JPH07331034A - 塩化ビニル系プラスチゾル組成物 - Google Patents

塩化ビニル系プラスチゾル組成物

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JPH07331034A
JPH07331034A JP12593694A JP12593694A JPH07331034A JP H07331034 A JPH07331034 A JP H07331034A JP 12593694 A JP12593694 A JP 12593694A JP 12593694 A JP12593694 A JP 12593694A JP H07331034 A JPH07331034 A JP H07331034A
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JP
Japan
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vinyl chloride
adhesiveness
epoxy resin
resin
plastisol composition
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JP12593694A
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Yutaka Torii
裕 鳥居
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Aisin Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 防錆油等が付着した鋼板だけでなく亜鉛系メ
ッキ鋼板に対しても優れた接着性を有し、しかも、比較
的低温度の加熱条件で十分な接着性を得ることができ、
また、高温加熱時の耐変色性にも優れたものとする。 【構成】 塩化ビニル系樹脂と可塑剤を主成分とし、車
体の組立工程等における接着剤やシーリング剤等として
使用される塩化ビニル系プラスチゾル組成物において、
エポキシ樹脂とその硬化剤とからなる接着性付与剤を配
合すると共に、これに更に、有機スズ系安定剤を添加す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車車体の組立工程
等において接着剤、シーリング剤等として用いられる塩
化ビニル系プラスチゾル組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の車体は鋼板を溶接や接着剤等で
接合して組立られ、また、その接合部や継目部には一般
にシーリング剤が塗布、充填される。そして、これらの
接着剤、シーリング剤としては、防錆性に優れ、また厚
塗りが可能で、鋼板接合部等の隙間を良好に充填する等
の理由で、塩化ビニル系のプラスチゾル組成物が従来か
ら一般に使用されている。
【0003】この塩化ビニル系のプラスチゾル組成物
は、塩化ビニルの単独重合体、または酢酸ビニル等との
共重合体からなる塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを主成分
とし、これに充填剤、接着性を高めるための接着性付与
剤、及びその他の添加剤等を配合したものである。そし
て、このような塩化ビニル系プラスチゾル組成物の例と
しては、例えば、特公昭59−52901号公報、特開
昭59−78279号公報、特公昭63−6103号公
報、特公平1−25515号公報等に記載のものを挙げ
ることができ、これらにおいては、接着性付与剤として
ブロック化イソシアネートまたはウレタンプレポリマー
が配合されている。
【0004】ところで、車体のヘミング部等は、防錆油
等の付着した鋼板等をそのまま接着して組立て、次いで
その接合部にシーリング剤を塗布することが一般的であ
る。なおこの場合、脱脂処理や電着塗装がその後に行わ
れるが、接着剤やシーリング剤が硬化していないとそれ
らの処理の際に変質したりする。そのため、塗布または
充填した接着剤やシーリング剤を脱脂処理、電着塗装に
先立って加熱により硬化するプレキュアが行われる。そ
して、このように接着剤やシーリング剤が防錆油等の付
着したままの油面鋼板等に適用される場合、前述のブロ
ック化イソシアネートまたはウレタンプレポリマーを接
着性付与剤として使用した塩化ビニル系プラスチゾル組
成物では、主に電着塗装塗膜に対する接着性を考慮した
ものであるため、十分な接着性を得ることができない。
【0005】そこで、このような油面鋼板に対する十分
な接着性を得るためには、エポキシ樹脂とその硬化剤を
接着性付与剤として用いればよいことが知られている。
【0006】なお、エポキシ樹脂とその硬化剤からなる
接着性付与剤が配合された塩化ビニル系プラスチゾル組
成物については、本出願人の提案にかかる特開平3−1
40321号公報、特開平5−1196号公報に開示の
ものがあり、これらにおいては、接着性等をより向上す
るために脂肪族系ブロックイソシアネート、チタネート
系カップリング剤が更に添加されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような塩化ビニル
系プラスチゾル組成物にエポキシ樹脂とその硬化剤を接
着性付与剤として配合したものは、防錆油等が付着した
鋼板であっても十分な接着性を確保することができるも
のであった。
【0008】しかしながら、車体の組立には亜鉛または
亜鉛合金をメッキした亜鉛系メッキ鋼板も使用される
が、この亜鉛系メッキ鋼板に対しては、上記の塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物は接着性がなお不十分であっ
た。
【0009】また、前述のプレキュア工法においては、
生産性等の向上のために最近では近赤外線加熱、高周波
誘導加熱等が採用されつつあり、塗布された接着剤また
はシーリング剤が比較的低温、短時間の加熱条件で硬化
し、接着性を発現することが要求されるようになってき
ている。ところが、エポキシ樹脂とその硬化剤を接着性
付与剤として配合した塩化ビニル系プラスチゾル組成物
は、それの硬化のために比較的高温の熱処理が必要であ
り、比較的低温、短時間の加熱条件では十分な接着性を
得ることができない傾向にあった。
【0010】更に、塗布後プレキュアされた塩化ビニル
系プラスチゾル組成物は、その後の電着塗装塗膜の焼付
時、或いは上塗塗装塗膜の焼付時に再度高温で加熱され
るが、その際変色が生じることがあった。そして、この
変色は、そのプラスチゾル組成物が鋼板接合部に充填さ
れている場合には問題ないが、表面の塗膜として形成さ
れた場合には外観を損ね、また上塗塗膜の外観に影響を
与えるものでもあった。
【0011】そこで、本発明は、防錆油等が付着した鋼
板だけでなく亜鉛系メッキ鋼板に対しても優れた接着性
を有し、また、比較的低温度の加熱条件でも十分な接着
性が得られ、しかも、高温加熱時の耐変色性にも優れた
塩化ビニル系プラスチゾル組成物の提供を課題とするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、主に添加剤
について種々の試験と検討を重ねた結果、エポキシ樹脂
とその硬化剤からなる接着性付与剤を配合した塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物に更に有機スズ系安定剤を添加
することによって、高温加熱時の変色が防止されるだけ
でなく、接着性に関する上記の課題が有効に解決できる
ことが発明者等によって確認された。
【0013】即ち、本発明にかかる塩化ビニル系プラス
チゾル組成物は、塩化ビニル系樹脂及び可塑剤と、エポ
キシ樹脂とその硬化剤とからなる接着性付与剤と、有機
スズ系安定剤とを必須成分とするものである。
【0014】以下、この本発明にかかる塩化ビニル系プ
ラスチゾル組成物について、更に詳細に説明する。
【0015】塩化ビニル系樹脂は塩化ビニルの単独重合
体、または共重合体、即ち塩化ビニルと他のビニル系単
量体との共重合体であり、本発明においては、それらの
いずれも単独で、或いは混合して用いることができる。
【0016】ここで、塩化ビニルと共重合されるビニル
系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチ
ルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエー
テル類、ジエチルマレエート等のマレイン酸エステル
類、ジブチルフマレート等のフマル酸エステル類、メチ
ルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステ
ル類または同様のメタアクリル酸エステル類、アクリロ
ニトリル、塩化ビニリデン等が挙げられる。これらは、
その任意の1種または2種以上を使用することができる
が、一般に30重量%以下、好ましくは20重量%以下
の割合で塩化ビニルと共重合される。しかし、これらの
中でも、塩化ビニルと共重合させる単量体としては、酢
酸ビニルが最も一般的であり、また接着性のためにも好
ましいものである。
【0017】また、塩化ビニル系樹脂としてはそのペー
ストレジンを一般に使用することができるが、これにブ
レンド用レジン或いは更にその他のレジンを併用するこ
ともできる。そして、その具体的組成または配合は用途
等に応じて適宜に定めることができるが、ペーストレジ
ンとブレンド用レジンとを混合して使用する場合、その
比率は重量比で3/1〜1/3が一般に好ましい。
【0018】可塑剤としては、塩化ビニル系樹脂のプラ
スチゾルを形成するために一般に使用されている任意の
ものを用いることができる。そのような可塑剤として
は、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸
ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル(DI
NP)等のフタル酸エステル、ジ−2−エチルヘキシル
アジペート(DOA)、トリオクチルトリノリテート
(TOTN)、セバチン酸エステル、アゼライン酸エス
テル等の芳香族及び脂肪族のジ及びトリカルボン酸エス
テル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル等のリ
ン酸エステル、エポキシ化大豆油等のエポキシ系可塑
剤、等が挙げられる。そしてこれらの可塑剤は、望まれ
るプラスチゾルの粘度、硬化性等の物性に応じて適宜選
択して使用することができ、一般に、塩化ビニル系樹脂
100重量部に対して30〜300重量部の範囲で配合
することができる。
【0019】なお、可塑剤は、その一部を有機溶剤等に
変えることができる。そして、そのような溶剤として
は、芳香族系溶剤等、好ましくは可塑剤と同程度の高沸
点の溶剤が用いられる。
【0020】塩化ビニル系プラスチゾルの接着性を高め
るための接着性付与剤として、本発明においては、エポ
キシ樹脂とその硬化剤が使用される。このエポキシ樹脂
としては、分子中に2以上のエポキシ基を含むものであ
ればどのようなものでもよいが、特に、ビスフェノール
A型、またはビスフェノールF型のエポキシ樹脂が好ま
しい。また、このエポキシ樹脂は、例えば、可撓性を付
与するためにNBR等のゴムで変性した各種変性タイプ
のものであることもできる。そして、このようなエポキ
シ樹脂は、1種類を単独で使用することも2種類以上を
併用することも可能であり、塩化ビニル系樹脂100重
量部に対し、従来と同様に一般に5〜50重量部の割合
で配合することができる。エポキシ樹脂の配合が少ない
と、実用上十分な接着効果が得られず、また、多すぎる
配合は硬化後のプラスチゾル組成物の可撓性を低下させ
る傾向にある。好ましくは、エポキシ樹脂は、塩化ビニ
ル系樹脂100重量部に対し、10〜30重量部の範囲
で使用される。
【0021】また、このエポキシ樹脂の硬化剤として
は、この種の硬化剤として一般的なポリアミン、ポリア
ミノアミド等の任意のものを使用することができる。し
かし、その中でも、例えば、ジシアンジアミン、グアニ
ジン誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、
4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、酸ヒドラジド
化合物、イミダゾール系化合物、等の潜在性硬化剤とし
て一般に用いられているものが好ましい。そして、この
硬化剤は、その1種または2種以上を、エポキシ樹脂1
00重量部に対して一般に5〜50重量部の割合で使用
することができる。
【0022】そして、有機スズ系安定剤としては、メチ
ル、ブチル、オクチル等のアルキルスズ、好ましくはジ
アルキルスズのラウリン酸等の脂肪族モノカルボン酸の
塩、或いはマレイン酸、フタル酸等のジカルボン酸の
塩、具体的には、ジブチルスズジラウリレート、ジオク
チルスズラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチ
ルスズフタレート等を挙げることができる。また、有機
スズメルカプタイド等も挙げることができる。これらの
有機スズ系安定剤は、塩化ビニル系樹脂の安定剤とし
て、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤等と共に一般によく
知られたものであるが、本発明の塩化ビニル系プラスチ
ゾル組成物においては、エポキシ樹脂とその硬化剤から
なる接着性付与剤に加えて、必須成分として用いられ
る。そして、その添加量は、余り少ないと亜鉛系メッキ
鋼板に対する接着性、低温接着性、耐変色性において実
用上十分な効果が得られず、また、多すぎてもそれらの
効果は飽和し実用的ではない。そのため、有機スズ系安
定剤の添加量は、その化合物等にもよるが、塩化ビニル
系樹脂100重量部に対し、実用上一般に0.5〜8重
量部が好ましい。より好ましくは、1.0〜4.0重量
部である。
【0023】なお、本発明の塩化ビニル系プラスチゾル
組成物には、従来と同様に、充填剤、タレ止め剤、顔
料、その他の添加剤を適宜に配合し、または添加するこ
とができる。また、ブロック化イソシアネート、ブロッ
ク化ウレタンプレポリマー等の他の接着性付与剤も必要
に応じて併用することができる。
【0024】充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の炭酸
塩及び硫酸塩、マイカ、シリカ、タルク、珪藻土、カオ
リン等を挙げることができ、これらは、単独で、または
適宜組合わせて使用することができる。また、セルロー
ス粉、粉末ゴム、等の有機質充填剤も、必要に応じて使
用することができる。なお、これらの充填剤は、一般
に、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し30〜200
重量部の割合で配合することができる。
【0025】また、タレ止め剤は他の成分とのバランス
を取りながら、組成物の粘度を調整するために使用さ
れ、超微粒子炭酸カルシウム、微粒子シリカ等を、充填
剤を兼ねて好適に使用することができる。また、顔料と
しては、任意の顔料を使用することができるが、酸化チ
タン、カーボンブラック等の体質顔料を兼ねた着色顔料
を特に好ましく用いることができる。更に、その他の添
加物としては、酸化カルシウム等の吸湿剤または吸水
剤、有機ベントナイト等の増粘剤、或いは溶剤等が挙げ
られ、これらも必要に応じて使用することができる。
【0026】以上のような本発明の塩化ビニル系プラス
チゾル組成物は、例えば、吐出ガン、スプレーガンによ
る方法等の適宜の塗付手段で、任意の形態に塗付するこ
とができる。そして、そのプレキュアは、例えば150
℃程度の比較的低温度で行うことができる。
【0027】
【作用】本発明にかかる塩化ビニル系プラスチゾル組成
物においては、エポキシ樹脂とその硬化剤とからなる接
着性付与剤に加えて有機スズ系安定剤が含まれているの
で、高温加熱時の変色が防止されるだけでなく、後の実
施例からも分かるように、亜鉛系メッキ鋼板に対しても
優れた接着性を有し、また、比較的低温度の加熱条件で
も十分な接着性が得られる。これは、一つには、有機ス
ズ系安定剤がエポキシ樹脂とその硬化剤の硬化反応を促
進する触媒としても作用するためであると考えられる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって更
に具体的に説明する。
【0029】〈実施例1〜4,比較例1〜4〉図1に示
す配合により、本発明の実施例1〜4の塩化ビニル系プ
ラスチゾル組成物を調製した。また、比較のために、比
較例1〜4の塩化ビニル系プラスチゾル組成物を合わせ
て調製した。
【0030】図1に示されるように、これらの実施例1
〜4及び比較例1〜4の塩化ビニル系プラスチゾル組成
物は、塩化ビニル樹脂、可塑剤、充填剤、接着性付与
剤、及び安定剤を配合したもので、安定剤の配合割合と
種類が種々に変えられている。なお、比較例4だけは接
着性付与剤が配合されていない。
【0031】ここで、塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル
の単独重合体からなるペーストレジン(ゼオン121
日本ゼオン(株)製)50重量部と、塩化ビニルと酢酸
ビニルとの共重合体からなるブレンド用レジン(ゼオン
51 日本ゼオン(株)製)50重量部の混合物からな
る。そして、この塩化ビニル系樹脂100重量部は、各
実施例及び比較例において同じ分量で使用されている。
【0032】可塑剤はフタル酸ジオクチル(DOP)か
らなり、各実施例及び比較例においてそれぞれ100重
量部配合されている。また、充填剤としては、粒径2〜
10μmの重質炭酸カルシウム(竹原化学工業(株)
製)75重量部と、タレ止め剤を兼ねたコロイダル炭酸
カルシウム(白艶華CCR 白石工業(株)製)25重
量部とを併用し、合計100重量部を各実施例及び比較
例においてそれぞれ配合した。
【0033】接着性付与剤はエポキシ樹脂とその硬化剤
とからなり、ここでは、エポキシ樹脂としてビスフェノ
ールA型のエポキシ樹脂(Ep4100 旭電化工業
(株)製)を、また、その硬化剤としてジシアンジアミ
ド(日本カーバイド工業(株)製)を使用した。そし
て、このエポキシ樹脂20重量部と硬化剤2重量部を、
実施例及び比較例1〜3において同じ分量で配合した。
ただし、比較例4にはこのエポキシ樹脂と硬化剤を配合
しなかった。
【0034】そして、安定剤としては、実施例1〜4で
はジブチルスズマレエート(スタンRC71A 三共有
機合成(株)製)からなる有機スズ系安定剤を使用し、
その添加量を変え、実施例1では0.5重量部、実施例
2では1.0重量部、実施例3では2.0重量部、また
実施例4では4.0重量部それぞれ配合した。なお、比
較例4にもこの有機スズ系安定剤を2.0重量部配合し
た。これに対し、比較例1には安定剤を配合することな
く、また、比較例2,3では安定剤として三塩基性硫酸
鉛からなる鉛系安定剤を使用し、それぞれ2.0重量
部、4.0重量部配合した。
【0035】なお、各実施例及び比較例のプラスチゾル
組成物の調製は、プラネタリーミキサーを用いて材料を
均一に混合した後、60分間真空脱泡撹拌することによ
って行った。
【0036】〈評価試験〉以上の実施例1〜4及び比較
例1〜4の塩化ビニル系プラスチゾル組成物について、
防錆油等が付着し、また亜鉛系メッキが施された鋼板に
対する接着性と、高温加熱時の変色性を試験し、評価し
た。
【0037】接着性の試験には、冷間圧延された25×
100×1.6mmのSPCD鋼板(冷延鋼板)と、合
金化溶融亜鉛メッキが表裏両面に60g/m2 の量で施
された同じ大きさのメッキ鋼板(亜鉛系メッキ鋼板)と
を用意し、これらの鋼板の表面に予め防錆油(メタルガ
ード831T モービル社製)を2g/m2 の量で塗布
した。そして、これらの2種類の油面鋼板のそれぞれに
ついて、実施例及び比較例の各プラスチゾル組成物を鋼
板の端部から10mmにわたって150μmの厚さに塗
布し、次いで同種の鋼板の端部をそのプラスチゾル組成
物の塗布面に重ねて直線状に接合した。次いで、この接
合した鋼板を、150℃×10分、170℃×30分、
及び215℃×15分の3種類の加熱条件でそれぞれ熱
硬化させた。
【0038】そして、このように接着した各試験用鋼板
を、引張り試験機(島津製作所製)を用いて破断するま
で長手方向に引張り、破断面を目視で観察してプラスチ
ゾル組成物の破壊の状態から接着性の評価を行った。そ
の接着性の評価の基準は次のとおりである。
【0039】○:完全な凝集破壊 △:凝集破壊に近いが界面破壊部分も僅かに含まれる ×:ほとんど界面破壊 なお、凝集破壊である方が、界面破壊より接着性に優れ
ていることはもちろんである。
【0040】また、高温加熱時の変色性の評価試験は、
適当な試験用鋼板に、実施例及び比較例の各塩化ビニル
系プラスチゾル組成物を2mmの厚さに塗布し、次いで
これを215℃×15分間の加熱条件で熱処理すること
によって行った。そして、その時の塗膜表面の変色状態
(着色の有無)を目視で観察し、以下の基準で評価し
た。
【0041】○:異常なし △:目立つ程ではないが、僅かに変色が認められる ×:変色が認められる これらの評価試験の結果を図1に合わせて示す。
【0042】〈評価試験結果〉図1の試験結果に示され
るように、接着性付与剤としてエポキシ樹脂とその硬化
剤を配合すると共に、安定剤として有機スズ系安定剤
(ジブチルスズマレエート)を添加した実施例1〜4
は、防錆油が付着した冷延鋼板と亜鉛系メッキ鋼板のい
ずれに対しても十分な接着性を有し、また、高温加熱時
の耐変色性も良好である。
【0043】そして、実施例1〜4の効果は、特に、比
較的低温の加熱条件での接着性に現れている。即ち、比
較例1は従来技術に相当するものであるが、150℃の
比較的低温の加熱条件では十分な接着性が得られず、ま
た、亜鉛系メッキ鋼板に対しては170℃の加熱条件で
も接着性が不十分である傾向にある。そしてこの傾向
は、安定剤として鉛系安定剤(三塩基性硫酸鉛)を添加
した比較例2,3においても変わっていない。これに対
して、実施例1〜4は、有機スズ系安定剤の添加量が比
較的少ない実施例1では僅かに不十分な傾向が見られる
ものの、150℃の加熱条件でいずれの鋼板に対しても
良好な接着性が得られている。
【0044】このように、この試験結果から、接着性付
与剤としてエポキシ樹脂とその硬化剤を配合すると共
に、安定剤として有機スズ系安定剤を添加することによ
って、高温加熱時の変色が防止されるだけでなく、比較
的低温度の加熱条件で、しかも防錆油が付着した亜鉛系
メッキ鋼板に対しても、優れた接着性が得られることが
分かる。また、実施例1では僅かな変色も認められるこ
とから、有機スズ系安定剤の添加量は、塩化ビニル系樹
脂100重量部に対して1.0重量部以上が好ましいこ
とも分かる。
【0045】以上のように、本発明の塩化ビニル系プラ
スチゾル組成物は、自動車車体の組立工程において防錆
油等が付着した油面鋼板や亜鉛系メッキ鋼板に直接施さ
れる接着剤またはシーリング剤として、特に適したもの
である。しかし、この本発明のプラスチゾル組成物はそ
のような用途に限定されるものではなく、その優れた接
着性等により、電着塗装等が施された鋼板の接着剤また
はシーリング剤としても好適に適用することができ、更
には、アンダーコート用組成物、耐チッピング用組成物
等としても適用することができる。また、自動車車体だ
けでなく、例えば、鉄道等の自動車以外の車両、或いは
家電機器等の接着剤、シーリング剤、アンダーコート用
組成物等としても有利に適用することができる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる塩化ビニ
ル系プラスチゾル組成物は、塩化ビニル系樹脂及び可塑
剤と、エポキシ樹脂とその硬化剤とからなる接着性付与
剤と、有機スズ系安定剤とを必須成分とするものであ
る。
【0047】したがって、エポキシ樹脂とその硬化剤と
からなる接着性付与剤に加えて、有機スズ系安定剤が配
合されているので、高温加熱時の耐変色性に優れるだけ
でなく、防錆油等が付着した油面鋼板と共に亜鉛系メッ
キ鋼板に対しても優れた接着性を有する。しかも、例え
ば150℃程度の比較的低い加熱条件によって、十分な
接着性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例と比較例の塩化ビニル系
プラスチゾル組成物の配合と、接着性及び高温加熱時の
変色性についての評価試験結果とを示す表図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/10 Z L

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂及び可塑剤と、 エポキシ樹脂とその硬化剤とからなる接着性付与剤と、 有機スズ系安定剤とを必須成分とすることを特徴とする
    塩化ビニル系プラスチゾル組成物。
JP12593694A 1994-06-08 1994-06-08 塩化ビニル系プラスチゾル組成物 Pending JPH07331034A (ja)

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JP12593694A JPH07331034A (ja) 1994-06-08 1994-06-08 塩化ビニル系プラスチゾル組成物

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998034993A1 (en) * 1997-02-08 1998-08-13 Ppg Industries Ohio, Inc. Sealing compound and its use for producing pressure-tight containers

Cited By (1)

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WO1998034993A1 (en) * 1997-02-08 1998-08-13 Ppg Industries Ohio, Inc. Sealing compound and its use for producing pressure-tight containers

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