JPH07310436A - 鉄骨材ポジショナー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶接面を常に上方に向けるよう鉄骨材の位置
変更を可能とする鉄骨材ポジショナーにおいて、大型の
鉄骨材でもスペースを取らずに位置変更作業可能にし、
かつ鉄骨材の搬出入を容易化するよう構成する。 【構成】 テーブル８を回転可能に取り付けた、軸芯ま
わりに回転可能な水平アーム５を昇降フレーム３Ｌ・３
Ｒ間に垂直方向に昇降可能に横設した鉄骨材ポジショナ
ーＰを構成し、鉄骨材ポジショナーＰへの搬出入用のレ
ール１５・１５を敷設して、鉄骨材Ｗを載置する台車１
４を搬出入可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ビル建設用等の鉄骨材
の溶接作業において、溶接面を上方に向けるよう鉄骨材
の位置決めをする鉄骨材ポジショナーの構成に関する。

【０００２】

【従来の技術】ビル建設用の鉄骨材において、図８に示
すような縦柱材と横梁材とのジョイント部（鉄骨材Ｗ）
は、作業効率向上のため、工場で組み立てておいて現場
に搬送する。そして、溶接作業は、安全性のため、必ず
溶接面を上部にし、人間が溶接面を見下ろす姿勢で作業
しなければならない。従って、鉄骨材をあらゆる方向に
位置決めできるようにしなければならない。従来は、鉄
骨材をクレーンで吊って位置を変更させたり、また、図
９に示す如く、先端に鉄骨材を固着するテーブル２４を
回転可能に、及び上下回動可能に付設したアーム２３を
上下回動自在に支持したポジショナーが使用されてい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、クレーンで吊
下して位置決めする作業は大変な労力を要し、また、図
９に示すポジショナーは、アーム２３の上下回動域が大
きくなり、従って、あまり大きな鉄骨材では、その位置
変更に要するスペースが多くなり、更に、アーム２３の
回動支点軸が一本で、アームを傾斜状に支持するのであ
るから、回動支点軸への負荷力が大きく、ある程度小さ
な鉄骨材しか使用できなくなる。更に、該ポジショナー
の使用に際しても、テーブルへの鉄骨材の搬送は、クレ
ーンにて行っており、テーブルの把持位置にて正確に搬
送を停止する技術を要するものであり、また、不意にク
レーンで吊られた鉄骨材がずれたりすることも考えら
れ、危険である。よって、作業者の労力を必要とせず、
かつ大きな鉄骨材でもスペースを取らずに作業可能で、
鉄骨材の搬入が容易なポジショナーが望まれていたので
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
問題を解決するため、次のような手段を用いるものであ
る。即ち、鉄骨材を固着するテーブルを、水平アームに
対して直角に枢支した枢支軸に固設して、該枢支軸の軸
芯まわりに回転可能に支持し、該水平アームを、該水平
アームの軸芯回りに回転可能に支持し、且つ、その両側
端にて上下摺動自在に支持して、上下に昇降可能とし、
更に、該水平アーム下方に鉄骨材を載置する台車の搬送
路を敷設した。

【０００５】

【作用】テーブルを水平アームに対して回転可能に取り
付け、更に該水平アーム自体が軸芯まわりに回転するこ
とから、テーブルを前後左右の全方向に回転させて、把
持する鉄骨材の前面を上方に位置決めすることができ、
更に、水平アームが昇降するので、大きな鉄骨材でも上
方に移動させて位置変更させることができる。そして、
水平アームが水平状を保持したまま垂直方向に昇降する
ので、鉄骨材の昇降スペースが前後左右に広がることが
なく、大きな鉄骨材の位置決め用として使用しても、設
置スペースを取らないですむ。また、水平アームは両側
端にて支持されているので、大きな鉄骨材も充分に支持
でき、また、強度の駆動力にて昇降できる。

【０００６】また、テーブルに対する鉄骨材の台車搬送
路を設けることで台車による鉄骨材の搬出入を容易化で
き、テーブル位置で容易かつ確実に鉄骨材を停止でき
る。

【０００７】

【実施例】本発明の解決すべき課題及び構成は以上の如
くであり、次に添付の図面に示した本発明の実施例を説
明する。図１は本発明の鉄骨材ポジショナーＰの斜視
図、図２は同じく正面図、図３は同じく側面図、図４は
水平アーム５及びテーブル８の部分斜視図、図５はテー
ブル８に鉄骨材Ｗを固定し、９０°反転させた状態の鉄
骨材ポジショナーＰの斜視図、図６はテーブル８におけ
る鉄骨材把持の様子を示す部分斜視図、図７は鉄骨材ポ
ジショナーＰへの鉄骨材搬送構成を示す正面図、図８は
鉄骨材Ｗを載置した台車１４の斜視図である。

【０００８】図１乃至図６より鉄骨材ポジショナーＰの
構成について説明する。左右に縦支柱１Ｆ・１Ｒを前後
平行状に立設し、各上端を上部フレーム２の四隅に固設
している。左右の縦支柱１Ｆ・１Ｒ間には、それぞれ昇
降フレーム３Ｌ・３Ｒを上下摺動自在に配設している。
即ち、図３の如く、縦支柱１Ｆ・１Ｒは、それぞれ前後
に対峙する垂直方向の摺動溝１ａ・１ａが形成されてお
り、該摺動溝１ａ・１ａ内に、各昇降フレーム３Ｌ・３
Ｒの前後に突設する摺動ローラー３ａ・３ａ・・・を嵌
入して、上下摺動自在としており、更に摺動を円滑にす
べく、昇降フレーム３Ｌ・３Ｒの四隅より補助ローラー
３ｂ・３ｂ・・・を突設して、縦部材１Ｆ・１Ｒの内側
面に当接させている。

【０００９】そして、左右の縦部材１Ｆ・１Ｒ間におい
て、上部フレーム２よりそれぞれ電動モーターＭ１・Ｍ
１にて駆動可能なチェーン吊下装置２ａ・２ａが垂設さ
れており、各チェーン吊下装置２ａ・２ａより昇降フレ
ーム３Ｌ・３Ｒにチェーン（ワイヤも可）４・４を連結
して、昇降フレーム３Ｌ・３Ｒを吊設している。こうし
て、昇降フレーム３Ｌ・３Ｒが、電動モーターＭ１・Ｍ
１によるチェーン吊下装置２ａ・２ａの駆動にて上下に
摺動するのである。なお、電動モーターＭ１・Ｍ１は、
同時に、同ピッチにて駆動するので、昇降フレーム３Ｌ
・３Ｒ間に横設する後記水平アーム５を水平に保持した
まま昇降させる。

【００１０】以上のように昇降可能に取り付けられた昇
降フレーム３Ｌ・３Ｒに、水平アーム５の左右端より突
設する枢支軸５ａ・５ａを各々昇降フレーム３Ｌ・３Ｒ
に枢支して、水平アーム５を左右昇降フレーム３Ｌ・３
Ｒ間に水平状に横設する。枢支軸５ａ・５ａには、それ
ぞれ回転ギア６・６を環設固定しており、各回転ギア６
・６には、それぞれ昇降フレーム３Ｌ・３Ｒに固設され
た電動モーターＭ２・Ｍ２のモーター軸に付設されたモ
ーターギア７・７を噛合しており、電動モーターＭ２・
Ｍ２を同時に同ピッチで駆動して回転ギア６・６を回転
させて、水平アーム５を回転することができる。

【００１１】更に、水平アーム５の中央部にて、テーブ
ル８と回転ギア９を環設固定する枢支軸１０を水平アー
ム５に枢支し、水平アーム５に固設した電動モーターＭ
３のモーター軸に付設するモーターギア１１を該回転ギ
ア９に噛合させ、電動モーターＭ３の駆動にて回転ギア
９及びテーブル８を回転できる。

【００１２】縦支柱１Ｆの一方には、操作盤１３が配設
されていて、電動モーターＭ１・Ｍ２・Ｍ３の駆動制御
操作を行い、テーブル８の回転操作、水平アーム５の回
転操作、及びテーブル８・水平アーム５を支持する昇降
フレーム３Ｌ・３Ｒの昇降操作を行うものである。

【００１３】更に、テーブル８には、図５及び図６のよ
うに長孔８ａが穿設されており、該長孔８ａ内に嵌入軸
１２ａを嵌入して把持部材１２を摺動できるようにして
おり、鉄骨材Ｗの一部を把持するべく、把持部材１２を
摺動させて位置決めし、該嵌入軸１２ａをテーブル８に
ボルト締めして把持部材１２を固定し、テーブル８に鉄
骨材Ｗを固定するものである。

【００１４】以上のような構成の鉄骨材ポジショナーＰ
において、鉄骨材Ｗの溶接用位置決め作業について説明
する。左右縦支柱１Ｆ・１Ｆ及び１Ｒ・１Ｒ間の床面に
は、後記に説明する台車１４の搬入路が形成されてい
て、溶接しようとする鉄骨材Ｗを載置した台車１４が搬
入されて、水平アーム５の下方にて停止すると、前記要
領にてテーブル８に、把持部材１２を介して鉄骨材Ｗが
固定される。一般には最初にテーブル８を垂直下方に向
けた状態で、台車１４に載置された鉄骨材Ｗの上部位置
より把持するが、例えば台車１４上に載置された鉄骨材
Ｗが垂直方向に長ければ、テーブル８を予め垂直状にな
るように水平アーム５を９０°回転させておいて、鉄骨
材Ｗの側方より把持することも考えられる。

【００１５】このようにテーブル８に鉄骨材Ｗを把持す
ると、台車１４を水平アーム５の下方より外部に移動さ
せ、溶接面が高い場合には踏台を側方に置く等して、溶
接作業の準備を整える。そして、溶接面を上部に向ける
ために、水平アーム５を１８０°反転させたり、あるい
は図５に図示するように９０°回転させたりし、また、
左右方向に溶接すべき箇所をずらせていって、溶接作業
位置に送るために、テーブル８を回転させたりして、溶
接すべき箇所が常に作業者が下向きに溶接作業ができる
位置に送られるよう位置決めする。

【００１６】これら水平アーム５やテーブル８の回転に
よる鉄骨材Ｗの回転操作においては、鉄骨材Ｗが大きけ
れば、その場で回転させようとしても、鉄骨材Ｗが床面
に当たってしまう。よって、テーブル８位置を上昇させ
ることが必要となる。そこで図１の如く、昇降フレーム
３Ｌ・３Ｒを上方に摺動させて、水平アーム５を上昇さ
せ、適当位置となった時に、水平アーム５或いはテーブ
ル８を回転させて、目的の溶接位置を上方にしたら、昇
降フレーム３Ｌ・３Ｒを下方摺動させて、また溶接作業
者が下向きに溶接できる位置まで水平アーム５を下降さ
せるのである。

【００１７】ここで、鉄骨材Ｗの形状について説明して
おくと、例えば図１、図２及び図８に示す如く、十字に
Ｈ型板材２２を組み合わせ、中心部をジョイント材２１
にて接合させた鉄骨材Ｗもあれば、図５の如く、Ｔ字に
Ｈ型鋼を組み合わせた鉄骨材Ｗもあり、或いは、図３及
び図７に示す如く、階段状に鉄骨材を組み合わせた鉄骨
材Ｗもある。これらは専らビルの縦柱材と横梁材とのジ
ョイント部として構成されたもので、このように工場内
にて溶接加工して、ビル建設現場へと搬出されるのであ
る。

【００１８】最後に、鉄骨材ポジショナーＰへの鉄骨材
Ｗの搬出入構造について説明する。図２に示す如く、左
右縦部材１Ｆ・１Ｆ間及び１Ｒ・１Ｒ間に、レール敷設
用の平行状の溝１６・１６を、前後の縦部材１Ｆ・１Ｒ
に平行状に床面に穿設し、該溝１６・１６内にレール１
５・１５を敷設する。該レール１５・１５上には、台車
１４が、車輪１４ａ・１４ａ・・・を介して載置されて
おり、レール１５・１５上を車輪１４ａ・１４ａ・・・
が回転することで、台車１４が走行可能となっている。
なお、台車１４の走行は、人手にて押して行ってもよ
く、或いは、電動モーターを台車に搭載して、遠隔操作
等にて走行制御してもよい。

【００１９】台車１４の上部には、図８のように、コロ
１４ｂ・１４ｂ・・・が前後方向に複数列回転自在に枢
支されており、鉄骨材Ｗは、該コロ１４ｂ・１４ｂ・・
・上に載置されて、横方向に摺動させて位置調節可能と
なっている。

【００２０】レール１５・１５は、図７の如く鉄骨材ポ
ジショナーＰの前後に延設されて、搬入位置Ｘ及び搬出
位置Ｙを確保している。なお、設置スペースが限られて
いる場合は、鉄骨材ポジショナーＰの前方あるいは後方
のどちらかのみに、搬入位置と搬出位置を兼用する位置
を設けてもよい。そして、各搬入位置Ｘ・搬出位置Ｙの
上方の天井付近に、図１及び図７に示すように、それぞ
れ搬入クレーン１８、搬出クレーン２０を前後方向に摺
動可能に取り付けたクレーン摺動レール１７、１９が配
設されている。

【００２１】以上のような構成において、鉄骨材Ｗの搬
出入作業について、図７より説明する。まず、レール１
５・１５上における台車１４を搬入位置Ｘにて停止させ
ておき、その上方にて、溶接しようとする鉄骨材Ｗを吊
下した搬入クレーン１８が摺動してきて、台車１４上に
て停止する。作業者は、搬入クレーン１８より降ろし
て、鉄骨材Ｗを台車１４上に載置する。こうして鉄骨材
Ｗを載置した台車１４を手で押す等して鉄骨材ポジショ
ナーＰの水平アーム５下方まで搬入し、停止させ、テー
ブル８に鉄骨材Ｗを固定させる。鉄骨材ポジショナーＰ
において、前記要領にて鉄骨材の溶接作業が終了する
と、再び台車１４を水平アーム５下方に搬入して、テー
ブル８より鉄骨材Ｗを外して、台車１４上に載置する。
そして、溶接済みの鉄骨材Ｗを載置した台車１４を搬出
位置Ｙまで搬出し、搬出クレーン２０にて鉄骨材Ｗを吊
上げ、搬出クレーン２０を摺動して搬出するのである。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
次のような効果を奏する。即ち、請求項１の如く構成し
たので、テーブルを介して固着する鉄骨材を溶接面が上
方になるように位置決めすることのできる水平アーム
を、垂直方向に昇降できるようにしたので、大きな鉄骨
材の位置変更も、スペースを取らずに可能となり、工場
内の他の自由スペースの確保にも貢献する。

【００２３】更に、請求項２の如く、水平アームが両側
端にて支持されているので、水平アームの支持強度が高
く、大きな鉄骨材の位置決めも可能となるのである。

【００２４】更に、請求項３の如く構成したので、台車
による搬出入ができるようになり、搬出入作業が大幅に
省力化されるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鉄骨材ポジショナーＰの斜視図であ
る。

【図２】同じく正面図である。

【図３】同じく側面図である。

【図４】水平アーム５及びテーブル８の部分斜視図であ
る。

【図５】テーブル８に鉄骨材Ｗを固定し、９０°反転さ
せた状態の鉄骨材ポジショナーＰの斜視図である。

【図６】テーブル８における鉄骨材把持の様子を示す部
分斜視図である。

【図７】鉄骨材ポジショナーＰへの鉄骨材搬送構成を示
す正面図である。

【図８】鉄骨材Ｗを載置した台車１４の斜視図である。

【図９】従来のアーム上下回動型の鉄骨材ポジショナー
の斜視図である。

【符号の説明】

Ｐ 鉄骨材ポジショナー Ｗ 鉄骨材 １Ｆ・１Ｒ 縦支柱 １ａ 摺動溝 ２ 上部フレーム ２ａ チェーン吊下装置 ３Ｌ・３Ｒ 昇降フレーム ３ａ 摺動ローラー ３ｂ 補助ローラー ４ チェーン ５ 水平アーム ５ａ 枢支軸 ６ 回転ギア ７ モーターギア ８ テーブル ８ａ 長孔 ９ 回転ギア １０ 枢支軸 １１ モーターギア １２ 把持部材 １４ 台車 １５ レール

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄骨材を固着するテーブルを、水平アー
   ムに対して直角に枢支した枢支軸に固設して、該枢支軸
   の軸芯まわりに回転可能に支持し、該水平アームを、該
   水平アームの軸芯回りに回転可能に支持し、且つ上下に
   昇降可能としたことを特徴とする鉄骨材ポジショナー。
2. 【請求項２】 請求項１記載の鉄骨材ポジショナーにお
   いて、水平アームをその両側端にて上下摺動自在に支持
   した事を特徴とする鉄骨材ポジショナー。
3. 【請求項３】 請求項１記載の鉄骨材ポジショナーにお
   いて、該水平アーム下方に鉄骨材を載置する台車の搬送
   路を敷設したことを特徴とする鉄骨材ポジショナー。