JPH07320266A - 磁気カードの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不正防止が可能で、かつ余分な磁気塗料を塗
布しないことでコストを低減した磁気カードを提供す
る。 【構成】 コイル状に巻取られた非磁性基板４上に磁気
塗料を塗布する方法において、コーターロール１の一部
分にのみ塗布液をつけコイル状に巻き取られる非磁性基
板４上に塗布液を転写することで、非磁性基板４の塗布
方向に対してストライプ状に磁気塗料を塗布する磁気カ
ード用ベースフイルム原反の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気カードの製造方法
に係り、磁気カードにストライプ状に磁気塗料を塗布す
る方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、銀行のキャッシュカードやクレジ
ットカード用の磁気カードとしては、塩化ビニル基板上
の一部にストライプ状の磁気層を貼り合わせたものやＰ
ＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）または紙、合成紙
等の片面の全面に磁性層及び保護隠ぺい層を順次塗布し
たものが使用されている。

【０００３】前者のストライプ状の磁気層を貼り合わせ
た磁気カードは、磁気ヘッドにより情報を記録し、読み
取る部分のみに磁気層があるのに対し、後者のように磁
気カードの片面の全面に磁気層が塗布されている場合
は、一般的にはカードの片面で実際に磁気記録される部
分の面積は、磁気記録のトラック数の多いものでも５０
％未満であるのが現状である。また、通常は、カードの
長手方向の中心線を境にして片側一方のみに磁気記録さ
れているのが多く、他方はまったく磁気記録に使用され
ないのがほとんどである。尚、交通機関のカードでは長
手方向の中心線に対し、対称に使用しているものもあ
る。

【０００４】また、実際の磁気カードの使用において
は、磁気カードを使用する毎に磁気記録情報を書き換
え、さらにパンチ穴や印字方式などで残額や残度数の表
示を行っており、磁気カードの使用状況について磁気記
録情報の他にパンチ穴や印字等をセンサーで検知する方
法がとられている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、最近、使用済
みの磁気カードでいろいろな不正行為が行われている例
があり、例えば、パンチ穴の検知などをさけるために長
手方向の中心線を境に正規のトラック位置と線対称にな
る位置に不正に情報を書き込み、カードを逆方向に挿入
して使用するといった不正行為も見られる。

【０００６】また、製造上、磁気記録をしない場所への
磁性塗料の塗布は、実用的にも無駄が多くコストアップ
になっている。

【０００７】本発明は、これらの欠点を除去し、不正防
止が可能で、かつ余分な磁気塗料を塗布することなく、
コストを低減した磁気カードを提供することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、例えば、図１
に示すように、コイル状に巻取られている基材ＰＥＴ４
に磁気塗料を塗布する方式において、コーターロール１
に部分的に塗布液をつけ塗布方向に対し、ストライプ状
に塗布したもので、単層あるいは多層構造に塗布するこ
とを特徴とする。

【０００９】この時の塗布方法においては、基板にスト
ライプ状に磁気塗料を単層で塗布し、さらに、ストライ
プ状に塗布した上から別の磁気特性を持つ磁気塗料を全
面に塗布するか、あるいは、その反対に基板全面に塗布
した後、その上からストライプ状に磁気塗料を塗布する
ことで、部分的に多層構造にする等使用方法に応じて塗
布する構成は任意に決められる。また、この様に部分的
にストライプ状に磁気塗料を塗工し、多層構造にした場
合、磁性塗料の厚みに差が生じるので厚みの薄い部分に
はさらにダミー層として非磁性のインキ等を塗布しても
よい。

【００１０】コーターロールとしては、例えば、グラビ
アロールでは部分的に彫刻柄のない不連続的な柄にして
彫刻部分のみ塗布液が転写するようにする。また、リバ
ースコーターなどもロール表面に段差をつけて部分的に
塗布するようにすればよく、機構上部分的に塗布が可能
なコーターであれば特に限定するものではない。

【００１１】すなわち、本発明によれば、コイル状に巻
取られた非磁性基板上に磁気塗料を塗布する方法におい
て、コーターロールの一部分にのみ塗布液をつけコイル
状に巻き取られる非磁性基板上に塗布液を転写すること
で、非磁性基板の塗布方向に対してストライプ状に磁気
塗料を塗布することを特徴とする磁気カード用ベースフ
イルム原反の製造方法が得られる。

【００１２】

【作用】このような方法に基づく本発明により、磁気カ
ード上の実際に磁気記録・読み取りを行う箇所にストラ
イプ状に磁気記録層を印刷し、磁気ヘッドと対向する部
分にのみ磁性層を形成することで磁気カードを逆方向に
挿入して使用するという不正行為の防止およびストライ
プ状の部分的な磁気塗料の塗布により磁性塗料の使用量
の低減による磁気カードのコストを低減することができ
る。

【００１３】

【実施例】次に、実施例について図面を参照しながら詳
細に説明する。

【００１４】図１は、グラビアロール（コーターロー
ル）の彫刻柄の塗布状態を示す図である。図１におい
て、グラビアロール１の外周面にグラビアロール未彫刻
部２とグラビアロール彫刻部３を交互に配置し、グラビ
アロール未彫刻部２とグラビアロール彫刻部３が１組で
カード１枚分の幅になるようにピッチを３０ｍｍとし
た。また、彫刻柄は、台形型とし、深さ１００μｍとし
た。

【００１５】まず、２５０μｍ厚の基板ＰＥＴ４上にＨ
ｃ＝２７５０○ｅのＢａフェライト粉を結合剤及び有機
溶剤中に分散した磁気塗料をグラビアコーターで乾燥塗
膜が５μｍになるように全面に塗布した。さらに、その
上に前期の未彫刻部を含む台形柄のグラビアロールでＨ
ｃ＝６５０ＯｅのＣｏ−γＦｅ₂Ｏ₃粉末を結合剤及び有
機溶剤中に分散した磁気塗料を塗布した。また、さらに
この上にグラビアコーターでアルミニウム粉末を結合剤
及び有機溶剤中に分散した保護隠ぺい層を乾燥塗膜２μ
ｍ厚になるように塗布し乾燥させた後、部分塗布した境
界部分が磁気カード長辺方向の中心に来るように打ち抜
き５４．０ｍｍ×８５．６ｍｍの磁気カードを製作し
た。

【００１６】図２に、製作した磁気カードのカード挿入
方向から見たカード断面図を示す。基材ＰＥＴ４、磁性
第１層（Ｈｃ＝２７５０Ｏｅ）５、磁性第２層（Ｈｃ＝
６５０Ｏｅ）６、保護隠ぺい層７と順次塗布されてい
る。

【００１７】図３に、この磁気カードの多層部分と単層
部分に、書き込み電流Ｉｗ＝２５０ｍＡ^P-P で記録密度
１０５ＢＰＩで書き込んだ時の再生出力波形を示す。図
３（ａ）は多層部の再生出力波形、図３（ｂ）は単層部
の再生出力波形を示している。多層部分は磁性第２層に
書き込まれ十分に出力がでているが、単層部分は保磁力
の高い磁性第１層のみのため、十分に書き込まれておら
ず、再生出力が小さいのがわかる。また、部分塗布によ
り、通常の転写量の１／２にしたため消費された磁性塗
料も約１／２に低減された。

【００１８】

【発明の効果】以上述べたごとく、本発明によれば、部
分的に単層あるいは多層の磁気記録層を有し、カードの
不正使用の防止や、偽造防止効果が得られる磁気カード
を、余分な磁気塗料を塗布することがないため、低コス
トで提供することが可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】グラビアロールによる彫刻柄の塗布状態を示す
斜視図。

【図２】カード挿入方向からみたカード断面図。

【図３】単層及び多層部分の出力波形を示す図で、図３
（ａ）は多層部の出力波形を示す図。図３（ｂ）は単層
部の出力波形を示す図。

【符号の説明】

１ コーターロール（グラビアロール） ２ グラビアロール未彫刻部 ３ グラビアロール彫刻部 ４ 基材ＰＥＴ（非磁性記板） ５ 磁性第１層 ６ 磁性第２層 ７ 保護隠ぺい層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コイル状に巻取られた非磁性基板上に磁
   気塗料を塗布してなる磁気カードの製造方法において、
   コーターロールの一部分にのみ塗布液をつけコイル状に
   巻き取られる非磁性基板上に前記塗布液を転写すること
   で、前記非磁性基板の塗布方向に対してストライプ状に
   前記磁気塗料を塗布することを特徴とする磁気カードの
   製造方法。