JP3259290B2 - 野菜移植機の作溝装置 - Google Patents

野菜移植機の作溝装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、畝をまたいで走行し
ながら苗を植付ける野菜移植機の作溝装置に関し、特に
上面にマルチフィルムが被覆された畝に苗を植付ける場
合の作溝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特開平2−222603号公報に
開示されているように、作溝体が畝面に対し上下に往復
動して間歇的に溝を作る作溝装置を設け、該作溝装置に
より作られた溝に苗を植付る植付装置を設けた野菜移植
機において、前記作溝体により畝上面に被覆されたマル
チフィルムを突き破って畝上面に作溝する野菜移植機の
作溝装置があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の作溝装置は、作
溝体がマルチフィルムを突き破って畝面下まで下動し、
そして、再び畝面上に上動してマルチをコ字状にカット
しながら苗を植付ける溝を作っていた。その後、溝に苗
が植付けられるが、コ字状にカットされたマルチの切れ
端は、その苗の上にめくれあがり風であおられてかぶさ
ってしまうことがある。そのかぶさったフィルムの切れ
端は太陽光により熱せられて高熱となり、そのフィルム
の熱で苗の葉が焼けて成育障害を起す。なお、特開昭6
3−240710号公報には、作溝装置に、作溝体によ
り切断されたマルチフィルムの切れ端を切断されていな
い部分の側の下部に押込む押込作動部材を設けるとする
技術が開示されている。具体的には、押込作動部材が作
溝体の前方に突出揺動して、その押込作動部材がマルチ
フィルムの切れ端の中間部を溝内の前側面の土壌中に押
し込むように構成したものである。従って、このような
構成のものでは、マルチフィルムの切れ端の中間部は土
壌中に押し込まれるが、切れ端の先端部は溝内の土壌中
に押し込まれずに溝内に残った状態となりやすく、その
ため、作溝体が上昇するときに切れ端が上方につれ出さ
れることが生じやすく、上記の問題を充分に防止できな
い。
【0004】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに、この発明は、作溝体20aが上下動して間歇的に
畝面のマルチフィルムに孔を開けながら溝を作る作溝装
置20を設け、該作溝装置20により作られた溝に苗を
植付る植付装置15を設けた野菜移植機において、前記
作溝装置20に、作溝体20aが畝面下から上動する前
に作溝体20aの下端位置より下方に突出作動する押込
作動部材Pを設けて、該押込作動部材Pが作溝体20a
により切断されたマルチフィルムの切れ端fの少なくと
も先端部を溝底面より下方の土壌中に押し込むように構
成したことを特徴とする野菜移植機の作溝装置とした。
【0005】
【実施例】この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。まず、畑地用移植機の全体の構成を説明する
(図1)。1は、畑地で畝を跨いで走行しながら野菜苗
を移植する野菜移植機である。2は前記苗移植機1の走
行伝動ケースである。この前部にはエンジンEが直結に
取付けられ、後部には左右フレーム3a、3bの前端が
固着している。左フレーム3aの後端には植付部伝動ケ
ース4が固着され、その後部に移植部伝動フレーム5が
連結している。更に、その移植部伝動フレーム5の上部
から後方に斜上する支持フレームが固着してそのフレー
ム上端部に歩行型用のハンドルHが連設されている。右
フレーム3bの後端には、一端が右フレーム3aの後側
面に固着した横フレーム3cに固着している。
【0006】6、6は前輪で、走行部伝動ケース1の左
右両側に取付けられた前輪伝動ケース7、7の端部側に
取付けられている。エンジンEからの動力が走行部伝動
ケース1内に伝動され、走行部伝動ケース1から左右の
車輪伝動ケース7、7に伝動されて前輪6、6が駆動さ
れる。また、この前輪6、6は上下に位置調節すること
ができるようになっている。即ち、前輪伝動ケース7、
7に一体のボス7a、7aが走行部伝動ケース1の左右
に突出する部分に回動可能に嵌合して取り付けられてい
て、その前輪伝動ケース7、7の回動部に油圧シリンダ
がロッド等を介して連結し、その油圧シリンダの作動に
より前輪伝動ケース7、7がスイングして、前輪6、6
が機体に対して上下動するようになっている。このと
き、後輪8、8を遊転支持する後輪支持アーム9、9が
ロッド等を介して連動して支軸10、10スイングする
ようになっていて、前輪6、6と後輪8、8の上下動に
よって機体が上下動したとき、機体の前後方向の水平が
維持されるようになっている。
【0007】また、内側が球面状に形成された畝案内体
8a、8aが、後輪8、8の後方に設けられている。こ
の畝案内体8a、8aは、後輪支持アーム9、9の後端
部に上下回動可能に枢着され、且つトルクスプリング8
b、8bで下方に回動付勢されて装着された支持アーム
8c、8cに取付けられている。畝案内体8a、8aの
回動中心には転動軸8d、8dが固着し、その転動軸8
d、8dを支持アーム8c、8cの後端部に設けられた
軸孔にスプリング8e、8eを介在させて係合し、外側
でその軸端部をピン止めしている。よって、畝案内体8
a、8aはスプリング8e、8eで内側方向に弾発付勢
された状態で転動軸8d、8dの軸方向に摺動可能とな
る。これにより、この野菜移植機が畝をまたいで走行す
ると、畝案内体8a、8aは畝を左右から抱き込んで転
動する。そして、機体が左右に振らついて畝の中央から
左右にずれようとすると、畝案内体8a、8aがスプリ
ング8e、8eを緩衝部材として転動軸8d、8dの軸
方向にある程度摺動しつつも、畝からの反力で機体が畝
の中央に位置するよう引き戻される。以上のように、畝
案内体8a、8aは、機体が畝に追従して走行するよう
案内していくものとなる。尚、この畝案内体8a、8a
を後輪8、8の前側に配置してもよい。また、機体の回
向時の諸作動に連動させて、畝案内体8a、8aを上昇
させるようにすると回向時に邪魔にならない。
【0008】11は苗載台で、前側が走行部伝動ケース
1上に固設された支持具12で左右摺動自在に支持さ
れ、後側が前記移植部伝動フレーム5上に固設された苗
受レール13に左右摺動自在に支持されている。そし
て、植付部伝動ケース4に連設された左右往復機構が苗
載台11に連結し、苗載台11が後述の移植装置21の
作動のサイクルに合わせて左右に往復移動するようにな
っている。また、苗載台11の底部にはローラー14
a、14bに巻掛けられて苗送りベルト14cが苗載面
全面にわたって取り付けられていて、載置された苗の後
端一列が移植される毎に一列分苗全体を送るように作動
する。
【0009】15は移植装置で、移植部伝動フレーム5
の内側に設けられていて、植付部伝動ケース4内に伝達
された動力が移植部伝動フレーム5内のチェーン伝動機
構を介して伝動されている。この植付装置15の苗植込
部16は、回転ケース15a、15bの回転によりその
姿勢を変えることなく上下に長い楕円状軌跡を描くよう
に動作する。また、苗植込部16には左右に板状の苗移
植刃17、17とその内側に苗押出体18が設けられ、
その苗移植刃17、17の先端部は苗載台11後端の苗
受レール13の苗取口を通過して苗一株を分離保持し、
下方に移動して畝面に達して苗押出体18で押し出され
て移植される。
【0010】19は覆土鎮圧装置で、2つの円筒状の土
寄せ鎮圧筒19a、19aが背面視で上方に開くように
左右に傾いた状態で支持フレーム19bに遊転自在に取
り付けられている。また、支持フレーム19bは、その
前側基部が支持部材3c”に固着の横軸19cに上下回
動自在に枢着され、後側部が鎮圧スプリング19dで下
方に弾発付勢するされている。よって、この覆土鎮圧装
置19は、植付装置15で植え付けられた苗の周囲の土
を苗側に寄せて鎮圧する。
【0011】20は作溝装置である。以下に、その構成
を具体的に説明する(図2〜図4)。まず、作溝リンク
21の構成を説明する。作溝リンク21は、上リンク2
1aと下リンク21bのそれぞれの基端側をピン22
a、22bで支持部材3c”に回動自在に取付け、その
両リンク21a、21bの遊端側をリンクピン22c、
22dで連結リンク21cと回動自在に連結してリンク
構成をとっている。尚、上リンク21aの揺動側連結部
のピン孔は長孔21a’になっている。また、支持部材
3c”は、横フレーム3cの後側に固着のブラケット3
c’の下側に固着されている。一方、植付部伝動ケース
4から内側に突出して伝動回転するカム軸23に作溝カ
ム24が固着されている(前記苗送り装置14のローラ
ー14aを回転駆動する苗送りカム25a、25bも並
んで固着されている)。この作溝カム24が上リンク2
1aに取り付けられたローラー26に接当すると作溝リ
ンク21が下動するようになっている。また、上リンク
21aには、スプリング27が横軸19cに固着の固定
プレート27aとの間で掛けられていて、そのスプリン
グ27により下動した作溝リンク21を上動させるよう
になっている。28は上リンク21aの上下動の上限位
置を決めるストッパーで、29は下リンク21bの上下
動の下限位置を決めるストッパーである。それぞれ、ブ
ラケット3’、支持部材3”に固着されている。以上の
構成から、作溝リンク21は回転する作溝カム24とス
プリング27とにより間歇的に上下動する。
【0012】作溝体20aは、三角形状の作溝部材30
aを下端部に固着した作溝プレート30bからなり、こ
のプレート30bの上部側が連結リンク21cにネジで
止着されて、作溝体20aがリンク21とともに上下動
するようになっている。また、作溝体20aの前側に
は、作溝部材30aの下端から突出作動する押込作動部
材Pが設けられている。
【0013】押込作動部材Pは、以下のように設けられ
ている。即ち、押込作動部材Pは、板状部材で、その幅
は作溝部材30aの下端部の幅より狭い。この押込作動
部材Pは、リンクピン22cと連結ピン31とで連結支
持されている支持部材32に取付けられている。リンク
ピン22cと連結ピン31はそれぞれ連結リンク21c
に設けられた長孔33a、33b内で摺動可能になって
いるので、支持部材32は連結リンク21cに対して上
下に摺動可能な連結状態となっている。そして、リンク
ピン22cには上リンク21aが連結し、また、連結リ
ンク21cの上端部から引っ張るスプリング34が連結
する。
【0014】よって、押込作動部材Pは、作溝リンク2
1の上下動にともなって次のように作動する。即ち、ま
ず、作溝カム24が上リンク21aのローラー26に接
当していないときは、上リンク21aがスプリング27
に引っ張られてストッパー28に当るまで上動した状態
となる。次に、作溝カム24の作溝作動用部位24aが
ローラー26に接当しているときは、上リンク21aが
レベル(L1)まで押し下げられる。このとき、スプリ
ング34によりリンクピン22c、連結ピン31は長孔
32a、32bの上端位置に位置し、押込作動部材Pの
下端は作溝部材30aの下端より上に位置する。そし
て、下リンク21bがストッパー29に当たって作溝カ
ム24の大径の押込作動用部位24bがローラー26に
接当すると、連結リンク21c及び作溝体20aは下動
停止した状態で、上リンク21aがレベル(L2)まで
更に押し下げられる。すると、リンクピン22c、連結
ピン31は、スプリング34の引張りに抗して長孔32
a、32bの上端位置から下方に摺動する。それにとも
ない、支持部材32が下動し、押込作動部材Pが作溝部
材30aの下端位置より下方に突出する。作溝カム24
の接当がローラー26から外れれば、最初の状態に戻る
べく上動する。尚、リンクピン22cの連結部のピン孔
は上リンク21a側も連結リンク21c側も長孔21
a’、33a’になっているので、むやみに作溝体20
aが前後に姿勢が変わらないように、下側のリンクピン
22d部に取り付けたトルクスプリング22d’によ
り、連結リンク21cに固着の姿勢規制用接当部21
c’が下リンク21bに接当する状態に姿勢規制されて
いる。
【0015】尚、35はマルチ押え部材で、畝面上がマ
ルチシートFで覆われている場合、作溝体20aがシー
トFを突き破って作溝するときに、シートFがスムーズ
に切り裂かれるように左右方向からシートFを押えて張
るように作用するものである。このマルチ押え部材35
は、平面視で後方に2又に別れた形状でバネ材からなる
板状部材で、下リンク21bに固定され、少なくとも作
溝部材30aがフィルムFを突き破る前にフィルムF上
面に接当しているように取付けられる。
【0016】よって、この作溝装置20は、上下作動す
る作溝リンク21により、作溝体20aが畝面上から畝
面下に上下動して、植付装置15で苗を植付ける箇所と
なる植付溝Mを作るようになっている。畝上面がマルチ
フィルムFで覆われている場合は、作溝体20aがマル
チフィルムFを突き破って畝面下まで下動し、マルチフ
ィルムFをコ字状にカットしながら植付溝Mを作ってい
く。そして、作溝体20aが畝面下から上動する前に、
作溝体20aの前側に設けられた押込作動部材Pが作溝
体20aの下端位置よりも更に下方に突出してカットさ
れたフィルムの切れ端fを土中に押し込んでから、作溝
体20aが上動していく。従って、前記押込作動部材P
が前記フィルムの切れ端fの先端部を溝底面より下方の
土壌中に押し込むようになり、めくれ上がるフィルムの
切れ端による葉焼けを防止できる。また、作溝体が畝面
上に上動するときカットされたフィルムの切れ端fを上
方につれ出してしまうことを防止し、めくれ上がったマ
ルチフィルムの切れ端による葉焼けを防止できる。
【0017】
【発明の作用効果】この発明は、前記のごとく構成した
ものなので、作溝装置20の作溝体20aが下動して畝
面のマルチフィルムに孔を開けながら苗植付け用の溝を
作り、そして、押込作動部材Pが、作溝体20aが畝面
下から上動する前に作溝体20aの下端位置より下方に
突出作動して、作溝体20aにより切断されたマルチフ
ィルムの切れ端fの少なくとも先端部を溝底面より下方
の土壌中に押し込むことになり、よって、作溝体20が
畝面上に上動するとき、カットされたフィルムの切れ
fを上方につれ出してしまうことを適確に防止し、めく
れ上がったマルチフィルムの切れ端による葉焼けを防止
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】野菜移植機の側面図
【図2】作溝装置の側面図
【図3】作溝装置の平面図
【図4】作溝装置の要部の一部断面正面図
【図5】畝走行中の後輪と案内ローラーを示す背面図
【符号の説明】
15:移植装置 20:作溝装置 20a:作溝体 P:押込作動部材
フロントページの続き (72)発明者 矢野 典弘 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 竹本 雅浩 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農 機株式会社 技術部内 審査官 小野 忠悦 (56)参考文献 特開 昭63−240710(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01C 5/04 A01C 11/00 - 11/02 303 A01G 13/00 302

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】作溝体20aが上下動して間歇的に畝面の
    マルチフィルムに孔を開けながら溝を作る作溝装置20
    を設け、該作溝装置20により作られた溝に苗を植付る
    植付装置15を設けた野菜移植機において、前記作溝装
    置20に、作溝体20aが畝面下から上動する前に作溝
    体20aの下端位置より下方に突出作動する押込作動部
    材Pを設けて、該押込作動部材Pが作溝体20aにより
    切断されたマルチフィルムの切れ端fの少なくとも先端
    部を溝底面より下方の土壌中に押し込むように構成した
    ことを特徴とする野菜移植機の作溝装置。
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