JPH07326403A

JPH07326403A - 電線端末構造およびその構成方法

Info

Publication number: JPH07326403A
Application number: JP6119290A
Authority: JP
Inventors: Akira Ito; 朗伊東
Original assignee: Sumitomo Wiring Systems Ltd
Current assignee: Sumitomo Wiring Systems Ltd
Priority date: 1994-05-31
Filing date: 1994-05-31
Publication date: 1995-12-12
Anticipated expiration: 2015-05-08
Also published as: JP3039270B2

Abstract

(57)【要約】【構成】この電線端末構造は、ワイヤーハーネス用の電
線に採用される端末構造である。電線１０の先端１１か
ら所定距離の位置に、この先端１１から挿通されるゴム
栓２０の位置ずれを規制する突出部材３０を設けた。突
出部材３０は、電線１０の被覆１２を軟化変形させてリ
ング状に形成した。【効果】ゴム栓が電線の先端から遠ざかる方向にずれる
のを確実に規制できる。ゴム栓が確実にコネクタの内壁
に密着でき、コネクタの確実な防水を行なうことができ
る。電線の先端に取付けられる端子金具を、防水コネク
タ用および非防水コネクタ用に共通部品として使用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ワイヤーハーネス用
の電線における、当該電線の端末構造に関するものであ
り、詳しくは、上記電線の先端に取付けられる防水用ゴ
ム栓が、電線に沿ってその位置がずれるを防止するため
の、電線端末構造に関するものである。また、この電線
端末構造を構成するための方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から防水コネクタにおいては、コネ
クタに接続される電線の端部にゴム栓が嵌め込まれてい
る。このゴム栓は、端子金具が電線の先端に圧着される
際に、端子金具の一部によって上記電線と共にかしめら
れて電線に固定されるようになっている。そして、上記
端子金具をコネクタへ挿入すれば、上記ゴム栓がコネク
タ内に押し込まれてコネクタの内壁面に密着する。これ
により、コネクタの内壁面と電線との隙間を塞いで防水
を行なっている。

【０００３】図７を参照して一般的な防水コネクタＣに
ついて簡単に説明すると、電線１の先端に、上記ゴム栓
２が挿入されており、このゴム栓２が装着された状態で
端子金具３が圧着されている。一般に端子金具３は、電
線１の被覆が除去された芯線１ａ部分をかしめる芯線圧
着部３ａと、この芯線圧着部３ａの後方に、電線の被覆
部分をかしめる被覆圧着部３ｂとを有している。

【０００４】芯線圧着部３ａは、強くかしめられて上記
芯線１ａに圧着されている。また、被覆圧着部３ｂは、
上記ゴム栓２の先端部２ａにかしめられて圧着されてい
る。そして、この端子金具３をコネクタＣに挿入した状
態で、ゴム栓２の密封部２ｂがコネクタＣの内壁面に密
着するようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記被覆圧
着部３ｂを電線１の被覆部分にかしめる際に、ゴム栓２
の先端部２ａと一緒にかしめて圧着しているのは、端子
金具３をコネクタＣに挿入する場合等、ゴム栓２に外力
が加わってゴム栓２が電線１に沿ってずれないようにす
るためである。

【０００６】ところが、芯線圧着部３ａを芯線１ａにか
しめる場合のように、上記被覆圧着部３ｂをゴム栓２に
強くかしめれば、ゴム栓２の先端部２ａが切れてしまう
おそれがあるため、被覆圧着部３ｂは、あまり強くかし
めることができない。このため、ゴム栓２が装着された
状態で端子金具３をコネクタＣに圧入しようとしたとき
に、ゴム栓２が電線１に沿ってずれてしまう場合があ
り、このようにゴム栓２がずれてしまえば、ゴム栓２の
密封部２ｂがコネクタＣの内壁面に密着できず、防水型
端子としての機能を果たさないという不都合があった。

【０００７】一方、上記問題に対して、従来から以下の
ような対策が講じられている。たとえば、上記被覆圧着
部３ｂに突起を形成すると共に、ゴム栓２の先端部２ａ
に凹部を設けたものがある。そして、被覆圧着部３ｂを
ゴム栓２の先端部２ａにかしめたときに、上記突起と凹
部とが係合することによって、ゴム栓２のずれを防止す
るようにしている（実開平１−１１２５７５号公報参
照）。

【０００８】また、ゴム栓２を電線１に挿入した状態
で、当該ゴム栓２に電線１側に突出する環状の突出部を
形成すると共に、電線１に環状の溝部を設けたものがあ
る。そして、ゴム栓２を電線１に挿入したときに、上記
突出部と溝部とが係合することにより、ゴム栓２のずれ
を防止するようにしている（実開昭６２−２６８７２号
公報参照）。

【０００９】しかしながら、従来の対策をもってして
も、ゴム栓２に力が加われば上記係合が外れてゴム栓２
がずれてしまう場合があり、確実にゴム栓２のずれを防
止することができなかった。また、従来、防水コネクタ
用の端子金具では、上述のようにゴム栓２と電線１とを
一緒にかしめるので、専用の端子金具が必要であった。
つまり、上記被覆圧着部３ｂの寸法を、非防水コネクタ
用の端子金具の被覆圧着部の寸法よりも、上記ゴム栓２
の肉厚分だけ大きくした専用のものが必要であり、非防
水コネクタ用の端子金具との共用化が不可能であった。

【００１０】そこで、この発明の主たる目的は、電線に
挿入された防水用ゴム栓のずれを確実に防止することが
できる電線端末構造およびこの電線端末構造の構成方法
を提供し、これにより、防水コネクタの防水機能を損な
うという不都合を回避することである。また、この発明
の他の目的は、防水コネクタ用端子金具と、非防水コネ
クタ用端子金具とを共通部品化することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る電線端末
構造は、ワイヤーハーネス用の電線において、当該電線
の先端に挿通される防水用ゴム栓の位置ずれを防止する
ための電線端末構造であって、上記電線の先端から所定
距離の位置に、上記ゴム栓が電線に沿って電線の先端か
ら遠ざかる方向に移動するのを規制する規制手段が設け
られていることを特徴とするものである。

【００１２】また、請求項２に係る電線端末構造は、請
求項１記載の電線端末構造において、上記規制手段は、
電線の被覆部の表面上に設けられた、当該被覆表面から
突出する突出部材を含んでいることを特徴とするもので
ある。

【００１３】さらに、請求項３に係る電線端末構造は、
請求項２記載の電線端末構造において、上記突出部材
は、上記電線の被覆部を軟化変形させることによって当
該被覆部に一体的に形成されていることを特徴とするも
のである。また、請求項４に係る電線端末構造は、請求
項２記載の電線端末構造において、上記突出部材は、上
記電線の被覆部と別体であり、前記被覆部に固着されて
いることを特徴とするものである。

【００１４】さらに、請求項５に係る電線端末構造は、
請求項４記載の電線端末構造において、上記突出部材
は、上記電線の被覆部に、型成形により形成されている
ことを特徴とするものである。また、請求項６に係る電
線端末構造は、請求項４記載の電線端末構造において、
上記突出部材は、二分割可能な第１部材と第２部材とを
有しており、上記第１部材と第２部材とは、上記電線を
挟み込んだ状態で互いに嵌め合わされることによって電
線に固着されていることを特徴とするものである。

【００１５】さらに、請求項７に係る電線端末構造は、
請求項４記載の電線端末構造において、上記突出部材
は、径方向に弾性的に拡開可能な上記電線が挿通される
挿通穴を有しており、その弾性による緊迫力で上記電線
を挟み込むことによって電線に固着されていることを特
徴とするものである。

【００１６】また、請求項８に係る電線端末構造は、請
求項４記載の電線端末構造において、上記突出部材は、
上記電線が挿通された状態で電線に接着または溶着され
ていることを特徴とするものである。さらに、請求項９
に係る電線端末構造は、請求項２ないし８のいずれかに
記載の電線端末構造において、上記突出部材は、上記電
線の径方向に連続したリング状部材を含んでいることを
特徴とするものである。

【００１７】また、請求項１０に係る電線端末構造を構
成するための構成方法は、請求項３記載の電線端末構造
を構成するための構成方法であって、電線を軸方向に所
定位置まで搬送し、上記突出部材の外形形状に対応した
内面形状を有する成形型内に案内する搬送工程と、上記
搬送工程により搬送された電線の所定部を、形成される
突出部材の端面を構成する基準面を有する電線チャック
によって挟持し、上記電線を位置決めする位置決め工程
と、上記成形型を加熱して上記位置決め工程により位置
決めされた電線の被覆部を軟化させると共に上記成形型
を電線に沿って電線チャック側に移動させることによっ
て、上記基準面と上記内面形状を構成する成形型内の内
部空間とにより区画される形状に上記軟化した被覆部を
変形させる軟化変形工程と、上記軟化変形工程の終了後
に、上記成形型を冷却することにより、上記成形された
成形部材を固化させる冷却工程とを含むことを特徴とす
るものである。

【００１８】

【作用】請求項１に係る電線端末構造によれば、電線の
先端からゴム栓を挿通する。このゴム栓を装着した状態
で、電線の先端に端子金具を取付ける。そして、この端
子金具をコネクタに挿入する。この端子金具をコネクタ
に挿入すれば、上記ゴム栓は、電線の先端から当該電線
に沿って遠ざかる方向にずれるように力が加わる。一
方、電線の先端から所定距離の位置には規制手段が設け
られている。従って、ゴム栓に上記力が加わってゴム栓
が電線に沿って移動しようとしても、上記規制手段によ
り、上記ゴム栓が、電線の先端から規制手段が設けられ
た位置よりも遠ざかる方向に移動するのを確実に規制す
ることができる。その結果、上記ゴム栓は、ずれること
なく確実にコネクタ内に挿入される。

【００１９】また、請求項２に係る電線端末構造によれ
ば、上記ゴム栓が電線に沿って移動しようとしても、電
線の被覆表面から突出した突出部材により、ゴム栓が、
電線の先端から上記突出部材が設けられた位置よりも遠
ざかる方向に移動するのを確実に規制することができ
る。さらに、請求項３に係る電線端末構造によれば、上
記突出部材は、上記電線の被覆部が軟化変形されること
により、当該被覆部に一体的に形成される。従って、上
記突出部材が電線から外れるおそれがなく、一層確実に
上記ゴム栓の移動を規制することができる。

【００２０】また、請求項４に係る電線端末構造によれ
ば、上記突出部材は、上記電線の被覆部と別体であり、
いわゆる後づけで電線に固着される。従って、簡単容易
に電線の所定位置に上記突出部材を設けることができ
る。さらに、請求項５に係る電線端末構造によれば、上
記突出部材が型成形により電線の被覆部に形成されるの
で、上記突出部材が電線から外れるおそれがないと共
に、簡単容易に電線の所定位置に上記突出部材を設ける
ことができる。

【００２１】また、請求項６に係る電線端末構造によれ
ば、上記突出部材は、第１部材と第２部材とを有し、両
者が電線を挟み込んだ状態で嵌め合わされることによっ
て突出部材が電線に固着される。従って、より一層簡単
に、突出部材を電線の所定位置に設けることができる。
さらに、請求項７に係る電線端末構造によれば、突出部
材を径方向に弾性的に拡開し、この状態で突出部材の挿
通穴に電線を挿通する。これにより、突出部材は、その
弾性による緊迫力で電線を挟み込んだ状態で電線に固着
される。従って、簡単に突出部材を電線の所定位置に設
けることができると共に、当該突出部材は、単一の部材
からなるので、部品点数の増加を伴うことがない。

【００２２】また、請求項８に係る電線端末構造によれ
ば、接着剤等を用いて簡易に且つ確実に突出部材を電線
に固着することができる。また、溶着によっても、簡易
に且つ確実に突出部材を電線に固着することができる。
特に、請求項９に係る電線端末構造のように、上述の突
出部材を電線の径方向に連続するリング状に形成すれ
ば、より簡単に突出部材を構成することができ、好まし
い。

【００２３】また、請求項１０に係る上記電線端末構造
を構成するための構成方法によれば、搬送工程により、
電線を軸方向に搬送し、上記成形型内に電線を案内す
る。また、位置決め工程により、上記搬送工程により搬
送された電線の所定部を、電線チャックにより挟持す
る。次に、軟化変形工程により、上記成形型を加熱して
上記位置決め工程により位置決めされた電線の被覆部を
軟化させると共に上記成形型を電線に沿って電線チャッ
ク側に移動させる。これにより、上記電線チャックの基
準面と成形型内の内部空間とにより区画される形状に、
上記軟化した被覆部がその体積が移動されることにより
変形され、上記突出部材が成形される。そして、冷却工
程によって上記成形型を冷却することにより、上記成形
された突出部材が固化される。

【００２４】

【実施例】以下実施例を示す添付図面によって詳細に説
明する。図１は、この発明の一実施例に係る電線端末構
造を示した斜視図である。図１を参照して、この電線端
末構造は、ワイヤーハーネスを構成する電線１０の端末
に採用された電線端末構造であって、当該電線１０の先
端１１から挿通される防水用ゴム栓２０の位置ずれを防
止するための構造である。

【００２５】詳しく説明すると、電線１０の先端１１か
ら所定距離の位置に、上記ゴム栓２０の位置ずれを規制
する規制手段としての突出部材３０が設けられている。
この突出部材３０はリング状をしており、電線１０の被
覆１２部分の表面上から、電線１０の径方向外方に向か
って連続的に放射状に突出している。この突出部材３０
は、上記被覆１２部分を加熱軟化させて変形させること
によって、上記被覆１２に一体的に形成されている。

【００２６】図２は上記電線端末構造を構成するための
装置の概略構成を模式的に示した分解斜視図であり、図
３は、この装置によって電線端末構造が構成される工程
を示した、上記装置の一部断面側面図である。図２およ
び図３を参照して、この装置は、上記電線１０を挟持す
る電線チャック４０と、電線１０の先端１１部分の被覆
１２を軟化変形させて上記突出部材３０を成形する成形
型５０とを有している。

【００２７】電線チャック４０は、二分割された、第１
のチャック４１および第２のチャック４２とからなって
おり、図示しない所要の接離機構（たとえばエアシリン
ダ等）が接続されている。そして、この接離機構によっ
て、第１のチャック４１と第２のチャック４２とが接近
または離反することができるようになっている。第１の
チャック４１および第２のチャック４２には、それぞれ
半円形の切欠部４１ａ，４２ａが形成されており、第１
のチャック４１と第２のチャック４２とが接近して両者
が合致した状態で、上記切欠部４１ａ，４２ａにより、
電線チャック４０の中央部に円形の電線挟持孔が構成さ
れるようになっている。この電線挟持孔によって、上記
電線１０が挟み込まれて固定されるようになっている。
また、電線チャック４０の、上記成形型５０と対向する
面は、形成される突出部材３０の端面３１の位置を決定
する基準面４３となっている（図３参照）。この基準面
４３の位置が、上記電線１０の先端１１から所定距離の
位置となるように設定されている。

【００２８】また、図３を参照して、成形型５０は、そ
の内部に、所定の内面形状を有している。すなわち、成
形型５０の一端面５１側から順に、大径，中径および小
径の円形孔５２，５３，５４が設けられている。これら
円形孔５２，５３，５４は、その中心が同一軸線上にあ
り、且つ互いに連通されている。小径の円形孔５４は、
成形型５０の他端面５５まで貫通している。円形孔５２
の内径は、形成される突出部材３０の外径に対応させて
あり、円形孔５３は、電線１０の外径に対応させてあ
る。また、円形孔５４は、電線１０の被覆１２を剥がし
たときに露出する芯線１３が挿通することができる径を
有している。

【００２９】また、成形型５０には、図示しない所要の
移動機構（たとえばエアシリンダ等）が接続されてお
り、この移動機構により、成形型５０が電線１０の軸方
向にスライド可能となっている。さらに、成形型５０に
は、図示しないヒータおよびクーラが装備されており、
当該成形型５０を加熱または冷却することができるよう
になっている。

【００３０】次に、図３（ａ）ないし（ｃ）を参照し
て、この装置を用いて上記突出部材３０を形成する工程
について説明する。上記工程は、搬送工程，位置決め工
程，軟化変形工程および冷却工程を含んでおり、この順
に各工程が進められる。（ａ）図を参照して、搬送工程
は、加工される電線１０を図示しない所要の搬送機構
（たとえば搬送ローラ等）により搬送し、上記成形型５
０の内部へ案内する。このとき、電線１０の先端１１が
上記円形孔５３の底面５３ａに当接するまで、電線１０
を成形型５０内へ送る。

【００３１】位置決め工程では、上記接離機構により、
第１のチャック４１と第２のチャック４２とが接近され
る。これにより、上記搬送工程により搬送された電線１
０の所定部が、上記電線挟持孔に挿通した状態で電線チ
ャック４０により挟持され、電線１０が位置決め固定さ
れる。次に（ｂ）図を参照して、軟化変形工程では、上
記ヒータにより成形型５０が加熱される。この成形型５
０の加熱は、成形型５０の温度が、電線１０の被覆１２
が軟化する温度（約１７０℃）に達するまで行なう。そ
して、被覆１２が軟化すれば、上記移動機構によって成
形型５０を電線チャック４０側へスライドさせる。これ
により、軟化した被覆１２が、上記円形孔５３を通って
円形孔５２内へ移動する。

【００３２】成形型５０は、その一端面５１が電線チャ
ック４０の基準面４３に当接するまでスライドされる。
そして、このスライド量Ｓは、軟化された被覆１２が、
丁度上記円形孔５２を充填するように設定されている。
すなわち、上記Ｓ部分の被覆１２の体積が、上記基準面
４３と円形孔５２とにより区画される内部空間の体積か
ら円形孔５２に挿通されている電線１０の体積を差し引
いた分の体積となるように、上記スライド量Ｓが設定さ
れている。従って、このように成形型５０をスライドさ
せることによって、軟化した被覆１２が、円形孔５２，
５３に充填される。

【００３３】そして、冷却工程では、上記軟化した被覆
１２が、円形孔５２，５３に充填された状態で、上記ク
ーラによって成形型５０が冷却される。これにより、軟
化した被覆１２が固化し、上記基準面４３と各円形孔５
２，５３の内部空間とにより区画される形状に成形され
る。次に（ｃ）図を参照して、被覆１２を冷却固化させ
た後に、上記移動機構により成形型５０を電線チャック
４０から遠ざかる方向へスライドさせると共に、上記接
離機構により電線チャック４０を電線１０から離反させ
る。これにより、電線１０の先端１１から所定距離の位
置に、突出部材３０を形成することができる。

【００３４】以上のように本実施例によれば、電線１０
の先端１１からゴム栓２０を挿通すれば、上記突出部材
３０が形成されているので、ゴム栓２０は、上記突出部
材３０が形成された位置よりも電線１０の先端１１から
遠ざかる方向に移動するのを確実に規制される。（図１
参照）。これにより、ゴム栓２０が装着された状態で電
線１０に端子金具を取付け、この端子金具を防水コネク
タに圧入しようとする場合に、次のような効果を奏す
る。

【００３５】すなわち、上記端子金具を防水コネクタに
挿入しようとした場合には、ゴム栓２０は、電線１０に
沿って電線１０の先端から遠ざかる方向にずれようとす
るが、上記突出部材３０によってゴム栓２０の移動が確
実に規制される。従って、上記端子金具を防水コネクタ
に挿入すれば、ゴム栓２０の周面部が確実に防水コネク
タの内壁面に密着し、コネクタの確実な防水を行なうこ
とができる。

【００３６】また、従来においては、ゴム栓２０の移動
を防止するために、電線と共にかしめるための先端部分
（図７参照符号２ａ）をゴム栓に設けていたが、本実施
例では、突出部材３０によりゴム栓２０の移動を確実に
規制することができるので、上記先端部分をゴム栓２０
に設けて電線１０と共にかしめる必要がない。従って、
上記先端部分を電線１０と一緒にかしめるために、端子
金具の被覆圧着部（図７参照符号３ｂ）の寸法を大きく
する必要がなくなり、これにより、使用される電線が同
じものである場合、すなわち、電線の外径および芯線径
が同じである電線を使用した場合には、防水コネクタ用
の端子金具と非防水コネクタ用の端子金具とを共通の部
品にすることができる。

【００３７】さらに、ゴム栓２０に、上述の先端部分を
設ける必要が無くなったことにより、ゴム栓２０の電線
１０への挿入を簡単に行なうことができる。すなわち、
上記先端部分が設けられていれば、当該先端部分を端子
金具側に向けた状態でゴム栓２０を電線１０に挿通しな
ければならないが、本実施例では、上記先端部分を設け
る必要がないので、ゴム栓２０の挿入方向に規則性がな
い。従って、ゴム栓２０は表裏どちら側からでも電線１
０に挿入することができる。

【００３８】特に、本実施例では、突出部材３０をリン
グ状に形成するので、成形型５０の内部には上記円形孔
５２，５３，５４を形成するだけでよく、成形型５０を
簡単に製作できると共に、突出部材３０を安価に構成す
ることができる。しかも、上記突出部材３０は、電線１
０の被覆１２が軟化変形されることにより、当該被覆１
２に一体的に形成されるので、上記突出部材３０が電線
１０から外れるおそれがなく、一層確実にゴム栓２０の
移動を規制することができる。

【００３９】さらに、本実施例では、被覆１２を軟化変
形させることにより、被覆１２の変形に伴って被覆１２
の皮剥きを同時に行なうことができると共に、この皮剥
きによる塵の発生を抑えることができるという利点があ
る。次に、本発明の第２の実施例について説明する。図
４（ｂ）を参照して、本実施例が上記一実施例と異なる
ところは、上記突出部材３０は、電線１０と別体に構成されてい
る点、および上記突出部材３０は、型成形により形成され、電線１
０に固着されている点にある。

【００４０】本実施例の突出部材３０を形成するには、
図４（ａ）に示すように、上下二分割された型６１，６
２内に電線１０をインサートし、樹脂を供給用パイプ６
３から前記型６１，６２内に供給することにより成形す
る。電線１０上における型６１，６２の位置は、上記一
実施例で示したと同様に、電線１０の先端１１から所定
距離の位置に設定されている。

【００４１】本実施例によれば、突出部材３０が、いわ
ゆる後付けで取付けられる。従って、上記電線１０上に
おける型６１，６２の位置を正確に位置決めするだけで
簡単に且つ正確な位置に突出部材３０を形成することが
できるという利点がある。また、本実施例では、上記突
出部材３０が電線１０と別体となっているが、成形によ
り電線１０に形成されるので、突出部材３０は、確実に
電線１０に固着される。これにより、上記一実施例と同
様、突出部材３０が電線１０から外れるおそれがなく、
確実にゴム栓の移動を規制することができる。

【００４２】また、図５を参照して、本発明の第３の実
施例について説明する。本実施例が上記第２の実施例と
異なるところは、図５（ａ）に示すように、突出部材７０は、二分割可
能な第１部材７１と第２部材７２とを有している点、お
よび、図５（ｂ）に示すように、上記第１部材７１と第２部
材７２とは、電線１０を挟み込んだ状態で互いに嵌め合
わされることによって電線１０に固着されている点にあ
る。

【００４３】第１部材７１および第２部材７２は、たと
えば樹脂により構成することができる。第１部材７１お
よび第２部材７２には、上記一実施例で示したと同様の
半円形の切欠部７１ａ，７２ａがそれぞれ形成されてお
り、第１部材７１と第２部材７２とが嵌め合わされた状
態で、上記切欠部７１ａ，７２ａにより、突出部材７０
の中央部に円形の電線挟持孔が構成されるようになって
いる。

【００４４】第１部材７１には、一対の突出片７１ｂが
形成されており、第２部材には、一対の凹部７２ｂが設
けられている。そして、第１部材７１と第２部材７２と
を嵌め合わせれば、上記突出片７１ａと凹部７２ａとが
係合する。これにより、電線１０が上記電線挟持孔によ
って挟持され、突出部材７０が電線１０に固着されるよ
うになっている。

【００４５】本実施例によれば、第１部材７１と第２部
材７２とを嵌め合わすだけで、突出部材７０を電線１０
の先端１１から所定距離の位置に正確に且つ極簡単に取
付けることができるという利点がある。また、第１部材
７１と第２部材７２とを嵌め合わす際に、上記突出片７
１ｂと凹部７２ｂとに、たとえば接着剤等を塗布すれ
ば、突出部材７０を、一層確実に電線１０に固着するこ
とができる。

【００４６】さらに、図６に、上記第３の実施例の変形
例を示す。図６（ａ）に示すように、この変形例では、
突出部材７０は、径方向に弾性的に拡開可能なリング状
に形成されている。すなわち、突出部材７０の径方向に
当該突出部材７０の一部を切断する切込みが設けられて
おり、この切込み部分の両側７１，７２を矢印の方向に
引っ張ることによって、突出部材７０が弾性的に拡開す
るようになっている。

【００４７】また、突出部材７０の、上記切込みが設け
られることによって形成される面には、それぞれ突出片
７３と凹部７４とが設けられている。これら突出片７３
と凹部７４とは、図６（ｂ）に示すように、突出部材７
０が電線１０に取付けられた状態で互いに係合するよう
になっている。なお、この突出部材７０の内径部は、電
線１０が挿通される挿通穴７５となっている。

【００４８】突出部材７０を電線１０に取付けるには、
以下のようにする。すなわち、突出部材７０の切込み部
分の両側７１，７２を矢印の方向に引っ張り、上記挿通
穴７５を拡開させる。この状態で突出部材７０を電線１
０の横から、または先端１１側から電線１０に挿通す
る。これにより、電線１０が上記挿通穴７５に挿通され
た状態で突出部材７０がその弾性による緊迫力で固着さ
れる。

【００４９】しかも、突出部材７０が電線１０に取付け
られた状態では、上記突出片７３と凹部７４とが互いに
係合するので、突出部材７０が径方向に拡開するのを防
止することができる。従って、突出部材７０が拡開して
電線１０から外れたり、ずれたりするのを効果的に防止
することができる。本実施例では、上記第３の実施例に
比べて部品点数を少なくすることができ、突出部材７０
を製作する上でコスト的に有利であるという利点があ
る。

【００５０】また、突出部材７０に上記突出片７３と凹
部７４とを設けることなく、突出部材７０が電線１０に
取付けられた状態で接着剤等を塗布し、突出部材７０を
確実に電線１０に固着するようにすることもできる。さ
らに、溶着（たとえば、超音波溶着）により、突出部材
７０を確実に電線１０に固着するようにすることもでき
る。このように、接着まはた溶着により突出部材７０を
電線１０に固着すれば、簡易に且つ確実に固着すること
ができる。

【００５１】以上示した実施例においては、突出部材を
リング状に形成したが、これら突出部材を、電線１０の
径方向に放射状に突出する複数の棒状部材により構成す
ることもできる。

【００５２】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、規制手段によ
り、電線に挿通されたゴム栓が、電線の先端から規制手
段が設けられた位置よりも遠ざかる方向に移動するのを
確実に規制することができる。従って、上記電線に端子
金具を取付け、この端子金具を防水コネクタに挿入した
場合にゴム栓のずれを規制することができる。これによ
り、ゴム栓の周面部が確実に防水コネクタの内壁面に密
着し、コネクタの確実な防水を行なうことができる。

【００５３】また、規制手段によりゴム栓の移動を確実
に規制することができるので、従来のような、ずれを防
止するために電線と共にかしめる部分をゴム栓に設ける
必要がない。従って、防水コネクタ用の端子金具であっ
ても、端子金具の被覆圧着部の寸法を大きくする必要が
なく、これにより、防水コネクタ用の端子金具と非防水
コネクタ用の端子金具とを共通の部品にすることができ
る。

【００５４】請求項２の発明によれば、上記規制手段
は、電線の被覆表面から突出した突出部材により構成さ
れるので、上記ゴム栓のずれを簡単確実に規制すること
ができる。請求項３の発明によれば、上記突出部材は、
上記電線の被覆部が軟化変形されることにより、当該被
覆部に一体的に形成される。従って、上記突出部材が電
線から外れるおそれがなく、一層確実に上記ゴム栓のず
れを規制することができる。しかも、被覆部を軟化変形
させることにより、電線先端部の被覆の皮剥き作業を同
時にすることがきると共に、当該皮剥き作業による塵の
発生を抑えることができる。

【００５５】請求項４の発明によれば、上記突出部材
は、上記電線の被覆部と別体であるから、電線の所定位
置に上記突出部材を一層簡単容易に設けることができ
る。請求項５の発明によれば、上記突出部材が型成形に
より形成されるので、簡単容易に電線の所定位置に上記
突出部材を設けることができると共に、上記突出部材が
電線から外れるおそれがなく、一層確実に上記ゴム栓の
ずれを規制することができる。

【００５６】請求項６の発明によれば、上記突出部材
は、第１部材と第２部材とを有し、電線を挟み込んだ状
態で両者を嵌め合わすだけで突出部材を電線に固着する
ことができる。従って、より一層簡単に、突出部材を電
線の所定位置に設けることができる。請求項７の発明に
よれば、突出部材を弾性的に拡開し、電線を挿通穴に挿
通するだけで、突出部材は、その弾性による緊迫力で電
線に固着される。従って、簡単に突出部材を電線の所定
位置に設けることができると共に、当該突出部材は、単
一の部材からなるので、部品点数の増加を伴うことがな
く好ましい。

【００５７】請求項８の発明によれば、突出部材を電線
に接着または溶着によって固着するので、簡単かつ確実
な固着を実現することができる。特に、請求項９の発明
では、上述の突出部材を電線の径方向に連続するリング
状に形成しているので、極く簡単な形状で安価な突出部
材を構成することができ、好ましい。

【００５８】請求項１０の発明によれば、電線の被覆を
軟化変形させ、すなわち、被覆の体積移動によって上記
突出部材を形成するので、突出部材を構成するための特
別の材料が不要である。また、このように形成された突
出部材は、電線の被覆部分に一体に形成されるので、上
記突出部材が電線から外れるおそれがなく、より確実に
ゴム栓のずれを規制することができる。しかも、上記被
覆の体積移動を行なうことにより、電線先端部分の被覆
の皮剥き作業を不要にすることができる。従って、この
皮剥き作業による塵の発生を抑えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る電線端末構造を示した
斜視図である。

【図２】電線端末構造を構成すための装置を模式的に示
した斜視図である。

【図３】電線端末構造を構成すための装置を用いて、当
該電線端末構造を構成する工程を示す断面図である。

【図４】本発明の第２の実施例に係る電線端末構造およ
びその構成方法を示す斜視図である。

【図５】本発明の第３の実施例に係る電線端末構造およ
びその構成方法を示す斜視図である。

【図６】第３の実施例の変更例に係る電線端末構造およ
びその構成方法を示す斜視図である。

【図７】従来の防水コネクタの構造を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１０電線１１先端１２被覆２０ゴム栓３０突出部材（規制手段）４０電線チャック５０成形型６１型６２型７０突出部材（規制手段）７１第１部材７２第２部材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ワイヤーハーネス用の電線において、当該
電線の先端に挿通される防水用ゴム栓の位置ずれを防止
するための電線端末構造であって、上記電線の先端から所定距離の位置に、上記ゴム栓が電
線に沿って電線の先端から遠ざかる方向に移動するのを
規制する規制手段が設けられていることを特徴とする電
線端末構造。
【請求項２】請求項１記載の電線端末構造において、上記規制手段は、電線の被覆部の表面上に設けられた、当該被覆表面から
突出する突出部材を含んでいることを特徴とする電線端
末構造。
【請求項３】請求項２記載の電線端末構造において、上記突出部材は、上記電線の被覆部を軟化変形させるこ
とによって当該被覆部に一体的に形成されていることを
特徴とする電線端末構造。
【請求項４】請求項２記載の電線端末構造において、上記突出部材は、上記電線の被覆部と別体であり、前記
被覆部に固着されていることを特徴とする電線端末構
造。
【請求項５】請求項４記載の電線端末構造において、上記突出部材は、上記電線の被覆部に、型成形により形
成されていることを特徴とする電線端末構造。
【請求項６】請求項４記載の電線端末構造において、上記突出部材は、二分割可能な第１部材と第２部材とを
有しており、上記第１部材と第２部材とは、上記電線を挟み込んだ状
態で互いに嵌め合わされることによって電線に固着され
ていることを特徴とする電線端末構造。
【請求項７】請求項４記載の電線端末構造において、上記突出部材は、径方向に弾性的に拡開可能な上記電線
が挿通される挿通穴を有しており、その弾性による緊迫
力で上記電線を挟み込むことによって電線に固着されて
いることを特徴とする電線端末構造。
【請求項８】請求項４記載の電線端末構造において、上記突出部材は、上記電線が挿通された状態で電線に接
着または溶着されていることを特徴とする電線端末構
造。
【請求項９】請求項２ないし８のいずれかに記載の電線
端末構造において、上記突出部材は、上記電線の径方向に連続したリング状
部材を含んでいることを特徴とする電線端末構造。
【請求項１０】請求項３記載の電線端末構造を構成する
ための構成方法であって、電線を軸方向に所定位置まで搬送し、上記突出部材の外
形形状に対応した内面形状を有する成形型内に案内する
搬送工程と、上記搬送工程により搬送された電線の所定部を、形成さ
れる突出部材の端面を構成する基準面を有する電線チャ
ックによって挟持し、上記電線を位置決めする位置決め
工程と、上記成形型を加熱して上記位置決め工程により位置決め
された電線の被覆部を軟化させると共に上記成形型を電
線に沿って電線チャック側に移動させることによって、
上記基準面と上記内面形状を構成する成形型内の内部空
間とにより区画される形状に上記軟化した被覆部を変形
させる軟化変形工程と、上記軟化変形工程の終了後に、上記成形型を冷却するこ
とにより、上記成形された成形部材を固化させる冷却工
程とを含むことを特徴とする電線端末構造を構成するた
めの構成方法。