらは、1種類又は、2種
類以上混合して用いてもよい。これらの化粧料用粉体の
中でも、メイクアップ化粧料、ボディー化粧料等の化粧
料として用いる場合は、特にタルク、カオリン、セリサ
イト、雲母、酸化チタン、酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄
コーテッド雲母等の無機粉体が好ましい。
任意成分に於いて、油剤としては、流動パラフィン、ワ
セリン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、
スクワラン、セレシンワックス、みつろう、カルナウバ
ろう、キャンデリラろう、硬化ひまし油、オリーブ油、
ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、高級
アルコール、脂肪酸、高級アルコールと脂肪酸の合成エ
ステル油、シリコン等が;界面活性剤としては、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキ
シエチレンソルビトール、脂肪酸エステル等が;湿潤剤
としては、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリ
コール、1,3−ブチレングリコール、乳酸、乳酸ナトリ
ウム、ポリエチレングリコール等が;防腐剤としては、
パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸ナトリ
ウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等
が;酸化防止剤としては、トコフェロール、セザモー
ル、セザモリン、レシチン等が挙げられる。
本発明の化粧料の剤型には特に限定はなく、粉体化粧
料、油性化粧料、乳化化粧料、分散型化粧料等に用いる
ことができ、例えば、ファンデーション、頬紅、アイシ
ャドウ、アイブロー、フェイスパウダー等のメイクアッ
プ化粧料;ボディーパウダー、ベビーパウダー等のボデ
ィー化粧料等とすることができる。
本発明化粧料に於けるモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ
金属塩の配合量は、一般には全組成の0.1〜99重量%
(以下、単に%で示す)が好ましい。特に粉末プレス状
化粧料の場合には0.1〜50%が好ましく、これより少な
いと当該亜鉛塩の効果が奏されず、またこれより多いと
プレス成型した化粧料の表面を化粧用パフで何度か擦っ
ているうちに表面がテカリ、ハードケーキングを生ずる
ことがある。また、化粧料用粉体及び任意成分の配合量
は、一般には全組成の1〜99.9%が好ましく、特に粉末
プレス状化粧料の場合には70〜99.9%が好ましい。
モノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩、化粧料用粉体
及び任意成分の配合量は、各々化粧料によって異なる
が、特に、メイクアップ化粧料であるフェイスパウダ
ー、ファンデーションでは、好適にはモノアルキルリン
酸亜鉛アルカリ金属塩を10〜50%、タルク、セリサイト
等の無機体質顔料を20〜80%、結合剤としてワックス、
油剤を1〜20%、着色剤、香料を適量配合することによ
り、滑り等の感触に優れ、肌への付きが良く化粧崩れし
にくい化粧料を得ることができる。また、ボディーパウ
ダー等のボディー化粧料では、モノアルキルリン酸亜鉛
塩を20〜80%、タルク、セリサイト等の無機体質顔料を
20〜80%、油剤を0〜10%、香料を適量配合することに
より、感触の良いボディー化粧料を得ることができる。
〔発明の効果〕
叙上の如く、本発明のモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ
金属塩は、板状結晶粒子が主成分であり、且つ凝集物が
少なく、平滑性、透明感等の滑剤としての性能に優れた
ものであり、特に化粧料用基剤として優れた性能を有
し、例えばプレス状フェイスパウダー、パウダーファン
デーション、アイシャドー等に配合するのに好適であ
る。また、滑りを良くする効果を利用して、化粧料以外
の用途分野に滑剤等として利用可能である。
更に、叙上の如くして得られる本発明化粧料は、従来の
化粧料にはみられなかった、極めて優れた安全性、平滑
性、透明感、付着性、撥水性等を有し、更に皮膚上で伸
ばして行くうちに、しっとりとし、塗った感じが厚ぼっ
たくなく、水をよく弾くという特有な性能を有する極め
て優れたものである。
〔実施例〕
以下に実施例及び比較例をあげて説明する。尚、本発明
は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1) 500mlのセパラブルフラスコ(以下、反応容器とする)
にモノセチルリン酸を50g、エタノールを100g入れ、更
に、6.29gの96%水酸化ナトリウム(滴定により求めた
中和度から計算し、純度を考慮に入れた)を200gのイオ
ン交換水に溶解したものを加えた。80℃に昇温後、透明
溶解したことを確認した後、更に30分間攪拌を続けた。
次に、22.3gの硫酸亜鉛7水和物を100gのイオン交換水
に溶解させたものを滴下し、塩交換反応を行った.滴加
終了後、30分間攪拌した後、33.33%水酸化ナトリウム
水溶液8.70gを滴下してpHを3に調整し、更に1時間攪
拌した。反応終了後冷却し、濾過・水洗・乾燥して50.3
gのモノセチルリン酸亜鉛ナトリウム塩を得た。
この様にして得られたモノセチルリン酸亜鉛ナトリウム
塩は、走査型電子顕微鏡観察によれば、前記条件(i)
〜(iii)を具備する粒子が粒子全体の95%(数)であ
った。走査型電子顕微鏡写真を図1に示す(スケール10
μ)。
また、得られた粒子を元素分析した結果、示性式がC32H
67NaO8P2Znで示されるモノセチルリン酸亜鉛ナトリウム
塩であることが確認された。元素分析の結果は次の通り
である。
更に、得られた粒子の赤外吸収スペクトルの結果を図3
に示す。
測定機器:日立製作所(株)製 270−30型 測定方法:臭化カリウム錠剤法 (実施例2) 500mlの反応容器にモノセチルリン酸を50g、エタノール
を100g入れ、更に、6.29gの96%水酸化ナトリウム(滴
定により求めた中和度から計算し、純度を考慮に入れ
た)を200gのイオン交換水に溶解したものを加えた。80
℃に昇温後、透明溶解したことを確認した後、更に30分
間攪拌を続けた。次に、22.3gの硫酸亜鉛7水和物を100
gのイオン交換水に溶解させたものを滴下し、塩交換反
応を行った。滴下終了後、30分間攪拌した後、33.33%
水酸化ナトリウム水溶液9.30gを滴下してpHを5に調整
し、更に1時間攪拌した。反応終了後冷却し、濾過・水
洗、乾燥して51.2gのモノセチルリン酸亜鉛ナトリウム
塩を得た。
この様にして得られたモノセチルリン酸亜鉛ナトリウム
塩は、走査型電子顕微鏡観察によれば、前記条件(i)
〜(iii)を具備する粒子が粒子全体の93%(数)であ
った。
(実施例3) 500mlの反応容器にモノオクチルリン酸を50g、エタノー
ルを100g入れ、更に、9.52gの96%水酸化ナトリウム
(滴定により求めた中和度から計算し、純度を考慮にい
れた)を200gのイオン交換水に溶解したものを加えた。
80℃に昇温後、溶解したことを確認した後、更に30分間
攪拌を続けた。次に、34.2gの硫酸亜鉛7水和物を100g
のイオン交換水に溶解したものを滴下し、塩交換反応を
行った。滴下終了後、30分間攪拌した後、33.33%水酸
化ナトリウム水溶液14.26gを滴下してpHを5に調整し、
更に1時間攪拌した。反応終了後冷却し、濾過・水洗・
乾燥して49.6gのモノオクチルリン酸亜鉛ナトリウム塩
を得た。
この様にして得られたモノオクチルリン酸亜鉛ナトリウ
ム塩は、走査型電子顕微鏡観察によれば、前記条件
(i)〜(iii)を具備する粒子が粒子全体の95%
(数)であった。
(実施例4) 500mlの反応容器にモノラウリルリン酸を50g、エタノー
ルを100g入れ、更に、7.83gの96%水酸化ナトリウム
(滴定により求めた中和度から計算し、純度を考慮に入
れた)を200gのイオン交換水に溶解したものを加えた。
80℃に昇温後、溶解したことを確認した後、更に30分間
攪拌を続けた。次に、28.1gの硫酸亜鉛7水和物を100g
のイオン交換水に溶解したものを滴下し、塩交換反応を
行った。滴下終了後、30分間攪拌した後、33.33%水酸
化ナトリウム水溶液11.75gを滴下してpHを5に調整し、
更に1時間攪拌した。反応終了後冷却し、濾過・水洗・
乾燥して49.6gのモノラウリルリン酸亜鉛ナトリウム塩
を得た。
この様にして得られたモノラウリルリン酸亜鉛ナトリウ
ム塩は、走査型電子顕微鏡観察によれば、前記条件
(i)〜(iii)を具備する粒子が粒子全体の92%
(数)であった。
(実施例5) 500mlの反応容器にモノステアリルリン酸を50g、エタノ
ールを100g入れ、更に、5.94gの96%水酸化ナトリウム
(滴定により求めた中和度から計算し、純度を考慮に入
れた)を200gのイオン交換水に溶解したものを加えた。
80℃に昇温後、透明溶解したことを確認した後、更に30
分間攪拌を続けた。次に、21.4gの硫酸亜鉛7水和物を1
00gのイオン交換水に溶解させたものを滴下し、塩交換
反応を行った。滴下終了後、30分間攪拌した後、33.33
%水酸化ナトリウム水溶液8.85gを滴下してpHを3に調
整し、更に1時間攪拌した。反応終了後冷却し、濾過・
水洗・乾燥して51.5gのモノステアリルリン酸亜鉛ナト
リウム塩を得た。
この様にして得られたモノステアリルリン酸亜鉛ナトリ
ウム塩は、走査型電子顕微鏡観察によれば、前記条件
(i)〜(iii)を具備する粒子が粒子全体の93%
(数)であった。
(比較例1) 500mlの反応容器にモノセチルリン酸を50g、エタノール
を100g入れ、更に、6.29gの96%水酸化ナトリウム(滴
定により求めた中和度から計算し、純度を考慮に入れ
た)を200gのイオン交換水に溶解したものを加えた。80
℃に昇温し、透明溶解したことを確認した後、更に30分
間攪拌を続けた。次に、22.3gの硫酸亜鉛7水和物を100
gのイオン交換水に溶解したものを滴下し、塩交換反応
を行った。滴下終了後、2時間攪拌した。反応終了時の
pHは1.35であった。次に、冷却した後、濾過・水洗・乾
燥して51.4gのモノセチルリン酸亜鉛塩を得た。
この様にして得られたモノセチルリン酸亜鉛塩は、走査
型電子顕微鏡観察により、針状結晶及び板状結晶の混合
物であることが確認された。走査型電子顕微鏡写真を図
2に示す(スケール10μ)。
(比較例2) 500mlの反応容器にモノセチルリン酸を50g、エタノール
を100g入れ、更に、6.29gの96%水酸化ナトリウム(滴
定により求めた中和度から計算し、純度を考慮に入れ
た)を200gのイオン交換水に溶解したもの加えた。80℃
に昇温し、透明溶解したことを確認した後、更に30分間
攪拌を続けた。次に、22.3gの硫酸亜鉛7水和物を100g
のイオン交換水に溶解したものを滴下し、塩交換反応を
行った。滴下終了後、30分間攪拌した後、33.33%水酸
化ナトリウム水溶液13.20gを滴下してpHを6.6に調整
し、更に1時間攪拌を続けた。反応終了後冷却した後、
濾過・水洗・乾燥して49.3gのモノセチルリン酸亜鉛塩
を得た。
この様にして得られたモノセチルリン酸亜鉛塩は、走査
型電子顕微鏡観察により、粉体形状が一定でなく、板状
でも針状でもない不定形な凝集体であることが確認され
た。
(実施例6) 実施例1及び2で得たモノセチルリン酸亜鉛ナトリウム
塩について、使用感の官能評価を行った。比較品として
は、比較例1及び比較例2のモノセチルリン酸亜鉛塩、
ステアリン酸亜鉛、タルク、マイカ、ナイロンパウダー
を用いた。その結果を表1に示す。
〔評価方法〕
粉体そのものの使用感について、専門パネルによる評価
を行った。評価基準は、マイカの評価を3として次に示
す基準で比較評価を行った。
(実施例7)プレス状フェイスパウダー 実施例1で得たモノセチルリン酸亜鉛ナトリウム塩を用
いて、下記の処方と製法でプレス状フェイスパウダーを
製造し、比較品と比較評価した。比較品は、比較例2で
得たモノセチルリン酸亜鉛塩またはタルク、マイカを使
用して製造したものを用いた。
〈処方〉 〈製法〉 粉体成分を混合粉砕して、これをヘンシェルミキサーに
移し、油剤と香料を加えて均一になる様に混合した。こ
れを金皿にプレス成型して製品を得た。
この様にして得たフェイスパウダーを専門パネルにて評
価した結果を表2に示す。
(評価基準は比較品2を3として、実施例6に示した基
準によった) 本発明品は、比較品と比べ、のびに優れ、なじみ・透明
感にも優れたフェイスパウターであった。
(実施例8)パウダーファンデーション 〈処方〉 (%) 実施例1のモノセチルリン酸亜鉛 20 ナトリウム塩 タルク バランス セリサイト 10 酸化チタン 1 ベンガラ 1.5 黒酸化鉄 0.2 黄酸化鉄 2.0 微粉末ワックス(プレスエイド) 10 香料 0.1 合計 100 〈製法〉 粉体成分を混合粉砕して、これをヘンシェルミキサーに
移し、香料を加えて均一になるように混合した。これを
金皿にプレス成型して製品を得た。この様にして得たフ
ァンデーションは、のび等の感触に優れ肌へのなじみに
も優れたものであった。
(実施例9)ルースタイプフェイスパウダー 〈処方〉 (%) 実施例1のモノセチルリン酸亜鉛 50 ナトリウム塩 タルク バランス ベンガラ 0.1 流動パラフィン 1 香料 0.1 合計 100 〈製法〉 粉体成分を混合粉砕して、これをヘンシェルミキサーに
移し、油剤と香料を加えて均一になる様に混合した後、
篩を通し、製品とした。
この様にして得たルースタイプフェイスパウダーは、の
びが良く、また従来のルースタイプフェイスパウダーに
みられた粉っぽさもなく、優れたものであった。
(実施例10)油性タイプフェイスパウダー 〈処方〉 (%) 実施例1のモノセチルリン酸亜鉛 20 ナトリウム塩 タルク バランス カオリン 5 酸化チタン 5 ベンガラ 1.0 黒酸化鉄 0.1 黄酸化鉄 0.6 スクワラン 25 パルミチン酸イソプロピル 15 セレシン 7 香料 0.1 合計 100 〈製法〉 粉体成分を混合粉砕し、これを別に加温して溶解した油
相成分に攪拌しながら添加し、均一になる様に混合し
た。これを金皿に充填、冷却し製品を得た。
(実施例11)クリーム状ファンデーション 〈処方〉 (%) 1.ステアリン酸 5 2.親油型モノステアリン酸グリセリン 2.5 3.セトステアリルアルコール 1 4.モノラウリン酸プロピレングリコール 3 5.スクワラン 7 6.オリーブ油 8 7.精製水 バランス 8.防腐剤 0.1 9.トリエタノールアミン 1.2 10.ソルビット 3 11.酸化チタン 5 12.実施例1のモノセチルリン 酸亜鉛ナトリウム塩 15 13.ベンガラ 1.0 14.黒酸化鉄 0.1 15.黄酸化鉄 0.616.香料 0.1 合計 100 〈製法〉 粉体成分(11〜15)を混合粉砕した。別に水相成分7〜
10を混合した溶液を調整し、粉砕した顔料を加えて分散
させた後、75℃に加熱した。油性成分1〜6を80℃に加
熱溶解したものを、先に調整した水相に攪拌しながら加
え、乳化した。これを攪拌しながら冷却して50℃で香料
を加え、攪拌しながら冷却した。
【図面の簡単な説明】
図1は実施例1で得られたモノセチルリン酸亜鉛ナトリ
ウム塩の結晶構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
図2は比較例1で得られたモノセチルリン酸亜鉛塩の結
晶構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。図3は実施
例1で得られたモノセチルリン酸亜鉛ナトリウム塩の赤
外吸収スペクトルを示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−229889(JP,A) 特開 昭63−99082(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中、Aはアルカリ金属を示し、Rは炭素数8〜32の
    飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す) で表わされるモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩。
  2. 【請求項2】板状結晶粒子を主成分とするものである請
    求項1記載のモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩。
  3. 【請求項3】板状結晶粒子が、走査型電子顕微鏡による
    観察で、 (i)板状方向の一辺の長さ(板径)が1〜50μであ
    り、 (ii)板径/厚さ(板状比)が2以上であり、かつ (iii)最長径/最短径(板径比)が10以下である という条件を具備するものであり、当該板状結晶粒子を
    数にて粒子全体の60%以上含有するものである請求項2
    記載のモノアルキルリン酸亜鉛アルカリ金属塩。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3記載のモノアルキルリ
    ン酸亜鉛アルカリ金属塩を含有することを特徴とする化
    粧料。
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