JPH0734213A - 界面密着性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

界面密着性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板およびその製造方法

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JPH0734213A
JPH0734213A JP20026193A JP20026193A JPH0734213A JP H0734213 A JPH0734213 A JP H0734213A JP 20026193 A JP20026193 A JP 20026193A JP 20026193 A JP20026193 A JP 20026193A JP H0734213 A JPH0734213 A JP H0734213A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 合金化溶融Znめっき鋼板において、界面密
着性を高める。 【構成】 めっき皮膜中のFe濃度を7〜15wt%と
する。合金化加熱時の昇温速度を20℃/s以上にし
て、鋼板とめっき皮膜の界面にFeを濃化させる。Zn
めっき浴中のAl濃度を0.105〜0.3wt%として、
鋼板表面に微細な凸部を形成する。合金化加熱時の到達
温度を650℃以下に抑制して、鋼板の表面に形成され
るΓ相の成長を抑え、Γ相に比して厚いΓ1 相を形成す
る。合金化加熱の後に450〜550℃で3s以上の加
熱処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車、家電製品等の外
装材に適する界面密着性に優れた合金化溶融Znめっき
鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の車体の防錆力向上に対す
る要求が年々高まってきており、特に融雪塩を散布する
北米においてその要求が強い。このような要求に対し、
自動車の車体への表面処理鋼板の導入が進められてお
り、以前は孔あき腐食対策用として例えばフロアパネ
ル、メンバパネル、インナパネル等の内板に表面処理鋼
板が使用されてきたが、前述のような防錆目標の高度化
によって最近ではドア、フード、フェンダ、シルさらに
はピラーパネルといった外板にも表面処理鋼板の使用が
及んでいる。
【0003】自動車の車体に使用される表面処理鋼板と
しては、合金化溶融Znめっき鋼板(以下GA鋼板とい
う)を使用する場合が増えてきている。しかし、GA鋼
板を外板として使用するためには、次の点が問題とな
る。
【0004】塗装されたGA鋼板に対して衝撃が加えら
れると、めっき皮膜が鋼板とめっき皮膜の界面から剥離
し、素地鋼板を露出させることがある。この剥離はチッ
ピングと呼ばれ、低温であるほど塗膜樹脂の応力がめっ
き皮膜に大きく及ぶため、剥離径が大きくなる傾向があ
る。このため、冬期に小石等の衝撃を受けると、めっき
皮膜が比較的容易に剥離し、ここに融雪塩が散布されて
いると、局部腐食を生じ耐食性が著しく低下する。
【0005】GA鋼板の耐低温チッピング性を改善する
手段としては、例えば特開平3−243756号公報に
「チッピングを受ける外面側の皮膜中のFe濃度が5〜
11%、鋼板−めっき界面のΓ相の厚みが1.0μm以
下、めっき層のX線回析のメインピークがξ相である自
動車用GA鋼板」が提示されている。
【0006】一方、最近では表面処理鋼板の接合法とし
て、接着接合法がスポット溶接法に替わって使用され始
めた。これは、スポット溶接にはの問題点があるの
に対し、接着接合法にはの利点があるからであ
る。
【0007】スポット溶接の問題点 溶接チップが亜鉛と合金化するためチップの連続打
点性が冷延板の場合に較べて短かくなる。 スポット溶接の圧痕不良の仕上げ修正が必要とな
る。
【0008】接着接合法の利点 接合部の応力集中が小さいため剛性および疲労強さ
が向上する。 複雑な形状でも接合が容易。 異種鋼板の接合が容易。
【0009】GA鋼板に接着接合法を適用した場合、そ
の剥離が鋼板とめっき皮膜の界面で生じることから、め
っき密着性を改善することが、接着接合性を確保する上
で必要となる。
【0010】GA鋼板のめっき密着性を改善する手段と
しては、成形時の皮膜剥離(パウダリングまたはフレー
キング)を軽減する目的から、合金化温度やヒートパタ
ーンといったGA鋼板の操業条件の影響に関する研究
(日本鉄鋼協会講演大会「CAMP−ISIJ VO
L.1(1988)」がある。また、特開昭64−68
457号公報および特公平2−39585号公報により
提案されているようなめっき皮膜構造、生成形態、組成
等の改善がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
GA鋼板に対する耐低温チッピング性改善策、すなわ
ち、特開平3−243756号公報により提案されてい
る自動車用GA鋼板も、自動車の外板として用いること
ができる程度の耐低温チッピング性は持ち合わせない。
なぜなら、ξ相そのものに、高速の小石が衝突した時に
生じる衝撃エネルギーを吸収する能力が他の合金相より
多くあっても、その違いはわずかであり、その結果、ク
ラックはその下のδ1相を通過し、鋼板とめっき皮膜の
界面に容易に伝播するからである。
【0012】また、皮膜密着性についての改善策は、接
着接合法を適用した場合の自動車外板の界面剥離に対し
て充分な効力を示さない上に、耐低温チッピング性に対
しても効力が小さい。なぜなら、GA鋼板の耐チッピン
グ性とりわけ低温時の衝撃に対する皮膜密着性は、一般
の皮膜密着性とは異なるからである。
【0013】同様の理由から、特開平3−243756
号公報のGA鋼板における鋼板とめっき皮膜の界面の密
着性は、自動車外板に要求される接着接合性を満足しな
い。
【0014】本発明の目的は、耐ブリスター性、耐フレ
ーキング性、耐パウダリング性等の一般性能を低下させ
ずに、自動車外板として適用可能な耐衝撃密着性、とり
わけ低温における耐衝撃密着性、並びに接着接合性を確
保できる界面密着性に優れたGA鋼板およびその製造方
法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らのこれまでの
研究によると、GA鋼板の耐チッピング性は、めっき皮
膜の組成に大きく影響され、上層にη相が残存するよう
な皮膜中のFe量が7%未満の低FeGA鋼板では、η
相が衝撃を吸収するため剥離径は小さいが、このη相が
消失するとクラックが鋼板とめっき皮膜の界面まで達
し、界面に沿った剥離の伝播が生じて剥離径が大きくな
る傾向が見られる。
【0016】一方、めっき皮膜中のFe量を増加させ、
鋼板とめっき皮膜の界面にΓ相が形成されたδ1主体の
めっき皮膜とすれば、耐チッピング性が再び回復し、特
にFe量15%以上で自動車の外板として適用可能な耐
低温チッピング性が得られる。
【0017】しかし、一般性能でいえば、めっき皮膜中
のFe量が7%未満では耐ブリスター性および耐フレー
キング性が劣り、13%を超えると耐パウダリング性お
よび犠牲防食能力が低下するため、耐孔あき性等が低下
する。つまり、耐チッピング性の確保に好都合なFe量
では一般性能が犠牲になり、ここにGA鋼板の耐チッピ
ング性を確保することが困難な大きな理由があるわけで
ある。
【0018】また、接着接合性についても、接着剤強度
が大きくなると、チッピングによる剥離界面と同様に剥
離が鋼板とめっき皮膜の界面で生じ、現象は若干異なる
が皮膜中のFe量に対して同様な傾向を示すことを実験
的にも確かめている。つまり、チッピングによる剥離も
接着部の剥離も共に界面密着性が不足することによる問
題である。従って、現状では、高度の接着接合性を確保
することも同様に困難である。
【0019】本発明者らはこれらの難点を解消するため
に、めっき皮膜中のFe濃度勾配に着目し、一般性能確
保の観点からめっき皮膜のFe量を7〜15%に制限
し、鋼板とめっき皮膜の界面のみを高Fe濃度とするこ
とを企画した。即ち、チッピングによる剥離や接着部の
剥離は鋼板とめっき皮膜の界面で起こるため、この界面
を高Fe量とすれば、皮膜中のFe量を多くしなくても
界面剥離を防止でき、耐低温チッピング性および接着接
合性を含めた綜合性能が確保されるわけである。
【0020】そこで、合金化時の昇温速度を変化させて
製造した皮膜中Fe量が同一のGA鋼板を比較したとこ
ろ、昇温速度が大きくなるほど皮膜中のFeの濃度勾配
が大きくなり、高速度で昇温させた場合は低速度で昇温
させた場合に比べて鋼板とめっき皮膜の界面にFe量の
多い合金相が形成されることが確認された。これについ
ては、昇温速度が大きくなると、ξの安定成長が可能な
温度域を短時間で通過するため、ξ相の成長が少なく、
高温で安定なδ1相およびΓ相が直ちに成長するとの報
告がある。
【0021】しかし、合金化時の昇温速度を大きくする
ことによって自動車外板に必要な界面密着性を得ようと
すると、40〜45℃/秒を超える昇温速度が必要とな
る。そのような高速昇温では、例えば無処理の冷延鋼板
をめっき母材に用いた場合、めっき皮膜が一般のGA鋼
板に比べてかなり凹凸化するなどの弊害も認められた。
【0022】そこで本発明者らは、昇温速度の増大によ
る界面密着性の改善効果を更に高める手段として、界面
に凹凸を付与しアンカー効果を持たせることに着目し、
種々の調査研究を繰り返した結果、浴中Al濃度を所定
量以上に高め、その高AlのZn浴によるめっきと、合
金化時の高速昇温加熱との併用により、鋼板表面に微細
な凸部が形成され、比較的低速の昇温加熱によっても界
面密着性が著しく改善されることを知見した。
【0023】また、めっき皮膜の組織構造については、
素地鋼板の表面に形成されるΓ相の成長を抑え、Γ相に
比して厚いΓ1 相をその上に形成すると、耐パウダリン
グ性等が著しく向上すること、Γ相の形成を抑えるため
には、合金化高速昇温での到達温度を低くするのが有効
であること、到達温度を低くしたことによる二次弊害の
防止等のために、合金化高速昇温に続いて後熱処理を行
う必要のあることが判明した。
【0024】本発明は上記知見に基づきなされたもので
あり、その合金化溶融Znめっき鋼板は、素地鋼板表面
にFe濃度が7〜15wt%の合金化Znめっき皮膜が
形成され、且つ、鋼板とめっき皮膜の界面にFeが濃化
された合金化溶融Znめっき鋼板において、鋼板表面に
最大径が10μm以下、高さが0.1〜2μmの凸部が形
成され、その表面に1.5μm以下のΓ相、0.5〜3.5μ
mのΓ1 相が順に形成され、更にその上層がδ1 相ある
いはδ1 +ζ相よりなることを特徴とする。
【0025】また、本発明の合金化溶融Znめっき鋼板
の製造方法は、鋼板を浴中Al濃度が0.105〜0.3w
t%のZn浴でめっきした後、そのめっき鋼板に板温が
420〜650℃の温度域で20℃/s以上の昇温速度
で合金化処理を行い、引き続いて450〜550℃で3
s以上の加熱処理を行うことを特徴とする。
【0026】
【作用】GA鋼板の界面密着性は皮膜中のFe濃度に大
きく左右され、皮膜中のFe濃度が高くなるほど良好と
なる。そして、自動車用として満足される界面密着性を
確保するためには、少なくとも13%以上の高Fe%G
A鋼板が必要となる。しかし、このような高Fe%GA
鋼板では、特に耐パウダリング性が劣化する。
【0027】そこで、本発明では、皮膜にFe濃度の勾
配を与え、そのFe濃度を抑えつつ界面にのみ高Fe%
GA鋼板に類似した構造を与える。
【0028】本発明の合金化溶融Znめっき鋼板は、こ
のようなGA鋼板において、更に、鋼板表面に微細な凸
部を形成して、アンカー効果により界面密着性をより高
め、合わせてその表面に1.5μm以下のΓ相、0.5〜3.
5μmのΓ1 相を形成して、耐パウダリング性等の更な
る引上げを図ったものである。
【0029】鋼板表面に形成される凸部の最大径は10
μm以下、高さは0.1〜2μmとする。最大径が10μ
mを超えるとアンカー効果が低下する。高さが0.1μm
未満では凸部による界面密着性の改善効果がなく、2μ
mを超えると、鋼板表面の凸部がめっき皮膜の表面に現
れ、その粗さ増大がプレス時の摺動性低下につながる。
【0030】鋼板表面に形成されるΓ相の厚みが1.5μ
mを超えると、耐パウダリング性が著しく低下する。鋼
板表面に厚いΓ相が形成されると、図1(A)に示すよ
うに、皮膜に生じたクラックは、δ1 相の下面を板面に
平行な方向に進展するため、皮膜剥離量が増大する。し
かし、Γ相の形成が抑制され、鋼板上或いはその薄いΓ
相上に0.5μm以上のΓ1 相が形成されると、図1
(B)に示すように、皮膜に形成されたクラックは、鋸
刃状のΓ1 相の表面に沿っては進展せず、直ちにめっき
皮膜の表面に抜けるため、剥離量が著しく低減される。
ただし、Γ1 相の厚みが3.5μmを超えると、その下層
のΓ相の厚みを1.5μm以下に抑制することが困難とな
り、耐パウダリング性が低下する。
【0031】めっき皮膜中のFe濃度は7〜15%とす
る。7%未満では耐ブリフター性が劣る。このFe濃度
が増加すると、耐パウダリング性が低下するが、上述し
た本発明の皮膜構造により耐パウダリング性が向上する
ため、Fe濃度の上限は15%まで許容される。
【0032】本発明の合金化溶融Znめっき鋼板の製造
方法は、合金化時に高速昇温を行い、高Fe%GAに類
似した構造を鋼板とめっき皮膜の界面に与える。
【0033】高速昇温における昇温速度は20℃/s以
上とする。換言すれば、本発明では昇温速度の下限を2
0℃/sまで引き下げることができる。昇温速度が20
℃/s未満では、耐チッピング性が改善されるほどの高
Fe合金相を鋼板とめっき皮膜の界面に形成するのが難
しい。。
【0034】この高速昇温は、めっき浴を出てワイピン
グ装置を経た直後の初期加熱に用いるものであり、上層
にη相が残存しているめっき材にのみ有効である。これ
は、高速加熱が高速昇温によって初期に形成される界面
合金相を高Fe化するための加熱であるため、合金化の
完了しためっき材では効果がないからである。
【0035】昇温速度の上限については、特に限定する
ものではないが、薄板の加熱で高速昇温を行うには、加
熱電源を高周波領域にも対応させる必要があり電源コス
トの増大を招くこと、また、めっき皮膜が凹凸化するこ
となどから、80℃/s以下、更に好ましくは40℃/
s以下で操業することが望ましい。
【0036】加熱手段としてはガス燃焼加熱、輻射加
熱、直下加熱バーナー、通電加熱、高周波誘導加熱等の
いずれを採用してもよく特に限定するものではない。
【0037】高速昇温の温度範囲は、板温で420〜6
50℃の範囲内とする。これは、420℃未満では合金
相の形成がわずかしか認められず、650℃を超えると
めっき皮膜の合金化が進みすぎ、鋼板表面に厚いΓ相が
形成されて、耐パウダリング性等の性能を低下させるか
らである。
【0038】本発明の合金化溶融Znめっき鋼板の製造
方法は、合金化のための急速加熱に続けて、450〜5
50℃で3s以上の加熱処理を行う。この後熱処理は、
初期急速加熱のみでは皮膜中Fe濃度が7%に満たない
材料を所定のFe濃度に調整するのに有効である。ま
た、初期急速加熱によって皮膜中に形成される内部応力
を緩和させ耐パウダリング性を向上させる効果も有す
る。450℃未満あるいは450℃以上でも3s未満の
場合はこれらの効果が十分に得られない。一方、550
℃を超えると、合金化が過度に進みすぎるため、皮膜中
のFe濃度を15wt%以下に制御することが困難とな
る。
【0039】めっき浴中のAl濃度は0.105〜0.3w
t%とする。浴中Al濃度が0.105wt%未満では、
合金化時の高速昇温を併用しても鋼板表面にアンカー効
果に有効な凸部が形成されず、界面密着性の改善が充分
ではない。また、浴中Al濃度が0.3wt%を超える
と、鋼板表面に形成される凸部の高さが、昇温速度20
℃/s以上の範囲で2μmを超えてしまい、GA鋼板表
面の粗さが増大することによりプレス時の摺動性低下を
招くと共に、所定の合金化度を得るための加熱時間の延
長、合金化炉温の上昇、通板速度の低下等が必要とな
り、操業性が低下する。
【0040】Alの添加により鋼板表面に凸部が形成さ
れる理由は、明確には分かっていないが、大概次のよう
に推定される。鋼板をめっき浴に浸漬した場合、鋼板と
めっき皮膜の界面にFe−Al合金層が形成される。こ
の合金層は、浴中Al濃度が低い場合は短時間で消滅し
均一なFe−Zn反応へと進行する。しかし、浴中Al
濃度が高くなると、この合金層が局所的に破壊され、こ
れが鋼板表面の凸部形成に寄与すると考えられる。
【0041】Al以外の添加成分は特に限定せず、例え
ばPb,Sb,Si,Fe,Sn,Mg,Mn,Ni,
Cu,Ca,Li,Ti,ミッシュメタル等の1種また
は2種以上が少量含有されていてもよい。
【0042】鋼板の材質についても特に限定するもので
はなく、例えば、C,Si,Mn,P,S,sol.A
l,Ti,Cr,Nb,Cu,Ni等が一般に用いられ
ている範囲で含有されていても、本発明の趣旨を損ねる
ものではない。
【0043】本発明によれば、界面密着性の改善によ
り、自動車外板として使用可能な耐低温チッピング性お
よび接着接合性が得られ、更に、耐フレーキング性、耐
パウダリング性等の一般性能についても優れた性能が得
られる。
【0044】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0045】C:0.002%,Si:0.01%,Mn:
0.25%,P:0.06%,solAl:0.025%,T
i:0.01%の成分組成を有する板厚0.8mmのフルハ
ード冷延鋼板から100×250mmの供試材を採取し
た。これに前処理として溶剤脱脂、Na2 CO3 +Na
OH水溶液中での電解洗浄、水洗および乾燥を順番に行
った。
【0046】前処理を終えた供試材に溶融めっきシミュ
レーターを用いて、5%O2 +N2中で500℃×30
秒の加熱処理を行った後、25%H2 +N2 の雰囲気に
て750℃×60秒の還元焼鈍を行い、引き続いてAl
濃度を変化させた460℃のZn浴にてめっきを行っ
た。
【0047】そして、ワイピング処理にて付着量を60
g/m2 に調整した後、高周波誘導加熱装置を用い周波
数100kHzで熱処理を行った。熱処理は一定速度で
昇温させる初期合金化の後に、引き続き所定の温度の等
温後熱処理を行うものとした。
【0048】合金化処理後の供試材の耐パウダリング
性、耐低温チッピング性、接着接合性、鋼板表面に形成
された凸部の形状を下記により調査した。
【0049】1)耐パウダリング性 供試材を直径60mmの円盤状に打ち抜き、ポンチ直径
30mm、ダイス肩半径3Rの円筒絞り試験を行った
後、外側円筒部のテープ剥離を行い、剥離程度を目視に
より観察して、次の基準により評価した。 (良)◎ ○ △ ×(劣)
【0050】2)耐低温チッピング性 供試材を150×70mmの大きさに切り出し、これに
浸漬式リン酸化成処理、カチオン型電着塗料、中塗り、
上塗りの3コート塗装(合計厚100μm)を行った。
その後、この塗装板を−20℃に冷却保持し、グラベロ
試験機にて直径4〜6mmの砂利石10個をエア圧2.0
kg/cm2 、衝撃速度100〜150km/hrの条
件で衝突させるチッピング試験を行い、剥離径を測定し
た。
【0051】3)接着接合性 供試材から25×100mmの大きさの2枚の試料を切
り出し、ライオン油脂製−液エポキシ系接着剤を0.3m
mの厚さに塗布し、重ね代12.5mmで重ね合わせた試
料を焼付け温度180℃で加熱処理した後、剪断引張試
験に供し、その最大剥離強度を測定した。
【0052】4)凸部形状 GA皮膜をインヒビター入り塩酸水溶液に浸漬し溶解し
た後、鋼板の表面および断面をSEM観察し、1000
倍視野内の5箇所平均で凸部の径および高さを求めた。
【0053】鋼板表面の凸部が耐低温チッピング性およ
び接着接合性に及ぼす影響を調査した結果を表1に示
す。浴中Al濃度は0.1〜0.308wt%、初期合金化
における昇温速度は15,20,40℃/s、到達温度
は500℃(一定)とした。初期合金化に続く後熱処理
では、温度を500℃(一定)とし、GA皮膜中のFe
濃度が11%となるように処理時間を調整した。
【0054】また、Γ相、Γ1 相が耐低温チッピング
性、接着接合性および耐パウダリング性に及ぼす影響を
調査した結果を表2に示す。ここでは、めっき浴中Al
濃度を0.122%に統一し、初期合金化での昇温速度を
10,20,30,40℃/sの4段階に変化させ、合
わせてその到達温度および後熱処理条件を変化させた。
【0055】表1および表2から次のことが分かる。
【0056】めっき浴中Al濃度が低いと、鋼板表面に
小さくて高い凸部が形成されず、その結果、耐低温チッ
ピング性および接着接合性が十分に改善されない。めっ
き浴中濃度を高くしても、昇温速度が遅いと、やはり有
効な凸部が鋼板表面に形成されず、界面密着性が不足す
る(以上、表1より)。
【0057】初期合金化時の昇温速度が遅いと、鋼板と
めっき皮膜の界面が高Fe化されず、後熱処理を併用し
ても、耐低温チッピング性および接着接合性が低く、耐
パウダリング性も悪い。初期合金化時の昇温速度を速く
し、且つ、その到達温度を抑えると、Γ相の形成が抑制
され、Γ相に比して厚いΓ1 相が形成されることによ
り、界面密着性が著しく向上する。但し、後熱処理が行
われない場合、また、これを行ってもその条件が適切で
ない場合は、主に耐パウダリング性が低下する(以上、
表2より)。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】本発明の合金化溶融Znめっき鋼板は、
素地鋼板表面にアンカー効果を発現する微細な凸部を有
するので、鋼板とめっき皮膜の界面密着性に著しく優
れ、高度の耐低温チッピング性および接着接合性を有す
る。また、めっき皮膜中のFe濃度を抑え、且つ鋼板表
面に形成されるΓ相の成長を抑え、Γ相に比して厚いΓ
1相を形成したので、耐パウダリング性等の性能も著し
く高い。
【0061】本発明の合金化溶融Znめっき鋼板の製造
方法は、合金化時の高速昇温により、鋼板とめっき皮膜
の界面にのみ高Fe%GAの界面構造を実現し、めっき
皮膜中のFe%を適正に保つので、耐パウダリング性お
よび耐フレーキング性等の一般性能と合わせて、自動車
外板に要求されるような高度の耐低温チッピング性およ
び接着接合性を確保できる。その上、めっき浴中のAl
濃度を高めることにより、素地鋼板表面に微細な凸部を
形成し、これによるアンカー効果により、特に高い界面
密着性をGA鋼板に付与する。更に、合金化加熱時の到
達温度の抑制と、合金化加熱に続く後熱処理とにより、
鋼板表面に形成されるΓ相の成長を抑え、Γ相に比して
厚いΓ1 相を形成するので、耐パウダリング性等をより
改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】素地鋼板とめっき皮膜の界面構造を従来と本発
明とで比較して示す断面図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素地鋼板表面にFe濃度が7〜15wt
    %の合金化Znめっき皮膜が形成され、且つ、鋼板とめ
    っき皮膜の界面にFeが濃化された合金化溶融Znめっ
    き鋼板において、 鋼板表面に最大径が10μm以下、高さが0.1〜2μm
    の凸部が形成され、その表面に1.5μm以下のΓ相、0.
    5〜3.5μmのΓ1 相が順に形成され、更にその上層が
    δ1 相あるいはδ1 +ζ相よりなることを特徴とする界
    面密着性に優れた合金化溶融Znめっき鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板を浴中Al濃度が0.105〜0.3w
    t%のZn浴でめっきした後、そのめっき鋼板に板温が
    420〜650℃の温度域で20℃/s以上の昇温速度
    で合金化処理を行い、引き続いて450〜550℃で3
    s以上の加熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記
    載の合金化溶融Znめっき鋼板の製造方法。
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