JPH07345Y2 - パワーシートスライド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、据付部位に固定される車体側のレールと、該
車体側のレールに相対的に前後移動可能に嵌合して座席
を支持する座席側のレールとを有するレールユニットを
備え、動力により駆動部を介して前記車体側のレールと
前記座席側のレールとを相対的に前後方向へ移動させて
座席の前後位置を調節するようにしたパワーシートスラ
イド装置に関する。

「従来の技術」 従来、この種のパワーシートスライド装置としては、座
席側のレールと車体側のレールとが相互に前後移動可能
に嵌合しており、駆動モータの回転力を前後方向の力に
変えて両方のレールを相対的に前後移動可能な駆動部が
両方のレールが成す空隙に収納されている。駆動部は座
席側のレールに回転可能に支持されるスクリュー部材
と、スクリュー部材に相対的に回転可能に螺合し車体側
のレールに前後移動不能かつ回転不能に装着されるナッ
ト部材とを有している。

スクリュー部材の端部にウオームホイールが固設され、
動力に連動するウオームがウイームホイールに噛合して
いる。ウオームホイールおよびウオームがギアケースに
内装され、ギアケースが座席側のレールに固定されてい
るものが一般的である。

「考案が解決しようとする課題」 しかしながら、このような従来のパワーシートスライド
装置では、スクリュー部材やウオームホイール等の各部
品をギアケースに組付けた段階において、各部品の寸法
のバラツキ並びに組付位置のバラツキがいわば寄り集ま
った形で各部品がギアケースに組み付けられる。そのよ
うな状態にあるギアケースを座席側のレール等に直接固
定するため、バラツキに起因して組付けがしにくく、手
間がかかって組立コストが嵩むという問題点があった。

バラツキの発生を避けるべく、単に、部品の寸法精度を
上げると、部品コストが嵩んだり、取付精度を上げる
と、各部品を組付ける際に余裕がなくかえって組付けが
しにくくなるという問題がある。

本考案は、このような従来の問題点に着目してなされた
もので、ギアケースを前後方向から挟持ブラケットで挟
み、その挟持ブラケットを座席側のレールに固設するよ
うにしたので、ギアケースに集まった形のバラツキが吸
収されて、ギアケースに挟持ブラケットを介して簡単に
座席側のレール等に装着することができ、組付工数が減
って、組立コストを低減することができ、さらに、前後
方向の衝突等の際にギアケースにかかる衝撃荷重を和ら
げ、ギアケースが具備すべき剛性を小さくしてギアケー
スを小型にすることができ、さらに、レールユニットの
剛性を高いものに維持することができるパワーシートス
ライド装置を提供することを目的としている。

「課題を解決するための手段」 かかる目的を達成するための本考案の要旨とするところ
は、 据付部位に固定される車体側のレールと、該車体側のレ
ールに相対的に前後移動可能に嵌合して座席を支持する
座席側のレールとを有するレールユニットを備え、動力
により駆動部を介して前記車体側のレールと前記座席側
のレールとを相対的に前後方向へ移動させて座席の前後
位置を調節するようにしたパワーシートスライド装置に
おいて、 前記車体側のレールと前記座席側のレールとを溝状断面
にそれぞれ形成し、前記車体側のレールと前記座席側の
レールとの各開口を相互に合せて前記車体側のレールと
前記座席側のレールとにより前記駆動部を格納可能な収
納空間を形成し、 前記駆動部は、前記車体側のレールと前記座席側のレー
ルとの一方に長手方向に沿って延ばされ回転可能に支持
されるスクリュー部材と、 該スクリュー部材に相対的に回転可能に螺合し、前記車
体側のレールと前記座席側のレールとの他方に支持され
るナット部材と、 前記車体側のレールと前記座席側のレールとの一方の側
壁に穿設された挿通孔を通して動力の出力軸側にそのウ
オーム軸が連結されるウオームと、該ウオームに噛合し
て前記スクリュー部材を一体的に回転可能なウオームホ
イールとが内装されるギアケースとを有し、 該ギアケースを挟持ブラケットにより前後方向から挟む
とともに、前記車体側のレールと前記座席側のレールと
の一体の溝状断面の溝内面側に前記挟持ブラケットを固
設したことを特徴とするパワーシートスライド装置に存
する。

「作用」 座席側のレールと車体側のレールとの間の空隙に駆動部
を格納するには、予め、ギアケースにウオームとウオー
ムホイールを相互に噛合して内装するとともに、ウオー
ムホイールにスクリュー部材を一体的に回転可能に連結
し、スクリュー部材にナット部材を回転可能に螺合して
おく。

次に、ギアケースを前後方向から挟持ブラケットで挟
み、挟持ブラケットを座席側のレールと車体側のレール
との一方の溝状断面の溝内面側に固設する。

このとき、例えば、ギアケースの前部および後部と挟持
ブラケットとの各間に弾撥部材を介して介装したり、ま
た、挟持ブラケットを調整可能に一方のレールに固設す
るように構成すれば、ギアケースに集まった形の各部品
の寸法や取付位置のバラツキが、弾撥部材を撓ませた
り、挟持ブラケットを調節したりすることにより、吸収
される。それにより、ギアケースが挟持ブラケットを介
して一方のレールに簡単に支持することができる。

次に、座席側のレールと車体側のレールとの他方のレー
ルを一方のレールに嵌合していき、ナット部材を他方の
レールに固定して前後移動不能に係止する。

このとき、前記車体側のレールと前記座席側のレールと
の一方の側壁に穿設された挿通孔を通して、動力の出力
軸側とウオーム軸とが対向し、両者が連結可能になる。

前後方向の衝突等により、過大な荷重が一方のレール〜
スクリュー部材を介してギアケースにかかると、ギアケ
ースにかかった荷重が、ギアケースを前後から挟むよう
にした挟持ブラケットに伝わって、荷重が分散するよう
になる。

それにより、ギアケースの剛性が小さくても、十分に過
大な荷重に耐えることができる。

動力が駆動部に伝わると、スクリュー部材とナット部材
とが相対的に前後方向へ移動して座席側のレールと車体
側のレールとが相対的に前後方向へ移動し、それによ
り、座席が前後方向へ移動して座席の位置を調節するこ
とができる。

「実施例」 以下、図面に基づき本考案の一実施例を説明する。

第１図および第２図は本考案の一実施例を示している。

第１図に示すように、車体フロア10に図示省略した座席
がパワーシートスライド装置20aを介して前後移動調節
可能に装着されている。

パワーシートスライド装置20aは座席の両側部の下方に
それぞれ配されて前後方向に延びる一対のレールユニッ
ト20,20を有している。レールユニット20は車体フロア1
0にレッグ部材12,13を介して固設される車体側のレール
21と、車体のレール21に前後移動可能に嵌合し座席を支
持する座席側のレール22とから成っている。

車体側のレール21は溝状断面に形成され、底面部23と両
側壁24を有している。同じく、座席側のレール22は溝状
断面に形成され、天井部25と両側壁26とを有している。

車体側のレール21の開口と座席側のレール22の開口とが
合わさり、車体側のレール21の底面部23および両側壁24
並びに座席側のレール22の天井部25および両側壁26によ
り取り囲まれて空隙20bが形成されている。

第１図および第２図に示すように、空隙20bには駆動部3
0が配されている。駆動部30は前後方向へ延びるスクリ
ュー部材31と、スクリュー部材31に螺合するナット部材
32とを有している。ナット部材32は前後移動不能かつ回
転不能に図示省略したストッパ部材により前後から挟ま
れるようにして車体側のレール21に係止されている。

座席側のレール22の天井部25の前端部は盛り上がって収
納室20cに成っている。収納室20cにはギアケース40が格
納されている。ギアケース40はハットチャンネル断面形
に折曲された挟持ブラケット50の両壁部51により前後方
向から挟まれている。両壁部51から前後方向へそれぞれ
延びるフランジ部52が天井部25にボルトによって締着さ
れている。

スクリュー部材31の後端部が軸受部材33を介して回転可
能に座席側のレール22の天井部25に枢支されている。ま
た、スクリュー部材31の前端部が挟持ブラケット50の両
壁部51およびギアケース40に挿通していて、これらを介
して座席側のレール22の天井部25に回転可能に支持され
ている。

スクリュー部材31の前端には、挟持ブラケットの前側の
壁部51に当接してスクリュー部材31の後方への抜けを阻
止可能な抜止め用のナット37が螺着されている。同じ
く、スクリュー部材31の前端部には、ギアケース40の後
面部に当接してスクリュー部材31の前方への移動を阻止
可能なリング部材38が嵌着されている。

ギアケース40にはウオーム41が回転可能に内装されると
ともに、ウオーム41に噛合するウオームホイール42が内
装されている。ウオームホイール42は、ギアケース40に
挿通したスクリュー部材31の前端部に一体的に回転可能
に固設されている。

ギアケース40の前面部と挟持ブラケット50の前側の壁部
51との隙間、並びに、ギアケース40の後面部と挟持ブラ
ケット50の後側の壁部51との隙間には一枚もののシート
状の弾性部材55が介装されている。

一方のレールユニット20の座席側のレール22の側壁26
に、支持ブラケット61を介して駆動モータ60が装着さ
れ、駆動モータ60から両側方向への図示省略した出力軸
が穿設されている。一方、座席側のレール22の側壁26に
は図示省略した挿通孔が穿設されており、その挿通孔を
通して、前記出力軸とウオーム41のウオーム軸である回
転軸が対向していて、出力軸にウオーム41の回転軸が連
結されている。次に作用を説明する。

座席側のレール22に駆動部30とギアケース40とを取り付
けるには、予め、ギアケース40にウオーム41とウオーム
ホイール42とを噛合させた状態で内装しておき、ギアケ
ース40をシート状の弾性部材55を介して前後方向から挟
持ブラケット50で挟むようにしておく。

一方、スクリュー部材31にナット部材32を噛合するとと
もに、スクリュー部材31の後端部に軸受部材33を嵌合す
る。

次に、組付けられたギアケース40と挟持ブラケット50と
に、スクリュー部材31の前端部を挿通する。このとき、
スクリュー部材31の前端部をウオームホイール42に相互
に回転不能に嵌合するようにする。

次に、スクリュー部材31の前端に抜止め用のナット37を
螺着する。また、ギアケース40の後面部と後面部に沿わ
せた弾性部材55との隙間からリング部材38を入れて、ス
ックリュー部材31に嵌着する。それにより、スクリュー
部材31が前後方向へガタつかないようになる。

前述のように組み付けた駆動部30とギアケース40とを座
席側のレール22に取り付けるには、先ず、座席側のレー
ル22の天井部25に下方から軸受部材33を当てがってリベ
ット等で止める。

次に、挟持ブラケット50のフランジ部52を座席側のレー
ル22の溝状断面の溝内面側である収納室20cの天井部25
の所定位置に当てがってボルト止めする。

このとき、各部品の寸法のバラツキ等から主にギアケー
ス40の前後方向の位置にバラツキが生じて、ギアケース
40と挟持ブラケット50との相対的な位置ずれが発生して
いる場合に、挟持ブラケット50を天井部25の所定位置に
ボルト止めすると、挟持ブラケット50の両壁部51の一方
に弾性部材55が押され、挟持ブラケット50の一方の壁部
51とギアケース40とにより弾性部材55が両側から押し込
まれ撓む。

弾性部材が撓むことにより、前記バラツキが吸収され、
挟持ブラケット50は座席側のレール22の収納室20cの天
井部25に簡単に組み付けることができる。

前後して、駆動モータ60の図示省略した出力軸と、ウオ
ーム部材41とを連結する。

ナット部材32を車体側のレール21に前後移動不能に係止
するには、前述したように、駆動部30、ギアケース40お
よび駆動モータ60を組み付けておいた座席側のレール22
に、車体側のレール21を後方から嵌合していき、所定量
嵌合したところで、ナット部材32を図示省略したストッ
パ部材を介して車体側のレール21に固設すればよい。

駆動モータ60を始動すると、図略した出力軸〜ウオーム
41〜ウオームホイール42を介してスクリュー部材31が回
転する。

ナット部材32が回転不能かつ前後移動不能に車体側のレ
ール21に係止されているため、スクリュー部材31が回転
すると、スクリュー部材31はナット部材32に送られて徐
々に前後移動する。

それにより、座席側のレール22が前後方向へ移動し、図
示省略した座席が前後方向へ移動して座席の位置を調節
することができる。

前後方向の衝突時等の過大な荷重が軸受部材33〜スクリ
ュー部材31を介してギアケース40にかかると、その荷重
全部をギアケース40が受け止めずに、その荷重が弾性部
材55を介して挟持ブラケット50に伝わって分散するよう
になる。

それにより、ギアケース40の剛性を必要以上に上げるこ
となく、例えば、ギアケース40が小型化して、レールユ
ニット20全体をコンパクトにすることができる。

前記実施例においては、ギアケース40を弾性部材55を介
して挟持ブラケット50で前後方向から挟むようにして、
弾性部材55が適宜撓むことにより、各部品の寸法のバラ
ツキ等を吸収するようにしたが、これに限らず、ギアケ
ース40を挟持ブラケット50で弾性部材55等を介さないで
直接前後方向から挟むようにして、挟持ブラケットに位
置調節用の長孔を穿設したりして長孔により前記バラツ
キを吸収した上で挟持ブラケットを座席側のレール22に
装着するようにしてもよい。

「考案の効果」 本考案に係るパワーシートスライド装置によれば、ギア
ケースを前後方向から挟持ブラケットで挟み、その挟持
ブラケットを座席側のレールに固設するようにしたの
で、ギアケースと挟持ブラケットとの位置調整、あるい
は挟持ブラケットと座席側のレールとの位置調整によっ
て、ギアケースに集まった形の各部品の寸法のバラツキ
等が吸収されて、手間をかけないで、ギアケースを挟持
ブラケットを介して簡単に座席側のレール等に装着する
ことができ、組付工数が減って、組立コストを低減する
ことができる。また、ギアケースを前後方向から挟持ブ
ラケットで挟むようにしたので、前後方向の衝突等の際
にギアケースにかかる衝撃荷重が小さくなり、ギアケー
スが具備すべき剛性が小さくなってギアケースを小型に
することができる。

さらに、車体側のレールと座席側のレールとの一方の側
壁に、動力の出力軸側とウオーム軸とを連結する際の挿
通孔を穿設するようにしたので、例えば、ギアケースを
収納空間に取り入れるための大きな取入用の穴をレール
ユニットに開設する必要がなく、レールユニットの剛性
を高いものに維持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を示しており、
第１図はレールユニット等の分解斜視図、第２図は同じ
く要部断面図である。 10……車体フロア 20……レールユニット 20a……パワーシートスライド装置 20b……空隙（収納空間） 20c……収納室 21……車体側のレール 22……座席側のレール 30……駆動部 31……スクリュー部材 32……ナット部材 40……ギアケース 41……ウオーム 42……ウオームホイール 50……挟持ブラケット 55……弾性部材 60……駆動モータ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】据付部位に固定される車体側のレールと、
   該車体側のレールに相対的に前後移動可能に嵌合して座
   席を支持する座席側のレールとを有するレールユニット
   を備え、動力により駆動部を介して前記車体側のレール
   と前記座席側のレールとを相対的に前後方向へ移動させ
   て座席の前後位置を調節するようにしたパワーシートス
   ライド装置において、 前記車体側のレールと前記座席側のレールとを溝状断面
   にそれぞれ形成し、前記車体側のレールと前記座席側の
   レールとの各開口を相互に合せて前記車体側のレールと
   前記座席側のレールとにより前記駆動部を格納可能な収
   納空間を形成し、 前記駆動部は、前記車体側のレールと前記座席側のレー
   ルとの一方に長手方向に沿って延ばされ回転可能に支持
   されるスクリュー部材と、 該スクリュー部材に相対的に回転可能に螺合し、前記車
   体側のレールと前記座席側のレールとの他方に支持され
   るナット部材と、 前記車体側のレールと前記座席側のレールとの一方の側
   壁に穿設された挿通孔を通して動力の出力軸側にそのウ
   オーム軸が連結されるウオームと、該ウオームに噛合し
   て前記スクリュー部材を一体的に回転可能なウオームホ
   イールとが内装されるギアケースとを有し、 該ギアケースを挟持ブラケットにより前後方向から挟む
   とともに、前記車体側のレールと前記座席側のレールと
   の一方の溝状断面の溝内面側に前記挟持ブラケットを固
   設したことを特徴とするパワーシートスライド装置。