JPH0735445U - 転写器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 転写テープを送り出す巻出し部と転写層を転
写する圧着ブレードと転写層を転写した後の転写テープ
基材を巻取る巻取り部を設ける転写器において、転写テ
ープを常に安定した状態で搬送できるようにする。 【構成】 転写テープがリール状に巻かれた巻出し部コ
アの回転を巻取り部コアに伝達する駆動ギアから突出し
た支持軸に、巻出し部コアもしくは、巻取り部コアの内
壁に沿って弾性的に接するように板バネを設置し、どち
らか一方のコアと駆動ギアをスリップさせ、巻出し部コ
アと巻取り部コアの回転数差を補正し、各々のコアを相
対回転させることとする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、転写テープ上の転写層を紙面等の被転写物に圧着転写する為の転写 器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、離型性を有する紙やプラスチックフィルム等の基材上に修正剤や粘着剤 を塗布し、テープ状に加工し、紙等の被転写物に修正剤や粘着剤を圧着、転写す る転写器が商品化されている。

【０００３】 これらの中には、転写テープを巻出し部，圧着ブレードと搬送し、転写層を転 写した後の転写テープ基材を巻出し部より転写テープが引き出される力を利用し て、再度転写器内の巻取り部に収納される物とその機構がなく転写後の転写テー プ基材が、そのまま転写器外へ排出される物がある。

【０００４】 これら従来の転写器は、カセットケースを持ち、紙等の被転写物に押さえつけ ながら転写テープの搬送方向に移動させ、転写テープより転写層を被転写物に転 写させる。転写テープ基材を再び転写器内に巻取る構造のものは、巻出し部コア の回転とその回転を巻取り部に伝達する駆動ギアの回転との回転数差を補正する 為、巻出し部又は巻取り部のどちらか一方にスリップ機構を設け、巻出し部コア と巻取り部コアを相対回転させている。

【０００５】 上記スリップ機構には、樹脂製のクラッチアームとギアを用い、クラッチアー ムの弾性により、転写テープの搬送によって生じる所定のテンションまでギアと かみ合い、それ以上になるとクラッチアームがギアをとびこえスリップする機構 を備えたものがある。

【０００６】 又、巻出し部コアを転写テープの幅方向からカセットケースの本体とフタによ って、コイルバネ等の弾性体を介して狭み、コアとこの弾性体の摩擦力にて、巻 出し部コアの回転を駆動ギアに伝達し、転写テープの搬送によって生じる所定の テンション以上になると巻出し部コアと上記の弾性体の接触面でスリップする機 構を備えたもの等がある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

このように転写器の転写テープの搬送系において、巻出し部と巻取り部とを相 対回転させるべくスリップ機構を設ける必要があり、転写テープの安定した搬送 を得る為には、スリップ機構部に用いられている各部材の摩擦力を常に一定にす る必要がある。

【０００８】 ところが、前述のクラッチアームとギアを用いた機構の場合、所定のテンショ ン以上の負荷がかかるとギアよりクラッチアームがはずれその時点では、摩擦力 が極端に小さくなり、これが繰り返されるので、転写テープの搬送状態に均一性 を失うという欠点が生じる。

【０００９】 又、巻出し部コアをコイルバネ等の弾性体で転写テープの幅方向から狭む、機 構の場合、カセットケースの本体とフタとの嵌合の度合でスリップ機構部の摩擦 力に大小が生じる可能性が極めて高く、各部材の転写テープの幅方向の寸法のバ ラツキが集中するので、より摩擦力の変動を招く結果となり、かくして転写テー プの搬送状態が不安定になる。

【００１０】 転写テープが不安定な搬送状態にあると圧着ブレード付近でたるみが生じ、転 写層を所定の位置に転写でできなかったり、最後まで転写テープを巻き取らない といった不具合が生じてしまう。

【００１１】 その上に、樹脂のクラッチアームや、コイルバネ等の弾性体を利用したカセッ トケースの場合、スリップ機構部における摩擦力が温度により大きく変化し、転 写テープの搬送状態が温度により影響を受けることとなり、不安定になってしま うといった欠点もある。

【００１２】 本考案は、上記欠点を克服すべくなされたものであって、巻出し部コアと巻取 り部コアを相対回転させる為のスリップ機構を考慮し、転写テープの搬送をより 安定的に行えうる構造を備えてなる転写器である。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

これら課題を解決する為、本考案の転写器はカセットケースに転写テープの巻 出し部と転写層を圧着転写する圧着ブレードと、転写層が転写された後の転写テ ープ基材を巻取る巻取り部を有し、転写テープは巻出し部、圧着ブレード、巻取 り部の順に搬送され、巻出し部コアの回転は駆動ギアにより、巻取り部コアに伝 達される。

【００１４】 巻出し部コアの回転を伝達する駆動ギアから突出した支持軸に、駆動ギアと軸 を同じとする巻出し部コア又は巻出し部コアの内壁に沿うよう弾性的に接する板 バネを設置し、巻出し部コアの回転が一方のコアの内壁と、板バネの摩擦力によ って駆動ギアを介し他方を回転させる。転写テープの搬送中に所定以上の負荷が 掛かると、巻出し部コアもしくは、巻取り部コアと駆動ギアがコアの内壁と板バ ネの接触面でスリップし、これらコアの間の回転数差を補正し、各々のコアが相 対回転する。又、転写テープの搬送状態が温度による影響を低減する為、板バネ の材質は、ステンレスやリン青銅等の金属製を用いる事が望ましい。さらに、よ り安定な転写テープの搬送を得る為、板バネの形状としては、コア内壁に沿う長 さを出来るだけ大きく取れるような円形状またはＳ字状が望ましい。

【００１５】

【作用】

転写テープの巻出し部コアの回転を巻取り部コアに伝達るする駆動ギアの支持 軸に、巻出し部コアもしくは巻出し部コアの内壁に沿うように弾性的に接する板 バネを設置することによって、板バネの作用長さが長くなり、どちらか一方のコ アの内壁と板バネとの間の摩擦力が常に一定になり、転写テープの搬送中に所定 以上の負荷が掛かった場合、どちらか一方のコアと駆動ギアがスリップして巻出 し部コアと巻取り部コアの回転数差を補正し、各々のコアが相対回転し、転写テ ープは、常に安定な状態で搬送することが可能である。

【００１６】

【実施例】

以下、本考案を図に基づき説明する。図１は、本考案の１実施例の側面からの 断面図を示し、図２、３は巻出し部の拡大図である。

【００１７】 カセットケース２０に収納されている転写テープ１０は、転写層１１を外側に して回転可能な巻出し部コア２１にリール状に巻かれ、圧着ブレード２５を経て 巻取り部コア２２に巻き取られる。

【００１８】 転写層１１は圧着ブレード２５によって転写テープ１０より被転写物３０に圧 着、移動することにより転写される。転写層１１が転写された後の転写テープ基 材１２のみが巻出し部コア２１が回転することにより得られた駆動で回転する巻 取り部コア２２に巻き取られる。

【００１９】 転写層１１を転写する際、カセットケース２０を図１の右方向に移動させる。 その時、転写テープ１０が順次圧着ブレード２５の方に搬送され、巻出し部コア ２１が回転し、その回転が板バネ２３及び駆動ギア２４を介し、巻取り部コア２ ２に伝達される。円形状の板バネ２３は、転写テープ１０が送り出されるテンシ ョンにより巻出し部コア２１に掛かるところの回転トルクを巻出し部コア２１の 内壁との摩擦力として駆動ギア２４に伝達するように駆動ギア２４から突出した 支持軸に固定されている。

【００２０】 従って、転写テープ１０の搬送中に所定以上のテンションが掛かると巻出し部 コア２１の内壁と駆動ギア２４に固定された板バネ２３がスリップし、巻出し部 コア２１と巻取り部コア２２の回転数差が補正され、各々のコアが相対回転し転 写テープ１０が常に安定した状態で搬送される。

【００２１】

【考案の効果】

本考案により転写器の巻出し部コアとその回転を巻取り部コアに伝達する駆動 ギアがどちらか一方のコアの内壁と板バネによって常に一定の摩擦力で回転させ られるので、巻出し部コアと巻取り部コアの回転数差を補正し、常に安定した転 写テープの搬送を得ることができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の側面からの断面図

【図２】実施例の巻出し部の拡大図

【図３】実施例の巻出し部の断面図

【符号の説明】

１０ 転写テープ １１ 転写層 １２ 転写テープ基材 ２０ カセットケース ２１ 巻出し部コア ２２ 巻取り部コア ２３ 板バネ ２４ 駆動ギア ２５ 圧着ブレード ３０ 被転写物

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 転写テープを送り出す巻出し部と転写テ
   ープ上の転写層を圧着転写する圧着ブレードと転写層が
   転写された後の転写テープ基材を巻取る為の巻取り部を
   有し、転写テープは巻出し部、圧着ブレード、巻取り部
   の順に搬送される転写器において、巻出し部コアの回転
   を巻取り部コアに伝達する駆動ギアの支持軸に巻出し部
   コア又は、巻取り部コアの内壁に沿うように弾性的に接
   する板バネを設置し、巻出し部コア又は巻取り部コアの
   内壁と板バネとの摩擦力によって巻出し部コアと巻取り
   部コアを相対回転させる事を特徴とする転写器。