JPH07323839A - 高速列車を編成する先頭車両の先頭形状 - Google Patents

高速列車を編成する先頭車両の先頭形状

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JPH07323839A
JPH07323839A JP6120377A JP12037794A JPH07323839A JP H07323839 A JPH07323839 A JP H07323839A JP 6120377 A JP6120377 A JP 6120377A JP 12037794 A JP12037794 A JP 12037794A JP H07323839 A JPH07323839 A JP H07323839A
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泰昭 小濱
Toru Yoshikawa
透 由川
Ryosuke Furuta
良介 古田
Fujio Horie
冨士雄 堀江
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Kinki Sharyo Co Ltd
East Japan Railway Co
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Kinki Sharyo Co Ltd
East Japan Railway Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 前方の空気の左右への排除がほとんどなく、
大半を上方に排除して、前記左右へ排除される空気によ
る衝撃を小さく抑え、すれ違い特性がよくさらなる高速
化に対応できるようにする。 【構成】 車両1底部に位置する前端部2から後方へ傾
斜して立ち上がる先頭部3の左右両側に、先頭部3の後
方に続く車両胴部4の側面と面一状態で先頭部3から上
向きに延び出した分流ひれ5を設け、左右の分流ひれ5
の前端部6に続く先頭部3の前端縁7を平面より見てほ
ぼ2次元状か3次元形状にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速列車の先頭形状に関
し、詳しくは主として軌道式の高速列車を編成する先頭
車両の先頭形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在の高速列車としては新幹線の列車が
ある。新幹線の列車の場合、運用速度の向上とともにこ
れを可能とする先頭車両の形態が種々に設計され、実用
されている。特に先頭形状はロケット型の流線形状に設
計され、走行時の空力抵抗を少なくして現在の運用速度
を得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、軌道式の列
車は、対向列車どうしの間隔が規定されてしまうし、駅
のプラットホームと列車とは乗り降りに便利で危険がな
いように、互いに極く接近した位置関係に設定され、プ
ラットホーム上の人には、プラットホーム上に施した白
線等によって列車との安全間隔を保てるように表示して
いる。
【0004】しかし、列車の高速化とともに先頭車の空
気による危険速度が急激に増大し、路線を対向して走行
する車両に衝撃力を及ぼすと同時に、通過駅でのプラッ
トホームの人々にも大きな影響を与える。
【0005】加えて、トンネル内や防音壁のある路線で
は、先頭車が左右に排除する空気流がトンネル壁や防音
壁と干渉することによって大きな流体抵抗を招き、かつ
トンネル内の微気圧波の成長にも影響を与える。特にす
れ違い時の衝撃力は運用上に重大な問題を引き起こしか
ねない。
【0006】例えば、限りなく列車の速度が向上できる
と仮定すると、運用上の限界速度はすれ違いによって生
じる衝撃力が列車の転覆限界を与える速度で与えられ
る。このような運用上の限界速度はそう高くない速度域
で生じるものと思われる。
【0007】現在の新幹線の列車の場合、トンネル内で
のすれ違い時の衝撃力の面で現行の運用速度が限界に近
く、次の目標となっている運用速度、例えば平均時速3
00Kmに対しては、状況によって限界速度を越える危
険性があることが予想される。
【0008】本発明者等は、このようなすれ違い特性に
ついて種々に実験し、研究した。図7(b)は現在の新
幹線の列車を編成する先頭車両の形態、特にロケット型
の流線型をした先頭形状を持つ車両aにつき風洞実験し
た結果を示している。
【0009】図に示すように、従来の車両aの先頭部b
は、平面より見て前方に凸の3次元形状をしている。こ
の車両aの前方の空気は3次元形状の先頭部bによって
左右方向にも排除される。この結果図に示すような空気
流cの流線に大きな曲がりdと、これによる膨らみが生
じ、この影響は車両の胴部幅の数倍の範囲にまで及ぶこ
とを知見した。これによる衝撃力は先頭形状の平面より
見た車両進行方向の勾配と速度の自乗に比例して大きく
なると考えられるし、車両側部の空間が狭いトンネル内
や防音壁のある所での衝撃は倍加する。
【0010】したがって、車両の先頭形状は、図7
(b)に示す先頭形状を勾配が緩やかになるよう十分に
細長くするか、胴部幅を小さくするか、あるいは平面よ
り見て少なくともほぼ2次元形状にするかによって対策
できると考えられる。
【0011】細長くしたり、胴部幅を小さくするには限
度があり実用し難い。2次元形状にしたものに、車両の
前面を平坦なまま後方へ倒した単純な楔型の先頭形状に
したものがある。これによると傾斜した前面にて対向空
気を上方に排除しやすくなり、また空気を上方へ排除し
易い分だけ負の揚力が生じて、車輪の粘着力を増大させ
ることができる。
【0012】しかし、これによっても車両の前面から左
右両側に排除される空気は依然として多くあり、前記問
題は解消しきれない。
【0013】本発明は、このような知見に基づき、前方
の空気の左右への排除がほとんどなく、大半を上方に排
除して、前記左右へ排除される空気による衝撃を小さく
抑え、すれ違い特性がよくさらなる高速化に対応できる
高速列車の先頭形状を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の高速列車を構成
する先頭車両の先頭形状は、上記のような課題を達成す
るために、車両底部に位置する前端部から後方へ傾斜し
て立ち上がる先頭部の左右両側に、先頭部の後方に続く
車両胴部の側面と面一状態で先頭部から上向きに延び出
した分流ひれを設け、左右の分流ひれの前端部に続く先
頭部の前端縁を平面より見てほぼ2次元状か3次元形状
にしたことを特徴とするものである。
【0015】先頭部は、中央部から両側部分に向け低く
なり、かつ前端部から後方へほぼ流線形状で立ち上がる
形状であるのが好適である。
【0016】分流ひれは先頭部の両側にて前方へ延び出
す前方延び出し部を有しているのが好適であり、分流ひ
れの前端部は先頭部の前端部よりも前方に突出するよう
にもできる。さらに分流ひれは、車両底部に位置する前
端部から後方へ車両の高さ位置まで立ち上がるか、車両
の高さ位置近くまで立ち上がる形状とすることができ、
またこの立上がりが流線形状であるのが好適である。
【0017】前記各場合において、先頭部の後方の胴部
から前方途中までに上方へこぶ状に膨らんだ運転室を設
けるのが好適である。
【0018】
【作用】本発明の高速列車を構成する先頭車両の先頭形
状の上記構成では、先頭部の両側に、先頭部の後方に続
く車両胴部と面一状態で先頭部から上方に延び出した分
流ひれがあり、これが車両の胴部幅内で対向する空気
を、車両の胴部幅外の空気とそれぞれを乱すことなく分
流するとともに、先頭部の車両の底部に位置する前端縁
から後方へ傾斜して立ち上がる上面との間の凹部内に抱
き込むようにして受入れ、先頭部の上面の後方に傾斜し
た立上がり形状に沿って前記受入れた空気を乱すことな
く上方に排除するし、先頭部の前記前端縁は対向する空
気を掬い上げる働きをするとともに、平面より見てほぼ
2次元状か3次元形状であることにより、対向する空気
を左右両側に排除する働きをせず、したがって車両の左
右両側に排除する空気をほとんど無くして対向空気の流
線が平面より見て車両の左右両側へ湾曲状態で膨らむの
を回避し、すれ違い時の衝撃力を低減し、また微気圧波
の発生をなくすことができるし、対向する空気のほとん
どを上方へ排除するので負の揚力を大きく発生させて車
輪の粘着力を格段に向上することができる。すなわち、
トンネル内での列車上方の空間は広いので上方に排除し
た空気はスムーズに流れるし、トンネル壁や防音壁が、
先頭車両が左右に排除して作る気流と干渉しにくく、か
つトンネル内で先頭車両が押し出す空気流の量を少なく
することができることが相まって、トンネル内や防音壁
のある所での微気圧波の発生を低減することができる。
さらに、前記先頭部が後尾状態となったとき、前記左右
一対の分流ひれの存在によって、縦渦を左右一対安定し
て発生させて、カルマン渦状の交番渦の発生を抑制でき
るので、圧力抵抗の低減と同時に、車両の左右振動を低
減できる。また、積雪を左右にはね飛ばす空力的除雪作
用も期待できる。
【0019】先頭部が、中央部から両側部分に向け低く
なり、かつ前端部から後方へほぼ流線形状で立ち上がる
形状であると、左右両側の分流ひれの間に受入れる空気
による空力抵抗を低減することができる。
【0020】分流ひれが先頭部の両側で前方へ延び出す
前方延び出し部を有していると、先頭部が車両底部近傍
で分流ひれの前端部よりも前方に突出して、対向空気を
左右に排除するように働いても、これを分流ひれの前記
前方への延び出し部によって受止め、先頭部の上面の傾
斜に沿って上方に排除するので、前記すれ違い特性の向
上および負の揚力の増大に有利になる。分流ひれの前端
部が先頭部の前端部よりも前方に突出していると、対向
空気の分流ひれによる上方への排除をさらにスムーズに
かつ確実に行うことができる。
【0021】さらに分流ひれが、車両底部に位置する前
端部から後方へ車両の高さ位置まで立ち上がるものであ
ると、車両の全高において、前記対向空気の車両胴部幅
外の空気と分流した抱き込み特性を発揮し、かつ無駄な
突出により余分な抵抗が生じるのを防止することができ
る。また、分流ひれが、車両の高さ位置近くまで立ち上
がるものであると、車両の高さまで立ち上がるものに比
べ、先頭部の車両胴部から前方途中部分にまで設けられ
る運転室からの視界を遮りにくくすることができるし、
先頭部との対向空気を上向きに排除するように案内する
ときに発生する縦渦の解放時期を早めて、この縦渦の強
さを適度に抑えるように調整することができる。
【0022】また分流ひれの立上がりが流線形状である
と、分流ひれの対向空気との空力抵抗を最小に軽減する
ことができる。
【0023】前記各場合において、先頭部の後方の胴部
から前方途中までに上方へこぶ状に膨らんだ運転室を設
けると、運転室内の運転席の位置が高くなるので分流ひ
れがあっても視界を確保しやすくすることができるし、
先頭部が後尾状態となったとき、ボンネット面での空気
流が剥がれにくくなるようにすることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係る高速列車を編成する先頭
車両の先頭形状の幾つかの実施例について図を参照して
説明する。
【0025】いずれの実施例も、新幹線のような軌道式
の高速列車の先頭車両の先頭形状の場合を示している。
しかし、必ずしもこれに限られることはなく、非接触走
行方式や浮上走行方式を採用する高速列車にも適用でき
る。
【0026】図1〜図3は第1の実施例を示し、図4、
図5は第2の実施例を示している。
【0027】いずれも、高速列車を編成する先頭車両1
において車両底部に位置する前端部2から後方へ傾斜し
て立ち上がる先頭部3の左右両側に、先頭部3の後方に
続く車両胴部4の側面と面一状態で先頭部3から上向き
に延び出した分流ひれ5を設けてある。
【0028】そして、図1〜図3に示す第1の実施例で
は、左右の分流ひれ5の前端部6に続く先頭部3の前端
縁7を図1の(b)に示すように平面より見て後方側に
凹の状態となる3次元形状にしてある。
【0029】また、図4、図5に示す第2の実施例で
は、左右の分流ひれ5の前端部6に続く先頭部3の前端
縁7を図4の(b)に示すように平面より見て前方に凸
であるがほぼ2次元状の形状にしてある。なお図4に仮
想線で示すような形状の先頭部3とすることもできる。
【0030】以上のような先頭形状によると、先頭部3
の両側に、先頭部3の後方に続く車両胴部4と面一状態
で先頭部3から上方に延び出した分流ひれ5が、車両1
の胴部幅内で対向する空気を、車両1の胴部幅外の空気
とそれぞれを乱すことなく分流するとともに、先頭部3
の車両1の底部に位置する前端縁7から後方へ傾斜して
立ち上がる上面との間の凹部8内に抱き込むようにして
受入れ、先頭部3の上面の後方に傾斜した立上がり形状
に沿って前記受入れた空気を乱すことなく上方に排除す
る。
【0031】また、先頭部3の前記前端縁7は対向する
空気を掬い上げる働きをするとともに、平面より見てほ
ぼ2次元状か後方側に凹の3次元形状であることによ
り、対向する空気を車両1の左右両側に排除する働きを
しない。3次元形状の場合は先頭部3の前端縁7自体も
対向空気の左右の整流ひれ5間への受入れを助長しやす
い。
【0032】以上によって、車両1の左右両側に排除す
る空気をほとんど無くすことができ、対向空気の流線が
平面より見て車両1の左右両側へ湾曲状態で膨らむのを
回避することができる。これによりすれ違い時の衝撃が
大幅に低減するのでさらなる高速化に貢献できるし、対
向する空気のほとんどを上方へ排除するので負の揚力を
大きく発生させて車輪の粘着力が格段に向上する。すな
わち、トンネル内での列車上方の空間は広いので上方に
排除した空気はスムーズにながれるし、トンネル壁や防
音壁が、先頭車両が左右に排除して作る気流と干渉しに
くく、かつトンネル内で先頭車両が押し出す空気流の量
を少なくすることができるのと相まって、トンネル内や
防音壁のある所での微気圧波の発生を軽減することがで
きるので、車両のさらなる軽量化と高速化に貢献するこ
とができる。また、先頭部3が後尾状態となっとき、前
記左右一対の分流ひれ5の存在によって、縦渦を左右一
対安定して発生させて、カルマン渦状の交番渦の発生を
抑制することができるので、圧力抵抗の低減と同時に、
車両の左右振動を低減することができ、乗り心地が良く
なる。またさらに、積雪を左右にはね飛ばす空力的除雪
作用も期待できる。
【0033】なお、図4に仮想線で示すように分流ひれ
5の前端部6よりも先頭部3の前端部2の方が前方に突
出していると、先頭部の前端部2から胴部4までの上面
の立上がり傾斜角を小さくしやすく、上方へ排除する空
気流の立上がり高さを抑え、トンネル上部での天井壁と
干渉しにくくすることができる。
【0034】図7(a)は第1の実施例の車両1と、こ
れによる対向空気の平面より見た流線Cとの関係を実験
結果に基づいて示したものである。図7(b)に示す従
来の先頭形状の場合に見られた流線の湾曲と拡がりはほ
とんど生じないことが分かる。実験によると、このよう
な状態は第2の実施例の場合もほぼ同様である。
【0035】また、第1、第2の実施例では、車両1の
先頭部3が、中央部から両側部分に向け低くなり、かつ
前端部から後方へほぼ流線形状で立ち上がる形状をして
いる。これにより、先頭部3はよく知られた空気抵抗の
少ない流線形状であることにより、左右両側の分流ひれ
5の間に受入れる空気による空力抵抗を低減することが
でき、車両のさらなる高速化に貢献することができる。
【0036】なお、第1の実施例の先頭車両1の先頭形
状は、図1の(a)に示すように側面より見て緩やかな
凸であるのに対し、第2の実施例のそれは、図4の
(a)に示すように凹と凸が連続した形状となってい
る。第2の実施例の凹形状部は左右の整流ひれ5間に受
入れた空気を上方へ排除するときに、空気を掬い上げよ
くし、先頭部3による対向空気の左右への排除作用を抑
えることができる。
【0037】さらに第1、第2の各実施例では、分流ひ
れ5の前端部6が、先頭部3の両側で前方に延び出した
延び出し部をなしているので、先頭部3が図4に仮想線
で示す第3の実施例のように車両底部近傍で分流ひれ5
の前端部6よりも前方に突出して、対向空気を左右に排
除するように働いても、これを分流ひれの前記前方への
延び出し部によって受止め、先頭部3の上面の傾斜に沿
って上方に排除するので、前記すれ違い特性の向上およ
び負の揚力の増大に有利になる。分流ひれ5の前端部6
が第1、第2の各実施例のように先頭部3の前端部2よ
りも前方に突出していると、対向空気の上方への排除を
さらにスムーズにかつ確実に行われるようにして、前記
すれ違い特性の向上および負の揚力の増大に有利にな
る。
【0038】また、第1、第2の各実施例に共通して、
左右の整流ひれ5は、車両1の底部に位置する前端部2
から後方へ車両1の高さ位置まで立ち上がるようにして
あり、車両1の全高において、前記対向気流の車両1の
胴部幅外の空気と分流した抱き込み特性を発揮し、かつ
無駄な突出により余分な抵抗が生じるのを防止すること
ができる。
【0039】さらに、左右の分流ひれ5の立上がりが流
線形状としてあり、分流ひれ5の対向空気との空力抵抗
を最小に軽減することができる。
【0040】なお、図3、図5は第1、第2の各実施例
の先頭形状の解析図である。
【0041】図6は本発明の第4の実施例を示し、第1
〜第3の各実施例で示したような車両1の場合の固定的
な分流ひれ5とは異なり、不要時は格納しておける可動
な分流ひれ14を設けてある。これにより、車両1が後
尾車となり分流ひれ14を持った先頭部3が後尾部とな
って、分流ひれ14を特に必要としない場合や、車両1
が入庫され、また遊休中である場合に、分流ひれ14
を、図6の実線で示す突出状態から仮想線で示す格納状
態にしておくことができ、自車、他車を問わず洗浄や補
修作業を行うときの万一の引っ掛かりや、あるいはいた
ずらによる損傷を回避しやすくすることができる。
【0042】また、特定の速度域では、分流ひれ14が
気流を乱すと云ったことのために格納状態にしておく方
がよい場合も考えられる。したがって、分流ひれ14を
自動的に格納したり突出させたりできるようにしておく
のが便利であり、この格納、突出を車両1の速度変化に
応じて自動的に行うように制御するのが好適である。
【0043】本実施例では、先頭部3の両側に設ける分
流ひれ14は、これの下縁部を車両1の表面部にヒンジ
13によって起伏できるようにして連結し、ヒンジ13
を中心とした回動によって、車両1の表面に沿った仮想
線の状態に格納し、また、実線の状態に突出した状態と
することができるようにしてある。
【0044】前記分流ひれ14を自動的に格納させたり
突出させたりするには、ヒンジ13部の分流ひれ14と
一体とした回転軸、あるいは分流ひれ14の一部に、適
宜な駆動源と連結することにより達成することができ
る。駆動源としては、例えばエアシリンダや油圧シリン
ダ、あるいはソレノイド、各種モータを採用することが
できる。
【0045】分流ひれ14の前記格納のために車両1の
表面に分流ひれ14を車両1の表面と面一状態になるよ
うに受入れる凹部を形成しておくこともできる。
【0046】分流ひれ14は、前記のほか直線的な動き
で、あるいは適宜な動きで車両1内に引き入れたり、車
両1外に突出させたりできるように設けることもできる
し、他の種々な方法を採用して格納状態と突出状態とに
切り換えられる。
【0047】図8は本発明の第5の実施例を示してい
る。本実施例は図4に仮想線で示す第3の実施例の変形
例に相当し、先頭部3の後方の胴部4から前方途中まで
に上方へこぶ状に膨らんだ運連室21を設け、また、分
流ひれ5を車両1の底部に位置する先頭部3の前端部2
から後方へ車両1の高さ位置近くまで立ち上がる形状と
した点で、第3の実施例と異なっている。他は特に変わ
るところはない。
【0048】本実施例では、分流ひれ5が、車両1の高
さ位置近くまで立ち上がるものであるので、車両1の高
さまで立ち上がる第1〜第3の実施例のものに比べ、先
頭部3の車両胴部4から前方途中部分にまで設けられる
運転室21が、車両1の通常高さ程度にされても、この
運転室21内の運転席からの視界を遮りにくくすること
ができるし、分流ひれ5が先頭部3との対向気流を上向
きに排除するように案内するときに発生する縦渦の解放
時期を早めて、この縦渦の強さを適度に抑えるように調
整することができる。
【0049】また、先頭部3の後方の胴部から前方途中
までに設けられる前記運転室21が、上方へこぶ状に膨
らんだ状態に設けてあるため、運転室21内の運転席の
位置が通常よりも高くなるので、分流ひれ5があっても
運転席からの視界を確保しやすくすることができるし、
先頭部3が後尾状態となったとき、ボンネット面での空
気流が剥がれにくくなるようにすることができる。
【0050】本実施例では、運転室21の設置高さが通
常よりも高く、分流ひれ5が車両1の高さよりも低くい
ので、運転席からの視界の確保が格段に容易である。
【0051】本実施例での前記各構成は、前記第1〜第
3の各実施例にも同様に適用することができる。
【0052】
【発明の効果】本発明の高速列車を編成する先頭車両の
先頭形状によれば、先頭部の両側の、車両胴部と面一状
態で先頭部から上方に延び出した分流ひれにより、車両
の胴部幅内で対向する空気を、胴部幅外の空気とそれぞ
れを乱すことなく分流して、先頭部の上面との間の凹部
内に抱き込むようにして受入れ、これを先頭部上面の車
両底部から後方に傾斜した立上がり形状に沿って空気を
乱すことなく上方に排除し、先頭部の前記前端縁が対向
する空気を掬い上げる働きをするのと、平面より見てほ
ぼ2次元状か3次元形状で対向する空気を両側に排除し
ないこととによって、車両の左右両側に排除する空気を
ほとんど無くして対向空気の流線が平面より見て車両の
左右両側へ湾曲状態で膨らむのを回避し、すれ違い時の
衝撃力を低減し、かつ微気圧波の発生をなくすことがで
きるし、対向する空気のほとんどを上方へ排除するので
負の揚力を大きく発生させて車輪の粘着力を格段に向上
することができる。すなわち、トンネル内での列車上方
の空間は広いので上方に排除した空気はスムーズになが
れ、トンネル壁や防音壁と先頭車両が左右に排除して作
る空気流が干渉しにくく、かつトンネル内で先頭車両が
押し出す空気流の量を少なくすることができるのと相ま
って、トンネル内や防音壁のある所での微気圧波の発生
を軽減することができる。したがって、さらなる高速化
と軽量化に貢献できる。また、先頭部が後尾状態となっ
たとき、前記左右一対の分流ひれにより、縦渦を左右一
対安定して発生させてカルマン渦状の交番渦の発生を抑
制し、圧力抵抗の低減と同時に、車両の左右の振動を低
減し乗り心地を良くすることができる。また、積雪を左
右にはね飛ばす空力的除雪作用も期待できる。
【0053】先頭部が、中央部から両側部分に向け低く
なり、かつ前端部から後方へほぼ流線形状で立ち上がる
形状であると、左右両側の分流ひれの間に受入れる空気
による空力抵抗を低減することができる。
【0054】分流ひれが先頭部の両側で前方へ延び出す
前方延び出し部を有していると、先頭部が車両底部近傍
で分流ひれの前端部よりも前方に突出し対向空気を左右
に排除しても、これを受止め、上方に排除するので、前
記すれ違い特性の向上、および負の揚力の増大に有利に
なる。分流ひれの前端部が先頭部の前端部よりも前方に
突出していると、対向空気の分流ひれによる上方への排
除をさらにスムーズにかつ確実に行うことができる。
【0055】さらに分流ひれは、車両底部に位置する前
端部から後方へ車両の高さ位置まで立ち上がるものであ
ると、車両の全高において、前記対向気流の車両胴部幅
外の空気と分流した抱き込み特性を発揮し、かつ無駄な
突出により余分な抵抗が生じるのを防止することができ
る。また、分流ひれが、車両の高さ位置近くまで立ち上
がるものであると、車両の高さまで立ち上がるものに比
べ、先頭部の車両胴部から前方途中部分にまで設けられ
る運転室からの視界を遮りにくくすることができるし、
先頭部との対向気流を上向きに排除するように案内する
ときに発生する縦渦の解放時期を早めて、この縦渦の強
さを適度に抑えるように調整することができる。
【0056】また分流ひれの立上がりが流線形状である
と、分流ひれの対向空気との空力抵抗を最小に軽減する
ことができる。
【0057】前記各場合において、先頭部の後方の胴部
から前方途中までに上方へこぶ状に膨らんだ運転室を設
けると、運転室内の運転席の位置が高くなるので分流ひ
れがあっても視界を確保しやすくすることができるし、
先頭部が後尾状態となったとき、ボンネット面での空気
流が剥がれにくくなるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての高速列車を編成
する先頭車両の先頭形状を示す側面図および平面図であ
る。
【図2】図1の先頭形状を示す斜視図である。
【図3】図1、図2に示す先頭形状の解析図である。
【図4】本発明の第2の実施例としての高速列車を編成
する先頭車両の先頭形状を、第3の実施例とともに示す
側面図および平面図である。
【図5】図4に示す先頭形状の解析図である。
【図6】本発明の第4の実施例としての高速列車を編成
する後部車両の後端部を示す側面図および平面図であ
る。
【図7】先頭形状と対向空気の流線との関係の実験結果
を、本発明の第2の実施例の場合と従来の場合とを比較
して示す説明図である。
【図8】本発明の第5の実施例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 先頭車両 2 前端部 3 先頭部 4 胴部 5、14 分流ひれ 6 前端部 7 前端縁 21 運転室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 由川 透 東京都千代田区丸の内一丁目6番5号 東 日本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 古田 良介 東京都千代田区丸の内一丁目6番5号 東 日本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 堀江 冨士雄 大阪府東大阪市稲田新町3丁目9番60号 近畿車輛株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両底部に位置する前端部から後方へ傾
    斜して立ち上がる先頭部の左右両側に、先頭部の後方に
    続く車両胴部の側面と面一状態で先頭部から上向きに延
    び出した分流ひれを設け、左右の分流ひれの前端部に続
    く先頭部の前端縁を平面より見てほぼ2次元状か3次元
    形状にしたことを特徴とする高速列車を編成する先頭車
    両の先頭形状。
  2. 【請求項2】 先頭部は、中央部から両側部分に向け低
    くなり、かつ前端部から後方へほぼ流線形状で立ち上が
    る形状である請求項1に記載の高速列車を編成する先頭
    車両の先頭形状。
  3. 【請求項3】 分流ひれは先頭部の両側で前方へ延び出
    す前方延び出し部を有している請求項1、2のいずれか
    に記載の高速列車を編成する先頭車両の先頭形状。
  4. 【請求項4】 分流ひれの前端部は先頭部の前端部より
    も前方に突出している請求項1〜3のいずれかに記載の
    高速列車を編成する先頭車両の先頭形状。
  5. 【請求項5】 分流ひれは車両底部に位置する前端部か
    ら後方へ車両の高さ位置まで立ち上がる形状である請求
    項1〜4のいずれかに記載の高速列車を編成する先頭車
    両の先頭形状。
  6. 【請求項6】 分流ひれは車両底部に位置する前端部か
    ら後方へ車両の高さ位置近くまで立ち上がる形状である
    請求項1〜4のいずれかに記載の高速列車を編成する先
    頭車両の先頭形状。
  7. 【請求項7】 分流ひれは前端部から後方に流線形状で
    立ち上がる形状である請求項5、6のいずれかに記載の
    高速列車を編成する先頭車両の先頭形状。
  8. 【請求項8】 先頭部の後方の胴部から前方途中までに
    上方へこぶ状に膨らんだ運連室を設けた請求項1〜7の
    いずれかに記載の高速列車を編成する先頭車両の先頭形
    状。
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