JP3470702B2 - インクジェットプリンタ用記録用シート - Google Patents
インクジェットプリンタ用記録用シートInfo
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- JP3470702B2 JP3470702B2 JP2001071524A JP2001071524A JP3470702B2 JP 3470702 B2 JP3470702 B2 JP 3470702B2 JP 2001071524 A JP2001071524 A JP 2001071524A JP 2001071524 A JP2001071524 A JP 2001071524A JP 3470702 B2 JP3470702 B2 JP 3470702B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットプリン
タ用記録用シートに関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェット方式、静電転写方式、昇
華型熱転写方式等の各種プリンタを用いて画像を形成す
ることが多くなっている。この場合、普通の紙では十分
な吸収性や解像度が得られず、また透明なものも得られ
ないので、例えば、特開平2−276670号等のよう
に、基材上に無機の多孔質層を形成した記録用シートが
提案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記のような無機の多
孔質層を有する記録用シートは、インクの吸収性が良好
であり、かつ、色素の定着性も良好である。しかし、こ
の無機の多孔質層を有する記録用シートにあっては、印
字後、保存中に退色する場合があった。 【0004】したがって、本発明は、インクの吸収性が
良好であり、かつ、色素の定着性が良好なインクジェッ
トプリンタ用記録用シート(以下、単に記録用シートと
いう)であって、印字後の長期の保存でも退色のない記
録用シートを得ることを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に、ヨ
ウ素またはヨウ化物からなる消光剤とヒンダードアミン
とを含有する多孔質インク受理層を有し、かつ、前記多
孔質インク受理層が無機粒子をバインダーで結合した構
成であることを特徴とする記録用シートである。 【0006】ヒンダードアミンは、退色防止剤として機
能し、印字後における保存中のインクの退色が防止され
る。この退色防止剤の機能はまだ明確ではないが、他の
添加剤を安定化したり、大気中の微量ガスによる退色を
防いだりしているものと考えられる。 【0007】ヒンダードアミンは、単独で用いても優れ
た退色防止効果を有するが、ジチオカルバミン酸塩、チ
ウラム塩、チオシアン酸エステル類およびチオシアン酸
塩からなる群より選ばれた1種以上の化合物を同時に用
いれば、より一層優れた効果を得ることができる。本発
明では、ヒンダードアミンをヨウ化物またはヨウ素から
なる消光剤と併用する。これにより、より大きい退色防
止効果を得ることができるとともに、消光剤のヨウ素に
より記録用シートが着色されてしまうことも防止でき
る。なお、消光剤とは、酸素存在下で生成する活性な一
重項酸素と作用してそれを失活させる物質である。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の記録用シートは、インク
ジェットプリンタ用の記録媒体として特に好ましく用い
られる。本発明の記録用シートは、インクの吸収性、定
着性が特に優れるため、鮮明な色、高い色濃度を表現で
き、かつ、シャープなドットを形成できるからである。 【0009】上記ジチオカルバミン酸塩としては、好ま
しくは、ジメチルジチオカルバミン酸カリウム、ジエチ
ルジチオカルバミン酸ナトリウム等が用いられ、チウラ
ム塩としては、好ましくは、テトラエチルチウラムジス
ルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等が用
いられ、チオシアン酸エステル類としては、好ましく
は、チオシアン酸メチル、チオシアン酸エチル等が用い
られ、チオシアン酸塩としては、好ましくは、チオシア
ン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム等が用いられ
る。 【0010】消光剤として用いられるヨウ化物として
は、好ましくは、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムな
どのヨウ化金属類が用いられる。 【0011】多孔質インク受理層に、ヨウ素またはヨウ
化物からなる消光剤(以下、本消光剤という)およびヒ
ンダードアミンを付与する方法としては、あらかじめ形
成した多孔質インク受理層に、ヒンダードアミンおよび
本消光剤を適当な溶媒に溶解した溶液を浸漬法またはス
プレー法などで付与する方法が好ましく採用される。多
孔質インク受理層を形成する原料にヒンダードアミンお
よび本消光剤をあらかじめ混合しておく方法なども採用
できる。 【0012】ヒンダードアミンの含有量としては、多孔
質インク受理層の重量を基準として0.01〜10重量
%であることが好ましい。ヒンダードアミンの含有量が
0.01重量%に満たない場合は、本発明の効果が十分
発現せず、インクの退色が起こるおそれがあるので好ま
しくない。ヒンダードアミンの含有量が10重量%を超
える場合は、多孔質層の吸収性を阻害するおそれがある
ので好ましくない。より好ましいヒンダードアミンの含
有量は0.1〜1重量%である。 【0013】ヒンダードアミンは、本消光剤と併用する
ことにより、高い効果を発現する。この際のヒンダード
アミンおよび本消光剤の合計の含有量は、多孔質インク
受理層の重量を基準として0.01〜10重量%である
ことが好ましい。ヒンダードアミンおよび本消光剤の合
計の含有量が0.01重量%に満たない場合は、本発明
の効果が十分発現せず、インクの退色が起こるおそれが
あるので好ましくない。ヒンダードアミンおよび本消光
剤の合計の含有量が10重量%を超える場合は、本消光
剤自体による着色が問題になるばかりか、多孔質層の吸
収性を阻害するおそれがあるので好ましくない。ヒンダ
ードアミンおよび本消光剤の合計の含有量は、より好ま
しくは0.1〜1重量%である。 【0014】本発明において、多孔質インク受理層は、
記録の際にインクを吸収し定着し得る無機の多孔質層で
ある。多孔質インク受理層の厚さは、薄すぎると色素を
十分担持できず、色濃度の低い印刷物しか得られないお
それがあるので好ましくなく、逆に厚すぎると多孔質イ
ンク受理層の強度が低下したり、透明性が減少して印刷
物の透明性または質感が損なわれたりするおそれがある
ので好ましくない。多孔質インク受理層の好ましい厚さ
は1〜50μmである。 【0015】多孔質インク受理層は、無機粒子をバイン
ダーで結合した構成であることを要する。無機粒子の材
質としては、シリカもしくはアルミナまたはこれらの水
和物が好ましい。これらの材質の中でも、擬ベーマイト
が特に好ましい。擬ベーマイトからなる多孔質層は、吸
収性が良好であるとともに、色素を選択的によく吸着す
るため、各種の記録方式を用いて、色濃度が高く鮮明な
記録物が得られるからである。ここで、擬ベーマイト
は、AlOOHの組成式で表されるアルミナ水和物であ
り、擬ベーマイトからなる多孔質層は、細孔構造を有す
る凝集体である。 【0016】多孔質インク受理層が擬ベーマイトからな
る場合には、ヒンダードアミンおよび本消光剤の合計の
含有量は、擬ベーマイト1gあたり、0.05〜50m
gであることが好ましい。より好ましい範囲は0.1〜
20mgである。 【0017】擬ベーマイト多孔質インク受理層として
は、その細孔構造が実質的に半径が1〜10nmの細孔
からなりかつ細孔容積が0.3〜1.0cc/gである
ことが、十分な吸収性を有しかつ透明性もあるので好ま
しい。この範囲の細孔構造を有する擬ベーマイト多孔質
インク受理層を用いれば、基材が透明である場合には、
記録用シートも透明なものが得られる。基材が不透明で
ある場合には、基材の質感を損なわずにインクの吸収性
等の必要とされる物性を記録用シートに付与できる。ま
た、擬ベーマイト多孔質インク受理層の平均細孔半径が
3〜7nmの範囲であればさらに好ましい。なお、細孔
径分布の測定は、窒素吸脱着法による。 【0018】上記のような細孔構造を有する擬ベーマイ
ト多孔質インク受理層を製造するには、アルミニウムの
アルコキシドを加水分解して得たベーマイトゾルを用い
るのが好ましい。擬ベーマイト多孔質インク受理層を基
材上に塗布する手段としては、ベーマイトゾルにバイン
ダーを加えてスラリー状とし、ロールコーター、エアナ
イフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バ
ーコーターなどを用いて基材上に塗布し、乾燥する方法
を好ましく採用できる。 【0019】多孔質インク受理層用のバインダーとして
は、でんぷんやその変性物、ポリビニルアルコールおよ
びその変性物、SBR(ブタジエンスチレンゴム)ラテ
ックス、NBR(ブタジエンアクリロニトリルゴム)ラ
テックス、ヒドロキシセルロース、ポリビニルピロリド
ン等の有機物を使用できる。バインダーの使用量は、少
ないと多孔質インク受理層の強度が不十分になるおそれ
があり、逆に多すぎるとインクの吸収量や色素の担持量
が低くなるおそれがあるので、無機粒子の5〜50重量
%程度が好ましい。 【0020】本発明において、基材としては種々のもの
を使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等
のポリエステル、ポリカーボネート、ETFE等のフッ
素系樹脂等のプラスチック、または紙を好適に使用でき
る。これらの基材には、多孔質インク受理層の接着強度
を向上させる目的で、コロナ放電処理やアンダーコート
等を行うこともできる。 【0021】 【実施例】実施例1 容量2リットルのガラス製反応器に、水540gとイソ
プロピルアルコール676gを仕込み、マントルヒータ
ーにより液温を75℃に加熱した。撹拌しながらアルミ
ニウムイソプロポキシド306gを添加し、液温を75
〜78℃に保持しながら5時間加水分解を行った。その
後95℃に昇温し、酢酸9gを添加して48時間、75
〜78℃に保持して解膠した。さらにこの液を900g
になるまで濃縮して、白色のゾルを得た。このゾルの乾
燥物は擬ベーマイトであった。 【0022】このアルミナゾル5重量部にポリビニルア
ルコール1重量部を加え、さらに水を加えて、固形分約
10%のスラリーを調製した。このスラリーを、コロナ
放電処理を施したポリエチレンテレフタレート(厚さ1
00μm)からなる基材の上に、バーコーターを用いて
乾燥時の層厚が30μmになるように塗布、乾燥しベー
マイト質の多孔質インク受理層を形成した。 【0023】上記のようにして得られた記録用シートの
塗工面を、表1に示す処理薬剤の種々の濃度の水溶液ま
たはエタノール溶液に浸漬し、均一に溶液を塗布した。
これを垂直に吊して風乾した後、ドラム乾燥機にて14
0℃で4分間加熱焼成した。 【0024】本実施例においては、処理薬剤として、消
光剤としてのヨウ化カリウムとチマソーブ944LDと
の混合物を用いた。ヨウ化カリウムとチマソーブ944
LDとの重量比は1:2であり、表1の処理液濃度およ
び担持量はヨウ化カリウムとチマソーブ944LDとの
混合物の合計の濃度および担持量を示している。 【0025】ここで、チマソーブ944LDとは、チバ
・ガイギー(CIBA−GEIGY)社の商品名であ
り、チマソーブ(CHIMASSORB)は同社の登録
商標である。この化合物は、ヒンダードアミン系の化合
物であり、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕で表される。 【0026】また、参考例として、処理薬剤としてジチ
オカルバミン酸塩、チウラム塩およびチオシアン酸塩の
うちのいずれか1つの化合物とヨウ化ナトリウムまたは
ヨウ化カリウムからなる消光剤との混合物を使用した。
ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムからなる消光剤
とジチオカルバミン酸塩、チウラム塩およびチオシアン
酸塩のうちのいずれか1つの化合物との重量比は1:2
であった。処理液濃度は、ジチオカルバミン酸塩、チウ
ラム塩およびチオシアン酸塩のうちのいずれか1つの化
合物とヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムからなる
消光剤との混合物の合計の重量百分率である。 【0027】このようにして得られた記録用シートの一
部を切り出し、塩酸水溶液に12時間浸漬した後の溶液
を紫外・可視スペクトルによる吸光分析法、またはイオ
ンクロマトグラフィーで定量して、記録用シートの多孔
質インク受理層中の処理薬剤の量(担持量)を求めた。 【0028】上記のような薬剤処理を行った本実施例の
記録用シートに、インクジェットプリンタを用いて記録
を行ったところ、インクの吸収性および色素の定着性は
優れていた。さらに、記録用シートの着色を、シートを
室内に10日間放置しその着色の有無を目視で観察する
ことにより調べた。その結果も表1に示す。 【0029】また、記録用シートにフードブラック2を
含む黒色インクを塗布し30日間室内暴露し黒色の退色
の具合を調べた。結果を表1に示す。比較のために、薬
剤処理を行わない記録用シートについても同じ方法で退
色の具合を調べた。その結果も表1に「未処理」として
示す。 【0030】さらに、比較のために、処理薬剤として、
消光剤であるヨウ化ナトリウムのみを用いた場合につい
ても同じ方法で退色の具合および記録用シートの着色を
調べた。この結果も表1に示す。 【0031】 【表1】 【0032】表1において、処理液の処理薬剤の濃度の
単位は重量百分率、記録用シート中の処理薬剤の担持量
の単位は擬ベーマイト(AlOOH)1g当たりのmg
数である。退色度は退色度大(×)、退色度中(△)、
退色度小(○)の三段階で表した。なお未処理のシート
の退色度は大(×)である。 【0033】表1によれば、処理薬剤としてチマソーブ
944LDとヨウ化カリウムからなる消光剤との混合物
を使用した実施例の場合は、退色防止性に優れ、しかも
シート着色も観測されなかったのに対して、処理薬剤と
して消光剤であるヨウ化ナトリウムのみを使用した場合
は、退色防止性には優れていたが、記録用シートが着色
されることがわかる。さらに、処理薬剤としてジチオカ
ルバミン酸塩、チウラム塩およびチオシアン酸塩のうち
いずれか1つの化合物と消光剤であるヨウ化ナトリウム
またはヨウ化カリウムとの混合物を使用した参考例と比
較して、チマソーブ944LDとヨウ化カリウムからな
る消光剤との混合物を使用した場合は、担持量が少ない
場合でも優れた効果を示す。 【0034】 【発明の効果】本発明の記録用シートは、インクの吸収
性が良好で、かつ、色素の定着性が良好である。しか
も、長期の保存でも退色が生じない。本発明の記録用シ
ートは、種々の記録方式に有効であるが、特にインクジ
ェットプリンタ用の記録媒体に適する。
タ用記録用シートに関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェット方式、静電転写方式、昇
華型熱転写方式等の各種プリンタを用いて画像を形成す
ることが多くなっている。この場合、普通の紙では十分
な吸収性や解像度が得られず、また透明なものも得られ
ないので、例えば、特開平2−276670号等のよう
に、基材上に無機の多孔質層を形成した記録用シートが
提案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記のような無機の多
孔質層を有する記録用シートは、インクの吸収性が良好
であり、かつ、色素の定着性も良好である。しかし、こ
の無機の多孔質層を有する記録用シートにあっては、印
字後、保存中に退色する場合があった。 【0004】したがって、本発明は、インクの吸収性が
良好であり、かつ、色素の定着性が良好なインクジェッ
トプリンタ用記録用シート(以下、単に記録用シートと
いう)であって、印字後の長期の保存でも退色のない記
録用シートを得ることを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に、ヨ
ウ素またはヨウ化物からなる消光剤とヒンダードアミン
とを含有する多孔質インク受理層を有し、かつ、前記多
孔質インク受理層が無機粒子をバインダーで結合した構
成であることを特徴とする記録用シートである。 【0006】ヒンダードアミンは、退色防止剤として機
能し、印字後における保存中のインクの退色が防止され
る。この退色防止剤の機能はまだ明確ではないが、他の
添加剤を安定化したり、大気中の微量ガスによる退色を
防いだりしているものと考えられる。 【0007】ヒンダードアミンは、単独で用いても優れ
た退色防止効果を有するが、ジチオカルバミン酸塩、チ
ウラム塩、チオシアン酸エステル類およびチオシアン酸
塩からなる群より選ばれた1種以上の化合物を同時に用
いれば、より一層優れた効果を得ることができる。本発
明では、ヒンダードアミンをヨウ化物またはヨウ素から
なる消光剤と併用する。これにより、より大きい退色防
止効果を得ることができるとともに、消光剤のヨウ素に
より記録用シートが着色されてしまうことも防止でき
る。なお、消光剤とは、酸素存在下で生成する活性な一
重項酸素と作用してそれを失活させる物質である。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の記録用シートは、インク
ジェットプリンタ用の記録媒体として特に好ましく用い
られる。本発明の記録用シートは、インクの吸収性、定
着性が特に優れるため、鮮明な色、高い色濃度を表現で
き、かつ、シャープなドットを形成できるからである。 【0009】上記ジチオカルバミン酸塩としては、好ま
しくは、ジメチルジチオカルバミン酸カリウム、ジエチ
ルジチオカルバミン酸ナトリウム等が用いられ、チウラ
ム塩としては、好ましくは、テトラエチルチウラムジス
ルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等が用
いられ、チオシアン酸エステル類としては、好ましく
は、チオシアン酸メチル、チオシアン酸エチル等が用い
られ、チオシアン酸塩としては、好ましくは、チオシア
ン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム等が用いられ
る。 【0010】消光剤として用いられるヨウ化物として
は、好ましくは、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムな
どのヨウ化金属類が用いられる。 【0011】多孔質インク受理層に、ヨウ素またはヨウ
化物からなる消光剤(以下、本消光剤という)およびヒ
ンダードアミンを付与する方法としては、あらかじめ形
成した多孔質インク受理層に、ヒンダードアミンおよび
本消光剤を適当な溶媒に溶解した溶液を浸漬法またはス
プレー法などで付与する方法が好ましく採用される。多
孔質インク受理層を形成する原料にヒンダードアミンお
よび本消光剤をあらかじめ混合しておく方法なども採用
できる。 【0012】ヒンダードアミンの含有量としては、多孔
質インク受理層の重量を基準として0.01〜10重量
%であることが好ましい。ヒンダードアミンの含有量が
0.01重量%に満たない場合は、本発明の効果が十分
発現せず、インクの退色が起こるおそれがあるので好ま
しくない。ヒンダードアミンの含有量が10重量%を超
える場合は、多孔質層の吸収性を阻害するおそれがある
ので好ましくない。より好ましいヒンダードアミンの含
有量は0.1〜1重量%である。 【0013】ヒンダードアミンは、本消光剤と併用する
ことにより、高い効果を発現する。この際のヒンダード
アミンおよび本消光剤の合計の含有量は、多孔質インク
受理層の重量を基準として0.01〜10重量%である
ことが好ましい。ヒンダードアミンおよび本消光剤の合
計の含有量が0.01重量%に満たない場合は、本発明
の効果が十分発現せず、インクの退色が起こるおそれが
あるので好ましくない。ヒンダードアミンおよび本消光
剤の合計の含有量が10重量%を超える場合は、本消光
剤自体による着色が問題になるばかりか、多孔質層の吸
収性を阻害するおそれがあるので好ましくない。ヒンダ
ードアミンおよび本消光剤の合計の含有量は、より好ま
しくは0.1〜1重量%である。 【0014】本発明において、多孔質インク受理層は、
記録の際にインクを吸収し定着し得る無機の多孔質層で
ある。多孔質インク受理層の厚さは、薄すぎると色素を
十分担持できず、色濃度の低い印刷物しか得られないお
それがあるので好ましくなく、逆に厚すぎると多孔質イ
ンク受理層の強度が低下したり、透明性が減少して印刷
物の透明性または質感が損なわれたりするおそれがある
ので好ましくない。多孔質インク受理層の好ましい厚さ
は1〜50μmである。 【0015】多孔質インク受理層は、無機粒子をバイン
ダーで結合した構成であることを要する。無機粒子の材
質としては、シリカもしくはアルミナまたはこれらの水
和物が好ましい。これらの材質の中でも、擬ベーマイト
が特に好ましい。擬ベーマイトからなる多孔質層は、吸
収性が良好であるとともに、色素を選択的によく吸着す
るため、各種の記録方式を用いて、色濃度が高く鮮明な
記録物が得られるからである。ここで、擬ベーマイト
は、AlOOHの組成式で表されるアルミナ水和物であ
り、擬ベーマイトからなる多孔質層は、細孔構造を有す
る凝集体である。 【0016】多孔質インク受理層が擬ベーマイトからな
る場合には、ヒンダードアミンおよび本消光剤の合計の
含有量は、擬ベーマイト1gあたり、0.05〜50m
gであることが好ましい。より好ましい範囲は0.1〜
20mgである。 【0017】擬ベーマイト多孔質インク受理層として
は、その細孔構造が実質的に半径が1〜10nmの細孔
からなりかつ細孔容積が0.3〜1.0cc/gである
ことが、十分な吸収性を有しかつ透明性もあるので好ま
しい。この範囲の細孔構造を有する擬ベーマイト多孔質
インク受理層を用いれば、基材が透明である場合には、
記録用シートも透明なものが得られる。基材が不透明で
ある場合には、基材の質感を損なわずにインクの吸収性
等の必要とされる物性を記録用シートに付与できる。ま
た、擬ベーマイト多孔質インク受理層の平均細孔半径が
3〜7nmの範囲であればさらに好ましい。なお、細孔
径分布の測定は、窒素吸脱着法による。 【0018】上記のような細孔構造を有する擬ベーマイ
ト多孔質インク受理層を製造するには、アルミニウムの
アルコキシドを加水分解して得たベーマイトゾルを用い
るのが好ましい。擬ベーマイト多孔質インク受理層を基
材上に塗布する手段としては、ベーマイトゾルにバイン
ダーを加えてスラリー状とし、ロールコーター、エアナ
イフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バ
ーコーターなどを用いて基材上に塗布し、乾燥する方法
を好ましく採用できる。 【0019】多孔質インク受理層用のバインダーとして
は、でんぷんやその変性物、ポリビニルアルコールおよ
びその変性物、SBR(ブタジエンスチレンゴム)ラテ
ックス、NBR(ブタジエンアクリロニトリルゴム)ラ
テックス、ヒドロキシセルロース、ポリビニルピロリド
ン等の有機物を使用できる。バインダーの使用量は、少
ないと多孔質インク受理層の強度が不十分になるおそれ
があり、逆に多すぎるとインクの吸収量や色素の担持量
が低くなるおそれがあるので、無機粒子の5〜50重量
%程度が好ましい。 【0020】本発明において、基材としては種々のもの
を使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等
のポリエステル、ポリカーボネート、ETFE等のフッ
素系樹脂等のプラスチック、または紙を好適に使用でき
る。これらの基材には、多孔質インク受理層の接着強度
を向上させる目的で、コロナ放電処理やアンダーコート
等を行うこともできる。 【0021】 【実施例】実施例1 容量2リットルのガラス製反応器に、水540gとイソ
プロピルアルコール676gを仕込み、マントルヒータ
ーにより液温を75℃に加熱した。撹拌しながらアルミ
ニウムイソプロポキシド306gを添加し、液温を75
〜78℃に保持しながら5時間加水分解を行った。その
後95℃に昇温し、酢酸9gを添加して48時間、75
〜78℃に保持して解膠した。さらにこの液を900g
になるまで濃縮して、白色のゾルを得た。このゾルの乾
燥物は擬ベーマイトであった。 【0022】このアルミナゾル5重量部にポリビニルア
ルコール1重量部を加え、さらに水を加えて、固形分約
10%のスラリーを調製した。このスラリーを、コロナ
放電処理を施したポリエチレンテレフタレート(厚さ1
00μm)からなる基材の上に、バーコーターを用いて
乾燥時の層厚が30μmになるように塗布、乾燥しベー
マイト質の多孔質インク受理層を形成した。 【0023】上記のようにして得られた記録用シートの
塗工面を、表1に示す処理薬剤の種々の濃度の水溶液ま
たはエタノール溶液に浸漬し、均一に溶液を塗布した。
これを垂直に吊して風乾した後、ドラム乾燥機にて14
0℃で4分間加熱焼成した。 【0024】本実施例においては、処理薬剤として、消
光剤としてのヨウ化カリウムとチマソーブ944LDと
の混合物を用いた。ヨウ化カリウムとチマソーブ944
LDとの重量比は1:2であり、表1の処理液濃度およ
び担持量はヨウ化カリウムとチマソーブ944LDとの
混合物の合計の濃度および担持量を示している。 【0025】ここで、チマソーブ944LDとは、チバ
・ガイギー(CIBA−GEIGY)社の商品名であ
り、チマソーブ(CHIMASSORB)は同社の登録
商標である。この化合物は、ヒンダードアミン系の化合
物であり、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕で表される。 【0026】また、参考例として、処理薬剤としてジチ
オカルバミン酸塩、チウラム塩およびチオシアン酸塩の
うちのいずれか1つの化合物とヨウ化ナトリウムまたは
ヨウ化カリウムからなる消光剤との混合物を使用した。
ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムからなる消光剤
とジチオカルバミン酸塩、チウラム塩およびチオシアン
酸塩のうちのいずれか1つの化合物との重量比は1:2
であった。処理液濃度は、ジチオカルバミン酸塩、チウ
ラム塩およびチオシアン酸塩のうちのいずれか1つの化
合物とヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムからなる
消光剤との混合物の合計の重量百分率である。 【0027】このようにして得られた記録用シートの一
部を切り出し、塩酸水溶液に12時間浸漬した後の溶液
を紫外・可視スペクトルによる吸光分析法、またはイオ
ンクロマトグラフィーで定量して、記録用シートの多孔
質インク受理層中の処理薬剤の量(担持量)を求めた。 【0028】上記のような薬剤処理を行った本実施例の
記録用シートに、インクジェットプリンタを用いて記録
を行ったところ、インクの吸収性および色素の定着性は
優れていた。さらに、記録用シートの着色を、シートを
室内に10日間放置しその着色の有無を目視で観察する
ことにより調べた。その結果も表1に示す。 【0029】また、記録用シートにフードブラック2を
含む黒色インクを塗布し30日間室内暴露し黒色の退色
の具合を調べた。結果を表1に示す。比較のために、薬
剤処理を行わない記録用シートについても同じ方法で退
色の具合を調べた。その結果も表1に「未処理」として
示す。 【0030】さらに、比較のために、処理薬剤として、
消光剤であるヨウ化ナトリウムのみを用いた場合につい
ても同じ方法で退色の具合および記録用シートの着色を
調べた。この結果も表1に示す。 【0031】 【表1】 【0032】表1において、処理液の処理薬剤の濃度の
単位は重量百分率、記録用シート中の処理薬剤の担持量
の単位は擬ベーマイト(AlOOH)1g当たりのmg
数である。退色度は退色度大(×)、退色度中(△)、
退色度小(○)の三段階で表した。なお未処理のシート
の退色度は大(×)である。 【0033】表1によれば、処理薬剤としてチマソーブ
944LDとヨウ化カリウムからなる消光剤との混合物
を使用した実施例の場合は、退色防止性に優れ、しかも
シート着色も観測されなかったのに対して、処理薬剤と
して消光剤であるヨウ化ナトリウムのみを使用した場合
は、退色防止性には優れていたが、記録用シートが着色
されることがわかる。さらに、処理薬剤としてジチオカ
ルバミン酸塩、チウラム塩およびチオシアン酸塩のうち
いずれか1つの化合物と消光剤であるヨウ化ナトリウム
またはヨウ化カリウムとの混合物を使用した参考例と比
較して、チマソーブ944LDとヨウ化カリウムからな
る消光剤との混合物を使用した場合は、担持量が少ない
場合でも優れた効果を示す。 【0034】 【発明の効果】本発明の記録用シートは、インクの吸収
性が良好で、かつ、色素の定着性が良好である。しか
も、長期の保存でも退色が生じない。本発明の記録用シ
ートは、種々の記録方式に有効であるが、特にインクジ
ェットプリンタ用の記録媒体に適する。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】基材上に、ヨウ素またはヨウ化物からなる
消光剤とヒンダードアミンとを含有する多孔質インク受
理層を有し、かつ、前記多孔質インク受理層が無機粒子
をバインダーで結合した構成であることを特徴とするイ
ンクジェットプリンタ用記録用シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001071524A JP3470702B2 (ja) | 2001-03-14 | 2001-03-14 | インクジェットプリンタ用記録用シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001071524A JP3470702B2 (ja) | 2001-03-14 | 2001-03-14 | インクジェットプリンタ用記録用シート |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP11127894A Division JP3435804B2 (ja) | 1994-05-25 | 1994-05-25 | インクジェット記録用シート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001301323A JP2001301323A (ja) | 2001-10-31 |
JP3470702B2 true JP3470702B2 (ja) | 2003-11-25 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2001071524A Expired - Fee Related JP3470702B2 (ja) | 2001-03-14 | 2001-03-14 | インクジェットプリンタ用記録用シート |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3470702B2 (ja) |
-
2001
- 2001-03-14 JP JP2001071524A patent/JP3470702B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JP2001301323A (ja) | 2001-10-31 |
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