JPH07328401A - 多孔質分離膜の製法 - Google Patents

多孔質分離膜の製法

Info

Publication number
JPH07328401A
JPH07328401A JP15364295A JP15364295A JPH07328401A JP H07328401 A JPH07328401 A JP H07328401A JP 15364295 A JP15364295 A JP 15364295A JP 15364295 A JP15364295 A JP 15364295A JP H07328401 A JPH07328401 A JP H07328401A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
water
polysulfone
separation
active layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15364295A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Hajikano
彰 初鹿野
Kei Murase
圭 村瀬
Jun Kamo
純 加茂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP15364295A priority Critical patent/JPH07328401A/ja
Publication of JPH07328401A publication Critical patent/JPH07328401A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 限外濾過、精密濾過に適する耐湿熱性に優れ
る膜を提供する。 【構成】 本発明は、ポリアリルスルホン及びポリエー
テルスルホンを主成分とする多孔質分離膜に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリスルホン製多孔質分
離膜の製法、特に耐薬品性、耐湿熱性と透水性能に優れ
た限外濾過、精密濾過に使用するのに適する新規なポリ
スルホン性多孔質膜の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】耐熱性或は耐薬品性を備えた高分子製分
離膜に関する研究は従来から行なわれており、代表的な
ものとしてポリスルホン系ポリマーを素材とする分離膜
は既に実用化されている。
【0003】これら既存のポリスルホン系分離膜はポリ
スルホン或はポリエーテルスルホンを主たる材料として
いる(特開昭62−221402号公報、特開平4−3
00636号公報等)。これらのポリスルホンはガラス
転移温度が200℃前後と高く高温での機械的特性が良
好であることから耐熱性を備えた膜として注目されてい
る。
【0004】然乍、高温の水性液体を濾過する用途に使
用する膜は、単なる耐熱性ではなく良好な耐湿熱性を備
えていることが要求される。現在市販されているポリス
ルホンやポリエーテルスルホン製分離膜の高温水の濾過
における耐湿熱性レベルは、瞬間的には130℃程度の
高圧蒸気滅菌などに耐え得るものの、常用で高温水の濾
過を行なう場合は、濾過水の温度が約80℃以下であ
り、その耐湿熱特性は十分なものではない。
【0005】また特開平1−184001号公報に示さ
れた耐熱性のポリアリルスルホン膜は耐薬品性を備えて
いるものの、疎水性ポリマーにて構成されているため、
水濾過に使用する際には、何らかの親水化処理が必要で
ある。
【0006】例えば、当該分離膜の水濾過に先立ち、当
該膜を予めアルコール等に浸漬し膜中の微孔にエタノー
ルを充填した後、このエタノールを水に置換するなどの
通水操作が必要であり、このような処理を施した親水化
膜の保存或いは、移送は、該膜を液封した状態で取扱う
必要があり、その取扱性が極めて不便であった。また、
他の親水化方法としては、水溶性高分子、界面活性剤等
を微多孔質膜製造用原料に添加して製膜する方法(特開
平4−300636号、特開平2−268821号)、
或は微多孔質膜に上記水溶性高分子、界面活性剤等を後
処理により膜に付着させる方法(特開昭60−2468
12号)等の方法があり、かくして得た親水化膜は乾燥
状態の膜での初期通水性の向上を図っているが、これら
の処理は極めて煩雑であるという難点がある。
【0007】また、膜素材自体に親水性を付与する試み
もなされている。例えば膜素材であるポリマーにスルホ
ン酸基等の親水性基の導入する方法がこれに該当するも
のといえるが、ポリマーのスルホン化処理により、ポリ
マー自体がダメージを受け易く、得られる膜の機械的強
度が低下するというデメリットを伴う。
【0008】更に、精密濾過以上(特に限外濾過レベ
ル)の濾過精度が要求される用途に、これら従来開発さ
れた高分子製分離膜の孔径を小さくしたものを適用する
とその濾過速度は極端に低下する。逆に高い透水速度を
示す高分子膜を該用途に適用すると、膜の孔径が大きく
目的とする濾過精度を有する濾過を行えないものとはな
っている(特開昭63−99325号、特開平5−13
7982号)。
【0009】従って今後もなお、同等の分画特性を有す
る膜であればより優れた濾過効率、即ち、より濾過速度
が高く圧損の少ない膜の開発の要望が強まると考えられ
る。以上に述べたように、従来開発されてきた高分子分
離膜は部分的に幾つかの要求性能は満たしているもの
の、すべての要求性能を満たしたものは開発されておら
ず、とくに、高いレベルの要求に応えられるものは、未
だに開発されていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題および作用】本発明の目
的は、上記のような問題点を改善し、耐薬品性、耐湿熱
性に優れた分離膜であり、膜の初期通水性、及び繰り返
し通水が容易にでき、膜にて濾過した濾液中への溶出物
が少なく、更に濾過速度の大きい分離膜を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この様な目的は、以下の
発明によって達成される。ポリアリルスルホン及びポリ
エーテルスルホンとの90/10〜10/90なる混合
物を良溶媒に溶解した溶液と、グリセリン、ポリエチレ
ングリセリン、水の少なくとも1種よりなる凝固液とを
用いて製膜し、平均孔径0.01〜1μの微孔のポリマ
ーネットワークよりなる分離活性層と、それに続く、平
均孔径1〜100μの微孔を有し、該微孔が、活性分離
層側から膜の他面に向って順次大きくなる傾斜型のポリ
マーネットワーク構造の支持層とよりなるポリスルホン
製多孔質分離膜の製法にある。
【0012】本発明を実施するに際して用いるポリアリ
ルスルホンとは次の構造式で表わされるものである。
【0013】
【化1】
【0014】また本発明で用いるポリエーテルスルホン
とは次の構造式で表わされるものである。
【0015】
【化2】
【0016】本発明者らは耐湿熱性の観点から原料ポリ
マーの詳細な検討を行い、ポリアリルスルホンを原料と
する分離膜が熱水濾過や加圧水蒸気滅菌処理に対して長
期間強伸度を維持し、膜性能の低下が少ないことを見出
した。更に本発明者らはポリアリルスルホンとポリエー
テルスルホンからなる分離膜が濾過材料として極めて有
用であることを見出し本発明に至ったものである。
【0017】ポリアリルスルホンから成る分離膜は先に
述べたように公知であるが、耐湿熱性において優れた特
性を示すものの、透水速度や通水性といった濾過性能や
取扱い性において不十分であった。
【0018】そこで、本発明者らはポリアリルスルホン
以外の第2成分を添加することによってポリアリルスル
ホン膜の性能の低下をきたすことなく、その難点を解消
することについて検討した結果、得られる膜の耐熱性、
耐薬品性の点で第2成分としてポリエーテルスルホンを
選定することが好ましいことを見出した。更に、驚くべ
きことにポリエーテルスルホンを第二の必須成分とする
ことで、それぞれのポリスルホン単独の分離膜或はその
他のポリスルホン単独からなる分離膜に見られない優れ
た透水性を発揮することを見出した。
【0019】本発明の分離膜の詳細について以下に述べ
る。ポリアリルスルホン含有量が10重量%未満の分離
膜は、本発明の目的とする優れた耐湿熱性、耐熱水濾過
性が十分に発揮され難く、ポリアリルスルホンは膜の構
成成分中10重量%以上であることが好ましい。
【0020】また、第2の成分はポリエーテルスルホン
である事が必要である。ポリアリルスルホン又はポリエ
ーテルスルホン単独の膜とポリアリルスルホン/ポリエ
ーテルスルホン混合ポリマーの膜とにおいて同等の分画
性能を有するものを作り、それらの透水速度を比較した
場合、ポリアリルスルホン/ポリエーテルスルホン両方
を必須成分としたものは、それぞれ単独からなるものに
比べ高い透水速度を示す。更に、乾燥状態の膜に通水す
る際の圧力(透水圧)が他の膜に比べ著しく低減でき、
多くの場合、特別な親水化処理を該膜に施さなくても初
期通水することができる。
【0021】本発明で得られる分離膜の耐湿熱性、初期
通水性、濾過速度の向上効果は分離膜基材としてポリア
リルスルホン/ポリエーテルスルホン混合系物を用いる
ことによって顕著に現われるものであり、他のものにお
いては達成されない。ポリスルホン系ポリマーのブレン
ド使用の例は、ポリスルホン/ポリエーテルスルホン混
合系(特開昭54−144456号公報、特開昭62−
221402号公報)が公知であるが、これらの発明に
よって得たポリスルホン膜は熱水濾過における耐用時間
が短く、単位膜面積当たりの透水速度が低く、これらの
特性が本発明の膜のレベルに達するものを得ることはで
きない。
【0022】ポリスルホン/ポリアリルスルホン混合物
で作った膜も同様であり、例えば膜への初期通水は、別
途膜の親水化処理操作を施さない限り通水困難である。
【0023】本発明の分離膜においてポリアリルスルホ
ンとポリエーテルスルホンの含有量は、先に述べたよう
に本発明の膜に良好な耐湿熱性を付与するとの観点よ
り、ポリアリルスルホン含量は膜の構成成分中10重量
%以上であることが必要である。より優れた透水性を備
えた膜を得るためには膜の構成成分中のポリアリルスル
ホン、ポリエーテルスルホンはそれぞれ約10wt%で
あることが好ましい。
【0024】膜の主構成成分であるポリアリルスルホ
ン、ポリエーテルスルホン以外の膜構成成分は本発明の
濾過膜としての諸性能を損なうものでない限り如何なる
ものでもよく、例としては、ポリビニルピロリドン、と
くに、高分子量のポリビニルピロリドンを用いることが
好しい。
【0025】但し、濾液への膜構成成分の溶出が問題と
なる用途などにおいてはこれらに対する注意を要する。
以上のような点から膜の組成はポリアリルスルホンとポ
リエーテルスルホンの合計の含有量が多い方が良く、8
0重量%以上であることが望ましい。
【0026】膜の構造は分離膜に要求される分画特性を
決定する重要な要素であり、かつ、分離膜の濾過速度や
初期通水性、引張り強度、耐圧性等の機械特性にも少な
からず影響を及ぼす。
【0027】本発明の分離膜は要求される分画特性が、
所謂、精密濾過から限外濾過と呼ばれる範囲であり、膜
の分離活性を担う部分、即ち最も微細な多孔質構造を有
する部分が直径約0.01〜1μの細孔にて形成された
網目状ポリマーネットワークからなることが必要であ
る。
【0028】構造的に最も微細である分離活性を有する
層の孔径が過剰に小さい分離膜は、その初期通水性が悪
く、かつ、濾過速度も小さくなるという難点がある。一
方、該孔径が大きすぎる膜は、0.2μ粒子の阻止率が
低下し始め、精密濾過膜としての品質、信頼性を損なう
ものとなる。
【0029】膜に0.2μの粒子を完全に捕捉(阻止率
100%)せしめる場合や、より精度の高い精密濾過を
行わせる膜とするには、膜の分離活性層中の最大孔径は
1μ以下、とくに0.5μ以下であることが好ましい。
【0030】また、膜の分離活性層の厚さが薄すぎる場
合、目標とする濾過精度を有する膜を得ようとすると分
離活性層の孔径をより緻密な構造にする必要が生じ、こ
のような膜はその初期通水性や濾過速度が損なわれると
同時にピンホールなどの欠陥発生頻度が高くなる。一
方、膜の分離活性層の厚さが厚すぎると膜の濾液通過抵
抗の増大、即ち、濾過速度の低下というデメリット面が
増大する。
【0031】分離膜の機械強度的な配慮から、膜構造中
には分離活性層に連なる支持層を持たせるのがよい。膜
の分離特性の低下をきたすことなく、膜の耐圧性など機
械的特性を向上させるとの観点より、膜の分離活性層か
ら連続的に1〜100μの孔にて構成されるポリマーネ
ットワークが粗くなる傾斜構造の網目状構造であること
が好ましい。
【0032】支持層部の構造が過剰に緻密又は微細な場
合は膜の濾過速度が低下し、逆に支持層部に過度に大き
な空孔が存在する場合には、膜の機械的強度面が低下す
るので好しくない。その点で支持層部の構造は直径約1
〜100μの細孔を形成する網目状ポリマーネットワー
クからなっていることが好ましい。
【0033】また分離活性層と支持層を含む膜全体の厚
さは任意に設定できるが、膜の機械的強度や濾過抵抗を
考慮すると、厚さは約30〜1000μの範囲にあるこ
とが好ましい。
【0034】本発明の多孔質分離膜の製造は、膜の空孔
率が高く且つ膜断面方向に非対称な傾斜多孔質構造を有
する膜とするには、ポリスルホンポリマー溶液と特定の
凝固液とを用いた乾湿式又は湿式賦形法を採用するのが
好しい。
【0035】製膜の原液としてポリアリルスルホンとポ
リエーテルスルホンの混合樹脂溶液を用いる。ポリスル
ホンの溶剤としてはN−メチルピロリドン、ジメチルア
セトアミド、ジメチルスルホキシド等を、単独で、或い
は、2種類以上の混合したものを使用できる。
【0036】これら原液中成分としてポリエチレングリ
コール、とくに分子量100〜1000のポリエチレン
グリコールやグリセリンを1〜10重量%なる範囲で加
えることにより賦形により形成される膜の相分離速度を
適切にコントロールし、前述した如き特異な傾斜構造の
膜を容易に作ることができる。
【0037】上記のような原液を湿式法で製膜するにあ
たっては、シート状にする場合も中空糸状にする場合も
それぞれ公知の方法を用いることができる。前者の場合
は平板上に原液をキャストし、また後者の場合は二重環
状シースコアノズルのシース側より原液を吐出し、それ
ぞれ凝固液中に導き膜構造を形成させる。
【0038】中空糸への紡糸は、いわゆる湿式法、乾湿
式法のいずれでもよい。膜表面構造の均一化、中空糸径
の縮小、エアギャップでの溶剤揮発や吸湿などを期待す
る場合は乾湿式法が好ましい。
【0039】凝固液は分子量1000以下のポリエチレ
ングリコール、グリセリン又は水の少なくとも1種より
なるものを用いることにより本発明で規定する特異な断
面構造を有するポリスルホン膜を作ることができる。
【0040】本発明により中空糸膜を作る際に用いるコ
ア側の成分、即ち、芯液としては、上記のような凝固液
を用いることができるがこれに限定されない。本発明に
ある分離膜構造を得るためには原液、凝固液および芯液
の組成や温度等は適宜調整されるべきであり、特定のも
のに限定されない。
【0041】得られた凝固液は公知の方法により洗浄、
乾燥できる。主原料ポリマー以外の成分を原液や凝固
液、芯液に使用した場合、これらの物質の膜内への残留
を最小限に抑えるため洗浄を強化することが望ましい。
【0042】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。ポリマーの略号と商品名は次の通りである。 PAS:ポリアリルスルホン(RADEL R−500
0) PES:ポリエーテルスルホン(RADEL A−10
0) PSF:ポリスルホン(UDEL P−3500) PEG:ポリエチレングリコール PVP:ポリビニルピロリドン(K−90) 評価方法は以下のように行なった。 1)耐湿熱性 試料をオートクレーブにて約150℃の加圧熱水に21
日間浸漬した。処理前後の試料の引張り試験を行い、破
断伸度の維持率(100×処理後の破断伸度/処理前の
破断伸度)を求めた。
【0043】2)透水速度 シート状膜の場合は直径43mmの円形試料を濾過ホル
ダー(UHP−43、アドバンテック製)にセットした
ものを、中空糸膜の場合は有効長約70mmのミニモジ
ュールを用意し、膜をエタノールに十分浸漬した後、水
に置換する親水処理を行った。このものに差圧2kg/
cm2 (中空糸は外側から加圧)にて通水し、加圧後1
分から2分までの透水量を測定し、透水速度を算出し
た。
【0044】3)通水性指標 上記の方法に準じた親水処理後の膜の透水速度と、親水
処理を省いた乾燥状態からの膜の透水速度とを、濾過差
圧約0.5kg/cm2 にて測定。Dry/Wet W
ater Flux Ratio(100×乾燥膜の透
水速度/親水膜の透水速度)を求めた。
【0045】4)表面孔径及び内部構造 走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM−T20)
にて膜表面及び断面を観察し写真より分離活性層の厚
さ、表面孔径及び内部構造(空孔径等)を調べた。
【0046】5)分画特性 透水速度測定と同様に親水処理膜のセットされたホルダ
ー或はモジュールを用意し、0.1wt%のポリスチレ
ンユニフォームラテックス分散液を、差圧0.7kg/
cm2 にて有効膜面積100cm2 あたり10mlとな
るように濾過し、濾液を熱め吸光度測定からポリスチレ
ンラテックスの透過量を求め、これから膜のラテックス
粒子阻止率を算出した。
【0047】6)再通水性 熱水濾過(80℃×30日間)後の乾燥膜に通水し、初
回通水時との透水速度比較により判断した。
【0048】実施例1 ポリアリルスルホンとポリエーテルスルホンをそれぞれ
6重量%ずつ含むスルホン系ポリマー混合溶液(溶媒:
ジメチルアセトアミド、以後DMAcと略記、総ポリマ
ー濃度:12重量%)を用い、これらを平板上に175
μmの厚さにキャスト後、直ちに凝固液に浸漬し凝固膜
を得た。
【0049】凝固液の組成はグリセリン/水=75/2
5(重量%)のものを用い、凝固液温度は30℃とし
た。凝固膜は引き続き温水にて洗浄脱溶剤を施した後、
熱風乾燥し表1に示すような分離膜を得た。
【0050】走査型電子顕微鏡による膜構造観察では、
最も微細な網目状構造となっている膜表面に無数の孔径
約0.1〜0.2μの細孔が確認された。膜の断面を観
察したところ、膜の表面から内部にかけて徐々に粗いネ
ットワークとなる網目状の分離活性層が見られた。
【0051】またこの層には直径約0.1〜0.5μの
空孔が網目状ポリマーネットワークにより形成されてい
た。それに引き続く内部層から膜の反対側表面にかけて
は表層部より粗い網目状構造で直径約1〜70μの空孔
を含む支持層となっている非対称構造が観察された。
【0052】膜全体の厚さは約100μであった。得ら
れた膜の分画特性は0.1μのラテックス微粒子を10
0%阻止するものであった。またバブルポイント法によ
る5μ以上のピンホールは確認されなかった。
【0053】このものの透水速度を測定したところ22
L/hr・m2 ・mmHgであり、0.5kg/cm2
の低差圧でも乾燥状態から十分通水可能(通水性指標:
87%)であった。更にこのもので約1ヶ月間の80℃
熱水濾過試験を行った後に濾過を中断し、一旦乾燥した
膜に再度通水を試みたところ初回と同等の通水性が得ら
れた。
【0054】実施例2 ポリアリルスルホンとポリエーテルスルホンとの1:1
の混合物の溶液(ポリマー濃度:15重量%)にグリセ
リンを添加したものを原液として、実施例1と同様な方
法で製膜した。得られた膜はポリアリルスルホン/ポリ
エーテルスルホン=50重量%/50重量%から成って
おり、分画特性は0.1μのラテックス微粒子を100
%阻止するものであった。
【0055】膜の構造は、表層部が孔径0.01μ程度
の微細な空孔を含む網目状構造からなる分離活性層と、
膜内部は数μ程度の空孔が存在する網目構造からなる支
持層となっていた。この膜の透水速度、通水性指標の値
を表1に示した。また熱水濾過後の膜の再通水性は良好
であった。
【0056】実施例3 ポリアリルスルホンとポリエーテルスルホンの混合溶液
(ポリマー濃度:15重量%)にポリビニルピロリドン
(K−90)を添加したものを原液とし、実施例1と同
様な方法で製膜した。得られた膜はポリアリルスルホン
/ポリエーテルスルホン/ポリビニルピロリドン=50
重量%/49重量%/1重量%から成っており、分画特
性は0.1μのラテックス微粒子を100%阻止するも
のであった。
【0057】電子顕微鏡観察による膜の構造は表層部に
ある分離活性層が比較的厚いものであった。この膜の透
水速度、通水性指標の値を表1に示した。また熱水濾過
後の膜の再通水性も良好であった。
【0058】実施例4 ポリアリルスルホンとポリエーテルスルホンの混合溶液
(ポリマー濃度:11重量%)を原液として、実施例1
と同様な方法で製膜した。得られた膜はポリアリルスル
ホン/ポリエーテルスルホン=10重量%/90重量%
から成っていた。
【0059】電子顕微鏡観察のよる膜の構造は、表層の
比較的薄く緻密な分離活性層(空孔径:約0.01〜
0.1μ)と、内部の指状多孔質支持層とから構成され
ていた。
【0060】その透水速度、通水性指標を調べたところ
良好な結果が得られた。熱水濾過後の再通水性において
も初回とほぼ同等で問題は認められなかった。結果を表
1に示した。
【0061】比較例1 原液をポリアリルスルホン/ポリスルホンの混合溶液と
した以外は、実施例1と同様にして分離膜を得た。得ら
れた膜の性能評価と構造観察を実施し、表1に示した。
構造的には片側表層に比較的薄く緻密な分離活性層を有
し、内部は、所謂指状の支持層構造となっていた。
【0062】このものには一部にピンホールが検出され
た(バブルポイント法)。5μ以上のピンホールのない
部分を採取し、透水速度、通水性指標を測定したが共に
低い値を示した。また、80℃熱水濾過後に再度通水を
試みたがほとんど不可能であった。
【0063】比較例2 ポリスルホンとポリエチレングリコールを含む原液から
実施例6と同様な方法で、表1に示したポリマー組成、
分離活性層構造の膜を作製した。この膜の透水速度を測
定したところ、1.8L/hr・m2 ・mmHgであっ
た。また初回の通水性指標は27%であったが、このも
のを約1ヶ月間の80℃熱水濾過試験を行った後に膜を
一旦乾燥し、再度通水を試みたところ初回と同等の通水
性は得られず透水速度は著しく低下した。
【0064】比較例3 ポリスルホンと親水性高分子ポリビニルピロリドン(K
−90)を含む原液を用い実施例1と同様に製膜し、得
られた膜の性能評価と構造観察を実施した。膜構造とし
ては、表1に示すような網目状の分離活性層と、直径約
10〜30μのマクロボイドを有する支持層とからなっ
ていた。
【0065】乾燥状態からの初期通水は可能(通水性指
標:47%)であったが透水速度は低い(2.0L/h
r・m2 ・mmHg)ものであった。また濾液中に膜か
ら溶出したポリビニルピロリドンが検出された。このも
ので約1ヶ月間の80℃熱水濾過試験を行った後に膜を
一旦乾燥し、再度通水を試みたが初回と同等の通水性は
得られなかった。
【0066】実施例5 ポリマー濃度がポリアリルスルホン/ポリエーテルスル
ホン=7重量%/6重量%のDMAc溶液を二重環状ノ
ズルの鞘側から、内部凝固液(グリセリン/水=75重
量%/25重量%)を芯側からそれぞれ吐出し、一旦空
中を10mm通過した後に50℃に保温した外部凝固液
(グリセリン/水=50重量%/50重量%)中に導
き、湿式凝固を行った。このものを温水にて洗浄し溶剤
を除いた後に、熱風乾燥を行い、ポリアリルスルホン/
ポリエーテルスルホン=54重量%/46重量%からな
る中空糸膜を得た。
【0067】得られた中空糸は外径550μ、膜厚10
0μで外表側に微細な網目層、即ち、分離活性層を有す
る非対称構造であった。外表付近の分離活性層には直径
約0.1〜1μの細孔が無数に存在し、外表から内部に
向かって徐々に粗くなる網目状の層であった。
【0068】更に内部から内表面にかけては、より粗い
ポリマーネットワークからなる網目構造の支持層であっ
て、直径約1〜20μ程度の比較的大きな空孔が見られ
た。またこのものに5μ以上のピンホールは見られなか
った。
【0069】この膜の透水速度は15L/hr・m2
mmHgであり、特別な親水処理をすることなく乾燥状
態から通水可能(通水性指標/78%)であった。更
に、約1ヶ月の80℃熱水濾過試験を行った後に膜を一
旦乾燥し、再び通水したが通水性指標に変化は見られな
かった。
【0070】またこの中空糸の150℃加圧熱水処理
(21日間)後の破断伸度維持率は90%と高く、優れ
た耐湿熱特性を示した。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】本発明は、耐薬品性、耐湿熱性、透水性
能に優れた多孔質膜を使用して、限外濾過、精密濾過を
行なう事を可能とする。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリルスルホン(A)とポリエーテ
    ルスルホン(B)とを10/90〜90/10なる割合
    で配合したポリスルホンをポリスルホンの良溶媒に溶解
    したポリスルホン溶液と、グリセリン、ポリエチレング
    リコール、水の少なくとも1種よりなる凝固液とを用い
    て製膜し、平均孔径0.01〜1μの微孔にて構成され
    る網目ネットワーク構造の分離活性層と、該分離活性層
    に続く、平均孔径1〜100μの微孔にて構成され、該
    微孔の孔径が、分離活性層側から、他の膜面へ向ってし
    だいに大きくなる傾斜構造のポリマーネットワークより
    なる支持層とを有するポリスルホン製多孔質分離膜の製
    法。
  2. 【請求項2】 ポリスルホン溶液として、ポリスルホン
    溶液中にグリセリン又はポリエチレングリコールを1〜
    10重量%添加したポリスルホン溶液を用いることを特
    徴とする請求項1記載のポリスルホン製微多孔質膜の製
    法。
JP15364295A 1995-06-20 1995-06-20 多孔質分離膜の製法 Pending JPH07328401A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15364295A JPH07328401A (ja) 1995-06-20 1995-06-20 多孔質分離膜の製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15364295A JPH07328401A (ja) 1995-06-20 1995-06-20 多孔質分離膜の製法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06125559 Division 1994-06-07 1994-06-07

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07328401A true JPH07328401A (ja) 1995-12-19

Family

ID=15566993

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15364295A Pending JPH07328401A (ja) 1995-06-20 1995-06-20 多孔質分離膜の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07328401A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004004044A1 (ja) * 2002-05-31 2004-01-08 Ube Industries, Ltd. 燃料電池用加湿装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004004044A1 (ja) * 2002-05-31 2004-01-08 Ube Industries, Ltd. 燃料電池用加湿装置
US7156379B2 (en) 2002-05-31 2007-01-02 Ube Industries, Ltd. Fuel cell-use humidifier

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100346590B1 (ko) 폴리술폰제다공질막및그제법
JP4221154B2 (ja) 高多孔性のポリ二弗化ビニリデン膜の製造方法
EP0121911B1 (en) Hollow fiber filter medium and process for preparing the same
JP4172819B2 (ja) 中空糸状濾過膜
EP1842581B1 (en) Method for preparing highly asymmetric ultrafiltration membranes
EP0888211B1 (en) Highly porous polyvinylidene difluoride membranes
CN112203749A (zh) 用于毛细管微滤的膜
JPS6356802B2 (ja)
JP2899347B2 (ja) 多孔性中空糸膜
JP2899352B2 (ja) 多孔性の中空糸膜
JPS61200806A (ja) ポリエ−テルスルホン多孔中空糸膜およびその製造方法
JPH07328401A (ja) 多孔質分離膜の製法
JP2882658B2 (ja) ポリスルホン系半透膜の製造方法
JP3524637B2 (ja) 高分子多孔質膜の製造方法
JP3250808B2 (ja) ポリスルホン製多孔質膜及びその製法
JP2004097703A (ja) 高性能血漿浄化膜
JP4689790B2 (ja) アニオンコポリマーブレンドの内部親水性膜
JPS61200805A (ja) ポリエ−テルスルホン微孔中空糸膜およびその製造方法
JP4075236B2 (ja) ポリフェニルスルホン中空糸膜の製造法
JP2004098027A (ja) 高性能精密濾過膜
JPH10243999A (ja) ポリスルホン系血液透析膜
JP2005058906A (ja) 高分子多孔質膜、血液浄化器および高分子多孔質膜の製造方法
JP2899348B2 (ja) 多孔性中空糸
JP4455019B2 (ja) 医療透析用中空糸膜及びその製造方法
JPH0420651B2 (ja)