JPH0734566U - 雌型コンタクト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 基部の前端から後方へ屈曲して延びる弾性接
触片を備えた雌型コンタクトにおいて、弾性接触片の屈
曲部に直接何かが当接して屈曲部を押圧した場合でも、
屈曲部が有害な変形を起こさないようにする。 【構成】 雌型コンタクト１の基部２の左右両端から立
ち上がる左右の側壁部３の前端にそれぞれ切欠部８を設
ける。一方、弾性接触片５の屈曲部53の近傍には、左右
の側壁部３に向けて突出し、各切欠部８とそれぞれ遊嵌
する左右の突起９を設ける。切欠部８と突起９との間隔
は、弾性接触片５の正規の動きは許容するが、屈曲部53
に何かが当接した際の突起９の所定方向への所定距離以
上の移動は阻止するように設定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、嵌合する相手側雄型コンタクトとの確実な接触を維持するための弾 性接触片を備えた雌型コンタクトに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、例えば実公昭62-20144号公報や実開昭58-62564号公報に開示されている ように、嵌合する相手側雄型コンタクトとの確実な接触を維持するための弾性接 触片を備えた雌型コンタクトが知られている。この種の弾性接触片は、雌型コン タクトの前端から屈曲して雄型コンタクトの内部を後方へ延びるもので、弾性接 触片の屈曲部には嵌合する雄型コンタクトの確実な接触を維持するために必要な 弾性が付与されている。

【０００３】 このような弾性接触片を備えた雌型コンタクトにおいては、雄型コンタクトと 嵌合される際に雄型コンタクトが雌型コンタクトに対して斜めに挿入された場合 、雄型コンタクトの先端と当接した弾性接触片が斜め下方に押圧されて必要以上 に変形してしまい、弾性接触片の持つ所期の弾性が損なわれる虞れがあった。上 記各公報に記載の雌型コンタクトには、このような弾性接触片の下方向への無理 な変形を防止するために、雄型コンタクトに押圧されて下方へ移動する弾性接触 片の自由端側と当接して、この弾性接触片が所定以上下方へ移動するのを阻止す る突起が設けられている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記各公報に記載された雌型コンタクトに設けられた突起は、雄型コンタクト が雌型コンタクト内に斜めに挿入された際に弾性接触片の自由端側が所定以上に 変形するのを防止するのには有効であるが、雄型コンタクトが雌型コンタクトに 対して極端に斜めとなる場合には、雄型コンタクトの先端が雌型コンタクト内に 挿入される前に弾性接触片の屈曲部に当接して、屈曲部を必要以上に変形させる 場合があり、上述した従来の突起ではこのような屈曲部の有害な変形については 防止することかできなかった。雄型コンタクトとの嵌合時に限らず、雌型コンタ クトの輸送時やコネクタへの装着時などにも、屈曲部に対して直接何かが当接し て屈曲部が有害な変形をしてしまうということが起こり得る。

【０００５】 本考案は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、弾性接触片の屈曲 部に直接何かが当接して屈曲部を押圧した場合でも屈曲部の有害な変形を防止す ることが可能な雌型コンタクトを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案による雌型コンタクトは、前後方向に延びた基 部と、該基部の左右両端から立ち上がった左右の側壁部と、前記基部の前端から 後方に屈曲して延びた弾性接触片とを備えた雌型コンタクトにおいて、 前記弾性接触片の屈曲部近傍には、前記左右の側壁部のうち少なくとも一方の 側壁部に向けて突出した突起が形成され、 前記少なくとも一方の側壁部には、前記突起が遊嵌された、該突起の所定方向 への所定距離以上の移動を阻止する切欠部が形成されていることを特徴とする。

【０００７】 上記「遊嵌」とは、雌型コンタクトが雄型コンタクトと嵌合する際における屈 曲部の正規の変形を許容するだけの余裕が、突起と切欠部との間にあることを意 味する。

【０００８】 上記「所定方向」には、屈曲部が無理な変形を受け得る方向の全てを指す場合 と、例えば雌型コンタクトの前後方向あるいは上下方向など、その中の特定の方 向のみを指す場合とが含まれる。

【０００９】

【作用および考案の効果】

本考案による雌型コンタクトによれば、雌型コンタクトの左右の側壁部のうち 少なくとも一方の側壁部に形成された切欠部と遊嵌する突起が、弾性接触片の屈 曲部近傍に形成されていることにより、雌型コンタクトが雄型コンタクトと嵌合 する際に雄型コンタクトの先端が屈曲部と直接当接したり、あるいは雌型コンタ クトの取扱い中に何かが屈曲部と当接したりして、屈曲部を無理に変形させ得る ような場合でも、切欠部が突起の所定距離以上の移動を阻止するので、屈曲部が 有害な変形を受けることを防止することが可能となる。

【００１０】

【実施例】

以下、添付図面に基づいて本考案の実施例を説明する。

【００１１】 図１は本考案の一実施例による雌型コンタクトの概略構成を示す側面図、図２ は図１に示す雌型コンタクトの縦断面図および図３は図１におけるIII-III 線断 面図である。

【００１２】 図示した本実施例の雌型コンタクト１は、前後方向（各図における左右方向） に延びる基部２（図２参照）と、この基部２の左右両端から立ち上がった左右の 側壁部３（図３参照）とを備えるとともに、左右の側壁部３の上端から基部２と 平行に延びる上壁部４（図２参照）をも備えたボックスタイプのものである。

【００１３】 基部２の前端からは弾性接触片５が、後方に屈曲してコンタクト１の内部を後 方に向けて延びている。後方に向けて延びた弾性接触片５の自由端51は前方に向 けて屈曲しており、その下部は基部２と接触するのが望ましい。弾性接触片５の 自由端51がくる位置に対応させて左右の側壁部３には、この自由端51が正しい位 置にあるか否かを製造時に管理するための覗き孔６が設けられている。

【００１４】 雌型コンタクト１の内部に正しく挿入された雄型コンタクト（図示略）と接触 する、弾性接触片５の接触部52は、大きく湾曲した形状に形成されている。接触 部52を大きく湾曲させたことによって弾性接触片５全体の長さが長くなり、これ によって弾性接触片５に生じる応力の分散が図れるようになっている。また、弾 性接触片５の長さ方向中間部の下方には、左右の側壁３から切り起こされて内方 に突き出た側壁突起７が設けられている。側壁突起７は、雄型コンタクトが雌型 コンタクト１に対して斜めに挿入された際に、雄型コンタクトの先端部に押圧さ れた弾性接触片５の上記中間部と当接して、この中間部が所定以上に下方に移動 するのを阻止することによって、弾性接触片５が持つ所期の弾性が損なわれるの を防止する、従来公知の機能を有している。

【００１５】 左右の側壁部３の前端部には前端から後方に向けて溝形状に延びる左右の切欠 部８が形成されている。一方、弾性接触片５の屈曲部53近傍には、図３に示すよ うに左右の側壁部３に向けてそれぞれ突出し、左右の切欠部８とそれぞれ遊嵌す る左右の突起９が形成されている。左右の切欠部８および左右の突起９は、雄型 コンタクトが雌型コンタクト１内に正しく挿入された場合における弾性接触片５ の正規の動きは許容する一方で、弾性接触片５の屈曲部53に直接、上下方向ある いは後方に向けての力が作用した場合における屈曲部53のこれらの方向への所定 距離以上の移動は阻止するように、互いの間隔が決められている。屈曲部53に何 かが当接した場合でも、突起９の移動を切欠部８が阻止することによって、屈曲 部53の有害な変形が防止される。また雄型コンタクトが雌型コンタクト１に対し て斜めに挿入される場合においては、上述した側壁突起７が、弾性接触片５の中 間部と当接して、その所定以上の下方への移動を阻止すると共に、上記切欠部８ のうち特に上記突起９の下側に位置する縁の部分が、弾性接触片５の屈曲部53の 近傍に設けられたこの突起９と当接して、その所定以上の下方への移動を阻止す るので、弾性接触片５はその略全長にわたって弾性域を超えた変形が防止される こととなる。

【００１６】 以上、本考案による雌型コンタクトの実施例を説明したが、本考案はかかる実 施例の具体的態様に限定されることなく、種々の変更を行うことが可能である。

【００１７】 例えば前記実施例では、切欠部が雌型コンタクトの前端から後方に向けて延び る溝形状のものとされているが、切欠部が突起の周囲を囲む孔形状のものであっ てもよい。

【００１８】 また前記実施例では、切欠部および突起が、左右の側壁部および弾性接触片の 左右両側に設けられているが、切欠部および突起を、いずれか一方の側壁部およ び弾性接触片の対応する一方の側のみに設けるようにしてもよい。

【００１９】 なお、側壁部に弾性接触片に向って突出する突起を形成し、弾性接触片に切欠 部を形成することも可能である。

【００２０】 また前記実施例の雌型コンタクトは、基部、左右の側壁部および上壁部を備え たボックス型であるが、本考案が上壁部を有しない形状の雌型コンタクトに対し ても適用可能であることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例による雌型コンタクトの概略
構成を示す側面図

【図２】図１に示す雌型コンタクトの縦断面図

【図３】図１におけるIII-III 線断面図

【符号の説明】

１ 雌型コンタクト ２ 基部 ３ 側壁部 ５ 弾性接触片 ８ 切欠部 ９ 突起 53 屈曲部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後方向に延びた基部と、該基部の左右
   両端から立ち上がった左右の側壁部と、前記基部の前端
   から後方に屈曲して延びた弾性接触片とを備えた雌型コ
   ンタクトにおいて、 前記弾性接触片の屈曲部近傍には、前記左右の側壁部の
   うち少なくとも一方の側壁部に向けて突出した突起が形
   成され、 前記少なくとも一方の側壁部には、前記突起が遊嵌され
   た、該突起の所定方向への所定距離以上の移動を阻止す
   る切欠部が形成されていることを特徴とする雌型コンタ
   クト。