JPH073683A - 製紙用化学パルプの脱リグニン漂白方法 - Google Patents

製紙用化学パルプの脱リグニン漂白方法

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JPH073683A
JPH073683A JP5145021A JP14502193A JPH073683A JP H073683 A JPH073683 A JP H073683A JP 5145021 A JP5145021 A JP 5145021A JP 14502193 A JP14502193 A JP 14502193A JP H073683 A JPH073683 A JP H073683A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製紙用化学パルプの脱リグニン漂白におい
て、パルプの劣化を伴うことなく脱リグニンおよび高白
色度化を進める。 【構成】 蒸解処理された製紙用化学パルプに対して、
高温・高圧酸素漂白処理を行い、次いで酸処理またはキ
レート剤処理と組み合わせたキシラナーゼ酵素処理を行
った後、アルカリ性媒体中で過酸化物、または過酸化物
と酸素により脱リグニン・漂白を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製紙用化学パルプの処理
に関し、さらに詳しくは、化学パルプの脱リグニン・漂
白処理における改良に関する。
【0002】
【従来の技術】製紙用化学パルプの漂白は多段にわたる
漂白処理により実施されている。従来より、この多段漂
白には漂白剤として塩素系漂白薬品が使用されている。
具体的には、塩素(C)、次亜塩素酸塩(H)、二酸化塩素
(D)の組合せにより、たとえば、C-E-H-D、C/D-
E-H-E-D(C/Dは塩素と二酸化塩素の併用漂白段、
Eはアルカリ抽出段を表す)などのシーケンスによる漂
白が行われてきた。
【0003】しかし、これらの塩素系漂白薬品は漂白時
に環境に有害な有機塩素化合物を副生し、この有機塩素
化合物を含む漂白排水の環境汚染が問題になっている。
有機塩素化合物は一般にAOX法、たとえば米国環境庁
法(EPA METHOD-9020号)によって分析、評
価される。
【0004】有機塩素化合物の副生を低減・防止するに
は、塩素系薬品の使用量を低減するか、ないしは使用し
ないことが最も効果的である。塩素系漂白薬品の使用量
を低減させる方法としては、蒸解処理後の初段にアルカ
リ性媒体中で高温加圧下で酸素を作用させる酸素漂白法
が開発され、現在広く普及するに至っている。この酸素
漂白法によれば、蒸解後に残存するリグニンの40〜5
0%が除去されるので後段の漂白薬品の使用量を下げる
ことが可能になるのみならず、酸素漂白工程の廃液を蒸
解工程に循環することができるので薬品とエネルギーを
回収することができ、また、排水処理の負荷を軽減する
ことができる。
【0005】しかしながら、この酸素漂白法の導入によ
っても高白色度を得るためには、後段でなおかなり多量
の塩素系漂白薬品の使用を必要とし、その結果、相当量
の有機塩素化合物を副生することが避けられない。
【0006】酸素漂白法の改良として、蒸解後のパルプ
を酸素と過酸化物を用いて漂白処理する方法が特開昭6
2−53497号公報および特開平3−14687号公
報に開示されている。しかし、本発明者らが検討したと
ころ、脱リグニンあるいは高白色度化は充分でなく、ま
だかなりの量の塩素系漂白薬品を使用せざるをえない。
【0007】さらに、特公平2−15671号公報にお
いては、酸素と過酸化物および環状ケト化合物および/
または環状アミノ化合物の系によりパルプの劣化を伴わ
ないで高白色度化が可能とされているが、この方法は高
価な環状ケト化合物および/または環状アミノ化合物の
回収・再使用が困難であるので、薬品コストがかなり高
くなり、経済的に不利である。
【0008】また、蒸解処理後の化学パルプを酸処理し
てから過酸化水素漂白(Ep)する方法として、特開昭5
1−102103号公報、特開昭56−85489号公
報および特公平2−17679号公報が提案されてお
り、これらには、酸処理した後、酸素を加えることなく
100℃以下にて過酸化水素漂白を行うことにより脱リ
グニンが増大することが記載されている。しかしなが
ら、本発明者らが検討した結果、これらの方法はいずれ
も脱リグニンと高白色度化の点で必ずしも充分な効果は
得られない。
【0009】また、特開平2−264087号公報にお
いて、酸素漂白後キシラナーゼ酵素処理を行い、次いで
塩素処理、二酸化塩素処理、次亜塩素酸塩処理、アルカ
リ性媒体中での過酸化物処理、オゾン処理、二酸化窒素
処理を行う方法が提案されている。しかしながら、この
方法はキシラナーゼ酵素処理後は塩素処理または二酸化
塩素処理を行う事を主目的とし、キシラナーゼ酵素処理
による塩素低減ないし消去を図った方法である。公報内
容では、キシラナーゼ酵素処理後アルカリ性媒体中での
過酸化物処理を行える内容となっているが、本発明者ら
が検討した結果、公報内容でのキシラナーゼ酵素処理後
アルカリ性媒体中での過酸化物処理は、過酸化物処理そ
のものには充分な効果が得られない。
【0010】また、特開平3−27191号公報におい
て、酸素漂白後キレート剤処理を行い、次いでアルカリ
性媒体中で過酸化水素または過酸化水素と酸素により脱
リグニン・漂白を行う方法が提案されている。この方法
は酸素漂白後再度過酸化水素または過酸化水素と酸素に
より脱リグニン・漂白を行う方法であることから、上記
一連の脱リグニン・漂白方法より効果的であるが、効果
の面で十分でない。
【0011】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製
紙用化学パルプの脱リグニン・漂白において、パルプの
劣化を伴うことなく脱リグニンおよび高白色度化を進
め、後段漂白の負荷を軽減させるための経済的な手段を
提供することである。そして、それによって後段での塩
素系漂白薬品の使用量を低減させ、有機塩素化合物の副
生を抑え、漂白排水による環境汚染を防止することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、経済的に
パルプを脱リグニン・漂白する方法に取り組み、先に特
開平3−64589号公報において、蒸解処理されたパ
ルプについて酸処理後、50〜90℃、大気圧〜3Kg
/cm2にて過酸化物を併用する酸素漂白法を発表し
た。本発明者らは、さらに研究を進め、一般に実施され
ている漂白設備の大幅な変更を必要としないで高白色度
・高品質のパルプが得られ、かつ、塩素系漂白薬品使用
量を大幅に削減できる方法について鋭意検討した結果、
蒸解後のパルプについて、通常の高温・高圧酸素漂白処
理を行い、次いでキレート剤併用キシラナーゼ酵素処
理、またはキシラナーゼ酵素処理を行いその後同系に酸
を添加し継続酸処理を行った後、過酸化物、または過酸
化物と酸素により漂白を行うことにより、きわめて効果
的に脱リグニンおよび高白色度化されたパルプが得られ
ることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】すなわち、本発明は、蒸解処理された化学
パルプに対して、高温・高圧酸素漂白処理を行い、次い
でキシラナーゼ酵素処理を行った後、アルカリ性媒体中
で過酸化物、または過酸化物と酸素により脱リグニン・
漂白を行うことを特徴とする製紙用化学パルプの漂白方
法に関する。本発明は、製紙用化学パルプの漂白処理に
適し、特に広葉樹および針葉樹由来のクラフトパルプの
脱リグニンおよび漂白処理に適する。
【0014】本発明においては、蒸解処理した化学パル
プに対し、まず、通常の高温・高圧酸素漂白処理(以下、
この高温・高圧酸素漂白をOまたはO段と称することが
ある)を行う。O段処理におけるパルプ濃度、温度、時
間、アルカリ量、酸素量、操作圧力は、一般的に行われ
ている条件に準じて行う。たとえば、パルプ濃度は7〜
30%好ましくは10〜20%、温度は60〜130℃
好ましくは90〜110℃、処理時間は20〜150分
好ましくは30〜90分、アルカリ量はNaOH換算で
絶乾パルプ当り 0.5〜6.0%好ましくは1.0〜3.
0%、酸素量は絶乾パルプ当り0.5〜5.0%、操作圧
は2.5〜10Kg/cm2、好ましくは3.5〜8Kg
/cm2で実施される。
【0015】O段処理後のパルプは、洗浄・脱水を行
い、次いでキレート剤(K)併用キシラナーゼ酵素(Q)液
による処理(以下この処理をK+QまたはK+Q段と称
することがある)、またはキシラナーゼ処理を行いその
後同系に酸添加を行い酸溶液による継続酸処理(以下、
この処理をQ→AまたはQ→A段と称することがある)
を行う。
【0016】本発明のK+Qは、パルプの状態にもよる
が、たとえばパルプ濃度1〜30%、好ましくは2〜1
5%、温度20〜95℃、好ましくは40〜80℃で、
処理時間は15分〜400分、好ましくは30〜200
分、処理pHは3〜9、好ましくは4〜8で実施され
る。
【0017】使用されるキレート剤は、アミノカルボキ
シレート系キレート剤及び化2で表されるアミノアルキ
ルリン酸系キレート剤からなる群から選ばれた少なくと
も1種のキレート剤である。具体的には、アミノカルボ
キシレート系キレート剤として、エチレンジアミン四酢
酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTP
A)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン−N,
N’,N”−トリ酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢
酸(NTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyD
TA)等お及びその塩、アミノアルキルリン酸系キレー
ト剤として、アミノトリメチレンホスホン酸(ATM
P)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(E
DTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホス
ホン酸(DTPMP)、プロピレンジアミンテトラメチ
レンホスホン酸(PDTMP)、ジプロピレントリアミ
ンペンタメチレンホスホン酸(DPTPMP)等及びそ
の塩が挙げられ、それらを少なくとも一種以上使用す
る。キレート剤の使用量はパルプおよび用水中に含まれ
る重金属量によって異なるが、絶乾パルプ当り0.01
〜5.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%であ
る。
【化2】 (X23PCH2)2・N・{(CH2)m・N・CH2PO32n
・ CH2PO32 [式中Xは水素、アンモニウム、またはアルカリ金属を
示し、mは2〜3の整数、nは0〜3の整数を示す。]
【0018】使用されるキシラナーゼは、市販のキシラ
ナーゼ製品をそのまま使用でき、その活性濃度はパルプ
1gに対し0.5〜100IU、好ましくは2.5〜50
IUの範囲で使用される。たとえば、活性濃度5000
IU/gの市販キシラナーゼであれば、対パルプ0.0
1〜2.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%を
使用する。
【0019】キシラナーゼ処理後のパルプは、脱水機に
よりキシラナーゼ溶液から分離され、次いで好ましくは
洗浄を受ける。本発明のキシラナーゼ処理にはこの脱
水、洗浄工程も含まれる。分離されたキシラナーゼ溶液
は、同処理工程への再使用および/または蒸解工程後及
びO段処理後のパルプの洗浄に使用でき、場合によって
は蒸解工程にリサイクルすることができる。
【0020】K+Q処理は、キレート剤を行いその後キ
シラナーゼ酵素処理(K→Q)、もしくはキシラナーゼ
酵素処理を行いその後キレート剤処理(Q→K)を行っ
てもよい。またキレート剤処理とキシラナーゼ酵素処理
の間に洗浄操作を入れてもよい。処理条件は、それぞれ
K+Q段と同じ処理条件でおこなう。尚K+Q処理とK
→Q、Q→K処理の効果はほぼ同等で、工程および時間
短縮の観点からは、K+Qが好ましい。
【0021】本発明のQ→A処理は、パルプの状態にも
よるが、たとえばパルプ濃度1〜30%、好ましくは2
〜15%、最も好ましくは3〜10%、温度30〜95
℃、好ましくは40〜80℃で行われる。処理時間はキ
シラナーゼ酵素処理では、15分〜400分、好ましく
は30〜200分、後続の酸処理は5〜120分、好ま
しくは15〜60分で実施される。pHはキシラナーゼ
酵素処理では、pH3〜9、好ましくは4〜8で行わ
れ、後続の酸処理はキシラナーゼ酵素処理後同系に酸を
添加し、pH1〜5、好ましくはpH1.5〜3で行わ
れる。
【0022】Q→A処理後のパルプは脱水機により酸溶
液から分離され、次いで好ましくは洗浄を受ける。本発
明のQ→A処理にはこの脱水、洗浄工程も含まれる。分
離された酸溶液は、酸処理工程への再使用および/また
は蒸解工程後及びO処理後のパルプの洗浄に使用でき、
場合によっては蒸解工程にリサイクルすることができ
る。
【0023】使用されるキシラナーゼは、市販のキシラ
ナーゼ製品をそのまま使用でき、その活性濃度はパルプ
1gに対し0.5〜100IU、好ましくは2.5〜50
IUの範囲で使用される。たとえば、活性濃度5000
IU/gの市販キシラナーゼであれば、対パルプ0.0
1〜2.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%を
使用する。
【0024】pH1〜5にするために使用される酸は無
機酸、有機酸のいずれでもよいが、特に無機酸が好適
で、硫酸、硝酸、亜硫酸、亜硝酸、およびこれらの酸の
混合物が使用される。なかでも硫酸および亜硫酸は、安
価に入手できるのみならず、腐食性が低いので、好適に
使用できる。特にクラフト蒸解が行われている場合は、
酸処理後の当該酸溶液をクラフト蒸解における薬品の補
充として利用できるという利便を生じる。
【0025】Q→A処理は、キシラナーゼ酵素処理後洗
浄しその後酸処理を行ってもよい。また酸処理を行いそ
の後洗浄、更には中和し次いでキシラナーゼ酵素処理
(A→Q)を行ってもよい。処理条件は、それぞれQ→
A段を逆にした同処理条件でおこなう。尚Q→A処理と
A→Q処理の効果はほぼ同等で工程・時間短縮の観点か
らは、Q→Aが好ましい。
【0026】K+Q段後またはQ→A段後のパルプは、
続いて過酸化物、または過酸化物と低圧酸素による脱リ
グニン・漂白工程に供せられる(以下、この過酸化物漂
白工程をEpまたはEp段、過酸化物併用低圧酸素漂白
工程をEopまたはEop段と称することがある)。こ
の処理において、パルプはアルカリ性媒体中、過酸化
物、または過酸化物と低圧酸素による脱リグニン・漂白
作用を受ける。過酸化物と低圧酸素併用の場合において
は事実上、パルプに同時に両者は作用する。
【0027】Ep段、またはEop段でのアルカリ剤と
しては、苛性ソーダ、苛性カリ、石灰、ソーダ灰などが
使用できる。中でも苛性ソーダは安価であるとともに、
蒸解工程へリサイクルすることにより蒸解工程での薬品
の補充量を軽減できるので、好適に使用できる。アルカ
リ剤の使用量は、NaOH換算で絶乾パルプ当り0.1
〜6.0重量%が好ましく、0.5〜3.0重量%がさら
に好ましい。アルカリ剤の使用量がこれより少ないと脱
リグニン・漂白効果が低くなり、これより多いとパルプ
の粘度が顕著に低下する。
【0028】Eop段での酸素としては、酸素ガスおよ
び空気が使用できるが、酸素ガスが好ましい。酸素の使
用量は、絶乾パルプ当り0.1〜2.0重量%、好ましく
は、0.2〜1.0重量%であり、またEop段の処理操
作圧力は大気圧〜3.5Kg/cm2が好ましい。過酸化
物としては、過酸化水素、過酸化水素と無機塩類との付
加物、過酸化ソーダ、過ギ酸、過酢酸などの無機および
有機の過酸化物が使用でき、一般には過酸化水素が好適
に使用される。過酸化物の使用量は、100%過酸化水
素換算で絶乾パルプ当り0.05〜8.0重量%が好まし
く、0.2〜3.0重量%がさらに好ましい。過酸化物の
使用量がこれより少ないと脱リグニン・漂白効果が低
く,これより多いと過酸化物の効率が低下する。
【0029】本発明のEp段、Eop段におけるパルプ
への薬品の添加順序は、アルカリ剤、酸素の順が好まし
く、過酸化物の添加はアルカリ剤の添加後で酸素添加の
直前、同時、直後において行われるのが好ましい。
【0030】本発明のEp段、Eop段のパルプ濃度は
7〜30%が好ましく、10〜20%がさらに好まし
い。温度は40〜120℃が好ましく、70〜95℃が
さらに好ましい。処理時間は15〜150分が好まし
く、30〜120分がさらに好ましい。
【0031】さらに、本発明者らは予想外なことに、Q
→A段の酸処理において硫酸と亜硫酸の混合液を使用し
て酸前処理したパルプが、後続の過酸化物を併用した低
圧酸素漂白によりきわめて効果的に脱リグニン・漂白さ
れることを見い出した。この場合、硫酸と亜硫酸の混合
液中の両者の比率は、亜硫酸/硫酸(重量比)で0.0
1〜2が好ましく、0.02〜1がさらに好ましく、0.
05〜0.5が最も好ましい。酸処理における液のpH
およびその他の処理条件、および、処理後の酸溶液の操
作方法などは前記の酸処理条件と同様である。
【0032】さらに、Ep段、およびEop段におい
て、マグネシウム化合物を使用するのが好ましい。。マ
グネシウム化合物の使用により過酸化物の脱リグニン漂
白作用が増大し、かつパルプの粘度低下が軽減される。
マグネシウム化合物としては、硫酸マグネシウム、水酸
化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウ
ム、硝酸マグネシウムなどが使用できるが、一般には硫
酸マグネシウムが使用される。マグネシウム化合物の使
用量は、マグネシウムイオン量換算で絶乾パルプ当り
0.005〜0.75重量%が好ましく、0.01〜0.3
重量%がさらに好ましい。マグネシウム化合物の添加
は、アルカリ剤、酸素および過酸化物の添加より以前に
おいてなされることが好ましい。即ち、パルプスラリ−
が中性から弱酸性域状態にある時に、マグネシウム化合
物を添加することがマグネシウム化合物の均一分散性の
面で好ましい。
【0033】本発明のO−(K+Q)−Ep(またはE
op)、O−(Q→A)−Ep(またはEop)によっ
て得られる漂白パルプはそのままでもかなりの高白色度
を有するが、さらに継続して多段の漂白工程を付加した
フル漂白により、一層の高白色度を有するパルプを得る
ことができる。その場合、Ep段、Eop段ですでに高
度の脱リグニンが達成されており、かつ、高白色度状態
にあるため、後続漂白として、塩素および次亜塩素酸塩
をほとんどまたは全く使用しない漂白が可能である。
【0034】例えば、O−(K+Q)−Ep(またはE
op)、O−(Q→A)−Ep(またはEop)工程
後、二酸化塩素漂白(D)、次いで過酸化物漂白(P)
を行うO−(K+Q)−Ep(またはEop)−D−
P、O−(Q→A)−Ep(またはEop)−D−P等
の、塩素および次亜塩素酸塩を使用しないフル漂白シ−
ケンスが可能である。これらのフル漂白シ−ケンスで
は、現行の代表的なフル漂白シ−ケンスである、O−C
/D−Eo(E段に低圧酸素併用)−H−Dと同等以上の
高粘度・高白色度のパルプ製品を得ることができ、ま
た、塩素および次亜塩素酸塩を使用しないことから、現
行法に比しAOX生成量の著しく少ない漂白ができる。
【0035】本発明における二酸化塩素漂白(D)段の
条件は、通常のD段条件で行われる。例えば、パルプ濃
度7〜30%,温度40〜90℃,時間1〜4Hr、パ
ルプ当たり二酸化塩素使用量0.1〜2.0重量%の範囲
で行われる。
【0036】後続の過酸化物漂白(P)段は、通常の過
酸化物漂白条件で行われる。すなわち、アルカリ性媒体
中過酸化物により、パルプ濃度7〜30%、温度40〜
100℃、時間1〜4Hrの範囲で行われる。アルカリ
剤としては、苛性ソーダ、苛性カリ、石灰、ソーダ灰な
どが挙げられるが、一般的には苛性ソーダが使用され
る。アルカリ剤の使用量はパルプ当たり苛性ソーダとし
て0.1〜2重量%の範囲で行われる。また、過酸化物
としては、過酸化水素、過酸化水素と無機塩類との付加
物、過酸化ソーダ、過ギ酸、過酢酸などの無機および有
機の過酸化物が挙げられるが、一般には過酸化水素が使
用され、過酸化物の使用量は、100%過酸化水素換算
で絶乾パルプ当り0.1〜3.0重量%の範囲で行われ
る。
【0037】本発明の特徴は、O−(K+Q)−Ep(ま
たはEop)、O−(Q→A)−Ep(またはEop)プ
ロセスで効果的な脱リグニン漂白を行うことにあるが、
その場合キシラナーゼ酵素処理(Q処理)を含む(K+
Q)及び(Q→A)の作用は、次のように考えられる。
【0038】すなわち、Q処理そのものは、かなりの脱
リグニン作用があるが、次いで過酸化物処理を行った場
合(Q−Ep(またはEop))、Q処理だけでは後段
の過酸化物の効果がかなり悪く、効果的なEp(または
Eop)処理を行うことができない。ここでQ処理にキ
レート剤処理(K処理)または酸処理(A処理)を組み
合わせ次いで過酸化物処理を行うと((K+Q)−Ep
(またはEop)、(Q→A)−Ep(またはEo
p))、過酸化物の作用効果が著しく向上し、効果的な
脱リグニン漂白が行えるようになる。
【0039】まず、本発明の(K+Q)作用は、過酸化物
の分解活性を有する重金属をキレート剤でパルプから除
去しながら、キシラナーゼである程度の脱リグニンをす
ることにある。すなわち、(K+Q)処理後のパルプにお
いては、重金属がかなり少ない存在状態となるために過
酸化物の無駄な分解が減少し、漂白に関与する過酸化物
の量が保持され、また酵素により脱リグニンが進行して
いることから、過酸化物及び酸素が効果的に反応しやす
い状態となる。その効果によって過酸化物及び酸素がパ
ルプに有効に働き、脱リグニンおよび高白色度化が効率
的に進行し、高品質のパルプが得られるのものと考えら
れる。
【0040】次に、本発明の(Q→A)の作用は、(K+
Q)処理と同様、過酸化物の分解活性を有する重金属の
パルプからの除去、脱リグニンの進行、更にリグニンの
易分解性化にあると考えられる。すなわち、まずQ処理
により脱リグニンが行われ、次いでA処理により重金属
がほとんど存在しない状態となるために後段の過酸化物
の無駄な分解が減少し、漂白に関与する過酸化物の量が
保持される。また酸処理それ自体においては脱リグニン
の進行が認められないにもかかわらず、酸処理後の過酸
化物漂白および過酸化物併用酸素漂白において脱リグニ
ンおよび漂白が一層進行するという作用を示す。脱リグ
ニン・漂白作用は過酸化物併用酸素漂白においてより顕
著になる。以上のことは、酸処理がリグニンに対し酸
素、過酸化物による分解作用を受け易いように変化させ
るという作用を持ち合わせていることを示している。
(Q→A)処理のこれらの効果によって、脱リグニンおよ
び高白色度化が効率的に進行し、高品質のパルプが得ら
れるものと考えられる。
【0041】本発明のO−(K+Q)−Ep(またはEo
p)、O−(Q→A)−Ep(またはEop)を実施する
に当たっては,現在普及している高温高圧酸素漂白
(O)設備および低圧中温酸素漂白(Eo)設備にキレ
ート剤、キシラナーゼ酵素またはキシラナーゼ酵素、酸
の供給ラインと(K+Q)槽(または塔)または(Q→A)
処理槽(または塔)、過酸化物、その他助剤の供給ライン
および脱水・洗浄設備という慣用設備の付設で済み、大
きな設備変更を必要としない。これら付設設備の材質
は、化学プラントにおいて一般的に使用されている材
質、たとえばSUS316またはSUS316Lが好適
に使用される。従って、大きな設備投資を必要としない
で実施することができる。
【0042】また、本発明のO−(K+Q)−Ep(また
はEop)−D−P、O−(Q→A)−Ep(またはEo
p)−D−P等のフル漂白を実施するに当たっても、後
段のD、Pは、現行のD段漂白装置、EまたはP段装置
をそのまま使用して実施でき、設備投資を全く必要とし
ないで実施することができる。
【0043】
【実施例】次に実施例により本発明を具体的に説明す
る。各薬品の使用量は絶乾パルプ当りの重量%で示し、
22の使用量は、100%H22換算である。使用し
たパルプは、クラフト蒸解後のL材未晒パルプで、それ
ぞれの実施例に対し下記のA、B、Cの3種のパルプを
使用した。また、分析評価は下記の方法によった。
【0044】◎パルプ種 *A;ハンタ−白色度32.7%,
Kappa価17.6,粘度36.1cp 実施例1〜4,比較例1〜6で使用 *B;ハンタ−白色度34.2%,Kappa価15.4,粘度3
3.4cp 実施例5〜7,比較例7〜8で使用 *C;ハンタ−白色度27.5%,Kappa価20.9,粘度3
8.5cp 実施例8〜11,比較例9で使用 ◎分析評価 *白色度:JIS−P8123 (ハンター白色度法) *Kappa価 :TAPPI−標準法T236 *粘度 :J.TAPPI No.44法 *AOX:EPA METHOD 9020法、三菱化
成(株)TSX−10型使用
【0045】実施例1 クラフト蒸解後のL材未晒パルプAについて、下記条件
に従ってO−(K+Q)→Eopによる脱リグニン漂白を
行った。[O−(K+Q)−Eop] O(酸素漂白) (1)パルプ濃度 10.5%、温度 106℃、時間 60分、Na
OH 1.55%、O2 2.0%、反応圧 初期 7kg/cm2→終期
4kg/cm2 (2)反応終了後、脱圧し冷水にてパルプ濃度2.5%に希釈
し、次いで20%に脱水した。この操作を2回繰り返し、
次段(K+Q)処理に移行。
【0046】K+Q(キレート剤併用キシラナーゼ処
理) (1)パルプ濃度 5.0%、温度 55℃、時間 90分、硫酸でP
H5.5に調整 DTPA 0.2%、活性濃度5000IU/gの市販キシラナ-セ゛酵
素 0.25 % (2)処理終了後、水にてパルプ濃度2.5%に希釈した後、
濃度20%強に脱水。次いで、次段Eop段に移行。
【0047】Eop(過酸化物併用酸素漂白) (1)パルプ濃度 10.5%、温度 90℃、時間 90分、MgS
4 0.25%、NaOH 1.55%、H22 0.5 %、O2 0.
5%、反応圧 初期 2kg/cm2→終期 0kg/cm2、MgSO4
はNaOH添加前に添加。 (2)反応終了後、冷水にてパルプ濃度2.5%に希釈し、次
いで20%に脱水して漂白操作終了。
【0048】実施例2 実施例1のEop段において酸素(O2)を併用しない他
は、実施例1と同様な漂白を行った。[O−(K+Q)−
Ep]
【0049】実施例3 (K+Q)処理の代わりに下記(Q→A)処理を行った他は
実施例1と同様なO、Eop漂白を行った。[O−(Q
→A)−Eop] (Q→A)処理 (1)Q処理 パルプ濃度 5.0%、温度 55℃、時間 90分、硫酸でPH5.
5 、活性濃度5000IU/gの市販キシラナ-セ゛酵素 0.25 % (2)A処理 Q処理後同系に硫酸を添加し、PH2.0に調整、PH2.0に調
整後、温度50〜55℃で30分間処理 (3)処理終了後、水にてパルプ濃度2.5%に希釈した後、
濃度20%強に脱水。次いでNaOH水溶液で中和し、次
段Eop段に移行。(酸処理後中和しない場合は、Eo
p段で中和相当分のアルカリ量を余分に使用すれば、E
op段の脱リグニン漂白効果は同じである。)
【0050】実施例4 実施例3のEop段において酸素(O2)を併用しない他
は、実施例3と同様な漂白を行った。[O−(Q→A)−
Ep]
【0051】比較例1 (K+Q)処理の代わりに中性の水処理を行った他は実施
例1と同様なO、Eop漂白を行った。[O−水処理−
Eop]
【0052】比較例2 (K+Q)処理の代わりに中性の水処理を行った他は実施
例2と同様なO、Ep漂白を行った。[O−水処理−E
p]
【0053】比較例3 (K+Q)処理の代わりに、キレート剤DTPAを除いた
キシラナーゼ酵素だけの処理を行った他は実施例1と同
様なO、Eop漂白を行った。[O−Q処理−Eop]
【0054】比較例4 (K+Q)処理の代わりに、キレート剤DTPAを除いた
キシラナーゼ酵素だけの処理を行った他は実施例2と同
様なO、Ep漂白を行った。[O−Q処理−Ep]
【0055】比較例5 Eopにおいて、H22を併用しないで、O2のみを使
用する他は実施例1と同様な漂白を行った。[O−(K
+Q)処理−Eo]
【0056】比較例6 Eopにおいて、H22を併用しないで、O2のみを使
用する他は実施例3と同様な漂白を行った。[O−(Q
→A)処理−Eo] 実施例1〜4、比較例1〜6の結果を表1に示す。
【0057】
【表1】 ハンタ-白色度 Kappa価 粘度(cP) 実施例1 63.2 6.1 24.2 実施例2 60.2 6.4 25.7 実施例3 67.4 5.7 24.0 実施例4 64.2 6.1 25.0 比較例1 55.0 9.4 24.5 比較例2 53.4 9.8 25.6 比較例3 56.0 6.6 24.5 比較例4 54.6 6.8 25.8 比較例5 58.0 6.6 25.0 比較例6 58.2 6.2 25.8 (対照:未晒パルプ) 32.7 17.6 36.1 実施例5 クラフト蒸解後のL材未晒パルプBについて、下記条件
に従ってO−(Q→K)−Eopによる脱リグニン漂白を
行った。[O−(Q→K)−Eop] O(酸素漂白) (1)パルプ濃度 10.5%、温度 106℃、時間 60分、Na
OH 1.55%、O2 2.0%、反応圧 初期 7kg/cm2→終期
4kg/cm2 (2)反応終了後、脱圧し冷水にてパルプ濃度2.5%に希釈
し、次いで20%に脱水した。この操作を2回繰り返し、
次段(Q→K)処理に移行。
【0058】(Q→K)処理 (1) Q処理 パルプ濃度 5.0%、温度 55℃、時間 90分、硫酸でPH5.
5 活性濃度5000IU/gの市販キシラナ-セ゛酵素 0.1% (2) K処理 Q処理後同系にキレート剤EDTA0.35%を添加し、PH
5.5に調整 その後、温度50〜55℃で30分間処理 (3)処理終了後、水にてパルプ濃度2.5%に希釈した後、
濃度20%強に脱水。次いで、次段Eop段に移行。
【0059】Eop(過酸化物併用酸素漂白) (1)パルプ濃度 10.5%、温度 90℃、時間 90分、MgS
4 0.4 %、NaOH 1.9%、H22 1.0 %、O2 0.5
%、反応圧 初期 2kg/cm2→終期 0kg/cm2 (2)反応終了後、冷水にてパルプ濃度2.5%に希釈し、次
いで20%に脱水して漂白操作終了。
【0060】実施例6 (Q→K)処理の代わりに下記(A→Q)処理を行った他は
実施例5と同様なO、Eop漂白を行った。[O−(A
→Q)−Eop] (A→Q)処理 (1) A処理 パルプ濃度 5.0%、硫酸でPH2に調整、温度 55℃、時間
40分、処理終了後、水にてパルプ濃度2.5%に希釈した
後、濃度20%強に脱水。次いでNaOH水溶液で中和
し、Q処理に移行。 (2) Q処理 パルプ濃度 5.0%、温度 55℃、時間 90分、硫酸でPH5.
5 活性濃度5000IU/gの市販キシラナ-セ゛酵素 0.1% (3)処理終了後、水にてパルプ濃度2.5%に希釈した後、
濃度20%強に脱水。次いで、次段Eop段に移行。
【0061】実施例7 A処理において硫酸と亜硫酸の酸混合液(重量比=0.2)
を用い(A’)、55℃、40分のPH2酸処理を行った他は実
施例6と同様な漂白を行った。[O−(A’→Q)−Eo
p] 比較例7 Eop工程において、MgSO4を使用しない他は実施
例5と同様な漂白を行った。[O−(Q→K)−Eop:
Mgなし]
【0062】比較例8 Eop工程において、MgSO4を使用しない他は実施
例6と同様な漂白を行った。[O−(A→Q)−Eop:
Mgなし] 実施例5〜7、比較例7〜8の結果を表2に示す。
【0063】
【表2】 ハンタ-白色度 Kappa価 粘度(cP) 実施例5 70.0 5.9 24.1 実施例6 72.0 5.7 23.8 実施例7 73.5 5.5 23.0 比較例7 66.5 6.4 24.2 比較例8 67.8 6.4 23.5 (対照:未晒パルプ) 34.2 15.4 33.4
【0064】実施例8 クラフト蒸解後のL材未晒パルプCについて、下記条件
に従って、O−(K+Q)−Eopの脱リグニン漂白を行
い、その後得られたパルプについて二酸化塩素漂白
(D)、次いで過酸化水素漂白を行った。[O−(K+
Q)−Eop−D−P] O(酸素漂白) (1)パルプ濃度 10.5%、温度 106℃、時間 60分、Na
OH 1.55% O2 2.0%、反応圧 初期 7kg/cm2→終期 4kg/cm2 (2)反応終了後、脱圧し冷水にてパルプ濃度2.5%に希釈
し、次いで20%に脱水。この操作を2回繰り返し、次段
(K+Q)処理に移行。
【0065】(K+Q)処理 (1)パルプ濃度 5.0%、温度 55℃、時間 90分、硫酸でP
H5.5に調整 EDTMP 0.5%、活性濃度5000IU/gの市販キシラナー
ゼ酵素 0.5% (2)処理終了後、水にてパルプ濃度2.5%に希釈した後、
濃度20%強に脱水。次いで、次段Eop段に移行。
【0066】Eop(過酸化物併用酸素漂白) (1)パルプ濃度 10.5%、温度 90℃、時間 90分、MgS
4 0.6 %、NaOH 2.25%、H22 2.0 %、O2 0.
5%、反応圧 初期 2kg/cm2→終期 0kg/cm2 (2) 反応終了後、冷水にてパルプ濃度2.5%に希釈し、
次いで20%に脱水する操作を2回繰り返し、次段D漂白
に移行。
【0067】D(二酸化塩素漂白) (1)パルプ濃度 13%、温度 70℃、時間 120分、ClO2
0.55 % (2)反応終了後、冷水にてパルプ濃度2.5%に希釈し、次
いで20%に脱水。この操作を2回繰り返し、次段P漂白に
移行。
【0068】P(過酸化水素漂白) (1)パルプ濃度 15%、温度 70℃、時間 120分、NaO
H 0.25 %、H22 0.2 % (2)反応終了後、冷水にてパルプ濃度2.5%に希釈し、次
いで20%に脱水して漂白操作終了。
【0069】実施例9 実施例8の(K+Q)処理でのキレート剤EDTMPの代
わりにDTPMP-0.5%の使用、及びEop段において
酸素(O2)を併用しない他は、実施例8同様な漂白を行
った。[O−(K+Q)−Ep−D−P]
【0070】実施例10 (K+Q)処理の代わりに下記(Q→A)処理を行った他は
実施例8と同様な漂白を行った。[O−(Q→A)−Eo
p−D−P] (Q→A)処理 (1) Q処理 パルプ濃度 5.0%、温度 55℃、時間 90分、硫酸でPH5.
5 活性濃度5000IU/gの市販キシラナ-セ゛酵素 0.5% (2) A処理 Q処理後同系に硫酸を添加し、PH2.0に調整 PH2.0に調整後、温度50〜55℃で30分間処理 (3)処理終了後、水にてパルプ濃度2.5%に希釈した後、
濃度20%強に脱水。次いでNaOH水溶液で中和し、次
段Eop段に移行。
【0071】実施例11 実施例10のEop段において酸素(O2)を併用しない
他は、実施例10と同様な漂白を行った。[O−(Q→
A)−Ep−D−P]
【0072】比較例9 現行の漂白法として、クラフト蒸解後のL材未晒パルプ
Cについて、実施例8のO漂白を行い、その後一般に実
施されている条件に従って、C/D(Dによる有効塩素置
換率10%)−Eo−H−Dの後段漂白を行った。[O→C
/D→Eo→H→D] 実施例8〜11、比較例9の結果を表3に示す。また表
3には、漂白後D段およびP段の廃液を合わせて測定し
た、有機塩素化合物(AOX)量を示した。
【0073】
【表3】 ハンタ-白色度 粘度(cP) AOX(kg/pt) 実施例8 86.6 15.5 0.31 実施例9 85.5 15.8 0.36 実施例10 88.2 14.0 0.28 実施例11 87.0 14.3 0.32 比較例9 85.5 10.9 2.05 (対照:未晒パルプ) 27.5 38.5 −
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、粘度の大きな低下を伴
うことなく、著しく高い脱リグニンを行うことができ、
かつ、著しく高い白色度のパルプを得ることができる。
その結果、後段漂白において塩素系薬品の使用量を大幅
に低減できる。特に後続の漂白において塩素及び次亜塩
素酸塩を全く使用しない漂白も可能である。従って、有
機塩素化合物の副生を大幅に低減させることができ、漂
白排水の環境汚染性を大幅に下げることができる。ま
た、本発明法の実施に当たっては、現在普及している高
温・高圧酸素漂白設備、及び、中低圧酸素漂白設備など
をそのまま使用することができるので、大きな付加的設
備投資を必要としない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神田 正昭 東京都葛飾区新宿6丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸解処理された化学パルプに対して、高
    温・高圧酸素漂白処理を行い、次いで酸処理またはキレ
    ート剤処理と組み合わせたキシラナーゼ酵素処理を行っ
    た後、アルカリ性媒体中で過酸化物、または過酸化物と
    酸素により脱リグニン・漂白を行うことを特徴とする製
    紙用化学パルプの漂白方法。
  2. 【請求項2】 キシラナーゼ酵素処理において、キレー
    ト剤処理を行い次いでキシラナーゼ酵素処理を行うこと
    を特徴とする、請求項1記載の製紙用化学パルプの漂白
    方法。
  3. 【請求項3】 キシラナーゼ酵素処理において、キシラ
    ナーゼ酵素処理を行い次いでキレート剤処理を行うこと
    を特徴とする、請求項1記載の製紙用化学パルプの漂白
    方法。
  4. 【請求項4】 キシラナーゼ酵素処理において、キシラ
    ナーゼ酵素処理を行い次いで同系に酸を添加して酸処理
    を行うことを特徴とする、請求項1記載の製紙用化学パ
    ルプの漂白方法。
  5. 【請求項5】 キシラナーゼ酵素処理において、酸処理
    を行い、その後洗浄、更には中和を行った後キシラナー
    ゼ酵素処理を行うことを特徴とする、請求項1記載の製
    紙用化学パルプの漂白方法。
  6. 【請求項6】 キシラナーゼ酵素処理において、キレー
    ト剤を併用することを特徴とする請求項4、5記載の製
    紙用化学パルプの漂白方法。
  7. 【請求項7】 キレート剤が、アミノカルボキシレート
    系キレート剤および化1で表されるアミノアルキルリン
    酸系キレート剤からなる群から選ばれた少なくとも1種
    であることを特徴とする、請求項2、3、6記載の製紙
    用化学パルプの漂白方法。 【化1】 (X23PCH2)2・N・{(CH2)m・N・CH2PO32n
    ・ CH2PO32 [式中Xは水素、アンモニウム、またはアルカリ金属を
    示し、mは2〜3の整数、nは0〜3の整数を示す。]
  8. 【請求項8】 酸処理において、硫酸と亜硫酸の混合液
    により酸処理を行うことを特徴とする、請求項4、5記
    載の製紙用化学パルプの漂白方法。
  9. 【請求項9】 過酸化物、または過酸化物と酸素による
    脱リグニン・漂白工程において、マグネシウム化合物を
    使用することを特徴とする、請求項1〜6記載の製紙用
    化学パルプの漂白方法。
  10. 【請求項10】 過酸化物、または過酸化物と酸素によ
    る脱リグニン・漂白工程の後、二酸化塩素漂白、次いで
    過酸化物漂白を行うことにより、フル漂白を行うことを
    特徴とする、請求項1〜6、9記載の製紙用化学パルプ
    の漂白方法。
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