JPH0735406B2 - 複合重合体粒子の製造方法 - Google Patents

複合重合体粒子の製造方法

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JPH0735406B2
JPH0735406B2 JP61146174A JP14617486A JPH0735406B2 JP H0735406 B2 JPH0735406 B2 JP H0735406B2 JP 61146174 A JP61146174 A JP 61146174A JP 14617486 A JP14617486 A JP 14617486A JP H0735406 B2 JPH0735406 B2 JP H0735406B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は無機充填材を含有する複合粒子の新規な製造方
法に関する。
〔従来の技術および問題点〕
熱可塑性樹脂は、各種構造部材の軽量化を目的として多
くの産業分野において広く利用されているが、衝撃強度
が低いという欠点がある。そのため、かかる欠点を解決
する方法として、熱可塑性樹脂に合成ゴム等の衝撃改良
材を配合する方法が一般に行われている。
しかしながら、上記した方法は合成ゴムが粘着性により
凝集するため、熱可塑性樹脂への分散性が悪く、充分な
耐衝撃性が得られない。しかも、合成ゴムの添加により
熱可塑性樹脂の表面硬度が低下するという問題をも有す
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、かかる問題点を解決した衝撃改良材を開
発すべく研究を重ねた。その結果、ゴム弾性を有する特
定の重合体と特定の無機充填材とよりなる重合体粒子の
存在下に、単量体を水溶性開始剤を使用して乳化重合さ
せて該重合体粒子の表面に特定のガラス転移温度(以
下、Tgともいう)を有する重合体層を形成させる方法に
よって得られる複合重合体粒子が、熱可塑性樹脂への分
散性が極めて良好であり、高い衝撃改良効果を発揮する
と共に、熱可塑性樹脂の表面硬度の低下も効果的に防止
し得ることを見い出し、本発明を提案するに至った。
本発明は架橋性単量体単位を0.05〜5重量%の割合で含
み且つTgが0℃以下の重合体と炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素とよりな
る重合体粒子の存在下にTgが20℃以上の重合体を与える
単量体を水溶性開始剤により乳化重合することを特徴と
する複合重合体粒子の製造方法である。
本発明において、重合体粒子を構成する重合体は、架橋
性単量体単位を0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜4重
量%の割合で含んだ状態でTgが0℃以下、一般には−80
〜0℃、好ましくは−70〜0℃であることが、ゴム弾性
を発現し、得られる複合重合体粒子の衝撃性改良効果を
高める上で必要である。即ち、上記重合体のTgが0℃を
超えた場合には、該重合体の柔軟性が不足し、充分な衝
撃性改良効果を発揮することができない。また、架橋性
単量体単位の割合が0.05重量%より少ない場合には充分
な弾性を得ることができず、得られる複合重合体粒子を
衝撃改良材として使用することができない。また、上記
範囲よりも多い場合は、複合重合体粒子が硬質になり過
ぎ、衝撃改良作用を示さなくなる。
本発明において、架橋性単量体単位を含有した状態でガ
ラス転移温度が0℃以下となる重合体を与える単量体
(以下、低Tg単量体という)としては、公知のものが特
に制限されず使用し得るが、本発明に於いて好適に使用
される単量体を例示すると次のとおりである。
アクリル酸プロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル等の炭素数2以上のアルキル基を有
するアクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸デシ
ル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘ
キシル等のエステル結合部分に炭素数8以上のアルキル
基を有するメタクリル酸アルキルエステル類が挙げられ
る。また、上記の単量体に、ガラス転移温度が0℃より
高い重合体を与える単量体、例えばスチレン、アクリロ
ニトリル、メチルメタクリレート、α−メチルスチレ
ン、塩化ビニル等を、得られる共重合体のガラス転移温
度が0℃以下となる範囲で使用することができる。ま
た、前記した架橋性単量体単位は、架橋性単量体から導
かれるものである。該架橋性単量体としては、ビニル基
を2個以上有するものであれば公知の単量体が何ら制限
なく採用し得る。本発明に於いて好適に用いられる架橋
性単量体としては、例えば、エチレングリコールジメタ
クリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、
トリエチレングリコールジメタクリレート等のジメタク
リレート類;エチレングリコールジアクリレート、ジエ
チレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコ
ールジアクリレート等のジアクリレート類;ジビニルベ
ンゼン、アリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌ
レート等が挙げられる。好ましくは、親油性の大きい架
橋性単量体が採用される。本発明において好適に用いら
れる架橋性単量体単位は、上記の架橋性単量体から導か
れる架橋性単量体単位で、一般式で示すと次のように表
わされる。
〔但し、Rは水素原子又はメチル基であり、Xは−COO
(CH2CH2O)nOC−(但し、nは1以上の整数である。)
又は で示される基である。〕 上記の一般式中、nは得られる複合重合体粒子の衝撃改
良効果を勘案すると1〜10であることが好ましい。
他方、前記の重合体粒子を構成するもう一方の成分は無
機充填材であり、該無機充填材は重合体粒子中に包含さ
れて存在する。
本発明において、無機充填材としては、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム又は酸化ケイ
素(以下、これらを総称して「無機充填剤」ともいう)
が使用される。上記の無機充填剤を使用して得られた複
合重合体粒子は、熱可塑性樹脂に添加した場合、良好な
衝撃改良効果を示す。該無機充填材の粒子径は、得られ
る複合重合体粒子の熱可塑性樹脂への分散性を向上せし
め、衝撃改良効果を充分発揮させるためには平均粒子径
で10μm以下、さらに2μm以下であることが好まし
い。
重合体粒子を構成するTgが0℃以下の重合体と無機充填
材の割合は、得られる複合重合体粒子を衝撃改良材とし
て用いる場合には、Tgが0℃以下の重合体100重量部に
対して無機充填材が1〜400重量部の範囲であることが
好ましい。さらに好ましくは、5〜200重量部の範囲で
ある。
本発明において、重合体粒子の粒子径は特に制限されな
いが、得られる複合重合体粒子を衝撃改良剤として使用
する場合、熱可塑性樹脂への分散性を向上させるために
該重合体粒子の粒子径は小さい方が好ましく、一般に0.
01〜20μm、特に0.05〜2μmとすることが望ましい。
本発明において、重合体粒子は上述した構成を満足する
ものであれば如何なる方法で得られたものであってもよ
い。かかる重合体粒子の代表的な製造方法を例示すれ
ば、低Tg単量体と該単量体に対して0.05〜5重量%の割
合の架橋性単量体とを無機充填材の存在下に乳化重合ま
たは懸濁重合する方法が挙げられる。ここで、無機充填
材の使用量は、前述のとおり、低Tg単量体100重量部に
対して1〜400重量部であることが好ましい。
上記した乳化重合は低Tg単量体、架橋性単量体および無
機充填材を水媒体中に均一に分散させ、水溶性開始剤を
用いて実施される。水溶性開始剤は、水溶性であれば、
乳化重合に使用される公知のものが特に制限なく使用さ
れる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等
の過硫酸塩などが挙げられる。また、有機ヒドロパーオ
キサイド−ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレー
ト、有機ヒドロパーオキサイド−第一鉄塩等の水溶性の
レドックス開始剤が挙げられる。なお、上記有機ヒドロ
パーオキサイドはクメンヒドロパーオキサイド、t−ブ
チルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒ
ドロパーオキサイド等が好適である。また、重合条件は
通常の乳化重合における条件が特に制限なく採用され
る。例えば、温度は開始剤の種類および量によって適宜
決定すればよいが一般に30〜90℃、好ましくは40〜80℃
が適当である。
また、懸濁重合は低Tg単量体、架橋性単量体および無機
充填剤を水媒体中に均一に分散させ、油溶性開始剤を用
いて実施される。油溶性開始剤は、通常の懸濁重合に使
用される公知のものが特に制限なく使用される。上記の
油溶性開始剤として、例えばイソブチリルパーオキシ
ド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジミリ
スチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエ
チル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネ
オデカネート、t−ブチルパーオキシヒバレート、ラウ
ロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、アゾビ
スイソブチロニトリル等が挙げられる。また、重合条件
は通常の懸濁重合における条件が特に制限なく採用され
る。例えば、水媒体の使用量は低Tg単量体と無機充填材
との合計量100重量部に対して200〜2500重量部、好まし
くは250〜2000重量部が好ましい。また重合温度は開始
剤の種類および量によって適宜決定すればよいが、一般
に30〜90℃、好ましくは40〜80℃が適当である。
前記した乳化重合あるいは懸濁重合による重合体粒子の
製造において、無機充填材とガラス転移温度が0℃以下
となる重合体との均一な混合物を得、衝撃改良材として
好適な複合重合体粒子を得るため、低Tg単量体の粘度を
5〜50000センチポイズの範囲に調節することが好まし
い。該単量体の粘度を上記の範囲に調節する方法として
は、次のような方法が採用される。
低Tg単量体を予め部分重合してオリゴマーを生成さ
せ、粘度を上昇させる方法。
低Tg単量体中に、ガラス転移温度に影響を及ぼさな
い範囲で粘度調整のための重合体を溶解する方法。
低Tg単量体とガラス転移温度に影響を及ぼさない範
囲で高粘度の単量体を混合する方法。
上記の方法では、粘度は、ガラス転移温度が0℃以下と
なる重合体を与える単量体の重合時間、重合温度、開始
剤濃度及び単量体濃度に影響を受けるため、予め粘度と
これらの要因との関係を調べておくことが好ましい。ま
た、上記の方法で用いられる、粘度調整のための重合
体としては、ガラス転移温度が0℃以下であることが好
ましいが、ガラス転移温度が0℃を越えるものであって
も、得られる重合体のガラス転移温度が0℃以下となる
範囲で使用することができる。上記の粘度調整のための
重合体としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基を
有するアクリル酸エステル重合体、又はメタクリル酸エ
ステル重合体、スチレン重合体、ブタジエン重合体、イ
ソブチレン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩
素化エチレン重合体、エチレン−プロピレン共重合体等
が挙げられる。さらに好ましくは、反応性基を有する重
合体が使用される。
例えば、アクリル酸ノルマルブチル重合体、スチレン重
合体、メタクリル酸メチル重合体の重合体中にペルオキ
シ基を有するもの等が挙げられる。又、主鎖中にアゾ基
を有する重合体やチオグリコール酸を末端に有する重合
体とグリシジルメタクリレートとの反応により得られる
末端にビニル基を有する重合体等が挙げられる。
上記の重合体を用いて粘度を調節する場合、その量は粘
度が5〜50000センチポイズの範囲となる量を用いれば
よい。一般には、低Tg単量体100重量部に対して上記の
重合体を0.5〜40重量部、より好ましくは1〜30重量部
の範囲で使用すれば良い。さらに、上記の方法で用い
られる高粘度の単量体としては、重合体を側鎖に有する
ビニル化合物を挙げることができる。このような単量体
としては、側鎖にプロピレングリコール重合体、アルキ
ル(メタ)アクリレート重合体、ウレタン重合体、エス
テル重合体等を有するモノ(メタ)アクリレート類を挙
げることができる。使用する量は、上記の粘度調整の
ための重合体と同様の範囲で良い。
また、前記した重合体粒子の製造においては、得られる
複合重合体粒子の粒子径を衝撃改良材として好適な値に
するために、乳化重合あるいは懸濁重合において、界面
活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤としては、
通常のアニオン性カチオン性、又はノニオン性の界面活
性剤が挙げられ、これらは単独又は併用して使用する事
ができる。好適な界面活性剤としては、ラウリルスルホ
ン酸ソーダ、スルホコハク酸のエステルソーダ塩、オレ
イン酸カリウム、ポリエチレングリコール、モノオレイ
ルエーテル等が挙げられる。
上記の界面活性剤は、無機充填材と低Tg単量体とを均一
に分散させ、且つ得られる重合体粒子の凝集を防止する
ために低Tg単量体と無機充填剤混合物100重量部に対し
0.5重量部〜25重量部、好ましくは1重量部〜20重量部
用いることが好適である。
本発明において、前記した重合体粒子の存在下にTgが20
℃以上の重合体を与える単量体を乳化重合して該重合体
粒子の表面にTgが20℃以上の重合体層を形成させること
が、得られる複合重合体粒子の粒子径を小さく揃え、重
合体粒子を構成する重合体のTgの上昇を抑え、かつ流動
性を付与するために極めて重要である。即ち、かかる重
合を懸濁重合によって行う場合には、重合体粒子が重合
系内で凝集し易くなり、得られる複合重合体粒子の粒子
径が増大する傾向を有する。また、重合体粒子を構成す
る重合体に対して使用する単量体がグラフト重合して該
重合体のTgを上昇させるという傾向を示す。複合重合体
粒子の粒子径の増大は熱可塑性樹脂への分散性を低下さ
せ、重合体粒子を構成する重合体のTgの上昇は衝撃改良
効果の低下を招く。本発明にあっては、前記した重合体
層の形成を乳化重合により行うことにより、重合系内に
おける重合体粒子の凝集および重合体粒子を構成する重
合体のTgの上昇を効果的に防止することができる。
また、重合により形成される重合体層はTgが20℃以上、
好ましくは30〜150℃とすることにより、得られる複合
重合体粒子の粘着が防止され、優れた流動性を発揮す
る。
本発明において、Tgが20℃以上の重合体層を与える単量
体は、乳化重合が可能であり、その重合体のTgが20℃以
上となり得る単量体(以下、高Tg単量体とうい)が特に
制限なく使用される。そのうち、特に好適に使用される
単量体を例示すると、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル
等のエステル結合部分に炭素数4以下のアルキル基を有
するメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸メチ
ル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化
合物;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;塩
化ビニル等が挙げられる。また、ガラス転移温度が20℃
以下の重合体を与える単量体であっても、得られる共重
合体のガラス転移温度が20℃以上となる範囲で使用して
も何ら支障はない。
本発明において、重合体粒子の存在下に高Tg単量体を乳
化重合させる方法は、前記した重合体粒子の製造を乳化
重合で行う場合と同様な水溶性開始剤を用いて、同様な
水溶性開始剤を用いて行われる。そのうち、特に、水溶
性開始剤として水溶性のレドックス開始剤を使用する方
法が推奨される。また、重合条件も前記乳化重合と同一
の条件で行うことができる。また、高Tg単量体の添加方
法は一括添加法逐次添加法の何れの方法でも良いが、好
ましくは逐次添加法がより好ましく用いられる。
上記の重合において、高Tg単量体の重合による新粒子の
生成を防止するために、重合禁止剤を用いることが好ま
しい。好適に用いられる重合禁止剤としては、チオシア
ン酸アンモニウム塩、亜硝酸ソーダ等が挙げられる。こ
れらの重合禁止剤は高Tg単量体100重量部に対して0.1〜
5重量部の範囲で用いることが、重合禁止効果及び重合
体粒子同士の凝集防止の上で好ましい。
本発明において、前記した高Tg単量体によって形成され
る重合体層の厚みは、該単量体の使用量により任意に調
節することが可能であるが、得られる複合重合体粒子を
衝撃改良材として用いる場合には、熱可塑性樹脂への分
散性や耐衝撃性の向上を勘案すると、該重合体層の厚み
が0.002μm〜8μm、好適には0.002〜0.8μmの範囲
となる量で高Tg単量体を使用することが好ましい。かか
る高Tg単量体の量は一般に重合体粒子100重量部に対し
て10〜500重量部、好適には20〜200重量部である。
以上のようにして得られた複合重合体粒子は遠心沈降又
は塩析凝集ののち、ろ別し充分乾燥を行い粉末として得
られる。また、得られた複合重合体粒子は噴霧乾燥法に
よって直接粉末として得ることも好適に実施される。
〔効果〕
本発明の方法によって得られる複合重合体粒子は、表面
がガラス転移温度の高い重合体で被覆されているため、
粉末で且つ流動性が良い。因に、得られる複合重合体粒
子の安息角は一般に50°以下の値を示す。また、Tgの高
い重合体層の形成を乳化重合により行うため、内部の重
合体粒子を構成する重合体のTgの上昇を抑えてゴム弾性
を高く維持することができると共に、得られる複合重合
体粒子の粒度分布がシャープであり、熱可塑性樹脂への
分散性が極めて良好である。
そのため、本発明の方法によって得られる複合重合体粒
子を熱可塑性樹脂中に充填した場合、熱可塑性樹脂の耐
衝撃性は著しく向上し、しかも、耐衝撃性を向上させる
ことに伴なう表面硬度の低下を防止することができる。
さらに、充填材が経時的に熱可塑性樹脂の表面に移行す
る現象も、全く見られない。従って、本発明の方法によ
って得られる複合重合体粒子は熱可塑性樹脂の衝撃改良
剤として極めて有用である。この場合熱可塑性樹脂への
配合割合は、目的とする成形体の使用条件により決定す
れば良いが、通常は熱可塑性樹脂100重量部に対して複
合重合体粒子を1〜30重量部用いることが好ましい。又
通常用いられている安定剤紫外線吸収剤、酸化防止剤、
染顔料の副資剤を必要に応じて添加することができる。
〔実施例〕
本発明を更に具体的に説明するため、以下の実施例を挙
げて説明するが本発明は、これらの実施例に限定される
ものではない。
尚、実施例及び比較例で表示された種々の測定値は以下
の測定方法によった。
1 粘度 :東洋計器 visconia ELDを用い23℃で測定
を行った。
2 粒子径:堀場製作所製のCAPA-500型遠心式粒度分布
測定装置で用いて測定した。若しくは日本電子(株)製
走査電子顕微鏡により観察した。
3 無機充填材含有量:島津Thermal Analyzer DT30型
を用いて重量変化により求めた。
4 安息角:漏斗による注入法で且つ自由たい積法によ
り求めた。
5 ゲル含有量:トルエンを溶媒としてこの溶媒に対し
て0.1重量%の複合重合体粒子を秤量し、20〜24時間、
室温下で溶媒中に静置する。次に減圧乾燥を行い、その
後、105℃の乾燥器中で恒量になるまで乾燥する。この
時の重量を測定し次式によりゲル含有量を算出した。
6 被覆層の厚さ:2の項で求められる粒子径の測定方法
を用いて、第1段重合工程で得られる粒子径と第2段重
合工程で得られる最終粒子径の差により、ガラス転移温
度が20℃以上となる重合体の被覆層の厚みを算出した。
7 シャルピー衝撃強度:JIS K-7111に準拠して23℃に
て測定した。
8 引張試験:JIS K-7113に準拠して23℃にて測定し
た。
9 硬度 :ブリネル硬度計を用いて30秒後の値を測定
した。
実施例1 アクリル酸−n−ブチル95重量部とアクリル酸n−ブチ
ル重合体(分子量20万)5重量部を均一混合し粘度が17
00cpのアクリル酸nブチル混合物を得た。
上記のアクリル酸nブチル混合物100重量部にエチレン
グリコールジメタクリレート2重量部、アゾビスイソブ
チロニトリル2部を添加し混合し、次いで平均粒子径0.
08μmの炭酸カルシウム(白石工業社製、白艶華R-06)
50重量部を氷冷下均一混合した。
さらにイオン交換水2500重量部とジ−2エチルヘキシル
スルホコハク酸エステルソーダ20重量部混合液を加え、
氷冷下10,000rpmで10分間攪拌して懸濁液を得た。
このようにして得られた懸濁液をpH9.5に調製した後冷
却器及び、攪拌装置付反応容器中に仕込み充分窒素置換
した後、70℃で3時間懸濁重合を行い重合体粒子を得
た。
この時の重合収率は97%であった。続いて上記した重合
体粒子の存在する系で温度を70℃に維持したままレドッ
クス重合を行った。レドックス重合は、上記した系にチ
オシアン酸アンモニウム塩0.25重量部を加え10分間攪拌
の後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを
0.5重量部添加し、次いでメタクリル酸メチル50重量部
とクメンハイドロパーオキシド1重量部を1時間にわた
り添加し、さらに1時間重合を行った。
かかる重合によって得られた混合液は、塩化ナトリウム
により塩析凝固した後脱水、洗浄、乾燥して複合重合体
粒子を得た。
得られた複合重合体粒子の収率は、98%であり、平均粒
子径は0.3μmであり、粒子径0.3μm±0.1μmに72.6
%の粒子が存在していた。又炭酸カルシウム含有量は、
25.2重量%、安息角は35%、ゲル含有量は96.3重量%、
被覆層の厚みは0.15μmであった。
用途例1 実施例1で得られた複合重合体粒子10重量部を平均重合
度1300の塩化ビニル樹脂100重量部に、ステアリン酸鉛
4.2重量部とともに混合し180℃にて熱ロールにより5分
間混練した後185℃にて熱ロールにより5分間混練るし
た後185℃にて15分間プレス成形し試験片を作成した。
得られた試験片について、特定項目に準拠して測定を行
った結果シャルピー衝撃強度は31.2kg fcm/cm2、引張強
度は460kg/cm2、伸びは185%、ブリネル硬度は19.2であ
った。
実施例2〜3、比較例1〜2 実施例1で用いたエチレングリコールジメタクリレート
のアクリル酸nブチル混合物に対する添加量(重量%)
を第1表に示す如く変えた以外は、実施例1と同様にし
て複合重合体粒子を得た。得られた複合重合体粒子の重
合収率、物性測定結果を第1表に示す。
用途例2〜5 重合2〜3および比較例1〜2において得られた複合重
合体粒子10重量部をステアリン酸鉛4.2重量部とともに
塩化ビニル樹脂(重合度1300)100重量部に混合し、用
途例1と同様にして試験片を作成し、物性の測定を行っ
た。結果を第2表に示す。
実施例4 実施例1において重合体粒子の製造に用いた開始剤のア
ゾビスイソブチロニトリルを過硫酸カリウム1重量部に
変えた以外は実施例1と同様にして複合重合体粒子を得
た。
得られた複合重合体粒子の粒子径は、0.37μm、粒子径
0.37μm±0.1μmの粒子は67.9%、収率は96%炭酸カ
ルシウム含有量は25.1重量%、安息角は32%、ゲル含有
量は96重量%であった。
用途例6 実施例4において得られた複合重合体粒子10重量部をス
テアリン酸鉛4.2重量部とともに塩化ビニル樹脂(重合
度1300)100重量部に混合し、用途例1と同様にして試
験片を作成し、物性の測定を行った。その結果、シャル
ピー衝撃強度は25.7kg fcm/cm2、引張強度は470kg/c
m2、伸びは175%、ブリネル硬度は19.1HBであった。
実施例5 実施例1において重合体粒子の製造に用いた開始剤のア
ゾビスイソブチロニトリル2重量部をクメンハイドロパ
ーオキサイド2重量部とナトリウムホルムアルデヒドス
ルフォキシレート1重量部よりなるレドックス開始剤に
変更した以外は実施例1と同様にして複合重合体粒子を
得た。得られた複合重合体粒子の平均粒子径は、0.4μ
m、粒子径0.4±0.1μmの粒子含有率は79.3%、収率は
97%、炭酸カルシウム含有量は25.3重量%、安息角33
%、ゲル含有量は95重量%であった。
用途例7 実施例5において得られた複合重合体粒子10重量部をス
テアリン酸鉛4.2重量部とともに塩化ビニル樹脂(重合
度1300)100重量部に混合し、用途例1と同様にして試
験片を作成し物性の測定を行った。
その結果、シャルピー衝撃強度は28.5kg fcm/cm2、引張
強度450kg/cm2、伸びは160%、ブリネル硬度は18.9であ
った。
実施例6〜7 実施例1に用いたガラス転移温度が20℃以上となる重合
体を与える単量体であるメチルメタクリレート50重量部
に代えて第3表に示す混合単量体を用いた以外は、実施
例1と同様にして複合重合体粒子を得た。得られた複合
重合体粒子の重合収率、物性測定結果を第3表に示す。
用途例8〜9 実施例6および7において得られた複合重合体粒子10重
量部をステアリン酸鉛4.2重量部とともに塩化ビニル樹
脂(重合度1300)100重量部に混合し、用途例1と同様
にして試験片を作成し、物性の測定を行った。結果を第
4表に示す。
実施例8〜9 実施例1において、重合体粒子の存在する系での重合を
第5表に示す混合単量体を使用して2段で行った以外は
同様にして複合重合体粒子を得た。かかる重合体粒子の
存在する系での重合は、該重合体粒子を生成せしめた系
を70℃に維持したまま、チオシアン酸アンモニウム塩0.
25重量部を加え、10分間攪拌した後、ナトリウムホルム
アルデヒドスルホキシレートを0.5重量部添加し、次い
で第5表に示す第1混合単量体の所定量とクメンハイド
ロパーオキシド0.5重量部を0.5時間にわたり添加し、さ
らに1時間重合を行い、かかる系に第5表に示す第2混
合単量体の所定量とクメンハイドロパーオキシド0.5重
量部を0.5時間にわたり添加し、さらに1時間重合を行
って完了させた。
得られた複合重合体粒子の重合収率および物性測定結果
を第5表に示す。
用途例10〜11 実施例8および9において得られた複合重合体粒子10重
量部をステアリン酸鉛4.2重量部とともに塩化ビニル樹
脂(重合度1300)100重量部に混合し、用途例1と同様
にして試験片を作成し、物性の測定を行った。結果を第
6表に示す。
比較例3 実施例1において、2段目の重合で用いたクメンハイド
ロパーオキシド1重量部とナトリウムホルムアルデヒド
スルホキシレート0.5重量部よりなるレドックス開始剤
をラウロイルパーオキシド1重量部よりなる油溶性開始
剤に変えてメタクリル酸メチル50重量部に溶解して添加
し、懸濁重合を行った以外は実施例1と同様の方法で複
合重合体粒子を得た。
得られた複合重合体粒子の平均粒子径は、0.5μm、粒
子径0.5±0.1μmの粒子含有率は27.6%、収率は96%で
あった。又安息角は37度であった。
用途例12 比較例3において得られた複合重合体粒子10重量部を用
途例1と同様にして塩化ビニル樹脂100重量部に混合し
試験片を作成し、物性の測定を行った。
その結果、シャルピー衝撃強度は14.7kg fcm/cm2、引張
強度は450kg/cm2、伸びは130%、硬度は18.6HBであっ
た。
比較例4 実施例1において、炭酸カルシウムを混合しない他は、
実施例1と同様の方法で複合重合体粒子を得た。
得られた複合重合体粒子の平均粒子径は0.4μm、粒子
径0.4μm±0.1μmの粒子含有率は73.4%、収率は97%
であった。又安息角は39℃であった。
用途例13 比較例4で得られた重合体粒子7.5重量部と白艶華(R-0
6)2.5重量部を用途例1と同様に塩化ビニル樹脂100重
量部に混合し試験片を作成し、物性を測定した。結果を
第7表に示す。
比較例5 実施例1においてメタクリル酸メチルを用いた重合を行
わない他は同様の方法で重合体粒子を得た。
かかる重合体粒子は粉末として得られず粘性のある凝集
塊となり安息角は測定不可能であった。
用途例14 比較例5で得られた複合重合体を細断し用途例1と同様
に塩化ビニル樹脂に混合し、試験片を作成し物性の測定
を行った。結果を第7表に示す。
比較例6〜9 実施例1において、炭酸カルシウムを第7表に示す無機
粉体に代えた以外は、同様にして複合重合体粒子を得
た。得られた粒子の性状等を第7図に併せて示す。
用途例15〜18 用途例1において、実施例1で得られた複合重合体粒子
に代えて、実施例6〜9で得られた複合重合体粒子を使
用した以外は、同様にして試験片を作成した。
得られた試験片について同様の試験を実施した。結果を
第8表に示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】架橋性単量体単位を0.05〜5重量%の割合
    で含み且つガラス転移温度が0℃以下の重合体と炭酸カ
    ルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム又は酸
    化ケイ素とよりなる重合体粒子の存在下にガラス転移温
    度が20℃以上の重合体を与える単量体を水溶性開始剤に
    より乳化重合することを特徴とする複合重合体粒子の製
    造方法。
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