JPH07316558A - コークス炉蓋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コークス炉の発生ガスによりコークス炉蓋の
断熱材の断熱性が低下する問題を解消し、断熱煉瓦や断
熱ボードより優れた断熱性を長期間安定して維持する。 【構成】 炉蓋台座金物１にブロック型耐火物２を固定
する。ブロック型耐火物２の炉外側に凹部を形成し、凹
部にウール状断熱材３を充填する。ウール状断熱材３は
ガスシール性を有する耐熱包装材４で密封する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は断熱性を長期間維持でき
るコークス炉蓋に関する。

【０００２】

【従来の技術】コークス炉蓋とはコークス炉炭化室の両
側面に設置される扉である。コークス炉蓋の炉内側に設
置されている耐火物は、炉内温度が大気に熱放散しない
ように断熱し、コークス炉蓋からの放散熱量を抑制する
だけでなく、コークス炉蓋の熱歪を低減する機能を備え
ている。

【０００３】従来、通常のコークス炉蓋は、図２の横断
面略図に示すように、炉内側の先端にブロック型耐火物
１０が設けられ、次に断熱材１１がブロック型耐火物１
０と炉蓋台座金物１の間に設けられている。ブロック型
耐火物１０と断熱材１１は、それらの両側面にある耐火
物固定金物１２を介して炉蓋台座金物１に支持される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この構造では
コークス炉蓋より炉内側に熱伝導率の高い耐火物固定金
物１２が設置されているため、耐火物固定金物１２が高
温になる。そして耐火物固定金物１２の温度が炉蓋台座
金物１に伝わり、コークス炉蓋からの放散熱量が増大す
るだけでなく、この放散熱量の増大に伴い、炭化室端部
９の炉内温度が低下するため、炭化室端部９の石炭乾留
が遅延し、コークス炉全体の石炭乾留に影響を及ぼすと
いう欠点がある。

【０００５】実公昭５２−５２０５０号公報には、この
問題を解決するため、図３の横断面略図に示すように溶
融石英質耐火物１３の内部に断熱煉瓦、断熱キャスタブ
ルや石綿等の見掛気孔率５０％以上で且つ嵩比重１．０
以下の無機質の多孔性断熱材１４を充填した二重構造と
し、断熱性を強化したコークス炉蓋が示されている。

【０００６】しかしながら、図３の構造では、取り付け
初期には断熱性を強化することができるが、長期間使用
している間に炭化室内で石炭を乾留する際に発生するガ
スが溶融石英質耐火物１３と炉蓋台座金物１の隙間から
内部の多孔性断熱材１４に浸入し、発生ガス中に含まれ
る熱伝導性の高いタールやピッチ等が熱伝導性の低い多
孔性断熱材１４の断熱性を低下させる。多孔性断熱材１
４が断熱煉瓦や断熱ボードであれば、発生ガスが気孔内
に浸入し、タールやピッチ等が気孔に固着することによ
って目詰まりし、本来の断熱性の機能を発揮できなくな
る。更に断熱性の優れた石綿やウール状断熱材を使用し
た場合でも、それらにタールやピッチ等が付着し固化す
るので断熱性が損なわれるだけでなく、最終的には断熱
機能が全くなくなる。

【０００７】このように、従来のコークス炉蓋は長期間
安定して断熱性を維持することが困難である。そこで本
発明は、発生ガスによる断熱材の断熱性の低下を解消
し、断熱煉瓦や断熱ボードより優れた断熱性を長期間安
定して維持できるコークス炉蓋を提供する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、炉蓋台座金物
上にブロック型耐火物と断熱材とから成るブロック型耐
火物栓で構成されたコークス炉蓋において、前記ブロッ
ク型耐火物の炉外側に凹部を形成し、該凹部にウール状
断熱材を充填し、該ウール状断熱材をガスシール性を有
する耐熱包装材で密封したことを特徴とするコークス炉
蓋である。

【０００９】

【作用】本発明のコークス炉蓋は、断熱煉瓦、断熱ボー
ドより熱伝導率の小さいウール状断熱材を充填すること
によって断熱性を強化し、且つウール状断熱材をガスシ
ール性を有する耐熱包装材で密封することにより、ブロ
ック型耐火物と炉蓋台座金物の隙間から発生ガスが浸入
しても、発生ガスをウール状断熱材に接触させないた
め、発生ガス中のタールやピッチ等の固着による断熱性
の低下を防止し、長期間安定して断熱性を保つことがで
きる。また、ウール状断熱材を長期間使用できるので、
ウール状断熱材の取り替え作業を省略することができ
る。

【００１０】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面により詳細に説
明する。

【００１１】図１は本発明のコークス炉蓋の実施例を示
す横断面略図である。炉蓋台座金物１にはシールプレー
ト６を挟んでブロック型耐火物２が固定されている。ブ
ロック型耐火物２の炉外側で炉蓋台座金物１に接するよ
うに設けた凹部にウール状断熱材３が充填されてブロッ
ク型耐火物栓を構成している。ウール状断熱材３はガス
シール性を有する耐熱包装材４で包まれ密封されてい
る。ブロック型耐火物２を炉蓋台座金物１に固定するた
めの取付ボルト５はブロック型耐火物２の内部に埋め込
まれており、埋め込み先端をＴ型として抜き出せないよ
うになっている。

【００１２】シールプレート６は、全周に溶接固定した
ナイフエッジ７をコークス炉の炉壁１６の端部に取付ら
れているドアーフレーム８にメタルタッチさせて、発生
ガスを大気に放散しないようにシールするものである。

【００１３】この実施例では、耐熱包装材４には発生ガ
スをウール状断熱材３に接触させないようにアルミを皮
膜した耐熱性ガラスクロスを使用し、ウール状断熱材３
には熱伝導率の低いセラミックファイバーブランケット
を使用した。耐熱包装材４はウール状断熱材３の全面を
包み込み、耐熱包装材４が重なり合った箇所を耐熱線材
で縫い合わせることによって密封化構造とした。この構
造を採用したことによって、凹部内に一体化したウール
状断熱材３と耐熱包装材４を差し込むだけの簡単な作業
で施工できる。また、ブロック型耐火物２は、コージラ
イト質の耐火煉瓦を６〜７段積み重ねて、炉高方向寸法
約１ｍ、煉瓦幅約４００ｍｍ、炉内方向奥行き約５００
ｍｍの一体化した構造とし、凹部の寸法は、炉高方向高
さ寸法約８００ｍｍ、煉瓦幅方向の寸法約１５０ｍｍ、
耐火物奥行き寸法約１５０ｍｍとした。ブロック型耐火
物２には、耐火煉瓦以外にも耐火キャスタブル等の不定
形耐火物を使用することもできる。

【００１４】尚、前記例示以外にも、材質や寸法等に種
々変更を加え得る。

【００１５】

【発明の効果】本発明のコークス炉蓋は、ウール状断熱
材の断熱性を長期間安定して維持することができ、コー
クス炉蓋からの放散熱量を低減してコークス炉炭化室端
部の石炭乾留時間を短縮し、コークスの生産性を向上さ
せる。コークスの生産性を従来と同等とすれば石炭を乾
留するための熱量を低減することができ、コークス生産
コストが安くなる。また、ウール状断熱材をブロック型
耐火物の凹部全体に均一な密度で充填でき、詰め込み作
業も容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のコークス炉蓋の横断面略図である。

【図２】従来のコークス炉蓋の一例の横断面略図であ
る。

【図３】従来のコークス炉蓋の一例の横断面略図であ
る。

【符号の説明】

１ 炉蓋台座金物 ２ ブロック型耐火物 ３ ウール状断熱材 ４ 耐熱包装材 ５ 取付ボルト ６ シールプレート ７ ナイフエッジ ８ ドアーフレーム ９ 炭化室端部 １０ ブロック型耐火物 １１ 断熱材 １２ 耐火物固定金物 １３ 溶融石英質耐火物 １４ 多孔性断熱材 １５ 引張金物 １６ 炉壁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 栄男 北九州市戸畑区大字中原46−59 日鐵プラ ント設計株式会社内 (72)発明者 横手 孝輔 北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本製 鐵株式会社機械・プラント事業部内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉蓋台座金物上にブロック型耐火物と断
   熱材とから成るブロック型耐火物栓で構成されたコーク
   ス炉蓋において、前記ブロック型耐火物の炉外側に凹部
   を形成し、該凹部にウール状断熱材を充填し、該ウール
   状断熱材をガスシール性を有する耐熱包装材で密封した
   ことを特徴とするコークス炉蓋。