JP2009190125A - ワークの両頭研削装置およびワークの両頭研削方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、薄板状のワークを径方向に沿って外周側から支持する自転可能なワークホルダーと、該ワークホルダーの両側に位置し、ワークホルダーを自転の軸方向に沿って両側から、流体の静圧により非接触支持する一対の静圧支持部材と、ワークホルダーにより支持されたワークの両面を同時に研削する一対の砥石を具備するワークの両頭研削装置であって、ワークホルダーと静圧支持部材の間隔が50μm以下であり、かつ、静圧支持部材がワークホルダーを0.3MPa以上の流体の静圧で支持するものであるワークの両頭研削装置。
【選択図】図6
Description
図9に示すものはNanomapperにより測定したナノトポグラフィーマップであり、ナノトポグラフィーの強度を濃淡で示したものである。図9(a)はナノトポグラフィーの強度のレベルが特に問題のないマップの例であり、図9(b)は両頭研削工程で作り込まれたレベルの悪い例である。
図10(a)は、静電容量方式の測定機により測定された、両頭研削されたウエーハのソリ形状に、50mm−1mmのバンドパスフィルター処理をして得られた疑似ナノトポグラフィーの例である。なお、図10(b)は、Nanomapperにより測定した場合のナノトポグラフィーを示すグラフである。
図12に、両頭研削工程後における疑似ナノトポグラフィーの値と、最終工程後におけるナノトポグラフィーの値との関係を示す。両者の間には良い相関があることが分かる。
まず、両頭研削するときに用いられる従来のワークの両頭研削装置の一例を図8に示す。図8に示すように、両頭研削装置101は、薄板状のワークWを径方向に沿って外周側から支持する自転可能なワークホルダー102と、ワークホルダー102の両側に位置し、ワークホルダー102を自転の軸方向に沿って両側から、流体の静圧により非接触支持する一対の静圧支持部材103と、ワークホルダー102により支持されたワークWの両面を同時に研削する一対の砥石104を備えている。砥石104はモータ105に取り付けられており、高速回転できるようになっている。
例えば、特許文献2では、ワークの厚さの中心および/またはワークを支持する支持手段の中心と、一対の研削砥石の砥石面間隔の中心との相対位置を制御して研削する事が提案されている。
また、図8のような流体による静圧支持を採用した装置、例えば特許文献3では、ワークを軸方向に支持する表裏面の静圧支持方法に関し、複数のポケットが各々流体の供給孔を具備し、ポケット毎に流体の静圧を調整出来る静圧支持部材を採用する事により、従来装置の持つ調整機能、即ち砥石軸のチルト調整やシフト調整では改善し切れないナノトポグラフィー成分が改善される事を示している。
前記ワークホルダーと前記静圧支持部材の間隔が50μm以下であり、かつ、前記静圧支持部材が前記ワークホルダーを0.3MPa以上の前記流体の静圧で支持するものであることを特徴とするワークの両頭研削装置を提供する(請求項1)。
しかしながら、本発明のように、ワークホルダーと静圧支持部材の間隔、すなわち、ワークホルダーにおいて非接触支持される面と、静圧支持部材においてワークホルダーを非接触支持する面の間隔が50μm以下であり、かつ、静圧支持部材がワークホルダーを0.3MPa以上の流体の静圧で支持する両頭研削装置であれば、両頭研削を行うときに、ワークを支持するワークホルダーの位置を安定化させることができ、それによってワークのナノトポグラフィーが悪化するのを著しく抑制することが可能なものとなる。
本発明のように、ワークホルダーと静圧支持部材の間隔が50μm以下に狭めたものの場合、ワークホルダーおよびワークホルダーに支持されたワークを自転させる際に負荷がかかりやすくなる。しかし、ワークホルダーの形状精度が、平行度が5μm以下、かつ、平面度が5μm以下のものであれば、上記負荷を十分に抑制することが可能になり、よりスムーズに両頭研削を行うことが可能である。
アルミナセラミクスであれば、加工性がよく、加工時の発熱により熱膨張し難く、ワークホルダーの非接触支持される面の形状精度がより高精度なものとなる。
このようなものであれば、本発明のように、ワークホルダーと静圧支持部材の間隔が50μm以下に狭めたものであっても、ワークホルダーを自転させる際に負荷がかかりにくく、よりスムーズに両頭研削を行うことができるものとなる。
近年、顧客の要求により、ワークの品質のみに止まらず、製造コストの削減が望まれているが、製造コストの削減には、各工程の加工量低減による原料原単位の削減や加工装置の生産性の向上が必須である。両頭研削工程においては、研削砥石のダイヤモンド砥粒を微細化することにより、後工程である両面研磨工程の研磨量を低減する事が大きな技術課題となる。従来は番手#3000、平均砥粒径4μmの砥石が使われてきたが、更に面粗さやダメージ深さを改善すべく、番手#6000〜8000のような平均砥粒径1μm以下の微細砥粒砥石も開発が進められている。
前記ワークホルダーと前記静圧支持部材の間隔を50μm以下とし、かつ、前記流体の静圧を0.3MPa以上に調節して、前記ワークの両面を研削することを特徴とするワークの両頭研削方法を提供する(請求項6)。
このようにすれば、ワークホルダーおよびワークホルダーに支持されたワークを自転させる際の負荷を十分に抑制することができ、よりスムーズに両頭研削を行うことができる。
アルミナセラミクスであれば、ワークホルダー成型時の加工性がよく、ワークホルダーが加工時の発熱により熱膨張し難く、ワークホルダーの非接触支持される面の形状精度をより高精度にすることができ、両頭研削時にかかる負荷をより低減することができる。
このようにすれば、ワークホルダーを自転させる際に負荷がかかりにくく、よりスムーズに両頭研削を行うことができる。
砥石をこのような研削負荷が高くなるものにしても、ワークホルダーの位置の制御が可能であり、ワークのナノトポグラフィーが悪化するのを十分に抑制することが可能である。
本発明者らは、両頭研削装置および両頭研削方法と研削後のワークのナノトポグラフィーとの関係について鋭意研究を行った結果、ワークの径方向に沿った支持手段であるワークホルダーの自転の軸方向の位置制御が重要であることを見出した。従来では、これはナノトポグラフィー等のウエーハ品質には影響のないものとして考えられていた。
また、特に、上記のワークホルダーの倒れは、研削負荷の高い微細砥粒(例えば1μm以下)の高番手砥石の場合に顕著となることも本発明者らは発見した。
また、ワークホルダー2は、回転する軸回りに自由に回転する3個以上のローラ11により回転可能に支持されている。図2(a)に示す例では、このローラ11が4個配置されているが、これに限定されない。
また、例えば、支持部7の材質は樹脂、内歯車部8および駆動歯車10の材質はSUSとすることができるが、これらに限定されるものではない。
図3に静圧支持部材3の概要を示す。まず、図3(a)は静圧支持部材3の全体を示している。外周側がワークホルダー2を非接触支持するワークホルダー静圧部であり、内周側がワークWを非接触支持するワーク静圧部となっている。また、静圧支持部材3には、ワークホルダー2を自転させるのに用いられる駆動歯車10を挿入するための穴や、砥石4を挿入するための穴が形成されている。
図3(b)(c)に示すように、表面には土手12と、土手12に囲まれた凹部であるポケット13を有しており、各ポケット13には、流体供給口からポケット13へ流体(例えば水)を供給するための供給孔14が形成されている。
また、図3(d)は、流体を各供給孔14へと供給するためのラインを示したものであり、各ラインにはバルブ15および圧力計16が備えられている。これらによって、供給孔14を通してポケット13へと供給される流体の静圧を調整することができる。実際に両頭研削を行う場合には、0.3MPa以上の静圧に調整され、その静圧でワークホルダー2を非接触支持する。
加えて、このような高番手の砥石4を採用したものであれば、両頭研削後の両面研磨工程での研磨量の低減化を図ることができ、生産性の向上、コストの削減を達成することができるとともに、両頭研削での面粗さやダメージ深さを改善することができる。
まず、本発明者らは、本発明の両頭研削装置1におけるワークホルダー2および静圧支持部材3の形状精度についての調査を行った。
具体的には、ワークホルダー2と静圧支持部材3との間隔Dを50μm以下に設定するために、ワークホルダー2の平面度と平行度、静圧支持部材3のワークホルダー2を非接触支持する面の平面度を変更して組み合わせた装置を用い、水の静圧によりワークホルダー2を非接触支持し、ワークホルダー2を自転させて、その回転状況を調べる実験を行った。砥石には高番手の#8000のものを用いた。
これらを組み合わせて、ワークホルダー2と静圧支持部材3との間隔Dを50μmに設定した後に、ワークホルダー2の自転の回転状況を調査した。なお、供給する水の静圧は0.3MPaとした。
表1に、ワークホルダー2や静圧支持部材3の平面度、平行度の組み合わせや、回転状態について示す。
尚、e+f+(h−g)/2の数値が30μm以下である2水準の組み合わせ(ワークホルダー2の平行度が5μmかつ平面度が5μmであり、静圧支持部材3のワークホルダーを非接触支持する面の平面度が20μmまたは15μm)については、ワーク研削後に測定した擬似ナノトポグラフィーは、0.2μmを下回り、極めて良好なレベルである事を確認している。
そして、このような条件を満たす両頭研削装置であれば、ワークホルダー2と静圧支持部材3の間隔Dが50μm以下という小さい値であっても、駆動歯車10のモータ9の負荷が上昇して、内歯車部8と駆動歯車10の間で磨耗による発塵が生じ、発塵した異物がワークホルダー2と静圧支持部材3との隙間に混入するのを効果的に防ぐことができることを本発明者らは見出した。そして、これにより、ワークホルダー2の回転を妨げる現象等が発生するのを予防することが可能である。
ここでは、図1に示す本発明の両頭研削装置1を用いた場合について説明するが、これに限定されず、ワークホルダー2と静圧支持部材3の間隔Dを50μm以下とし、かつ、流体の静圧を0.3MPa以上に調節して、ワークWの両面を研削する方法であれば良い。
ワークWを支持するワークホルダー2を、一対の静圧支持部材3の間に、静圧支持部材3とワークホルダー2が隙間を有するように支持する。このとき、静圧支持部材3の各ポケット13の供給孔14から流体である水を供給し、各ポケット13ごとに静圧を0.3MPa以上に調節する。また、静圧支持部材3とワークホルダー2との間隔Dを50μm以下に調節する。
また、静圧支持部材3において、平面度が20μm以下のものとするのが好ましい。
このような形状のワークホルダー2や静圧支持部材3を用いて両頭研削を行えば、研削中、ワークホルダー2と静圧支持部材3の間隔Dが50μm以下と狭くても、互いに接触せず、ワークホルダー2の回転への影響をなくすことが可能である。
(実施例1)
図1に示す本発明のワークの両頭研削装置1を用い、本発明の両頭研削方法により、ワーク(直径300mm)の両頭研削を行った。
ワークホルダーとしてはリング部がアルミナセラミクスからなるものを用いた。ワークホルダーの平面度は5μm、平行度は5μm、静圧支持部材の平面度は15μmである。
ワークホルダーと静圧支持部材との間隔は30μmに設定した。また、静圧支持部材の供給孔から水を供給し、0.6MPaの静圧により、ワークホルダーを非接触支持した。さらに、砥石としては、平均粒径1μm以下のダイヤモンド砥粒とビトリファイドボンドからなるSD#3000砥石とSD#8000砥石(株式会社アライドマテリアル製 ビトリファイドボンド砥石)を用いた。
研削量は30μmである。
図6に示すように、どちらの砥石を用いた場合であっても、後述する比較例に比べてばらつきば小さく、かつ、疑似ナノトポグラフィーを0.2μm以下という良好なレベルに抑制することができた。特に、高番手のSD#8000砥石を用いた場合であっても優れた結果を示していることが分かる。
ワークホルダーと静圧支持部材との間隔を100μmまたは200μmに設定する以外は実施例1と同様にしてワークの両頭研削を行った。
なお、静圧支持部材とワークホルダーの間隔が狭くなるほど疑似ナノトポグラフィーの値が低減していることがわかる。さらには、SD#8000砥石を使用した場合にはこの傾向が更に顕著となり、ワークホルダーと静圧支持部材との間隔が広いほど急激に擬似ナノトポグラフィーは悪化する。
砥石にSD#8000砥石を用い、水による静圧値を変えて設定した以外は実施例1と同様にしてワークの両頭研削を行った。
水による静圧は、0.3MPa、0.8MPa、1.0MPa(以上実施例2)、0.2MPa(比較例2)とした。
比較例2では疑似ナノトポグラフィーが0.8μmと大きく、実施例2ではいずれも0.2μm以下に抑えられた。
このように、静圧値が0.3MPaより小さいと疑似ナノトポグラフィーが著しく大きくなってしまい、高品質の研削後のワークを得ることができない。静圧値を0.3MPa以上とすることによって優れたレベルの疑似ナノトポグラフィーに抑制できていることが分かる。
従来の両頭研削装置を用いてワーク(直径300mm)の両頭研削を行った。
用いた両頭研削装置XSG−320(光洋機械工業株式会社製)は、従来の標準的なものであり、三次元形状測定機ZYZAXRVA−A(株式会社東京精密製)による実測で、ワークホルダーは平行度が10μm、平面度が50μmのSUS製のもので、静圧支持部材の平面度は20μmであった。
ワークホルダーと静圧支持部材との間隔は標準的な200μmで、静水圧は0.6MPaに設定した。そして、砥石にはビトリファイドボンドのSD#3000の直径160mm砥石(株式会社アライドマテリアル製ビトリファイドボンド砥石)を用いた。
研削量は30μmである。
4…砥石、 5…モータ(砥石用)、 6…リング部、 7…支持部、
8…内歯車部、 9…モータ(ワークホルダー用)、 10…駆動歯車、
11…ローラ、 12…土手、 13…ポケット、 14…供給孔、
15…バルブ、 16…圧力計、 W…ワーク。
Claims (10)
- 少なくとも、薄板状のワークを径方向に沿って外周側から支持する自転可能なワークホルダーと、該ワークホルダーの両側に位置し、ワークホルダーを自転の軸方向に沿って両側から、流体の静圧により非接触支持する一対の静圧支持部材と、前記ワークホルダーにより支持されたワークの両面を同時に研削する一対の砥石を具備するワークの両頭研削装置であって、
前記ワークホルダーと前記静圧支持部材の間隔が50μm以下であり、かつ、前記静圧支持部材が前記ワークホルダーを0.3MPa以上の前記流体の静圧で支持するものであることを特徴とするワークの両頭研削装置。 - 前記ワークホルダーは、平行度が5μm以下、かつ、平面度が5μm以下のものであることを特徴とする請求項1に記載のワークの両頭研削装置。
- 前記ワークホルダーにおいて、少なくとも非接触支持される面がアルミナセラミクスからなるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワークの両頭研削装置。
- 前記静圧支持部材において、前記ワークホルダーを非接触支持する面は、平面度が20μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のワークの両頭研削装置。
- 前記砥石は、平均粒径1μm以下のダイヤモンド砥粒とビトリファイドボンド材からなるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のワークの両頭研削装置。
- 少なくとも、ワークホルダーによって、薄板状のワークを径方向に沿って外周側から支持して自転させるとともに、前記ワークホルダーの両側に位置する一対の静圧支持部材によって、前記ワークホルダーを自転の軸方向に沿って両側から、流体の静圧により非接触支持し、一対の砥石によって、前記ワークホルダーにより支持したワークの両面を同時に研削するワークの両頭研削方法であって、
前記ワークホルダーと前記静圧支持部材の間隔を50μm以下とし、かつ、前記流体の静圧を0.3MPa以上に調節して、前記ワークの両面を研削することを特徴とするワークの両頭研削方法。 - 前記ワークホルダーを、平行度が5μm以下、かつ、平面度が5μm以下のものとすることを特徴とする請求項6に記載のワークの両頭研削方法。
- 前記ワークホルダーにおいて、少なくとも非接触支持される面を、アルミナセラミクスからなるものとすることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のワークの両頭研削方法。
- 前記静圧支持部材において、前記ワークホルダーを非接触支持する面を、平面度が20μm以下のものとすることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のワークの両頭研削方法。
- 前記砥石を、平均粒径1μm以下のダイヤモンド砥粒とビトリファイドボンド材からなるものとすることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のワークの両頭研削方法。
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