JPH07323590A - サーマルヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】高速印字を行う場合であっても、記録媒体に所
望する印字画像を形成することが可能なサーマルヘッド
を提供する。 【構成】直方体状を成す電気絶縁性基板１の上面と端面
との間に面取り部１ａを形成し、該面取り部１ａ上で前
記端面と面取り部１ａとが交差する角部近傍に、表面に
発熱抵抗体３及び一対の導電層４を被着させた幅狭の蓄
熱層２を被着させて成り、前記面取り部１ａ及び蓄熱層
２を記録媒体６に摺接させて記録媒体６に印字を行うよ
うにする。これにより、高速印字を行う際、電気絶縁性
基板１から外部に放散される熱量に比し、発熱抵抗体３
の発する熱量が多くなることに起因して電気絶縁性基板
１が過度に高温になろうとしてもその熱の一部が面取り
部１ａを介して記録媒体６側に伝導されて高温となるこ
とはなく、電気絶縁性基板１の温度は常に印字に適した
温度となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ワードプロセッサやフ
ァクシミリ等のプリンタ機構に組み込まれるサーマルヘ
ッドの改良に関する。

【０００２】

【従来技術】従来、ワードプロセッサ等のプリンタ機構
に組み込まれるサーマルヘッドは、図３に示す如く、ア
ルミナセラミックス等から成る電気絶縁性基板１１の端
部に面取り部１１ａを形成するとともに、該面取り部１
１ａの全域にわたりガラス等から成る蓄熱層１２を被着
させ、更にこの蓄熱層１２上に窒化タンタル等から成る
発熱抵抗体１３とアルミニウム等から成る一対の導電層
１４とを順次被着させた構造を有しており、インクリボ
ン１５、感熱紙等の記録媒体を発熱抵抗体１３が被着さ
れている電気絶縁性基板１１の端部に接触させた状態で
前記一対の導電層１４間に所定の電力を印加し、発熱抵
抗体１３を選択的にジュール発熱させるとともに、該発
熱した熱を記録媒体に伝導させ、インクリボン１５のイ
ンクを記録紙１６に転写し、或いは、感熱紙を発色させ
る等してこれら記録媒体に所定の印字画像を形成するこ
とによってサーマルヘッドとして機能する。

【０００３】尚、前記蓄熱層１２は発熱抵抗体１３の発
した熱の一部を蓄積してサーマルヘッドの熱応答特性を
良好になすためのものであり、直方体状を成した電気絶
縁性基板１１の端部に研磨等によって面取り部１１ａを
形成した後、該面取り部１１ａの全域にわたり所定量の
ガラスペーストをスクリーン印刷等によって塗布すると
ともにこれを高温で焼成することによって電気絶縁性基
板１１端部の面取り部１１ａに被着形成される。

【０００４】またかかるサーマルヘッドは、加熱溶融し
たインクをインクリボン１５より即座に剥離させて記録
媒体に高品質の印字画像を形成することができるよう
に、蓄熱層１２が被着されている電気絶縁性基板１１の
端部１１ａのみを記録媒体に接触させるようにしてい
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来のサーマルヘッドにおいては、印字時、発熱抵抗体１
３の被着されている電気絶縁性基板１１の端部１１ａの
みが記録媒体１５に接触することから、発熱抵抗体１３
の発した熱の一部は電気絶縁性基板１１の端部を介して
記録媒体に伝導され印字に寄与するものの、残りの熱の
多くは電気絶縁性基板１１に蓄積されることとなる。こ
のため、発熱抵抗体１３の発熱量をより多くしてサーマ
ルヘッドを短時間で所定の温度に立ち上げる高速印字を
行った場合、電気絶縁性基板１１から外部に放散される
熱量に比し、発熱抵抗体１３の発する熱量が極めて多く
なることから電気絶縁性基板１１が高温になり、その結
果、記録媒体に不要な印字画像が形成されるという欠点
を有していた。

【０００６】

【発明の目的】本発明は上記欠点に鑑み案出されたもの
であり、その目的は、高速印字を行う場合であっても、
記録媒体に所望する印字画像を形成することが可能なサ
ーマルヘッドを提供することにある。

【０００７】

【問題点を解決するための手段】本発明のサーマルヘッ
ドは、直方体状を成す電気絶縁性基板の上面と端面との
間に面取り部を形成し、該面取り部上で前記端面と面取
り部とが交差する角部近傍に、表面に発熱抵抗体及び一
対の導電層を被着させた幅狭の蓄熱層を被着させて成
り、前記面取り部及び蓄熱層を記録媒体に摺接させて記
録媒体に印字を行うことを特徴とする。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付した図面に基づ
いて詳細に説明する。

【０００９】図１は本発明のサーマルヘッドの一実施例
を示す斜視図、図２は図１のＸ−Ｘ線断面図であり、１
は電気絶縁性基板、１ａは電気絶縁性基板１の面取り
部、２は蓄熱層、３は発熱抵抗体、４は導電層、５は駆
動用ＩＣ、６はインクリボン、７は記録紙である。

【００１０】前記電気絶縁性基板１は直方体状を成して
おり、上面と端面との間に所定の面取り部１ａ（幅：３
００〜１０００μｍ）を有している。

【００１１】前記電気絶縁性基板１は、アルミナセラミ
ックス等の電気絶縁性材料から成っており、アルミナ、
シリカ、マグネシア等のセラミックス原料粉末に適当な
有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状となすとともにこ
れを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール
法等を採用することによってセラミックグリーンシート
を形成し、しかる後、前記セラミックグリーンシートを
直方体形状に打ち抜き加工を施すとともにこれを高温
（約１６００℃）で焼成し、更にその上面と端面との間
にダイアモンド砥石を用いて研磨を施し３００〜１００
０μｍ幅の面取り部１ａを形成することによって製作さ
れる。

【００１２】また前記電気絶縁性基板１の面取り部１ａ
上で前記端面と面取り部１ａとが交差する角部近傍に、
表面に発熱抵抗体３及び一対の導電層４を被着させた幅
狭の蓄熱層２が２５〜４０μｍの厚みをもって帯状に被
着されており、該蓄熱層２及び面取り部１ａを、図２の
矢印方向に移動するインクリボン６等に摺接させること
によって記録媒体に印字が行われる。

【００１３】前記蓄熱層２はガラス等から成っており、
後述する発熱抵抗体３の発する熱の一部を吸収し蓄積す
ることによってサーマルヘッドの熱応答特性を良好なも
のとする作用を為す。

【００１４】また前記蓄熱層２は、面取り部１ａ上で電
気絶縁性基板１の端面と面取り部１ａとが交差する角部
近傍に前記面取り部１ａよりも幅狭に被着されているこ
とから、発熱抵抗体３の発熱量をより多くしてサーマル
ヘッドを短時間で所定の温度に立ち上げる高速印字を行
う際、電気絶縁性基板１から外部に放散される熱量に比
し、発熱抵抗体３の発する熱量が多くなることに起因し
て電気絶縁性基板１が過度に高温になろうとしてもその
熱の一部が面取り部１ａを介して記録媒体側、具体的に
は記録媒体や該記録媒体をその背後から支持するプラテ
ン（不図示）等に伝導されて高温となることはなく、そ
の結果、電気絶縁性基板１の温度は常に印字に適した温
度となり、記録媒体に不要な印字の発生を皆無として所
望する印字画像のみを形成することが可能となる。

【００１５】またインクリボン６や記録紙７はサーマル
ヘッドに対し、図２の矢印方向に移動しながら印字を行
うようになっており、電気絶縁性基板１の面取り部１ａ
は発熱抵抗体３等が被着されている蓄熱層２より先に記
録媒体と面当接して摺接するため、電気絶縁性基板１端
部の蓄熱層２に摺接されるインクリボン６等は面取り部
１ａを介して伝導される熱によって予め温められること
となり、面取り部１ａの温度に応じて発熱抵抗体３への
印加電力量を小さくし、サーマルヘッドの熱効率を向上
させることも可能となる。

【００１６】尚、前記蓄熱層２は、例えばガラスから成
っている場合、ガラス粉末に適当な有機溶媒、溶剤を添
加混合して得たガラスペーストを、電気絶縁性基板１の
面取り部１ａ上で前記端面と面取り部１ａとが交差する
角部近傍に面取り部１ａより幅狭に塗布するとともに、
該ガラスペーストを高温で焼成することによって電気絶
縁性基板１の面取り部１ａに被着形成される。

【００１７】尚、この場合、電気絶縁性基板１上に塗布
されるガラスペーストが面取り部１ａより幅狭であるこ
とから、電気絶縁性基板１端部を研磨することによって
形成される面取り部１ａの幅が不均一であっても、ガラ
スペーストの幅が該ペーストの表面張力によって面取り
部１ａの幅と同じ長さに規制されることはなく、一定
幅、一定厚みのガラスペーストを面取り部１ａに塗布す
ることができるようになる。この結果、蓄熱層２の厚み
も均一なものとなり、記録媒体に濃淡むらのない良好な
印字画像を形成することが可能となる。

【００１８】前記蓄熱層２の上面には更に、複数個の発
熱抵抗体３及び間に一定の間隔をもった一対の導電層４
が順次被着されている。

【００１９】前記発熱抵抗体３は例えば窒化タンタル等
から成り、それ自体が所定の電気抵抗率を有しているた
め、一対の導電層４を介して電力が印加されるとジュー
ル発熱を起こし、印字画像を形成するに必要な温度、例
えば２５０〜４００℃の温度に発熱する。

【００２０】また、前記発熱抵抗体３上に被着されてい
る一対の導電層４はアルミニウム等の金属から成り、該
導電層４は発熱抵抗体３にジュール発熱を起こさせるた
めに必要な所定の電力を印加する作用を為す。

【００２１】尚、前記蓄熱層２上に被着される発熱抵抗
体３及び一対の導電層４は、従来周知のスパッタリング
法等を採用することにより蓄熱層２上に所定の厚みをも
って被着され、更にフォトリソグラフィー技術を採用す
ることによって所定パターンに加工される。

【００２２】前記発熱抵抗体３、一対の導電層４は、更
にその表面が窒化珪素等から成る保護層８によって覆わ
れており、該保護層８は発熱抵抗体３及び一対の導電層
４を記録媒体との摺接による摩耗や大気中に含まれる水
分等の接触による腐食から保護する作用を為す。

【００２３】前記発熱抵抗体３等を被覆する保護層８
は、従来周知のスパッタリング法等を採用することによ
って発熱抵抗体３や一対の導電層４等の上面に所定の厚
みをもって被着形成される。

【００２４】また前記面取り部１ａに蓄熱層２、発熱抵
抗体３等が被着された電気絶縁性基板１の上面には、駆
動用ＩＣ５が実装されており、該駆動用ＩＣ５は電気絶
縁性基板１の面取り部１ａより引き出された導電層４の
一方と半田等のロウ材を介して電気的に接続されてい
る。

【００２５】前記駆動用ＩＣ５は外部電気信号を制御し
て発熱抵抗体３を選択的にジュール発熱させる作用を為
す。

【００２６】前記面取り部１ａに発熱抵抗体３、一対の
導電層４等が被着され、上面に駆動用ＩＣ５が実装され
た電気絶縁性基板１は更に、アルミニウム等の良熱伝導
性材料から成る支持体１０上に載置されており、これに
よって支持体１０の上面で電気絶縁性基板１を支持する
ようになっている。

【００２７】かくして上述したサーマルヘッドは、イン
クリボン６や感熱紙等の記録媒体を発熱抵抗体３が被着
された蓄熱層２及び電気絶縁性基板１の面取り部１ａの
両者に接触させた状態で前記一対の導電層４間に所定の
電力を印加し、発熱抵抗体３を選択的にジュール発熱さ
せるとともに、該発熱した熱を記録媒体に伝導させ、イ
ンクリボン６のインクを記録紙７に転写し、或いは、感
熱紙を発色させる等してこれら記録媒体に所定の印字画
像を形成することによってサーマルヘッドとして機能す
る。

【００２８】尚、本発明は上述の実施例に限定されるも
のでは無く、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種
々の変更、改良等が可能である。

【００２９】

【発明の効果】本発明のサーマルヘッドにおいては、直
方体状を成す電気絶縁性基板の上面と端面との間に面取
り部を形成し、該面取り部上で前記端面と面取り部とが
交差する角部近傍に、表面に発熱抵抗体及び一対の導電
層を被着させた幅狭の蓄熱層を被着させて成り、前記面
取り部及び蓄熱層を記録媒体に摺接させて記録媒体に印
字を行うようにしたことから、発熱抵抗体の発熱量をよ
り多くしてサーマルヘッドを短時間で所定の温度に立ち
上げる高速印字を行う際、電気絶縁性基板から外部に放
散される熱量に比し、発熱抵抗体の発する熱量が多くな
ることに起因して電気絶縁性基板が過度に高温になろう
としてもその熱の一部が面取り部を介して記録媒体側、
具体的には記録媒体や該記録媒体をその背後から支持す
るプラテン等に伝導されて高温となることはなく、その
結果、電気絶縁性基板の温度は常に印字に適した温度と
なり、記録媒体に不要な印字の発生を皆無として所望す
る印字画像のみを形成することが可能となる。

【００３０】また本発明のサーマルヘッドにおいては、
印字に際して面取り部が蓄熱層より先に記録媒体に摺接
することから、電気絶縁性基板端部の蓄熱層に摺接され
る記録媒体は面取り部を介して伝導される熱によって予
め温められることとなり、面取り部の温度に応じて発熱
抵抗体への印加電力量を小さくし、サーマルヘッドの熱
効率を向上させることも可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のサーマルヘッドの一実施例を示す斜視
図である。

【図２】図１のＸ−Ｘ線断面図である。

【図３】従来のサーマルヘッドの断面図である。

【符号の説明】

１・・・電気絶縁性基板 １ａ・・・面取り部 ２・・・蓄熱層 ３・・・発熱抵抗体 ４・・・一対の導電層 ５・・・駆動用ＩＣ ６・・・インクリボン ７・・・記録紙 ８・・・保護層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】直方体状を成す電気絶縁性基板の上面と端
   面との間に面取り部を形成し、該面取り部上で前記端面
   と面取り部とが交差する角部近傍に、表面に発熱抵抗体
   及び一対の導電層を被着させた幅狭の蓄熱層を被着させ
   て成り、前記面取り部及び蓄熱層を記録媒体に摺接させ
   て記録媒体に印字を行うことを特徴とするサーマルヘッ
   ド。