JPH07312202A - スパッタイオンポンプ - Google Patents
スパッタイオンポンプInfo
- Publication number
- JPH07312202A JPH07312202A JP6514094A JP6514094A JPH07312202A JP H07312202 A JPH07312202 A JP H07312202A JP 6514094 A JP6514094 A JP 6514094A JP 6514094 A JP6514094 A JP 6514094A JP H07312202 A JPH07312202 A JP H07312202A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- discharge
- pump housing
- pump
- sputter ion
- magnetic field
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】マグネトロン型の放電を利用したスパッタイオ
ンポンプにおいて、カソードやアノードを動かす必要な
しに新鮮活性なカソード表面を容易に形成することので
きるようにした解放されたカソード面を設け、排気作動
を止めることなく排気速度を維持して極高真空にまで排
気できるようにする。 【構成】筒状ポンプハウジング1の内壁がカソード電極
面4を構成し、また筒状ポンプハウジング内にアノード
電極5を設け、カソード電極面とアノード電極との間に
高電圧を印加することにより、筒状ポンプハウジングの
内壁に沿って空間に高磁場、高電圧のマグネトロン放電
を発生させ、ゲッター材を連続的または間欠的に放電面
へ堆積するように構成される。
ンポンプにおいて、カソードやアノードを動かす必要な
しに新鮮活性なカソード表面を容易に形成することので
きるようにした解放されたカソード面を設け、排気作動
を止めることなく排気速度を維持して極高真空にまで排
気できるようにする。 【構成】筒状ポンプハウジング1の内壁がカソード電極
面4を構成し、また筒状ポンプハウジング内にアノード
電極5を設け、カソード電極面とアノード電極との間に
高電圧を印加することにより、筒状ポンプハウジングの
内壁に沿って空間に高磁場、高電圧のマグネトロン放電
を発生させ、ゲッター材を連続的または間欠的に放電面
へ堆積するように構成される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スパッタイオンポンプ
に関するものである。
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スパッタイオンポンプの放電特性(I/
P)は広い圧力範囲にわたって、そのポンプの履歴に依
存することなく、比較的に安定して同一の傾向を示すこ
とが知られている。そのため、スパッタイオンポンプの
代表的な特性としては放電特性で表示されることが多
い。ところが、スパッタイオンポンプの排気速度特性
(S/P)は多くの場合、添付図面の図11に示すように
そのガス種だけでなくそのポンプの履歴によっても大幅
に変動することが知られてきた。CERNのFischer は、多
くの市販のスパッタイオンポンプの排気速度特性が一定
のアルゴン放電処理後、動作圧力・経過時間の関数とし
て減衰していくことを示した(図12参照)。本願発明者
等は、図13に示すように、動作中のペニング型スパッタ
イオンポンプのオージェ電子分光によるその場分析によ
ってそのような排気速度の減衰は、スパッタイオンポン
プのカソード表面の汚れと密接に関係していることを見
出した。すなわち、スパッタイオンポンプは、アルゴン
放電処理の後、動作を続けているうちにはほとんど大部
分のカソード表面を残留ガスの吸着によって汚染させて
しまい、到達圧力付近では、有効な残留ガスイオンの衝
撃によってチタン原子のスパッタが期待できない状態で
動作している。なお、図13において曲線a〜dは残留ガ
ス中での動作を表し、曲線e〜gは活性化処理後の残留
ガス中での動作を表している。スパッタイオンポンプを
含む真空系が超高真空の圧力に到達した後にポンプのカ
ソード表面を新鮮活性な状態にしてかつその状態を維持
できれば、著しい排気速度の向上が期待できる。しかし
ながら、従来、市販のペニング型スパッタイオンポンプ
では、カソード表面をアルゴン放電処理以外の方法では
清浄にできず、またイオン衝撃の主要面がアノードの中
心軸のごく周辺に限られていたため、スパッタイオンポ
ンプを含む真空系が超高真空の圧力に到達した後にポン
プのカソード表面を新鮮活性な状態にしてかつその状態
を維持することは困難であった。
P)は広い圧力範囲にわたって、そのポンプの履歴に依
存することなく、比較的に安定して同一の傾向を示すこ
とが知られている。そのため、スパッタイオンポンプの
代表的な特性としては放電特性で表示されることが多
い。ところが、スパッタイオンポンプの排気速度特性
(S/P)は多くの場合、添付図面の図11に示すように
そのガス種だけでなくそのポンプの履歴によっても大幅
に変動することが知られてきた。CERNのFischer は、多
くの市販のスパッタイオンポンプの排気速度特性が一定
のアルゴン放電処理後、動作圧力・経過時間の関数とし
て減衰していくことを示した(図12参照)。本願発明者
等は、図13に示すように、動作中のペニング型スパッタ
イオンポンプのオージェ電子分光によるその場分析によ
ってそのような排気速度の減衰は、スパッタイオンポン
プのカソード表面の汚れと密接に関係していることを見
出した。すなわち、スパッタイオンポンプは、アルゴン
放電処理の後、動作を続けているうちにはほとんど大部
分のカソード表面を残留ガスの吸着によって汚染させて
しまい、到達圧力付近では、有効な残留ガスイオンの衝
撃によってチタン原子のスパッタが期待できない状態で
動作している。なお、図13において曲線a〜dは残留ガ
ス中での動作を表し、曲線e〜gは活性化処理後の残留
ガス中での動作を表している。スパッタイオンポンプを
含む真空系が超高真空の圧力に到達した後にポンプのカ
ソード表面を新鮮活性な状態にしてかつその状態を維持
できれば、著しい排気速度の向上が期待できる。しかし
ながら、従来、市販のペニング型スパッタイオンポンプ
では、カソード表面をアルゴン放電処理以外の方法では
清浄にできず、またイオン衝撃の主要面がアノードの中
心軸のごく周辺に限られていたため、スパッタイオンポ
ンプを含む真空系が超高真空の圧力に到達した後にポン
プのカソード表面を新鮮活性な状態にしてかつその状態
を維持することは困難であった。
【0003】ところで、ペニング型スパッタイオンポン
プでも、カソード表面を思い切って新鮮活性なものに蘇
生する措置ができ、かつ、アノードがカソードとの相対
的な位置関係において固定されておらずにイオン衝撃の
中心位置がカソード表面の適当な範囲で移動することが
できれば実行排気速度の向上が期待できる。このような
観点から本願発明者は先に特願平4−68685 号及び特願
平4−68686 号において排気状態を維持しながら極高真
空にまで排気作動を行えるスパッタイオンポンプを提案
した。すなわち、これらの先に提案したスパッタイオン
ポンプでは、ポンプケース内に間隔をあけて一対のカソ
ードを設け、これらのカソード間に筒状のアノードを設
け、カソードとアノードの少なくとも一方をカソードの
板面方向に移動できるように構成している。このように
構成することにより、カソード表面の広い部分をスパッ
タすることができるようになり、多量の活性金属がスパ
ッタされ、排気作動を止めることなく減少した排気速度
を回復させることができ、迅速に極高真空にまで排気で
きるようになった。
プでも、カソード表面を思い切って新鮮活性なものに蘇
生する措置ができ、かつ、アノードがカソードとの相対
的な位置関係において固定されておらずにイオン衝撃の
中心位置がカソード表面の適当な範囲で移動することが
できれば実行排気速度の向上が期待できる。このような
観点から本願発明者は先に特願平4−68685 号及び特願
平4−68686 号において排気状態を維持しながら極高真
空にまで排気作動を行えるスパッタイオンポンプを提案
した。すなわち、これらの先に提案したスパッタイオン
ポンプでは、ポンプケース内に間隔をあけて一対のカソ
ードを設け、これらのカソード間に筒状のアノードを設
け、カソードとアノードの少なくとも一方をカソードの
板面方向に移動できるように構成している。このように
構成することにより、カソード表面の広い部分をスパッ
タすることができるようになり、多量の活性金属がスパ
ッタされ、排気作動を止めることなく減少した排気速度
を回復させることができ、迅速に極高真空にまで排気で
きるようになった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】先に提案したスパッタ
イオンポンプはペニング放電型のものであり、そしてカ
ソード及び(または)アノードをカソードの板面方向に
移動させるように構成しているので、カソード及び(ま
たは)アノードをポンプケース内に移動できるように設
ける必要があり、またカソード及び(または)アノード
を動かすための機械的駆動手段が必要であり、構造的に
複雑となっている。一方、平板型マグネトロンプラズマ
スパッタ源は数百ボルトの印加電圧と数百から二千ガウ
ス程度の磁束密度のもとに数十分の一乃至数十パスカル
の圧力で広く工業的に用いられている。しかし、より高
真空領域の圧力で用いられた例はなく、高真空領域では
放電が消滅すると信じられていた。そこで、本発明は、
ペニング型の放電とは異なる変形マグネトロン型の放電
を採用して、カソードやアノードを動かす必要なしに新
鮮活性なカソード表面を容易に形成することのできるよ
うにした解放されたカソード面をもつスパッタイオンポ
ンプを提供することを目的としている。
イオンポンプはペニング放電型のものであり、そしてカ
ソード及び(または)アノードをカソードの板面方向に
移動させるように構成しているので、カソード及び(ま
たは)アノードをポンプケース内に移動できるように設
ける必要があり、またカソード及び(または)アノード
を動かすための機械的駆動手段が必要であり、構造的に
複雑となっている。一方、平板型マグネトロンプラズマ
スパッタ源は数百ボルトの印加電圧と数百から二千ガウ
ス程度の磁束密度のもとに数十分の一乃至数十パスカル
の圧力で広く工業的に用いられている。しかし、より高
真空領域の圧力で用いられた例はなく、高真空領域では
放電が消滅すると信じられていた。そこで、本発明は、
ペニング型の放電とは異なる変形マグネトロン型の放電
を採用して、カソードやアノードを動かす必要なしに新
鮮活性なカソード表面を容易に形成することのできるよ
うにした解放されたカソード面をもつスパッタイオンポ
ンプを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明によるスパッタイオンポンプは、筒状ポン
プハウジングの外周に、カソード電極面を構成する筒状
ポンプハウジングの内壁に沿って真空空間にマグネトロ
ン放電を起こさせる磁場を発生する磁場発生装置を設
け、筒状ポンプハウジング内には、マグネトロン放電を
維持するのに必要な高電圧を印加するアノード電極と、
蒸発ゲッターとを設けたことを特徴としている。磁場発
生装置は、筒状ポンプハウジングの外周にその軸方向に
沿って交互の極性となるように配置した複数個の環状磁
石と筒状ヨークとから成り得る。その場合には、マグネ
トロン放電の放電領域を筒状ポンプハウジングの内壁に
沿って軸方向に移動できるように環状磁石を筒状ポンプ
ハウジングの軸方向に沿って連続してまたは間欠的に可
動に構成することができる。代わりに、磁場発生装置
は、筒状ポンプハウジングの軸方向にのびる枠型磁石で
構成した一方の磁極と、この枠型磁石の内側に配置さ
れ、軸方向にのびる棒状磁石で構成した他方の磁極と、
これら磁極を結合するヨークとから成り、筒状ポンプハ
ウジングの内壁の軸方向に沿ってのびるレーストラック
状の放電路を形成する磁石装置を複数個筒状ポンプハウ
ジングの外周にその周方向に沿って並置した構造にする
こともできる。磁場発生装置をこのように構成した場合
には、それらの磁石装置を筒状ポンプハウジングの周方
向に沿って連続してまたは間欠的に可動に構成してマグ
ネトロン放電の放電領域を筒状ポンプハウジングの内壁
に沿って周方向に移動できるようにされ得る。ここで用
語“可動”は運転中常時回転や短時間内の間欠回転だけ
でなく運転中は静止していても長期間の運転中に時折移
動させることも意味するものとする。また、蒸発ゲッタ
ーはアノード電極により支持するようにされ得る。
めに、本発明によるスパッタイオンポンプは、筒状ポン
プハウジングの外周に、カソード電極面を構成する筒状
ポンプハウジングの内壁に沿って真空空間にマグネトロ
ン放電を起こさせる磁場を発生する磁場発生装置を設
け、筒状ポンプハウジング内には、マグネトロン放電を
維持するのに必要な高電圧を印加するアノード電極と、
蒸発ゲッターとを設けたことを特徴としている。磁場発
生装置は、筒状ポンプハウジングの外周にその軸方向に
沿って交互の極性となるように配置した複数個の環状磁
石と筒状ヨークとから成り得る。その場合には、マグネ
トロン放電の放電領域を筒状ポンプハウジングの内壁に
沿って軸方向に移動できるように環状磁石を筒状ポンプ
ハウジングの軸方向に沿って連続してまたは間欠的に可
動に構成することができる。代わりに、磁場発生装置
は、筒状ポンプハウジングの軸方向にのびる枠型磁石で
構成した一方の磁極と、この枠型磁石の内側に配置さ
れ、軸方向にのびる棒状磁石で構成した他方の磁極と、
これら磁極を結合するヨークとから成り、筒状ポンプハ
ウジングの内壁の軸方向に沿ってのびるレーストラック
状の放電路を形成する磁石装置を複数個筒状ポンプハウ
ジングの外周にその周方向に沿って並置した構造にする
こともできる。磁場発生装置をこのように構成した場合
には、それらの磁石装置を筒状ポンプハウジングの周方
向に沿って連続してまたは間欠的に可動に構成してマグ
ネトロン放電の放電領域を筒状ポンプハウジングの内壁
に沿って周方向に移動できるようにされ得る。ここで用
語“可動”は運転中常時回転や短時間内の間欠回転だけ
でなく運転中は静止していても長期間の運転中に時折移
動させることも意味するものとする。また、蒸発ゲッタ
ーはアノード電極により支持するようにされ得る。
【0006】
【作用】このように構成した本発明によるスパッタイオ
ンポンプにおいては、筒状ポンプハウジングの内壁がカ
ソード電極面を構成し、また筒状ポンプハウジング内に
アノード電極を設けているので、カソード電極面とアノ
ード電極との間に高電圧を印加することにより、筒状ポ
ンプハウジングの内壁に沿って空間に高磁場、高電圧の
マグネトロン放電が発生され、新鮮活性なカソード電極
表面が作り易くなる。また筒状ポンプハウジングの外周
に設けた磁場発生装置を筒状ポンプハウジングの外周に
対して可動に構成した場合には、高磁場、高電圧のマグ
ネトロン放電の放電領域を筒状ポンプハウジングの内壁
に沿って移動させることができ、このマグネトロン放電
の放電領域の移動と、蒸発ゲッター材の放電面への堆積
との共同作用により増強されたポンプ作用を得ることが
できるようになる。
ンポンプにおいては、筒状ポンプハウジングの内壁がカ
ソード電極面を構成し、また筒状ポンプハウジング内に
アノード電極を設けているので、カソード電極面とアノ
ード電極との間に高電圧を印加することにより、筒状ポ
ンプハウジングの内壁に沿って空間に高磁場、高電圧の
マグネトロン放電が発生され、新鮮活性なカソード電極
表面が作り易くなる。また筒状ポンプハウジングの外周
に設けた磁場発生装置を筒状ポンプハウジングの外周に
対して可動に構成した場合には、高磁場、高電圧のマグ
ネトロン放電の放電領域を筒状ポンプハウジングの内壁
に沿って移動させることができ、このマグネトロン放電
の放電領域の移動と、蒸発ゲッター材の放電面への堆積
との共同作用により増強されたポンプ作用を得ることが
できるようになる。
【0007】
【実施例】以下、添付図面の図1〜図10を参照して本発
明の実施例について説明する。図1には、本発明の一実
施例を示し、図示装置において、1はポンプケーシン
グ、このポンプケーシング1は高純度のチタニウムを削
り出して構成され得る。実験装置としては内径108mm 、
高さ500mm の円筒状に形成され、円筒状ポンプケーシン
グ1の上端には金属ガスケットシールのフランジ2(UF
C152)が設けられ、またポンプケーシング1の下端には
内径60mmの穴3を備え、そして下面にはUFC114フランジ
(図示してない)が締め付けられるように構成されてい
る。ポンプケーシング1の内側面はカソード面4を形成
している。ポンプケーシング1の下端の下面の穴3を通
してチタン蒸発源5が挿置され、このチタン蒸発源5は
ポンプケーシング1内のカソード面4に新鮮かつ活性な
チタン膜を堆積させるように働く。すなわち、図示実施
例ではチタン蒸発源5は、イオンポンプのトリガーアノ
ードを兼ねていて、ポンプケーシング壁から絶縁碍子6
によってそれぞれ絶縁された直径8mmの6本のチタンロ
ツドから成り得る電極7によって支持されている。これ
ら6本の電極7は図2に示すように同心円上に等間隔に
配置されている。チタン蒸発源5としては直径2mm、長
さ225mm の3本のチタン・モリブデン合金線をそれぞれ
コイル径6mm、11ターンのスプリング状に形成したもの
すなわち3本の蒸発フィラメント5aが用いられ、各蒸発
フィラメント5aは直径上相対した位置に位置する対の電
極7間に張られている。この蒸発源5の幾何学的な形状
はさほど敏感に影響せず、ポンプケーシング1内の空間
に電極7がでていれば、放電のトリガーとしての役割を
果たすことができ、重要なことは、アノードとして働く
電極7がポンプケーシング1の内部にあってカソード面
4との間に好ましくは3〜15kV程度の直流の高電圧を印
加できるようにすることである。また、円筒状ポンプケ
ーシング1の外側には、4個の永久磁石8が並列に配列
されており、これらの永久磁石8は磁性体から成る円筒
状ヨーク9の内面に装着されている。永久磁石8は、図
3に展開して示すように、平板マグネトロンスパッタイ
オン源に用いられる永久磁石を並列に複数個並べたもの
に似て構成され得る。すなわち各永久磁石8は円筒状ポ
ンプハウジング1の軸方向にのびる枠型磁石8aで構成し
た一方の磁極(図示例ではN極)と、この枠型磁石8aの
内側に配置され、軸方向にのびる棒状磁石8bで構成した
他方の磁極(図示例ではS極)とから成っており、円筒
状ポンプハウジング1の内壁の軸方向に沿ってのびるレ
ーストラック状の放電路を形成する磁場を発生するよう
にされている。なおこの場合永久磁石8と円筒状ヨーク
9の組立体すなわち磁石装置は必要により円筒状ポンプ
ケーシング1の外周に沿って回転できるように図示して
ない回転台の上に装着され得る。また、一例として永久
磁石8は、印加電圧3.75V 〜9V において超高真空の領
域でも放電が消滅しないように、ポンプケーシング1内
のカソード面4から内側に4mm程度離れた位置で中心磁
場の磁束密度1200ガウス以上となるように設計される。
明の実施例について説明する。図1には、本発明の一実
施例を示し、図示装置において、1はポンプケーシン
グ、このポンプケーシング1は高純度のチタニウムを削
り出して構成され得る。実験装置としては内径108mm 、
高さ500mm の円筒状に形成され、円筒状ポンプケーシン
グ1の上端には金属ガスケットシールのフランジ2(UF
C152)が設けられ、またポンプケーシング1の下端には
内径60mmの穴3を備え、そして下面にはUFC114フランジ
(図示してない)が締め付けられるように構成されてい
る。ポンプケーシング1の内側面はカソード面4を形成
している。ポンプケーシング1の下端の下面の穴3を通
してチタン蒸発源5が挿置され、このチタン蒸発源5は
ポンプケーシング1内のカソード面4に新鮮かつ活性な
チタン膜を堆積させるように働く。すなわち、図示実施
例ではチタン蒸発源5は、イオンポンプのトリガーアノ
ードを兼ねていて、ポンプケーシング壁から絶縁碍子6
によってそれぞれ絶縁された直径8mmの6本のチタンロ
ツドから成り得る電極7によって支持されている。これ
ら6本の電極7は図2に示すように同心円上に等間隔に
配置されている。チタン蒸発源5としては直径2mm、長
さ225mm の3本のチタン・モリブデン合金線をそれぞれ
コイル径6mm、11ターンのスプリング状に形成したもの
すなわち3本の蒸発フィラメント5aが用いられ、各蒸発
フィラメント5aは直径上相対した位置に位置する対の電
極7間に張られている。この蒸発源5の幾何学的な形状
はさほど敏感に影響せず、ポンプケーシング1内の空間
に電極7がでていれば、放電のトリガーとしての役割を
果たすことができ、重要なことは、アノードとして働く
電極7がポンプケーシング1の内部にあってカソード面
4との間に好ましくは3〜15kV程度の直流の高電圧を印
加できるようにすることである。また、円筒状ポンプケ
ーシング1の外側には、4個の永久磁石8が並列に配列
されており、これらの永久磁石8は磁性体から成る円筒
状ヨーク9の内面に装着されている。永久磁石8は、図
3に展開して示すように、平板マグネトロンスパッタイ
オン源に用いられる永久磁石を並列に複数個並べたもの
に似て構成され得る。すなわち各永久磁石8は円筒状ポ
ンプハウジング1の軸方向にのびる枠型磁石8aで構成し
た一方の磁極(図示例ではN極)と、この枠型磁石8aの
内側に配置され、軸方向にのびる棒状磁石8bで構成した
他方の磁極(図示例ではS極)とから成っており、円筒
状ポンプハウジング1の内壁の軸方向に沿ってのびるレ
ーストラック状の放電路を形成する磁場を発生するよう
にされている。なおこの場合永久磁石8と円筒状ヨーク
9の組立体すなわち磁石装置は必要により円筒状ポンプ
ケーシング1の外周に沿って回転できるように図示して
ない回転台の上に装着され得る。また、一例として永久
磁石8は、印加電圧3.75V 〜9V において超高真空の領
域でも放電が消滅しないように、ポンプケーシング1内
のカソード面4から内側に4mm程度離れた位置で中心磁
場の磁束密度1200ガウス以上となるように設計される。
【0008】次に、このように構成した円筒型マグネト
ロンスパッタイオンポンプの動作について説明する。電
極7にマグネトロン放電の放電電圧として上記のように
3〜15kVの範囲の適当な高電圧を印加することにより、
ポンプケーシング1の内壁すなわちカソード面に沿って
内部にマグネトロン放電を起こさせる。外部の永久磁石
8を円周方向に回転またはセクター往復動させて磁石8
のN極及びS極の位置を時間と共に変位させることによ
り、マグネトロン放電の放電領域はポンプケーシング1
内のカソード面に沿って移動され得る。こうしてマグネ
トロン放電を持続している間に放電領域の近くに位置し
た蒸発フィラメント5aを電極7を介して通電加熱し、チ
タン蒸気を発生させ、ポンプケーシング1内のカソード
面にチタン薄膜を形成させ、これによりカソード表面は
新鮮でかつ活性に保たれる。このカソード面へのチタン
薄膜の堆積と高磁場、高電圧マグネトロン放電とマグネ
トロン放電の放電路の移動とによって増強したポンフ作
用が得られることになる。この場合、蒸発フィラメント
からのゲッター材の蒸発は連続的であっても或るいは間
欠的に行うってもよい。
ロンスパッタイオンポンプの動作について説明する。電
極7にマグネトロン放電の放電電圧として上記のように
3〜15kVの範囲の適当な高電圧を印加することにより、
ポンプケーシング1の内壁すなわちカソード面に沿って
内部にマグネトロン放電を起こさせる。外部の永久磁石
8を円周方向に回転またはセクター往復動させて磁石8
のN極及びS極の位置を時間と共に変位させることによ
り、マグネトロン放電の放電領域はポンプケーシング1
内のカソード面に沿って移動され得る。こうしてマグネ
トロン放電を持続している間に放電領域の近くに位置し
た蒸発フィラメント5aを電極7を介して通電加熱し、チ
タン蒸気を発生させ、ポンプケーシング1内のカソード
面にチタン薄膜を形成させ、これによりカソード表面は
新鮮でかつ活性に保たれる。このカソード面へのチタン
薄膜の堆積と高磁場、高電圧マグネトロン放電とマグネ
トロン放電の放電路の移動とによって増強したポンフ作
用が得られることになる。この場合、蒸発フィラメント
からのゲッター材の蒸発は連続的であっても或るいは間
欠的に行うってもよい。
【0009】図4には実験装置を示し、本発明によるポ
ンプ10を真空チヤンバ11に連結し、オリフィス型の流量
計12を備えた超高真空排気系として構成し、メインポン
プとしてターボ分子ポンプ13を用い、また符号14はロー
タリーポンプを表している。ターボ分子ポンプ13の測定
位置での有効排気速度は窒素に対して48l/s であり、ま
たオリフィス型の流量計12におけるオリフィスの窒素に
対するコンダクタンスは0.83l/s である。ポンプ10のポ
ンプケーシングの内面が覗ける位置に覗き窓を取り付
け、ポンプ10内の放電の様子が覗けるようにし、放電の
中心から覗き窓の位置までの距離は約70cmである。実験
ではポンプ10のアノード電極に3.75kV〜9kVの電圧を印
加した。排気系は、試作ポンプ10を取り付けたまま、ベ
ークアウトなしで3×10-7Paの到達圧力まで到達させ、
その後、アルゴンガスを系の圧力7×10-3Paまで導入し
て印加電圧9kVで約30分間放電処理した。
ンプ10を真空チヤンバ11に連結し、オリフィス型の流量
計12を備えた超高真空排気系として構成し、メインポン
プとしてターボ分子ポンプ13を用い、また符号14はロー
タリーポンプを表している。ターボ分子ポンプ13の測定
位置での有効排気速度は窒素に対して48l/s であり、ま
たオリフィス型の流量計12におけるオリフィスの窒素に
対するコンダクタンスは0.83l/s である。ポンプ10のポ
ンプケーシングの内面が覗ける位置に覗き窓を取り付
け、ポンプ10内の放電の様子が覗けるようにし、放電の
中心から覗き窓の位置までの距離は約70cmである。実験
ではポンプ10のアノード電極に3.75kV〜9kVの電圧を印
加した。排気系は、試作ポンプ10を取り付けたまま、ベ
ークアウトなしで3×10-7Paの到達圧力まで到達させ、
その後、アルゴンガスを系の圧力7×10-3Paまで導入し
て印加電圧9kVで約30分間放電処理した。
【0010】図5には試作ポンプ10の放電電流・圧力
(I/P)特性を示す。実験した3.75kVから9kVの範囲
で両対数紙上で直線を示し、その勾配は,I∝Pn にお
いて、n=5/4(理想的にはn=1/1)になってい
る。ちなみに、10-4Paで100μA の放電電流は1A/Paで
あり、放電面の見掛けの面積を0.1m2 とすると、3×10
22×10-1/(1/1.6 ×10-10 )=5×102 、すなわち
約500 個の残留ガス分子がカソード面に入射する間に1
個のイオンが衝撃している勘定になる。動作圧力が高く
なって放電電流が大きな値に達すると、覗き窓から放電
の様子が観察できるようになり、過大な放電電流10mAで
は、アノードになっているチタンフィラメント5aが赤熱
してくるのが見られた。実験はそれ以下の放電電流の範
囲で行なった。
(I/P)特性を示す。実験した3.75kVから9kVの範囲
で両対数紙上で直線を示し、その勾配は,I∝Pn にお
いて、n=5/4(理想的にはn=1/1)になってい
る。ちなみに、10-4Paで100μA の放電電流は1A/Paで
あり、放電面の見掛けの面積を0.1m2 とすると、3×10
22×10-1/(1/1.6 ×10-10 )=5×102 、すなわち
約500 個の残留ガス分子がカソード面に入射する間に1
個のイオンが衝撃している勘定になる。動作圧力が高く
なって放電電流が大きな値に達すると、覗き窓から放電
の様子が観察できるようになり、過大な放電電流10mAで
は、アノードになっているチタンフィラメント5aが赤熱
してくるのが見られた。実験はそれ以下の放電電流の範
囲で行なった。
【0011】図6には、3.7 ×10-3Pa、 9kV、8.5mA の
条件での放電のパターンを示し、円筒の周辺に均等に8
本の放電柱が立っているのが見られる。8本の放電柱は
永久磁石からポンプ円筒内部にしみ込んだ磁束の密度分
布に対応している。図では8本の放電柱が顕著である。
磁区の構造からすれば、平板型マグネトロンスパッタ源
の放電パターンがレーストラック状の形を示すように、
4個のレーストラック状の放電パターンが見えるはずで
あるが、図6は真上から模式的に示しており、柱状の部
分が示されている。放電を維持したまま、ポンプケーシ
ングの外側に設けた永久磁石をゆっくりと回転させる
と、放電パターンは回転に正確に対応してポンプケーシ
ングの内壁すなわちカソード面に沿って移動する。図7
には、永久磁石の回転角度を0°から90°まで変えた場
合の放電パターンの移動の様子を示している。永久磁石
を連続して回転させれば、内側の放電パターンも連続し
て回転することが認められた。
条件での放電のパターンを示し、円筒の周辺に均等に8
本の放電柱が立っているのが見られる。8本の放電柱は
永久磁石からポンプ円筒内部にしみ込んだ磁束の密度分
布に対応している。図では8本の放電柱が顕著である。
磁区の構造からすれば、平板型マグネトロンスパッタ源
の放電パターンがレーストラック状の形を示すように、
4個のレーストラック状の放電パターンが見えるはずで
あるが、図6は真上から模式的に示しており、柱状の部
分が示されている。放電を維持したまま、ポンプケーシ
ングの外側に設けた永久磁石をゆっくりと回転させる
と、放電パターンは回転に正確に対応してポンプケーシ
ングの内壁すなわちカソード面に沿って移動する。図7
には、永久磁石の回転角度を0°から90°まで変えた場
合の放電パターンの移動の様子を示している。永久磁石
を連続して回転させれば、内側の放電パターンも連続し
て回転することが認められた。
【0012】次に、ポンプの排気特性について考察す
る。ポンプの排気速度が表面の汚れと共に減衰していく
様子を考察するには、ポンプの活性面に吸蔵された残留
ガスの量と排気速度との関係を調べるのが都合が良く、
排気速度を圧力・経過時間の積の関数としてではなく、
吸蔵された残留ガスの量に相当する排気ガス量(積算
値)と排気速度との関係を調べることにする。
る。ポンプの排気速度が表面の汚れと共に減衰していく
様子を考察するには、ポンプの活性面に吸蔵された残留
ガスの量と排気速度との関係を調べるのが都合が良く、
排気速度を圧力・経過時間の積の関数としてではなく、
吸蔵された残留ガスの量に相当する排気ガス量(積算
値)と排気速度との関係を調べることにする。
【0013】図8の曲線(a)は印加電圧8kVの時の窒
素に対する初期の排気特性である。曲線(b)はアルゴ
ン放電処理を行った後の測定データである。曲線(c)
はチタン(2130μmol) を円筒面に蒸着してから、イオ
ンポンプの動作を一旦停止して排気速度を測定したもの
であり、このデータはチタンゲッタポンプとしての排気
速を意味している。曲線(d)は同じチタン堆積量(21
30μmol) で8kVの印加電圧での排気速度のデータであ
る。曲線(c)と曲線(d)を比較すると、後者が著し
く排気能力を向上していることが分かる。ちなみに、も
っと多量のチタン堆積量でのゲッタポンプとしての測定
を試みた。曲線(e)がそれで、チタン堆積量5100μmo
lを蒸着した後測定したものである。曲線(e)は収着
量25Pa・l(11μmol.N 2 ) のあたりで急激に減衰してい
る。曲線(c)の変曲点は7Pa・l (3.1μmol.N2 ) の
あたりである。
素に対する初期の排気特性である。曲線(b)はアルゴ
ン放電処理を行った後の測定データである。曲線(c)
はチタン(2130μmol) を円筒面に蒸着してから、イオ
ンポンプの動作を一旦停止して排気速度を測定したもの
であり、このデータはチタンゲッタポンプとしての排気
速を意味している。曲線(d)は同じチタン堆積量(21
30μmol) で8kVの印加電圧での排気速度のデータであ
る。曲線(c)と曲線(d)を比較すると、後者が著し
く排気能力を向上していることが分かる。ちなみに、も
っと多量のチタン堆積量でのゲッタポンプとしての測定
を試みた。曲線(e)がそれで、チタン堆積量5100μmo
lを蒸着した後測定したものである。曲線(e)は収着
量25Pa・l(11μmol.N 2 ) のあたりで急激に減衰してい
る。曲線(c)の変曲点は7Pa・l (3.1μmol.N2 ) の
あたりである。
【0014】図9に示すグラフは印加電圧5.5kV で同様
な実験を行ったものである。ただしこの場合にはチタン
蒸着量は一定の極く僅かの量(608μmol.Ti)にとどめ
た。アルゴン放電後の曲線(b)とチタン堆積後の曲線
(d)はほぼ同じ値を示している。蒸着膜のゲッタ作用
のみの排気(曲線c)では、収着量3Pa・l (1.3μmol.
N2 ) で排気速度が急激に減衰しているのが認められ
る。ちなみに曲線(a)はカソードを長時間作動させた
状態で、活性化もチタンフラッシュも行わずに排気速度
を測定したものであり、これが通常のイオンポンプとし
ての排気速度であると推定される。図8及び図9からチ
タンを堆積させて作った新鮮活性なカソード面をもつス
パッタイオンポンプは、同じ量のチタンを堆積させたゲ
ッタポンプに較べて、より多くの窒素収着量においても
高い排気速度を維持し続けることが分かる。また、ゲッ
タ作用のみの排気で排気速度が急速に減衰する変曲点は
チタン原子500 個に対して窒素分子1個が収着するあた
りである。極僅かのチタンゲッタのフラッシュ(608μm
ol.Ti)では、20回の同じ形式でのチタンのフラッシュ
をした後でも、70cm離れた覗き窓ガラスにチタン膜が堆
積した形跡が見られない程度(1000オングストローム以
内)である。また、永久磁石をポンプケーシングの周り
で同軸回転させることにより、その回転につれて放電領
域は移動し、瞬間的に排気速度の向上が認められた。し
かしこれは過渡的な現象であり、回転を停止させてしば
らくすると元の状態に戻り、この現象は、放電面が隣接
した位置に移動することにより以前に衝撃を受けていた
面が衝撃を受けなくなり、新しい面を衝撃し始めること
によるイオン衝撃表面における気体分子の捕捉作用と再
放出作用とのバランスに密接に関連している。さらに、
アルゴンに対する排気速度は、印加電圧5.5kV の場合で
数l/s程度であり、窒素に対する排気速度の1〜2%
程度であり、またアルゴン不安定性は少なくとも50Pa・s
の放電処理の後でも現れなかった。
な実験を行ったものである。ただしこの場合にはチタン
蒸着量は一定の極く僅かの量(608μmol.Ti)にとどめ
た。アルゴン放電後の曲線(b)とチタン堆積後の曲線
(d)はほぼ同じ値を示している。蒸着膜のゲッタ作用
のみの排気(曲線c)では、収着量3Pa・l (1.3μmol.
N2 ) で排気速度が急激に減衰しているのが認められ
る。ちなみに曲線(a)はカソードを長時間作動させた
状態で、活性化もチタンフラッシュも行わずに排気速度
を測定したものであり、これが通常のイオンポンプとし
ての排気速度であると推定される。図8及び図9からチ
タンを堆積させて作った新鮮活性なカソード面をもつス
パッタイオンポンプは、同じ量のチタンを堆積させたゲ
ッタポンプに較べて、より多くの窒素収着量においても
高い排気速度を維持し続けることが分かる。また、ゲッ
タ作用のみの排気で排気速度が急速に減衰する変曲点は
チタン原子500 個に対して窒素分子1個が収着するあた
りである。極僅かのチタンゲッタのフラッシュ(608μm
ol.Ti)では、20回の同じ形式でのチタンのフラッシュ
をした後でも、70cm離れた覗き窓ガラスにチタン膜が堆
積した形跡が見られない程度(1000オングストローム以
内)である。また、永久磁石をポンプケーシングの周り
で同軸回転させることにより、その回転につれて放電領
域は移動し、瞬間的に排気速度の向上が認められた。し
かしこれは過渡的な現象であり、回転を停止させてしば
らくすると元の状態に戻り、この現象は、放電面が隣接
した位置に移動することにより以前に衝撃を受けていた
面が衝撃を受けなくなり、新しい面を衝撃し始めること
によるイオン衝撃表面における気体分子の捕捉作用と再
放出作用とのバランスに密接に関連している。さらに、
アルゴンに対する排気速度は、印加電圧5.5kV の場合で
数l/s程度であり、窒素に対する排気速度の1〜2%
程度であり、またアルゴン不安定性は少なくとも50Pa・s
の放電処理の後でも現れなかった。
【0015】ところで、図示実施例では、ポンプケーシ
ングは高純度チタンを削り出して構成しているが、非磁
性材料であれば他の適当な材質、例えばアルミニウム合
金製やステンレス鋼製などを用いることもでき、その場
合には内壁面に新鮮で活性なチタン層(数ミクロン以
上)が予め形成される。そしてポンプケーシングの断面
形状についても円筒形である必要はなく、角筒状などの
他の形状にすることができる。磁場発生装置は図示実施
例では4個の永久磁石で構成しているが、基本的には二
つの磁石があればよく、その数についてはポンプケーシ
ングの寸法や形成すべきレーストラック状の放電路の数
に応じて任意に選定することができる。またポンプケー
シング内壁に沿ってマグネトロン放電を生じさせる1200
ガウス以上の磁場を発生する磁場発生装置としては、図
10に示すように、ポンプケーシングの長手方向に沿って
複数個の環状の永久磁石15を図示したような極性で配列
し、円筒状ヨーク9の内面に装着して構成することもで
きる。この場合、環状の永久磁石15は図示してない機械
的な直線往復運動できるように構成され、従って磁極の
移動方向は主として軸方向となる。また図10の実施例に
おいて図1に対応した部分は同じ符号で示し、それらの
詳細については図1の実施例の場合と実質的に同じであ
るので、省略する。さらに、各図示実施例においては3
本の蒸発フイラメントを6本の電極に張って蒸発源を構
成しているが、本質的には一対2本のロッドでよい。代
わりにポンプケーシングの底部中央に高電圧端子を設
け、これに軸線方向に伸びる蒸発ゲッターを取り付け、
この高電圧端子にマグネトロン放電を維持するのに必要
な高電圧を印加するようにしてもよい。従って蒸発ゲッ
ターの通電加熱は高電圧を印加したまま行われる。また
代わりに、ポンプケーシングの底部中央に設ける高電圧
端子とは別個に低電圧端子を設け、この低電圧端子に蒸
発ゲッターを取り付け、蒸発ゲッターの通電加熱は低電
圧電源からの電力供給によって行われ得る。
ングは高純度チタンを削り出して構成しているが、非磁
性材料であれば他の適当な材質、例えばアルミニウム合
金製やステンレス鋼製などを用いることもでき、その場
合には内壁面に新鮮で活性なチタン層(数ミクロン以
上)が予め形成される。そしてポンプケーシングの断面
形状についても円筒形である必要はなく、角筒状などの
他の形状にすることができる。磁場発生装置は図示実施
例では4個の永久磁石で構成しているが、基本的には二
つの磁石があればよく、その数についてはポンプケーシ
ングの寸法や形成すべきレーストラック状の放電路の数
に応じて任意に選定することができる。またポンプケー
シング内壁に沿ってマグネトロン放電を生じさせる1200
ガウス以上の磁場を発生する磁場発生装置としては、図
10に示すように、ポンプケーシングの長手方向に沿って
複数個の環状の永久磁石15を図示したような極性で配列
し、円筒状ヨーク9の内面に装着して構成することもで
きる。この場合、環状の永久磁石15は図示してない機械
的な直線往復運動できるように構成され、従って磁極の
移動方向は主として軸方向となる。また図10の実施例に
おいて図1に対応した部分は同じ符号で示し、それらの
詳細については図1の実施例の場合と実質的に同じであ
るので、省略する。さらに、各図示実施例においては3
本の蒸発フイラメントを6本の電極に張って蒸発源を構
成しているが、本質的には一対2本のロッドでよい。代
わりにポンプケーシングの底部中央に高電圧端子を設
け、これに軸線方向に伸びる蒸発ゲッターを取り付け、
この高電圧端子にマグネトロン放電を維持するのに必要
な高電圧を印加するようにしてもよい。従って蒸発ゲッ
ターの通電加熱は高電圧を印加したまま行われる。また
代わりに、ポンプケーシングの底部中央に設ける高電圧
端子とは別個に低電圧端子を設け、この低電圧端子に蒸
発ゲッターを取り付け、蒸発ゲッターの通電加熱は低電
圧電源からの電力供給によって行われ得る。
【0016】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によるス
パッタイオンポンプにおいては、高磁場、高電圧のマグ
ネトロン放電を利用し、ゲッター材を連続的または間欠
的に放電面へ堆積させるように構成しているので、アノ
ード及び(または)カソードを相対的に動かすようにし
たペニング放電型のものに比べて構造が簡単となるだけ
でなく、放電面を新鮮活性な状態に維持することがで
き、排気作動状態を維持しながら超高真空まで排気操作
を行うことができるようになる。またマグネトロン放電
の放電路をポンプ内部の放電面に沿って移動させるよう
にした場合には、このマグネトロン放電の放電領域の移
動とゲッター材の放電面へ堆積との共同作用によりポン
プ作用をさらに増強させることができるようになる。
パッタイオンポンプにおいては、高磁場、高電圧のマグ
ネトロン放電を利用し、ゲッター材を連続的または間欠
的に放電面へ堆積させるように構成しているので、アノ
ード及び(または)カソードを相対的に動かすようにし
たペニング放電型のものに比べて構造が簡単となるだけ
でなく、放電面を新鮮活性な状態に維持することがで
き、排気作動状態を維持しながら超高真空まで排気操作
を行うことができるようになる。またマグネトロン放電
の放電路をポンプ内部の放電面に沿って移動させるよう
にした場合には、このマグネトロン放電の放電領域の移
動とゲッター材の放電面へ堆積との共同作用によりポン
プ作用をさらに増強させることができるようになる。
【図1】 本発明の一実施例を示す概略部分断面斜視
図。
図。
【図2】 図1に示すポンプの蒸発源及び電極の配列を
示す概略平面図。
示す概略平面図。
【図3】 図1に示すポンプの永久磁石の配列を示す概
略展開図。
略展開図。
【図4】 図1に示すポンプの実験装置の排気系統を示
すブロック線図。
すブロック線図。
【図5】 図1に示すポンプの放電電流・圧力特性を示
すグラフ。
すグラフ。
【図6】 図1に示すポンプの放電パターンの様子を示
す図。
す図。
【図7】 図1に示すポンプの永久磁石の回転角度を変
えた場合の放電パターンの移動の様子を示す図。
えた場合の放電パターンの移動の様子を示す図。
【図8】 図1に示すポンプの印加電圧8kVの時の排気
速度と排気量との関係を示すグラフ。
速度と排気量との関係を示すグラフ。
【図9】 図1に示すポンプの印加電圧5.5kV の時 の
排気速度と排気量との関係を示すグラフ。
排気速度と排気量との関係を示すグラフ。
【図10】本発明の変形実施例を示す概略部分断面斜視
図。
図。
【図11】従来のスパッタイオンポンプにおける排気速
度特性を示すグラフ。
度特性を示すグラフ。
【図12】従来のスパッタイオンポンプにおける再生ベ
ークアウト及び活性化後の排気速度の変化を示すグラ
フ。
ークアウト及び活性化後の排気速度の変化を示すグラ
フ。
【図13】従来のスパッタイオンポンプにおけるカソー
ド表面のオージェ電子分光による元素分布を示すグラ
フ。
ド表面のオージェ電子分光による元素分布を示すグラ
フ。
1:ポンプケーシング 2:フランジ 3:穴 4:カソード面 5:チタン蒸発源 6:絶縁碍子 7:電極 8:永久磁石 9:円筒状ヨーク
Claims (6)
- 【請求項1】筒状ポンプハウジングの外周に、カソード
電極面を構成する筒状ポンプハウジングの内壁に沿って
真空空間にマグネトロン放電を起こさせる磁場を発生す
る磁場発生装置を設け、筒状ポンプハウジング内には、
マグネトロン放電を維持するのに必要な高電圧を印加す
るアノード電極と、蒸発ゲッターとを設けたことを特徴
とするスパッタイオンポンプ。 - 【請求項2】磁場発生装置が、筒状ポンプハウジングの
外周にその軸方向に沿って交互の極性となるように配置
した複数個の環状磁石と筒状ヨークとから成る請求項1
に記載のスパッタイオンポンプ。 - 【請求項3】前記磁場発生装置を筒状ポンプハウジング
の軸方向に沿って連続してまたは間欠的に可動に構成し
てマグネトロン放電の放電領域を筒状ポンプハウジング
の内壁に沿って軸方向に移動できるようにした請求項2
に記載のスパッタイオンポンプ。 - 【請求項4】磁場発生装置が、筒状ポンプハウジングの
軸方向にのびる枠型磁石で構成した一方の磁極と、この
枠型磁石の内側に配置され、軸方向にのびる棒状磁石で
構成した他方の磁極と、これら磁極を結合するヨークと
から成り、筒状ポンプハウジングの内壁の軸方向に沿っ
てのびるレーストラック状の放電路を形成する磁石装置
を複数個筒状ポンプハウジングの外周にその周方向に沿
って並置した構造のものである請求項1に記載のスパッ
タイオンポンプ。 - 【請求項5】前記磁場発生装置を筒状ポンプハウジング
の周方向に沿って連続してまたは間欠的に可動に構成し
てマグネトロン放電の放電領域を筒状ポンプハウジング
の内壁に沿って周方向に移動できるようにした請求項4
に記載のスパッタイオンポンプ。 - 【請求項6】蒸発ゲッターがアノード電極により支持さ
れている請求項1に記載のスパッタイオンポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6514094A JPH07312202A (ja) | 1994-03-22 | 1994-04-01 | スパッタイオンポンプ |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5088094 | 1994-03-22 | ||
JP6-50880 | 1994-03-22 | ||
JP6514094A JPH07312202A (ja) | 1994-03-22 | 1994-04-01 | スパッタイオンポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07312202A true JPH07312202A (ja) | 1995-11-28 |
Family
ID=26391359
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6514094A Pending JPH07312202A (ja) | 1994-03-22 | 1994-04-01 | スパッタイオンポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07312202A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20050075194A (ko) * | 2004-01-16 | 2005-07-20 | (주)알파플러스 | 자기 및 이온 차폐형 미니이온펌프 및 진공용기 내벽 플라즈마 처리장치 |
WO2008099612A1 (ja) * | 2007-02-16 | 2008-08-21 | National Institute Of Information And Communications Technology | 真空運搬システム |
WO2009101814A1 (ja) * | 2008-02-14 | 2009-08-20 | National Institute Of Information And Communications Technology | イオンポンプシステム及び電磁場発生装置 |
CN104952685A (zh) * | 2015-01-19 | 2015-09-30 | 中国航天员科研训练中心 | 轻量化大抽速离子泵 |
DE112015006910T5 (de) | 2015-09-16 | 2018-05-24 | Hitachi High-Technologies Corporation | Vakuumvorrichtung |
-
1994
- 1994-04-01 JP JP6514094A patent/JPH07312202A/ja active Pending
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20050075194A (ko) * | 2004-01-16 | 2005-07-20 | (주)알파플러스 | 자기 및 이온 차폐형 미니이온펌프 및 진공용기 내벽 플라즈마 처리장치 |
US8328526B2 (en) | 2007-02-16 | 2012-12-11 | National Institute Of Information And Communications Technology | Vacuum conveyance system |
WO2008099612A1 (ja) * | 2007-02-16 | 2008-08-21 | National Institute Of Information And Communications Technology | 真空運搬システム |
WO2008099610A1 (ja) * | 2007-02-16 | 2008-08-21 | National Institute Of Information And Communications Technology | イオンポンプ装置 |
EP2112678B1 (en) * | 2007-02-16 | 2021-03-31 | National Institute of Information and Communications Technology | Vacuum conveyance system |
JP4831549B2 (ja) * | 2007-02-16 | 2011-12-07 | 独立行政法人情報通信研究機構 | 真空運搬システム |
JP4831548B2 (ja) * | 2007-02-16 | 2011-12-07 | 独立行政法人情報通信研究機構 | イオンポンプ及び真空運搬装置 |
US8246314B2 (en) | 2007-02-16 | 2012-08-21 | National Institute Of Information And Communications Technology | Ion pump device |
JP4835756B2 (ja) * | 2008-02-14 | 2011-12-14 | 独立行政法人情報通信研究機構 | イオンポンプシステム及び電磁場発生装置 |
US8512005B2 (en) | 2008-02-14 | 2013-08-20 | National Institute Of Information And Communications Technology | Ion pump system and electromagnetic field generator |
WO2009101814A1 (ja) * | 2008-02-14 | 2009-08-20 | National Institute Of Information And Communications Technology | イオンポンプシステム及び電磁場発生装置 |
CN104952685A (zh) * | 2015-01-19 | 2015-09-30 | 中国航天员科研训练中心 | 轻量化大抽速离子泵 |
DE112015006910T5 (de) | 2015-09-16 | 2018-05-24 | Hitachi High-Technologies Corporation | Vakuumvorrichtung |
US10804084B2 (en) | 2015-09-16 | 2020-10-13 | Hitachi High-Tech Corporation | Vacuum apparatus |
DE112015006910B4 (de) | 2015-09-16 | 2023-03-30 | Hitachi High-Tech Corporation | Vakuumvorrichtung |
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