JPH07330474A - 窒化アルミニウム基板及びその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム基板及びその製造方法

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JPH07330474A
JPH07330474A JP13029694A JP13029694A JPH07330474A JP H07330474 A JPH07330474 A JP H07330474A JP 13029694 A JP13029694 A JP 13029694A JP 13029694 A JP13029694 A JP 13029694A JP H07330474 A JPH07330474 A JP H07330474A
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glass
aluminum nitride
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JP13029694A
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Yoshio Kuromitsu
祥郎 黒光
Seiji Toyoda
誠司 豊田
Kunio Sugamura
邦夫 菅村
Akira Nakabayashi
明 中林
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 放熱特性がAlN自体の放熱特性により近
い。AlN焼結体とガラスを含む層との接合界面で気泡
がなく、かつ表面平滑性と耐食性に優れる。ガラスグレ
ーズド層、導体層等を基板上に容易に、安定してかつ強
固に形成し得る。 【構成】 窒化アルミニウム基板10は、窒化アルミニ
ウム焼結体11と、この焼結体上に設けられたAl23
層12と、このAl23層上に設けられAl23にガラ
スが混在したガラス混在Al23層13とを含む。ガラ
ス混在Al23層上に更に酸化物粒子分散ガラス層14
及び主ガラス層16を設けることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放熱特性が良好でかつ
表面平滑性かつ耐食性に優れた窒化アルミニウム基板及
びその製造方法に関する。更に詳しくはサーマルヘッド
用基板、薄膜回路用基板及び厚膜回路用基板に適する窒
化アルミニウム基板及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、熱転写プリンタのサーマルヘッド
に用いられるサーマルヘッド用基板、薄膜回路用基板及
び厚膜回路用基板には耐食性、機械的強度、電気的絶縁
性に優れたAl23(アルミナ)基板が用いられてい
る。サーマルヘッド用基板は、近年の高品質な印字の高
速化の要請に応えるため、この基板のガラスグレーズド
層上に形成される発熱抵抗体の発熱を速やかに放散させ
ることが求められる。また薄膜回路用基板及び厚膜回路
用基板では、近年の電子機器の小型化から回路基板上の
IC等の素子の実装密度が高まり、或いはパワー半導体
等の搭載により回路基板上における発熱量が大きくな
り、これらの回路基板は放熱性が高いことが要求され
る。しかし、Al23基板はAl23の熱伝導率が20
W/m・K程度と低く、基板側からの放熱は必ずしも十
分でなく、上記要求を満たしていない。
【0003】この点を改良した基板として、熱伝導率が
100〜180W/m・Kの窒化アルミニウム(Al
N)の焼結体上に酸化層を形成した後、更に酸化層上に
ガラス層が形成された高熱伝導性回路基板(特開昭61
−119094)が開示されている。この回路基板によ
れば、基体に窒化アルミニウム(AlN)を用いること
により放熱性がAl23より格段に優れることに加え
て、酸化層を形成することにより金属に対する濡れ性が
向上して導体層の窒化アルミニウム回路基板への接着が
可能となり、しかもガラス層を形成することによりガラ
スに導体粉が分散している抵抗体ペースト等の回路基板
への接合が良好に行われる利点がある。特に酸化層を形
成せずに直接窒化アルミニウム回路基板にガラス層を形
成する場合には、大気中で高温処理するガラス層形成時
に窒化アルミニウム(AlN)の窒素成分がガスとなっ
て、ガラス層中に気泡を生じる不具合があるものが、上
記回路基板は酸化層(Al23層)の介在で気泡を防止
できる特長を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の高
熱伝導性回路基板では、窒化アルミニウム焼結体上に酸
化層とガラス層の2層を形成するという技術的思想に基
づいているため、それぞれの層の厚さが比較的大きく設
計され、窒化アルミニウムの放熱性に優れた特性をより
有効に活用できない不具合があった。
【0005】本発明の目的は、放熱特性を窒化アルミニ
ウム自体の放熱特性により近づけた窒化アルミニウム基
板及びその製造方法を提供することにある。本発明の別
の目的は、窒化アルミニウム焼結体とガラスを含む層と
の接合界面で気泡がなく、かつ表面平滑性に優れた窒化
アルミニウム基板及びその製造方法を提供することにあ
る。本発明の更に別の目的は、ガラスグレーズド層、導
体層等を基板上に容易に、安定してかつ強固に形成し得
る窒化アルミニウム基板及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】図1に示すように、本発
明の第1の窒化アルミニウム基板10は、窒化アルミニ
ウム焼結体11と、この焼結体11上に設けられたAl
23層12と、このAl23層12上に設けられAl2
3にガラスが混在したガラス混在Al23層13とを
含むものである。図示しないが、本発明の第1の窒化ア
ルミニウム基板10の別の構成の基板は、窒化アルミニ
ウム焼結体上にAl23にガラスが混在したガラス混在
Al23層が直接形成されたものである。
【0007】図2に示すように、本発明の第2の窒化ア
ルミニウム基板20は、上記ガラス混在Al23層13
上に更に主ガラス層16を含むものである。第1の基板
10の別構成の基板と同様にAl23層12がなくても
よい。図3に示すように、本発明の第3の窒化アルミニ
ウム基板30は、窒化アルミニウム焼結体11と、この
焼結体11上に設けられたAl23層12と、このAl
23層12上に設けられAl23にガラスが混在したガ
ラス混在Al23層13と、このガラス混在Al23
13上に設けられAl23、TiO2及びZrO2粒子よ
りなる群より選ばれた1種又は2種以上の酸化物粒子が
ガラスに分散した酸化物粒子分散ガラス層14と、この
酸化物粒子分散ガラス層14上に設けられ上記酸化物粒
子が含まれない主ガラス層16とを含むものである。第
1の基板10の別構成の基板と同様にAl23層12が
なくてもよい。
【0008】また本発明の第1の窒化アルミニウム基板
の製造方法は、窒化アルミニウム焼結体11を酸化して
この焼結体11上に多孔質Al23層を形成し、このA
23層の微細孔に軟化したガラスを侵入させて上記焼
結体11上にAl23層12及びガラス混在Al23
13の2層構造を形成する方法である。
【0009】また本発明の第2の窒化アルミニウム基板
の製造方法は、窒化アルミニウム焼結体11を酸化して
この焼結体11上に多孔質Al23層を形成し、このA
23層の微細孔に軟化したガラスを侵入させて上記焼
結体11上にAl23層12、ガラス混在Al23層1
3及び主ガラス層16の3層構造を形成する方法であ
る。
【0010】また本発明の第3の窒化アルミニウム基板
の製造方法は、窒化アルミニウム焼結体11を酸化して
この焼結体11上に多孔質Al23層を形成し、このA
23層の微細孔に軟化したガラスを侵入させて上記多
孔質Al23層を焼結体11側から順にAl23層12
及びガラス混在Al23層13にし、このガラス混在A
23層13上にAl23、TiO2及びZrO2粒子よ
りなる群より選ばれた1種又は2種以上の酸化物粒子が
分散したガラス層14を形成し、この酸化物粒子分散ガ
ラス層14上に上記酸化物粒子が分散しない主ガラス層
16を形成する方法である。
【0011】更に本発明の第3の窒化アルミニウム基板
の別の製造方法は、窒化アルミニウム焼結体11を酸化
してこの焼結体11上に多孔質Al23層を形成し、こ
のAl23層上にAl23、TiO2及びZrO2粒子よ
りなる群より選ばれた1種又は2種以上の酸化物粒子と
SiO2粒子が溶剤に分散した懸濁液を塗布し乾燥した
後焼成して酸化物粒子とSiO2粒子の複合もしくは混
合層を形成し、この複合もしくは混合層上にガラス粒子
が溶剤に分散した懸濁液を塗布し乾燥してガラス粒子層
を形成し、上記ガラス粒子層が軟化する温度で熱処理し
て上記ガラス粒子層の軟化したガラスが上記複合もしく
は混合層のSiO2粒子を溶解し更に上記多孔質Al2
3層中に侵入して焼結体11上にAl23層12とガラ
ス混在Al23層13と酸化物粒子分散ガラス層14と
主ガラス層16の4層構造を形成する方法である。
【0012】以下、本発明を詳述する。初めに、本発明
の第1〜第3の窒化アルミニウム基板に共通する点につ
いて述べる。本発明の窒化アルミニウム焼結体は、窒化
アルミニウム単体のみからなる焼結体に限らず、窒化ア
ルミニウムを主成分とし、各種添加物、例えばCaO,
23等を含有する焼結体でもよい。この焼結体上に設
けられるAl23層は、窒化アルミニウム焼結体を1×
10-2atm以上の酸素分圧であってかつ1×10-3
tm以下の水蒸気分圧の雰囲気において、1100〜1
500℃で3〜0.5時間程度熱処理することにより作
られる。温度を高くする程、処理時間は短くてよい。こ
の熱処理により窒化アルミニウム焼結体の表面が酸化さ
れ、気孔率0.01〜15容積%の多孔質Al23層が
形成される。
【0013】(a) 第1の窒化アルミニウム基板 本発明の第1の窒化アルミニウム基板は、上記多孔質A
23層上にガラス粒子が溶剤に分散した懸濁液を塗布
し乾燥した後焼成し、このガラスが軟化する温度で熱処
理して多孔質のAl23層上部の微細孔に軟化したガラ
スを侵入させることにより作られる。ここでガラス層の
軟化条件を制御して軟化したガラスを窒化アルミニウム
焼結体に到達させないことが必要である。換言すれば、
窒化アルミニウム焼結体上にAl23層を残存させてお
くことが必要である。ガラスと焼結体との反応に起因し
て焼結体の界面に気泡を生じさせないためである。図1
に示すように、窒化アルミニウム基板10は、焼結体1
1上に酸化により形成された、ガラスが侵入していない
Al23層12と、ガラスが侵入してAl23にガラス
が混在したガラス混在Al23層13により構成され
る。ガラス層の軟化条件等によりこのガラス混在Al2
3層13の表面は部分的にガラス層16で覆われるこ
ともあり、図示しないがガラス層16が生じないことも
ある。また第1の窒化アルミニウム基板は、上記多孔質
Al23層にガラス前駆体としてのアルコキシドもしく
はゾルを含浸させ、それを焼成し、上記多孔質Al23
層中にガラスを固着させることによっても作られる。こ
の場合にはガラスが侵入していないAl23層12を残
存させる必要はなく、焼結体11とガラス混在Al23
層13との接合界面に気泡を生じさせずにAl23層1
2のない窒化アルミニウム基板が作られる。この方法は
後述する第2及び第3の窒化アルミニウム基板にも同様
に適用できる。
【0014】ガラス混在Al23層13には多孔質Al
23層の気孔率に応じてガラスを0.01〜15容積%
含ませることが好ましい。また各層の厚さは、基板10
の用途により、ガラス混在Al23層13が0.01〜
10μmの厚さに形成され、Al23層12が0〜9.
99μmの厚さに形成される。この基板10は例えば基
板表面にガラスグレーズド層が形成されるサーマルヘッ
ド用基板に適する。
【0015】(b) 第2の窒化アルミニウム基板 図2に示すように、第2の窒化アルミニウム基板20
は、多孔質Al23層上に塗布するガラスの量を第1の
窒化アルミニウム基板10の製造時のそれより多くし、
ガラス混在Al23層13の上に主ガラス層16を設け
たものである。即ち、ガラス混在Al23層13は全表
面が主ガラス層16で覆われ、結果として窒化アルミニ
ウム基板20の表面がすべてガラスで覆われることか
ら、この基板20は窒化アルミニウム基板10と比べる
と化学的に安定になる。この主ガラス層16を形成する
ためには、上記第1の窒化アルミニウム基板と同様の方
法で多孔質Al23層中にガラスを侵入させる際にガラ
スの量を比較的多くしてもよいし、又は上記Al23
中にガラスを侵入させた後、更に上記第1の窒化アルミ
ニウム基板と同様の方法でガラス層を形成してもよい。
ガラス混在Al23層13に含まれるガラスの容積%及
び各層の厚さは、第1の窒化アルミニウム基板と同じで
ある。主ガラス層16は用途に応じて0.1〜100μ
mの厚さに形成される。この基板20はサーマルヘッド
用基板や厚膜回路用基板に適する。
【0016】(c) 第3の窒化アルミニウム基板 図3に示す第3の窒化アルミニウム基板30は次の一の
方法で作られる。先ず第1の窒化アルミニウム基板と同
程度に多孔質Al23層上にガラス粒子が溶剤に分散し
た懸濁液を塗布し乾燥した後焼成することにより、上記
Al23層の微細孔に軟化したガラスを侵入させてこの
多孔質Al23層を焼結体11側から順にAl23層1
2及びガラス混在Al23層13にする。続いてこのガ
ラス混在Al23層13上にAl23、TiO2及びZ
rO2粒子よりなる群より選ばれた1種又は2種以上の
酸化物粒子とガラス粒子が溶剤に分散した懸濁液を塗布
し乾燥した後焼成することによりこのガラス粒子を軟化
させて、上記酸化物粒子が分散したガラス層14を形成
する。更にこの酸化物粒子分散ガラス層14上にガラス
粒子が溶剤に分散した懸濁液を塗布し乾燥した後焼成す
ることによりこのガラス粒子を軟化させて主ガラス層1
6を形成する。
【0017】図3に示す第3の窒化アルミニウム基板3
0は次の別の方法でも作られる。先ず第1の窒化アルミ
ニウム基板と同様に形成した多孔質Al23層上にAl
23、TiO2及びZrO2粒子よりなる群より選ばれた
1種又は2種以上の酸化物粒子とSiO2粒子が溶剤に
分散した懸濁液を塗布し乾燥した後焼成して酸化物粒子
とSiO2粒子の複合もしくは混合層を形成する。続い
てこの複合もしくは混合層上にガラス粒子が溶剤に分散
した懸濁液を塗布し乾燥してガラス粒子層を形成する。
最後にガラス粒子層が軟化する温度で熱処理して上記ガ
ラス粒子層の軟化したガラスが上記複合もしくは混合層
のSiO2粒子を溶解し更に上記多孔質Al23層中に
侵入する。これにより図3に示すように、焼結体11上
にAl23層12とガラス混在Al23層13と酸化物
粒子分散ガラス層14と主ガラス層16の4層構造が形
成された窒化アルミニウム基板30が製造される。この
場合もガラス層の軟化条件を制御して軟化したガラスを
窒化アルミニウム焼結体に到達させないことが必要であ
る。換言すれば、窒化アルミニウム焼結体上にAl23
層を残存させておくことが必要である。
【0018】基板30のガラス混在Al23層13には
多孔質Al23層の気孔率に応じて0.01〜15容積
%ガラスが含まれ、酸化物粒子分散ガラス層14にはガ
ラスが5容積%以上100容積%未満含まれることが好
ましい。また各層の厚さは、図3に示すように、基板3
0の用途により、主ガラス層16が0.1〜100μm
の厚さに形成され、酸化物粒子分散ガラス層14が0.
1〜10μmの厚さに形成され、ガラス混在Al23
13が0.01〜10μmの厚さに形成され、Al23
層12が0〜9.99μmの厚さに形成される。この基
板30は薄膜回路用基板、厚膜回路用基板及びサーマル
ヘッド用基板などに適する。
【0019】第1、第2又は第3の窒化アルミニウム基
板の主ガラス層、酸化物粒子分散ガラス層及びガラス混
在Al23層中のガラス成分は、PbO−SiO2−B2
3系にAl23、アルカリ土類金属、アルカリ金属等
が添加された系である。このガラス層は、これらのガラ
ス粉末を溶剤と混合してガラスペーストとし、このガラ
スペーストを多孔質Al23層上にスクリーン印刷、ス
プレーコーティング、ディップコーティング、スピンコ
ーティング等の方法によりコーティングして乾燥した
後、焼成して形成される。またこのガラス層はガラスペ
ーストをプラスチックベースシートに塗布した後、この
シートのペースト面を被積層面に重ねてベースシートを
剥離する方法、ゾル−ゲル法、スパッタリング法等によ
り形成することもできる。
【0020】
【作用】第1〜第3の窒化アルミニウム基板において、
Al23層12は焼結体11との界面で焼結体との整合
性が高く、焼結体11と強固に接合される。このAl2
3層12は焼結体11に対するガラスのバリヤ層とし
て機能し、焼結体11界面での気泡の発生を防止する。
また熱酸化により形成されたAl23層が多孔質である
ことから、次の特長がある。即ち、熱膨張係数が7〜8
×10-6/℃のAl23に対して窒化アルミニウムの熱
膨張係数は約4×10-6/℃と小さいため、多孔質のA
23層にガラスが侵入して形成されたガラス混在Al
23層13は、ガラスの熱膨張係数がAl23の熱膨張
係数より小さい場合はその熱膨張係数が窒化アルミニウ
ムに近づき、層形成時の熱処理過程で発生する熱応力を
十分に緩和でき、Al23層13にクラックが生じるこ
とがない。
【0021】第3の窒化アルミニウム基板においては、
酸化物粒子分散ガラス層14はAl23,TiO2,Z
rO2等のガラスよりも熱伝導性のよい粒子がガラス層
中に分散するため、この層14の熱伝導度が高くなり、
基板30の放熱特性をより向上させる。また酸化物粒子
分散ガラス層14の形成は、ガラス混在Al23層の表
面平滑性を良好にする。このことは比較的表面粗さが大
きい窒化アルミニウム焼結体でも基板表面粗さを小さく
して基板表面平滑度を向上させることが可能であること
を意味する。更に第3の窒化アルミニウム基板を別の方
法で製造するときにおいて、Al23、TiO2、Zr
2粒子は、最終のガラス焼成時にその軟化したガラス
が多孔質Al23層を通過しにくくし、結果としてガラ
スを窒化アルミニウム焼結体に到達しにくくする働きも
ある。
【0022】
【実施例】次に本発明の実施例を第3の窒化アルミニウ
ム基板を代表して説明する。先ず厚さ1mmの窒化アル
ミニウム焼結体を76×76mmの正方形に切り出し、
大気中、1300℃で1時間熱処理し、焼結体の表面に
3.0μm厚の多孔質Al23層を形成した。Al23
粒子とSiO2粒子とをAl23粒子が34重量%、S
iO2粒子が66重量%の割合で溶剤に均一に分散した
懸濁液を調製した後、この懸濁液を上記多孔質Al23
層上に塗布した後、300℃で1時間乾燥させ、次いで
1100℃で1時間焼成することによりAl23粒子と
SiO2粒子の複合もしくは混合層を形成した。次にこ
の複合もしくは混合層の上にガラス粒子が均一に溶剤に
分散した懸濁液を塗布し、150℃で30分間乾燥して
ガラス粒子層を形成した。続いて1000℃で30分間
焼成し、ガラス粒子層のガラスを軟化させた。これによ
り窒化アルミニウム焼結体上にAl23層、ガラス混在
Al23層、酸化物粒子分散ガラス層及び主ガラス層を
この順で形成され、図3に示される窒化アルミニウム基
板30が作られた。
【0023】この基板30を10×10mmの大きさに
切り出し、この切断面が次に述べる研磨面となるように
このサンプルを固定しエポキシ樹脂に埋込んだ。エポキ
シ樹脂が十分に硬化した後、サンプルの切断面を研磨し
た。研磨は最終的に研磨面が鏡面になるまで行った。鏡
面仕上げされたサンプルに金を蒸着した後、断面をエレ
クトロンプローブマイクロアナライザ(EPMA)によ
り線分析し、窒化アルミニウム焼結体上の各層の形成状
況を調べた。その結果を図4に示す。図4において横軸
はサンプルの表面から焼結体までの走査距離を示し、縦
軸は強度を示す。図の実線はAlの濃度分布を、破線は
Siの濃度分布を示す。図4から明らかなように、Al
23層12は約0.8μm、ガラス混在Al23層12
は約2.2μm、Al23粒子分散ガラス層13は約2
μm、主ガラス層16は約4μmであった。これにより
窒化アルミニウム焼結体上に9μm程度の極めて薄い積
層体が焼結体界面で気泡もなく形成された。
【0024】次に実施例の窒化アルミニウム基板30の
表面平滑性を評価するために、表面粗さ計にて表面粗さ
を測定した。比較のため、実施例の窒化アルミニウム焼
結体の表面粗さも測定した。その結果、窒化アルミニウ
ム焼結体の粗さ平均値Raが0.4μm、最大粗さRmax
が3.0μmであったのに対して、実施例の基板30の
粗さ平均値は0.06μm、最大粗さRmaxは0.5μ
mであり、実施例の基板30は窒化アルミニウム焼結体
より表面が非常に平滑であることが判った。
【0025】次に実施例の窒化アルミニウム基板30の
耐食性を評価するために、この基板30を25×25m
mの大きさに切り出し表面にAl23層、ガラス混在A
23層、酸化物粒子分散ガラス層、更に主ガラス層が
形成された面だけをpH13のアルカリ溶液中に24時
間浸漬した。24時間後、基板溶解は全く観測されなか
った。比較のために窒化アルミニウム焼結体を10×1
0mmの大きさに切り出し片面だけを同様にpH13の
アルカリ溶液中に24時間浸漬したところ、24時間後
2mg/cm2の基板溶解が観測された。このことによ
り、この実施例の基板30は、耐食性に優れ、薄膜回路
を形成する際の薄膜のエッチングが容易であることが判
った。
【0026】次に実施例の窒化アルミニウム基板30の
放熱特性を評価するために、基板30を10φmmに切
り出し、レーザーフラッシュ法にて熱伝導度を測定した
ところ、その熱伝導度は160W/m・Kであった。こ
れにより、実施例の基板30の熱伝導度は窒化アルミニ
ウミム焼結体の熱伝導度(170W/m・K)に比較し
て5%程度熱伝導度が低下していることが判った。
【0027】更に実施例の窒化アルミニウム基板30の
薄膜との密着度を評価するために、この基板30を25
×25mmの大きさに切り出し、2mm□パッドにCr
を0.1μm厚だけスパッタリングし、更にCuを5μ
m厚だけスパッタリングしてCu/Cr薄膜を形成し
た。この2mm□パッド上に1mmφのCuワイヤを固
定し、40Pb/60Snの共晶はんだを用いてはんだ
付けを行い、薄膜のピーリング試験を行った。密着強度
は全て5kg/2mm□以上でその破断モードは全て基
板内であった。一方比較のために実施例の窒化アルミニ
ウム焼結体を用いて同様に薄膜のピーリング試験を行っ
たところ、密着強度は全て3kg/2mm□以上で、こ
の破断モードは92%が基板内で、残り8%は薄膜/焼
結体界面であった。これにより、実施例の窒化アルミニ
ウム基板と薄膜との密着性が非常に高いことが判った。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、窒
化アルミニウム焼結体の酸化層である多孔質Al23
にガラスを侵入させることにより、従来の窒化アルミニ
ウム基板と比較して、より一層焼結体上のガラス層を薄
くでき、放熱特性を窒化アルミニウム自体の放熱特性に
より近づけることができる。またガラスを侵入させない
Al23層を窒化アルミニウム焼結体の上に残存させる
ことにより、窒化アルミニウム焼結体とガラスを含む層
との接合界面で気泡を生じさせない。特に第3の窒化ア
ルミニウム基板では、酸化物粒子分散ガラス層が形成さ
れるため、焼結体の表面粗さが大きくても、ガラス層が
平坦化し、基板を表面平滑性に優れたものにする。本発
明の窒化アルミニウム基板上には、ガラス混在Al23
層又は主ガラス層を介してガラスグレーズド層、導体層
等を容易に、安定してかつ強固に形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の窒化アルミニウム基板の表面部
分の拡大断面図。
【図2】本発明の第2の窒化アルミニウム基板の表面部
分の拡大断面図。
【図3】本発明の第3の窒化アルミニウム基板の表面部
分の拡大断面図。
【図4】本発明実施例の第3の窒化アルミニウム基板断
面のエレクトロンプローブマイクロアナライザによる線
分析図。
【符号の説明】
10,20,30 窒化アルミニウム基板 11 窒化アルミニウム焼結体 12 Al23層 13 ガラス混在Al23層 14 酸化物粒子分散ガラス層 16 主ガラス層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中林 明 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム焼結体(11)と、前記焼
    結体(11)上にAl23層(12)を介して又はAl23層(1
    2)を介さずに設けられAl23にガラスが混在したガラ
    ス混在Al23層(13)とを含む窒化アルミニウム基板。
  2. 【請求項2】 窒化アルミニウム焼結体(11)と、前記焼
    結体(11)上にAl23層(12)を介して又はAl23層(1
    2)を介さずに設けられAl23にガラスが混在したガラ
    ス混在Al23層(13)と、前記ガラス混在Al23層(1
    3)上に設けられた主ガラス層(16)とを含む窒化アルミニ
    ウム基板。
  3. 【請求項3】 ガラス混在Al23層(13)にガラスが
    0.01〜15容積%含まれる請求項1又は2記載の窒
    化アルミニウム基板。
  4. 【請求項4】 ガラス混在Al23層(13)が0.01〜
    10μmの厚さに形成され、Al23層(12)が0〜9.
    99μmの厚さに形成された請求項1又は2記載の窒化
    アルミニウム基板。
  5. 【請求項5】 窒化アルミニウム焼結体(11)と、前記焼
    結体(11)上にAl23層(12)を介して又はAl23層(1
    2)を介さずに設けられAl23にガラスが混在したガラ
    ス混在Al23層(13)と、前記ガラス混在Al23層(1
    3)上に設けられAl23、TiO2及びZrO2粒子より
    なる群より選ばれた1種又は2種以上の酸化物粒子がガ
    ラスに分散した酸化物粒子分散ガラス層(14)と、前記酸
    化物粒子分散ガラス層(14)上に設けられ前記酸化物粒子
    が含まれない主ガラス層(16)とを含む窒化アルミニウム
    基板。
  6. 【請求項6】 ガラス混在Al23層(13)にガラスが
    0.01〜15容積%含まれ、酸化物粒子分散ガラス層
    (14)にガラスが5容積%以上100容積%未満含まれる
    請求項5記載の窒化アルミニウム基板。
  7. 【請求項7】 主ガラス層(16)が0.1〜100μmの
    厚さに形成され、酸化物粒子分散ガラス層(14)が0.1
    〜10μmの厚さに形成され、ガラス混在Al23層(1
    3)が0.01〜10μmの厚さに形成され、Al23
    (12)が0〜9.99μmの厚さに形成された請求項5記
    載の窒化アルミニウム基板。
  8. 【請求項8】 窒化アルミニウム焼結体(11)を酸化して
    前記焼結体(11)上に多孔質Al23層を形成し、 前記Al23層の微細孔に軟化したガラスを侵入させて
    前記焼結体(11)上にAl23層(12)及びガラス混在Al
    23層(13)の2層構造又は前記焼結体(11)上にAl23
    層(12)、ガラス混在Al23層(13)及び主ガラス層(16)
    の3層構造を形成する窒化アルミニウム基板の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 窒化アルミニウム焼結体(11)を酸化して
    前記焼結体(11)上に多孔質Al23層を形成し、 前記Al23層の微細孔に軟化したガラスを侵入させて
    前記多孔質Al23層を前記焼結体(11)側から順にAl
    23層(12)及びガラス混在Al23層(13)にし、 前記ガラス混在Al23層(13)上にAl23、TiO2
    及びZrO2粒子よりなる群より選ばれた1種又は2種
    以上の酸化物粒子が分散したガラス層(14)を形成し、 前記酸化物粒子分散ガラス層(14)上に前記酸化物粒子が
    分散しない主ガラス層(16)を形成する窒化アルミニウム
    基板の製造方法。
  10. 【請求項10】 窒化アルミニウム焼結体(11)を酸化し
    て前記焼結体(11)上に多孔質Al23層を形成し、 前記Al23層上にAl23、TiO2及びZrO2粒子
    よりなる群より選ばれた1種又は2種以上の酸化物粒子
    とSiO2粒子が溶剤に分散した懸濁液を塗布し乾燥し
    た後焼成して酸化物粒子とSiO2粒子の複合もしくは
    混合層を形成し、 前記複合もしくは混合層上にガラス粒子が溶剤に分散し
    た懸濁液を塗布し乾燥してガラス粒子層を形成し、 前記ガラス粒子層が軟化する温度で熱処理して前記ガラ
    ス粒子層の軟化したガラスが前記複合もしくは混合層の
    SiO2粒子を溶解し更に前記多孔質Al23層中に侵
    入して前記焼結体(11)上にAl23層(12)とガラス混在
    Al23層(13)と酸化物粒子分散ガラス層(14)と主ガラ
    ス層(16)の4層構造を形成する窒化アルミニウム基板の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1999011461A1 (en) * 1997-08-29 1999-03-11 Topaz Technologies, Inc. Integrated head assembly for an ink jet printer

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