JPH07316040A - 再構成リポソームと物質導入方法 - Google Patents

再構成リポソームと物質導入方法

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JPH07316040A
JPH07316040A JP7213595A JP7213595A JPH07316040A JP H07316040 A JPH07316040 A JP H07316040A JP 7213595 A JP7213595 A JP 7213595A JP 7213595 A JP7213595 A JP 7213595A JP H07316040 A JPH07316040 A JP H07316040A
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JP
Japan
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liposome
substance
reconstructed
cells
cytoplasm
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JP7213595A
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English (en)
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Nobuaki Azuma
伸昭 東
Junzo Sunamoto
順三 砂本
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Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Research Development Corp of Japan
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生細胞の細胞質に、高効率に、障害性や感染
性なしに物質導入することを可能とする。 【構成】 次式 【化1】 (nは25以上の数を示す)の化合物を修飾したリポソ
ームからなることを特徴とする再構成リポソーム並びに
この再構成リポソームに生細胞の細胞質への導入物質が
封入されていることを特徴とする再構成リポソーム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は再構成リポソームと物
質導入方法に関するものである。さらに詳しくは、この
発明は、生細胞の細胞質内への物質導入を効率的に、か
つ、障害性、感染性を示さずに行うことのできる、新し
い再構成リポソームとこれを用いた物質導入方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】近年の生物科学、生命工学の
発展にともなって、農業における動物や、植物の品種改
良、医薬や医療技術等の諸分野において、生物活性を有
する物質、例えば抗癌剤などの薬剤、特定の有用な遺伝
子をコードする核酸、特定の蛋白質の翻訳を妨げるアン
チセンス配列を有する核酸などの物質を細胞内に導入す
る必要性が高まっており、そのための研究が精力的に進
められてもいる。このように、生理活性物質を細胞内に
導入する方法としては、これまでにも、ポリエチレング
リコールを用いた細胞融合法、マイクロインジェクショ
ン法、赤血球ゴースト法、リポフェクチン法、DEAE
デキストラン法、レトロウイルスなどのベクターを用い
たトランスフェクション法、エレクトロポーレーション
法、などが知られている。しかしながらこれらの処理は
不都合な場合が少くない。すなわち、まず、これらの処
理は処理される細胞、器官、個体に対して障害を与える
ことが多い。またウイルスのベクターを用いる場合はウ
イルス由来の遺伝子が細胞、器官、個体に導入されるこ
とにより予期不可能な悪影響を及ぼす可能性が考えられ
る。
【0003】そこで、このような問題を克服することの
できる細胞導入法として、融合性リポソームを用いる方
法が開発されてきた。すなわち、例えば、ウイルス由来
の融合性タンパク質をリポソームと混和、保温すること
によりこのタンパク質をリポソームに導入し、融合性リ
ポソームを調製する方法が提案されている。(Katoet a
l. J. Biol. Chem, 266:22071−22074,
1991)。しかしなが、このリポソームについても以
下の点が応用上不都合であった。まず、融合タンパク質
がウイルス由来であるために調製が容易ではない。また
融合タンパク質を調整する段階でウイルスの不活化が十
分行われなかった場合、ウイルス自身が細胞、器官、個
体に感染する恐れがあるという問題がある。
【0004】このような状況に鑑みて、この発明の発明
者らは、新しい発想に基づく新規な融合性リポソームを
開発し、これを用いた物質導入法を提案してきた。すな
わち、融合誘起剤であるポリエチレングリコールに炭化
水素鎖を導入した新規合成脂質を用い、これを修飾した
リポソームを構成した(Sato and Sunamoto, Prog.Lipi
d. Res. 31:345−372,1992)。このよう
な再構成(融合性)リポソームを用いることにより植物
プロトプラスト、ヒト子宮頸ガン細胞であるHeLa細
胞の細胞質に物質導入が可能であることをすでに報告し
た(Tanakaet al.,Polymer Preprints, Japan,39:9
12,1990.Okumura et al.Proc, Japan Acad. 6
9(B):45−50,1993)。しかしながら多く
の種類の細胞、例えばリンパ球系の細胞にはこのリポソ
ームによる導入は極めて困難で問題となっていた。
【0005】つまり、これまでの、次式
【0006】
【化2】
【0007】(nは、25までの数を示す)で表わされ
る化合物で修飾したリポソームの場合には、物質導入の
効率を向上させることが難しいのが実情であった。この
ように、細胞質内に生理活性物質を導入する方法として
は、これまでにも様々な方法が提案されているが、これ
までの方法の場合には、多くのものがその障害性、感染
性などの理由から細胞、器官、個体にさまざまな毒性を
もたらすことが指摘されていたが、一方で、障害性、感
染性を示さず、しかも物質導入効率が高い方法は依然と
して確立されていなかった。
【0008】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであって、細胞質への物質導入効率に優れ、
しかも障害性や感染性を示さない、新しい、生細胞への
物質導入のための手段を提案することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、次式
【0010】
【化3】
【0011】(nは25以上の数を示す)の化合物を修
飾したリポソームからなることを特徴とする再構成リポ
ソームと、この再構成リポソームに生細胞への導入物質
が封入されていることを特徴とする再構成リポソームを
提供する。そしてまた、この発明は、上記の導入物質が
封入されている再構成リポソームにより生細胞の細胞質
に物質導入することを特徴とする新しい物質導入方法を
も提供する。
【0012】以上のこの発明の再構成リポソーム、すな
わち融合性リポソームは、通常のホスファチジルコリン
などのリン脂質によって、またこれらのリン脂質を高濃
度で含む混合物によって構成される。これらのリポソー
ムの調製には、攪拌によって作製するボルテックス法、
有機溶媒に脂質を溶解し水溶液との混合物を作製、これ
をエマルジョンとした後に有機溶媒を除去して作製する
逆相蒸発法、ボルテックス法によって作製したリポソー
ムを凍結、あるいは凍結乾燥した後に再度水和して作製
する凍結融解法などが適宜に採用される。より好ましく
は内包体積の大きい1枚膜リポソームを作製することの
可能な逆相蒸発法、もしくは凍結融解法が望ましい。ま
たリポソームはこのまま使用しても構わないが、好まし
くは一定の径をもつフィルターを通すことにより大きさ
を均一に調製することが望ましい。
【0013】これらのリポソームを修飾するための前記
式のポリエチレングリコール誘導体化合物については、
nが25以下のものはこれまでにもこの発明の発明者に
よって提案されているが、この発明のように、n≧25
のものは、この発明によって初めて用いられるものであ
る。そして、その再構成リポソーム用としての作用効果
も、この発明によってはじめて見出されたものであっ
て、その作用効果は、従来の知見からは全く予期し得な
かったものである。
【0014】nは25以上の整数であるが、好ましくは
30±5である。nが25未満の場合には、物質導入の
効率向上はあまり望めない。また、nが大きすぎる場合
にはリポソームそのもののカプセル性が劣化することか
ら好ましくない。もちろん、対象とする生細胞の種類や
状況に応じてこのnの数を最適化することになる。
【0015】この発明の上記のポリエチレングリコール
誘導体は、合成して使用することができる(例:Kuwamu
ra, Kogyokagakuzashi, 64,595(1961))。
たとえば、ポリエチレングリコールとしてnの数が所要
のものを常法に従って合成し、グリセロール並びにCn
2n+1(n=10〜18)アルキル基の導入反応によっ
て合成することができる。
【0016】リポソームへの上記誘導体の組込みは、両
者をエタノール、エーテル等の低沸点有機溶媒中におい
て混合することによって可能であり、通常は、その混合
比率は、30:1〜2:1、より好ましくは、10:1
〜4:1程度とする。たとえばn=32の場合には、リ
ポソームのリン脂質に対する混合比を1/3以下とする
ことで効率よくリポソームを修飾することができる。よ
り好ましくは1/10〜1/4である。混合後は、一定
時間、通常は、常温〜45℃程度で5〜2時間程度保つ
のが好ましい。
【0017】得られた再構成リポソームには適宜な導入
物質が封入される。導入物質の封入は、リポソーム形成
時に同時に混合することによって可能となる。導入物質
には蛍光物質等の標識物質をも含むことができる。この
ようにして調製したリポソームと導入される細胞、組織
上皮を混和し一定時間保温する。好ましくは20〜45
℃、10〜2時間、たとえば37度で30分以上混和、
保温することが望ましいが、これに限られるものではな
い。また、処理された細胞や組織上皮から未融合リポソ
ームを除くためによく洗浄することが望ましい。
【0018】対象とする生細胞には特に制限はないが、
この発明の物質導入方法によって、これまで困難であっ
たリンパ系細胞への物質導入も可能となる。特に、n=
32の化合物を修飾した再構成リポソームを用いること
により、細胞質内への極めて効率的な安定した物質導入
が可能となる。以下、実施例を示し、さらに詳しくこの
発明について説明する。もちろん、この発明は、以下の
実施例によって限定されるものではない。
【0019】
【実施例】n=32の前記式のポリエチレングリコール
誘導体を用い、リポソームを修飾した。細胞としては能
動的な物質取り込み(エンドサイトシス)の少ないリン
パ球系の細胞株(Jurkat)を用いた。導入物質として蛍光
物質(FITC−dextran 、MW=19600)、並びにジ
フテリアトキシンの活性フラグメントを用いた。
【0020】ジフテリアトキシンによる細胞死の測定の
結果、最高で60%程度の細胞に細胞死が確認された。
トキシンは融合を介してのみ導入されることが示唆され
ている。一方、蛍光顕微鏡による観察の結果、FITC−de
xtran が全体の約10−50%の細胞に対して導入され
た。導入はn=32の誘導体をモル比で40%以上加え
たリポソームにおいて観察された。
【0021】
【発明の効果】この発明により、種々の細胞の細胞質内
に物質を高頻度にかつ安全に導入する技術が確立され、
この技術は、分子細胞学における基礎研究のみならず農
業における動物、植物の品種改良、医薬基礎などの各種
応用分野において、生物活性を有する物質を細胞質内に
直接導入する際に広く用いられる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式 【化1】 (nは25以上の数を示す)の化合物を結合したリポソ
    ームからなることを特徴とする再構成リポソーム。
  2. 【請求項2】 請求項1の再構成リポソームに生細胞へ
    の導入物質が封入されている再構成リポソーム。
  3. 【請求項3】 n=30±5の請求項1または2の再構
    成リポソーム。
  4. 【請求項4】 請求項2の再構成リポソームにより生細
    胞の細胞質内に物質導入することを特徴とする物質導入
    方法。
  5. 【請求項5】 n=35の再構成リポソームによりリン
    パ球系細胞の細胞質内に物質導入する請求項4の物質導
    入法。
JP7213595A 1994-03-29 1995-03-29 再構成リポソームと物質導入方法 Pending JPH07316040A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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