JPH07309936A - 液晶性ポリエステルの製造方法 - Google Patents

液晶性ポリエステルの製造方法

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JPH07309936A
JPH07309936A JP10568094A JP10568094A JPH07309936A JP H07309936 A JPH07309936 A JP H07309936A JP 10568094 A JP10568094 A JP 10568094A JP 10568094 A JP10568094 A JP 10568094A JP H07309936 A JPH07309936 A JP H07309936A
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JP
Japan
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acid
group
crystalline polyester
liquid crystal
temperature
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Application number
JP10568094A
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English (en)
Inventor
Hideyori Fujiwara
英資 藤原
Takashi Kameda
隆 亀田
Hiroko Kurihara
弘子 栗原
Hirofumi Suzuki
裕文 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物とジオー
ル化合物とを反応させて得られるエステルモノマーに、
芳香族ジカルボン酸化合物および脂肪族カルボン酸無水
物とを加えて290℃以下の温度で重縮合させ、かつ重
合後期に反応温度をその固有液晶開始温度以下にし、結
晶固化する状態まで重合する。 【効果】 芳香族性基の含有量が低いのにもかかわらず
耐熱性の高い液晶性ポリエステルを製造することがで
き、また、芳香族性基の含有量が低いため流動性・均一
性に優れるため種々の成形材料として用いることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーモトロピック液晶
性ポリエステル(以下、液晶性ポリエステルと記す)の
製造方法に関する。本発明は、耐熱性に優れ、かつ、流
動性・均一性に優れた液晶性ポリエステルの製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子分野、自動車分野の発
展に伴い、プラスチックに対しても高性能化の要求が高
まり、数多くのプラスチックが開発され、市場に提供さ
れている。中でも、溶融時に光学的異方性を示し、分子
鎖が平行に配列する一群の高分子化合物は、サーモトロ
ピック液晶性ポリマーと呼ばれ、成形加工性に優れると
共に成形体の機械的性質が向上することから注目を集め
ている。液晶性ポリエステルとしては、ポリエチレンテ
レフタレートとパラヒドロキシ安息香酸あるいはパラア
セトキシ安息香酸より製造される共重合ポリエステル
〔W.J.Jacksonら、Journal of Polymer Science, Polym
er Chemistry Edition14巻、2043頁(1976
年)〕、米国特許第3804805号明細書、特開昭5
1−8395号公報等)、さらに前記共重合ポリエステ
ルに4,4’−ビフェノールを共重合させたポリエステ
ル(特開昭51−8395号公報)、p−ヒドロキシ安
息香酸、4,4’−ビフェノール、テレフタル酸よりな
るポリエステル(特公昭47−47870号公報)、p
−ヒドロキシ安息香酸、および2,6−ヒドロキシナフ
トエ酸より得られるポリエステル(特開昭54−776
91号公報)等が代表的である。また、脂肪族基を含ん
でいる液晶性ポリエステルとして脂肪族グリコール、テ
レフタル酸、ヒドロキシ安息香酸より得られるポリエス
テル(R.W.Lenzら、Polymer Journal 14巻1号、9頁
(1982年、特開平5−125164号公報)などが
知られている。
【0003】高耐熱性の液晶性ポリエステルを得る試み
としては、芳香族基の含有量を増加させる方法、剛直成
分を増加させる方法などが一般的である。上記の特開昭
49−72393号公報中には、ポリエチレンテレフタ
レート単位とパラアセトキシ安息香酸(以下、p−AB
Aと記す)とより液晶性ポリエステルを製造する方法が
記載されており、p−ABA成分の含有量を上げること
により液晶性ポリエステルの耐熱性が向上している。し
かし、p−ABA成分をポリマー中の全芳香族基の75
モル%以上とした場合、p−ABAがブロック的に重合
して生じたと考えられるポリマーが不溶不融の異物とし
て混在し、得られた液晶性ポリエステルの流動性が悪く
なり、成形加工性が低下するという問題があった。ま
た、本方法の応用として、脂肪族基を変更するためポリ
エチレンテレフタレートを他のポリエステル、例えばポ
リブチレンテレフタレートに変更した場合も不溶不融の
異物が生成し満足なポリエステルは得られない。
【0004】前記Polymer Journal には、脂肪族グリコ
ールのビスヒドロキシ安息香酸エステルとテレフタル酸
クロリドとからの液晶性ポリエステルが記載されている
が、これらのポリエステルは、対数粘度が0.33dl/g
以下と分子量が低いため、成形品としては実用できない
ものである。また、特開平5−125164号公報には
シクロヘキサン環を含有する液晶性ポリエステルが提案
されているが、ヒドロキシ安息香酸の含有量が低い範囲
で特異的に耐熱性の向上の可能性については何ら示唆さ
れていない。また、耐熱性を向上させる試みとして、前
記モノマーに更に芳香族ジヒドロキシ化合物を共重合す
る方法(特開昭51−8395号公報)が開示されてい
るが、本方法も根本的に前記特許の欠点を含んでする。
脂肪族基を含まない全芳香族ポリエステルである、p−
ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ビフェノール、テレフ
タル酸よりなる全芳香族ポリエステルは、溶融温度が高
すぎ成形性に劣るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、p−
ABAに代表されるヒドロキシ芳香族カルボン酸の構造
単位の含有量が低い範囲で、耐熱性・流動性に優れ、均
一な高分子量液晶性ポリエステルの製造方法を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記に示され
る構造単位〔I〕、〔II〕および〔IV〕より構成され、
示差走査熱量計(DSC)による液晶開始温度が250
℃以上であり、対数粘度が0.34dl/g以上であるサー
モトロピック液晶性ポリエステルの製造方法において、
下記の一般式〔I'〕で示される芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸化合物と、一般式〔II'〕で示されるジオール化合
物とを無触媒或いは触媒の存在下反応させて得られる下
記一般式〔III'〕で示されるエステルモノマーを含む反
応生成物に、一般式〔IV'〕で示される芳香族ジカルボ
ン酸化合物および脂肪族カルボン酸無水物とを加えて2
90℃以下の温度で重縮合させ、かつ、重合後期に反応
温度をその固有液晶開始温度以下とし結晶固化する状態
まで重合させて製造することを特徴とするサーモトロピ
ック液晶性ポリエステルの製造方法:ただし、各構造単
位は互いにエステル結合で連結され、構造単位〔I〕の
含有量が48モル%〜61モル%であり、構造単位〔I
I〕と構造単位〔IV〕は実質的に当量である;また、固
有液晶開始温度とは、原料モノマー連鎖を保持し、構造
変化が全く発生しなかった場合の理想的なポリマーの液
晶開始温度である;
【0007】
【化2】 -O-Ar1-CO- ・・・・・〔I〕 -O-R1-O- ・・・・・〔II〕 -CO-Ar2-CO- ・・・・・〔IV〕 X-O-Ar1-CO-Y ・・・・・〔I'〕 HO-R1-OH ・・・・・〔II'〕 X-O-Ar1-CO-O-R1-O-CO-Ar1-O-X ・・・・・〔III'〕 HOCO-Ar2-COOH ・・・・・〔IV'〕
【0008】(式中、R1は炭素数4〜14の偶数の2
価の飽和脂肪族炭化水素基(脂環式炭化水素基を含む)
であり、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に炭素数6〜1
8の置換基を有していても良い芳香族炭化水素基であ
る。Xは水素原子、又はR2−CO−であり、Yは水酸
基、又はR3−O−であり、R2、R3は各々炭素数1〜
6の炭化水素基である。)を提供するものである。さら
に本発明はまた、構造単位〔II〕のR1がブチレン基、
ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘキサンジ
メチレン基より選ばれる1つ以上の基である前記のサー
モトロピック液晶性ポリエステルの製造方法を提供す
る。
【0009】以下に本発明を更に詳細に説明する。 (液晶性ポリエステルの構造)本発明により構造される
液晶性ポリエステルは、以下に述べる各構造単位より構
成され、これらがエステル結合によって連結されてお
り、かつ示差走査熱量計(DSC)による液晶開始温度
が250℃であり、対数粘度が0.34dl/g以上である
ことを特徴としている。
【0010】構造単位〔I〕は、一般式〔I'〕で表され
る芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物より、水酸基の水
素原子又はアシルオキシ基のR2−CO−と、カルボキ
シル基の水酸基又はカルボン酸エステル基のR3O−基
を除いた残基である。芳香族ヒドロキシカルボン酸化合
物のヒドロキシ基又はアシルオキシ基は、カルボン酸基
又はカルボン酸エステル基に対してメタ位、パラ位のい
ずれでも良いが、特に好ましくはパラ位である。Ar1
は炭素数6〜18の置換基を有していても良い芳香族炭
化水素基である。例えばフェニレン基、ナフチレン基、
ビフェニレン基、アントリレン基、ターフェニレン基な
どが挙げられ、これらは、アルキル基、アルコキシル
基、アリール基、ハロゲン原子などの置換基を有してい
ても良い。その具体例としては、4−ヒドロキシ安息香
酸残基、3−ヒドロキシ安息香酸残基、2−ヒドロキシ
−6−ナフトエ酸残基、1−ヒドロキシ−4ナフトエ酸
残基、1−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸残基、2−ヒド
ロキシ−7−ナフトエ酸残基、4−ヒドロキシ−4’−
ビフェニルカルボン酸残基、3−ヒドロキシ−4’−ビ
フェニルカルボン酸残基、2−ヒドロキシ−4’−ビフ
ェニルカルボン酸残基、4−ヒドロキシ−3’−ビフェ
ニルカルボン酸残基、4−ヒドロキシ−2’−ビフェニ
ルカルボン酸残基、3−ヒドロキシ−3’−ビフェニル
カルボン酸残基、4−ヒドロキシ−4”−ターフェニル
カルボン酸残基などが挙げられる。これらは、アルキル
基、アルコキシル基、アリール基、ハロゲン原子などで
置換されていても良く、また2種以上の混合物であって
も良い。
【0011】構造単位〔II〕は、一般式〔II'〕で表さ
れるジオール化合物より水酸基の水素原子を除いた残基
であり、R1は炭素数4〜14までの偶数の二価の炭化
水素基であり、具体的には、ブタンジオール残基、ヘキ
サンジオール残基、オクタンジオール残基、デカンジオ
ール残基、ドデカンジオール残基、テトラデカンジオー
ル残基、シクロブタンジオール残基、シクロヘキサンジ
オール残基、シクロヘキサンジメタノール残基などが挙
げられ、直鎖状でも環状でもよく、また、分岐鎖を有し
ていてもよい。又これらは、2種以上の混合体であって
も良い。さらに好ましくは、ブタンジオール残基、ヘキ
サンジオール残基、シクロヘキサンジオール残基、シク
ロヘキサンジメタノール残基である。
【0012】構造単位〔IV〕は、一般式〔IV'〕で示さ
れる芳香族ジカルボン酸化合物より水酸基を除いた残基
であり、Ar2は炭素数6〜18の置換基を有していて
も良い芳香族炭化水素基である。具体的には、テレフタ
ル酸残基、イソフタル酸残基、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸残基、1,5−ナフタレンジカルボン酸残基、
1,4−ナフタレンジカルボン酸残基、4,4’−ビフェ
ニルジカルボン酸残基、4,4”−タ−フェニレンジカ
ルボン酸残基、2,6−アントラセンジカルボン酸残
基、1,5−アントラセンジカルボン酸残基、9,10−
アントラセンジカルボン酸残基などが挙げられる。これ
らは、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、ハロ
ゲン原子などで置換されていても良く、又2種以上混合
体であっても良い。カルボン酸基の結合位置は、パラ
位、メタ位が好ましいが、特にパラ位が好ましい。
【0013】本発明によって製造される液晶性ポリエス
テルは、構造単位〔I〕の含有量が48モル%〜61モ
ル%である。構造単位〔I〕が48%未満は製造が困難
であり、61%超過では、一旦耐熱性が低下する。更に
構造単位〔I〕の含有量を増加させると耐熱性は向上す
るが、芳香族ヒドロキシカルボン酸構造の連鎖が増加す
るため、得られた液晶性ポリエステルの均一性が損なわ
れるので好ましくない。また、構造単位〔II〕と構造単
位〔IV〕は実質的に当量である。実質的に当量であると
は、構造単位〔II〕と構造単位〔IV〕とのモル比(〔I
I〕/〔IV〕)が、0.9〜1.1、好ましくは、0.95
〜1.05である。また、本発明の液晶性ポリエステル
は、構造単位〔I〕のポリエステルブロックと構造単位
〔II〕と〔IV〕とからなるポリエステルブロックとのブ
ロックコポリエステルであることを意味するものではな
い。即ち、このようなブロックコポリエステルの他に各
構造単位が無作為に結合しているランダムコポリエステ
ル(無作為といっても、各構造単位がエステル結合で連
結していることにより、それらの配列には自ら制限があ
ることは言うまでもない)を包含するものである。好ま
しくは、構造単位〔II〕の両端に構造単位〔I〕がエス
テル結合で連結された構造と構造単位〔IV〕がエステル
結合で連結された構造より構成された液晶性ポリエステ
ルである。本発明の耐熱性ポリエステルは、十分に分子
量の大きいものであるべきであり、対数粘度が0.34d
l/g以上である。また、示差走査熱量計(DSC)によ
る液晶開始温度が250℃以上である。
【0014】(液晶性ポリエステルの製造)一般的説明 本発明によって製造される液晶性ポリエステルは、エス
テル結合形成に関して、合目的な任意の方法によって製
造することができる。この液晶性ポリエステルが芳香族
ヒドロキシカルボン酸化合物(構造単位〔I〕に対応)
と脂肪族ジヒドロキシ化合物(構造単位〔II〕に対応)
と芳香族ジカルボン酸化合物(構造単位〔IV〕に対応)
とのコポリマーに相当するものであることからすれば、
構成成分〔I'〕、〔II'〕及び〔IV'〕の化合物をエステ
ル形成条件下に反応させる方法によって製造される。
【0015】構成成分〔I'〕、〔II'〕および〔IV'〕の
3種類の化合物を反応させる方法としては、3種類の化
合物を同時に反応させる方法以外に、〔I'〕と〔II'〕
の反応物に〔IV'〕を反応させる方法、〔I'〕と〔IV'〕
の反応物に〔II'〕を反応させる方法、〔II'〕と〔I
V'〕の反応物に〔I'〕を反応させる方法が考えられる
が、本発明においては、芳香族ヒドロキシカルボン酸化
合物〔I'〕のブロック的重合体の生成を避ける点および
重合性の点より〔I'〕と〔II'〕の反応物に〔IV'〕を反
応させる方法が好ましく適用される。「エステル形成条
件下」とは、直接エステル化(縮合により生成する水を
加熱/共沸等によって除去する場合、または、適当な縮
合剤を使用する場合を含む)する他に、原料化合物の反
応基の少なくとも一方をその機能誘導体の形で反応させ
る場合、例えば、芳香族カルボン酸を酸ハライド(例え
ば酸クロライド)や酸無水物(特に、混合酸無水物)と
し、ジオール化合物と反応させる場合、ヒドロキシル基
をそのアシル誘導体の形で芳香族カルボン酸と反応させ
る場合、及び、芳香族カルボン酸をエステル誘導体の形
で反応させる場合、その他を包含するものである。
【0016】本発明においては、〔I'〕と〔II'〕の反
応によるエステルモノマー〔III'〕の合成には、上記の
エステル形成反応の任意の方法を適用することができる
が、〔I'〕と〔II'〕からの中間体〔III'〕に〔IV'〕を
反応させて液晶性ポリマーを製造する方法に関しては、
水酸基をそのアシル誘導体の形で芳香族カルボン酸と反
応させる方法が好ましく適用される。
【0017】具体的な方法の説明 本発明の液晶性ポリエステルの具体的な製造方法の一つ
は、下記の一般式で示される芳香族ヒドロキシカルボン
酸化合物〔I'〕とジオール化合物〔II'〕との反応生成
物〔III'〕と、芳香族ジカルボン酸化合物〔IV'〕およ
び脂肪族カルボン酸無水物を反応させることからなる。
【0018】
【化3】 X-O-Ar1-CO-Y ・・・・・〔I'〕 HO-R1-OH ・・・・・〔II'〕 X-O-Ar1-CO-O-R1-O-CO-Ar1-O-X ・・・・・〔III'〕 HOCO-Ar2-COOH ・・・・・〔IV'〕
【0019】(式中、R1、Ar1、Ar2、XおよびY
は前記と同じ。)Xは水素原子又はR2−CO−であ
り、R2は炭素数1〜6の炭化水素基である。R2の具体
的な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n
−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロ
ヘキシル基、フェニル基等を挙げることができる。特に
好ましくは、水素原子又はR2−CO−で示される基
で、R2がフェニル基、メチル基、エチル基である。
【0020】本発明の液晶性ポリエステルは、前記の
〔I'〕、〔II'〕および〔IV'〕の化合物から、例えば、
次の方法によって製造することができる。〔I'〕および
〔II'〕の化合物より合成されるエステルモノマー〔II
I'〕を、脂肪族カルボン酸無水物と反応させることによ
りビスアシロキシ体とし、これと芳香族ジカルボン酸化
合物〔IV'〕から脱モノカルボン酸による重縮合によっ
て製造する。
【0021】〔I'〕および〔II'〕の化合物より合成さ
れるエステルモノマー〔III'〕は、単離精製されたもの
を用いても良いが、単離精製を省略し、エステルモノマ
ー〔III'〕を合成した反応容器に〔IV'〕の化合物、お
よび脂肪族カルボン酸無水物を添加し重縮合反応を連続
的に行ってもよい。脱モノカルボン酸重縮合反応におい
ては、脱離するモノカルボン酸が酢酸である場合が主に
用いられる。脱モノカルボン酸重縮合反応は、無触媒で
進行するため好適な方法である。重縮合反応において、
温度、加熱時間、圧力などの重合条件は、使用する反応
物および所望する重合度に依存し変化させることができ
るが、一般的には、不活性ガス下で約200℃以上35
0℃までの加熱により酢酸を留出させながら重合を行う
のが普通である。脱酢酸重合を円滑に進めるためには、
200℃以上、好ましくは230℃以上の温度が必要で
ある。200℃以下の温度では重合速度が遅く実用的で
ない。続いて、脱離すべき酢酸の80%以上、好ましく
は90%以上の酢酸が脱離した時点からは、重合を完結
させるために重合反応系内を減圧にすることが好まし
い。減圧度は高い方がよいが、1mmHg以下であることが
好ましい。重合時間は限定されるものではないが、所望
する重合度によって常圧あるいは減圧下での重合時間を
決めることができる。常圧下での重合時間は、1時間か
ら10時間、好ましくは2時間から5時間である。1時
間以下では十分分子量が上がらず、また10時間以上で
は着色、架橋等の副反応が起こる可能性がある。また、
減圧下の重合時間は、常圧下の重合による分子量によっ
て左右されるが、5時間好ましくは、3時間で十分であ
る。
【0022】本発明においては、とくに高液晶開始温度
ポリエステルを得るために過度の反応(例えば、エステ
ル交換反応、架橋反応、分解反応など)を避けるため2
90℃以下の温度、更に構造によって得られる液晶ポリ
エステルの固有液晶開始温度以下の温度で重縮合する必
要がある。ここで定義する固有液晶開始温度とは、原料
モノマーからポリマーを重合するときに、エステル交換
等による配列構造、あるいはその他の反応による分子鎖
構造の変化が全く発生しなかったときの理想的な液晶ポ
リエステルの液晶開始温度である。この固有液晶開始温
度は、低温溶液重縮合法などによって重合されたポリマ
ーなどから推測することができる。この様に本発明は固
有液晶開始温度以下の温度で重合反応を行うため、重合
反応後期(ここで言う反応後期とは、脱離する酢酸が6
0%以上、好ましくは70%以上脱離した時期を言う)
には、重合中の液晶性ポリエステルが結晶固化する。事
実上この結晶固化した時点が重合反応の終点である。し
かし、重合終点の確認、反応容器から重合ポリマーを取
り出すために、重合時間を更に10ないし30分延長す
ることは差し支えない。
【0023】さらに使用目的に応じて、得られた重合物
を粉砕し固相重合することによって高分子量化を行って
もよい。固相重合の条件としては、加熱は目的とするポ
リマーの液晶開始温度以下で行うわけであるが、低すぎ
ると分子量の増加が遅く、実用的でない。好ましくは液
晶開始温度−80℃以上の温度、更に好ましくは液晶開
始温度−40℃以上の温度である。また、雰囲気は、窒
素中、又は減圧下であり、空気中での加熱は、分解、架
橋などの異常反応が起こるため避けるべきである。固相
重合の時間は特に制限はなく、目的の分子量によって異
なる。
【0024】(耐熱性液晶性ポリエステルの製造に使用
される化合物の例)本発明に用いられる一般式〔I'〕で
示される化合物としては、置換基の位置は、メタ、パラ
のいずれでもよいが、特に好ましくはパラ位である。そ
の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒド
ロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2
−ヒドロキシ−7−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−4−
ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸、4−ヒ
ドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸、3−ヒドロキ
シ−4’−ビフェニルカルボン酸、2−ヒドロキシ−
4’−ビフェニルカルボン酸、1−ヒドロキシ−4’−
ビフェニルカルボン酸、4−ヒドロキシ−4”−タ−フ
ェニルカルボン酸、4−アセトキシ安息香酸、3−アセ
トキシ安息香酸、2−アセトキシ−6−ナフトエ酸、2
−アセトキシ−7−ナフトエ酸、2−アセトキシ−4−
ナフトエ酸、1−アセトキシ−4−ナフトエ酸、4−ア
セトキシ−4’−ビフェニルカルボン酸、3−アセトキ
シ−4’−ビフェニルカルボン酸、2−アセトキシ−
4’−ビフェニルカルボン酸、1−アセトキシ−4’−
ビフェニルカルボン酸、4−アセトキシ−4”−タ−フ
ェニルカルボン酸、4−プロポキシ安息香酸、3−プロ
ポキシ安息香酸、2−プロポキシ−6−ナフトエ酸、2
−プロポキシ−7−ナフトエ酸、2−プロポキシ−4−
ナフトエ酸、1−プロポキシ−4−ナフトエ酸、4−プ
ロポキシ−4’−ビフェニルカルボン酸、3−プロポキ
シ−4’−ビフェニルカルボン酸、2−プロポキシ−
4’−ビフェニルカルボン酸、1−プロポキシ−4’−
フェニルカルボン酸、4−プロポキシ−4”−タ−フェ
ニルカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、3−
ヒドロキシ安息香酸メチル、2−ヒドロキシ−6−ナフ
トエ酸メチル、2−ヒドロキシ−7−ナフトエ酸メチ
ル、2−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸メチル、1−ヒド
ロキシ−4−ナフトエ酸メチル、4−ヒドロキシ−4’
−ビフェニルカルボン酸メチル、3−ヒドロキシ−4’
−ビフェニルカルボン酸メチル、2−ヒドロキシ−4’
−ビフェニルカルボン酸メチル、1−ヒドロキシ−4’
−ビフェニルカルボン酸メチル、4−ヒドロキシ−4”
−タ−フェニルカルボン酸メチル、4−ヒドロキシ安息
香酸フェニル、3−ヒドロキシ安息香酸フェニル、2−
ヒドロキシ−6−ナフトエ酸フェニル、2−ヒドロキシ
−7−ナフトエ酸フェニル、2−ヒドロキシ−4−ナフ
トエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸フェ
ニル、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸フ
ェニル、3−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸
フェニル、2−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン
酸フェニル、1−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボ
ン酸フェニル、4−ヒドロキシ−4”−タ−フェニルカ
ルボン酸フェニルなどが挙げられる。メチル、フェニル
エステルの他、エチル、プロピルエステル、イソプロピ
ルエステル、ブチルエステルなどの高級脂肪族エステル
を用いることが出来る。また、これらの芳香族ヒドロキ
シカルボン酸化合物類は、アルキル基、アルコキシ基、
アリール基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0025】本発明に用いられ一般式〔II'〕で示され
る化合物としては、ブタンジオール、ヘキサンジオー
ル、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオ
ール、テトラデカンジオール、シクロブタンジオール、
シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール
である。好ましくは、ブタンジオール、ヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノ
ールである。本発明に用いられる一般式〔IV'〕で示さ
れる化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、
4,4’−ビフェニルカルボン酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、クロロテルフタル酸、ブロモテレフタル
酸、およびそれらの機能誘導体であるテレフタル酸モノ
メチル、テレフタル酸モノエチル、テレフタル酸モノプ
ロピル、テレフタル酸モノフェニル、イソフタル酸モノ
メチル、イソフタル酸モノエチル、イソフタル酸モノプ
ロピル、イソフタル酸モノフェニル、2,6−ナフタレ
ン酸モノメチル、2,6−ナフタレン酸モノエチル、2,
6−ナフタレン酸モノプロピル、2,6−ナフタレン酸
モノフェニル、4,4’−ビフェニルジカルボン酸モノ
メチル、4,4’−ビフェニルジカルボン酸モノエチ
ル、4,4’−ビフェニルジカルボン酸モノプロピル、
4,4’−ビフェニルジカルボン酸モノフェニルなどの
モノエステル類、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸
ジエチル、テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジフ
ェニル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチ
ル、イソフタル酸ジプロピル、イソフタル酸ジフェニ
ル、2,6−ナフタレン酸ジメチル、2,6−ナフタレン
酸ジエチル、2,6−ナフタレン酸ジプロピル、2,6−
ナフタレン酸ジフェニル、4,4’−ビフェニルジカル
ボン酸ジメチル、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジ
エチル、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジプロピ
ル、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジフェニルなど
のジエステル類などを挙げることができる。これらの中
でも、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、
テレフタル酸ジメチルエステル、イソフタル酸ジメチル
エステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエ
ステル、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチルエ
ステル、テレフタル酸ジフェニルエステル、イソフタル
酸ジフェニルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジフェニルエステル、4,4’−ビフェニルジカルボ
ン酸ジフェニルエステルなどが好ましい。また、これら
の芳香族ジカルボン酸化合物類は、アルキル基、アルコ
キシ基、アリール基、ハロゲン原子で置換されていても
よい。
【0026】(液晶性ポリエステルの利用)本発明の液
晶性ポリエーテルエステルは、射出成形、押出成形、圧
縮成形、ブロー成形などの通常の溶融成形に供する事が
でき、三次元成形品、フィルム、繊維、容器などに加工
する事が可能である。また、他の熱可塑性樹脂と混合す
る事によってポリマーアロイとする事もできる。なお、
成形時には本発明の液晶性ポリエステルに、ガラス繊
維、炭素繊維などの強化剤、充填剤、酸化防止剤、安定
剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を添加して、成形品に
所望の特性を付与する事ができる。
【0027】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限
されるものではない。なお、液晶性ポリエステルの対数
粘度、液晶性、液晶開始温度、熱重量減少開始温度(T
GA)は次のようにして求めた。
【0028】(1) 対数粘度 フェノール/テトラクロロエタン=50vol./50vol.
溶媒中、50℃、ウベローデ粘度計を用いて測定した。
前記溶媒に溶けないポリマーはペンタフルオロフェノー
ル溶媒として用い、同様な条件にて測定した。 (2) サーモトロピック液晶性 ホットステージ付き偏光顕微鏡を用いて目視にて確認し
た。 (3) 液晶開始温度 パーキンエルマー製DSC7を用いて、昇温速度20℃
/min、窒素気流下で測定した。 (4) 熱重量減少開始温度(TGA) セイコーI&E製TG/DTA20を用い、昇温速度1
0℃/min、窒素気流下で測定した。
【0029】<参考例1>撹拌装置、温度計、アルゴン
導入管、冷却管を備えた2Lフラスコにブタンジオール
121.66g(1.35モル)、ピリジン242.64m
l(3.0モル)、溶媒としてアセトン1000mlを加え
均一溶液とし、アセトン気流下、10℃以下に冷却し
た。p−アセトキシ安息香酸クロリド592.82g
(3.0モル)を、反応温度が10℃を越えないように
注意しながら滴下した。滴下終了後、室温で2時間、更
に50℃で2時間撹拌反応させた。反応終了後反応液を
純水中に投入し、析出した結晶を濾取した。得られた粗
結晶を純水で洗浄、乾燥後メタノールより再結晶し精製
した。収量は、476.6g、85%の収率であった。
得られた結晶は、NMR分析により目的とする1,4−
ブタンジオール−ビス−p−アセトキシ安息香酸エステ
ルであることが判った。
【0030】<参考例2〜4>参考例1の1,4−ブタ
ンジオールを1.6−ヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルに変更し、それぞれ1,6−ヘキサンジオール−ビス
−p−アセトキシ安息香酸エステル、1,4−シクロヘ
キサン−ビス−p−アセトキシ安息香酸エステル、1,
4−シクロヘキサンジメタノール−ビス−p−アセトキ
シ安息香酸エステルを合成した。
【0031】実施例 1 撹拌翼、温度計、留出管、アルゴン導入管を装備した3
00mlのセパラブルフラスコに、1,4−ブタンジオー
ル−ビス−p−アセトキシ安息香酸エステル82.82
g(0.2モル)、テレフタル酸33.23g(0.2モ
ル)を仕込み、反応系内をアルゴンで3回置換後、マン
トルヒーターを200℃とし30分加熱して原料を溶融
させた、マントルヒーターを280℃まで3時間かけて
昇温させ、同温度で1時間保持した。この時内容物の温
度は270℃であり、酢酸が理論量の90%程度流出し
た。続いて同温度で、10分間で1mmHg以下の減圧状態
となる様に反応系内を脱気した。減圧開始15分後に内
容物が固化した。この時点で重合を終了させ、アルゴン
で反応系内を常圧にもどし、セパラブルフラスコから熱
いうちに内容物を取り出した。このポリマーは、ホット
ステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が確認され
た。この液晶性ポリエステルのDSCによる液晶開始温
度は283℃であった。また、対数粘度[ηinh]は0.
35dl/g、熱重量減少開始温度は379℃であった。
アセトキシ安息香酸の含有量は50%であった。
【0032】比較例 1 実施例1と同一の装置、原料仕込みにて重合最終の内容
物の温度を300℃として重合を行なった。得られたポ
リマーは、溶融異方性が確認されたが、DSCによる液
晶開始温度は212℃と低い物であった。
【0033】実施例 2 実施例1の1,4−ブタンジオール−ビス−p−アセト
キシ安息香酸エステルを1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール−ビス−p−アセトキシ安息香酸エステル93.
7g(0.2モル)に変更し、また重合最終内容物温度
を285℃として同様に重合した。このポリマーは、ホ
ットステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が確認さ
れた。この液晶性ポリエステルのDSCによる液晶開始
温度は327℃であった。また、対数粘度[ηinh]は
0.39、熱重量減少開始温度は397℃であった。
【0034】比較例 2 実施例2と同一の装置、原料仕込みにて重合最終の内容
物の温度を320℃として重合を行なった。得られたポ
リマーは、溶融異方性が確認されたが、DSCによる液
晶開始温度は248℃と低い物であった。
【0035】実施例 3 実施例1の1,4−ブタンジオール−ビス−p−アセト
キシ安息香酸エステルを1,6−ヘキサンジオール−ビ
ス−p−アセトキシ安息香酸エステル88.49g(0.
2モル)に変更し同様に重合した。このポリマーは、ホ
ットステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が確認さ
れた。この液晶性ポリエステルのDSCによる液晶開始
温度は252℃であった。また、対数粘度[ηinh]は
0.35であった。
【0036】実施例 4 実施例1の1,4−ブタンジオール−ビス−p−アセト
キシ安息香酸エステルを1,4−シクロヘキサンジオー
ル−ビス−p−アセトキシ安息香酸エステル88.1g
(0.2モル)に変更し、同様に重合した。このポリマ
ーは、ホットステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性
が確認された。この液晶性ポリエステルのDSCによる
液晶開始温度は331℃であった。また、対数粘度[η
inh]は0.34であった。
【0037】実施例 5 実施例1のテレフタル酸33.23g(0.2モル)を
2.6−ナフタレンジカルボン酸43.24g(0.2モ
ル)に変更し同様に重合した。このポリマーは、ホット
ステージ付き偏光顕微鏡により溶融異方性が確認され
た。この液晶性ポリエステルのDSCによる液晶開始温
度は296℃であった。また、対数粘度[ηinh]は0.
42であった。
【0038】比較例 3 実施例1の1,4−ブタンジオール−ビス−p−アセト
キシ安息香酸エステルを1,2−エチレングリコール−
ビス−p−アセトキシ安息香酸エステル77.22g
(0.2モル)に変更し、実施例1と同様に重合した。
このポリマーは、ホットステージ付き偏光顕微鏡により
溶融異方性が確認された。しかしこの液晶性ポリエステ
ルのDSCによる液晶開始温度は182℃であった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、芳香族性基の含有量が
低いのにもかかわらず耐熱性の高い液晶性ポリエステル
を製造することができ、また、芳香族性基の含有量が低
いため流動性・均一性に優れるため種々の成形材料とし
て用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 裕文 茨城県稲敷郡阿見町中央8丁目3番1号 三菱油化株式会社筑波総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示される構造単位〔I〕、〔II〕
    および〔IV〕より構成され、示差走査熱量計(DSC)
    による液晶開始温度が250℃以上であり、対数粘度が
    0.34dl/g以上であるサーモトロピック液晶性ポリエ
    ステルの製造方法において、下記の一般式〔I'〕で示さ
    れる芳香族ヒドロキシカルボン酸化合物と、一般式〔I
    I'〕で示されるジオール化合物とを無触媒或いは触媒の
    存在下反応させて得られる下記一般式〔III'〕で示され
    るエステルモノマーを含む反応生成物に、一般式〔I
    V'〕で示される芳香族ジカルボン酸化合物および脂肪族
    カルボン酸無水物とを加えて290℃以下の温度で重縮
    合させ、かつ、重合後期に反応温度をその固有液晶開始
    温度以下とし結晶固化する状態まで重合させて製造する
    ことを特徴とするサーモトロピック液晶性ポリエステル
    の製造方法:ただし、各構造単位は互いにエステル結合
    で連結され、構造単位〔I〕の含有量が48モル%〜6
    1モル%であり、構造単位〔II〕と構造単位〔IV〕は実
    質的に当量である;また、固有液晶開始温度とは、原料
    モノマー連鎖を保持し、構造変化が全く発生しなかった
    場合の理想的なポリマーの液晶開始温度である; 【化1】 -O-Ar1-CO- ・・・・・〔I〕 -O-R1-O- ・・・・・〔II〕 -CO-Ar2-CO- ・・・・・〔IV〕 X-O-Ar1-CO-Y ・・・・・〔I'〕 HO-R1-OH ・・・・・〔II'〕 X-O-Ar1-CO-O-R1-O-CO-Ar1-O-X ・・・・・〔III'〕 HOCO-Ar2-COOH ・・・・・〔IV'〕 (式中、R1は炭素数4〜14の偶数の2価の飽和脂肪
    族炭化水素基(脂環式炭化水素基を含む)であり、Ar
    1及びAr2はそれぞれ独立に炭素数6〜18の置換基を
    有していても良い芳香族炭化水素基である。Xは水素原
    子、又はR2−CO−であり、Yは水酸基、又はR3−O
    −であり、R2、R3は各々炭素数1〜6の炭化水素基で
    ある。)
  2. 【請求項2】 R1がブチレン基、ヘキシレン基、シク
    ロヘキシレン基、シクロヘキサンジメチレン基より選ば
    れる1つ以上の基である請求項1記載のサーモトロピッ
    ク液晶性ポリエステルの製造方法。
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