JPH0732252A - ワーク自転型研削加工方法、ワーク自転型研削盤及びシリコンウェハ並びにセラミック基板 - Google Patents

ワーク自転型研削加工方法、ワーク自転型研削盤及びシリコンウェハ並びにセラミック基板

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JPH0732252A
JPH0732252A JP5181071A JP18107193A JPH0732252A JP H0732252 A JPH0732252 A JP H0732252A JP 5181071 A JP5181071 A JP 5181071A JP 18107193 A JP18107193 A JP 18107193A JP H0732252 A JPH0732252 A JP H0732252A
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work
grinding
rotation
rotating
shaft
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JP5181071A
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English (en)
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Hideo Yamakura
英雄 山倉
Toshio Tamura
利夫 田村
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】ワーク自転型インフィード研削加工において、
従来の加工法でワーク表面に生じる窪みを低減し、加工
後のワークの形状精度(平面度)を向上する。 【構成】ワーク自転型インフィード研削加工において、
所要の減速機を設け、ワーク回転軸7の回転数を40r/
min以下の安定した低速回転にすることにより、ワー
ク加工時に生じる回転中心部と外周部の研削力(法線分
力)の差を小さくし、ワーク表面に生じる窪みを低減す
ることで形状精度を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はワーク自転型研削加工方
法及びワーク自転型研削盤に係り、特に非常に高い平面
度を研削加工により実現したシリコンウェハやセラミッ
ク基板に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体の基板として用いられているシリ
コンウェハの素子を形成する面においては、非常に高い
表面粗さ、平面度、厚み精度(TTV:Total thicknes
sVariation)等の精度が要求されている。特に、シリコ
ンウェハの平面度・厚み精度は、その精度が低いと、後
工程であるフォトリソ工程においての解像度が低下し、
パターンが不鮮明になる。また、半導体の高集積化に伴
い、シリコンウェハにおいてはより一層高い平面度・厚
み精度が要求されている。
【0003】(1)現在行われているシリコンウェハ素
子面の平面加工技術の一つを簡単に説明する。 両面ラッピング エッチング 1次研磨(片面ポリッシング) 2次研磨(片面ポリッシング) シリコンウェハは、インゴットを引き上げた後、外周部
を研削加工し、内周スライサにより薄板状に切断する。
この切断時のシリコンウェハ素子面の表面粗さは粗く、
このために3段階の研磨が行われる。始めに、平面度
・厚み精度を向上するために、両面ラッピングが行われ
る。両面ラッピング装置は、向かい合わせた上下2枚の
定盤(主に鋳鉄製)の間にキャリアと呼ばれるワークを
回転・移動させるための板を配置し、このキャリアにワ
ークであるシリコンウェハを置く構造となっている。加
工時には、上下の定盤とキャリアを回転駆動させ、定盤
間に一定の圧力をかけ、砥粒を含んだ研磨液を介在させ
ることでワーク表面を加工する。この両面ラッピングの
工程により、シリコンウェハ素子面の平面度を出し、厚
みのムラをなくす。
【0004】両面ラッピングでは、加工能率を向上す
るため、粗い砥粒を用いて加工するため、加工した表面
は粗く、加工変質層(クラック層)が深い。そこで、こ
の加工変質層を取り除くため、アルカリ性溶液によりエ
ッチングを行う。
【0005】エッチング後のシリコンウェハ素子面
の表面は、加工変質層はないが、表面粗さは粗いため、
加工変質層が非常に小さい機械加工法であるポリッシン
グを2回にわけて行う。ポリッシング加工機(ポリッシ
ング盤)は、回転する定盤と、定盤にワークを押しつけ
るための加圧機構がおもな構成となっており、回転駆動
できる定盤にクロスと呼ばれる布系の工具を貼る。加工
法としては、ワークホルダーに貼り付けたシリコンウェ
ハを一定圧力で定盤に押しつけ、ワークホルダー・定盤
ともに回転駆動し、クロスに研磨剤を供給することでシ
リコンウェハの片面を加工する。
【0006】この2回のポリッシングにより、シリコン
ウェハの表面をナノメートルオーダの表面粗さに仕上
る。
【0007】(2)一方、従来技術(1)のラッピング
加工をなくし、研削加工だけでセラミックスの表面を仕
上げ、効能率・高精度化を図るという超精密研削加工技
術の著しい発展が知られている。この研削加工技術は以
下に示す通りのものである。
【0008】セラミックス部品を加工する場合、一般に
ダイヤモンド砥石を用いた研削加工が用いられ、なかで
も比較的大きなセラミックス部品の平面を加工する場
合、カップ型砥石を用いたワーク自転型インフィード研
削による平面研削加工法が用いられる。この平面研削加
工法は、同じカップ型砥石を用いたワーク公転型インフ
ィード研削法(ロータリー研削)や平型砥石を用いた横
軸の平面研削法(トラバース研削)と比較し、加工時の
ワークと砥石との接触面積の変化量が小さいため加工時
の研削力の変化が少なく、ワークのエッジがだれないた
め、加工したワークの形状精度(平面度)が高いことを
特徴としており、高い形状精度(平面度)が要求される
セラミックス部品の加工に用いられている。この平面研
削加工法の構成図を図1に示す。
【0009】主な構造を以下に説明する。ワーク(ワー
ク)6を支持するワーク回転軸(ワーク回転軸)7と、
ワーク回転軸(ワーク回転軸)7を回転させるワーク回
転用モータ(ワーク回転軸用モータ)8と、ワーク(ワ
ーク)6を研削加工するカップ型砥石(ダイヤモンド砥
石)1と、カップ型砥石(ダイヤモンド砥石)1が装着
される研削砥石軸2と、研削砥石軸2を回転させる研削
砥石軸用モータ3と、研削砥石軸2をワーク(ワーク)
6の被加工面の法線方向へ往復運動する切り込みテーブ
ル4と、切り込みテーブル4を駆動するための切り込み
テーブル用モータ5とを有する。
【0010】加工部の拡大図を図2、図3に示す。ワー
ク自転型インフィード研削では、研削砥石1の作業面
(加工に関与する砥石面)がワーク回転軸7の回転中心
上を通る構造となっており、加工面積の大きいワーク6
を加工する場合、ワーク回転軸7の回転中心にワーク6
を取り付けて加工を行う。
【0011】ワーク自転型インフィード研削加工法にお
ける加工条件として、 ・研削砥石軸回転数 2000〜6000r/min ・ワーク回転数 100〜600r/min ・切り込み速度 0.5〜20μm/min というものが「電界インプロセスドレス鏡面研削加工に
ついて」(不二越技報VOL.46 No1(1990) 通巻103号)に
記載されている。
【0012】(3)以上説明したように、ワークを平面
に仕上げるものとして、(1)両面ラッピング、エ
ッチング1次研磨(片面ポリッシング)2次研磨
(片面ポリッシング)の工程によるもの(以下、ラッピ
ング加工等という)、(2)ワーク自転型インフィード
研削加工に係るものが知られている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術(1)の
ラッピング加工等では両面ラッピング・片面ポリッシン
グ工程において、定盤との摺り合わせにより生じる圧力
の高い部分が優先的に加工されるが、ワーク表面に定盤
の形状が転写される圧力転写原理に基づいた加工法であ
るため、加工後のワークの平面度を向上させるには主に
定盤の平面度を向上する必要がある。しかし、両面ラッ
ピングを行う定盤は、1mを超える大きさであり、定盤
の平面度を高精度に測定することは難しく、定盤の形状
を保つことは困難である。
【0014】また、このラッピング等によるシリコンウ
ェハの加工においては、両面ラッピングにより平面度・
厚み精度の向上を図り、片面ポリッシングにより表面粗
さの向上を図っているが、両面ラッピングは、圧力転写
原理に基づいた加工法であるため、加工後の平面度をサ
ブミクロンオーダにすることは困難であり、片面ポリッ
シングの工程では、工具として軟らかいクロスを使用す
るためシリコンウェハの平面度は、両面ラッピング時よ
りも劣化してしまう。これは、片面ポリッシングでの取
り代が多ければ多いほど顕著に表れる。各工程での取り
代と平面度を下記に示す。 両面ラッピング 平面度:1〜2μm 1次ポリッシング 取り代:10〜20 平面度:1.5〜3μm 2次ポリッシング 取り代:1〜3 平面度:1.5〜3μm 以上説明したように、現在行われている加工工程では、
シリコンウェハの平面度をサブミクロンオーダにするこ
とは困難である。
【0015】一方、従来技術(2)の研削加工に係る技
術は、以下のような問題がある。
【0016】即ち、ワーク自転型インフィード研削加工
法では、加工したワーク表面において、ワーク軸の回転
中心部分に数μmから10μmの深さの窪み(原因について
は後述する)が生じるため、形状精度が悪くなる。従来
のセラミックス加工では研削により粗加工をした後、ラ
ッピング(ポリッシング)により表面を仕上げることを
前提として、仕上げ加工であるラッピング,ポリッシン
グの加工代を大きくしていたため、この中心部の窪みに
対しては要求精度が高くなく、問題はなかったが、サブ
ミクロンオーダ及び数十ナノメートルオーダの形状精度
が要求される場合には、この窪みによる形状精度の劣化
は大きな問題となる。
【0017】この窪みをなくすために、これまで次の2
つの解決策が取られている。 1.揺動運動を加える。 2.砥石を偏心させる。
【0018】しかし、揺動運動の付加は、加工機に揺動
機能を加えなければならないことや揺動させることによ
り振動等が発生し、形状精度・表面粗さが悪くなるとい
う問題があるばかりか、中心部の窪みそのものの直径を
広げるだけで窪み深さhの減少に何ら寄与しない。ま
た、砥石の偏心加工では、砥石を偏心させることによ
り、砥石のバランスの崩れによる研削砥石回転時に振動
が発生し、表面粗さが悪くなるという問題がある。
【0019】本発明の第1の目的は、ワークの加工面の
平面度をサブミクロンオーダにするワーク自転型研削加
工方法を提供することにある。
【0020】本発明の第2の目的は、ワークの加工面の
平面度をサブミクロンオーダとし、かつ高能率のワーク
自転型研削加工方法を提供することにある。
【0021】本発明の第3の目的は、ワーク自転型イン
フィード研削盤において、セラミックス基板の研削加工
時に生じるワーク軸の回転中心部の窪みを簡単な構成に
より抑制する研削盤を提供することにある。
【0022】本発明の第4の目的は、加工面中心部に窪
みの極めて小さく、高い平面度を有するシリコンウェハ
を提供することを目的とする。
【0023】本発明の第5の目的は、加工面中心部に窪
みの極めて小さく、高い平面度を有するセラミック基板
を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、以下の手段を用いた。
【0025】上記第1の目的を達成するため、ワークを
自転させ、該ワークの加工対象面に回転するカップ型砥
石の作業面が接触し、加工を行なうワーク自転型研削加
工方法において、前記ワークの自転の回転数xを0<x
≦40r/minとして前記ワークを研削するようにし
た。
【0026】また、工具として高い形状精度でワークを
加工することができるカップ型メタルボンドダイヤモン
ド砥石を用いた。そして、表面粗さを向上するため、上
記砥石の砥粒切れ刃高さを高精度に揃えるツルーイング
法(特開平5−16070号公報)を用いた。
【0027】上記第2の目的を達成するため、ワークを
自転させ、該ワークの加工対象面に回転するカップ型砥
石の作業面が接触し、加工を行なうワーク自転型研削加
工方法において、前記ワークの自転の回転数xを1≦x
≦40r/minとして前記ワークを研削するようにし
た。
【0028】上記第3の目的を達成するため、ワークを
支持するワーク回転軸と、該ワーク回転軸を回転させる
ワーク回転用モータと、前記ワークを研削加工するカッ
プ型砥石と、該カップ型砥石が装着される研削砥石軸
と、該研削砥石軸を回転させる研削砥石軸用モータと、
該研削砥石軸を該ワークの被加工面の法線方向へ往復運
動する切り込みテーブルと、該切り込みテーブルを駆動
するための切り込みテーブル用モータとを有するワーク
自転型研削盤において、前記ワークを回転するための前
記ワーク回転軸の回転数xが0<x≦40r/minで
安定して回転するように100r/min以下の低速用
モータを設けたワーク自転型研削盤とした。又は低速用
モータの変わりに高速モータであってもワーク回転軸を
0<x≦40r/minの低速で安定して回転させるた
めワーク回転軸用モータの駆動力を減速器を介して伝達
するようにした。あるいは、低速用モータの駆動力を減
速器を介してワーク回転軸に伝達するようにした。
【0029】上記第4の目的を達成するため、本発明の
ワーク自転型回転研削方法を用いてウェハを研削加工
し、前記シリコンウェハの研削加工時にその中心部に生
じる窪みの深さhを0<h≦100nmとした。
【0030】上記第5の目的を達成するため、本発明の
ワーク自転型研削加工方法を用いてセラミック基板を研
削加工し、前記セラミック基板の研削加工時にその中心
部に生じる窪みの深さhを0<h≦100nmと、加工
後の平面度Fを0<F≦100nmとした。
【0031】
【作用】ワーク自転型の研削盤においてワークの加工面
の中心部に生じる窪み深さは、研削加工時の研削面の法
線方向の研削力によって生じるカップ型砥石のボンド材
の弾性変形量に起因し、窪み深さはボンド材の弾性変形
量に比例する。そのため、加工時の研削力がワークの内
周部に比較し外周部ほど大きくなるワーク自転型研削盤
ではワークの外周部を研削する砥石のボンド材の弾性変
形量が大きく加工したワークの中心部に窪みを生じる。
このワークの外周部と中心部の加工面の法線方向の研削
力はワーク回転軸の回転数が大きいほど拡大するためで
ある。
【0032】従って、ワーク自転型研削加工方法におい
て、前記ワークの自転の回転数xを0<x≦40r/m
inとして前記ワークを研削することで、ワークの外周
部と中心部との研削力の差を小さくしてワークの中心部
に生じる窪みを小さくした。また、ワークの自転の回転
数xを1≦x≦40r/minとして前記ワークを研削
することにより、ワークの外周部と中心部との研削力の
差を小さくすると共に、ワークの加工能率を向上させる
ことができる。
【0033】また、ワーク自転型研削盤において、前記
ワークを回転するための前記ワーク回転軸の回転数xが
0<x≦40r/minで安定して回転するように10
0r/min以下の低速用モータを設けたワーク自転型
研削盤としたことにより、ワークの外周部と中心部との
研削力の差を小さくしワークの中心部に生じる窪みを小
さくすることができる。このことは、低速用モータの変
わりに高速モータであってもワーク回転軸を0<x≦4
0r/minの低速で安定して回転させるようにワーク
回転軸用モータの駆動力を減速器を介して伝達するよう
にしても同様である。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。ま
ず、本発明の基本概念にも通じるワーク自転型研削加工
技術で問題となるワーク中心部に生じる窪みの発生メカ
ニズムについて説明する。そして、この窪みが生じる原
因として次のことが考えられる。 ・中心部と外周部の研削力の大きさの違いにより、砥粒
を支持するボンド材が弾性変形することの影響 ・回転中心と外周部の温度差による熱膨張の影響 ・砥粒が加工点を通過する割合が、外周部と比較して回
転中心部は多いことの影響 ・切り屑や脱落した砥粒が排出されず、表面をえぐるこ
とによる影響 ここでは、一番影響が大きいと考えられる中心部と外周
部の研削力の大きさの違いによる、ボンドの弾性変形の
影響について以下に説明する。
【0035】ワーク自転型インフィード研削加工法にお
いて、ワーク軸の回転中心上には、工具であるカップ型
砥石の作業面があたるように研削砥石軸とワーク軸の軸
間距離は設定される。ワーク軸の回転中心にワークを取
り付ける場合、ワーク加工時に、ワーク軸の回転中心に
は常に砥石作業面が当たることになる。ワーク自転型イ
ンフィード研削加工法において、ある微小な時間Δtを
考えると、Δtにおけるワークの除去体積は、ワークの
外周部ほど大きく、ワーク軸の回転中心部で小さくな
る。加工時の研削力(法線方向)は、ワーク除去体積に
比例すると考えられるため、ここの砥粒にかかる力(法
線方向)はワークの外周部ほど大きく、ワーク軸の回転
中心部で小さくなる。そして、砥粒を支持するボンド材
は弾性体であるため力が加わると変形する。したがっ
て、研削力の高いワーク外周部では砥粒を支持するボン
ド材の変形量が大きく、ワーク軸の回転中心部で小さく
なる。ボンド材の変形量が大きいと加工量が小さく、ボ
ンド材の変形量が小さいと加工量が大きくなるため、加
工後のワーク形状としては、外周部と比較し、回転中心
部が窪んだ形になる。
【0036】次に、ワークの外周部が中心部と比較し
て、研削力が大きくなる原因について述べる。
【0037】外周部の研削力の大きさの違いについて図
2,図3,図4を用いて説明する。
【0038】ワーク自転型インフィード研削では、図2
に示すようにワーク軸の回転中心にカップ型研削砥石1
の作業面の中心が当たる。図2において、砥石作業面の
両端の円弧をa,bとする。図3は、軸方向から見た加
工の概念図である。実際にはワーク6が回転するが、ワ
ーク6を固定したと仮定すると、ある微小時間Δtの間
に、カップ型研削砥石1の作業面はからに移動す
る。この時のカップ型研削砥石1の角度をθとすると、
微小時間Δtが一定の場合、θはワーク回転軸の回転数
に比例する。
【0039】次に、微小時間Δtの間にカップ型研削砥
石1が加工したワーク6の表面を考えると、円弧aと円
弧b’に挾まれた面積である。図4は、微小時間Δtの
間に研削砥石が除去するワーク表面の概念図である。前
述したように、微小時間Δtの間にワーク6の表面は円
弧aと円弧b’に挾まれた面積だけ加工される。ワーク
軸の回転中心から半径方向Xの位置にdXの微小長さを
考える。円弧aと円弧b’に挾まれたX+dXの位置の
円弧をYとすると、微小面積S2はYとdXの積にな
る。微小面積S2は、半径方向Xの位置の微小時間Δt
の間に加工される面積である。そして、S2はXに比例
することがわかる。また、S2はθに比例するため、ワ
ーク回転軸の回転数nに比例することがわかる。これに
対し、砥石の作業面に常に当たるワーク回転中心部の面
積S1(直径は砥石幅B)は、θが変化しても一定であ
るため、ワーク回転軸の回転数nに比例しないことがわ
かる。
【0040】前述したように、S2はXに比例するが、
XがB/2になるとS2=S1になる。したがって、微小
時間Δtの間に加工される面積はワークの外周部ほど広
く、中心部に近づくにつれて小さくなり、XがB/2に
なると急激に小さくなる。また、微小面積S2がワーク
回転軸の回転数nに比例することから、ワーク回転軸の
回転数nが高い場合に、回転中心部と外周部の加工され
る面積の差は拡大すると考える。
【0041】加工される面積と切り込み深さの積がワー
クの除去体積になる。加工時に生じる研削力(法線方
向)は、この除去体積に比例すると考えられる。したが
って、上記説明した事象を考え合わせると、研削砥石の
切れ刃(砥粒)が受ける研削力はワークの外周部ほど大
きく、中心部ほど小さいことが考えられる。そして、こ
の研削力の大きさの差は、ワーク回転軸の回転数nが高
いと拡大すると考えられる。
【0042】前述したように、法線方向の研削力は、砥
粒を支持するボンド材を弾性変形させる。そして、ボン
ド材の弾性変形量は研削力の大きさに比例する。したが
って、加工時の研削力がワークの外周部ほど大きく、中
心部ほど小さいワーク自転型インフィード研削では、加
工したワークの回転中心部に窪みが生じる。そして、上
記したように、ワークの外周部と中心部の研削力の大き
さの差は、ワーク回転軸の回転数nが高いと拡大すると
考えられるため、加工したワークの回転中心部に窪みの
深さは、ワーク回転軸の回転数nに比例する。
【0043】よって、ワーク回転軸の回転数を下げる
と、回転中心部の窪みを低減することができる。
【0044】しかし、従来は、以下に述べる理由により
ワーク回転軸の回転数を下げることは考えられていなか
った。
【0045】それはワーク自転型インフィード研削加工
法では、切り込み速度が一定の場合、ワーク回転数を速
くしたほうが、ワーク1回転あたりの切り込み深さが小
さくなり、研削砥石の実際の切れ刃である砥粒1個の切
り込み深さが小さくなる。そこで、ワーク回転数を速く
したほうが、同じ表面粗さを得る場合に切り込み速度を
高く設定でき、加工能率を高くできると考えられてい
る。したがって、ワーク公転型インフィード研削加工法
(ロータリー研削)のワーク回転数(数r/min)よ
りもワーク自転型インフィード研削加工法のワーク回転
数は高く設定される。つまり、ワーク自転型インフィー
ド研削加工法では、ワーク回転数は前述したごとく200
〜500r/min)を用いる場合が多かったためであ
る。
【0046】また研削加工では、研削砥石の形状を修正
するツルーイングという工程がある。研削加工における
加工面の粗さは、このツルーイング(ドレッシング)の
影響を大きく受ける。したがって、前述した超精密研削
加工においては、ラッピングと同程度以上の表面粗さに
セラミックスを仕上げるために、高精度なツルーイング
(ドレッシング)を行うことが必要である。インフィー
ド研削用研削盤におけるツルーイングでは、ツルーイン
グ用の砥石をワーク軸に取り付け、この砥石により研削
砥石を加工(ツルーイング)することが行われている。
このとき、ツルーイング用の砥石の回転数は高く設定し
たほうが良いと考えられる。また、一般にワーク自転型
インフィード研削用研削盤においては、ワーク軸回転数
を200〜500r/minの条件に設定して加工することが
多い。
【0047】以上のことから、インフィード研削用研削
盤のワーク軸の回転数としては、100〜2000r/min
程度のものが多い。したがって、これらの加工機の回転
軸として用いられているモータにおいては、加工時のよ
うに負荷がかかった状態では50r/min以下の低速回
転を安定に回転することは難しい。
【0048】このように、ワーク自転型インフィード研
削盤に用いるワーク回転軸に関しては、従来、このよう
な研削加工がワーク回転数300r/min前後で行われ
ているため、50r/min以下の低速回転を安定に回転
するワーク軸が無かった。
【0049】本発明は、上記した窪みの発生メカニズム
の解明による知見に基づきなされたものであり、ワーク
自転型インフィード研削加工法において、ワーク軸の回
転数を40r/min以下の低速回転に設定し、ワークを
加工することにより、上記回転中心部に生じる窪みを10
0nm以下に抑制したものである。したがって、この方
法により加工すれば、サブミクロンオーダの平面度にワ
ークを加工することができる。また、ワーク軸の回転数
によっては、数十ナノメートルオーダの平面度にワーク
を加工することもできる。
【0050】以下、本発明を具体的構成に基づき説明す
る。まず、本発明のワーク自転型研削盤の構成について
以下に述べる。ワーク軸に低速回転用モータを用いるこ
とが必要である。しかし、前述したように、研削砥石の
ツルーイング時にはツルーイング用の砥石をワーク軸に
取り付けることが多く、このときのツルーイング用砥石
回転数としては、1000r/min以上の高い回転数を用
いたほうが良い。したがって、上記加工を行うための研
削盤としては、ワーク回転軸が40r/min以下の低速
回転と、1000r/min以上の高速回転が安定に回転す
ることが望ましい。このための高・低速回転用ワーク軸
の構造と各部の作用を以下に示す(図5)。
【0051】静圧空気軸受により支えられたワーク軸回
転部7は、ワークを取り付け、回転する部分であり、こ
れに回転駆動源である高速回転用モータ9(ACインバ
ータモータ)を取り付けることでワーク軸回転部7を10
00r/min以上の高速回転することができる。そし
て、高速回転用モータ9にはクラッチ10が取り付け
る。高速回転時にはバネ11によりクラッチ10は隙間
Hだけ切り離されており、高速回転用モータ9の回転駆
動力はワーク軸回転部7にだけ伝えられる。低速回転時
には、エア供給部12に圧縮エアを供給することでバネ
11により切り離されているクラッチ10を押しつける
ことで、クラッチ10をつなげる。そして、減速機15
の取り付いた低速回転用モータ(ACサーボモータ)1
4の回転駆動力をベルト13を介することでクラッチ1
0に伝え、ワーク軸回転部7を低速回転で回転する。
【0052】以上の作用により、ワーク回転軸は40r/
min以下の低速回転と、1000r/min以上の高速回
転が安定に回転する。
【0053】次に、本発明の適用事例に基づき説明す
る。 実施例1:光学ガラスの超精密研削加工 本発明の実施例を図6,図7により説明する。一般に、
平面度を測定するために用いられるガラス製のオプチカ
ルフラットは、平面度測定時に参照面として用いられる
ことから、最高精度のオプチカルフラット(AA級)で
は100nm以下の平面度が要求される。また、表面粗さ
についても、ナノメートルオーダの表面粗さが要求され
る。現在、これらのオプチカルフラットは、研磨加工
(ラッピング・ポリッシング)と測定を繰り返すことに
よりその平面度を得ている。したがって、これらの加工
には、数時間から、精度によっては数日という加工時間
がかかっていた。
【0054】本実施例ではこのオプチカルフラットの超
精密研削加工について以下に説明する。
【0055】オプチカルフラットを研削加工する場合、
高い平面度を要求されることから、ワーク自転型インフ
ィード研削加工法が加工法として適している。しかし、
前述したように、この加工法では加工後のワーク表面の
ワーク回転軸回転中心部に、窪みが発生するため、良好
な平面度を得ることは難しかった。
【0056】上記したワーク回転軸回転中心部の窪み
は、ワーク軸の回転数の影響を受けることに注目し、ワ
ーク回転軸回転中心部の窪みを低減するために、以下の
構造を持つ加工機を用いた。
【0057】加工機としては、図6に示すようなカップ
型砥石を用いる横型のインフィード研削盤を用いた。主
な構造としては、グラナイトのベッド16上に、研削砥
石軸2とワーク回転軸7が乗っており、研削砥石軸2は
送りテーブル17上に、ワーク回転軸7は切り込みテー
ブル4上に配置されている。また、ツルーイング砥石軸
を兼ねたワーク軸7は図5に示す高・低速回転軸となっ
ている。また、ツルーイング時に砥粒切れ刃高さを測定
するための触針式の表面粗さ計と砥粒切れ刃高さを観察
するための顕微鏡が測定テーブル上に配置されている。
この加工機を用い、光学ガラスであるBK7(φ60mm
×10mm)を研削加工した。この光学ガラスBK7加工
時のワーク回転軸の回転数と加工後のワークの平面度・
ワーク回転軸回転中心部の窪みの関係を図7に示す。こ
の時の加工条件を下記に示す。ただし、研削砥石のツル
ーイングに関しては特許(特開平5−16070号公
報)記載のツルーイング法を行い、砥粒切れ刃高さを揃
えた砥石により加工した。 ・加工機 横型ワーク自転型インフィード研削盤 ・研削砥石 カップ型メタルボンドダイヤモンド砥石 SD1500N75M(φ160mm、砥石幅2mm) ・研削砥石軸回転数 5000r/min ・ワーク軸回転数 5r/min〜100r/min ・切り込み速度 1,0.1μm/min ・ワーク 光学ガラスBK7(φ60mm×10mm) また、ここでは、比較のために従来行われている下記の
加工条件で同じワーク(光学ガラスBK7:φ60mm×10
mm)を加工し、中心の窪み深さと平面度についての評価
を行った。ただし、加工機としては同じ研削盤を用い
た。 ・加工機 横型ワーク自転型インフィード研削盤 ・研削砥石 カップ型レジノイドボンドダイヤモンド砥
石 SD3000N100B(φ160mm、砥石幅2mm) ・研削砥石軸回転数 5000r/min ・ワーク軸回転数 300r/min ・切り込み速度 1,0.1μm/min ・ワーク 光学ガラスBK7(φ60mm×10mm) レジノイドボンド砥石を用いた上記従来加工条件では、
光学ガラスを加工した結果として、回転中心の窪み2.5
μm,平面度3.8μmを得た。これに対し、メタルボン
ド砥石を用い、しかもワーク回転軸に高・低速回転軸を
用いて、従来行われていないワーク回転数によりインフ
ィード研削を行った結果、図7に示すとおり、回転中心
の窪み、平面度を、ともにサブミクロンオーダかそれ以
下にすることができた。また、ワーク回転数を低くする
と、中心の窪み深さが小さくなり、特に、ワーク回転数
40r/min以下の条件において、中心の窪み深さを0.1μm
以下に低減でき、平面度も0.1μm以下に向上することが
できた。これにより、ワーク回転数の設定条件によって
はAA級のオプチカルフラットについても加工できる。
また、加工時間においても、1時間以下で加工すること
ができ、加工にかかるコストを抑えることができた。
【0058】実施例2:セラミックス基板(窒化珪素)
の超精密研削加工 ここでは、セラミックス基板として、窒化珪素(φ50m
m×4mm)を研削加工した結果について説明する。
【0059】窒化珪素に関しても、実施例1と同じよう
に、研削加工を下記の条件により行った。ただし、研削
砥石のツルーイングに関しては、特許(特開平5−16
070号公報)記載のツルーイング法を行い、砥粒切れ
刃高さを揃えた砥石により加工した。工時のワーク回転
軸の回転数と加工後のワークの平面度・ワーク回転軸回
転中心部の窪みの関係を図8に示す。
【0060】窒化珪素に関しても、ワーク回転数に対
し、平面度・中心の窪み深さは、光学ガラスの場合と似
た形の曲線となった。そして、同じようにワーク回転数
40r/min以下の条件において、中心の窪み深さを0.
1μm以下に低減でき、平面度も0.1μm以下を向上する
ことができた。
【0061】以上のことから、ガラス・セラミックスと
いうワーク材質に関係なく、本発明の加工法を用いれ
ば、中心の窪み深さを低減することができ、平面度を向
上することができることがわかる。
【0062】実施例3:ガラスセラミックス基板の超精
密研削加工 近年、様々な分野においてセラミックス部品が使用され
ており、特にコンピュータ関連機器においては、電気特
性や強度、耐食性から、多くのセラミックス部品が使わ
れている。その中でも、大型計算機用のモジュール基板
は非常に高い精度が要求される。ここでは、大型計算機
用モジュール基板の研削加工例について説明する。
【0063】大型計算機用モジュール基板は、処理速度
の向上のため、基板材としてガラスセラミックスが用い
られる。そして、このモジュール基板には、多くのLS
Iが乗るため、基板サイズは120×120×5mmと大きく
なっている。しかも、モジュール基板には、表面粗さと
ともに高い平面度が要求されている。
【0064】このモジュール基板は、ガラスセラミック
スをプレスしてシート状に固めたものを40〜60層積み重
ねて焼結するため、焼き上がったセラミックスは50〜20
0μm程度の反りが生じる。両面ラッピング・ポリッシ
ングでは、加工時に圧力を加えるため、加工時にはこの
圧力により反りが矯正される。しかし、加工後に圧力を
取ると、矯正する力がなくなるため、再度反りが生じて
しまい、5μm以下の平面度を得ることは難しい。
【0065】そこで、大型計算機用モジュール基板をワ
ーク自転型インフィード研削加工法により加工した。ま
た、大型計算機用モジュール基板の中心部は、薄膜工程
により回路パターンが形成されるため、ワーク自転型イ
ンフィード研削加工法により生じる回転中心部の窪み量
はサブミクロンオーダ以下にしなければならない。そこ
で、実施例1で使用した横型のワーク自転型インフィー
ド研削盤を加工機として用いた。加工条件を下記に示
す。ただし、研削砥石のツルーイングに関しては、特許
(特開平5−16070号公報)記載のツルーイング法
を行い、砥粒切れ刃高さを揃えた砥石により加工した。 ・加工機 横型ワーク自転型インフィード研削盤 ・研削砥石 カップ型メタルボンドダイヤモンド砥石 SD1500N75M(φ160mm、砥石幅2mm) ・研削砥石軸回転数 5000r/min ・ワーク軸回転数 5r/min ・切り込み速度 1μm/min ・ワーク ガラスセラミックス(120×120×5mm) 上記の加工条件によりガラスセラミックスを加工した結
果、表面粗さ0.1μmRmax,平面度1.5μm,中心部の
窪み深さ30nmを得ることができ、要求される仕様値を
十分に満足することができた。
【0066】実施例4:シリコンウェハの鏡面研削加工 シリコンウェハの素子形成面の加工を次のように行っ
た。内周スライサによりインゴットから切りだされたシ
リコンウェハ(直径6inch:φ152.4mm)をワー
クホルダ(材質:アルミナ系セラミックス φ180m
m)にワックスで貼り付け、実施例1,2で使用した横
型ワーク自転型インフィード研削盤により研削加工を行
った。加工条件を下記に示す。ただし、研削砥石のツル
ーイングに関しては、特許(特開平5−16070号公
報)記載のツルーイング法を行い、砥粒切れ刃高さを揃
えた砥石により加工した。 ・加工機 横型ワーク自転型インフィード研削盤 ・研削砥石 カップ型メタルボンドダイヤモンド砥石 SD1500N75M(φ160mm、砥石幅2mm) ・研削砥石軸回転数 5000r/min ・ワーク軸回転数 5r/min ・切り込み速度 10,1μm/min ・ワーク シリコンウェハ(直径6inch:φ152.4mm) 研削加工後、シリコンウェハをワークホルダから取り外
し、今度は加工した面を接着面としてワークホルダにワ
ックスで貼り付ける。このとき、ワックスの厚みムラが
できないように、スピンコートを用いてワックスの厚み
を均一にする。
【0067】接着後、上記加工条件によりシリコンウェ
ハの未加工面を研削加工する。この時の研削加工後のシ
リコンウェハの精度として、表面粗さ15nmRmax,
平面度300nm(0.3μm),中心部の窪み深さ40nmを
得た。
【0068】次に、ワークホルダに取り付けたままで洗
浄を行い、表面のゴミを取り除く。そして、上記加工面
をワークホルダに取り付けたまま片面ポリッシングを行
った。片面ポリッシングの加工条件を下記に示す。 ・加工機 片面ポリッシング盤 ・クロス ベルエース ・研磨剤 コロイダルシリカ ・定盤回転数 50r/min ・研磨圧力 10kPa ・研磨量 0.5μm 研磨加工後、上記片面ポリッシングを行うことで、研削
加工で生じる加工変質層を取り除いた。
【0069】加工後のシリコンウェハの精度として、表
面粗さ2〜3nmRmax,平面度380nm(0.38μ
m)を得た。このように、本加工工程を行えば、サブミ
クロンオーダの平面度を得ることができる。
【0070】以上説明したように、ワークの加工面に生
じるワーク回転中心部の窪みを100nm以下に低減する
ためには、ワーク軸の回転数を40r/min以下に設定
すればよいが、回転数の下限値としては以下のごとく考
えられる。 ・ワーク軸の回転数を0r/minに設定すると、ワー
クの全面を加工することができない。したがって、ワー
ク軸の回転数を0r/minに設定してワークを加工す
ることは、原理的に本発明には含まれない。 ・ワーク軸の回転数を下げると、加工能率が低下する。
したがって、本発明の加工法を実際の量産加工に適用す
る場合、加工能率を考慮すると、ワーク軸の回転数が1
r/min以下の条件は実用的ではないと考える。 ・セラミックス等の脆性材料をクラックのないダクタイ
ルモードに加工するためには、切り込み深さを0.1μm
以下(材料によって多少異なる)にすることが必要であ
る。
【0071】そして、ワーク加工時の切り込み速度を0.
1μm/min(設定できる最小の切り込み速度)に設
定し、ワーク軸の回転数を1r/min以下にすると、
ワーク1回転当たりのトータルの切り込み量は以下に示
すように0.1μm以上になる。
【0072】ワーク軸の回転量が 10r/minの場合:砥石
トータルの切り込み量 0.01μm ワーク軸の回転量が 1r/minの場合:砥石トータルの切
り込み量 0.1μm ワーク軸の回転量が0.1r/minの場合:砥石トータルの切
り込み量 1.0μm。
【0073】(切り込み速度0.1μm/minの場合)したが
って、表面粗さをナノメートルオーダに加工するために
は、ワーク軸の回転数を1μm/min以上にしたほうがよい
と考えられる。
【0074】なお、上記実施例では、ワークの材質とし
て光学ガラス、窒化珪素、ガラスセラミックス、単結晶
シリコンを用いたが、他の様々なセラミックス材料にお
いても同様に高精度な平面を得ることができる。
【0075】
【発明の効果】本発明のワーク自転型研削加工方法によ
れば、ワークの外周部と中心部の研削力の差を小さくす
ることができるので、ワーク中心部に生じる窪みの発生
を抑制し、高い精度の平面度を有するワークを得ること
ができる。
【0076】又、本発明のワーク自転型研削加工方法に
よれば、ワークの回転数を加工能率を担保し、ワークの
外周部と中心部とで研削力の差を小さくする範囲とした
ので、高精度なワークを高能率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦型ワーク自転型インフィード研削盤の構造図
である。
【図2】加工部の拡大図である。
【図3】加工部の拡大上面図である。
【図4】研削砥石が除去するワーク表面の概念図であ
る。
【図5】本発明のワーク自転型研削盤の構造図である。
【図6】横型ワーク自転型インフィード研削盤の構造図
である。
【図7】光学ガラス加工時の中心部窪み深さとワーク軸
回転数の関係である。
【図8】セラミックス基板加工時の中心部窪み深さとワ
ーク軸回転数の関係である。
【符号の説明】
1…研削砥石、 2…研削砥石軸、 3…研削砥石軸回転用モータ、 4…切り込み用テーブル、 5…切り込み用テーブル駆動モータ、 6…ワーク、 7…ワーク回転軸、 8…ワーク回転軸回転用モータ、 9…高速回転用モータ、 10…クラッチ、 11…バネ、 12…エア供給部、 13…ベルト、 14…低速回転用モータ、 15…減速機、 16…グラナイトベッド、 17…送りテーブル。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワークを自転させ、該ワークの加工対象面
    に回転するカップ型砥石の作業面が接触し、加工を行な
    うワーク自転型研削加工方法において、前記ワークの自
    転の回転数xを0<x≦40r/minとして前記ワー
    クを研削することを特徴とするワーク自転型研削加工方
    法。
  2. 【請求項2】ワークを自転させ、該ワークの加工対象面
    に回転するカップ型砥石の作業面が接触し、加工を行な
    うワーク自転型研削加工方法において、前記ワークの自
    転の回転数xを1≦x≦40r/minとして前記ワー
    クを研削することを特徴とするワーク自転型研削加工方
    法。
  3. 【請求項3】ワークを支持するワーク回転軸と、該ワー
    ク回転軸を回転させるワーク回転用モータと、前記ワー
    クを研削加工するカップ型砥石と、該カップ型砥石が装
    着される研削砥石軸と、該研削砥石軸を回転させる研削
    砥石軸用モータと、該研削砥石軸を該ワークの被加工面
    の法線方向へ往復運動する切り込みテーブルと、該切り
    込みテーブルを駆動するための切り込みテーブル用モー
    タとを有するワーク自転型研削盤において、 前記ワークを回転するための前記ワーク回転軸の回転数
    xが0<x≦40r/minで安定して回転するように
    100r/min以下の低速用モータを設けたことを特
    徴とするワーク自転型研削盤。
  4. 【請求項4】ワークを支持するワーク回転軸と、該ワー
    ク回転軸を回転させるワーク回転用モータと、前記ワー
    クを研削加工するカップ型砥石と、該カップ型砥石が装
    着される研削砥石軸と、該研削砥石軸を回転させる研削
    砥石軸用モータと、該研削砥石軸を該ワークの被加工面
    の法線方向へ往復運動する切り込みテーブルと、該切り
    込みテーブルを駆動するための切り込みテーブル用モー
    タとを有するワーク自転型研削盤において、 前記ワークを回転するための前記ワーク回転軸の回転数
    xが0<x≦40r/minで安定して回転するように
    前記ワーク回転用モータとは別に100r/min以下
    の低速用モータを設け、これにより前記ワーク回転軸を
    回転させることを特徴とするワーク自転型研削盤。
  5. 【請求項5】ワークを支持するワーク回転軸と、該ワー
    ク回転軸を回転させるワーク回転用モータと、前記ワー
    クを研削加工するカップ型砥石と、該カップ型砥石が装
    着される研削砥石軸と、該研削砥石軸を回転させる研削
    砥石軸用モータと、該研削砥石軸を該ワークの被加工面
    の法線方向へ往復運動する切り込みテーブルと、該切り
    込みテーブルを駆動するための切り込みテーブル用モー
    タとを有するワーク自転型研削盤において、 前記ワークを回転するための前記ワーク回転軸の回転数
    xが0<x≦40r/minで安定して回転するように
    前記ワーク回転用モータの駆動力を前記ワーク回転軸に
    伝達する減速器を設けたことを特徴とするワーク自転型
    研削盤。
  6. 【請求項6】ワークを支持するワーク回転軸と、該ワー
    ク回転軸を回転させるワーク回転用モータと、前記ワー
    クを研削加工するカップ型砥石と、該カップ型砥石が装
    着される研削砥石軸と、該研削砥石軸を回転させる研削
    砥石軸用モータと、該研削砥石軸を該ワークの被加工面
    の法線方向へ往復運動する切り込みテーブルと、該切り
    込みテーブルを駆動するための切り込みテーブル用モー
    タとを有するワーク自転型研削盤において、 前記ワークを回転するための前記ワーク回転軸の回転数
    xが0<x≦40r/minで安定して回転するように
    前記ワーク回転用モータとして低速用モータを設け、前
    記ワーク回転用モータの駆動力を前記ワーク回転軸に伝
    達する減速器を設けたことを特徴とするワーク自転型研
    削盤。
  7. 【請求項7】請求項1記載のワーク自転型研削加工方法
    のワークをシリコンウェハとし、前記シリコンウェハの
    研削加工時にその中心部に生じる窪みの深さhを0<h
    ≦100nmとしたことを特徴とするシリコンウェハ。
  8. 【請求項8】請求項1記載のワーク自転型研削加工方法
    のワークをセラミック基板とし、前記セラミック基板の
    研削加工時にその中心部に生じる窪みの深さhを0<h
    ≦100nmとしたことを特徴とするセラミック基板。
  9. 【請求項9】請求項1記載のワーク自転型加工方法のワ
    ークをセラミック基板とし、前記セラミック基板の加工
    後の平面度Fを0<F≦100nmとしたことを特徴と
    するセラミック基板。
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