JPH07312928A - 苗移植機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】土壌面に敷設されたマルチフィルム１上から、
この土壌面に一定間隔に苗植を行う。 【構成】一定間隔に白Ａ、黒Ｂ等の表示部を施したマル
チフィルム１の敷設された土壌面に沿って走行しなが
ら、この表示部を光センサ−２で検出することにより苗
植装置３の伝動クラッチ４を入りにして、該マルチフィ
ルム敷設の土壌面に苗植を行わせる苗移植機の構成。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、マルチフィルムが敷
設された畝をまたいで畝上面の土壌に苗を植え付けなが
ら走行する苗移植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】実開平３−７６４１６号公報に、マルチ
フィルムに開けられた植付孔を検出する検出センサ−を
設け、該センサ−の植付孔の検出信号に移植部の植付動
作を連動させる苗移植機が開示されている。尚、前記検
出センサ−は、接触式センサ−で構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、植付作業走
行中にスリップすると植付株間が変化するが、特に、マ
ルチフィルムが敷設された畝では、マルチフィルムを畝
表面に押さえ付ける盛り土が畝間の谷部に点在するの
で、ここを植付作業走行する場合、頻繁に機体が上下左
右に揺らされてスリップ率も頻繁に変動し、植付株間が
一定にならない状況があった。

【０００４】また、傾斜地につくられた畝を植付作業走
行する場合、上り時と下り時とでは走行時のスリップ率
が異なり、上り下りで植付株間が相違する状況があっ
た。そこで、上記従来技術のように、予めマルチフィル
ムに一定間隔で植付孔を開けておいて、その植付孔に苗
を植付ける苗移植機が考えられたのだが、その苗移植機
での植付孔の検出は接触式センサ−で検出するように構
成されているので、機体が大きく左右にずれたりする
と、植付孔を検出できなくなる問題があった。また、機
体が左右に大きくずれても植付孔を検出できるようにす
るためには、マルチフィルムの植付孔を大きくしておか
なければならない問題あった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明の苗移植機は、
進行方向に所定ピッチで左右に幅広く表示部が施された
マルチフィルムに着目し、そのマルチフィルムが敷設さ
れた畝をまたいで植付作業走行する。即ち、マルチフィ
ルムの表示部を光センサ−が光学的に検出し、その光セ
ンサ−の表示部の検出により表示部のピッチに植付株間
が合うよう植付株間制御機構により植付部の駆動が制御
されて、苗が植え付けられる。

【０００６】よって、植付作業走行時において、各種圃
場条件によりスリップ率が変動しても、マルチフィルム
の表示部のピッチに合わせて苗が植え付けられていくの
で、適正な苗の植付株間が維持される。

【０００７】

【実施例】図１〜図３において、苗植機は、フレ−ム５
の前部に、左右一対の駆動車輪６を配置し、エンジンＥ
を搭載し、後部には、操縦ハンドル７、尾輪８、覆土用
鎮圧輪９等を配置し、フレ−ム５の上部には、苗を載せ
て送りベルト１０の駆動によって後側の苗植付装置１１
部側へ供給する苗載台１２を設け、又、尾輪８の横側に
は前記苗載台１２の苗受枠１４の苗取出口から取出され
る苗をマルチフィルム１の敷設された畝土壌面に植付け
る苗植付装置１１を設けている。

【０００８】前記左右の駆動車輪６は、ミッションケ−
ス１３から左右両側に張出されたアクスルハウジング２
４の回りに上下回動自在の車輪ケ−ス１５に軸装され、
左右の尾輪８を軸１７で上下回動自在に支持する尾輪ア
−ム１６との間をリンク機構１８で連結して、フレ−ム
５に対して前後の駆動車輪６と尾輪８とが平行的に上下
動して、車体の地上高さを一定に維持するように構成す
る。１９はマルチフィルム１の敷設された畝土壌面を摺
接する接地センサ−で、油圧切替弁２０を連動し、これ
によって該リンク機構１８を油圧作動させる昇降シリン
ダ−２１を伸縮させて、土壌面に対する苗植付深さを一
定に維持する。

【０００９】苗植装置３の苗載台１２は、ポット状苗を
載せてリ−ドカム軸２２の回転によって左右へ往復移動
すると共に、前記送りベルト１０の間欠的駆動によっ
て、苗を苗受枠１４側へ繰出す。苗植付装置１１は、苗
植付爪２３を有して該苗載台１２から供給される苗を保
持して下方の土壌面へ植付ける。鎮圧輪９は、マルチフ
ィルム１の被覆された上側から畝土壌面に押圧して、土
壌面の植付穴に植付けられた苗元部に土壌を寄せる覆土
用である。

【００１０】エンジンＥから、駆動車輪６や苗植装置３
への伝動構成は、前記ミッションケ−ス１３、及びフレ
−ム５内を経て各部へ連動する。エンジンＥからミッシ
ョンケ−ス１３の遠心クラッチによる主クラッチ２６、
ウォ−ムギヤ２５等を経て、駆動軸２９を連動する。こ
の駆動軸２９からは、走行クラッチ２７、及び左右の操
向クラッチ２８を介して、アクスルハウジング２４内の
車軸３０を連動し、車輪ケ−ス１５内のチェンを経て各
駆動車輪６へ連動する。

【００１１】前記ウォ−ムギヤ２５からは、ギヤやチェ
ン機構等を経てフレ−ム５内の軸３１に連動し、この軸
３１と変速軸３２との間に、低速ギヤ伝動のワンウェイ
クラッチ３３と変速ギヤ伝動の電磁クラッチ３４とを設
け、この電磁クラッチ３４を入りにすると変速軸３２を
高速回転し、切りにするとワンウェイクラッチ３３の自
動入りによって低速回転する連動構成である。これによ
って苗植装置１１の変速、苗植付株間変更を円滑に行わ
せることができる。

【００１２】変速軸３２は、苗送り駆動カム３５や作溝
駆動カム３６等を有し、これらの回転によって前記苗載
台１２の送りベルト１０を間欠駆動し、又、マルチフィ
ルム１の敷設土壌面に苗植溝穴を形成する作溝爪３７を
間欠駆動する連動構成である。又、この変速軸３２から
は、前記リ−ドカム軸２２を駆動して、苗載台１２を左
右へ往復移動させ、遊星ギヤ機構を有する苗植付装置１
１を駆動して苗植付爪２３をたて長の楕円軌跡（走行停
止時）に回転させる。

【００１３】前記電磁クラッチ３４は、苗植装置３の伝
動クラッチ４を構成するもので、この電磁クラッチ３４
のオン・オフは、光センサ−２の表示部の検出信号に基
づき電磁クラッチ３４がオンとなり、植付爪が下死点を
通過して土壌から上昇する行程中に設けた固定のスイッ
チにより電磁クラッチ３４がオフとなるように設けてい
る。電磁クラッチ３４がオフのときは低速伝動状態とな
り、電磁クラッチがオンのときは高速伝動状態となり、
この高速伝動状態のときに植付装置の植付爪の軌跡を描
くように設けている。

【００１４】マルチフィルム１は、一定の幅に亘って帯
状の白色（透明、半透明でもよい）部Ａと黒色部Ｂとを
形成し、この白色部Ａと黒色部Ｂとをマルチフィルム１
の長手方向に亘って一定間隔に交互に形成している。こ
のようなマルチフィルム１をフィルム敷設機によって予
め畝成形される土壌面に敷設しておく。この敷設された
畝上のマルチフィルム１は、前記白色部Ａと黒色部Ｂと
が横縞模称の表示部として表わされる。なお、マルチフ
ィルム１の敷設は、苗植機による苗植と同時に行いうる
ように、苗植機の前側にマルチフィルム敷設装置を装
着、又は連結する構成とするもよい。

【００１５】なお、前記光センサ−２による表示部検出
とこれによる苗植付装置１１の苗植付とのタイミング
は、コントロ−ラ３８における遅延タイマ−３９の設定
ダイヤル４０による設定によって決めるようにしてもよ
い。これによって苗植付用の穴明爪３７の作用位置及び
苗植付爪２３による苗植付位置は、マルチフィルム１の
白色部Ａ、又は黒色部Ｂ等に調節し、又は選択すること
もできる。

【００１６】図４においては、前記マルチフィルム１の
表示部を、長手方向に沿って所定の間隔に黒色部Ｂをバ
−コ−ドとして施したもので、この各バ−コ−ドＢ１の
間隔Ｌ１をキャベツ苗移植用とし、バ−コ−ドＢ２の間
隔Ｌ２をレタス苗移植用として、前記光センサ−２で検
出させて植付装置１１による植付を行わせるもよい。図
５，図６において、上例と異なる点は、前記接地センサ
−１９の後側に、ばね４１で下方のマルチフィルム１面
に押圧する鎮圧ロ−ル４２を設け、前記作溝爪３７によ
る作溝時に生ずる土壌の隆起をなくして、結球野菜の変
形を防止する。作溝爪３７がマルチフィルム１の上面か
ら土壌面に刺込まれて、土壌面に苗植付用の作溝を行う
ときは、この作溝によって前進側へ掻寄られて、作溝の
前縁部に土壌の隆起部を生じ、これによってマルチフィ
ルム１の一部が押上げられ、栽培されるキャベツや、レ
タス等の結球野菜の正常な育成を阻害することが多い
が、前記のように鎮圧ロ−ル４２によって、この土壌を
押圧して隆起を防止することができる。又、後側の鎮圧
輪９は、該鎮圧ロ−ル４２の左右両側方に位置して作溝
部の左右両側部を中央側へ押圧するように働く。

【００１７】図７において、上例と異なる点は、作溝爪
３７の前側に土壌面をマルチフィルム１の上側面から押
える鎮圧ロ−ル４２を設ける。これによって、構成が簡
単であり、作溝と同期してタイミングのずれがなく、正
確な作溝を行わせる。作溝爪３７は、フレ−ム５の下部
に枢着４３，４４された上下回動自在の平行リンク４
５，４６の後端部に枢着４７，４８され、この平行リン
ク４５の基部はばね４９で上昇側へ張圧し、この平行リ
ンク４５の中間部のロ−ル５０部を、軸５１回りに間欠
的に回転するカム５２で該ばね４９に抗して下動するこ
とにより、作溝爪３７敷設マルチフィルム１の上側面か
ら土壌面へ刺し込んで所定のフィルム穴Ｃと作溝Ｄとを
形成する。

【００１８】鎮圧ロ−ル４２は、作溝爪３７の前側上部
にア−ム５２ヒンジ５３を有して、このヒンジ５３回り
に下方へばね５４で張圧され、作溝３７の若干の深浅変
化があっても、土壌面を押圧する構成としている。又、
この鎮圧ロ−ル４２が鎮圧の反力で一定位置まで押上げ
られると、ア−ム５２は上方への回動が係止され、更に
カム５２による作溝爪３７の下動力が働くときは、土壌
面は一定面に強制的に鎮圧される。

【００１９】図８において、上例と異なる点は、前記作
溝爪３７の後側に施肥パイプ５５の施肥口５６を設け、
施肥をこの作溝爪３７の作溝と同期して、作溝Ｄ内に正
確に行わせる。車体上方に設ける施肥ホッパ−５７に
は、開閉弁５８が設けられ、前記平行リンク４５が下動
して作溝Ｄを行っている間に、該開閉弁５８をばね５９
に抗して開くようにワイヤ−６０連動して、施肥するよ
うに構成している。

【００２０】図９〜図１１においては、前記苗植付爪２
３の構成として、根保持部６１の後側に土掻片６２を下
側へ長く突出させて、この苗植付爪２３の苗植付行程に
おける後方への掻寄分力Ｆとによって、前記マルチフィ
ルム１の下側に形成される作溝Ｄ部の土壌を後側へ掻き
寄せて、苗保持部６１によって保持され移植されるポッ
ト状苗の植付姿勢を直立状に維持できる。

【００２１】苗植付装置１１の苗植付爪２３の作動軌跡
線Ｇは、走行速と苗植機体に対する楕円形状の植付作動
速度との関係によって、土壌面における苗植付行程で
は、走行方向の前位置から作溝Ｄ内に入って、後方へ移
動しながら上昇する掻寄分力Ｆを有することができる
が、この後側への掻寄分力Ｆを利用して、前記土掻片６
２により作溝Ｄの土壌を後側へ掻き寄せて、溝底を広く
してこの苗植付爪２３の苗保持部６１から押出解放され
るポット状苗Ｈの座りを安定させる。

【００２２】苗植付爪２３は、植付ケ−ス６３の下方に
突出されて、左右一対の苗保持部６１と、この左右の苗
保持部６１間において上下動して保持した苗Ｈを植付時
に下方へ押出す左右一対の押出片６４とからなり、前記
土掻片６２は、この左右いずれかの苗保持部６１の後側
縁に一体で、これから他側の苗保持部６１の後側に亘る
ように形成され、これら苗保持部６１の下縁よりも下方
へ適宜高さに突出される。苗保持部６１間に挾持される
ポット状苗Ｈの下部後側面を覆うことにより、この苗植
付爪２３が作溝Ｄ部の土壌面に接するときの土壌抵抗
を、この保持されている苗Ｈに直接与えないように構成
している。

【００２３】なお、苗植付ケ−ス６３は、前記苗植付装
置１１の遊星ギヤ機構６５（図２）の連動によって、カ
ム軸６６とこの外側のケ−ス軸６７との相対回転で、こ
のケ−ス軸６７に一体として一定の苗植付作動姿勢に維
持されると共に、このカム軸６６の回転でカム６８を駆
動して、ア−ム６９をばね７１に抗して上下回動し、ロ
ッド７０の下端に取付けた押出片６４を上下動する。そ
して、苗植付爪２１が苗載台１２に向う苗を保持する行
程では、押出片６４は苗保持部６１に対して上昇した位
置にあり、作溝Ｄ部上に下動した行程では、この押出片
６４の下動によって、苗保持部６１で保持していた苗Ｈ
を下方へ押し出して作溝Ｄ部に置くことができる。

【００２４】又、苗保持部６１は、この昇降動と一定の
関係を保って横方向へ開くことができ、前記カム軸６６
のカム７１によって該一側の苗保持部６１を有する軸７
２が左右揺動される。苗植付爪２３が作溝Ｄ部に下動し
たときこの一側の苗保持部６１が外側へ開く。又、この
内側の押出片６４も板ばね材で構成されて、苗保持部６
１の開閉揺動に従って開閉する。

【図面の簡単な説明】

【図１】側面図。

【図２】伝動機構図。

【図３】制御ブロック図。

【図４】マルチフィルムの一部別実施例を示す斜視図と
平面図。

【図５】一部別実施例を示す作溝爪部の側面図。

【図６】その平面図と作用を示す背面図。

【図７】一部別実施例を示す作溝爪部の側面図と、平面
図。

【図８】一部別実施例を示す作溝爪部の側面図。

【図９】苗植付爪部の側面図。

【図１０】その正面図。

【図１１】その一部の作用を示す側面図。

【符号の説明】

１ マルチフィルム ２ 光センサ− ３ 苗植装置 ４ 伝動クラッチ Ａ 白色部 Ｂ 黒色部

フロントページの続き (72)発明者 渡部 伸 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 青木 義勝 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 荒木 正勝 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 木下 栄一郎 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農機 株式会社技術部内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 畝面状に敷設されたマルチフィルムに所
   定ピッチで施された表示部を光学的に検出する光センサ
   −を設け、該光センサ−の前記表示部の検出により表示
   部のピッチに植付株間が合うよう植付部の駆動を制御す
   る植付株間制御機構を設けた苗移植機。