JPH0733906A - 抗菌性樹脂組成物 - Google Patents

抗菌性樹脂組成物

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JPH0733906A
JPH0733906A JP20198593A JP20198593A JPH0733906A JP H0733906 A JPH0733906 A JP H0733906A JP 20198593 A JP20198593 A JP 20198593A JP 20198593 A JP20198593 A JP 20198593A JP H0733906 A JPH0733906 A JP H0733906A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗菌性樹脂組成物であって、樹脂中における
抗菌剤の分散性および安定性を良好にし、持続性のある
優れた抗菌性の付与された成形品を得る。 【構成】 合成樹脂100重量部に対して、金属を保持し
たゼオライト系抗菌剤0.1〜25重量部、ワックスおよび
脂肪酸の金属塩0.01〜10重量部を配合することにより構
成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性を有する合成樹
脂組成物に関し、さらに詳しくは、抗菌剤の配合により
変色することがなく、長期間安定した抗菌効果を持続す
る耐熱性、耐光性に優れた抗菌性合成樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ABS樹脂および不飽和ポリエステル樹脂等の
プラスチックは、木材等と比較してカビや細菌のような
微生物に対し、優れた耐久性を有していることから、家
庭用品、産業用水回り製品等多方面に利用されている。
これらの製品は、一般に水に晒されたり、水が付着した
状態で置かれることが多いため、長期間の使用におい
て、表面がカビや細菌により変色する現象が見られた。
また、飲料用材料や医療用材料においては、カビや細菌
の繁殖によって異臭が発生するのが極端に嫌われてい
る。そのため、最近では抗菌性を有するプラスチックの
要望が非常に高まっている。
【0003】従来、プラスチックに抗菌性を持たせるた
め、各種の抗菌剤をプラスチックに保持している。例え
ば、殺菌作用を有する金属を保持したゼオライト化合物
が提案されている。(特開昭62−241832号公
報) また、特公昭63−28402号公報には、アルカリ土
類金属の炭酸塩と、銀イオン、亜鉛イオン、銅イオンま
たはそれの混合物から選ばれた抗菌性の金属イオンをイ
オン交換吸着させたゼオライトとの混合物の成形物から
なる水処理に適する抗菌性組成物が提案されている。
【0004】また、メラミン樹脂(特開昭53−109
941号公報)、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボ
キシル基を有する高分子(特開昭53−109941号
公報)に抗菌性金属イオンをイオン結合させた例、ポリ
スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂等のポリマービーズに
抗菌性金属、金属塩、金属酸化物をメカノケミカルな方
法で担持した例(特開昭63−251483号公報)が
提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、ゼオ
ライトに抗菌性金属を保持したのや高分子表面に抗菌性
金属をメカノケミカルな方法で保持したものは、プラス
チックに対する分散性が十分でないため、押出成形や射
出成形したプラスチック成形品表面の抗菌性に問題があ
った。特に、プラスチック成型機内で冷却により固化す
る段階で、抗菌剤は、中心部に移行する現象が見られ
た。そのため、プラスチック表面での抗菌力が発現しな
いか、あるいは、抗菌力にむらが生じやすく、また制菌
力程度の抗菌性しか示さない場合があった。従来技術に
あっては、上記の課題を解決するためにプラスチック表
面をブラストするか(特開平2−293123号公報)
あるいは、抗菌剤の増量以外に方法がなかった。後者で
は、プラスチックの変色が著しく、かつ、プラスチック
の強度低下をきたした。本発明者等は、上記の問題点を
解消すべく種々研究を重ねた結果、合成樹脂に抗菌性の
金属を保持したゼオライトを分散させるにあたり、ワッ
クスと脂肪酸の金属塩を併用して配合した場合、合成樹
脂に対するゼオライト系抗菌剤の分散性が非常に優れ、
各種の微生物に対して抗菌作用を有し、長期間安定した
抗菌活性を持続することを知見して本発明に到達した。
【0006】
【問題点を解決するための手段】すなわち、本発明は、
合成樹脂100重量部に対して、金属を保持したゼオライ
ト系抗菌剤0.1〜25重量部、ワックスおよび脂肪酸の金
属塩0.01〜10重量部を配合することを特徴とする抗菌性
樹脂組成物である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、抗菌剤を配合する合成樹脂としては、例えば、
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリス
チレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、
ABS樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン
樹脂、ポリアミノ酸樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリア
クリロニトリル樹脂、エポキシ樹脂、フエノール樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0008】次に、本発明で使用される金属を保持した
ゼオライト系抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛および錫か
ら選ばれた金属の少なくとも1種を保持したゼオライト
化合物であり、これらは表面積の比較的大きい多孔質ゼ
オライトに銀、銅、亜鉛および錫からなる金属群から選
ばれた1種以上の金属を吸着保持させ活性化したもので
ある。これらの金属を保持したゼオライト系抗菌剤の配
合量は、合成樹脂100重量部に対して、0.1〜25重量
部、好ましくは0.1〜8重量部である。0.1重量部以下
では、抗菌性効果が発揮されず、また、25重量部以上で
は合成樹脂の物性が低下したり、変色が生じるので好ま
しくない。
【0009】また、本発明で使用されるワックスとは、
例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワック
ス、パラフインワックス、マイクロクリスタンワック
ス、カルナバワックス、蜜ロウ等が挙げられる。
【0010】また、本発明で使用される脂肪酸の金属塩
としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノ
ール酸、ナフテン酸、2−エチルヘキソエ酸等の脂肪酸
のカルシウム、マグネシウム、亜鉛、ストロンチウム等
の金属塩が挙げられる。
【0011】上記のワックスおよび脂肪酸の金属塩は、
合成樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、好まし
くは0.1〜5重量部配合される。0.01重量部以下では、
抗菌剤の合成樹脂に対する拡散および抗菌効果の持続性
が十分でなく、また、10重量部を越えてもそれに見合う
効果の向上が得られない。さらにまた、ワックスと脂肪
酸の金属塩の併用比率は、ワックス0.01〜75重量部に対
して、脂肪酸の金属塩0.01〜25重量部である。
【0012】また、本発明においては、抗菌性樹脂組成
物の色相安定性、耐光変色性、熱安定性等を向上させる
ことを目的として、ヒンダードアミン系耐光安定剤、リ
ン系酸化防止剤、フエノール系酸化防止剤、イオウ系酸
化防止剤等を配合することができる。なお、本発明にお
いては、必要に応じてその他の添加剤、例えば、顔料、
真珠光沢顔料、タルク、シリカ、アルミナ、シランカッ
プリング剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、界面活性剤
および核剤等を添加することができる。
【0013】本発明の抗菌性樹脂組成物を製造するに
は、合成樹脂に対して金属を保持したゼオライト系抗菌
剤とワックスおよび脂肪酸の金属塩を予め高濃度に配合
し、この配合物をバンバリーミキサー、ニーダー、ミキ
シングロール、押出成形機等により混練してマスターバ
ッチ化しておき、このマスターバッチを希釈して最終濃
度に調整される。
【0014】
【作用】本発明の抗菌性樹脂組成物は、合成樹脂に、金
属を保持したゼオライト系抗菌剤とワックスおよび脂肪
酸の金属塩を配合して構成してあるので、この抗菌性樹
脂組成物から得られた成形物は抗菌剤が均一に分散され
ているため、長期間にわたって抗菌作用が持続される。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0016】実施例1 ABS樹脂(商品名:デンカGR1000T、電気化学工業
(株)社製品)100重量部にAg保持型ゼオライト抗菌
剤(商品名:ゼオミックAD10D(株)シナネンニュー
セラミック社製品)12重量部、ポリエチレンワックス
(商品名:三井ハイワックス、三井石油化学社製品)5
重量部、ステアリン酸亜鉛2重量部および酸化防止剤
(商品名:イルガノックス#1010、チバ・ガイギー社製
品)0.5重量部を配合し、配合物をバンバリーミキサー
で10分間混練する。さらにこの混合物を30m/mベント式
押出成形機に供給して抗菌性マスターバッチペレットを
得た。次いで、上記の抗菌性マスターバッチペレット10
重量部と上記と同様のABS樹脂90重量部をタンブラー
で混合して抗菌性樹脂組成物を得た。さらに、上記で得
た抗菌性樹脂組成物を用い3.5オンス射出成形機により
220〜240℃にて5cm×9cm×2m/m のテストピースを
成形した。上記のテストピースを用いて抗菌性試験を行
った。その結果を表1に示す。 (抗菌性能の試験方法) 菌数:減菌蒸留水に大腸菌(Escherichia coli) を溶
いて10〜10ケ/ccとする。 テストピース:テスト面をエタノールで拭く。 培養:上記テストピース上に上記菌液1ccを滴下す
る。(約直径2cm位に広がる) これをシャーレ内で35℃、24時間保持する。 測定:上記菌液を生理食塩水で洗い出してBBL培地
で35℃、24時間培養し、菌数を測定する。
【0017】実施例2 ポリプロピレン樹脂(商品名:JHG、三井石油化学
(株)社製品)100重量部にAg保持型ゼオライト抗菌
剤(商品名:ゼオミックAD10D(株)シナネンニュー
セラミック社製品)12重量部、ポリエチレンワックス(
商品名:三井ハイワックス、三井石油化学社製品)5重
量部、ステアリン酸亜鉛2重量部および酸化防止剤(商
品名:イルガノックス#1010、チバ・ガイギー社製品)
0.5重量部を配合し、配合物をバンバリーミキサーで10
分間混練する。さらに、この混合物を30m/mベント式押
出成形機に供給して抗菌性マスターバッチペレットを得
た。次いで、上記の抗菌性マスターバッチペレット10重
量部と上記と同様のポリプロピレン樹脂90重量部をタン
ブラーで混合して抗菌性樹脂組成物を得た。さらに、上
記で得た抗菌性樹脂組成物を用い3.5オンス射出成形機
により220〜240℃にて5cm×9cm×2m/m のテストピ
ースを成形した。上記のテストピースを用いて実施例1
と同様にして抗菌性試験を行った。その結果を表1に示
す。
【0018】実施例3 ABS樹脂(商品名:JSR−35、日本合成ゴム(株)
社製品)100重量部にAg保持型ゼオライト抗菌剤(商
品名:ゼオミックスAD10D(株)シナネンニューセラ
ミック社製品)12重量部、ポリエチレンワックス( 商品
名:三井ハイワックス、三井石油化学社製品)5重量
部、ステアリン酸マグネシウム2重量部および酸化防止
剤(商品名:イルガノックス#1010、チバ・ガイギー社
製品)0.5重量部を配合し、配合物をバンバリーミキサ
ーで10分間混練する。さらに、この混合物を30m/mベン
ト式押出成形機に供給して抗菌性マスターバッチペレッ
トを得た。次いで、上記の抗菌性マスターバッチペレッ
ト10重量部と上記と同様のABS樹脂90重量部をタンブ
ラーで混合して抗菌性樹脂組成物を得た。さらに、上記
で得た抗菌性樹脂組成物を用い3.5オンス射出成形機に
より220〜240℃にて5cm×9cm×2m/m のテストピー
スを成形した。上記のテストピースを用いて実施例1と
同様にして抗菌性試験を行った。その結果を表1に示
す。
【0019】実施例4 2%の微粉末シリカを予め混合分散せしめた不飽和ポリ
エステル樹脂100重量部にAg保持型ゼオライト抗菌剤
(商品名:ゼオミックAD10D(株)シナネンニューセ
ラミック社製品)10重量部、ポリエチレンワックス( 商
品名:三井ハイワックス、三井石油化学社製品)5重量
部、ステアリン酸マグネシウム2重量部を均一に混合す
る。次いで、上記の混合物に下記組成の着色剤1重量部
を混合する。 (着色剤組成) 不飽和ポリエステル樹脂 100重量部 二酸化チタン顔料 98重量部 銅フタロシアニングリーン顔料 2重量部 さらに、この着色されたゲルコート樹脂に硬化触媒とし
てナフテン酸コバルト0.4重量部、硬化剤としてメチル
エチルケトンパーオキサイド1重量部を加え、ただち
に、離型剤を塗布した10cm×10cmのプラスチック型に流
し込み硬化してテストピースを成形した。上記のテスト
ピースを用いて実施例1と同様にして抗菌性試験を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0020】比較例1 実施例1において、ステアリン酸亜鉛を配合してない組
成物について、実施例1と同様にして成形テストピース
を作成し、抗菌性試験を行った。その結果を表1に示
す。
【0021】比較例2 実施例2において、ポリエチレンワックスを配合してな
い組成物について、実施例2と同様にしてテストピース
を作成し、上記のテストピースを用いて実施例1と同様
にして抗菌性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0022】比較例3 実施例3において、ステアリン酸マグネシウムを配合し
てない組成物について、実施例3と同様にしてテストピ
ースを作成し、上記のテストピースを用いて実施例1と
同様にして抗菌性試験を行った。その結果を表1に示
す。
【0023】比較例4 実施例4において、ポリエチレンワックスを配合してな
い組成物について、実施例4と同様にしてテストピース
を作成し、上記のテストピースを用いて実施例1と同様
にして抗菌性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0024】表1中、NDは「検出せず」を表す。ま
た、比較例は各々の実施例に対する銀ゼオライト単独の
場合を示す。なお、本発明の実施例および比較例の各テ
ストピース表面の銀ゼオライトの分散状態を確認するた
めにX線分析装置により定性的に分析した。その結果、
ゼオライト結晶格子内にある銀イオンは検出できなかっ
たが、ゼオライト組成のアルミ、シリカのピークは明ら
かに本発明の実施例に対するピークが大きく良好な分散
状態を示した。なおまた、本分析は下記の機器を用い
た。 SEM:日立S−530型 EDX:堀場EDX−1700X線分析計
【0025】表1から、本発明にかかる実施例1〜4は
いずれも「ND」であって、菌が検出されず、抗菌性を
有することがわかる。これに対して、比較例1〜4はい
ずれも菌が検出された。
【発明の効果】本発明の抗菌性樹脂組成物は、樹脂中に
おける抗菌剤の分散性および安定性が良好であるため、
該抗菌性樹脂組成物を用いることにより持続力のある優
れた抗菌性が付与された成形品を得ることができる。こ
のような特徴を有する本発明の抗菌性樹脂組成物は、各
種の水回り製品、台所用品、浄水器、家電製品等のカビ
や雑菌の繁殖防止材料として有効である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂100重量部に対して、金属を保
    持したゼオライト系抗菌剤0.1〜25重量部、ワックスお
    よび脂肪酸の金属塩0.01〜10重量部を配合することを特
    徴とする抗菌性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 金属を保持したゼオライト系抗菌剤が
    銀、銅、亜鉛および錫を保持したゼオライトであること
    を特徴とする請求項1記載の抗菌性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ワックスがポリエチレンワックス、ポリ
    プロピレンワックスから選ばれた1種または2種以上で
    ある請求項1記載の抗菌性樹脂組成物。
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