JPH07311347A - 望遠鏡 - Google Patents

望遠鏡

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JPH07311347A
JPH07311347A JP6128387A JP12838794A JPH07311347A JP H07311347 A JPH07311347 A JP H07311347A JP 6128387 A JP6128387 A JP 6128387A JP 12838794 A JP12838794 A JP 12838794A JP H07311347 A JPH07311347 A JP H07311347A
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lens barrel
telescope
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light receiving
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JP6128387A
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Yasuo Matsumoto
康夫 松本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一旦焦点合わせを行ったのち気温が変化して
も再度の焦点合わせを行う必要がなく、受光面に常に鮮
明な像を得ることができる望遠鏡を提供する。 【構成】 軸方向に長い筒状の鏡筒11と、この鏡筒1
1に取付けられ、入射光2を焦点位置Fに集光させる主
鏡13と、鏡筒11に取付けられ、フィルム面15を移
動調節して主鏡13からの光2a,2bが集光する像面
に前記フィルム面15を一致させる焦点合わせが可能な
ドローチューブ14とを備えている。さらに、鏡筒11
を無膨張金属により形成して、気温変化による主鏡13
の焦点位置Fの移動量を、鏡筒11及びドローチューブ
14の温度変形によるフィルム面15の移動量にほぼ一
致させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は望遠鏡に係り、特に天体
等の観測または撮影等に使用される望遠鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】天体観測をする場合には、望遠鏡を山の
頂上等の観測地に設置して夜のあいだに観測を行う。か
かる観測地の気温は夜が更けるに従って次第に低下して
行き、明け方頃には10℃程度(時には10数度以上)
気温が下がる場合が多い。天体の写真を撮影する場合に
は、通常は宵のうちに望遠鏡のピント合わせ(焦点合わ
せ)を行い真夜中の撮影に備える。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ガラス材か
らなる凹面鏡またはレンズの線膨張率が、アルミニウム
合金からなる鏡筒及びドローチューブ(繰り出し部分)
の線膨張率と異なっているので、温度変形(気温の変化
により相似形を保って伸縮すること)の度合いがそれぞ
れ異なる。そのため、焦点合わせをしたのち気温が変化
すると、材質の違いから、凹面鏡またはレンズにより像
を結ぶ焦点の位置に対して、ドローチューブに取付けら
れた接眼レンズ又はカメラのフィルム面との間に相対的
な位置のずれが生じて所謂ピンぼけの像ができる。この
ように、従来の望遠鏡やアストロカメラ(天体撮影専用
の望遠鏡)では、気温が約5℃以上変化すると一度合わ
せた焦点の位置が徐々に移動してピンぼけになってしま
う。
【0004】眼視観測の場合には、人間の目が本来持っ
ている自動的な調節機能により少々の焦点位置のずれは
大した問題にはならないが、望遠鏡にカメラを取付けて
写真撮影をする場合には所謂ピンぼけ写真ができてしま
い大きな問題となる。通常、天体写真を撮影する際の焦
点合わせの場合には、焦点位置とフィルム面(即ち受光
面)との位置のずれが約0.03mm以下になるように
合焦させないとピンぼけの状態になる。
【0005】ところが、実際に前記数値以内の許容量に
合焦させるのは極めて高度な技術を要する。具体的に
は、カメラのファインダを目で覗いて焦点を合わせて
も、数回に1回程度しか合わないのが実情である。正確
に合焦した場合でも、それが果して正確なものか否か確
信が持てない。
【0006】そこで、現状ではカメラボディの裏蓋を開
けてフィルム面の位置にスリガラスを置き、その後方か
ら高倍率のルーペを使って注意深く観測しながらピント
合わせを行う。他の方法としては所謂ナイフエッジ法や
ロンキー法等があるが、いずれにしても焦点合わせを何
回も何回も試みる必要があり、また熟練を要する非常に
面倒な作業である。また一旦ピント合わせをしても気温
の変化により時間の経過とともに徐々にピンぼけの状態
になっていく。かかる0.01mm単位の合焦作業は一
般的には月の出ていない深夜の真っ暗闇の中で行うの
で、作業の困難さは更に倍増する。
【0007】図4は、天体撮影等に使用される従来のシ
ュミットカメラの正面断面図である。図示するように、
シュミットカメラ1は、入射光2を凹面鏡3で反射し
て、撮影用フィルムが取付けられる受光面4に像を結ぶ
ようになっている。受光面4は鏡筒5の内部に配設され
た複数の支持棒6の先端部に取付けられている。
【0008】鏡筒5がアルミニウム合金製で、支持棒6
は無膨張金属により形成されたものも提案されている。
この場合には受光面4の位置は温度変化によってはそれ
ほど移動しないが、凹面鏡3の焦点位置は主として該凹
面鏡3の伸縮により軸方向に移動するので、ピンぼけを
完全に防止することはできなかった。また支持棒6を鏡
筒5の内部に突出させたので構造が複雑で強度も弱いと
いう課題があった。
【0009】本発明は、斯かる課題を解決するためにな
されたもので、一旦焦点合わせを行ったのち気温が変化
しても再度の焦点合わせを行う必要がなく、受光面に常
に鮮明な像を得ることができる望遠鏡を提供することを
目的とする。また、構造が簡単で強度の大きな望遠鏡を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明にかかる望遠鏡は、軸方向に長い筒状の鏡筒
と、この鏡筒に取付けられ、入射光を焦点位置に集光さ
せる光学部材と、前記鏡筒に取付けられ、受光面を移動
調節して前記光学部材からの光が集光する像面に前記受
光面を一致させる焦点合わせが可能な受光部とを備え、
前記鏡筒を低膨張材により形成して、気温変化による前
記光学部材の焦点位置の移動量を、前記鏡筒及び前記受
光部の温度変形による前記受光面の移動量にほぼ一致さ
せたものである。
【0011】前記望遠鏡が反射望遠鏡の場合に、前記光
学部材は、前記鏡筒の後部に取付けられて前記入射光を
反射させる凹面を有する主鏡であり、支持部材を介して
前記鏡筒に取付けられた第2の鏡により、前記主鏡から
の反射光を再び反射して、接眼レンズ及びカメラのいず
れかが取付けられた前記受光部に導くものである。
【0012】前記望遠鏡が屈折望遠鏡の場合に、前記光
学部材は、前記鏡筒の前部に取付けられて前記入射光を
屈折させ、この屈折光を、接眼レンズ及びカメラのいず
れかが取付けられた前記受光部に導く対物レンズであ
る。
【0013】前記望遠鏡がシュミットカメラの場合に、
前記光学部材は、前記鏡筒の前部に取付けられて入射光
を透過させて球面収差を除去する補正レンズと、前記鏡
筒の後部に取付けられて前記補正レンズからの透過光を
反射させる凹面を有する主鏡とにより構成され、支持部
材を介して前記鏡筒の内部に取付けられた受光部に設け
られ非点収差を除去する曲面状の受光面に撮影用フィル
ムを取付けてこのフィルム面に前記主鏡からの反射光を
集光させている。
【0014】好ましくは前記低膨張材は無膨張金属であ
り、その成分構成(重量比)は、ニッケル約36%,鉄
約63%,炭素約0.2%,マンガン約0.8%であ
る。
【0015】なお、好ましくは前記光学部材は、20℃
における線膨張率が約2.8×10-6/Kのガラス材に
より形成され、前記受光部はアルミニウム合金により形
成されている。
【0016】また、好ましくは前記ガラス材はパイレッ
クス材(登録商標)であり、前記アルミニウム合金の成
分構成(重量比)は、アルミニウム約90%,マグネシ
ウム約10%である。
【0017】
【作用】従来は、軸方向に長い鏡筒を線膨張率の大きな
アルミニウム合金などにより形成していたので、気温が
変化すると受光部を有する鏡筒が大きく温度変形して受
光面が大きく移動していた。この受光面の移動量は、温
度変形による光学部材の焦点位置の移動量に比べて大き
かったので、焦点位置と受光面との相対的な位置のずれ
が大きくなり、光学部材からの光は受光面よりずれた位
置に集光して像を形成していた。
【0018】これに対して、本発明では、軸方向に長い
鏡筒を無膨張金属等の低膨張材により形成したので、鏡
筒及び受光部の温度変形による受光面の移動量が従来と
比べて極めて小さくなる。更に、光学部材の焦点位置の
移動量を受光面の移動量にほぼ一致させて、焦点位置と
受光面との間の相対的な位置のずれをほぼ零にしてい
る。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1乃至図3を参
照して説明する。
【0020】(第1実施例)図1は本発明の第1実施例
を示す図で、主として天体を観測又は撮影するニュート
ン式反射望遠鏡の正面断面図である。望遠鏡としてのニ
ュートン式反射望遠鏡10は、軸方向に長い筒状の鏡筒
11と、鏡筒11の内部12に取付けられ、無限遠の天
体等から来る平行光線である入射光2を焦点位置Fに集
光させる光学部材13とを備えている。本実施例の光学
部材13は、球面またはパラボラ面などの凹面を有する
主鏡13である。
【0021】反射望遠鏡10は、鏡筒11に取付けられ
た受光部としてのドローチューブ14を更に備えてい
る。伸縮操作可能なドローチューブ14は、受光面15
を進退移動調節して、主鏡13からの光2a,2bが集
光する像面(焦点位置Fに相当)に受光面15を一致さ
せる焦点合わせができるようになっている。
【0022】主鏡13は、鏡筒11に取付けられた主鏡
セル16に保持されることにより鏡筒11の後部に取付
けられて入射光2を反射させる。主鏡13は、図示しな
い光軸修正ねじによりその光軸を微調節可能になってい
る。
【0023】鏡筒11の前方内部には支持部材17が取
付けられている。支持部材17を介して鏡筒11の内部
12に取付けられた第2の鏡としての斜鏡18は、主鏡
13からの反射光2aを再び反射して直角に曲げて、そ
の反射光2bを、着脱可能にカメラ19が取付けられた
ドローチューブ14に導くようになっている。平面状の
反射面を有する斜鏡18は、支持部材17に取付けられ
た光軸修正ねじ20によりその位置及び姿勢を微調節で
きるようになっている。前記受光面15としては、接眼
レンズでもよいが本実施例ではカメラ19のフィルム面
が受光面に該当している。
【0024】鏡筒11は、線膨張率が極めて小さい無膨
張金属等の低膨張材により形成されており、気温の変化
で温度変形する主鏡13の焦点位置Fの移動量を、鏡筒
11及びドローチューブ14の温度変形による受光面1
5の移動量にほぼ一致させている。
【0025】入射光2が反射望遠鏡10に入射すると、
入射光2は支持部材17の位置を通過したのち主鏡13
で反射されてその焦点位置に集光する集束光線束(反射
光2a)となって斜鏡18に入射する。斜鏡18で直角
に曲げられた反射光2bはドローチューブ14内を通っ
てカメラ19のフィルム面(受光面)15に集光して像
を形成する。これにより天体等の写真撮影がなされる。
【0026】主鏡13及び斜鏡18の各反射面の中心点
を符号P1 ,P2 とし、この中心点P1 ,P2 が入射光
2の光線束の中心に一致している場合を考えると、主鏡
13の焦点距離fは次式で表される。 f=L1 +L2 +L31 :P1 ,P2 間の光路の距離 L2 :P2 と鏡筒11の外周面21との間の光路の距離 L3 :鏡筒外周面21と焦点位置F(像面)との間の光
路の距離
【0027】次に、本発明の好ましい条件及び理論計算
のための条件を下記に示す。 (1)鏡筒11の材料…不変鋼、アンバー、インバール
等とよばれる所謂無膨張金属。 成分構成(重量比):Ni(ニッケル)約36%(35
%乃至37%で、好ましくは約36%),Fe(鉄)約
63%,C(炭素)約0.2%,Mn(マンガン)約
0.8%)。 20℃における線膨張率 :約0.13×10-6/K (2)主鏡13の材料…20℃における線膨張率が約
2.8×10-6/Kのガラス材(好ましくはパイレック
ス材(登録商標))。 (3)ドローチューブ14の材料…アルミニウム合金
(好ましくは、Al(アルミニウム)約90%,Mg
(マグネシウム)約10%のアルミニウム合金で、20
℃における線膨張率が約23×10-6/Kのもの)。 (4)焦点距離f…f=1000mmに設定 (5)一晩の気温の変化ΔT…ΔT=10℃と仮定 (6)一年を通しての最大の気温の変化ΔT…+25℃
(夏季)〜−25℃(冬季)と仮定して、ΔT=50℃
に設定。
【0028】従来は、鏡筒の材料にドローチューブ14
と同じアルミニウム合金等を使用していたが、本発明の
鏡筒11には、20℃における線膨張率が約0.13×
10-6/Kの無膨張金属を使用しており、これは、線膨
張率が小さいと言われているカーボングラファイトより
はるかに小さいダイヤモンドの約1/8程度の値であ
る。
【0029】次に、従来の望遠鏡と本発明の望遠鏡10
とを比較して気温の変化に対する理論計算を行う。 (A)従来の望遠鏡の場合 従来の望遠鏡における鏡筒は、線膨張率が約23×10
-6/Kのアルミニウム合金等で形成されていた。 (1)気温の変化ΔT=10℃の場合、主鏡13の焦点
位置Fの移動量d1 は、焦点距離(f)×線膨張率×気
温の変化(ΔT)となり次式で計算される。 d1 =1000×(2.8×10-6)×10=0.02
8mm (2)気温が変化して鏡筒11及びドローチューブ14
が温度変形することによるフィルム面(受光面)15の
移動量d2 は次式で計算される。 d2 =1000×(23×10-6)×10=0.23m
m (3)前記各移動量d1 とd2 の差が焦点位置Fに対す
る受光面15の相対的なずれとなり、このずれは次式で
示される値となる。 d2 −d1 =0.23−0.028=0.202mm この値は、ピンぼけが生じない許容値である上述の0.
03mmより相当大きな数値である。したがって、従来
の望遠鏡の場合には、一旦焦点合わせを行っても一晩の
気温の変化により受光面と焦点位置とのずれが生じ、受
光面15以外のところに像が形成されてピンぼけの状態
になることが分かる。
【0030】(B)本発明の望遠鏡10の場合 本発明では鏡筒11を無膨張金属により形成している
が、他の条件は上述と同様である。 (1)主鏡13の焦点距離Fの移動量d1 は前記従来品
と同じ計算により、 d1 =0.028mm となる。 (2)鏡筒11の内部の光路の距離をL1 +L2 =88
3mmとし、ドローチューブ14の部分の光路の距離を
3 =117mmと仮定して計算すると距離L1+L2
の部分の気温の変化による移動量は、 883×(0.13×10-6)×10=0.00114
79mm となり、距離L3 の部分の気温の変化による移動量は、 117×(23×10-6)×10=0.02691mm となる。したがって、受光面15の移動量d2 は両値を
合計して、 d2 =0.0280579mm となる。 (3)したがって、焦点位置Fの移動量d1 と受光面1
5の移動量d2 との相対的な差は次式で計算される。即
ち、 d2 −d1 =0.0280579−0.028=0.0
000579mm となり殆ど零となる。
【0031】この値は、ピンぼけとならない許容値0.
03mmよりはるかに小さい値である。したがって、一
旦焦点合わせを行ったのち気温が変化しても、常に焦点
位置Fは受光面15にほぼ一致しており、相対的には移
動せず、受光面15に常に光が集光して鮮明な像を形成
する。
【0032】なお、前記計算例は一晩の気温の変化ΔT
=10℃の場合で行ったが、一年を通しての気温の変化
ΔT=50℃の場合であっても、相対的な移動量は許容
値0.03mmと比べて極めて小さな値となる。これに
より、一度焦点合わせを行って位置決めしておけば、再
度の焦点合わせを行う必要がなく、年間を通じて受光面
15に常にピンぼけのない鮮明な像を得ることができ、
理想的な天体写真や風景写真等を撮影することができ
る。
【0033】なお、反射望遠鏡としては、前記ニュート
ン式反射望遠鏡のほか、主鏡で反射された光を第2の鏡
で再び反射し、その反射光を主鏡に形成された貫通孔か
ら望遠鏡外部に導くカセグレイン式反射望遠鏡やグレゴ
リー式反射望遠鏡であってもよい。
【0034】(第2実施例)図2は、本発明の第2実施
例を示す天体又は地上の観測又は撮影用の屈折望遠鏡の
正面断面図である。図示するように、屈折望遠鏡30
は、軸方向に長い筒状の鏡筒11aと、鏡筒11aの内
部12aに取付けられ、平行光線である入射光2を焦点
位置に集光させる光学部材13aと、鏡筒11aに取付
けられ、受光面15aを移動調節して光学部材13aか
らの光2cが集光する像面に受光面15aを一致させる
焦点合わせが可能な受光部としてのドローチューブ14
aとを備えている。
【0035】また、鏡筒11aを無膨張金属等の低膨張
材により形成して、気温変化による光学部材13aの焦
点位置Fの移動量を、鏡筒11a及びドローチューブ1
4aの温度変形による受光面15aの移動量にほぼ一致
させている。本実施例の光学部材13aは、鏡筒11a
の前部31に取付けられて入射光2を屈折させ、この屈
折光2cを、接眼レンズ又は着脱可能なカメラ19が取
付けられたドローチューブ14aに導く対物レンズ13
aである。
【0036】本実施例の鏡筒11a,対物レンズ13
a,ドローチューブ14aの各材料は、第1実施例の鏡
筒11,主鏡13,ドローチューブ14の各材料と同一
である。したがって、第1実施例と同様の計算が成り立
ち、同様の作用効果を奏する。
【0037】(第3実施例)図3は本発明の第3実施例
を示すシュミットカメラの正面断面図である。望遠鏡と
してのシュミットカメラ40は、主として天体の観測又
は撮影に用いられる。シュミットカメラ40は、軸方向
に長い筒状の鏡筒11bと、鏡筒11bに取付けられ、
平行光線である入射光2を焦点位置Fに集光させる光学
部材13bと、鏡筒11bに取付けられ、受光面15b
を移動調節して光学部材13bからの光が集光する像面
に受光面15bを一致させる焦点合わせが可能な受光部
14bとを備えている。
【0038】また、鏡筒11bを無膨張金属等の低膨張
材により形成して、気温の変化による光学部材13bの
焦点位置Fの移動量を、鏡筒11b及び受光部14bの
温度変形による受光面15bの移動量にほぼ一致させて
いる。
【0039】光学部材13bは、鏡筒11bの前部41
に取付けられて入射光2を透過させて球面収差を除去す
る補正レンズ42と、鏡筒11bの後部43に取付けら
れて補正レンズ42からの透過光2dを反射させる凹面
を有する主鏡44とにより構成されている。
【0040】鏡筒11bの内部12bには支持部材45
が取付けられており、支持部材45を介して鏡筒11b
の内部12bに取付けられた受光部14bには受光面1
5bが設けられている。受光面15bは非点収差を除去
するような曲面状に形成されており、受光面15bに撮
影用のフィルムを密着させてこのフィルム面に主鏡44
からの反射光2eを集光させて写真撮影をするようにな
っている。また、図示しない調節機構により受光部14
及び主鏡44はその位置及び姿勢を微調節できるように
なっている。鏡筒11bと主鏡44と受光部14bの各
材料は、第1実施例の鏡筒11と主鏡13とドローチュ
ーブ14の各材料とそれぞれ同一である。
【0041】ところで、図4に示す従来のシュミットカ
メラ1においては、凹面鏡3と補正レンズ7とを含む光
学部材の温度変形による焦点位置の移動量に対して、無
膨張金属製の支持棒6の温度変形による受光面4の移動
量は一致しておらず、前者の移動量の方がかなり大き
い。これは、本実施例が備えているアルミニウム合金製
の受光部14bに相当する構成部材が従来のシュミット
カメラ1には設けられていないからである。したがっ
て、従来のシュミットカメラ1においては気温が変化す
ると凹面鏡3からの反射光が集光する像面が受光面4の
位置からずれることとなり、ピンぼけが生じていた。
【0042】これに対して、本第3実施例では、補正レ
ンズ42及び主鏡44が気温の変化によって温度変形す
ることによる焦点位置Fの移動量と、鏡筒11b及び受
光部14bの温度変形による受光面15bの移動量とを
ほぼ同一にして両方の移動量を打ち消し合っている。
【0043】このように、本実施例では鏡筒11bの軸
方向の長さが殆ど変化せず、また受光部14bの軸方向
の長さを適宜決めることにより、ほぼ完全に両移動量を
一致させることができる。従って、気温が変化しても再
度の焦点合わせを行う必要がなく、受光面15bに常に
鮮明な像を得ることができ、合焦性能が向上する。実際
上、本発明のシュミットカメラ40は、図4に示す従来
のシュミットカメラ1と比較して両移動量の差を数十分
の一以下にすることができ、ピンぼけ現象を防止するこ
とができる。このように、本実施例においても第1実施
例と同様の計算が成り立ち、同一の作用効果を奏する。
【0044】なお、本実施例のシュミットカメラ40で
は鏡筒11bを無膨張金属等の低膨張材により形成した
ので、従来の長細くて不安定な支持棒6の代わりに本実
施例ではコンパクトで強い構造の支持部材45により受
光部14bを強固に支持することができ、強度が増すと
ともに構造が簡単になる。また、支持部材45が受光面
15bをしっかりと保持できるので、受光面15bに取
付けられる撮影用フィルムを安定して且つ正確に位置決
めすることができる。
【0045】支持部材45は、半径方向には温度変形す
るが軸方向に対しては殆ど温度変形しないので受光面1
5の移動にはそれほど関与しない。したがって、受光部
14bと同一のアルミニウム合金により形成してもよい
が無膨張金属でもよい。
【0046】ところで、前記各実施例では受光部をアル
ミニウム合金により形成する場合を示したが、この受光
部もまた無膨張金属等の低膨張材により形成してもよ
い。この場合には、光学部材の焦点位置の移動量を、鏡
筒及び受光部の温度変形による受光面の移動量にほぼ一
致させるために、光学部材を、線膨張率がパイレックス
材よりはるかに小さい材料を使うことが好ましい。
【0047】なお、本発明は、反射式,屈折式,屈折反
射複合式,アストロカメラ等の各種天体望遠鏡に適用す
ることができ、その他風景を観測又は撮影する地上望遠
鏡,双眼鏡およびカメラ用望遠レンズ等にも適用するこ
とができる。なお、各図中同一符号は同一または相当部
分を示す。
【0048】
【発明の効果】本発明は上述のように構成したので、一
旦焦点合わせを行ったのち気温が変化しても再度の焦点
合わせを行う必要がなく、受光面に常に鮮明な像を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すニュートン式反射望
遠鏡の正面断面図である。
【図2】本発明の第2実施例を示す屈折望遠鏡の正面断
面図である。
【図3】本発明の第3実施例を示すシュミットカメラの
正面断面図である。
【図4】従来のシュミットカメラの正面断面図である。
【符号の説明】
2 入射光 2a,2b,2c,2d 光 10 反射望遠鏡(望遠鏡) 11,11a,11b 鏡筒 12 鏡筒の内部 13 主鏡(光学部材) 13a 対物レンズ(光学部材) 13b 光学部材 14,14a ドローチューブ(受光部) 14b 受光部 15,15a フィルム面(受光面) 15b 受光面 17 支持部材 18 斜鏡(第2の鏡) 19 カメラ 30 屈折望遠鏡(望遠鏡) 31,41 鏡筒の前部 40 シュミットカメラ(望遠鏡) 42 補正レンズ 43 鏡筒の後部 44 主鏡 45 支持部材 d1 焦点位置の移動量 d2 受光面の移動量 F 焦点位置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に長い筒状の鏡筒と、この鏡筒に
    取付けられ、入射光を焦点位置に集光させる光学部材
    と、前記鏡筒に取付けられ、受光面を移動調節して前記
    光学部材からの光が集光する像面に前記受光面を一致さ
    せる焦点合わせが可能な受光部とを備え、 前記鏡筒を低膨張材により形成して、気温変化による前
    記光学部材の焦点位置の移動量を、前記鏡筒及び前記受
    光部の温度変形による前記受光面の移動量にほぼ一致さ
    せたことを特徴とする望遠鏡。
  2. 【請求項2】 前記望遠鏡は反射望遠鏡であって、 前記光学部材は、前記鏡筒の後部に取付けられて前記入
    射光を反射させる凹面を有する主鏡であり、 支持部材を介して前記鏡筒に取付けられた第2の鏡によ
    り、前記主鏡からの反射光を再び反射して、接眼レンズ
    及びカメラのいずれかが取付けられた前記受光部に導く
    ことを特徴とする請求項1記載の望遠鏡。
  3. 【請求項3】 前記望遠鏡は屈折望遠鏡であって、前記
    光学部材は、前記鏡筒の前部に取付けられて前記入射光
    を屈折させ、接眼レンズ及びカメラのいずれかが取付け
    られた前記受光部に前記屈折光を導く対物レンズである
    ことを特徴とする請求項1記載の望遠鏡。
  4. 【請求項4】 前記望遠鏡はシュミットカメラであっ
    て、 前記光学部材は、前記鏡筒の前部に取付けられて入射光
    を透過させて球面収差を除去する補正レンズと、前記鏡
    筒の後部に取付けられて前記補正レンズからの透過光を
    反射させる凹面を有する主鏡とにより構成され、 支持部材を介して前記鏡筒の内部に取付けられた受光部
    に設けられ非点収差を除去する曲面状の受光面に撮影用
    フィルムを取付けてこのフィルム面に前記主鏡からの反
    射光を集光させることを特徴とする請求項1記載の望遠
    鏡。
  5. 【請求項5】 前記低膨張材は無膨張金属であることを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の望遠鏡。
  6. 【請求項6】 前記無膨張金属の成分構成(重量比)
    は、ニッケル約36%,鉄約63%,炭素約0.2%,
    マンガン約0.8%であることを特徴とする請求項5記
    載の望遠鏡。
  7. 【請求項7】 前記光学部材は、20℃における線膨張
    率が約2.8×10-6/Kのガラス材により形成され、
    前記受光部はアルミニウム合金により形成されたことを
    特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の望遠鏡。
  8. 【請求項8】 前記ガラス材はパイレックス材であり、
    前記アルミニウム合金の成分構成(重量比)は、アルミ
    ニウム約90%,マグネシウム約10%であることを特
    徴とする請求項7記載の望遠鏡。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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