JPH0733793A - シアル酸粉末 - Google Patents

シアル酸粉末

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JPH0733793A
JPH0733793A JP5202586A JP20258693A JPH0733793A JP H0733793 A JPH0733793 A JP H0733793A JP 5202586 A JP5202586 A JP 5202586A JP 20258693 A JP20258693 A JP 20258693A JP H0733793 A JPH0733793 A JP H0733793A
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H1/00Processes for the preparation of sugar derivatives

Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規なシアル粉末の提供。 【構成】 非結晶性シアル酸粉末。シアル酸粉末を急速
凍結し、凍結乾燥することによって製造され、融点131
〜130 ℃ (分解点) を示し、示差走査熱分析(165〜200
℃の範囲) 及びX線回折パターン( 5°≦2θ≦40°の
範囲) においても結晶を示す特有のピークが存在しな
い。 【効果】 反応性に富み、医薬、その他の原料として利
用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な非結晶性のシア
ル酸粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】シアル酸は複合糖質糖鎖の非還元末端に
通常見いだされる酸性糖質である。その骨格は、ノイラ
ミン酸のN−アセチル体あるいはN−グリコリル体であ
り、その他に骨格の水酸基の内1カ所〜数カ所がO−ア
セチル化されたものも十数種見いだされており、現在シ
アル酸と言うと、これら誘導体の総称とみなされる〔例
えば、ローラント シャウアー,生化学59(3) 133-146
(1987) 〕。シアル酸含有化合物としては、糖タンパク
質あるいは糖脂質等の複合糖質が知られており、これら
のものは、糖鎖にシアル酸が付加することによって、細
胞間認識、生体防御機構あるいは異物認識の際に重要な
役割を担っていることが知られている。また、シアル酸
には、この他にも、インフルエンザウイルスのレセプタ
ー活性や、糖鎖含有血中成分の血中半減期の制御等の活
性が知られており、近年益々研究が盛んになってきてい
る。また、シアル酸単体には、去痰活性も見いだされて
おり、医薬品としての利用も考慮されている(特開昭61
-127484 号公報) 。
【0003】これら天然に存在するシアル酸含有化合物
の他に、合成された非天然型のシアル酸含有化合物も非
常に注目を浴びている。糖鎖にシアル酸が結合すること
によって起こる、その物質の生体防御機構からのマスキ
ングや、体内半減期の延長といった、シアル酸の持つ機
能に注目して、薬物にシアル酸を人工的に結合させるこ
とにより、投薬量を減らしたり、毒性を軽減する等の様
々な試みがなされている。また、シアル酸含有糖鎖が、
ある種のインフルエンザウィルスのレセプターとなるこ
とも知られているが、これを逆に利用して、このレセプ
ターのアナログを合成し、ウィルスをそれに付着させる
ことで感染を予防するという、感染防御因子としてシア
ル酸誘導体を利用するという動きもある。シアル酸誘導
体に関するこのような研究の進展から、有機合成、ある
いは、酵素合成の出発原料として、医薬品をはじめとす
る製造メーカーを中心に、シアル酸の需要が高まってき
ている。さらに、シアル酸の持つ去痰作用や、前述の感
染防御効果に着目すると、原料シアル酸の性質や、誘導
体への変換工程が、食品利用の規格を満足している場合
には、食品素材としての利用も十分に期待される。
【0004】シアル酸の調製法は、かつてはアマツバメ
(雨燕)の巣から酸加水分解するものが主体であった
が、このような工業的規模でのシアル酸の需要に応える
べく、近年様々な原料からの調製法が報告されている。
アマツバメの巣や、鶏卵、牛乳(特開昭63-28411号公
報) 等、天然の原料から精製する方法の他に大腸菌の変
異株から取得されたコロミン酸から精製する方法もあ
る。また、近年、遺伝子操作によって大量に取得可能と
なったシアル酸アルドラーゼの逆反応によって、主に、
N−アセチルグルコサミンとピルビン酸ナトリウムから
合成する方法もある。
【0005】
【発明が解決すべき課題】いずれの方法においても、最
終的には、シアル酸を粉末化して、乾燥する工程が必要
になるが、従来の方法では、水−有機溶媒系から結晶化
した後、この結晶を乾燥するのが主流である。今までの
報告では、シアル酸水溶液に、貧溶媒として酢酸を加え
て結晶化を行い、得られた結晶を濾取し、乾燥するのが
代表的である。この製法で得られた、結晶水を含まない
針状結晶の性質が、通常シアル酸の性質として認知され
ている。しかしながら、この製法においては、結晶化の
際に、大量の酢酸を使用するため、結晶濾過器、母液の
濃縮器、結晶の乾燥機などには、全て、防爆並びに防錆
処理を施す必要があった。また、最終製品から酢酸臭を
取り除く必要もあったが、このことは非常に困難であっ
た。
【0006】また、小倉ら〔Chem. Lett,1003-1006(198
4)〕は、水−ジオキサン系からシアル酸を再結晶させる
ことにより、水2分子を結晶水として含有するプリズム
型の結晶が得られることを見いだした。このプリズム晶
は、結晶化の貧溶媒として、ジオキサンの代わりに、食
品に使用可能な有機溶媒を使用すると、食品として利用
可能であるが、本質的に、分子の約1割に当たる10.43
%の水を含むため、嫌水的条件下で反応が行われる有機
合成の出発物質として使用するには不適当である。
【0007】さらに、凍結乾燥によってシアル酸水溶液
を乾燥する方法も知られているが、シアル酸水溶液の凍
結速度と得られたシアル酸粉末の、結晶化度を含めた固
体物性との相関性に関する検討はなされていない。従っ
て最終製品の結晶形態は、非晶質部分と、2水塩である
プリズム晶との混合体となり、固体物性や水分値の均質
化が非常に困難であった。本発明の課題は、シアル酸粉
末製造における酢酸処理を除き、物性、水分値等を均一
化することができるシアル酸粉末を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる状況
に鑑み、シアル酸粉末の代表例である、針状結晶と、2
水塩であるプリズム晶、並びに、種々の条件で調製した
シアル酸の凍結乾燥粉末の固体物性について、詳細に検
討を重ねた結果、シアル酸の水溶液を、結晶構造を形成
することのないように、急速に凍結した後、凍結乾燥す
ることにより、完全に非晶質のシアル粉末を得ることが
できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】本発明は、シアル酸粉末製造の際に、有機
溶媒を使用する必要が無いため、生産工場において、従
業員の健康を損なう心配はなく、また、爆発の危険が無
くなるので、防爆の為の設備投資が無用になり、大いな
るコスト低減が可能になる。また、有害な有機溶媒残存
の心配が無いため、シアル酸の原料として、天然物由来
のものを使用すれば、最終製品は、そのまま食品に使用
することが出来る。
【0010】さらに、本発明によって製造されたシアル
酸粉末の物理的、化学的性質について、研究を重ねた結
果、この粉末は、嫌水的条件下で行われる有機化学的反
応においては、従来から知られていた、針状結晶となん
ら差異無く使用することが出来るばかりか、むしろ、非
晶質であるが故に、有機溶媒への溶解性や、反応性が、
針状結晶よりも優れていることを見いだした。また、酵
素反応に使用する場合の水への溶解性も、針状結晶及び
プリズム型結晶のどちらに比較しても優れていることも
見い出した。すなわち本発明は、非結晶性のシアル酸粉
末に関する。本発明のシアル酸粉末は、シアル酸水溶液
を、シアル酸が結晶構造を形成することのないように急
速に凍結した後、凍結乾燥することにより製造すること
ができる。
【0011】次に、本発明を詳細に説明する。本発明で
使用するシアル酸の水溶液は、特にその原料や、生産過
程を限定されない。一例を挙げると、例えばアマツバメ
の巣や、鶏卵、牛乳等、天然の原料から公知の方法で精
製されたものが利用できる。特に、これらの原料を使用
した場合には、そのまま食品に使用することが出来る。
この他に、大腸菌の変異株から取得されたコロミン酸か
ら精製したものでも良い。また、近年、遺伝子操作によ
って大量に取得可能となった、シアル酸アルドラーゼの
逆反応によって、主に、N−アセチルグルコサミンとピ
ルビン酸ナトリウムから合成されたものも使用できる。
もちろん、これらの原料に制限されるものではない。
【0012】凍結乾燥を行う際の前処理として水溶液を
凍結する必要がある。この凍結は従来は、−20℃のフリ
ーザーあるいは、凍結乾燥機に内蔵の冷媒によって冷却
できる棚によって、数時間から一晩かけて行われてい
た。結晶水を取り込まずに水溶液から結晶化する物質の
場合は、この方法でも均一な粉末が取得できるが、2水
塩を含む結晶型を取り得るシアル酸の場合は、この方法
では、均質な粉末が取得できないことが、本発明者の研
究によって、明らかとなった(実施例1、3、4)。本
研究者は、この知見に基づき、鋭意研究を重ねた結果、
シアル酸の水溶液を急速凍結することで、2水塩を含む
結晶の部分的な生成を妨げ、完全に非晶質の凍結乾燥粉
を得ることができた(実施例5)。この、完全に非晶質
な粉体は、赤外吸収スペクトル及び水分値は、針状結晶
のそれに酷似しているが、融点は、低く、明確ではなか
った(実施例2)。これは、固体における分子の並びが
結晶に比して極めて粗で、且つ不規則である為である
が、本発明者は、この性質が、同一の物質でありなが
ら、粉体の溶解性並びに反応性を増大させるということ
をも見いだした(実施例6)。
【0013】さらに、本発明者は、従来のように、シア
ル酸水溶液をゆっくり凍結した場合は、凍結乾燥後のシ
アル酸粉末は結晶質と非晶質の混合体になり、均質化は
困難であること、並びに、この混合体と、本発明品であ
る非晶質の粉末は、示差走査熱分析やX線回折測定によ
って、明確に区別されるということをも見いだした(実
施例4、5)。本発明に於いて、凍結乾燥に供するシア
ル酸水溶液の濃度は、0.1 〜50重量%の間で特に限定さ
れないが、凍結乾燥の効率を考えた場合は10〜50重量%
のものが望ましい。ここにおいて、濃度が高いほど、シ
アル酸の結晶化が起こりやすいことを考慮すべきであっ
て、濃度が高いものほど、凍結速度を上昇させるように
冷却法を選択すると、少ない水分蒸発量で、効率よく、
均質なシアル酸粉末を取得することが出来る。
【0014】冷却法も特に限定されないが、通常のよう
に、凍結するべきシアル酸水溶液全体を、冷却装置に一
度に投入するよりも、液体窒素や、ドライアイス−アセ
トン浴、ドライアイス−エタノール浴等で冷却中の容器
に、少量ずつシアル酸水溶液を注入することが望まし
い。なお、冷却法も、もちろん上記の方法に限定される
ものでは無い。あくまで、水溶液中のシアル酸が、結晶
構造を取り得ないように、効率の良い冷却法と、凍結速
度を選択することが重要である。
【0015】このように、本発明においては、シアル酸
水溶液を急速に冷凍することによって、溶液中のシアル
酸分子の結晶化を完全に妨げることが出来、それがその
後凍結乾燥して得られる粉体の固体物性値の均質化をも
たらし、さらに、現在市場で一般的な、結晶化された製
品に比して、溶解性、反応性共に優れたシアル酸粉末を
製造することが出来る。
【0016】以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳し
く説明する。なお、本発明品は、これらの実施例に何ら
限定されるものではない。
【実施例1】 非結晶性シアル酸粉末の調製 シアル酸185.2gを水に溶解してシアル酸含有水溶液1235
g を得た。この水溶液を、充分量の液体窒素浴水で冷却
されているステンレス製バットに、100ml/分の速度で注
入して瞬間凍結させた。完全凍結までに要した時間は、
3〜15秒であった。このシアル酸含有水溶液の凍結物
を、25℃で4時間凍結乾燥して本発明の非晶性シアル酸
粉末 184.5gを得た(これを非晶粉1-1 いう)。こうし
て得られた非晶粉1-1 を、乳鉢で粉砕した後分級して粒
径が200 メッシュ以下の粉末とした。なお、完全凍結に
要する時間は、氷晶点測定測量の電極を水溶液中に差し
込み、氷晶点を測定して求めた。
【0017】対照の調製 針状結晶の調製:シアル酸50.4g を水に溶解してシア
ル酸含有水溶液112g(45%) を得た。この水溶液に、700
ml の氷酢酸を加え、0℃で一晩結晶化させた。析出し
た結晶を減圧濾取し、さらに、アセトン、ジエチルエー
テルにて洗浄後、減圧下、20℃で一晩乾燥させた。収量
40.1g(これを、針状晶1-1 という)。 プリズム晶の調製:シアル酸80.9g を水に溶解してシ
アル酸含有水溶液 180g(45%) を得た。この水溶液を
撹拌しながら70mlのジオキサンを徐々に加え、0℃で一
晩結晶化させた。析出した結晶を減圧濾取し、さらに、
アセトン、ジエチルエーテルにて洗浄後、減圧下、20℃
で一晩乾燥させた。収量69.5g(これをプリズム晶1-1
という) 。 従来法による凍結乾燥粉の調製:シアル酸138.3gを水
に溶解してシアル酸含有水溶液922g (15%) 得た。これ
を、それぞれ461gずつの2つに分け、一つは、凍結乾燥
機内の棚冷却(−40℃) で、もう一つは−20℃のフリー
ザーで凍結させた。完全凍結までに要した時間は、棚冷
却では 4.4時間、フリーザーでは 6.8時間であった。こ
の後、25℃で4日間凍結乾燥した。収量はそれぞれ68.1
g及び67.5gであった(棚冷却のものを調製粉1-1 、フ
リーザーのものを調製粉1-2 という)。 こうして調製したシアル酸結晶及び粉末も本発明の非晶
粉1-1 と同様に、それぞれ粉砕した後分級し、粒径が20
0 メッシュ以下のものを以下の実施例で使用した。
【0018】
【実施例2】 物性値の比較 実施例1で調製した非晶粉1-1 、針状晶1-1 及びプリズ
ム晶1-1 の物性値(融点、赤外スペクトル)を測定し
た。融点(分解点)は、直観式の柳本微量融点測定装置
により測定し、未補正のまま記載した。また、赤外スペ
クトルは KBr錠剤法で測定した。これらの結果を表1に
示した。表1にみられるとおり、非晶粉1-1 は、融点以
外は、針状晶1-1 、プリズム晶1-1 及び文献(小倉ら
〔Chem. Lett, 1003-1005(1984) 〕、或いは岩波「理化
学辞典」、化学同人「生化学辞典」など)で一般的にシ
アル酸のものとして認知されている針状晶のものと一致
していた。
【0019】
【表1】
【0020】
【実施例3】 示差走査熱分析(DSC) 実施例1で調製した非晶粉1-1 、針状晶1-1 、プリズム
晶1-1 及び調製粉1-2を、セイコー電子工業(株)製、
示差走査熱量計(DSC200型)で示差走査熱分析を行っ
た。その結果を図1〜4に示した。これらの図にみられ
るように、結晶である針状晶1-1 には単一の鋭利なピー
クが見られた( 図2参照)。プリズム晶1-1 は2水塩で
あるので、結晶水を遊離する際と、分解する際に2つの
鋭利なピークが観察された(図3参照)。興味深いこと
に、直観法では、プリズム晶1-1 は142-145 ℃で分解し
たように観察されるが、DSCによる測定では、針状晶
も、プリズム晶も、共に、165 ℃から200 ℃の範囲に分
解による吸熱ピークが観察された。
【0021】一方、本発明の非晶粉1-1 では、130-150
℃に、ブロードな吸収帯を生じたのみで、針状晶、プリ
ズム晶と同一のピークは全く見られなかった(図1参
照)。このことからも、本発明の非晶粉1-1 が、完全に
非晶質であることが確認された。これに対して、調製粉
1-2 には、プリズム晶の2つの鋭利なピークと、非晶粉
1-1 のブロードな吸収帯が双方共に見られた(図4参
照)。これは調製粉1-2 に於いては、フリーザーに於い
て 6.8時間かけて凍結した際に、水溶液中で、シアル酸
分子が部分的にプリズム晶へと結晶化し、結果的に、凍
結乾燥後に結晶部分と非晶部分との混合した粉体になっ
たことを示している。
【0022】以上述べたように、シアル酸水溶液の凍結
乾燥によってシアル酸粉末を調製する際には、水溶液を
急速に凍結することが非常に重要であって、従来行われ
ていたように、ゆっくりと凍結した場合は、シアル酸の
部分的な結晶化が進行するため、凍結乾燥粉末が、結晶
質と非晶質の混合体となってしまい、製品の均質化は非
常に困難であることが、本発明によって、初めて明らか
となった。同時に、シアル酸の凍結乾燥粉が、結晶部分
が混入していない、全て非晶質のものであることを確か
めるには、示差走査熱分析に於いて、165 ℃から200 ℃
の範囲で吸熱ピークが無いことを確かめれば良いといこ
うことも、本発明によって、初めて明らかとなった。
【0023】
【実施例4】 X線回折パターンの測定 実施例1で調製した非結晶粉1-1 、針状晶1-1 、プリズ
ム晶1-1 及び調製粉1-2 に対し、40KV, 20mAでX線回折
パターンの測定を行った。各サンプル共に、 5°≦ 2θ
≦40°の範囲で挿引し、また、X線強度、感度等の測定
条件は全て同一のもとで測定した。これらの結果を図5
に示した。図5にみられるように針状晶1-1 及びプリズ
ム晶1-1 には、結晶構造に基づく鋭利な強い散乱光のピ
ークが多数観測された。これに対して、本発明の非晶粉
1-1 には、明確なピークは全く見られなかった。このこ
とからも、本発明の非晶粉1-1 は、結晶部分を含まな
い、非晶質であることが確認された。ゆっくり凍結した
調製粉1-2 には、上記の2種の結晶に比べて、数は同等
だが、かなり弱いピークが観察された。これは、実施例
3において既に明らかになった如く、調製粉1-2 に於い
ては、従来のようにフリーザーで時間をかけて凍結した
ために、部分的にシアル酸の結晶化が進行し、非晶部分
と結晶部分の混在した粉体であることを示している。
【0024】以上述べたように、シアル酸の凍結乾燥粉
が、結晶部分が混入していない、全て非晶質のものであ
ることを確かめるには、X線回折パターンに於いて、 5
°≦2θ≦40°の範囲で明確な散乱光のピークが無いこ
とを確かめれば良いということも、本発明によって、初
めて明らかとなった。
【0025】
【実施例5】 シアル酸水溶液の凍結速度と最終製品の物性値との関係 シアル酸水溶液の凍結速度と、凍結乾燥後の最終製品の
物性値との関係を検討した。シアル酸水溶液は、40重量
%のものを使用し、液体窒素、冷却棚、冷凍庫等を使用
して凍結までの時間を変え、4日間凍結乾燥した後、結
晶化度と水分値を測定した。
【0026】
【表2】 凍結に時間がかかるほど、結晶部分の混入が増加し、そ
れによる、結晶水の増加に伴って、最終製品の水分値が
上昇した。
【0027】
【実施例6】 シアル酸粉末の溶解度と反応性の比較 シアル酸粉末の溶解度と反応性との関係を検討した。有
機溶媒中の反応の代表例として、フィッシャー法(小倉
ら〔Chem. Pharm. Bull., 34, 1479(1986)〕)による、
メチルエステル化を行った。予め、ダウケミカル社製Do
wex 50(H+ 型、100 〜200 メッシュ、熱メタノール洗浄
ずみ) の10g を、100ml メタノールに懸濁し、激しく撹
拌しつつ、実施例1で調製した非晶粉1-1 、針状晶1-1
及びプリズム晶1-1 をそれぞれ個別に10g ずつ投入し、
25℃に保持しつつ攪拌を継続した。経時的にサンプリン
グし、シアル酸がメタノールに溶解して、透明溶液にな
るまでの時間と、反応進行度、最終的な反応収率を測定
した。反応数収率はHPLC(Bio Rad社、HPX-87H 型カラ
ム)で算出した。
【0028】
【表3】
【0029】表3に示すように本発明の非晶粉1-1 がも
っとも速く溶解し、もっとも速く反応が終了した。プリ
ズム晶は5時間後も完全溶解せず、24時間反応後も、10
0 %反応は進行しなかった。これは、粉体に約10%含ま
れる水分によって、エステル化の進行が途中で停止して
しまったものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られた非晶性シアル酸粉末
(非晶粉1-1)の示差走査熱分析を示す。
【図2】シアル酸の調製粉1-2 の示差走査熱分析を示
す。
【図3】シアル酸の針状結晶1-1 の示差走査熱分析を示
す。
【図4】シアル酸のプリズム晶1-1 の示差走査熱分析を
示す。
【図5】実施例1のシアル酸粉末のX線回折パターンを
示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非結晶性シアル酸粉末。
  2. 【請求項2】 次の特性を示す請求項1記載のシアル酸
    粉末。 a) 示差走査熱分析において、165 から200 ℃の範囲で
    ブロードな吸収を示し(図1参照)、この範囲に明確な
    吸熱ピークがみられないこと。 b) 融点測定〔直観法(無補正)〕において、融点131
    〜136 ℃(分解点)を示すこと。 c) X線回折パターンにおいて、走査角(2θ)5 〜40
    °の範囲がブロードで明確なピークがみられないこと
    (図5参照)。
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