JPH0735002Y2 - 化粧用壁板の取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は鉄骨造りの躯体の外面を被覆する化粧用壁板の
取付構造に関する。

〔従来技術〕

従来、鉄骨構造からなるカーテンウォール型式の建築物
において、その建物の外面をセラミックス製の大型化粧
用壁板で被覆する構造として、例えば、鉄骨の躯体間に
鉄骨下地材を架設し、この鉄骨下地材に不燃材からなる
ボード下地を捨貼りするとともにこのボード下地の外面
に弾性接着剤を介してセラミックス製の化粧用壁板を接
着し、更にセラミックス製の化粧用壁板相互をクランプ
金具で連結する取付構造がある。また、防止処理として
は、前記ボード下地相互間に目地シーリングをしてい
る。

〔本考案が解決しようとする課題〕

前記従来の取付構造においては、鉄骨下地の取付け、ボ
ード下地の捨貼り、接着剤の塗着、化粧用壁板相互のク
ランプ作業等の現場作業を要し、その工程数が多くなっ
てその管理が煩雑になる上に工期が長く工事費も高くな
る問題がある。また、防水処理を目地シーリングするも
のにおいては、シーリングに手間を要する。

そこで本考案は、前記の各問題点を解決できる鉄骨構造
に対する化粧用壁板の取付構造を提案することを目的と
するものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は前記の課題を解決するために、第１の考案は鉄
骨躯体に複数の取付ピースを水平方向に適宜間隔を有し
て配設し、裏面にガゼットプレートを設けてなる下地柱
を、そのガゼットプレートを前記取付ピースに連結して
水平方向に適宜間隔を有して複数本配設し、各下地柱の
表面には取付ピースを突設し、該各下地柱に突設した取
付ピース間に型鋼からなる支承杆を水平に架設し、化粧
用壁板の裏面の上部及び下部には、上方及び下方に開口
する係合溝を形成した取付部材を固設し、該係合溝を前
記上下に配置された支承杆に嵌合して化粧用壁板を設置
したことを特徴とするもので、第２の考案は前記鉄骨躯
体側の取付ピースと下地柱側のガゼットプレートの連結
及び前記下地柱側の取付ピースと支承杆との連結を、夫
々に直交する長穴状の取付穴を形成するとともにこれに
ボルトを挿通してナットにより締め付けるようにして、
その連結の調整ができるように構成したもので、第３の
考案は前記隣接する下地柱間に、防水用シートを張設し
たものである。

〔実施例〕

次に図面に示す本考案の実施例について説明する。

１は建築物の躯体を構成する鉄骨梁で、例えばＴ型鋼,H
型鋼を、そのウェブプレート部1aを水平にして架設され
ており、そのフランジ部1bの表面に鉄板製の取付ピース
２が鉛直方向に配置されて熔接固着されている。該取付
ピース２には長穴状の取付穴３が前後方向に形成されい
てる。４は角パイプからなる下地柱でその裏面にガゼッ
トプレート５が鉛直方向に配置されて熔接固着されてい
る。該ガゼットプレート５には長穴状の取付穴６が、前
記取付穴３と直交して形成されており、該ガゼットプレ
ート５を前記取付ピース２に重合し、両取付穴3,6にボ
ルト７を挿通し、ナット８を締め付けて下地柱４を鉄骨
梁１に固設するようになっている。尚、前記取付ピース
２は梁方向に適宜間隔を有して多数突設し、これらに前
記下地柱４を夫々連結し、第８図及び第９に示すように
多数本の下地柱４の適宜間隔で並設する。前記下地柱４
の表面にはアングル材よりなる取付ピース９が、その一
辺を水平に配して熔接固着されているとともに、その水
平の支承辺9aは梁方向の長穴からなる取付穴9bが形成さ
れている。該取付ピース９は第７図に示すように、下地
柱４に、その上下方向に対して適宜間隔を有して複数個
設けられている。10は化粧用壁板を支承する長尺の支承
杆で、アングル材で形成されている。該支承杆10は第９
図に示すように前記多数本の下地柱４間に亘るように横
方向に配置され、その水平の取付辺10aが下地柱４に突
設した前記支承辺9aに載置される。該取付辺10aにおけ
る前記支承辺9aに形成した取付穴9bが位置する部分に
は、取付穴9bと直交する長穴状の取付穴10b形成されて
いる。そして、その両取付穴9b,10bにボルト11を挿通
し、ナット18を締め付けて支承杆10が取付ピース９に固
着される。支承杆10における取付辺10aの前部には、所
定の位置に、化粧用壁板を取付けるための切欠窓10cが
形成されている。12は大型のセラミックス製板からなる
化粧用壁板で、その縦、横の長さが所定の寸法で形成さ
れているとともに、その裏面のほぼ四隅には、第６図に
示すようなセラミックス製の取付部材13が固着されてい
る。尚、前記支承杆10の相互の上下方向の配置間隔は、
前記化粧用壁板12の上下部が、上下に配置された支承杆
10に係合するような寸法に設定し、また前記切欠窓10c
は、前記取付部材13が嵌合する位置に設定する。前記取
付部材13には、第６図に示すような係合溝13aが形成さ
れており、第２図に示すように、これを化粧用壁板12の
上部に取付ける場合にはその係合溝13aを上向きに、ま
た下部に取付ける場合にはその係合溝13aが下向きにな
るように取付ける。14は左右方向に隣接する化粧用壁板
12の相互間に介在されるスペーサで、合成樹脂で形成さ
れ、第５図に示すように、その横幅Ｄを化粧用壁板12の
相互の目地幅より広く形成し、上端には、その表面側に
位置して前記目地幅と同幅の突片14aを一体に突設する
とともに裏面側に位置して前記横幅Ｄと同幅の突片14b
を一体に突設して、これらにより嵌合溝14cを形成し、
また、下端には、その表面側に位置して前記目地幅と同
幅の突片14dが一体に突設されている。15は防水用シー
トで、前記並設した下地柱4,4間に張設されており、そ
の端部が下地柱４に対して剥離紙付粘着テープ16を用い
てその剥離紙を剥して接着されている。

次に化粧用壁板の取付作業について説明する。

先ず、躯体である鉄骨梁位置の表面に突設された取付ピ
ース２に、下地柱４の裏面に突設したガゼットプレート
５を重合し、その取付穴3,6にボルト17を挿通するとと
もに該ボルト７にナット８を仮締めする。そして、その
下地柱４を、その上下方向及び前後方向に位置決め調整
した後、ナット８を本締めして下地柱４を所定位置に固
定する。このような作業により、多数本の下地柱４を、
左右方向に所定の間隔を有して設置する。次で、隣接す
る下地柱４の相互間に防水シート15を粘着テープ16によ
って張設する。次で、支承杆10を、その取付辺10aを前
記下地柱４に突設した取付ピース９の支承辺9aに載置し
て隣接する多数本の下地柱４間に架設する。そして、そ
の支承辺9aと取付辺10aに形成した取付穴9b,10bにボル
ト11を挿通するとともに該ボルト11にナット18を仮締め
する。そして、その支承杆10を、その前後方向及び左右
方向に位置決め調整した後、ナット18を本締めして、支
承杆10を隣接する複数の下地柱４間に架設固定する。次
に、化粧用壁板12における上下の係合部材13,13の係合
溝13a内に充填材17を充填した後、その化粧用壁板12の
下方が作業者側（外側）に傾いた傾斜状態で、その上下
係合部材13の係合溝13aを上層側の支承杆10における垂
直辺10dの下端部に位置させてその化粧用壁板12を持ち
上げ、その係合溝13aを垂直辺10dに嵌合する。次でその
化粧用壁板12の下部係合部材13を下層側の支承杆10にお
ける切欠窓10cに位置させて落し込み、その係合溝13aを
垂直辺10dの上端部に嵌合する。これにより化粧用壁板1
2の上部及び下部が上下の支承杆10に支承保持される。
次に、前記のように設置した化粧用壁板12における別の
化粧用壁板12が隣接的に設置される横方向端側に、スペ
ーサ14を設置する。このスペーサ14の設置方法は、その
上端に形成した突片14a,14b及び下端に形成した突片14d
を、前記化粧用壁板12の嵌合作業と同様な方法で上下の
支承杆10,10間に設置する。そして、該スペーサ14の側
部に別の化粧用壁板12を前記と同様に隣接的に設置す
る。前記の作業により多数の化粧用壁板12とスペーサ14
を交互に設置した後、下層の化粧用壁板12とスペーサ14
を同様に設置する。

また、建築物のコーナ部においては、第８図及び第10図
に示すように、隣接する直線壁に配置された前記支承杆
10,10の端部間に、表面側に支承杆10fを固設した補助杆
10eを水平状に架設固着し、円弧状のコーナ化粧用壁板1
2aの裏面に固設した前記と同様な取付部材14を支承杆10
fに嵌合して、コーナ化粧用壁板12aを設置する。

尚、前記実施例においては、下地柱４を固設するための
取付ピース２を鉄骨梁位置に設けたが、該取付ピース２
は鉄骨柱に設けてもよい。

第11図乃至第14図は本考案の他の実施例を示すものであ
る。本実施例においては、躯体を構成する鉄骨梁１とし
てＴ型鋼,H型鋼を用いるとともにこれを、そのウェブプ
レート部１を鉛直にして架設した場合の取付例を示して
いる。この場合においては、図示のように、該鉄骨梁１
のフランジ部1bの上面に取付ピース２を直立し、該取付
ピース２に前記下地柱４のガゼットプレート５を、前記
のような長穴状の取付穴3,6を介してボルト７及びナッ
ト８にて取付ける。

また、本実施例においては、下地柱４に対する化粧用壁
板12の取付けの別例を示している。すなわち、前記実施
例における支承杆10としてＴ型鋼よりなる支承杆20を用
い、これを、そのウェブプレート部20aを下地柱４の前
面に固着した取付ピース９の上面に載置して水平に架設
し、そのウェブプレート部20aにて前記実施例と同様な
長穴状の取付穴9b、20bを介してボルト11及びナット12
で取付ピース９を固着したものである。そして、上下の
化粧用壁板12,12は、これに固着した前記取付部材13の
係合溝13aを、支承杆20の上下のフランジ部20cに嵌合し
て取付けられる。尚、係合溝13aには前記と同様に充填
材17が充填される。

更に、本実施例においては、前記のスペーサの別例も示
している。すなわち、本実施例のスペーサは、第14図に
示すように、そのスペーサ21の横幅Ｄを化粧用壁板12の
相互の目地幅より広く形成し、前面中央部には目地幅と
同幅ｄの目地嵌合部21aを突出形成し、上下端には前記
支承杆20の上下のフランジ部20cに嵌合する嵌合溝21b,2
1cを形成したものである。このスペーサ21の取付けは、
第11図に示すように、その本体部を隣接する化粧用壁板
12,12の裏面に充当し、その目地嵌合部21aを化粧用壁板
12,12の縦目地部に嵌合し、その上下端をの嵌合溝21b,2
1cを上下の支承杆20,20に対し、第13図に示すように支
承杆20のフランジ部20cに嵌合して取り付ける。

〔考案の効果〕

本考案は前記のような構造であるから、化粧用壁板を前
記従来のようなボード下地を捨貼りすることなく鉄骨下
地に対し直接取り付けることができるため、従来の施工
に比べて、工事期間の短縮化と工事費の低減化とを図る
ことができる。また、鉄骨躯体と下地柱及び該下地柱と
化粧用壁板支承杆との連結を、夫々、直交する長穴状の
取付穴とこれに挿通したボルト及びナットにより連結す
るようにしたので、鉄骨躯体や下地柱から伝達される振
動や外力、或いは周囲環境（温度）の変化による伸びや
収縮の差等による不必要な力が化粧用壁板に対し直接に
加わりにくくなり、同壁板の破損が防止できるほか、取
付けに際しては位置調整ができるため作業性が良くな
る。更に、従来構造にあってはボード下地とシーリング
材を使用した防水構造であったが本考案にあっては下地
柱間に防水用シートを張設するという簡単な防水構造の
ため工事が簡単となると同時に工事コストが安価にな
る。

【図面の簡単な説明】

図面の第１図乃至第10図は本考案の第１実施例を示すも
ので、第１図は取付部の平断面図、第２図は同Ａ−Ａ線
側断面図、第３図は同Ｂ−Ｂ線断面図、第４図は第３図
におけるＣ−Ｃ線断面図、第５図はスペーサの斜視図、
第６図は取付部材の斜視図、第７図は下地柱の斜視図、
第８図は多数枚の化粧用壁板を取付けた状態を示す略平
面図、第９図は下地柱と支承杆の取付配置状態を示す正
面図、第10図はコーナ部の取付状態を示す平面図であ
る。第11図乃至第14図は本考案の他の実施例を示すもの
で、第11図は取付部の平断面図、第12図は同Ｄ−Ｄ線断
面図、第13図は同Ｅ−Ｅ線断面図、第14図はスペーサの
斜視図である。 １……鉄骨躯体、２……取付ピース、４……下地柱、５
……ガゼットプレート、3,6,9b,10b……取付穴、９……
取付ピース、10……支承杆、7,11……ボルト、8,18……
ナット、12……化粧用壁板、13……取付部材、13a……
係合溝、15……防水用シート

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鉄骨躯体に複数の取付ピースを水平方向に
   適宜間隔を有して配設し、裏面にガゼットプレートを設
   けてなる下地柱を、そのガゼットプレートを前記取付ピ
   ースに連結して水平方向に適宜間隔を有して複数本配設
   し、各下地柱の表面には取付ピースを突設し、該各下地
   柱に突設した取付ピース間に型鋼からなる支承杆を水平
   に架設し、化粧用壁板の裏面の上部及び下部には、上方
   及び下方に開口する係合溝を形成した取付部材を固設
   し、該係合溝を前記上下に配置された支承杆に嵌合して
   化粧用壁板を設置したことを特徴とする化粧用壁板の取
   付構造。
2. 【請求項２】前記鉄骨躯体側の取付ピースと下地柱側の
   ガゼットプレートの連結及び前記下地柱側の取付ピース
   と支承杆との連結を、夫々に直交する長穴状の取付穴を
   形成するとともにこれにボルトを挿通してナットにより
   締め付けるようにして、その連結の調整ができるように
   構成した請求項１記載の化粧用壁板の取付構造。
3. 【請求項３】前記隣接する下地柱間に、防水用シートを
   張設した請求項１又は２記載の化粧用壁板の取付構造。