JPH07309689A - 緩効性肥料及びその製造方法 - Google Patents

緩効性肥料及びその製造方法

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JPH07309689A
JPH07309689A JP6098506A JP9850694A JPH07309689A JP H07309689 A JPH07309689 A JP H07309689A JP 6098506 A JP6098506 A JP 6098506A JP 9850694 A JP9850694 A JP 9850694A JP H07309689 A JPH07309689 A JP H07309689A
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lactic acid
fertilizer
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slow
polyester
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JP6098506A
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Hiroshi Ebato
博 江波戸
Makiko Beniya
真紀子 紅谷
Toru Aoki
亨 青木
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 乳酸系ポリエステルと肥料を必須成分とする
緩効性肥料。乳酸ポリマー、乳酸成分(A)と、ジカル
ボン酸成分(B)及びジオール成分(C)を必須成分と
してなる乳酸系共重合体、乳酸成分(A)と、脂肪族ジ
カルボン酸成分、芳香族ジカルボン酸成分及びジオール
成分を必須成分としてなる乳酸系共重合体から成る群か
ら選ばれる1種以上の乳酸系ポリエステルを肥料に被覆
もしくは混練することを特徴とする該緩効性肥料の製造
方法。 【効果】 本発明は、成形が容易で、一度に多くの肥料
を土壌中に施肥でき、かつ、植物の根焼けを起こすこと
がなく、徐々に生分解して肥料を放出し、かつ樹脂の生
分解によって発生する有機酸の作用によって、雑菌の繁
殖も抑制する優れた効果を有する緩効性肥料を提供でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は肥料と生分解性ポリエス
テルからなる緩効性肥料及びその製造方法に関するもの
である。本発明の緩効性肥料は、成形が容易で、一度に
多くの肥料を土壌中に施肥でき、かつ、植物の根焼けを
起こすことがない。徐々に生分解して肥料を放出し、か
つポリエステルの生分解によって発生する有機酸の作用
によって、雑菌の繁殖も抑制する優れた効果を有してい
る。
【0002】
【従来の技術】従来から農地に施肥を行う方法として、
播種時に散布、埋設することが行われ、更に必要に応じ
追肥が行われる。特に水溶性の肥料の場合、散水、雨水
等によって、肥料が流出する為、追肥の必要性が高い。
また、比較的長期間に栽培を行う場合、一度に大量の施
肥を行うことができないために、播種時の肥料のみでは
不足し追肥を必要とする。
【0003】この際、生分解性の樹脂で覆われた肥料を
施肥することによって栽培に必要な量の肥料を播種時に
一度に施肥できる。樹脂から肥料は徐放されるために根
焼け等の問題もなく必要量を施肥でき追肥を必要としな
い。
【0004】緩効性肥料としてプラスチックスを利用し
た場合、成形、加工が容易なために大きさ、形状を自由
に変化させることができ、実用に供しやすい。特に生分
解性を持ったプラスチックスを使用した場合、施肥後に
樹脂成分が分解し、徐々に内部の肥料が放出される性質
上、大きさ、形状を変化させて徐放速度や徐放量をコン
トロールすることでき、また、分解したプラスチックス
が環境中に散乱することがない。
【0005】従来、水性エマルジョンとメラミン樹脂
(特公平3−46430)、エチレン/一酸化炭素共重
合体(特公平2−23516号公報)、もしくはこれと
さらなる共重合成分を有する共重合体(特公平2−23
515号公報)、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエー
ト)(特公平2−23517号公報)を被覆した肥料組
成物が知られている。
【0006】水性エマルジョンやメラミン樹脂は安価
で、一般に広く販売され、入手し易いものの、生分解性
がなく、播種後、散布された水や湿度によって溶解した
のち、環境中に分解しないポリマーが残留してしまう欠
点を有する。
【0007】エチレン/一酸化炭素共重合体、もしくは
これとさらなる共重合成分を有する共重合体、ポリ(3
−ヒドロキシアルカノエート)の場合には生分解性があ
り、播種後、微生物等による崩壊の後、肥料を徐放し、
環境中にポリマーも残留しない利点を有する。
【0008】しかしながら、エチレン/一酸化炭素共重
合体、もしくはこれとさらなる共重合成分を有する共重
合体では、生分解速度は非常に遅く、肥料の徐放は実際
には、湿度、水分による肥料の溶出によることが大き
い。また、肥料成分が無機質の場合、肥料成分と樹脂成
分の相溶性が著しく悪い欠点を有する。
【0009】ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)の
場合、樹脂が溶融・成形状態での流動性が悪いため成形
性が悪く、肥料の自由な成形が難しい。また、エチレン
/一酸化炭素共重合体、もしくはこれとさらなる共重合
成分を有する共重合体、ポリ(3−ヒドロキシアルカノ
エート)のいずれについても、溶媒等への溶解性が悪
く、緩効性肥料の製造に際し、肥料粒へ溶媒溶液を噴射
するような成形は困難で、高温下で溶解し、噴射成形す
る成形方法に限られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、肥料の放出量及び放出期間を制御すること
が可能で、充分な量の肥料を一度に施肥することがで
き、かつ樹脂自体が分解して環境中に残留することがな
く、かつ樹脂による発芽・発育阻害がなく、また雑菌等
による病害の発生もない、容易に成形できる、生分解性
を有する緩効性肥料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、乳酸系ポリエステルが種々の溶剤に溶解し、成
形温度範囲も広く、優れた成形性を有すること、分解性
を有するために、肥料の放出時間を自由にコントロール
できること、更に播種後に分解、消失して環境中に悪影
響を与えないばかりか、分解により生じる有機酸によ
り、雑菌の繁殖を抑制できることを見い出して、本発明
を完成するに至った。
【0012】
【構成】即ち、本発明は、乳酸系ポリエステルと肥料を
必須成分とする緩効性肥料であり、特に乳酸系ポリエス
テルが、乳酸ポリマーである緩効性肥料。乳酸系ポリエ
ステルが、乳酸成分(A)と、ジカルボン酸成分(B)
及びジオール成分(C)を必須成分としてなる乳酸系共
重合体である緩効性肥料、更に乳酸系ポリエステルが、
乳酸成分(A)と、脂肪族ジカルボン酸成分、芳香族ジ
カルボン酸成分及びジオール成分を必須成分としてなる
乳酸系共重合体であることを特徴とする緩効性肥料であ
る。
【0013】更に本発明は、乳酸ポリマー、乳酸成分
(A)と、ジカルボン酸成分(B)及びジオール成分
(C)を必須成分としてなる乳酸系共重合体、乳酸成分
(A)と、脂肪族ジカルボン酸成分、芳香族ジカルボン
酸成分及びジオール成分を必須成分としてなる乳酸系共
重合体から成る群から選ばれる1種以上の乳酸系ポリエ
ステルを肥料に被覆することを特徴とする緩効性肥料の
製造方法である。
【0014】また特に、1種以上の乳酸系ポリエステル
5〜80重量部を肥料成分20〜95重量部に、溶剤存
在下、温度80〜200℃で、流動床により被覆するこ
と特徴とする緩効性肥料の製造方法である。
【0015】また本発明は、乳酸ポリマー、乳酸成分
(A)と、ジカルボン酸成分(B)及びジオール成分
(C)を必須成分としてなる乳酸系共重合体、乳酸成分
(A)と、脂肪族ジカルボン酸成分、芳香族ジカルボン
酸成分及びジオール成分を必須成分としてなる乳酸系共
重合体から成る群から選ばれる1種以上の乳酸系ポリエ
ステルと、肥料とを混練することを特徴とする緩効性肥
料の製造方法である。
【0016】更に、本発明は、1種以上の乳酸系ポリエ
ステル20〜95重量部を、肥料成分5〜80重量部
に、温度160〜250℃で、混練すること特徴とする
緩効性肥料の製造方法である。
【0017】また本発明は、乳酸ポリマー、乳酸成分
(A)と、ジカルボン酸成分(B)及びジオール成分
(C)を必須成分としてなる乳酸系共重合体、乳酸成分
(A)と、脂肪族ジカルボン酸成分、芳香族ジカルボン
酸成分及びジオール成分を必須成分としてなる乳酸系共
重合体から成る群から選ばれる1種以上の乳酸系ポリエ
ステルから成るカプセルに肥料を包含させることを特徴
とする緩効性肥料の製造方法、特に該カプセルが袋であ
る緩効性肥料の製造方法を含むものである。
【0018】以下に本発明を更に詳細に説明する。本発
明で言う生分解性とは、本発明で用いる乳酸系性ポリエ
ステルが、廃棄後、加水分解及び/又は微生物によって
分解を受け、最終的には二酸化炭素と水にまで分解され
ることを意味する。近年、そのような目的に適合する数
種の生分解性ポリマーと呼ばれる樹脂が上市されてきて
いる。
【0019】生分解を受ける樹脂として上市されている
このような樹脂の一つとして、ポリエチレンに澱粉をブ
レンドしたものが、廉価で広く知られている。しかしな
がら、このようなブレンド樹脂は、澱粉等の微生物によ
って分解する部分が消失した後に、残存した非生分解性
部分が、環境中に撒き散らかされる問題点を有してい
る。
【0020】またポリビニルアルコールや、これに澱粉
等をブレンドした樹脂も知られており、これらは生分解
を受けて、完全に分解し、環境に悪影響を与えない。し
かし、これらは水溶性が高すぎるために、緩効性肥料と
して用いた場合は、一部生分解した樹脂が溶出し、河川
等を汚染したり、種子に粘着して発芽を阻害する欠点を
有する。
【0021】一方、乳酸系ポリエステル等の脂肪族系の
ポリエステルについては「分解性プラスチック」(土肥
義治 監修、シー・エム・シー)129頁に述べられて
いるように、一般に生分解性を持つことが知られ、また
生分解性ポリエステルは水溶性が低く、水に溶けて溶出
したり、内包された肥料を不用意に漏出させることな
く、また分解によって発生する有機酸(特に乳酸)の作
用によって、目的としない雑菌等の繁殖を抑制する効果
を有する。
【0022】本発明に用いられる乳酸系ポリエステルの
種類は特に問わないが、良好な成形性を得るために、分
子量は3,000〜300,000で、融点50〜20
0℃であるものが適している。短期間の放出効果を得る
には、分子量は3,000〜30,000で、融点50
℃〜160℃であるものが適している。長期間の放出効
果を得るためには、分子量は30,000〜300,0
00で、融点100〜180℃であるものが適してい
る。
【0023】本発明で言う乳酸系ポリエステルとは、乳
酸成分をポリエステル中に50重量%以上含有するもの
を意味する。具体的には乳酸ポリマーおよび、これと生
分解する樹脂や澱粉等のブレンド物、他のモノマー成分
およびポリマー成分との共重合体を指す。共重合体につ
いては、具体的には、乳酸成分と、グリコール酸成分、
ε−カプロラクトン成分、ポリエステル、ポリエーテ
ル、ポリカーボネート、またはセルロース誘導体との共
重合体が挙げられる。
【0024】乳酸には光学活性があり、L−乳酸、D−
乳酸が存在する。L体またはD体のみを含む共重合体は
結晶化して高融点が得られ、ラセミ体は非晶性で比較的
低融点である。本発明の乳酸系ポリエステルは、L−
体、D−体の乳酸を組み合わせることによって、好まし
い樹脂特性を実現できる。
【0025】本発明で用いられる乳酸系ポリエステル
は、乳酸の単独重合体でも、乳酸と他のヒドロキシカル
ボン酸成分との共重合体でも良い。ここで言う共重合体
は、乳酸と共重合するヒドロキシカルボン酸成分が、グ
リコール酸、ジメチルグリコール酸、β−ヒドロキシプ
ロパン酸、α−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシ酪酸、
γ−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシ枯草酸、β−ヒド
ロキ枯草酸、γ−ヒドロキシ枯草酸、δ−ヒドロキシ枯
草酸、δ−ヒドロキシメチル枯草酸、
【0026】α−ヒドロキシカプロン酸、β−ヒドロキ
カプロン酸、γ−ヒドロキシカプロン酸、δ−ヒドロキ
シカプロン酸、δ−ヒドロキシメチルカプロン酸、ε−
ヒドロキシカプロン酸、ε−ヒドロキシメチルカプロン
酸等から選ばれる、少なくとも一種のヒドロキシカルボ
ン酸成分からなることが好ましい。
【0027】本発明に言う乳酸系ポリエステルが、乳酸
の単独重合体である場合は、乳酸からの直接縮合によっ
ては、比較的低分子量の重合体が得られ、乳酸を環状二
量体であるラクタイドにした後に、触媒の存在下に重合
することによって、より高分子量の重合物が得られる。
【0028】また本発明に言う乳酸系ポリエステルが、
他のヒドロキシカルボン酸との共重合体の場合には、乳
酸からの直接縮合の際に、他のヒドロキシカルボン酸を
同時に添加することにより得られる製造法、または乳酸
を環状二量体にしたラクタイドとヒドロキシカルボン酸
の環状エステルを、触媒の存在下に重合する方法により
得られる。
【0029】特に本発明の乳酸系ポリエステルが、他の
ヒドロキシカルボン酸成分との共重合体である場合は、
該共重合体中の乳酸成分が50モル%以上であると、得
られた樹脂の強度が高く、透明度も高い。
【0030】乳酸系ポリエステルが、乳酸成分とジカル
ボン酸成分とジオール成分を必須成分としてなるポリ乳
酸系共重合体である場合は、製造されるシートが疎水性
になり、耐加水分解性が向上する。また高い可塑性を付
与する上で好ましい。
【0031】本発明で言う乳酸成分とジカルボン酸成分
とジオール成分を必須成分としてなる乳酸系ポリエステ
ルとは、具体的には、乳酸成分を生分解性ポリエステル
中に50重量%以上含有し、ジカルボン酸成分とジオー
ル成分からなるポリエステルを50重量%未満含有する
共重合体が挙げられる。その製法は問わないが、乳酸の
環状二量化したラクタイドとジカルボン酸成分とジオー
ル成分からなるポリエステルを、エステル化触媒の存在
下に反応させて得られる。
【0032】乳酸成分と共重合させるジカルボン酸成分
とジオール成分については、特に制約は無いが、具体的
にはコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマ
ー酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸等から選ばれる少なくとも一種のジカ
ルボン酸成分と、炭素数2〜10のジオール、具体的に
はエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレ
ングリコール、ペンタンジオール、ヘキサメチレングリ
コール、オクタンジオール、
【0033】ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン
ジメタノール、水添ビスフェノールA、キシレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ジブタンジオール、3−
ヒドロキシピバリルピバレート等から選ばれる少なくと
も1種のジオール成分が挙げられ、これらのポリエステ
ル成分として用いられる。
【0034】特に、得られた乳酸系ポリエステルが十分
に可塑化された柔軟なシートとなる必要性から、共重合
成分に使用するポリエステルは、ジカルボン酸成分がテ
レフタル酸、イソフタル酸に代表される芳香族カルボン
酸が10〜40モル%と、コハク酸、アジピン酸に代表
される脂肪族カルボン酸が10〜40モル%で、ジオー
ル成分がエチレングリコール、ブチレングリコールまた
は、およびネオペンチルグリコールからなるポリエステ
ルが好ましい。
【0035】乳酸系ポリエステルが乳酸成分とジカルボ
ン酸成分とジオール成分からなるポリエステルを含むポ
リ乳酸系共重合体の場合には、その製造方法は問わない
が、乳酸の縮合の際に他のジカルボン酸とジオールを同
時に加えることにより得る。または、乳酸を環状二量体
にした環状エステルとジカルボン酸とジオールを環状エ
ステル化したものとを同時に加えて、触媒の存在下に重
合することによって得られる。または、乳酸を環状二量
体にした環状エステルとジカルボン酸とジオールを縮合
したポリエステルを同時に加えて、触媒の存在下に重合
することによって得られる。
【0036】乳酸系ポリエステルが乳酸成分とジカルボ
ン酸成分とジオール成分からなるポリエステルを含むポ
リ乳酸系共重合体の場合、カルボン酸成分とジオール成
分からなるポリエステルの割合は特には問わないが、乳
酸成分が乳酸成分、ジカルボン酸成分、およびジオール
成分の合計に対し50モル%以上であると得られたシー
トの強度が高く好ましい。
【0037】芳香族ポリエステルについては、J.AP
PLIDED POLYMERSCIENCE,26
巻、441(1981年)に述べられているように、芳
香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジカルボン酸成分の両者
を原料にしたポリエステルでも、酵素による分解を受け
て生分解性を持つことが知られ、本発明に用いる生分解
性ポリエステルについても、ジカルボン酸成分として、
芳香族系のものも使用可能である。
【0038】具体的にはフタル酸、イソフタル酸、テル
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等から選ばれるジカ
ルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸成分を少量
含有したポリエステルは、強度が向上するが、その添加
量が多くなると、脂肪族ジカルボン酸を用いた時に比
べ、生分解性が低下する傾向があり、必要とされるシー
ト強度と生分解性能のバランスにおいて、その添加量は
決定されるべきである。
【0039】本発明の乳酸系ポリエステルを用いた場
合、得られるポリマーの分子量を調整することによって
分解時間、即ち、肥料効果を調節できる。また、乳酸お
よび乳酸のオリゴマーまたは乳酸の環状2量体であるラ
クタイドのポリマー中の残留量を多くすることにより分
解時間を短くすることが可能である。この他、可塑剤、
無機、有機の充填物および澱粉等の他の生分解性ポリマ
ーを加えても分解時間を調節することが出来る。
【0040】本発明に使用する可塑剤としては、肥料と
しての安全性の高いものが好ましく、ポリエステル、エ
ポキシ誘導体、フタル酸エステル、ポリエーテル等の可
塑剤が好ましく。具体例としては、アジピン酸系ポリエ
ステル、セバシン酸系ポリエステル、脂肪酸のエポキシ
誘導体、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタ
ル酸ジフェニル、フタル酸ジシクロヘキシル、ポリエチ
レングリコール等が挙げられる。
【0041】無機、有機の充填物物質としては、肥料と
しての安全性の高いものが好ましく、具体的には、タル
ク、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、ケイソウ土、パ
ーライト、グラスファイバー等の無機系充填剤或いは澱
粉、木粉、活性炭等の有機系充填剤を混入添加しても良
い。
【0042】乳酸系ポリエステルを含有させる肥料の調
製に際しては、乳酸系ポリエステルは肥料をとりまくだ
けの量で済み、ごく少量で充分である。具体的には、肥
料を包含する乳酸系ポリエステルと肥料の量比は、2/
98〜50/50が好ましい。
【0043】一般的に1〜6ヵ月でポリエステルから肥
料が徐放される効果を期待する場合には、乳酸系ポリエ
ステルと肥料の量比は、5/95〜30/70である。
この量比による肥料を包含するポリエステルの厚さとポ
リエステルの分子量により徐放効果の調節は可能であ
る。
【0044】本発明の緩効性肥料の製造方法として、肥
料粒に乳酸系ポリエステルの粉体、溶融溶液、溶剤溶液
を塗る、まぶす方法によって包含する方法、カプセル状
または、牛乳用テトラパックのように細長いチューブ状
の袋を作っておき、肥料を入れ接着・融着する種々の方
法がある。
【0045】肥料粒に乳酸系ポリエステルの粉体、溶融
溶液、溶剤溶液を塗る、または、まぶす方法によって包
含する方法の場合には、包含方法については特にその方
式を問わないが、肥料をあらかじめ粒状にしておき、乳
酸系ポリエステルの粉末をまぶして加熱融着したり、溶
融する。または溶剤に溶解した樹脂を吹き付け、または
塗ることによってコーティングする。
【0046】乳酸系ポリエステルの融着、溶解溶剤の揮
発のために、加熱の必要がある場合は、温度は室温から
200℃以下が好ましく、製造上の速度と被膜の安定性
から、特に80℃〜200℃が好ましい。
【0047】乳酸系ポリエステルを溶剤に溶解する場
合、使用する溶媒は特に問わないが、沸点が室温以上1
50℃以下のものが製造上から好ましい。これらの具体
例を例示すれば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチ
ルベンゼン、THF、ジオキサン、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、酢酸
プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、ME
K、MIBKが挙げられる。
【0048】本発明による緩効性肥料の形状、サイズに
ついては、あらかじめ作る、肥料粒の大きさによって任
意にコントロールできる。形状、サイズは肥料の効果の
継続時間、乳酸系ポリエステルの強度によって適切なサ
イズを選択すべきであるが、通常1〜10mmが用いら
れる。小さすぎると肥料の効果がすぐに終わり、大きす
ぎると施肥後に肥料が均質に分布しなくなる。好ましく
は平均粒径2〜7mmである。また粒径に分布をもた
せ、速く肥料が効果をあらわすものから、長期にわたっ
て効果を示すものまでを混合することもできる。
【0049】カプセル状のもの、またはチューブ状の袋
を作っておき、肥料を入れ接着・融着するような方法で
は、樹脂の強度が必要となるが、樹脂量は少量である。
強度を必要とするために重量平均分子量としては60,
000〜300,000が好ましく、さらに好ましくは
120,000〜300,000である。特に肥料を包
含する乳酸系ポリエステルが袋状のカプセルの場合、よ
り高分子量のものが好ましい。
【0050】特に袋状のカプセルの厚さは、肥料の徐放
時間を決める上で重要で、使用する際に必要とされる強
度に応じて、膜厚は薄い0.01mm程度のものから、
0.5mmのものまでを含み、二軸延伸等の延伸により
強度を増すこともできる。この袋状のカプセルに肥料を
内包させる際には、カプセル内部の空気を除くことが好
ましく、特に水田に使用する際に水を含み好ましい。
【0051】強度は、成形、加工が容易な十分な強度が
必要とされる。強度、柔軟性を示す指標として、シート
状での引っ張り強度を用いて、本発明に適した値を示す
と、引っ張り強度(測定条件:23℃、50%相対湿
度。以下、ことわりのない限りこの条件での引っ張り強
度を指す。)が500〜20,000kg/cm2 であ
る。
【0052】肥料の徐放時間は、本緩効肥料の肥料の種
類、サイズ、形状によってコントロールされ、さらに、
乳酸系ポリエステルと肥料の割合、特に乳酸系ポリエス
テルカプセル及びチューブの膜の厚み、更には厚みの異
なるカプセルを混合することにより制御される。乳酸系
ポリエステルの分子量、残留モノマー、可塑剤等の乳酸
系ポリエステルに含まれている成分によっても左右され
る。サイズを大きく、乳酸系ポリエステル膜を厚く、乳
酸系ポリエステルの分子量を高くし、かつ残留モノマ
ー、可塑剤等のポリエステルに含まれている成分を少な
くすることにより、長期間徐放性を有する緩効性肥料と
なる。
【0053】肥料を包含する乳酸系ポリエステルには、
肥料が意図に反した漏出をしないように孔が開かないよ
うにすることが必要であるが、逆に積極的に孔を開けた
り、不織布状にして漏出速度を調節することもできる。
【0054】また本発明の緩効性肥料の製造方法は、乳
酸系ポリエステルと肥料を流動床によって作ることがで
きる。この場合、肥料をあらかじめ粒状にしておき、溶
解した樹脂を吹き付け、または塗ることによってコーテ
ィングする方法である。
【0055】流動床については特にその形式を問わない
が、例示すると、肥料粒を入れた多孔板にポリエステル
粉末または溶液を気流と共に噴射する噴流式、肥料粒を
入れた多孔ドラムを回転させながらポリエステル粉末ま
たは溶液を気流と共に噴射する回転ドラム式、ポリエス
テル溶液または粉末とともに肥料粒を乗せた板を転動さ
せるパン転動式があげられる。
【0056】流動床は溶剤の揮発、融着のために加熱す
る必要があり、その温度は室温から200℃以下が好ま
しい。製造速度と被膜の安定性から、更に80℃〜20
0℃が好ましく、特に80〜120℃が好ましい。
【0057】乳酸系ポリエステルを溶剤に溶解する場
合、使用する溶媒は特に問わないが、沸点が室温以上1
50℃以下のものが製造上、好ましく、例示すると、ベ
ンゼントルエン、キシレン、エチルベンゼン、THF、
ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロ
エタン、トリクロロエタン、酢酸プロピル、酢酸エチ
ル、酢酸メチル、アセトン、MEK、MIBKが挙げら
れる。
【0058】流動床を使用して緩効性肥料を作る場合、
乳酸系ポリエステルを少ない量で被覆できる。乳酸系ポ
リエステルと肥料の量比は肥料の放出時間によって任意
に変えられるが、5/95〜80/20が可能で、特に
5/95〜50/50が好ましい。通常、1ヵ月〜6ヵ
月の効果を期待する場合5/95〜40/60である。
【0059】この量比とポリエステルの分子量で効果の
調節は容易である。重量平均分子量としては3,000
〜200,000が好ましく、さらに好ましくは20,
000〜150,000である。特にこの方法では樹脂
の強度の低いものでも使用でき、押し出し、射出、ブロ
ー成形等に使用した際に発生するバリ、ランナー等の余
り樹脂もしくは廃樹脂等を流用することができる。乳酸
系樹脂の場合、成型による樹脂の性能劣化が著しく、回
収樹脂の再利用が困難であるが、本発明はこれら廃樹脂
の再利用の途を開き、資源の再利用、産業廃棄物の削減
の面からも有用である。
【0060】また本発明の緩効性肥料の製造方法は、乳
酸系ポリエステルと肥料を混練することによって作るこ
とができる。この場合、混練機、或いは押し出し機を使
用した方法により、乳酸系ポリエステルと肥料を混練す
ることができる。混練機、或いは押し出し機は、通常の
単軸押し出し機で十分に混練可能である。また乳酸系ポ
リエステルの溶融特性が良くない場合には、必要に応じ
て2軸の押し出し機を使用することも可能である。
【0061】押し出し温度は、使用する乳酸系ポリエス
テルの性質に依存するが、使用するポリエステルの融点
または軟化温度より、一般に10〜40℃高い操作温度
が適している。具体的な押し出し温度は、140〜25
0℃が一般的で、好ましくは160℃〜250℃であ
り。分子量を下げないように、かつ、肥料分の分解を抑
制する目的で160〜220℃である。
【0062】混練は乳酸系ポリエステルと肥料を予めブ
レンダー等で混合しておき混練機等にかけることができ
る。また、押し出し機中で最初に乳酸系ポリエステルを
溶融しておき肥料を添加し混練する方法がある。
【0063】形状については、混練機、押し出し機に付
属したダイにより任意の形状へ加工できる。通常、塩ビ
等のような樹脂のストランドを切断したようなペレット
状、ポリエチレンのような樹脂でみられるホットカット
ペレットの形状が可能である。肥料を多く含有した場
合、強度が不足しペレット状にならない為、混練物を水
中に滴下する方法、もしくは混練した固形を粉砕する方
法も可能である。
【0064】サイズについては、混練機、押し出し機に
付属したダイ等の混練物の出口および粉砕機のメッシュ
の大きさにより任意のサイズにできる。サイズは肥料の
効果の継続時間、ポリエステルの強度によって適切なサ
イズを選択すべきであるが、1〜10mmが通常用いら
れる。好ましくは平均粒系2〜7mmである。サイズに
分布をもたせて速く肥料が効果をあらわすものから、長
期にわたって効果を示すものまでを混合することもでき
る。
【0065】乳酸系ポリエステルと肥料とを混練して緩
効性肥料を作る場合は、比較的、乳酸系ポリエステルを
多く必要とする。乳酸系ポリエステルと肥料の量比は肥
料の放出時間によって任意に変えられるが、20/80
〜95/5が可能で、特に30/70〜95/5が好ま
しい。
【0066】通常、1ヵ月〜6ヵ月の効果を期待する場
合40/60〜80/20である。この量比とポリエス
テルの分子量で効果の調節は容易である。重量平均分子
量としては3,000〜200,000が好ましく、さ
らに好ましくは6,000〜80,000である。特に
この方法では樹脂の強度は必要なく、押し出し、射出、
ブロー成形等に使用した際に発生する廃樹脂等を流用す
ることができる。
【0067】本緩行性肥料中の肥料としては特に種類を
問わず、有機および無機の肥料に使用できる。乳酸系ポ
リエステルと肥料とを混練して緩効性肥料を作る場合、
一般に水溶性が高く追肥が必要な無機肥料が適してい
る。具体的には油粕、魚肥、カリ塩、石灰、炭酸カルシ
ウム、硫酸アンモニウム、尿素、硝安、リン酸質、窒素
質等が挙げられる。
【0068】特に乳酸系ポリエステルが分解し有機分と
なることからも無機肥料との組み合わせが有効である。
リン酸質、炭酸質、硫酸質、窒素質、マグネシウム質、
カルシウム質、カリ質を含むことが好ましく、特にリン
酸質、窒素質、カリ質を含むことが好ましく、リン酸
塩、カリ塩、塩基性窒素、硝酸性窒素を含むものが好ま
しい。
【0069】具体的な例として、硝酸カリウム、リン酸
カリウム、リン酸水素カリウム、硝酸アンモニウム、リ
ン酸アンモニウム、およびこの混合物やこれらの物質を
含むものが挙げられる。
【0070】本発明の緩行性肥料には、必要に応じて目
的植物の生育に悪影響を及ぼさない範囲で農薬類を加え
ることができる。農薬類については種類を問わないが、
具体的には殺菌剤、殺虫剤、除草剤、植物成長調節剤
等、また目的植物の成長を促す目的で土壌改良剤(材)
等を加えても良い。
【0071】殺菌剤としては、特に種類を問わないが具
体的には、銅剤、イオウ剤、フェノール剤、キノン剤、
および抗生物質等が挙げられる。殺虫剤も特に種類を問
わないが、具体的には、有機塩素系、有機リン系殺虫剤
等が挙げられる。また除草剤としては、具体的には、フ
ェノール系、カーバメート系、ウレア系、トリアジン系
殺草剤等が挙げられる。植物成長調節剤としては、発芽
促進剤、発根促進剤、伸長抑制剤等が挙げられる。土壌
改良剤(材)は、具体的には、泥炭、木炭、バーミキュ
ライト、パーライト等が挙げられる。
【0072】本発明の緩効性肥料中に加える農薬類、土
壌改良剤(材)の量については、特に限定はないが、農
薬類は緩効性肥料中の重量の30%以下が好ましい。土
壌改良剤(材)は緩効性肥料の重量の200%以下が好
ましい。
【0073】本発明の緩効性肥料が適用可能な植物は、
特にその種類は問わないが、具体的には、米、麦、黍等
の穀類、大豆、小豆等の豆類、ゴボウ、大根、人参、ビ
ート等の根菜類、ホウレン草、小松菜、キャベツ等の葉
菜類、ピーマン、キュウリ、トマト、茄子、いちご、す
いか等の果菜類や、ひまわり、すすき、芝、コスモス等
が挙げられる。
【0074】本発明の緩効性肥料の土壌への適用方法
は、乳酸系ポリエステルが水溶性ではないため土壌上に
置いても、緩効性肥料の崩壊を早めることはなく安定に
使用できる。一方、乳酸系ポリエステルは植物等の根が
触れても根焼けを起こすこともない。これは、ポリエス
テルが肥料を覆い尽くすことができ、根焼けの心配がな
いために、多量の肥料を一度に土壌中に混合する方法が
とれる。
【0075】施肥時期については、特に問わず、播種
時、苗の植え替え時等いつでも使用できる。本発明の緩
効性肥料は製造手段、形状、サイズ、乳酸系ポリエステ
ルと肥料との割合、乳酸系ポリエステルの分子量、残存
モノマー、共存可塑剤等により包含肥料の放出時期及び
放出期間が任意に制御可能である。
【0076】適用できる徐放期間は1カ月〜1年間が可
能であり、実用上の除放期間は、適用する植物種による
が、穀類および豆類は通常6カ月〜1年間、根菜類およ
び果菜類は、通常2〜6カ月、葉菜類、花き類は通常1
〜4カ月が好ましい。
【0077】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明するが、本発明は、もとより、ここで記載の肥料種、
乳酸系ポリエステルまたは添加剤の種類および配合比
率、植物のみに限定されることなく広い範囲で使用可能
である。
【0078】〔実施例1〕乳酸系ポリエステル(L−乳
酸成分90重量%と、テレフタル酸成分15モル%、イ
ソフタル酸成分15モル%、アジピン酸成分20モル
%、エチレングリコール成分25モル%、ネオペンチル
グリコール成分25モル%からなるポリエステル10重
量%を共重合させて調製した。
【0079】重量平均分子量147,000(ポリスチ
レン換算)、引っ張り弾性率14,500kg/cm
2 )を、50mm単軸押し出し機を用いて、吐出温度1
80〜200℃、吐出量20kg/時間、幅60mm、
巻き取り速度20m/分の条件で、25μmの乳酸系ポ
リエステルフィルムを作成した。
【0080】このフィルムを直径約5mmのチューブに
なるようにヒートシールし、下記の比率で調合した無機
肥料を0.2g/パックになるようにチューブに詰め、
さらにチューブをヒートシールし肥料を包含したカプセ
ルを作成した。この時、カプセル中の無機肥料は平均
0.06g/個で、乳酸系ポリエステル:肥料の比率は
約23:77であった。
【0081】(肥料調合割合) 合計100重量部に対
して 硝酸カリウム 28.6部 第2リン酸アンモニウム 18.4部 第1リン酸カリウム 19.0部 硝酸アンモニウム 34.0部
【0082】約10cm×15cm、深さ約8cmのプ
ラスチックス製苺パックに畑土を入れ、10個の肥料を
入れたカプセルを均一に撒いた。肥料は約145g/m
2 になるように、撒かれている。このポットを23℃の
温室中に入れ、1日2回の水撒きを行ない、カプセルの
崩壊を調べ、肥料の漏出を観察した。
【0083】下にカプセルの崩壊程度を示す。
【0084】〔実施例2〕実施例1で使用した乳酸系共
重合体でフィルムを作成した際に得た回収廃ポリマーを
粉砕機で破砕したもの500gと、実施例1で使用した
肥料とを、肥料と乳酸系ポリエステルの重量比が、ポリ
エステル59.2部、肥料40.8部になるようにブレ
ンドし、栗本鉄鋼所製KRCニーダーによって混練し
た。
【0085】混練温度: 175℃ 混練速度: 2kg/Hr 混練後は直径約3mmのストランド状に取り出した。取
りだしたストランドを粉砕機によって破砕し、粒径約1
mmのフレーク状にした。
【0086】ここで作成された緩効性肥料は肥料100
重量部中に窒素:リン:カリウムが8:8:8の重量で
混練されたものであった。(以下、肥料100重量部中
に窒素:リン:カリウムが8:8:8の重量で混練され
たものを8−8−8肥料と呼び、他の配合比率の肥料も
同様である。)乳酸系ポリエステルの分子量は、87,
100、残留ラクタイドは4%であった。
【0087】直径約10cm、深さ約12cmのプラス
チックスポット10個に、肥料分を含まない赤玉土を入
れ、各々250g/m2 、500g/m2 になるよう
に、先に調製した緩効性肥料を撒き、本葉の枚数がほぼ
1枚となった白菜の苗を各ポットに植えた。
【0088】23℃の温室中に入れ、1日2回の水撒き
を行ない、39日間の栽培後、白菜の本葉は、肥料量2
50g/m2 で10〜13枚、500g/m2 で12〜
16枚になった。白菜は根焼けすることなく、根部分が
緩効性肥料と接触した部分でさえ根焼けはなかった。
【0089】回収した緩効性肥料樹脂の分子量は43,
600に低下していた。また窒素の定量を行い残留肥料
成分を定量すると、樹脂中に約23%の肥料分が残留し
ていることが判った。白菜の乾燥重量を測定し、表1に
結果をまとめた。白菜の2枚目の本葉の葉緑素量を、葉
緑素計ミノルタSPAD−501を使用して測定し、表
2に示した。
【0090】また、対照実験として、肥料を入れず、赤
玉土のみを入れたポット10個に、本葉が出始めた白菜
の苗を各ポットに植えた。39日間の栽培後、白菜の本
葉は7〜8枚になった。白菜の2枚目の本葉の葉緑素量
を、葉緑素計ミノルタSPAD−501を使用して測定
し、表2に示した。
【0091】〔実施例3〕D/L−ポリ乳酸(ピュラッ
ク社製、重量平均分子量128,800(GPCポリス
チレン換算)、引っ張り弾性率19,000kg/cm
2 )500gと実施例1で使用した肥料とを、ポリ乳酸
59.2重量部、肥料40.8重量部になるようにブレ
ンドし、栗本鉄鋼所製KRCニーダーによって混練し
た。
【0092】混練温度: 160℃ 混練速度: 2kg/Hr 混練後は直径約3mmのストランド状に取り出した。取
りだしたストランドを粉砕機によって粉砕し、粒径約1
mmのフレーク状にした。肥料組成は8−8−8の重量
で混練されたものであり、ポリ乳酸の分子量は74,2
00、ラクタイドは4.1%残留していた。
【0093】直径約10cm、深さ約12cmのプラス
チックスポット10個に、肥料分を含まない赤玉土を入
れ、125g/m2 、250g/m2 になるように、先
に調製した緩効性肥料を撒き、本葉の枚数がほぼ1枚と
なったレタスの苗を各ポットに植えた。
【0094】23℃の温室中に入れ、1日2回の水撒き
を行ない、67日間の栽培後、レタスの本葉は肥料量1
25g/m2 で7〜10枚、250g/m2 で7〜11
枚になった。レタスは根焼けすることなく、根部分が緩
効性肥料と接触した部分でさえ根焼けはなかった。
【0095】回収した緩効性肥料樹脂の分子量は31,
000に低下していた。窒素の定量を行い、残留肥料成
分を定量すると樹脂中に約9%の肥料分が残留している
ことが解った。レタスの乾燥重量を測定し、表2に結果
をまとめた。
【0096】また、対照実験として、肥料を入れず、赤
玉土のみを入れたポット10個に、本葉が出始めたレタ
スの苗を各ポットに植えた。67日間の栽培後、レタス
の本葉は3〜7枚になった。
【0097】〔実施例4〕乳酸系ポリエステル(L−乳
酸成分45重量%、D−乳酸成分45重量%、コハク酸
成分50モル%、エチレングリコール成分25モル%、
ネオペンチルグリコール成分25モル%からなるポリエ
ステル10重量%を共重合させて調製した。重量平均分
子量169,000(GPCポリスチレン換算))を、
メチルエチルケトン(MEK)の30%溶液として縦型
噴流式の流動床で直径2mmの無機有機肥料粒に被覆し
た。
【0098】流動床中の乾燥温度80〜100℃、0.
5時間の条件で、8−8−8肥料となるように乳酸系ポ
リエステル:肥料粒の重量比が30:70になるように
被覆した。
【0099】直径約10cm、深さ約12cmのプラス
チックスポット10個に肥料分を含まない赤玉土を入
れ、各々125g/m2 、250g/m2 になるよう
に、先に調製した緩効性肥料を撒き、本葉が出始めたニ
ンジンの苗を各ポットに植えた。23℃の温室中に入
れ、1日2回の水撒きを行ない、78日間の栽培後、ニ
ンジンの根部の重量は、肥料量125g/m2の場合で
平均4.2g、250g/m2の場合で平均6.6gに
なった。ニンジンの重量を測定し、表3に結果をまとめ
た。
【0100】また、対照実験として、肥料を入れずに赤
玉土のみを入れたポット10個に、本葉が出始めたニン
ジンの苗を各ポットに植えた。78日間の栽培後、ニン
ジンの根部の重量は平均0.8gになった。また実施例
1から4までの栽培結果では、問題となるような雑菌汚
染は全く見られなかった。
【0101】〔比較例1〕慣行の樹脂(ポリエチレン)
で被覆された8−8−8肥料を赤玉土を入れたポット1
0個に、各々250g/m2 、500g/m2 になるよ
うに撒き、本葉が出始めた白菜の苗を各ポットに植え
た。
【0102】39日間の栽培後、白菜の本葉は肥料量2
50g/m2 で7〜10枚、500g/m2 で0〜8枚
になった。500g/m2 では肥料によって白菜が根焼
けを起こしているようであった。肥料は全て崩壊し肥料
分は残留していなかった。白菜の乾燥重量を測定し、表
1にまとめた。白菜の2枚目の本葉の葉緑素量を葉緑素
計ミノルタSPAD−501を使用して測定し、表2に
示した。
【0103】〔比較例2〕慣行の樹脂(ポリエチレン)
で被覆された8−8−8肥料を赤玉土を入れたポット1
0個に、各々125g/m2 、250g/m2 になるよ
う撒き、本葉が出始めたレタスの苗を各ポットに植え
た。
【0104】67日間の栽培後、レタスの本葉は肥料量
125g/m2で5〜11枚、250g/m2で0〜10
枚になった。250g/m2では、レタスが根焼けを起
こして枯れている鉢が50%あった。肥料は全て崩壊し
肥料分は残留していなかった。レタスの乾燥重量を測定
し、表3に結果をまとめた。
【0105】〔比較例3〕慣行の樹脂で被覆された8−
8−8肥料を赤玉土を入れたポット10個に125g/
2、250g/m2になるよう撒き、本葉が出始めたニ
ンジンの苗を各ポットに植えた。78日間の栽培後、ニ
ンジンの重量は肥料量125g/m2で平均6.4g、
250g/m2で平均5.1gになった。肥料は全て崩
壊し、肥料分は残留していなかった。ニンジンの乾燥重
量を測定し、表4に結果をまとめた。
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【発明の効果】本発明は、成形が容易で、一度に多くの
肥料を土壌中に施肥でき、かつ、植物の根焼けを起こす
ことがなく、徐々に生分解して肥料を放出し、かつ樹脂
の生分解によって発生する有機酸の作用によって、雑菌
の繁殖も抑制する優れた効果を有する緩効性肥料を提供
できる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳酸系ポリエステルと肥料を必須成分と
    する緩効性肥料。
  2. 【請求項2】 乳酸系ポリエステルが、乳酸ポリマーで
    ある請求項1記載の緩効性肥料。
  3. 【請求項3】 乳酸系ポリエステルが、乳酸成分(A)
    と、ジカルボン酸成分(B)と、ジオール成分(C)を
    必須成分としてなる乳酸系共重合体である請求項1記載
    の緩効性肥料。
  4. 【請求項4】 乳酸系ポリエステルが、乳酸成分(A)
    と、脂肪族ジカルボン酸成分および芳香族ジカルボン酸
    成分と、ジオール成分を必須成分としてなる乳酸系共重
    合体である請求項1記載の緩効性肥料。
  5. 【請求項5】 乳酸ポリマー、乳酸成分(A)と、ジカ
    ルボン酸成分(B)及びジオール成分(C)を必須成分
    としてなる乳酸系共重合体、乳酸成分(A)と、脂肪族
    ジカルボン酸成分、芳香族ジカルボン酸成分及びジオー
    ル成分を必須成分としてなる乳酸系共重合体から成る群
    から選ばれる1種以上の乳酸系ポリエステルを肥料に被
    覆することを特徴とする緩効性肥料の製造方法。
  6. 【請求項6】 1種以上の乳酸系ポリエステル5〜80
    重量部を肥料成分20〜95重量部に、溶剤存在下、温
    度80〜200℃で、流動床により被覆すること特徴と
    する請求項5記載の緩効性肥料の製造方法。
  7. 【請求項7】 乳酸ポリマー、乳酸成分(A)と、ジカ
    ルボン酸成分(B)及びジオール成分(C)を必須成分
    としてなる乳酸系共重合体、乳酸成分(A)と、脂肪族
    ジカルボン酸成分、芳香族ジカルボン酸成分及びジオー
    ル成分を必須成分としてなる乳酸系共重合体から成る群
    から選ばれる1種以上の乳酸系ポリエステルと、肥料と
    を混練することを特徴とする緩効性肥料の製造方法。
  8. 【請求項8】 1種以上の乳酸系ポリエステル20〜9
    5重量部を、肥料成分5〜80重量部に、温度160〜
    250℃で、混練すること特徴とする請求項7記載の緩
    効性肥料の製造方法。
  9. 【請求項9】 乳酸ポリマー、乳酸成分(A)と、ジカ
    ルボン酸成分(B)及びジオール成分(C)を必須成分
    としてなる乳酸系共重合体、乳酸成分(A)と、脂肪族
    ジカルボン酸成分、芳香族ジカルボン酸成分及びジオー
    ル成分を必須成分としてなる乳酸系共重合体から成る群
    から選ばれる1種以上の乳酸系ポリエステルから成るカ
    プセルに肥料を包含させることを特徴とする緩効性肥料
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 カプセルが袋であることを特徴とする
    請求項9記載の緩効性肥料の製造方法。
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