JPH07324094A - 4−アセトアミド−4−デオキシ−d−アルトロピラノース及びその誘導体 - Google Patents

4−アセトアミド−4−デオキシ−d−アルトロピラノース及びその誘導体

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JPH07324094A
JPH07324094A JP6119128A JP11912894A JPH07324094A JP H07324094 A JPH07324094 A JP H07324094A JP 6119128 A JP6119128 A JP 6119128A JP 11912894 A JP11912894 A JP 11912894A JP H07324094 A JPH07324094 A JP H07324094A
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JP6119128A
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Katsuya Matsumoto
克也 松本
Takashi Ebata
隆 惠畑
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Japan Tobacco Inc
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Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】4−アミノ−4−デオキシ−D−アルトロピラ
ノース誘導体を提供すること、並びに4−アセトアミド
−4−デオキシ−D−アルトロピラノース及びこれを製
造する方法を提供すること。 【構成】レボグルコセノンの2位のカルボニル基を還元
し、β配置の水酸基とし、該水酸基を保護する。次に、
得られた化合物の二重結合へシス−アミノハイドロキシ
レーションによって4位にアミノ基、3位に水酸基をシ
ス付加させる。水酸基とアミノ基の保護基を脱離し、
1,6−アンヒドロ結合を加溶媒分解し、更に脱保護し
て4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラ
ノースを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は式(1)で示される4−
アミノ−4−デオキシ−D−アルトロピラノース誘導
体、並びに式(2)で示される4−アセトアミド−4−
デオキシ−D−アルトロピラノース及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機工業薬品、医薬品、化粧品、
農薬等のファインケミカル分野において、天然界に存在
する含糖化合物や糖類似化合物が有用な生理活性物質と
して注目され、その合成化学的研究が盛んに行われてい
る。このような含糖化合物の出発原料若しくは構成単位
となる単糖類は、現在D−グルコース、D−マンノー
ス、又はD−ガラクトースなどの一般に入手が容易な
糖、又はその誘導体である。
【0003】しかしながら有用な糖化合物を効率よく合
成しようとする場合、上記のような糖以外に、これまで
入手の困難であった希少糖や非天然糖を出発原料とする
か、又は構成単位とすることが有効な場合が多い。従っ
て、希少糖若しくは非天然糖を容易かつ大量に供給でき
る合成方法の開発が当該分野において強く切望されてお
り、その工業的有用性は極めて大きいものである。
【0004】上記の有効な非天然糖には、例えば式
(1)で表される4−アミノ−4−デオキシ−D−アル
トロピラノース誘導体及び式(2)で表わされる4−ア
セトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノースが
あり、種々の有用な化合物を合成するための出発原料と
して、また有用な化合物の構成単位として広く利用が可
能であと期待されている。
【0005】また、上記の4−アミノ−4−デオキシ−
D−アルトロピラノース誘導体(1)及び4−アセトア
ミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノース(2)
は、天然に存在するアミノ糖を含む多くの生理活性物
質、特に4−アミノ糖を含む化合物の合成に有用であ
る。更に、すでに活性が示されているアミノ糖を構成単
位に含む天然物がある場合、該アミノ糖を上記の非天然
型のアミノ糖に変換することによって、新たな生理活性
を有する化合物を得ることも可能になる。例えば抗生物
質apramycin 及びsorbistinsは4−アミノ−4−デオキ
シ−D−グルコースが構成単位であり、グルコシダーゼ
阻害剤であるacarbose、amylostatins、adiposins 、tr
estatins、及びoligostatinsは、4−アミノ−4,6−
ジデオキシ−D−グルコースを構成単位としている。従
って、4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースによりこれらの糖を置き換えた誘導体を合成
することが可能であり、これらの化合物は新たな生理活
性を示すと期待される。また、上記の4−アミノ−4−
デオキシ−D−アルトロピラノース誘導体(1)及び4
−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノー
ス(2)は、アミノ糖関連物質以外にも、種々の有用な
生理活性を示すスフィンゴ糖脂質やその部分構造である
セラミドの構成単位であるスフィンゴシン部分の合成原
料になりうるものである。
【0006】このように4−アセトアミド−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノース誘導体(1)及び該誘導体
の一つである4−アセトアミド−4−デオキシ−D−ア
ルトロピラノース(2)は有用な合成原料であるが、天
然からは入手が出来ず、有機合成化学的手法による以外
は入手方法が無い。しかしながら現在まで該化合物の存
在及び製造方法の報告例は皆無である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
鑑みてなされたものであり、その第一の目的は、4−ア
ミノ−4−デオキシ−D−アルトロピラノース誘導体
(1)を提供することにある。
【0008】また本発明の第二の目的は、上記化合物
(1)の誘導体の一つである4−アセトアミド−4−デ
オキシ−D−アルトロピラノース(2)を提供すること
にある。
【0009】更に本発明の第三の目的は、入手の容易な
原料から簡易かつ選択的に、しかも高い収率で4−アセ
トアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノース
(2)を製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の一側面に従え
ば、式(1)で示される新規な4−アセトアミド−4−
デオキシ−D−アルトロピラノース誘導体類が提供され
る。
【0011】
【化11】
【0012】但し、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及び
6 は水素原子又はアルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、アシル基、シリル基、アリ−ル基、アラルキル
基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカル
ボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、スルホン酸基、ホスホリル基を表わし、R1及びR2
、又はR2 及びR3 それぞれ一緒になってイソプロピ
リデン基を表わす。本発明の第二の側面では、式(2)
で示される化合物が提供される。
【0013】
【化12】
【0014】更に、本発明の第三の側面では、上記4−
アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノース
(2)の製造方法が提供される。本発明の製造方法は、
下記の工程(a)から(g)を具備したことを特徴とす
る4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラ
ノース(2)の製造方法である。
【0015】(a)下記反応式で表わされるようにレボ
グルコセノン(3)の2位のカルボニル基をヒドリド還
元してβ配置の水酸基を有する式(4)で表される化合
物を得る工程と、
【0016】
【化13】 (b)下記反応式で表されるように式(4)の化合物の
2位の水酸基に保護基を導入し、式(5)で表わされる
化合物を得る工程。
【0017】
【化14】
【0018】但し、R2 は、Hまたは一般的なアシル
基,アルキル基,シリル基、アラルキル基等の水酸基の
保護基を表す。 (c)下記反応式に示されるように式(5)で表わされ
る化合物の二重結合の4位にα配置のN−置換アミノ基
を、3位にα配置の水酸基をシス付加させて、下式
(6)で表わされる化合物を得る工程。
【0019】
【化15】
【0020】但し、R2 は水素原子、又はアシル基、ア
ルキル基、シリル基、アラルキル基等の水酸基の保護基
を表わし、R5 は、水素原子、又はアシル基、アルキル
オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ア
ラルキル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニ
ル基等のアミノ基の保護基を表す。 (d)下記反応式に示されるように式(6)で表される
化合物の2位の水酸基の保護基を脱離させ、式(7)で
表される化合物を得る工程。
【0021】
【化16】
【0022】但し、R5 は、先に定義したとおりであ
る。 (e)下記反応式に示されるように式(7)で表される
化合物の4位のアミノ基の保護基を脱離させ、式(8)
で表される化合物を得る工程。
【0023】
【化17】
【0024】但し、R5 は、先に定義したとおりであ
る。 (f)下記反応式で示されるように式(8)で表される
化合物の1,6−アンヒドロ結合を無水酢酸中にて酸加
溶媒分解して式(9)で表される化合物を得る工程。
【0025】
【化18】 (g)下記反応式で示されるように式(9)で表される
化合物の水酸基の保護基であるアセチル基を脱離させ、
式(2)で表される化合物を得る工程。
【0026】
【化19】
【0027】以下に本発明を更に詳細に説明する。本発
明において、Acはアセチル基を意味し、本明細書中で
示した構造式中の1位の波線は、該位置の置換基がα配
置及びβ配置の両方を取りうることを意味する。
【0028】まず、本発明の化合物について説明する。
本発明によれば、4−アセトアミド−4−デオキシ−D
−アルトロピラノース誘導体(1)が提供される。
【0029】該化合物(1)は、アルトロースの4位の
水酸基が、N−置換アミノ基に置き換わり、他の水酸基
の水素原子が種々の置換基で置換されていることを特徴
とする。
【0030】4−アセトアミド−4−デオキシ−D−ア
ルトロピラノース誘導体(1)において、置換基R1
2 、R3 及びR4 は、水素原子、及び通常の有機基で
あれば特に限定されないが、例えば、アルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、
アリールオキシ基、アシル基、アルキルオキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキル基、シ
リル基、硫酸基、ホスホリル基等を挙げることができ
る。また、各々の基が二価基となり得る場合は、各々が
結合して環を形成してもよい。例えばこのような基とし
ては、イソプロピリデン基がある。更に、各々の基は異
なっていても同一であってもよく、置換基を有していて
も、又枝分かれしていてもよい。本発明においては、水
素、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル
基、又はシリル基が好ましく、特に、水素、アシル基、
シリル基が好ましい。具体的には、例えば、水素原子、
メチル基、エチル基、プロピル基、プチル基、アセチル
基、ベンゾイル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジ
フェニルシリル基等が挙げられる。本発明において、R
2 は特にシリル基であることが好ましい。R5 及びR6
は、水素原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホ
ニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシ
カルボニル基、アシル基等であり、少なくとも一方が水
素原子であることが好ましい。
【0031】また、本発明によれば、上記4−アセトア
ミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノース誘導体
(1)の1つの誘導体である4−アセトアミド−4−デ
オキシ−D−アルトロピラノース(2)が提供される。
【0032】式(1)及び(2)の化合物は、アルトロ
ースの4位水酸基がN−アセチルアミド基に置き換わっ
た誘導体であることが特徴である。また、本発明の4−
アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノース
誘導体(1)及び4−アセトアミド−4−デオキシ−D
−アルトロピラノース(2)は新規化合物である。
【0033】また、これらの化合物は、糖鎖をはじめと
する種々の有用な糖化合物の構成単位であると共に、有
用な生理活性化合物の合成原料となりうる。更に、これ
らの化合物は、種々の誘導体へと容易に導くことができ
る。
【0034】また、式(1)及び(2)において、アノ
メリック位は、α配置及びβ配置を取りうる。従って、
本発明の範囲には両配置の化合物が含まれる。更に、本
発明では純粋なα体若しくはβ体であっても、またこれ
らの混合物であってもよい。
【0035】次に、本発明の4−アセトアミド−4−デ
オキシ−D−アルトロピラノースの製造方法を各工程に
沿って具体的に説明する。まず、工程(a)は、式
(3)で表わされるレボグルコセノンの2位のカルボニ
ル基を還元し、β配置の水酸基とする工程である。
【0036】出発原料の1,6−アンヒドロ−3,4−
ジデオキシ−β−D−スレオ−ヘキソ−3−エノピラノ
ース(4)は、レボグルコセノン(3)から特願平2−
272186、特願平3−77380および特願平3−
162604に記載された方法に従って合成することが
できる。即ち、エーテルまたはテトラヒドロフランのよ
うなエーテル系の適当な溶媒中、水素化リチウムアルミ
ニウムや水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化物によ
り、2位のカルボニル基をβ配位の水酸基に還元すれば
よい。
【0037】工程(b)は、工程(a)で得られた上記
式(4)で表わされる1,6−アンヒドロ−3,4−ジ
デオキシ−β−D−スレオ−ヘキソ−3−エノピラノー
スの2位の水酸基を保護する工程である。本発明におい
て、該水酸基の保護基は特に限定されるものではない。
先に化合物(1)の発明で挙げた基がそのまま当てはま
る(但し、2価基となる場合は除く)。具体的には、例
えばt−ブチルジフェニルシリル基やt−ブチルジメチ
ルシリル基のようなシリル系の保護基、あるいはベンジ
ル基のようなアラルキル基、あるいはアセチル基、ベン
ゾイル基若しくはピバロイル基のようなアシル系の保護
基を好適に使用しうる。
【0038】反応条件は、各々の保護基に応じた一般の
水酸基を保護する条件を用いれば良い。例えば、シリル
系の保護基を導入する場合は、クロロホルムのようなハ
ロゲン系溶媒、又はN,N−ジメチルホルムアミドのよ
うな非プロトン性極性溶媒中において所望のシリルハラ
イド(例えば、t−ブチルジメチルシリルクロリドな
ど)をイミダゾールのような塩基の存在下で作用させれ
ばよい。この場合の反応温度、反応時間は特に制限され
るものではないが、0℃から100℃で1から24時間
が好ましい。特に、20℃から50℃において1から2
0時間反応することが好ましい。また、シリルハライド
及び塩基は、化合物(4)を基準にして1から5当量、
好ましくは1から3当量加える。
【0039】また、アシル基を導入する場合は、適切な
溶媒中で、化合物(4)とカルボン酸無水物、カルボン
酸クロリド、又はカルボン酸とを塩基の存在下で反応す
ればよい。反応溶媒は、通常の水酸基のアシル化に用い
ることができる全ての有機溶媒が適用できる。例えば、
本反応では非プロトン系有機溶媒が好ましく、ハロゲン
系溶媒、塩基性溶媒が特に好ましい。これらの溶媒の例
には、塩化メチレン若しくはクロロホルム、又はピリジ
ンやピペリジンなどがある。
【0040】本工程の反応は、反応の進行と共に生成す
る酸をトラップするため、塩基の存在下で行われる。使
用しうる塩基は酸をトラップし、且つ本反応を阻害する
ものでなければ、特に限定されないが、3級アミンが好
ましい。特に好ましくは、ピリジン、又はトリエチルア
ミンである。溶媒にピリジンなどの塩基性溶媒を使用し
ていていれば、塩基は特に必要ないが、他の非プロトン
性溶媒を使用する場合は三級アミン等の塩基を加えてお
くことが必要である。更に塩基性溶媒以外の有機溶媒中
で酸無水物によりアシル化反応を行う場合はアシル化の
触媒としてN,N−ジメチルアミノピリジン等を加えて
おくことが好ましい。アシル化に使用する各試薬の使用
量は、化合物(4)を基準にして、アシル化剤が1から
5当量、好ましくは1から2当量であり、塩基を使用す
る場合は、アシル化剤と同量使用することが好ましい。
また、アシル化の触媒としてN,N−ジメチルアミノピ
リジン等を使用する場合は、0.01から0.5当量、
好ましくは0.01から0.2当量加える。
【0041】反応条件は、各々のアシル化反応に応じた
条件を用いればよい。例えば、酸無水物をアシル化剤と
して用いる場合、反応温度は0℃から60℃が好まし
く、0℃から30℃が特に好ましい。また、反応時間は
1時間から24時間が好ましく、3から10時間が特に
好ましい。
【0042】更に、ベンジル基等のアラルキル基を導入
する場合は、DMFのような非プロトン性極性溶媒中で
ナトリウムアミドのような強塩基の存在下にベンジルハ
ライドのようなハロゲン化アラルキルを作用すればよ
い。この場合の反応温度、及び反応時間は、−20℃か
ら50℃、1から24時間、好ましくは0から30℃、
1から10時間である。また、各試薬の使用量は、化合
物(4)を基準にして、強塩基が1から2当量、好まし
くは1から1.5当量であり、アラルキルハライドは、
1から3当量、好ましくは1から2当量である。
【0043】本発明においては、本工程(b)は必ずし
も必要な工程ではなく、工程(b)を省略して工程
(c)へと進んでも良い。即ち、化合物(4)の2位の
水酸基は遊離のままで工程(c)を行ってもよい。しか
しながら、次の工程(c)のアミノヒドロキシレーショ
ン反応において、N−置換アミノ基を4位に効率よく、
かつ選択的に導入するためには、2位の水酸基を保護し
ておくことが好ましい。更に、本発明で、式(6)の化
合物を選択的に最も収率良く得るためには、保護基とし
ては工程(c)で述べる理由により、立体的に嵩高いt
−ブチルジフェニルシリル基が望ましい。
【0044】これにより、式(5)で表される1,6−
アンヒドロ−3,4−ジデオキシ−β−D−スレオ−ヘ
キソ−3−エノピラノースの水酸基が保護された化合物
を得る。
【0045】工程(c)は、先の工程(b)で得られた
上記一般式(5)で表わされる1,6−アンヒドロ−
3,4−ジデオキシ−β−D−スレオ−ヘキソ−3−エ
ノピラノース誘導体の3,4位間の二重結合の3位に水
酸基、4位にアミノ基をα配置にシス付加させる工程で
ある。
【0046】本反応は、四酸化オスミウムを触媒とし
て、式(6)の化合物を、例えばクロラミン誘導体(R
SO2 NClNa)若しくはN−クロロソジオカルバメ
ート塩(R’OC(O)NClNa)のようなアミノ基
の供給源となる共酸化剤と処理することにより行われ
る。即ち、通常のアミノハイドロキシレーションと同じ
条件で行われる。本反応では、四酸化オスミウムと共酸
化剤とにより、イミドオスミウムトリオキシド(10)
が中間体として生成する。
【0047】
【化20】
【0048】但し、R5 は先に定義したとおりである。
本工程で使用しうる共酸化剤は、アミノハイドロキシレ
ーションに使用しうるものであれば特に限定されない。
例えば、上記のクロラミン誘導体(RSO2 NClN
a)若しくはN−クロロソジオカルバメート塩(R’O
C(O)NClNa)を用いることができる。ここで、
Rは、アリール基又はアルキル基等を表わす。本発明で
は、アリール基が好ましい。具体的には、フェニル、o
−トリル、p−トリル、p−クロロフェニル、p−ニト
ロフェニル、又はo−カルボアルコキシフェニル等であ
る。また、R’はアルキル基又はアラルキル基を表わ
す。具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、t−ブチル基、ベンジル基等を挙げることができ
る。本発明では、上記のように種々の共酸化剤を用いる
ことができ、使用する共酸化剤によって4位の炭素原子
上に付加するN−置換アミノ基が異なる。例えば、クロ
ラミン−T(R=p−トリル基)を共酸化剤に用いた場
合、p−トルエンスルホンアミドが付加した化合物(式
(6)でR5 がパラトルエンスルホニル基である化合
物)になるが、後の工程(e)で、アミノ基の置換基を
脱離するので本反応においてはどのような置換基が導入
されていてもよい。
【0049】共酸化剤は、化合物(5)を基準にして1
から5当量を好ましく使用し得、特に1から2当量使用
することが好ましい。また、共酸化剤は、硝酸銀を加え
て得られる銀塩として使用することもできる。
【0050】本反応で使用する四酸化オスミウムは触媒
として作用する。四酸化オスミウムの量は、触媒として
有効な量であれば特に限定されるものではないが、0.
05から0.5当量が好ましく、0.05から0.3当
量が特に好ましい。
【0051】本反応は、水やアルコールのようなプロト
ン性極性溶媒で行うことが一般的であるが、水と混じり
合わない有機溶媒と水との二層系において相間移動触媒
を加えて行うことも可能である。水と混じりあわない有
機溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン等のハロ
ゲン系溶媒を好適に用いることができる。相間移動触媒
は、特に限定されないが、ベンジルトリエチルアンモニ
ウムクロリド等が好ましい。
【0052】反応温度は特に限定されるものではない
が、0℃から100℃を好適に使用しうる。好ましくは
0℃から60℃、特に好ましくは10℃から30℃であ
る。反応時間は1から24時間が好適であり、特に6か
ら24時間が好ましい。
【0053】ここで、この反応によって導入されるN−
置換アミノ基と水酸基の位置選択性は、二重結合炭素上
の置換基に左右される。これは、上記式(10)で表さ
れるイミドオスミウムトリオキシドのイミド基のかさ高
さに起因するものである。即ち、化合物(5)におい
て、R2 が2位の水酸基に置換していることによって、
3位の炭素原子側が、4位の炭素原子側に比べ立体的に
込み合っている場合を考えると、下式に示すように、か
さ高いイミド基が、より立体的にすいている4位の炭素
原子に結合した中間体(11)が得られる。また、環の
α側及びβ側の立体的な込み合いについては、化合物
(5)は、環のα面に比べ、β面が立体的に込み合った
構造を有している。特に、R2 基が置換することによっ
てこのβ側が込み合うという傾向は顕著になる。従っ
て、イミドオスミウムトリオキシド(10)は環のα面
から二重結合を攻撃する(下記反応式では、α面、即ち
紙面の裏側からの攻撃を点線の矢印で表わした)。
【0054】
【化21】
【0055】但し、R2 及びR5 は先に定義したとおり
である。従って、本工程においては、R2 はなるべく立
体的にかさ高いほうが好ましい。
【0056】このように、本反応では、4位の炭素原子
にN−置換アミノ基、3位の炭素原子に水酸基がそれぞ
れα配置で導入された化合物(6)が得られる。このよ
うにして、式(6)で表わされる4−アミノ−1,6−
アンヒドロ−4−デオキシ−β−D−アルトロピラノー
スの2位の水酸基及び4位のアミノ基が保護された化合
物を得る。
【0057】工程(d)は、先の工程(c)で得られた
式(6)で表わされる化合物の2位の水酸基の保護基を
脱離する工程である。保護基の脱離は、R2 基に応じて
適宜選択する必要がある。例えば、t−ブチルジフェニ
ルシリル基のようなオルガノシリル基の場合、適切な有
機溶媒中で、テトラブチルアンモニウムフルオリド、又
はフッ化水素酸等のフッ化物を作用させることによって
これらの基を脱離できる。また本脱離反応はピリジン等
の塩基性溶液中においても行いうる。また、上記フッ化
物以外にも酢酸、塩酸等の有機酸若しくは鉱酸、ルイス
酸等の酸、更にはプロトン型の陽イオン交換樹脂によっ
てもシリル基の脱離を行うことができる。シリル基の脱
離に使用しうる溶媒は、例えばテトラヒドロフラン若し
くはジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒、クロロ
ホルムのようなハロゲン系溶媒又はアセトニトリル等を
使用しうる。
【0058】シリル基の脱離に使用しうる上記フッ化
物、酸、若しくはイオン交換樹脂等の使用量は、化合物
(6)を基準にして1から5当量、好ましくは1から3
当量である。また、反応条件も使用する試薬によって異
なるが、0℃から100℃、1から42時間が好まし
く、0℃から50℃、1から30時間が更に好ましい。
【0059】また、R2 がアシル系の保護基の場合は、
アシル基を脱離させることができる全ての反応を適用す
ることができる。例えば、水又はアルコールのようなプ
ロトン性有機溶媒中において塩酸、硫酸、H+ 型陽イオ
ン交換樹脂などを作用させればよい。また、塩基性条件
下で脱保護する場合は、アルコールのようなプロトン性
有機溶媒中において塩基を作用させればよい。使用しう
る塩基としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属等の水
酸化物やアルコキシド、またはアンモニア水等が挙げら
れる。水酸化物やアルコキシドの具体例としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ナ
トリウムメトキシド、又はナトリウムエトキシド等があ
る。
【0060】反応時間や反応温度も用いる酸や塩基によ
って適宜選択すればよい。具体的には、酸触媒を用いる
脱保護では、反応温度は0℃から70℃が好ましく、0
℃から40℃が特に好ましい。また、反応時間は、30
分から24時間、好ましくは1時間から18時間であ
る。又、塩基性条件下の反応においても同様な反応条件
を使用することができる。
【0061】なお、この水酸基の保護基の脱離の際に、
4位のアミノ基の保護基が脱離しても構わない。この場
合、次の工程(e)を省略して工程(f)に進めばよ
い。また、先の工程(b)を行わない場合は、本工程を
省略する。
【0062】これにより、式(7)で表される4−アミ
ノ−1,6−アンヒドロ−4−デオキシ−β−D−アル
トロピラノースの4位のアミノ基が保護された化合物を
得る。
【0063】工程(e)は、工程(d)で得られた式
(7)で表わされる化合物の4位のアミノ基の保護基を
脱離する工程である。本工程でも、保護基によって脱離
の方法が異なる。脱保護するアミノ基によって適宜反応
を選択する。例えば工程(c)において共酸化剤にクロ
ラミン−Tを用いた場合は、アミノ基にp−トルエンス
ルホニル基が結合しているので、この基の脱離には光分
解やバーチ還元等を用いる。例えば、前者は水を含む有
機溶媒中(例えば、メタノールやエタノール)において
紫外線領域の波長の光を高圧水銀ランプで照射する。こ
の光分解では、光増感剤を使用することが好ましい。光
増感剤としては、1,5−ジメトキシナフタレンや、
1,4−ジメトキシベンゼンを好適に使用しうる。ま
た、水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤を加えてお
くことも好ましい。
【0064】反応時間は1から24時間、好ましくは1
から15時間であり、反応温度は特に限定されるもので
はないが10から50℃好ましくは10から30℃であ
る。また、共酸化剤としてN−クロロソジオカルバメー
ト塩(R’=t−ブチル基)を用いた場合、t−ブトキ
シカルボニル基がアミノ基に結合しているが、これらの
脱保護には、塩酸やトリフルオロ酢酸等の酸触媒を用い
ればよい。これらの酸は、特に、1規定塩酸、90%−
トリフルオロ酢酸水溶液を用いることが好ましい。反応
条件は、使用する酸によって異なるが、一般にt−ブト
キシカルボニル基を脱離するための全ての条件を用いる
ことができる。例えば、反応溶媒は、クロロホルム、塩
化メチレン等のハロゲン系有機溶媒を使用しうる。また
トリフルオロ酢酸を使用する場合は、特に溶媒を使用し
なくともよい。更に反応時間は1から24時間、好まし
くは1から15時間であり、反応温度は特に限定される
ものではないが、10から50℃好ましくは10から3
0℃である。
【0065】このように反応試薬の量や溶媒、反応時
間、反応温度などは、それぞれの方法に応じて異なるも
のであり、従って、保護基によって適宜選択すればよ
く、特に限定されるものではない。
【0066】本工程は、先の工程(d)でアミノ基の保
護基が脱離される場合は、特に行う必要はない。これに
より、式(8)で表される4−アミノ−1,6−アンヒ
ドロ−4−デオキシ−β−D−アルトロピラノースを得
る。
【0067】工程(f)は、式(8)の化合物の1,6
−アンヒドロ結合を開裂させる工程である。この開裂反
応は、無水酢酸中、酸触媒の存在下で加溶媒分解して行
われる。無水酢酸は2.5から10当量、好ましくは5
から10当量使用する。本反応では、無水酢酸を反応溶
媒として使用してもよい。また、触媒として用いる酸は
特に限定されないが、例えば硫酸等の鉱酸が挙げられ
る。反応時間は1時間から24時間、好ましくは1から
10時間である。反応温度は特に限定されるものではな
いが、0℃から60℃、好ましくは10から30℃であ
る。
【0068】本反応では、酸触媒によるアシル化が起こ
るため、式(9)で表される4−アセトアミド−1,
2,3,6−テトラ−O−アセチル−4−デオキシ−D
−アルトロピラノースが得られる。
【0069】工程(g)は、先の工程(f)で得られた
4−アセトアミド−1,2,3,6−テトラ−O−アセ
チル−4−デオキシ−D−アルトロピラノース(9)の
1位2位、3位及び6位の水酸基に結合しているアセチ
ル基を脱離させる工程である。
【0070】脱離の方法としては、アセチル基を脱離さ
せるための全ての方法が適用できるが、1位のヘミアセ
タールが還元されるような方法は避けなければならな
い。例えば、脱離の方法として、上記工程(c)で述べ
たアシル基の脱離方法をそのまま使用することができ
る。即ち、酸や塩基の存在下で加水分解すればよい。ま
た、使用しうる酸若しくは塩基、並びに反応条件等も上
記工程(c)で述べた条件をそのまま使用しうる。
【0071】これにより、式(2)で表される4−アセ
トアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノースを得
る。以上の製造方法により、本発明の化合物の1つであ
る4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラ
ノース(2)が提供される。
【0072】また、本発明は、式(1)で示される4−
アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノース
誘導体に関する。この誘導体は以下に示す方法によって
製造しうるが、これらの方法、及びこれらの方法で導入
される置換基は、単に一例を示すものであり、本発明は
これらに限定されるものではない。
【0073】(I )4−アミノ−4−デオキシ−D−ア
ルトロピラノースの製造方法(R1、R2 、R3 、R
4 、R5 及びR6 は水素原子を表す)。まず、式(2)
の4−アセトアミド基の脱アセチル化反応を行い、4−
アミノ−4−デオキシ−D−アルトロピラノ−スを合成
する。この脱アセチル化反応は酸存在下で加水分解する
ことにより容易に行うことができる。例えば、4M塩酸
中で100℃において1から6時間加水分解することに
より4−アミノ−4−デオキシ−D−アルトロピラノ−
スを得る。また、特に好ましくは、不活性有機溶媒(ジ
クロメタン、四塩化炭素等)中で(2)の化合物にトリ
エチルオキソニウムテトラフルオロボレートを作用さ
せ、O−エチル−アセトアミジウムフルオロボレート中
間体を生成させ、その後加水分解して脱アセチル化をす
るMeerweinの方法(Tetrahedron Letters 16, 1549-1552
1967)を用いることが好適である。
【0074】当該化合物は式(1)で示される誘導体の
一つであり、且つ、下記に合成法を示す誘導体類の原料
ともなる。 (II)4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースのアルキル誘導体の製造(R1 、R2 、R3
及びR4 はアルキル基、R5 は水素原子、R6 はアセチ
ル基を表す)。
【0075】アルキル化反応は、一般にアルキル化試薬
を用いることにより容易に行い得る。アルキル化試薬と
してはハロゲン化アルキル及び硫酸ジアルキル等の試薬
を用いることができ、目的とするアルキル基のハロゲン
化物及び硫酸化物を適宜選択して使用する。アルキル化
反応は4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースをアルキル金属水酸化物(LiOH,KOH
及びNaOH等)と共にアルキル化剤で処理することに
より行うことができる。
【0076】また、1位から3位、及び6位の水酸基に
対して位置選択的なアルキル化を行うことも可能であ
る。たとえば、モンネレット等の方法(CARBOHYDORATE
CHEMISTRY, 6(2), 221-229 (1987) )に従って、スタン
ニレンアセタ−ル体を経由し、式(2)の化合物のビシ
ナル水酸基の一方又は両方に目的とするアルキル基を導
入することが可能である。
【0077】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノースを同様の方法でアルキル化
することも可能である。この場合は、アミンのN原子に
はアルキル基が導入される。 (III )4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルト
ロピラノースのアシル誘導体の製造方法(R1 、R2
3 及びR4 はアシル基、R5 は水素原子、R6はアセ
チル基を表す)。
【0078】アシル化反応は、一般に目的とするアシル
基のハロゲン化物をピリジン、塩化メチレン等の溶媒下
で4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピラ
ノースに作用させ行うことができる。この反応の際、副
次的に生成するハロゲン化水素はアシル化反応を抑制す
るために第三級アミンを加えておくことが望ましい。
【0079】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノースを同様の方法でアシル化す
ることも可能である。この場合は、アミンのN原子には
アシル基が導入される。 (IV)4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースのアルケニル及びアルキニル誘導体の製造方
法(R1 、R2 、R3 及びR4 はアルケニル基、又はア
ルキル基、R5 は水素原子、R6 はアセチル基を表
す)。
【0080】アルケニル化及びアルキニル化反応は、目
的とするアルケニル基及びアルキニル基のハロゲン化物
若しくは硫酸ジアルケニル等の試薬を用いて行われる。
この反応は4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アル
トロピラノースにアルカリ金属水酸化物(LiOH,K
OH及びNaOH等)と共にアルケニル及びアルキニル
化剤を作用させることにより行うことが可能である。
【0081】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノース(8)を同様の方法でアル
ケニル化及びアルキニル化することも可能である。この
場合は、アミンのN原子にはアルケニル基又はアルキニ
ル基が導入される。 (V )4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースのシリル誘導体の製造方法(R1 、R2 、R
3 及びR4 はシリル基、R5 は水素、R6 はアセチル基
を表す)。
【0082】シリル化反応は通常の方法、例えば次の文
献記載の方法により行うことができる(C.A.A.Van Boeck
el et.al, J.R.Neth.Chem.Soc., 102, 415 (1983); P.
G.M.Wuts et.al, J.Org.Chem.,53,5023(1988); Y.Toris
awa et.al, Tetrahedron Lett., 1865 (1979); Methods
in Carbohydrate Chemistry ed by R.L.Whistler et.a
l. Academic Press, New York and London (1962)) 。
【0083】一例を挙げると、tert−ブチルジメチ
ルシリルクロリド等のシリル化剤を4−アセトアミド−
4−デオキシ−D−アルトロピラノース(2)に作用さ
せる方法がある。この反応は、通常三級アミンの存在下
で行う。この三級アミンの例として特に好ましいのは、
イミダゾールである。反応は、N,N−ジメチルホルム
アミドのような極性溶媒中において、イミダゾールのよ
うな塩基の存在下に行うことが好ましい。この反応系で
塩基を使用するのは、副次生成物の酸をトラップすると
同時にtert−ブチルジメチルシリルクロリドの活性
を高めるためである。
【0084】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノース(8)を同様の方法でシリ
ル化することも可能である。この場合は、N原子にシリ
ル基が導入された化合物が得られる場合がある。 (VI)4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースのイソプロピリデン誘導体の製造方法(R
1 、R2 及びR3 のうちR1 及びR2 がイソプロピリデ
ン基でR3 が水素原子、又はR1 が水素原子、R2 及び
3 がイソプロピリデン基であり、R5 は水素原子、R
6 はアセチル基を表す)。
【0085】イソプロピリデン基を導入する方法として
は、アセトン溶媒中、4−アセトアミド−4−デオキシ
−D−アルトロピラノースに硫酸や塩酸等の鉱酸を触媒
として添加することにより容易に行い得る。また、2,
2−ジメトキシプロパン等のアセタールと4−アセトア
ミド−4−デオキシ−D−アルトロピラノースを、パラ
トルエンスルホン酸又はピリジニウムパラトルエンスル
ホネート(PPTS)等の有機酸の存在下において、D
MFのような非プロトン系有機溶媒中で反応を行うこと
によってもイソプロピリデン基を導入することが可能で
ある。
【0086】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノースを同様の方法でイソプロピ
リデン化することも可能である。 (VII )4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルト
ロピラノースのアリール誘導体の製造方法(R1 、R
2 、R3 及びR4 はアリール基、R5 は水素原子、R6
はアセチル基を表す)。
【0087】アリール化反応は、まず、4−アセトアミ
ド−4−デオキシ−D−アルトロピラノースのアリール
化する水酸基をトリフルオロメタンスルホニル化し、こ
れに導入しようとするアリールフェノールのアルカリ金
属塩を、ピリジン等の溶媒中で作用させることによって
行うことができる。
【0088】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノースを同様の方法でアリール化
することも可能である。この場合、上述の反応を用いる
とNH2 基がスルホンアミド基に変換された化合物が得
られる。 (VIII)4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルト
ロピラノースのアラルキル誘導体の製造方法(R1 、R
2 、R3 及びR4 はアラルキル基、R5 は水素原子、R
6 はアセチル基を表す)。
【0089】ここでは一例としてベンジル化反応につい
て説明する。ベンジル化反応は、4−アセトアミド−4
−デオキシ−D−アルトロピラノースを、DMFのよう
な極性溶媒中において、水酸化カリウム、水素化ナトリ
ウムのような強アルカリで処理し、次いでベンジルハラ
イドを加えることによって行いうる。また、エーテルの
ような溶媒中で、酸化銀の存在下にベンジルハライドを
作用させることによってもベンジル誘導体を得ることが
できる。
【0090】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノースを同様の方法でベンジル化
することも可能である。この場合、N−ベンジル誘導体
が得らる。 (IX)4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースのスルホニル誘導体の製造方法(R1 、R
2 、R3 及びR4 はスルホニル基、R5 は水素原子、R
6 はアセチル基を表す)。
【0091】スルホニル化反応は4−アミノ−4−デオ
キシ−D−アルトロピラノースをピリジンをはじめとす
る第三級アミン溶媒中でアルキルスルホン酸ハライド、
アリ−ルスルホン酸ハライド(例えば、パラトルエンス
ルホン酸クロリド)等のスルホン酸ハロゲン化物を作用
させることにより行うことが可能である。しかし、本発
明ではこの方法に限定されるものではなく、通常よく知
られた他の方法たとえば次の文献に記載の方法(Method
s in Carbohydrate Chemistry ed by R.L.Whistler et.
al. Academic Press,New York and London (1962) )で
行うことができる。
【0092】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノースを同様の方法でスルホニル
化することも可能である。この場合N原子上にスルホニ
ル基が導入された化合物が得られる。 (X )4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースのホスホリル誘導体の製造方法(R1 、R
2 、R3 及びR4 はホスホリル基、R5 は水素原子、R
6 はアセチル基を表す)。
【0093】ホスホリル化反応は4−アミノ−4−デオ
キシ−D−アルトロピラノースをピリジンをはじめとす
る第三級アミン溶媒中でホスホリルクロリドを作用させ
ることにより行うことが可能である。しかし、本発明で
はこの方法に限定されるものではなく通常よく知られた
他の方法、例えば次の文献に記載の方法(Methods inCa
rbohydrate Chemistry ed by R.L.Whistler et.al. Aca
demic Press,New York and London (1962) )で行うこ
とができる。
【0094】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノースを同様の方法でホスホリル
化することも可能である。この場合N原子上にホスホリ
ル基が導入された化合物が得られる。
【0095】本発明では、上記(I )〜(X )の方法を
適宜組合せることにより4−アセトアミド−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノースの水酸基及びアミノ基に異
なる官能基を導入した誘導体を製造することも可能であ
る。次に幾つかの製造例を示す。 (XI)4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースにシリル基及びアセチル基が導入された誘導
体の製造方法(R1 、R2 及びR3 はアシル基R4 はシ
リル基、R5 は水素原子、R6 はアセチル基を表す)。
【0096】まず、tert−ブチルジフェニルシリル
クロリドを4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アル
トロピラノースに作用させ、6位の水酸基をシリル基で
保護する。次いで、上記(III )に記載したアシル化の
方法を適用することにより6位以外の水酸基に目的とす
るアシル基を導入する。これによれり、目的の生成物を
得ることができる。
【0097】尚、上記(I )の4−アミノ−4−デオキ
シ−D−アルトロピラノースを同様の方法で選択的アシ
ル化することも可能である。この場合、N−アセチル化
合物が生成する。 (XII )4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルト
ロピラノースにイソプロピリデン基及びベンジル基が導
入された誘導体の製造方法(R1 、R2 及びR3のうち
1 及びR2 がイソプロピリデン基でR3 がベンジル、
又はR1 がベンジル、R2 及びR3 がイソプロピリデン
基であり、R4 はベンジル基、R5 は水素原子、R6
アセチル基を表す)。
【0098】まず、酸触媒の存在下で、4−アセチルア
ミノ−4−デオキシ−D−アルトロピラノース1当量に
対し1から2当量の2,2−ジメトキシプロパン加え、
1位と2位の水酸基、又は2位と3位の水酸基をイソプ
ロピリデン基で保護する。本方法では、1位と2位の水
酸基、又は2位と3位の水酸基がイソプロピリデン基で
保護された2種類の化合物が生成しうる。次に遊離の1
位又は3位の水酸基、及び6位の水酸基に上記(VIII)
に記載した方法でベンジル基を位置選択的に導入する。
得られた2種類のベンジル体は、カラムクロマトグラフ
ィー等で単離精製する。これにより、目的の化合物を得
ることができる。 (XIII) 4−アミノ−4−デオキシ−D−アルトロピ
ラノースにシリル基及びイソプロピリデン基が導入され
た誘導体の製造方法(R1 、R2 及びR3 のうちR1
びR2 がイソプロピリデン基でR3 は有機基、又はR1
が有機基、R2 及びR3 がイソプロピリデン基であり、
4 はシリル基、R5 は水素原子、R6 はアセチル基を
表す)。
【0099】当該誘導体の合成は上記(XI)及び(XII
)の方法を組み合わせて適用することで達成される。
即ち、最初にtert−ブチルジフェニルシリルクロリ
ドを4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロピ
ラノースに作用させ、6位の水酸基をシリル基で保護し
た後、1から2当量の2,2−ジメトキシプロパン加
え、1位と2位の水酸基、又は2位と3位の水酸基をイ
ソプロピリデン基で保護する。本方法では、1位と2位
の水酸基、又は2位と3位の水酸基がイソプロピリデン
基で保護された2種類の化合物が生成しうる。次に遊離
の1位又は3位の水酸基は、他の保護基(例えばアセチ
ル基等のアシル基、又はベンジル基等のアラルキル基)
を導入することができる。得られた2種類の化合物は、
カラムクロマトグラフィー等で単離精製する。これによ
り、目的の化合物を得ることができる。
【0100】(XI)から(XIII)では、N−アセチル化
誘導体を出発原料にした例を示したが、上記(I )の4
−アミノ−4−デオキシ−D−アルトロピラノースのN
原子上を適切な保護基(例えばt−ブチルオキシカルボ
ニル基(Boc基)など)により保護した後、水酸基に
上述の方法で種々の保護基を導入し、次いでBoc基を
脱離することによって、窒素原子上が無置換の化合物を
合成することもできる。
【0101】
【実施例】以下、実施例により4−アセトアミド−4−
デオキシ−D−アルトロピラノースの製造方法を詳細に
説明する。 (工程a) 1,6−アンヒドロ−3,4−ジデオキシ
−β−D−スレオ−ヘキソ−3−エノピラノースの合成 水素化リチウムアルミニウム2.42g (63.8mmo
l)を乾燥エーテル200mlに加えた。この溶液に窒素
雰囲気下において、氷浴中で冷却しながらレボグルコセ
ノン7.98g (63.3mmol)を乾燥エーテル130
mlに溶解した溶液を滴下した。室温で1時間攪拌した
後、水4.60g (256mmol)を滴下し、過剰の水素
化リチウムアルミニウム分解した。反応液にメタノール
を加えて不溶物をろ別後、ろ液から溶媒を減圧下に留去
した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘ
キサン:ジエチルエーテル=1:1〜1:2)にて精製
し、ヘキサン−ジエチルエーテル混合溶媒(混合比;
4:1)にて再結晶することにより、下記式(4)で表
される1,6−アンヒドロ−3,4−ジデオキシ−β−
D−スレオ−ヘキソ−3−エノピラノース5.70g
(70.3%)を得た。
【0102】
【化22】
【0103】融点: 65.6-66.4 ℃ [α]25 D -30.3 ゜(C 1.00、CHCl3 ) IR νmax 3412 (br), 3050 (w), 1425 (m), 1259
(m), 1180 (m), 1125 (s), 1071 (s), 1046 (s)1 H−NMR(CDCl3 , TMSからのppm ):2.10
(1H, d, J = 12.0 Hz ,OH); 5.52 (1H, b, 1位);
4.34 (1H, m, 2位); 5.72 (1H, ddd, J = 9.9, 2.2,
2.2 Hz, 3位); 6.12 (1H, dd, J = 9.9, 4.2 Hz, 4
位) ; 4.67 (1H, dd,J = 4.2, 4.1 Hz, 5位); 3.74 -
3.78 (1H, d d, J = 6.6, 4.1 Hz, 6位); 3.84 (1H,
d, J = 6.6 Hz, 6位) (工程b) 1,6−アンヒドロ−2−O−t−ブチル
ジフェニルシリル−3,4−ジデオキシ−β−D−スレ
オ−ヘキソ−3−エノピラノースの合成 式(4)で表される1,6−アンヒドロ−3,4−ジデ
オキシ−β−D−スレオ−ヘキソ−3−エノピラノース
1.28g (10.0mmol)及びイミダゾール0.82
g (12.0mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド2
0mlに溶解し、これにt−ブチルジフェニルシリルクロ
リド3.30g (12.0mmol)を加え、室温にて18
時間攪拌した。次いで反応液を氷水に注ぎ、混合物をジ
エチルエーテルにて抽出して、有機層を硫酸マグネシウ
ムにて乾燥した。ジエチルエーテルを減圧下にて留去し
た後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘ
キサン:酢酸エチル=4:1)にて精製することによ
り、下記式(5a)で表される1,6−アンヒドロ−2
−O−t−ブチルジフェニルシリル−3,4−ジデオキ
シ−β−D−スレオ−ヘキソ−3−エノピラノースを定
量的に得た。
【0104】
【化23】
【0105】融点: 74.0-75.5 ℃ IR νmax (KBr Disk) 3074 (m), 3060 (w), 3040
(w), 3020 (w), 3004 (w), 2946 (s), 2886 (s), 2862
(s), 1984 (w), 1901 (w), 1847 (w), 1682 (w),1636
(w), 1618 (w), 1591 (m), 1568 (w), 1489 (m), 1473
(s), 1431 (s), 1388 (s), 1365 (m), 1315 (s), 1288
(m), 1251 (m), 1183 (m), 1166 (m), 1110 (s), 1069
(w), 1048 (m), 1009 (w), 984 (s), 975 (w), 932
(m), 884 (s), 853 (s), 830 (s), 797 (m), 745 (m),
719 (s), 708 (s), 694 (s), 673 (m), 629 (m), 605
(m), 509 (s), 480 (s), 447 (s)1 H−NMR(CDCl3 、TMSからのppm ):1.09
(9H, s, t-Bu); 7.73-7.67 (4H, m, Ph), 7.43-7.35 (6
H, m, Ph); 5.26 (1H, dd, J = 2.2, 2.2 Hz, 1位);
4.52 (1H, br, 2位); 5.53 (1H, ddd, J = 9.9, 2.2,
2.1 Hz, 3位);5.95 (1H, ddd, J = 9.9, 4.1, 1.4 H
z, 4位); 4.54 (1H, dd, J = 4.1, 4.1Hz, 5位); 3.
97 (1H, d, J = 6.5 Hz, 6位), 3.76 (1H, ddd, J =
6.5, 4.1 Hz,6位) (工程c) 1,6−アンヒドロ−2−O−t−ブチル
ジフェニルシリル−4−デオキシ−4−p−トルエンス
ルホナミド−β−D−アルトロピラノースの合成 式(5a)で表わされる1,6−アンヒドロ−2−O−
t−ブチルジフェニルシリル−3,4−ジデオキシ−β
−D−スレオ−ヘキソ−3−エノピラノース4.12g
(11.25mmol) をt−ブチルアルコール54mlに溶
解し、これにクロラミン−T・三水和物3.18g (1
3.97mmol) を水54mlに溶解した水溶液を加えた。
次いで四酸化オスミウムの0.1モル濃度のt−ブチル
アルコール溶液9mlを加え、室温にて18時間攪拌し
た。45%のチオ硫酸ナトリウム水溶液9mlを加え、室
温にて10分間攪拌した後、反応液から溶媒を減圧下に
て留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製するこ
とにより、下記式(6a)で表される1,6−アンヒド
ロ−2−O−t−ブチルジフェニルシリル−4−デオキ
シ−4−p−トルエンスルホナミド−β−D−アルトロ
ピラノース4.11g (収率74.2%)を定量的に得
た。
【0106】
【化24】
【0107】融点: 156.5-160.0 ℃ [α]28 D -52.0 °(C 0.96,CHCl3 ) IR νmax (KBr Disk) 3572 (m), 3542 (m), 3250
(m), 3074 (m), 3048 (m),2956 (s), 2896 (m), 2862
(m), 1968 (w), 1901 (w), 1754 (w), 1601 (w), 1591
(w), 1489 (m), 1470 (m), 1446 (m), 1429 (m), 1400
(m), 1348 (m), 1332 (s), 1307 (m), 1274 (w), 1234
(w), 11 74 (s), 1122 (s), 1093 (s), 1004(s), 977
(m), 938 (s), 861 (s), 818 (s), 783 (s), 743 (s),
702 (s), 681(s), 658 (w), 630 (m), 613 (m), 578
(w), 555 (m), 545 (m), 503 (s)1 H−NMR(CDCl3 , TMSからのppm ): 1.07
(9H, s, t-Bu); 1.94 (1H, d, J = 7.5 Hz, OH); 4.89
(1H, d, J = 7.4 Hz, NH); 2.43 (3H, S,PhCH3); 7.73-
7.67 (6H, m, Ph), 7.48-7.37 (6H, m, Ph), 7.30 (2H,
d, J = 8.4 Hz, Ph); 4.98 (1H, d, J = 1.5 Hz, 1
位); 3.39 (1H, dd, J = 8.4, 1.5 Hz, 2位); 3.90 (1
H, ddd, J = 8.4, 7.5, 5.7 Hz, 3位); 3.49 (1H, dd
d, J = 7.4,5.7, 2.2 Hz, 4位); 4.25 (1H, ddd, J =
4.8, 2.6, 2.2 Hz, 5位); 3.72-3.65 (2H, m,6位) (工程d) 1,6−アンヒドロ−4−デオキシ−4−
p−トルエンスルホナミド−β−D−アルトロピラノー
スの合成 式(6a)で表わされる1,6−アンヒドロ−2−O−
t−ブチルジフェニルシリル−4−デオキシ−4−p−
トルエンスルホナミド−β−D−アルトロピラノース
0.35g (0.63mmol)をテトラヒドロフラン7ml
に溶解し、これに1モル濃度のテトラブチルアンモニウ
ムフルオリド1.4mlを加え、室温にて4時間攪拌し
た。反応液にアンバーライトIR−120B(H+ 型)
陽イオン交換樹脂を加えて、テトラブチルアンモニウム
イオンをトラップし、溶媒を減圧下にて留去した。残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢
酸エチル=1:5)を用いて精製し、下記式(7a)で
表される1,6−アンヒドロ−4−デオキシ−4−p−
トルエンスルホナミド−β−D−アルトロピラノース
0.34g を定量的に得た。
【0108】
【化25】
【0109】融点: 84.5-86.2 ℃ [α]24 D -115°(C 0.47, MeOH) IR νmax (KBr Disk) 3434 (br), 2974 (m), 2908
(m), 1926 (w), 1731 (w), 1601 (m), 1495 (m), 1450
(m), 1309 (m), 1251 (m), 1164 (s), 1139 (s),1087
(s), 1021 (m), 996 (m), 942 (m), 866 (m), 849 (m),
816 (m), 708 (m), 690 (m), 658 (m), 547 (m)1 H−NMR(CD3 OD, TMSからの ppm ):; 2.
42 (3H, S, PhCH3); 7.81 (2H, d, J = 8.1 Hz, Ph);
7.35 (2H, d, J = 8.1 Hz, Ph); 5.20 (1H, br,1位);
3.42 (1H, d, J = 9.0 Hz, 2位); 3.72-3.67 (2H, m,
3位及び6位);3.54-3.52 (1H, m, 4位); 4.29-4.27
(1H, m, 5位); 3.60 (1H, dd, J = 7.8, 5.7 Hz, 6
位)13 C−NMR(CD3 OD, 49.8 ppm): 145.4, 140.
5, 131.4, 129.0, 104.1, 78.3, 74.9, 69.7, 67.8, 5
8.6, 22.3 (工程e) 4−アミノ−1,6−アンヒドロ−4−デ
オキシ−β−D−アルトロピラノースの合成 式(7a)で表される1,6−アンヒドロ−4−デオキ
シ−4−p−トルエンスルホナミド−β−D−アルトロ
ピラノース0.40g (1.28mmol)を石英容器内に
て80%エタノール水溶液200mlに溶解し、これに
1,5−ジメトキシナフタレン0.13g (0.66mm
ol) と水素化ホウ素ナトリウム0.25g(6.48mmo
l)を加え、アルゴン雰囲気中、100W高圧水銀ラン
プにて365nmの光を7時間照射した。次いでアセトン
10mlを加え、過剰の水素化ホウ素ナトリウムを消費さ
せた。反応液から溶媒を減圧下にて留去し、残渣を水に
溶解し、ジエチルエーテルで洗ったのち、水層をアニオ
ン交換樹脂(OH- 型)に通した。反応液から減圧下に
て水を留去し、イアトロビーズを充填剤としたカラムク
ロマトグラフ(クロロホルム:メタノール:25%アン
モニア水=10:5:1)にて精製し、式(8)で表さ
れる4−アミノ−1,6−アンヒドロ−4−デオキシ−
β−D−アルトロピラノース0.18g (収率;87.
2%)を得た。
【0110】
【化26】
【0111】1H−NMR(CD3 OD, TMSからの
ppm ): 5.25 (1H, br, 1位); 3.84-3.17 (5H, m,
2位, 3位, 4位, 及び6位); 4.56 (1H, br, 5位) (工程f) 4−アセトアミド−1,2,3,6−テト
ラ−O−アセチル−4−デオキシ−D−アルトロピラノ
ースの合成 式(8)で表される4−アミノ−1,6−アンヒドロ−
4−デオキシ−β−D−アルトロピラノース0.18g
(1.12mmol)を無水酢酸10mlに溶解した。この溶
液に硫酸0.2mlを無水酢酸10mlに溶解した溶液を氷
浴で冷却しながら徐々に滴下し、次いでアルゴン雰囲気
下で室温にて24時間攪拌した。反応混合物を氷を含む
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中に注ぎ、次いで2時間
攪拌した。反応混合物をクロロホルムにて抽出し、有機
層を硫酸マグネシウムにて乾燥した。反応液から減圧下
にて溶媒を留去し、残渣をイアトロビーズを充填剤とし
たクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=
9:1)にて精製し、式(9)で表される4−アセトア
ミド−1,2,3,6−テトラ−O−アセチル−4−デ
オキシ−D−アルトロピラノース0.32g (収率;7
4.0%)を得た。
【0112】
【化27】
【0113】[α]28 D +62.4 °(C 1.13,CHCl3 ) IR νmax (KBr Disk) 3382 (br), 2994 (w), 1750
(s), 1663 (m), 1543 (m), 1437 (w), 1375 (m), 1222
(s), 1162 (m), 1050 (m), 1015 (w), 969 (m), 901
(w), 756 (w), 667 (w), 640 (w), 603 (w), 513 (w),
435 (w) 1 H−NMR(CDCl3, TMSからの ppm ): α
−アノマー;2.18 (3H, S, O−Ac); 2.17 (3H, S,
α−アノマー又はO−Ac); 2.10 (6H, S, O−Ac);
2.01 (3H, S, N−Ac); 5.60 (1H, d, J = 9.8 Hz,
NH); 6.01 (1H, s, 1位);5.02 (1H, d, J = 3.1 Hz,
2位); 4.95 (1H, dd, J = 3.1, 3.1Hz, 3位); 4.60
(1H, ddd, J = 9.9, 9.8, 3.1 Hz, 4位); 4.23-4.12
(3H, m,5位及び6位) (工程g) 4−アセトアミド−4−デオキシ−D−ア
ルトロピラノースの合成 式(9)で表される4−アセトアミド−1,2,3,6
−テトラ−O−アセチル−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノース0.26g (0.67mmol)をメタノール
1.7mlに溶解し、これにナトリウムメトキシド0.0
2g (0.32mmol)を加え、アルゴン雰囲気中0℃に
て2時間攪拌した。反応液から減圧下にて溶媒を留去し
て乾燥し、残渣を水に溶解したのち、水溶液をダウエッ
クス50W- X2 (H+ 型)に通し、溶出液から減圧下
にて溶媒を留去した。残渣を減圧乾燥し、下式(2)で
表される4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルト
ロピラノース0.15 g(収率;98.6%)を得た。
【0114】
【化28】
【0115】[α]23 D +54.1 °(C 1.28, H2 O)1 H−NMR(D2 O, TPSからのppm ): 1.81 (3H,
S, Ac);; 4.88 (1H, br, 1位); 4.09-3.27 (5H,
m, 2位及び3位, 4位, 6位)13 C−NMR(D2 O, ジオキサンからのppm ): 175.
1 (1C), 92.7 (1C), 74.1 (1C), 71.2 (1C), 70.5 (1
C), 62.6 (1C), 46.2 (1C), 23.0 (1C) 及び175.1 (1
C), 94.8 (1C), 69.9 (2C), 68.8 (1C), 62.2 (1C), 4
6.5 (1C), 23.0 (1C)
【0116】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、非天
然糖の4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノース及び4−アミノ−4−デオキシ−D−アルト
ロピラノース誘導体を提供しうる。また、本発明に従え
ば、レボグルコセノンを出発物質として、該化合物のカ
ルボニル基を還元し、更に二重結合へアミノ基と水酸基
を付加し、アミノ基と水酸基を位置選択的かつ立体選択
的に導入することが可能になった。この方法を用いるこ
とにより、4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アル
トロピラノースが好収率、好選択的に得られる。更に、
本発明によれば、簡便な合成手法により、種々の合成中
間体となりうる4−アセトアミド−4−デオキシ−D−
アルトロピラノースを得ることが可能になる。これによ
り、糖鎖をはじめとする種々の有用な糖化合物の構成単
位であると共に、有用な生理活性化合物の合成原料とな
りうる4−アセトアミド−4−デオキシ−D−アルトロ
ピラノースが容易に入手できる。
【0117】また、4−アセトアミド−4−デオキシ−
D−アルトロピラノースは、水酸基に種々の置換基を容
易に導入することができ、本発明の化合物が有用である
ことがわかる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式(1)で示される4−アセトアミド−
    4−デオキシ−D−アルトロピラノース誘導体。 【化1】 但し、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は水素原
    子又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシ
    ル基、シリル基、アリ−ル基、アラルキル基、アルキル
    オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ア
    ルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホン
    酸基、ホスホリル基を表わし、R1及びR2 、又はR2
    及びR3 それぞれ一緒になってイソプロピリデン基を表
    わす。
  2. 【請求項2】下式(2)で示される4−アセトアミド−
    4−デオキシ−D−アルトロピラノース。 【化2】
  3. 【請求項3】下式(2)で示される4−アセトアミド−
    4−デオキシ−D−アルトロピラノースの製造方法であ
    って、 【化3】 (a)下記反応式で表わされるようにレボグルコセノン
    (3)の2位のカルボニル基をヒドリド還元してβ配置
    の水酸基を有する式(4)で表される化合物を得る工程
    と、 【化4】 (b)下記反応式で表されるように式(4)の化合物の
    2位の水酸基に保護基を導入し、式(5)で表わされる
    化合物を得る工程と、 【化5】 但し、R2 は、Hまたは一般的なアシル基,アルキル
    基,シリル基、アラルキル基等の水酸基の保護基を表
    す。 (c)下記反応式に示されるように式(5)で表わされ
    る化合物の二重結合の4位にα配置のN−置換アミノ基
    を、3位にα配置の水酸基をシス付加させて、下式
    (6)で表わされる化合物を得る工程と、 【化6】 但し、R2 は水素原子、又はアシル基、アルキル基、シ
    リル基、アラルキル基等の水酸基の保護基を表わし、R
    5 は、水素原子、又はアシル基、アルキルオキシカルボ
    ニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキル基、
    アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等のアミ
    ノ基の保護基を表す。 (d)下記反応式に示されるように式(6)で表される
    化合物の2位の水酸基の保護基を脱離させ、式(7)で
    表される化合物を得る工程と、 【化7】 但し、R5 は、先に定義したとおりである。 (e)下記反応式に示されるように式(7)で表される
    化合物の4位のアミノ基の保護基を脱離させ、式(8)
    で表される化合物を得る工程と、 【化8】 但し、R5 は、先に定義したとおりである。 (f)下記反応式で示されるように式(8)で表される
    化合物の1,6−アンヒドロ結合を無水酢酸中にて酸加
    溶媒分解して式(9)で表される化合物を得る工程と、 【化9】 但し、Acはアセチル基を表わす。 (g)下記反応式で示されるように式(9)で表される
    化合物の水酸基の保護基であるアセチル基を脱離させ、
    式(2)で表される化合物を得る工程 【化10】 とを具備することを特徴とする4−アセトアミド−4−
    デオキシ−D−アルトロピラノース(2)の製造方法。
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