JPH0734827A - 内燃機関の吸排気弁駆動制御装置 - Google Patents

内燃機関の吸排気弁駆動制御装置

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Publication number
JPH0734827A
JPH0734827A JP18459593A JP18459593A JPH0734827A JP H0734827 A JPH0734827 A JP H0734827A JP 18459593 A JP18459593 A JP 18459593A JP 18459593 A JP18459593 A JP 18459593A JP H0734827 A JPH0734827 A JP H0734827A
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JP
Japan
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intake
drive shaft
pin
exhaust valve
annular disc
Prior art date
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Application number
JP18459593A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Nakamura
信 中村
Seinosuke Hara
誠之助 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Unisia Automotive Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Unisia Jecs Corp
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Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd, Unisia Jecs Corp filed Critical Nissan Motor Co Ltd
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Publication of JPH0734827A publication Critical patent/JPH0734827A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 運転条件に適したバルブリフト特性を得ると
ともに、ピン36,37と係合溝30,33との間のフ
リクションを低減し、燃費の向上を図る。 【構成】 機関と同期回転する駆動軸21の外周に円筒
状カムシャフト22が配設され、カムシャフト22のフ
ランジ部27と駆動軸21に連結固定されたスリーブ2
8のフランジ部32との間に、環状ディスク29が配設
される。環状ディスク29は揺動自在な制御環35によ
り保持されており、両フランジ部27,32の係合溝3
0,33に係合する一対のピン36,37が回転可能に
取り付けられている。環状ディスク29は機関の回転数
および負荷に応じて駆動機構39により揺動制御され、
低負荷領域ではカムシャフト22等と同心状態を保つ。
低速高負荷領域では偏心状態となり、カムの作動角が狭
まる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関の運転状態
に応じて吸気弁・排気弁の開閉時期や作動角を可変制御
する吸排気弁駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】吸気弁・排気弁の開閉時期や作動角を可
変制御する装置は、従来から種々の形式のものが提供さ
れているが、その一つとして例えば実開昭57−198
306号公報に記載されているものがある。
【0003】図12及び図13は、この従来の吸排気弁
駆動制御装置を示すもので、その概略を説明すれば、図
中2は駆動軸1の外周に回転自在に設けられて、吸気バ
ルブ16をバルブスプリング17のばね力に抗して開作
動させるカムであって、この円筒状のカム2はカム軸受
用ブラケット3と駆動軸1にキー4を介して固設された
フランジ部5とにより軸方向の位置決めがなされてい
る。また、カム2の一側部に係合溝6を有するフランジ
部7が形成されている一方、上記フランジ部5にも係合
溝8が形成され、かつ両フランジ部5,7間に円環状の
ディスク9が介装されている。このディスク9は、両側
の対向位置に上記両係合溝6,8に係合するピン10,
11が設けられているとともに、外周が制御環12に回
転自在に保持されている。この制御環12は、外周の突
起12aを介してシリンダヘッド側の支持孔13に揺動
自在に支持されているとともに、該突起12aの反対側
に位置する歯車部12bがロッカシャフト14外周の歯
車環14aに噛合している。
【0004】そして、上記制御環12は、歯車環14a
及び歯車部12bを介して図外の駆動機構により機関運
転状態に応じて一方あるいは他方向へ揺動するようにな
っている。即ち、ディスク9の中心Cが図12に示す位
置にある場合は、駆動軸1とディスク9との回転中心が
一致し、したがってディスク9は、ピン11と係合溝8
を介して駆動軸1に等速で同期回転し、かつカム2はピ
ン10と係合溝6を介してディスク9に等速で同期回転
する。
【0005】また、機関運転状態の変化に伴い駆動機構
によってロッカアーム15を軸支するロッカシャフト1
4を回動させると、制御環12が突起12aを支点とし
て揺動し、これによってディスク9の中心Cが駆動軸1
の中心に対し偏心する。この状態では、係合溝6,8を
有するディスク9とピン10,11とによって一種の偏
心軸継手が構成され、カム2が駆動軸1に従動して回転
するものの、両者の回転速度は不等速となる。つまり、
駆動軸1の1回転の間に、ディスク9の回転位相が駆動
軸1に対して変化し、同時にカム2の回転位相もディス
ク9に対して変化する。したがって、カム2は、駆動軸
1に対し、図14の(a)に破線もしくは一点鎖線で示
すように位相差を生じ、この結果、同図(b)のよう
に、実線で示すバルブリフト特性を、破線もしくは一点
鎖線のように変化させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置にあっては、図14の破線および一点鎖線で示
す間を、機関運転条件に応じて連続的に変化させるよう
にしているため、図12のように3者の中心が一致して
いる同心状態の期間は、実際には運転中ほとんど無く、
運転の大部分の期間では、各ピン10,11が係合溝
6,8内で往復摺動することになる。このため、各部の
フリクションが大きくなり、燃費の悪化を来すという不
具合がある。しかも、各ピン10,11や係合溝6,8
の対向内面6a〜8bが摩耗し易く、経時的に、両者間
に比較的大きな隙間が発生して打音やバルブタイミング
のずれを招きやすい。
【0007】また、上記構成では、各ピン10,11と
係合溝6,8との間がオイルミストにより潤滑されるよ
うになっているが、機関低速領域では、わずかなオイル
が降りかかるに過ぎず、潤滑状態が悪い。従って、フリ
クションロスが一層大きくなる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、機関の回転に
同期して回転する駆動軸と、この駆動軸と同軸上に配設
され、かつ吸排気弁を駆動するカムを外周に有するカム
シャフトと、このカムシャフトの端部に設けられ、かつ
半径方向に沿って係合溝が形成されたフランジ部と、こ
のフランジ部に対向するように上記駆動軸側に設けら
れ、かつ半径方向に沿って係合溝が形成されたフランジ
部と、上記両フランジ部の間に配設された環状ディスク
と、この環状ディスクの両側部に互いに反対方向に突設
されて、上記両フランジ部の各係合溝内に夫々係合する
ピンと、上記環状ディスクを回転自在に保持するととも
に、軸直角方向に沿って揺動可能な制御環と、上記制御
環を機関運転状態に応じて揺動させる駆動機構と、を備
えた内燃機関の吸排気弁駆動制御装置において、機関の
低速低負荷領域で上記環状ディスクを上記駆動軸と略同
心位置に固定的に保持する手段を設けたことを特徴とし
ている。
【0009】また請求項2の発明では、上記環状ディス
クが上記駆動軸に対し偏心状態にあるときに作動角が広
がるようにカムプロフィルとピンとの位相関係および偏
心方向を設定するとともに、機関低速領域で環状ディス
クを略同心状態に、機関高速領域で環状ディスクを偏心
状態にそれぞれ制御する手段を設けた。
【0010】請求項3の発明では、上記環状ディスクが
上記駆動軸に対し偏心状態にあるときに作動角が狭まる
ようにカムプロフィルとピンとの位相関係および偏心方
向を設定するとともに、機関低速低負荷領域および高速
領域で環状ディスクを略同心状態に、機関低速高負荷領
域で環状ディスクを偏心状態にそれぞれ制御する手段を
設けた。
【0011】請求項4の発明あるいは請求項5の発明で
は、上記各係合溝と上記各ピンとの摺動部へ潤滑油を供
給する潤滑手段、あるいは上記制御環と上記環状ディス
クとの摺動部へ潤滑油を供給する潤滑手段を設けた。
【0012】また請求項6の発明では、摩耗を抑制する
ために、上記ピンを環状ディスクの保持孔内に回転自在
に嵌合支持するとともに、上記係合溝の内側面に面接触
するように、ピンの突出部分に平面部を形成した。請求
項7では、さらに、上記ピンと上記環状ディスクの保持
孔との間の摺動部へ潤滑油を供給する潤滑手段を設け
た。
【0013】請求項8の発明では、上記ピンの円筒面と
上記平面部との間に生じる段部を一方のフランジ面に当
接させるとともに、上記保持孔を貫通したピンの基端面
を他方のフランジ面に当接させて、該ピンを軸方向に位
置決めするようにした。
【0014】
【作用】環状ディスクの中心が駆動軸の中心と合致して
いる制御状態では、カムシャフトは上記環状ディスク等
を介して駆動軸に同期して等速で、つまり位相差なしで
回転する。従って、カムのプロフィルに沿って吸排気弁
が開閉する。これに対し、駆動機構によって制御環が一
方へ揺動した状態では、環状ディスクの中心が駆動軸の
中心から偏心するため、駆動軸とカムシャフトとが不等
速で連動するようになり、回転中に位相差を生じる。従
って、カムのプロフィルを位相差により遅進させたよう
な特性でもって吸排気弁が開閉する。ここで、前者のよ
うな同心状態では、カムシャフトと環状ディスクと駆動
軸の3者が一体に回転するので、ピンと係合溝とは実質
的に摺動しない。
【0015】本発明では、運転時間の中のかなりの部分
を占める低速低負荷領域あるいは低速領域において、環
状ディスクが同心位置に制御されるので、フリクション
による燃費への影響が少なくなる。
【0016】また、請求項2の発明では、低速領域で作
動角が狭く、かつ高速領域で作動角が広がるため、吸気
弁に適用することにより、低速域および高速域の双方で
充填効率が向上する。
【0017】請求項3の発明では、低速低負荷領域で作
動角が大きくなるため、吸気弁の閉弁時期が遅れる。こ
れにより、一旦気筒内に流入した吸気の一部が吸気管に
戻されるようになり、ポンピングロスが低減する。
【0018】また請求項4から請求項7の発明では、各
摺動部に対し潤滑手段を設け、あるいはピンを環状ディ
スクに回転自在に支持することにより、フリクションお
よび摩耗が軽減する。
【0019】請求項8の発明では、ピンの保持孔を単純
な貫通孔とすることができ、その加工や精度管理が容易
になる。
【0020】
【実施例】以下、この発明に係る吸排気弁駆動制御装置
の一実施例を図1〜図7に基づいて説明する。図におい
て、21は図外の機関クランク軸からスプロケットを介
して回転力が伝達される駆動軸、22は該駆動軸21の
外周に一定の隙間をもって配置され、かつ駆動軸21の
中心Xと同軸上に設けられた中空円筒状のカムシャフト
である。上記駆動軸21は、機関前後方向に延設されて
いると共に、中空状に形成されている。またカムシャフ
ト22は、各気筒毎に分割して構成されている。
【0021】上記カムシャフト22は、図示せぬシリン
ダヘッド上端部のカム軸受に回転自在に支持されている
と共に、図2に示すように、外周の所定位置に、吸気弁
23をバルブスプリング24のばね力に抗してバルブリ
フター25を介して開作動させる複数のカム26…が一
体に設けられている。また、カムシャフト22は、上述
したように複数個に分割形成されているが、その一方の
分割端部に、フランジ部27が設けられている。また、
この複数に分割されたカムシャフト22の端部間に、そ
れぞれスリーブ28と環状ディスク29が配置されてい
る。上記フランジ部27は、図4にも示すように、中空
部から半径方向に沿った細長い矩形状の係合溝30が形
成されていると共に、環状ディスク29の一方の表面に
摺接するフランジ面27aを有している。
【0022】上記スリーブ28は、小径な一端部がカム
シャフト22の他方の分割端部内に回転自在に挿入され
ている共に、駆動軸21外周に嵌合しており、かつ直径
方向に貫通した連結ピン31を介して該駆動軸21に連
結固定されている。また、スリーブ28の他端部に設け
られたフランジ部32は、カムシャフト22側のフラン
ジ部27と対向して位置し、かつ図5にも示すように、
半径方向に沿った細長い矩形状の係合溝33が形成され
ていると共に、外周面に環状ディスク29の他方の表面
に摺接するフランジ面28aを有している。上記係合溝
33は、カムシャフト22側フランジ部27の係合溝3
0と180°異なる反対側に配置されている。
【0023】上記環状ディスク29は、略ドーナツ板状
を呈し、内径がカムシャフト22の内径と略同径に形成
されていて、駆動軸21の外周面との間に環状の隙間部
Sが形成されていると共に、小巾の外周部29aが環状
のベアリングメタル34を介して制御環35の内周面に
回転自在に保持されている。また、互いに180°異な
る直径線上の対向位置にそれぞれ保持孔29b,29c
が貫通形成されており、該保持孔29b,29cには、
各係合溝30,33に係合する一対のピン36,37が
嵌合配置されている。この各ピン36,37は、互いに
カムシャフト軸方向へ逆向きに突出しており、円筒面か
らなる基部が保持孔29b,29c内に回転自在に嵌合
支持されていると共に、環状ディスク29表面から突出
する先端部に、図4及び図5に示すように、上記係合溝
30,33の対向内面30a,30b、33a,33b
と当接する2面巾状の平面部36a,36b、37a,
37bが形成されている。また、上記ピン36,37の
軸方向への位置決めは、突出方向については、ピン3
6,37の円筒面と上記平面部36a,36b、37
a,37bとの間に生じる段部36c,37cとフラン
ジ面27a,28aとの当接により、また後退方向につ
いては、上記保持孔29b,29cを貫通したピン3
6,37の基端面36d,37dとフランジ面28a,
27aとの当接により、それぞれ行われる。
【0024】上記制御環35は、略円環状をなすととも
に、図2に示すように、外周の一部にボス部35aを有
し、該ボス部35aを貫通した揺動軸38を支点とし
て、駆動軸21の軸方向と直交する面に沿って上下に揺
動自在に構成されている。またボス部35aと反対側の
外周面にレバー部35bが半径方向に沿って突設されて
おり、該レバー部35bを介して駆動機構39により揺
動位置が制御されるようになっている。
【0025】上記揺動軸38内部には、図6に示すよう
に、機関のオイルギャラリから潤滑油が圧送される潤滑
油通路61が設けられており、ここから給油孔62,6
3,68を介してベアリングメタル34と環状ディスク
29との摺動面を潤滑している。環状ディスク29外周
面には、上記給油孔63と連通する油溝64が形成され
ており、環状ディスク29の全周に潤滑油が行きわたる
ようになっている。また、この油溝64からは、図1に
示すように、各ピン36,37の保持孔29b,29c
へ向けて給油孔65が形成されている。これらの潤滑機
構により、環状ディスク29と制御環35との間、およ
び環状ディスク29とピン36,37との間が強制潤滑
される。また、図1に示すように、駆動軸21およびカ
ムシャフト22の上方に、その軸方向に沿って、給油パ
イプ66が配置されており、この給油パイプ66に、各
フランジ部27,32と環状ディスク29との境界付近
に向けてそれぞれ給油孔67が開口形成されている。こ
の給油パイプ66には、やはり機関潤滑油が圧送される
ようになっており、給油孔67から供給される潤滑油に
よって各ピン36,37と係合溝30,33との間が潤
滑される。
【0026】制御環35を揺動させる駆動機構39は、
図2及び図7に示すように、シリンダヘッドの所定部位
に互いに対向して形成された第1,第2シリンダ40,
41と、各シリンダ40,41内に出没自在に嵌合した
油圧ピストン42及びリテーナ43と、上記第1シリン
ダ40内に画成される油圧室40aに油圧を給排して油
圧ピストン42を進退させる油圧回路44とを備えてい
る。上記油圧ピストン42及びリテーナ43は、互いに
対向し、かつ両者の先端の間で、上記レバー部35bの
円弧状先端部を上下方向から挾持するようになってい
る。
【0027】上記第2シリンダ41内に設けられたリテ
ーナ43は、略有底円筒状に形成され、第2シリンダ4
1内に配設されたコイルスプリング45のばね力で突出
方向に付勢されている。また、上記油圧ピストン42
は、第1シリンダ40の底面に当接することにより後退
位置が規制されるようになっており、該底面に当接した
最大後退位置において、環状ディスク29の回転中心Y
と駆動軸21の中心Xとが同心状態となるように設定さ
れている。
【0028】上記油圧回路44は、一端部が機関のオイ
ルパン46内に、他端部が油圧室40aにそれぞれ連通
した油通路47と、該油通路47のオイルパン46側に
設けられたオイルポンプ48と、該オイルポンプ48の
下流側に設けられた3ポート2位置型の電磁切換弁49
とから主として構成されている。尚、この油圧回路44
は、一般に機関潤滑系統を利用して構成され、オイルポ
ンプ48等を機関潤滑系統と共用したものとなる。上記
電磁切換弁49は、機関回転数や吸入空気量等の運転条
件信号に基づいてコントローラ50により切換制御され
る。具体的には、上記電磁切換弁49のON−OFFの
切換は、機関の回転数信号および負荷信号に基づき、図
9に示すような特性に沿って行われるようになってお
り、低負荷側の領域AでOFFに、低速高負荷側の領域
BでONに、それぞれ制御される。そして、該電磁切換
弁49がON作動すると、油通路47が連通して、油圧
室40aに油圧が供給され、逆に、OFF作動すると油
通路47下流部分とドレン通路51とが連通して油圧を
解放するようになっている。尚、領域Aと領域Bとの間
の領域Cでは、領域Aと領域Bとをなだらかにつなげる
ように、例えば、電磁切換弁49のデューティ比制御等
により供給油圧が連続的に変化する。
【0029】次に、上記のように構成された実施例の作
用について説明する。
【0030】先ず、低負荷側の領域Aでは、上述したよ
うに、コントローラ50から電磁切換弁49にOFF信
号が出力される。これにより、油通路47の上流側を遮
断すると共に、油通路47の下流側とドレン通路51と
が連通される。このため、油圧室40a内の油圧が解放
され、油圧ピストン42がバルブスプリング24及びコ
イルスプリング45のばね力で第1シリンダ40の底面
に当接する最大後退位置まで後退する。従って、上述し
たように、制御環35つまり環状ディスク29の回転中
心Yと駆動軸21の中心Xが合致する。つまり図2,図
7に実線で示すような状態となる。この場合は、環状デ
ィスク29と駆動軸21との間に回転位相差は生じず、
またカムシャフト22の中心と環状ディスク29の中心
Yも合致しているため、両者22,29間の回転位相差
も生じない。そのため、駆動軸21,環状ディスク29
およびカムシャフト22の3者は、ピン36,37を介
して等速で同期回転する。この結果、図8の(A)の実
線に示すようなカムプロフィルに沿ったバルブリフト特
性が得られる。また、このときには、ピン36,37と
係合溝30,33との間で実質的に滑りが生じないよう
になる。
【0031】一方、低速高負荷側の領域Bでは、コント
ローラ50から電磁切換弁49にON信号が出力され
る。これにより、オイルポンプ48から油通路47に圧
送された作動油はそのまま油圧室40aに供給される。
従って、該油圧室40aの内圧上昇に伴い油圧ピストン
42が図2,図7の一点鎖線で示すようにコイルスプリ
ング45のばね力に抗してレバー部35bを所定位置ま
で押し上げるので、制御環35が揺動軸38を支点とし
て上方へ揺動して、環状ディスク29の中心Yが図1に
Y′として示すように駆動軸21の中心Xから偏心す
る。この状態では、スリーブ28の係合溝33とピン3
7との摺動位置、ならびに、カムシャフト22の係合溝
30とピン36との摺動位置が、いずれも駆動軸21の
1回転毎に移動し、環状ディスク29の角速度が変化す
る不等速回転になる。
【0032】特に、一方の係止溝33とピン37の摺動
位置が駆動軸21の中心Xに接近する角度領域では、他
方の係止溝30とピン36の摺動位置が中心Xから離れ
る関係になる。この場合は、環状ディスク29は、駆動
軸21に対して角速度が小さくなり、さらに環状ディス
ク29に対しカムシャフト22の角速度も小さくなる。
したがって、カムシャフト22の角速度は、駆動軸21
に対して2重に減速された状態になる。逆に、一方の係
止溝33とピン37の摺動位置が駆動軸21の中心Xか
ら離間する角度領域では、他方の係止溝30とピン36
の摺動位置が中心Xに接近する関係になる。この場合
は、環状ディスク29は、駆動軸21に対して角速度が
大きくなり、さらに環状ディスク29に対しカムシャフ
ト22の角速度も大きくなる。したがって、カムシャフ
ト22の角速度は、駆動軸21に対して2重に増速され
た状態になる。
【0033】これにより、図7の(B)に一点鎖線で示
すように、駆動軸21とカムシャフト22との間で比較
的大きな位相差が与えられる。また、回転位相差の最
大,最小点の途中に同位相点(P点)が存在する。尚、
図7(B)の特性図では、カムシャフト22が相対的に
進む方向の位相差を正に、相対的に遅れる方向の位相差
を負にしてある。そして、カムシャフト22が相対的に
遅れ側となる領域(P1点以前の領域およびP2〜P3
の領域)に位置する吸気弁23の開弁時期は、上記位相
差に伴って遅れることになる。逆に、カムシャフト22
が相対的に進み側となる領域(P1〜P2の領域)に位
置する吸気弁23の閉弁時期は、位相差に伴って進むこ
とになる。従って、図7の(A)に一点鎖線で示すよう
なバルブリフト特性が得られ、その作動角は小さくな
る。
【0034】このように、低速高負荷側の領域Bで一点
鎖線のような特性となることにより、低速域での充填効
率が向上し、低速トルクが増大する。しかも、開弁時期
が遅れることで、バルブオーバーラップが小さくなり、
アイドル時の燃費が良好になるとともに、アイドル安定
性が向上する。
【0035】逆に、低負荷側の領域Aでは、相対的に作
動角が大きく、閉弁時期が遅いため、高速域での充填効
率が向上する。しかも、バルブオーバーラップ増大によ
る排気効率向上により、高速域でのトルク,出力が向上
する。また、このように閉弁時期が遅れることにより、
一旦気筒内に流入した吸気の一部が吸気管に戻されるよ
うになり、低負荷領域で問題となるポンピングロスが大
幅に低減する。これにより、燃費が向上する。
【0036】そして、上記構成では、運転時間のかなり
の割合を占める領域Aで同心状態となり、ピン36,3
7と係合溝30,33との間で滑りが生じないようにな
るので、フリクションロスが低減し、燃費が一層向上す
るとともに、ピン36,37等の摩耗を抑制できる。ま
た、摺動する各部が強制潤滑されるので、この点から
も、フリクションが低減し、かつ摩耗が抑制される。
【0037】また、上記実施例では、ピン36,37を
保持する保持孔29b,29cを単純な貫通孔とするこ
とができ、その加工や精度管理が容易になる。
【0038】次に、図10,図11は、この発明の異な
る実施例を示している。この実施例は、カム26のプロ
フィルに対するピン36,37の位相を前述した実施例
に比べて180°異ならせたものであり、これにより、
環状ディスク29が上記駆動軸21に対し偏心状態にあ
るときに作動角が広がるように構成されている。尚、カ
ム26とピン36,37との位相関係を変えずに、偏心
方向を逆方向としても、同様に作動角が広がるようにな
る。そして、この実施例では、カム26のプロフィルそ
のものの作動角は、前述した実施例に比較して狭く設定
してある。
【0039】この実施例の構成の吸排気弁駆動制御装置
では、図11に示すように、低速側の領域Dにおいて電
磁切換弁49がOFFとなって環状ディスク29が同心
位置に保たれる。また、高速側の領域Eにおいて電磁切
換弁49がONとなって環状ディスク29が偏心位置と
なる。
【0040】従って、低速側の領域Dでは、前述したよ
うに、カムシャフト22等が等速回転運動することにな
り、図10の(A)の実線に示すようなカムプロフィル
に沿った特性が得られる。このとき、ピン36,37と
係合溝30,33との間で滑りは生じない。また、高速
側の領域Eでは、環状ディスク29およびカムシャフト
22が不等速回転運動となり、駆動軸21とカムシャフ
ト22との間で図10の(B)に一点鎖線で示すような
位相差が与えられるため、図10の(A)の一点鎖線の
ようなバルブリフト特性が得られ、その作動角は大きく
なる。この状態では、ピン36,37等が摺動するが、
高速域で多量に供給される潤滑油によって各部が良好に
強制潤滑されており、しかも、この領域Eの運転時間が
占める割合は一般に小さいので、燃費への悪影響は非常
に小さい。
【0041】この実施例によれば、低速域および高速域
の双方で充填効率が向上し、低速トルクの向上、高速域
でのトルク,出力の向上が図れる。尚、領域Dと領域E
とは、等トルク線Tに沿って切り換えられるようになっ
ており、従って、切換時のトルク変動は小さい。
【0042】尚、本発明は上記実施例のように吸気弁の
駆動制御に限定されるものではなく、排気弁側あるいは
吸気弁,排気弁の両方に適用することが可能である。
【0043】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、この発明
に係る内燃機関の吸排気弁駆動制御装置によれば、回転
力を伝達する各ピンと係合溝との滑りがない運転期間を
比較的大きな割合で確保することができ、ピンと係合溝
との間のフリクションや摩耗を抑制できる。また、各摺
動部を強制潤滑するようにすれば、フリクションが一層
低減する。従って、この種の吸排気弁駆動制御装置で問
題となる燃費の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部を示す一部破断図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】本実施例の要部を示す平面図。
【図4】図3のB−B線断面図。
【図5】図3のC−C線断面図。
【図6】図2のD−D線断面図。
【図7】駆動機構の構成を示す概略図。
【図8】駆動軸とカムシャフトとの回転位相差の特性お
よびバルブリフト特性を対比して示す特性図。
【図9】機関運転条件に対する制御の領域を示す特性
図。
【図10】この発明の異なる実施例における駆動軸とカ
ムシャフトとの回転位相差の特性およびバルブリフト特
性を対比して示す特性図。
【図11】この実施例における機関運転条件に対する制
御の領域を示す特性図。
【図12】従来の吸排気弁駆動制御装置の断面図。
【図13】図12のE−E線断面図。
【図14】従来の吸排気弁駆動制御装置の回転位相差特
性およびバルブリフト特性を示す特性図。
【符号の説明】
21…駆動軸 22…カムシャフト 27…フランジ部 32…フランジ部 29…環状ディスク 30,33…係合溝 35…制御環 36,37…ピン 36a,36b、37a,37b…平面部 39…駆動機構

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関の回転に同期して回転する駆動軸
    と、 この駆動軸と同軸上に配設され、かつ吸排気弁を駆動す
    るカムを外周に有するカムシャフトと、 このカムシャフトの端部に設けられ、かつ半径方向に沿
    って係合溝が形成されたフランジ部と、 このフランジ部に対向するように上記駆動軸側に設けら
    れ、かつ半径方向に沿って係合溝が形成されたフランジ
    部と、 上記両フランジ部の間に配設された環状ディスクと、 この環状ディスクの両側部に互いに反対方向に突設され
    て、上記両フランジ部の各係合溝内に夫々係合するピン
    と、 上記環状ディスクを回転自在に保持するとともに、軸直
    角方向に沿って揺動可能な制御環と、 上記制御環を機関運転状態に応じて揺動させる駆動機構
    と、 を備えた内燃機関の吸排気弁駆動制御装置において、 機関の低速低負荷領域で上記環状ディスクを上記駆動軸
    と略同心位置に固定的に保持する手段を設けたことを特
    徴とする内燃機関の吸排気弁駆動制御装置。
  2. 【請求項2】 機関の回転に同期して回転する駆動軸
    と、 この駆動軸と同軸上に配設され、かつ吸排気弁を駆動す
    るカムを外周に有するカムシャフトと、 このカムシャフトの端部に設けられ、かつ半径方向に沿
    って係合溝が形成されたフランジ部と、 このフランジ部に対向するように上記駆動軸側に設けら
    れ、かつ半径方向に沿って係合溝が形成されたフランジ
    部と、 上記両フランジ部の間に配設された環状ディスクと、 この環状ディスクの両側部に互いに反対方向に突設され
    て、上記両フランジ部の各係合溝内に夫々係合するピン
    と、 上記環状ディスクを回転自在に保持するとともに、軸直
    角方向に沿って揺動可能な制御環と、 上記制御環を機関運転状態に応じて揺動させる駆動機構
    と、 を備えた内燃機関の吸排気弁駆動制御装置において、 上記環状ディスクが上記駆動軸に対し偏心状態にあると
    きに作動角が広がるようにカムプロフィルとピンとの位
    相関係および偏心方向を設定するとともに、 機関低速領域で環状ディスクを略同心状態に、機関高速
    領域で環状ディスクを偏心状態にそれぞれ制御する手段
    を設けたことを特徴とする内燃機関の吸排気弁駆動制御
    装置。
  3. 【請求項3】 機関の回転に同期して回転する駆動軸
    と、 この駆動軸と同軸上に配設され、かつ吸排気弁を駆動す
    るカムを外周に有するカムシャフトと、 このカムシャフトの端部に設けられ、かつ半径方向に沿
    って係合溝が形成されたフランジ部と、 このフランジ部に対向するように上記駆動軸側に設けら
    れ、かつ半径方向に沿って係合溝が形成されたフランジ
    部と、 上記両フランジ部の間に配設された環状ディスクと、 この環状ディスクの両側部に互いに反対方向に突設され
    て、上記両フランジ部の各係合溝内に夫々係合するピン
    と、 上記環状ディスクを回転自在に保持するとともに、軸直
    角方向に沿って揺動可能な制御環と、 上記制御環を機関運転状態に応じて揺動させる駆動機構
    と、 を備えた内燃機関の吸排気弁駆動制御装置において、 上記環状ディスクが上記駆動軸に対し偏心状態にあると
    きに作動角が狭まるようにカムプロフィルとピンとの位
    相関係および偏心方向を設定するとともに、 機関低速低負荷領域および高速領域で環状ディスクを略
    同心状態に、機関低速高負荷領域で環状ディスクを偏心
    状態にそれぞれ制御する手段を設けたことを特徴とする
    内燃機関の吸排気弁駆動制御装置。
  4. 【請求項4】 上記各係合溝と上記各ピンとの摺動部へ
    潤滑油を供給する潤滑手段を設けたことを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の吸排気弁駆動
    制御装置。
  5. 【請求項5】 上記制御環と上記環状ディスクとの摺動
    部へ潤滑油を供給する潤滑手段を設けたことを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の吸排気弁
    駆動制御装置。
  6. 【請求項6】 上記ピンを環状ディスクの保持孔内に回
    転自在に嵌合支持するとともに、上記係合溝の内側面に
    面接触するように、ピンの突出部分に平面部を形成した
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃
    機関の吸排気弁駆動制御装置。
  7. 【請求項7】 上記ピンと上記環状ディスクの保持孔と
    の間の摺動部へ潤滑油を供給する潤滑手段を設けたこと
    を特徴とする請求項6に記載の内燃機関の吸排気弁駆動
    制御装置。
  8. 【請求項8】 上記ピンの円筒面と上記平面部との間に
    生じる段部を一方のフランジ面に当接させるとともに、
    上記保持孔を貫通したピンの基端面を他方のフランジ面
    に当接させて、該ピンを軸方向に位置決めすることを特
    徴とする請求項6または請求項7に記載の内燃機関の吸
    排気弁駆動制御装置。
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