JP3039270B2 - 電線端末構造の構成方法 - Google Patents

電線端末構造の構成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ワイヤーハーネス用
の電線における、当該電線の端末構造に関するものであ
り、詳しくは、上記電線の先端に取付けられる防水用ゴ
ム栓が、電線に沿ってその位置がずれるを防止するため
の、電線端末構造を構成するための方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から防水コネクタにおいては、コネ
クタに接続される電線の端部にゴム栓が嵌め込まれてい
る。このゴム栓は、端子金具が電線の先端に圧着される
際に、端子金具の一部によって上記電線と共にかしめら
れて電線に固定されるようになっている。そして、上記
端子金具をコネクタへ挿入すれば、上記ゴム栓がコネク
タ内に押し込まれてコネクタの内壁面に密着する。これ
により、コネクタの内壁面と電線との隙間を塞いで防水
を行なっている。
【0003】図7を参照して一般的な防水コネクタCに
ついて簡単に説明すると、電線1の先端に、上記ゴム栓
2が挿入されており、このゴム栓2が装着された状態で
端子金具3が圧着されている。一般に端子金具3は、電
線1の被覆が除去された芯線1a部分をかしめる芯線圧
着部3aと、この芯線圧着部3aの後方に、電線の被覆
部分をかしめる被覆圧着部3bとを有している。
【0004】芯線圧着部3aは、強くかしめられて上記
芯線1aに圧着されている。また、被覆圧着部3bは、
上記ゴム栓2の先端部2aにかしめられて圧着されてい
る。そして、この端子金具3をコネクタCに挿入した状
態で、ゴム栓2の密封部2bがコネクタCの内壁面に密
着するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記被覆圧
着部3bを電線1の被覆部分にかしめる際に、ゴム栓2
の先端部2aと一緒にかしめて圧着しているのは、端子
金具3をコネクタCに挿入する場合等、ゴム栓2に外力
が加わってゴム栓2が電線1に沿ってずれないようにす
るためである。
【0006】ところが、芯線圧着部3aを芯線1aにか
しめる場合のように、上記被覆圧着部3bをゴム栓2に
強くかしめれば、ゴム栓2の先端部2aが切れてしまう
おそれがあるため、被覆圧着部3bは、あまり強くかし
めることができない。このため、ゴム栓2が装着された
状態で端子金具3をコネクタCに圧入しようとしたとき
に、ゴム栓2が電線1に沿ってずれてしまう場合があ
り、このようにゴム栓2がずれてしまえば、ゴム栓2の
密封部2bがコネクタCの内壁面に密着できず、防水型
端子としての機能を果たさないという不都合があった。
【0007】一方、上記問題に対して、従来から以下の
ような対策が講じられている。たとえば、上記被覆圧着
部3bに突起を形成すると共に、ゴム栓2の先端部2a
に凹部を設けたものがある。そして、被覆圧着部3bを
ゴム栓2の先端部2aにかしめたときに、上記突起と凹
部とが係合することによって、ゴム栓2のずれを防止す
るようにしている(実開平1−112575号公報参
照)。
【0008】また、ゴム栓2を電線1に挿入した状態
で、当該ゴム栓2に電線1側に突出する環状の突出部を
形成すると共に、電線1に環状の溝部を設けたものがあ
る。そして、ゴム栓2を電線1に挿入したときに、上記
突出部と溝部とが係合することにより、ゴム栓2のずれ
を防止するようにしている(実開昭62−26872号
公報参照)。
【0009】しかしながら、従来の対策をもってして
も、ゴム栓2に力が加われば上記係合が外れてゴム栓2
がずれてしまう場合があり、確実にゴム栓2のずれを防
止することができなかった。また、従来、防水コネクタ
用の端子金具では、上述のようにゴム栓2と電線1とを
一緒にかしめるので、専用の端子金具が必要であった。
つまり、上記被覆圧着部3bの寸法を、非防水コネクタ
用の端子金具の被覆圧着部の寸法よりも、上記ゴム栓2
の肉厚分だけ大きくした専用のものが必要であり、非防
水コネクタ用の端子金具との共用化が不可能であった。
【0010】そこで、この発明の主たる目的は、電線に
挿入された防水用ゴム栓のずれを確実に防止することが
できる電線端末構造の構成方法を提供し、これにより、
防水コネクタの防水機能を損なうという不都合を回避す
ることである
【0011】
【課題を解決するための手段】求項に係る電線端末
造の構成方法は、ワイヤーハーネス用の電線を軸方向
に所定位置まで搬送し、形成すべき突出部材の外形形状
に対応した内面形状を有する成形型内に案内する搬送工
程と、上記搬送工程により搬送された電線の所定部を、
形成すべき突出部材の端面を構成する基準面を有する電
線チャックによって挟持し、上記電線を位置決めする位
置決め工程と、上記成形型を加熱して上記位置決め工程
により位置決めされた電線の被覆部を軟化させると共に
上記成形型を電線に沿って電線チャック側に移動させる
ことによって、上記基準面と上記内面形状を構成する成
形型内の内部空間とにより区画される形状に上記軟化し
た被覆部を変形させる軟化変形工程と、
【0012】上記軟化変形工程の終了後に、上記成形型
を冷却することにより、上記成形された成形部材を固化
させる冷却工程とを含み ワイヤーハーネス用の電線の
先端に挿通される防水用ゴム栓の位置ずれを防止するた
めに、電線の先端から所定距離の位置に、上記ゴム栓が
電線に沿って電線の先端から遠ざかる方向に移動するの
を規制するように、電線の被覆部の表面から突出する突
出部材を電線の被覆部を軟化変形させて被覆部に一体的
に形成することを特徴とするものである。
【0013】
【作用】求項に係る上記電線端末構造の構成方法に
よれば、搬送工程により、電線を軸方向に搬送し、上記
成形型内に電線を案内する。また、位置決め工程によ
り、上記搬送工程により搬送された電線の所定部を、電
線チャックにより挟持する。次に、軟化変形工程によ
り、上記成形型を加熱して上記位置決め工程により位置
決めされた電線の被覆部を軟化させると共に上記成形型
を電線に沿って電線チャック側に移動させる。これによ
り、上記電線チャックの基準面と成形型内の内部空間と
により区画される形状に、上記軟化した被覆部がその体
積が移動されることにより変形され、上記突出部材が成
形される。そして、冷却工程によって上記成形型を冷却
することにより、上記成形された突出部材が固化され
る。
【0014】
【実施例】以下実施例を示す添付図面によって詳細に説
明する。図1は、この発明の一実施例に係る電線端末構
造を示した斜視図である。図1を参照して、この電線端
末構造は、ワイヤーハーネスを構成する電線10の端末
に採用された電線端末構造であって、当該電線10の先
端11から挿通される防水用ゴム栓20の位置ずれを防
止するための構造である。
【0015】詳しく説明すると、電線10の先端11か
ら所定距離の位置に、上記ゴム栓20の位置ずれを規制
する規制手段としての突出部材30が設けられている。
この突出部材30はリング状をしており、電線10の被
覆12部分の表面上から、電線10の径方向外方に向か
って連続的に放射状に突出している。この突出部材30
は、上記被覆12部分を加熱軟化させて変形させること
によって、上記被覆12に一体的に形成されている。
【0016】図2は上記電線端末構造を構成するための
装置の概略構成を模式的に示した分解斜視図であり、図
3は、この装置によって電線端末構造が構成される工程
を示した、上記装置の一部断面側面図である。図2およ
び図3を参照して、この装置は、上記電線10を挟持す
る電線チャック40と、電線10の先端11部分の被覆
12を軟化変形させて上記突出部材30を成形する成形
型50とを有している。
【0017】電線チャック40は、二分割された、第1
のチャック41および第2のチャック42とからなって
おり、図示しない所要の接離機構(たとえばエアシリン
ダ等)が接続されている。そして、この接離機構によっ
て、第1のチャック41と第2のチャック42とが接近
または離反することができるようになっている。第1の
チャック41および第2のチャック42には、それぞれ
半円形の切欠部41a,42aが形成されており、第1
のチャック41と第2のチャック42とが接近して両者
が合致した状態で、上記切欠部41a,42aにより、
電線チャック40の中央部に円形の電線挟持孔が構成さ
れるようになっている。この電線挟持孔によって、上記
電線10が挟み込まれて固定されるようになっている。
また、電線チャック40の、上記成形型50と対向する
面は、形成される突出部材30の端面31の位置を決定
する基準面43となっている(図3参照)。この基準面
43の位置が、上記電線10の先端11から所定距離の
位置となるように設定されている。
【0018】また、図3を参照して、成形型50は、そ
の内部に、所定の内面形状を有している。すなわち、成
形型50の一端面51側から順に、大径,中径および小
径の円形孔52,53,54が設けられている。これら
円形孔52,53,54は、その中心が同一軸線上にあ
り、且つ互いに連通されている。小径の円形孔54は、
成形型50の他端面55まで貫通している。円形孔52
の内径は、形成される突出部材30の外径に対応させて
あり、円形孔53は、電線10の外径に対応させてあ
る。また、円形孔54は、電線10の被覆12を剥がし
たときに露出する芯線13が挿通することができる径を
有している。
【0019】また、成形型50には、図示しない所要の
移動機構(たとえばエアシリンダ等)が接続されてお
り、この移動機構により、成形型50が電線10の軸方
向にスライド可能となっている。さらに、成形型50に
は、図示しないヒータおよびクーラが装備されており、
当該成形型50を加熱または冷却することができるよう
になっている。
【0020】次に、図3(a)ないし(c)を参照し
て、この装置を用いて上記突出部材30を形成する工程
について説明する。上記工程は、搬送工程,位置決め工
程,軟化変形工程および冷却工程を含んでおり、この順
に各工程が進められる。(a)図を参照して、搬送工程
は、加工される電線10を図示しない所要の搬送機構
(たとえば搬送ローラ等)により搬送し、上記成形型5
0の内部へ案内する。このとき、電線10の先端11が
上記円形孔53の底面53aに当接するまで、電線10
を成形型50内へ送る。
【0021】位置決め工程では、上記接離機構により、
第1のチャック41と第2のチャック42とが接近され
る。これにより、上記搬送工程により搬送された電線1
0の所定部が、上記電線挟持孔に挿通した状態で電線チ
ャック40により挟持され、電線10が位置決め固定さ
れる。次に(b)図を参照して、軟化変形工程では、上
記ヒータにより成形型50が加熱される。この成形型5
0の加熱は、成形型50の温度が、電線10の被覆12
が軟化する温度(約170℃)に達するまで行なう。そ
して、被覆12が軟化すれば、上記移動機構によって成
形型50を電線チャック40側へスライドさせる。これ
により、軟化した被覆12が、上記円形孔53を通って
円形孔52内へ移動する。
【0022】成形型50は、その一端面51が電線チャ
ック40の基準面43に当接するまでスライドされる。
そして、このスライド量Sは、軟化された被覆12が、
丁度上記円形孔52を充填するように設定されている。
すなわち、上記S部分の被覆12の体積が、上記基準面
43と円形孔52とにより区画される内部空間の体積か
ら円形孔52に挿通されている電線10の体積を差し引
いた分の体積となるように、上記スライド量Sが設定さ
れている。従って、このように成形型50をスライドさ
せることによって、軟化した被覆12が、円形孔52,
53に充填される。
【0023】そして、冷却工程では、上記軟化した被覆
12が、円形孔52,53に充填された状態で、上記ク
ーラによって成形型50が冷却される。これにより、軟
化した被覆12が固化し、上記基準面43と各円形孔5
2,53の内部空間とにより区画される形状に成形され
る。次に(c)図を参照して、被覆12を冷却固化させ
た後に、上記移動機構により成形型50を電線チャック
40から遠ざかる方向へスライドさせると共に、上記接
離機構により電線チャック40を電線10から離反させ
る。これにより、電線10の先端11から所定距離の位
置に、突出部材30を形成することができる。
【0024】以上のように本実施例によれば、電線10
の先端11からゴム栓20を挿通すれば、上記突出部材
30が形成されているので、ゴム栓20は、上記突出部
材30が形成された位置よりも電線10の先端11から
遠ざかる方向に移動するのを確実に規制される。(図1
参照)。これにより、ゴム栓20が装着された状態で電
線10に端子金具を取付け、この端子金具を防水コネク
タに圧入しようとする場合に、次のような効果を奏す
る。
【0025】すなわち、上記端子金具を防水コネクタに
挿入しようとした場合には、ゴム栓20は、電線10に
沿って電線10の先端から遠ざかる方向にずれようとす
るが、上記突出部材30によってゴム栓20の移動が確
実に規制される。従って、上記端子金具を防水コネクタ
に挿入すれば、ゴム栓20の周面部が確実に防水コネク
タの内壁面に密着し、コネクタの確実な防水を行なうこ
とができる。
【0026】また、従来においては、ゴム栓20の移動
を防止するために、電線と共にかしめるための先端部分
(図7参照符号2a)をゴム栓に設けていたが、本実施
例では、突出部材30によりゴム栓20の移動を確実に
規制することができるので、上記先端部分をゴム栓20
に設けて電線10と共にかしめる必要がない。従って、
上記先端部分を電線10と一緒にかしめるために、端子
金具の被覆圧着部(図7参照符号3b)の寸法を大きく
する必要がなくなり、これにより、使用される電線が同
じものである場合、すなわち、電線の外径および芯線径
が同じである電線を使用した場合には、防水コネクタ用
の端子金具と非防水コネクタ用の端子金具とを共通の部
品にすることができる。
【0027】さらに、ゴム栓20に、上述の先端部分を
設ける必要が無くなったことにより、ゴム栓20の電線
10への挿入を簡単に行なうことができる。すなわち、
上記先端部分が設けられていれば、当該先端部分を端子
金具側に向けた状態でゴム栓20を電線10に挿通しな
ければならないが、本実施例では、上記先端部分を設け
る必要がないので、ゴム栓20の挿入方向に規則性がな
い。従って、ゴム栓20は表裏どちら側からでも電線1
0に挿入することができる。
【0028】特に、本実施例では、突出部材30をリン
グ状に形成するので、成形型50の内部には上記円形孔
52,53,54を形成するだけでよく、成形型50を
簡単に製作できると共に、突出部材30を安価に構成す
ることができる。しかも、上記突出部材30は、電線1
0の被覆12が軟化変形されることにより、当該被覆1
2に一体的に形成されるので、上記突出部材30が電線
10から外れるおそれがなく、一層確実にゴム栓20の
移動を規制することができる。
【0029】さらに、本実施例では、被覆12を軟化変
形させることにより、被覆12の変形に伴って被覆12
の皮剥きを同時に行なうことができると共に、この皮剥
きによる塵の発生を抑えることができるという利点があ
【発明の効果】請求項の発明によれば、電線の被覆を
軟化変形させ、すなわち、被覆の体積移動によって上記
突出部材を形成するので、突出部材を構成するための特
別の材料が不要である。また、このように形成された突
出部材は、電線の被覆部分に一体に形成されるので、上
記突出部材が電線から外れるおそれがなく、より確実に
ゴム栓のずれを規制することができる。しかも、上記被
覆の体積移動を行なうことにより、電線先端部分の被覆
の皮剥き作業を不要にすることができる。従って、この
皮剥き作業による塵の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る電線端末構造を示した
斜視図である。
【図2】電線端末構造を構成すための装置を模式的に示
した斜視図である。
【図3】電線端末構造を構成すための装置を用いて、当
該電線端末構造を構成する工程を示す断面図である。
【図4】従来の防水コネクタの構造を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10 電線 11 先端 12 被覆 20 ゴム栓 30 突出部材(規制手段) 40 電線チャック 50 成形型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−76910(JP,A) 特開 平7−94235(JP,A) 特開 平4−19982(JP,A) 実開 昭62−26871(JP,U) 実開 平5−31144(JP,U) 実開 平2−4065(JP,U) 実開 昭62−191179(JP,U) 実開 昭56−35733(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 4/70 H01R 13/52 301 H01R 43/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワイヤーハーネス用の電線を軸方向に所定
    位置まで搬送し、形成すべき突出部材の外形形状に対応
    した内面形状を有する成形型内に案内する搬送工程と、 上記搬送工程により搬送された電線の所定部を、形成
    べき突出部材の端面を構成する基準面を有する電線チャ
    ックによって挟持し、上記電線を位置決めする位置決め
    工程と、 上記成形型を加熱して上記位置決め工程により位置決め
    された電線の被覆部を軟化させると共に上記成形型を電
    線に沿って電線チャック側に移動させることによって、
    上記基準面と上記内面形状を構成する成形型内の内部空
    間とにより区画される形状に上記軟化した被覆部を変形
    させる軟化変形工程と、 上記軟化変形工程の終了後に、上記成形型を冷却するこ
    とにより、上記成形された成形部材を固化させる冷却工
    程とを含み ワイヤーハーネス用の電線の先端に挿通される防水用ゴ
    ム栓の位置ずれを防止するために、電線の先端から所定
    距離の位置に、上記ゴム栓が電線に沿って電線の先端か
    ら遠ざかる方向に移動するのを規制するように、電線の
    被覆部の表面から突出する突出部材を電線の被覆部を軟
    化変形させて被覆部に一体的に形成する ことを特徴とす
    る電線端末構造の構成方法。
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