JPH07314882A - 記録用シートおよび記録物 - Google Patents

記録用シートおよび記録物

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JPH07314882A
JPH07314882A JP6111278A JP11127894A JPH07314882A JP H07314882 A JPH07314882 A JP H07314882A JP 6111278 A JP6111278 A JP 6111278A JP 11127894 A JP11127894 A JP 11127894A JP H07314882 A JPH07314882 A JP H07314882A
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敏弘 田沼
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Abstract

(57)【要約】 【目的】インクの吸収性が良好で、かつ、色素の定着性
の良好な記録用シートであって、印字後の長期保存でも
退色のない記録用シートを得る。 【構成】基材上に、ジチオカルバミン酸塩、チウラム
塩、チオシアン酸エステル類、チオシアン酸塩およびヒ
ンダードアミンからなる群より選ばれた1種以上の化合
物を含有する擬ベーマイト多孔質インク受理層を有する
インクジェットプリンター記録用シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録用シートおよび記
録物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット方式、静電転写方式、昇
華型熱転写方式等の各種プリンターを用いて画像を形成
することが多くなっている。この場合、普通の紙では十
分な吸収性や解像度が得られず、また透明なものも得ら
れないので、例えば、特開平2−276670号等のよ
うに、基材上に無機の多孔質層を形成した記録用シート
が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような無機の多
孔質層を有する記録用シートは、インクの吸収性が良好
であり、かつ、色素の定着性も良好である。しかし、こ
の無機の多孔質層を有する記録用シートにあっては、印
字後、保存中に退色する場合があった。
【0004】したがって、本発明は、インクの吸収性が
良好であり、かつ、色素の定着性が良好な記録用シート
であって、印字後の長期の保存でも退色のない記録用シ
ートを得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基材上
に、ジチオカルバミン酸塩、チウラム塩、チオシアン酸
エステル類、チオシアン酸塩およびヒンダードアミンか
らなる群より選ばれた1種以上の化合物を含有する多孔
質インク受理層を有する記録用シートが提供される。
【0006】また、本発明によれば、基材上に、ジチオ
カルバミン酸塩、チウラム塩、チオシアン酸エステル
類、チオシアン酸塩およびヒンダードアミンからなる群
より選ばれた1種以上の化合物を含有する多孔質インク
受理層を有し、この多孔質インク受理層に色素が担持さ
れた記録物が提供される。
【0007】ジチオカルバミン酸塩、チウラム塩、チオ
シアン酸エステル類、チオシアン酸塩、ヒンダードアミ
ンは退色防止剤として機能し、印字後における保存中の
インクの退色が防止される。この退色防止剤の機能はま
だ明確ではないが、他の添加剤を安定化したり、大気中
の微量ガスによる退色を防いでいるものと考えられる。
【0008】これらのジチオカルバミン酸塩、チウラム
塩、チオシアン酸エステル類、チオシアン酸塩、ヒンダ
ードアミンは、それぞれ単独で用いても優れた退色防止
効果を有するが、これらの化合物を複数用いれば、より
一層優れた効果を得ることができる。さらに、これらの
化合物をヨウ化物またはヨウ素からなる消光剤と併用す
ることにより、より大きい退色防止効果を得ることがで
きるとともに、消光剤のヨウ素により記録用シートが着
色されてしまうことも防止できる。なお、消光剤とは、
酸素存在下で生成する活性な一重項酸素と作用してそれ
を失活させる物質である。
【0009】本発明の記録用シートは、インクジェット
プリンター用の記録媒体として特に好ましく用いられ
る。本発明の記録用シートは、インクの吸収性、定着性
が特に優れるため、鮮明な色、高い色濃度を表現でき、
かつ、シャープなドットを形成できるからである。
【0010】退色防止剤として使用するジチオカルバミ
ン酸塩としては、好ましくは、ジメチルジチオカルバミ
ン酸カリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム
等が用いられ、チウラム塩としては、好ましくは、テト
ラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラム
モノスルフィド等が用いられ、チオシアン酸エステル類
としては、好ましくは、チオシアン酸メチル、チオシア
ン酸エチル等が用いられ、チオシアン酸塩としては、好
ましくは、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリ
ウム等が用いられる。
【0011】消光剤として用いられるヨウ化物として
は、好ましくは、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムな
どのヨウ化金属類が用いられる。
【0012】また、ヒンダードアミンは、ヨウ化物また
はヨウ素からなる消光剤と併用する場合に、特に有効で
ある。
【0013】多孔質インク受理層に、ジチオカルバミン
酸塩、チウラム塩、チオシアン酸エステル類、チオシア
ン酸塩およびヒンダードアミンからなる群より選ばれた
1種以上の化合物(以下、本退色防止剤という)また
は、ヨウ素またはヨウ化物からなる消光剤(以下、本消
光剤という)および本退色防止剤を付与する方法として
は、あらかじめ形成した多孔質インク受理層に、本退色
防止剤または本退色防止剤および本消光剤を適当な溶媒
に溶解した溶液を浸漬法またはスプレー法などで付与す
る方法が好ましく採用される。あるいは、多孔質インク
受理層を形成する原料に本退色防止剤または本退色防止
剤および本消光剤をあらかじめ混合しておく方法なども
採用できる。
【0014】本退色防止剤の含有量としては、多孔質イ
ンク受理層の重量を基準として0.01〜10重量%で
あることが好ましい。本退色防止剤の含有量が0.01
重量%に満たない場合は、本発明の効果が十分発現せ
ず、インクの退色が起こるおそれがあるので好ましくな
い。本退色防止剤の含有量が10重量%を超える場合
は、多孔質層の吸収性を阻害するおそれがあるので好ま
しくない。より好ましい本退色防止剤の含有量は0.1
〜1重量%である。
【0015】本退色防止剤はそれ単独で用いても効果が
あるが、本消光剤と併用することにより、より一層効果
を高めることができる。この際の本退色防止剤および本
消光剤の合計の含有量は、多孔質インク受理層の重量を
基準として0.01〜10重量%であることが好まし
い。本退色防止剤および本消光剤の合計の含有量が0.
01重量%に満たない場合は、本発明の効果が十分発現
せず、インクの退色が起こるおそれがあるので好ましく
ない。本退色防止剤および本消光剤の合計の含有量が1
0重量%を超える場合は、本消光剤自体による着色が問
題になるばかりか、多孔質層の吸収性を阻害するおそれ
があるので好ましくない。本退色防止剤および本消光剤
の合計の含有量は、より好ましくは、0.1〜1重量%
である。
【0016】本発明において、多孔質インク受理層は、
記録の際にインクを吸収し定着し得る無機の多孔質層で
ある。多孔質インク受理層の厚さは、薄すぎると色素を
十分担持できず、色濃度の低い印刷物しか得られないお
それがあるので好ましくなく、逆に厚すぎると多孔質イ
ンク受理層の強度が低下したり、あるいは透明性が減少
して印刷物の透明性あるいは質感が損なわれるおそれが
あるので好ましくない。多孔質インク受理層の好ましい
厚さは、1〜50μmである。
【0017】多孔質インク受理層は、無機粒子を好まし
くはバインダーで結合した構成であることが好ましい。
無機粒子の材質としては、シリカもしくはアルミナまた
はこれらの水和物が好ましい。これらの材質の中でも、
特に、擬ベーマイトが好ましい。擬ベーマイトからなる
多孔質層は、吸収性が良好であるとともに、色素を選択
的によく吸着するため、各種の記録方式を用いて、色濃
度が高く鮮明な記録物が得られるからである。ここで、
擬ベーマイトは、AlOOHの組成式で表されるアルミ
ナ水和物であり、擬ベーマイトからなる多孔質層は、細
孔構造を有する凝集体である。
【0018】多孔質インク受理層が擬ベーマイトからな
っている場合には、本退色防止剤または本退色防止剤お
よび本消光剤の合計の含有量は、擬ベーマイト1gあた
り、0.05〜50mgであることが好ましい。より好
ましい範囲は、0.1〜20mgである。
【0019】擬ベーマイト多孔質インク受理層として
は、その細孔構造が実質的に半径が1〜10nmの細孔
からなり、細孔容積が0.3〜1.0cc/gであるこ
とが、十分な吸収性を有しかつ透明性もあるので好まし
い。この範囲の細孔構造を有する擬ベーマイト多孔質イ
ンク受理層を用いれば、基材が透明である場合には、記
録用シートも透明なものが得られる。基材が不透明であ
る場合には、基材の質感を損なわずにインクの吸収性等
の必要とされる物性を記録用シートに付与することが可
能である。また、擬ベーマイト多孔質インク受理層の平
均細孔半径が3〜7nmの範囲であればさらに好まし
い。なお、細孔径分布の測定は、窒素吸脱着法による。
【0020】上記のような細孔構造を有する擬ベーマイ
ト多孔質インク受理層を製造するには、アルミニウムの
アルコキシドを加水分解して得たベーマイトゾルを用い
るのが好ましい。擬ベーマイト多孔質インク受理層を基
材上に塗布する手段としては、ベーマイトゾルに、好ま
しくはバインダーを加えてスラリー状とし、ロールコー
ター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッド
コーター、バーコーターなどを用いて基材上に塗布し、
乾燥する方法を好ましく採用できる。
【0021】多孔質インク受理層に用いられるバインダ
ーとしては、でんぷんやその変性物、ポリビニルアルコ
ールおよびその変性物、SBR(ブタジエンスチレンゴ
ム)ラテックス、NBR(ブタジエンアクリロニトリル
ゴム)ラテックス、ヒドロキシセルロース、ポリビニル
ピロリドン等の有機物を用いることができる。バインダ
ーの使用量は、少ないと多孔質インク受理層の強度が不
十分になるおそれがあり、逆に多すぎるとインクの吸収
量や色素の担持量が低くなるおそれがあるので、無機粒
子の5〜50重量%程度が好ましい。
【0022】本発明において、基材としては種々のもの
を使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ETF
E等のフッ素系樹脂等のプラスチック、あるいは紙を好
適に使用することができる。これらの基材には、多孔質
インク受理層の接着強度を向上させる目的で、コロナ放
電処理やアンダーコート等を行うこともできる。
【0023】
【実施例】
実施例1 容量2リットルのガラス製反応器に、水540gとイソ
プロピルアルコール676gを仕込み、マントルヒータ
ーにより液温を75℃に加熱した。撹拌しながらアルミ
ニウムイソプロポキシド306gを添加し、液温を75
〜78℃に保持しながら5時間加水分解を行った。その
後95℃に昇温し、酢酸9gを添加して48時間、75
〜78℃に保持して解膠した。さらにこの液を900g
になるまで濃縮して、白色のゾルを得た。このゾルの乾
燥物は擬ベーマイトであった。
【0024】このアルミナゾル5重量部にポリビニール
アルコール1重量部を加えて、さらに水を加えて、固形
分約10%のスラリーを調製した。このスラリーを、コ
ロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレート(厚
さ100μm)からなる基材の上に、バーコーターを用
いて乾燥時の層厚が30μmになるように塗布、乾燥し
ベーマイト質の多孔質インク受理層を形成した。
【0025】上記のようにして得られた記録用シートの
塗工面を、表1に示す処理薬剤の種々の濃度の水溶液ま
たはエタノール溶液に浸漬し、均一に溶液を塗布した。
これを垂直に吊して風乾した後、ドラム乾燥器にて14
0℃、4分間加熱焼成した。本実施例においては、処理
薬剤として、ジチオカルバミン酸塩を使用した。
【0026】このようにして得られた記録用シートの一
部を切り出し、塩酸水溶液に12時間浸漬した後の溶液
を紫外・可視スペクトルによる吸光分析法、またはイオ
ンクロマトグラフィーで定量して、記録用シートの多孔
質インク受理層中の本退色防止剤または本退色防止剤お
よび本消光剤からなる処理薬剤の量(担持量)を求め
た。
【0027】上記のような薬剤処理を行った本実施例の
記録用シートに、インクジェットプリンターを用いて記
録を行ったところ、インクの吸収性および色素の定着性
は優れていた。
【0028】また、記録用シートにフードブラック2を
含む黒色インクを塗布し30日間室内暴露し黒色の退色
の具合を調べた。結果を表1に示す。比較のために、薬
剤処理を行わない記録用シートについても同じ方法で退
色の具合を調べた。その結果も表1に「未処理」として
示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1において、処理液の処理薬剤の濃度の
単位は重量百分率、記録用シート中の処理薬剤の担持量
の単位は擬ベーマイト(AlOOH)1g当たりのmg
数である。退色度は退色度大(×)、退色度中(△)、
退色度小(○)の三段階で表した。なお未処理のシート
の退色度は大(×)である。なお、処理液濃度および担
持量の単位ならびに退色度の評価基準については、以下
の表2および表3においても同じである。
【0031】実施例2 実施例1と同様にして得た擬ベーマイト多孔質インク受
理層を有する記録用シートに、表2に示す処理薬剤の種
々の濃度の処理液を実施例1と同様にして塗布した。本
実施例においては、処理薬剤として、チウラム塩を使用
した。実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
す。また、本実施例の記録用シートに、インクジェット
プリンターを用いて記録を行ったところ、インクの吸収
性および色素の定着性は優れていた。
【0032】
【表2】
【0033】実施例3 実施例1と同様にして得た擬ベーマイト多孔質インク受
理層を有する記録用シートに、表3に示す処理薬剤の種
々の濃度の処理液を実施例1と同様にして塗布した。本
実施例においては、処理薬剤として、チオシアン酸エス
テル類またはチオシアン酸塩を使用した。実施例1と同
様の評価を行った結果を表3に示す。また、本実施例の
記録用シートに、インクジェットプリンターを用いて記
録を行ったところ、インクの吸収性および色素の定着性
は優れていた。
【0034】
【表3】
【0035】実施例4 紙の基材上に多孔質シリカを実施例1と同様の方法で塗
布して得られたコート紙を、表4に示す処理薬剤の種々
の濃度の水溶液またはエタノール溶液に浸漬して、均一
に塗布した。これを垂直に吊して風乾した後、ドラム乾
燥機にて140℃、4分間加熱焼成した。本実施例にお
いては、処理薬剤として、ジチオカルバミン酸塩を使用
した。
【0036】このようにして得られたシリカコート紙に
ついて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に
示す。表4において、処理液の処理薬剤の濃度の単位は
重量百分率、記録用シート中の処理薬剤の担持量の単位
はシリカ(SiO2 )1g当たりのmg数である。退色
度は退色度大(×)、退色度中(△)、退色度小(○)
の三段階で表した。なお未処理のシートの退色度は大
(×)である。処理液濃度および担持量の単位ならびに
退色度の評価基準については、以下の表5および表6に
おいても同じである。また、本実施例のシリカコート紙
に、インクジェットプリンターを用いて記録を行ったと
ころ、インクの吸収性および色素の定着性は優れてい
た。
【0037】
【表4】
【0038】実施例5 実施例4と同様にして得たシリカコート紙に、表5に示
す処理薬剤の種々の濃度の処理液を実施例1と同様にし
て塗布した。本実施例においては、処理薬剤として、チ
ウラム塩を使用した。このようにして得られたシリカコ
ート紙について実施例4と同様の評価を行った。結果を
表5に示す。なお、未処理のシリカコート紙の退色度は
大(×)である。また、本実施例のシリカコート紙に、
インクジェットプリンターを用いて記録を行ったとこ
ろ、インクの吸収性および色素の定着性は優れていた。
【0039】
【表5】
【0040】実施例6 実施例4と同様にして得たシリカコート紙に、表6に示
す処理薬剤の種々の濃度の処理液を実施例1と同様にし
て塗布した。本実施例においては、処理薬剤として、チ
オシアン酸エステル類またはチオシアン酸塩を使用し
た。このようにして得られたシリカコート紙について実
施例4と同様の評価を行った。結果を表6に示す。な
お、未処理のシリカコート紙の退色度は大(×)であ
る。また、本実施例のシリカコート紙に、インクジェッ
トプリンターを用いて記録を行ったところ、インクの吸
収性および色素の定着性は優れていた。
【0041】
【表6】
【0042】実施例7 実施例1と同様にして得た擬ベーマイト多孔質インク受
理層を有する記録用シートの塗工面を、表7に示す処理
薬剤の種々の濃度の水溶液またはエタノール溶液に浸漬
し、均一に溶液を塗布した。これを垂直に吊して風乾し
た後、ドラム乾燥機にて140℃、4分間加熱焼成し
た。上記実施例1〜6においては、処理薬剤として、ジ
チオカルバミン酸塩、チウラム塩、チオシアン酸エステ
ル類またはチオシアン酸塩のうちの1つの化合物のみを
使用したが、本実施例においては、処理薬剤として、ジ
チオカルバミン酸塩、チウラム塩またはチオシアン酸塩
のうちのいずれか1つの化合物とヨウ化ナトリウムまた
はヨウ化カリウムからなる消光剤との混合物を使用し
た。ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムからなる消
光剤とジチオカルバミン酸塩、チウラム塩またはチオシ
アン酸塩のうちのいずれか1つの化合物との重量比は
1:2であった。処理液濃度は、ジチオカルバミン酸
塩、チウラム塩またはチオシアン酸塩のうちのいずれか
1つの化合物とヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウム
からなる消光剤との混合物の合計の重量百分率である。
【0043】このようにして得られた記録用シートの多
孔質インク受理層中のジチオカルバミン酸塩、チウラム
塩またはチオシアン酸塩のうちのいずれか1つの化合物
とヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムからなる消光
剤との混合物の合計量の定量と退色度の評価を実施例1
と同様にして行った。結果を表7に示す。なお、担持量
の単位ならびに退色度の評価基準については、表1と同
じである。
【0044】さらに、記録用シートの着色を、シートを
室内に10日間放置しその着色の有無を目視で観察する
ことにより調べた。その結果も表7に示す。
【0045】また、比較のために、薬剤処理を行わない
記録用シートについても同じ方法で退色の具合および記
録用シートの着色を調べた。この結果を表7に「未処
理」として示す。
【0046】さらに、比較のために、処理薬剤として、
消光剤であるヨウ化ナトリウムのみを用いた場合につい
ても同じ方法で退色の具合および記録用シートの着色を
調べた。この結果も表7に示す。
【0047】さらに、処理薬剤として、消光剤としての
ヨウ化カリウムとチマソーブ944LDとの混合物を用
いた場合についても同じ方法で退色の具合および記録用
シートの着色を調べた。この結果も表7に示す。ヨウ化
カリウムとチマソーブ944LDとの重量比は1:2で
あり、処理液濃度および担持量はヨウ化カリウムとチマ
ソーブ944LDとの混合物の合計の濃度および担持量
を示している。ここで、チマソーブ944LDとは、チ
バ・ガイギー(CIBA−GEIGY)社の商品名であ
り、チマソーブ(CHIMASSORB)は同社の登録
商標である。この化合物は、ヒンダードアミン系の化合
物であり、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕で表される。
【0048】
【表7】
【0049】表7によれば、処理薬剤としてジチオカル
バミン酸塩、チウラム塩またはチオシアン酸塩のうちの
いずれか1つの化合物とヨウ化ナトリウムまたはヨウ化
カリウムからなる消光剤との混合物を使用した本実施例
の場合は、退色防止性に優れ、しかもシート着色も観測
されなかったのに対して、処理薬剤として消光剤である
ヨウ化ナトリウムのみを使用した場合は、退色防止性に
は優れていたが、記録用シートが着色されてしまうこと
がわかる。また、処理薬剤として、消光剤であるヨウ化
カリウムとチマソーブ944LDとの混合物を使用した
場合にあっては、担持量が少ない場合でも優れた効果を
示す。
【0050】なお、本実施例の記録用シートに、インク
ジェットプリンターを用いて記録を行ったところ、イン
クの吸収性および色素の定着性は優れていた。
【0051】実施例8 実施例1と同様にして得た擬ベーマイト多孔質インク受
理層を有する記録用シートの塗工面を、表8に示す処理
薬剤の種々の濃度の水溶液またはエタノール溶液に浸漬
し、均一に溶液を塗布した。これを垂直に吊して風乾し
た後、ドラム乾燥機にて140℃、4分間加熱焼成し
た。上記実施例1〜6においては、処理薬剤として、ジ
チオカルバミン酸塩、チウラム塩、チオシアン酸エステ
ル類またはチオシアン酸塩のうちの1つの化合物のみを
使用したが、本実施例においては、処理薬剤として、チ
ウラム塩とチオシアン酸塩との混合物、またはチオシア
ン酸塩とヒンダードアミン系化合物との混合物を使用し
た。チウラム塩とチオシアン酸塩との重量比は1:2で
あり、チオシアン酸塩とヒンダードアミン系化合物との
重量比は2:1であった。処理液濃度は、チウラム塩と
チオシアン酸塩との混合物、またはチオシアン酸塩とヒ
ンダードアミン系化合物との混合物の合計の重量百分率
である。
【0052】このようにして得られた記録用シートの多
孔質インク受理層中のチウラム塩とチオシアン酸塩との
混合物、またはチオシアン酸塩とヒンダードアミン系化
合物との混合物の合計量の定量と退色度の評価を実施例
1と同様にして行った。結果を表8に示す。なお、担持
量の単位ならびに退色度の評価基準については、表1と
同じである。
【0053】また、比較のために、薬剤処理を行わない
記録用シートについても同じ方法で退色の具合を調べ
た。この結果を表8に「未処理」として示す。
【0054】ここで、チヌビン622LDとは、チバ・
ガイギー(CIBA−GEIGY)社の商品名であり、
チヌビン(TINUVIN)は同社の登録商標である。
この化合物は、ヒンダードアミン系の化合物であり、コ
ハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−
ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
重縮合物である。
【0055】
【表8】
【0056】表8によれば、処理薬剤としてチウラム塩
とチオシアン酸塩との混合物を使用した場合のみなら
ず、チオシアン酸塩とヒンダードアミン系化合物との混
合物を使用した場合においても、優れた退色防止性を示
すことがわかる。
【0057】なお、本実施例の記録用シートに、インク
ジェットプリンターを用いて記録を行ったところ、イン
クの吸収性および色素の定着性は優れていた。
【0058】
【発明の効果】本発明の記録用シートは、インクの吸収
性が良好で、かつ、色素の定着性が良好である。しか
も、長期の保存でも退色が生じない。本発明の記録用シ
ートは、種々の記録方式に有効であるが、特にインクジ
ェットプリンター用の記録媒体に適する。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に、ジチオカルバミン酸塩、チウラ
    ム塩、チオシアン酸エステル類、チオシアン酸塩および
    ヒンダードアミンからなる群より選ばれた1種以上の化
    合物を含有する多孔質インク受理層を有する記録用シー
    ト。
  2. 【請求項2】前記多孔質インク受理層がヨウ素またはヨ
    ウ化物からなる消光剤をさらに含有する請求項1記載の
    記録用シート。
  3. 【請求項3】前記多孔質インク受理層が擬ベーマイトか
    らなる層である請求項1または2記載の記録用シート。
  4. 【請求項4】前記記録用シートがインクジェットプリン
    ター用の記録媒体である請求項1〜3のいずれかに記載
    の記録用シート。
  5. 【請求項5】基材上に、ジチオカルバミン酸塩、チウラ
    ム塩、チオシアン酸エステル類、チオシアン酸塩および
    ヒンダードアミンからなる群より選ばれた1種以上の化
    合物を含有する多孔質インク受理層を有し、この多孔質
    インク受理層に色素が担持された記録物。
  6. 【請求項6】前記多孔質インク受理層がヨウ素またはヨ
    ウ化物からなる消光剤をさらに含有する請求項5記載の
    記録物。
  7. 【請求項7】前記多孔質インク受理層が擬ベーマイトか
    らなる層である請求項5または6記載の記録物。
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