JPH07309627A - 針状ゲーサイト粒子の製造方法 - Google Patents

針状ゲーサイト粒子の製造方法

Info

Publication number
JPH07309627A
JPH07309627A JP6126895A JP12689594A JPH07309627A JP H07309627 A JPH07309627 A JP H07309627A JP 6126895 A JP6126895 A JP 6126895A JP 12689594 A JP12689594 A JP 12689594A JP H07309627 A JPH07309627 A JP H07309627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
suspension
alkali
ferrous
particles
goethite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6126895A
Other languages
English (en)
Inventor
海萬 ▲そう▼
Kaiman Sou
Hiroyuki Nakamura
浩之 中村
Mamoru Tanihara
守 谷原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP6126895A priority Critical patent/JPH07309627A/ja
Publication of JPH07309627A publication Critical patent/JPH07309627A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compounds Of Iron (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】第1鉄塩とアルカリとを水中で反応させて第1
鉄含有沈殿物を含む懸濁液を得る工程、および分散機を
経由する外部循環ラインを設けた反応器を用いて、該懸
濁液の一部を外部循環させながら分散させつつ、反応器
中または外部循環ライン中の懸濁液に酸素含有ガスを供
給して酸化反応を行う工程を少なくとも有することを特
徴とする針状ゲーサイト粒子の製造方法。 【効果】本発明の製造方法により、針状型を呈するゲー
サイト粒子を製造すれば、従来法に比べ1次粒子同士の
凝集を大幅に防ぐことができ、分散性に優れたゲーサイ
ト粒子を得ることが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録用磁性粒子粉
末を製造する際の出発原料として好適な、分散性に優れ
た針状型を呈するゲーサイト粒子を工業的に得る製造法
に関する。
【0002】
【従来の技術】工業的なゲーサイトの製造方法として
は、大きく分けて、次のa〜cの3種類の方法がある。 a.特公昭26−7776号公報に見られるように、第
1鉄塩水溶液にアルカリ水溶液を加え、これを酸化し針
状型を有する種粒子を製造し、これを懸濁させた第1鉄
塩水溶液に金属鉄を加え、空気を吹き込んで酸性側で成
長させる方法。 b.特公昭39−5610号公報のように、第1鉄塩水
溶液に当量以上のアルカリを加えて生じた水酸化第1鉄
を含む水溶液をpH11以上にて酸化する方法。 c.特開昭50−80999号公報のように、第1鉄塩
水溶液に加えるアルカリ水溶液として当量以上の炭酸ア
ルカリ単独、或いは炭酸アルカリと水酸化アルカリの混
合物を用いることでpH7〜11にて酸化する方法。
【0003】また、d.特開昭53−75199号公報
のように、異種元素を添加する方法で粒径を揃えたり、
粒子の軸比を大きくすることを特徴とする発明がある。
【0004】さらに、装置的な工夫を行った製造法も多
数提案されている。例えば、e.特開昭51−1385
98号公報のように、水酸化第1鉄懸濁液を空気により
酸化させるときに、ガス分散機として均一径気泡発生装
置を用いることで、粒径が揃ったゲーサイト粒子を得る
方法がある。
【0005】また、f.特開昭54−50000号公報
のように、反応溶液に投入するアルカリ水溶液を、吹き
込む空気中に霧化混合させて、噴出することでゲーサイ
ト生成反応を均一に促進させてゲーサイトを生成させる
方法がある。 g.特開昭57−118034号公報のように、反応容
器内に特殊な気液接触装置を設置して気液接触を均一に
行うことで、結晶サイズの均一なゲーサイトを製造する
方法などがある。
【0006】また、第1鉄とアルカリの混合水溶液を容
れた槽に循環路を設け、酸化過程を循環路の一部で行う
方法(h.特公平2−8970号公報)、それを改良
し、該酸化を間欠的に行う方法(i.特公平2−897
2号公報)、また循環路中の酸化反応領域を特殊な気液
接触装置にすることを特徴とする方法(j.特公平3−
2809号公報)がある。
【0007】合成したゲーサイト粒子の評価法は、主に
電子顕微鏡写真から粒子の大きさを読みとり、平均粒子
径及び標準偏差値をもって評価したり、またはBET法
による比表面積(m2 /g)を測定して評価するのが一
般的である。上記の評価法ではゲーサイト1次粒子の形
態、粒度分布、サイズなどは評価できるが、1次粒子の
分散性の評価法としては必ずしも充分ではない。本発明
者らの詳細な検討の結果、1次粒子の分散性の評価法と
して、レーザ散乱法を用いた粒度分布測定器である堀場
製作所のLA−500で合成ゲーサイトスラリーを測定
し、粒度分布グラフ(2次粒子(凝集粒子)の粒径(μ
m)と頻度(%)の相関グラフ)と90%粒子径(積算
頻度が90%となる粒径)の値から、1次粒子の分散性
の程度を効率よく評価することが可能であるのを見いだ
した。
【0008】先に取り上げた従来のゲーサイトの合成方
法では、主に生成ゲーサイト粒子の1次粒子の大きさを
揃えたり、軸比を大きくするなどの工夫が主な目的であ
る。そこで、従来の方法で合成したゲーサイトを上述の
LA−500で評価した結果、1次粒子同士の凝集が多
く見られ、1次粒子の分散性が悪いのが明らかになっ
た。
【0009】このように、従来の方法で製造したゲーサ
イト粒子は、1次粒子同士が凝集しており、分散性が悪
いために、k.特開昭62−60205号公報に見られ
るように、合成済みのゲーサイトを高分散処理を施した
後、磁性粒子製造の出発原料として用いるなどの対応を
している。従って、高分散性のゲーサイトを製造するこ
とができれば、上記のような工程は省略でき、工業的に
有利となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
方法でゲーサイトを合成すると、ゲーサイトの合成段階
で1次粒子同士の凝集が起こり、必ずしも分散性に優れ
たゲーサイトが得られるものではない。本発明の目的
は、このような問題点を解決すべく、できる限り1次粒
子同士の凝集を防ぎ、分散性に優れた針状ゲーサイト粒
子の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、第1鉄含
有沈殿物を含む懸濁液に、酸化性ガスを吹き込み酸化反
応させて針状型を呈したゲーサイト粒子を生成させる方
法において、機械的高剪断力を有する分散機を設けた外
部循環ラインを反応容器に設置し、酸化過程で、懸濁液
を循環させながら分散機を運転することで、生成ゲーサ
イトの1次粒子同士の凝集を防ぎ、分散性に優れた針状
型を呈したゲーサイト粒子が製造できることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明の要旨は、 (1)以下の工程を少なくとも有することを特徴とする
針状ゲーサイト粒子の製造方法、 a)第1鉄塩とアルカリとを水中で反応させて第1鉄含
有沈殿物を含む懸濁液を得る工程、および b)分散機を経由する外部循環ラインを設けた反応器を
用いて、該懸濁液の一部を外部循環させながら分散させ
つつ、反応器中または外部循環ライン中の懸濁液に酸素
含有ガスを供給して酸化反応を行う工程 (2)a)工程で得られた懸濁液をさらに熟成させてか
ら、b)工程を行うことを特徴とする前記(1)記載の
製造方法、 (3)熟成が分散機を経由する外部循環ラインを設けた
反応器内で懸濁液の一部を外部循環させながら分散させ
つつ行われる前記(2)記載の製造方法、 (4)分散機が高剪断力を有する前記(1)〜(3)の
いずれかに記載の製造方法、 (5)第1鉄塩が硫酸第1鉄、塩酸第1鉄、硝酸第1
鉄、および酢酸第1鉄からなる群より選ばれる1種以上
であり、アルカリが水酸化アルカリおよび炭酸アルカリ
からなる群より選ばれる1種以上である前記(1)〜
(4)のいずれかに記載の製造方法、および (6)アルカリとして水酸化アルカリおよび炭酸アルカ
リを用いることを特徴とする前記(5)記載の製造方
法、 (7)針状ゲーサイトの2次粒子の90%粒子径が2.
0μm以下である前記(1)〜(6)のいずれかに記載
の方法、に関する。
【0013】本発明においてゲーサイトとは、通常α−
FeOOHとして知られている含水第2酸化鉄のことを
示し、例えば、以下のような反応により得られる物質を
示す。 4Fe(OH)2+O2 → 4α−FeOOH+2H2
O 4FeCO3 +O2 +H2 O → 4α−FeOOH+
4H2 CO3 本発明において針状とは、長軸と短軸との比が4以上の
粒子で、短冊状、紡錘状、スピンドル状、米粒状等を含
むものである。
【0014】本発明の製造方法は、a)とb)の2つの
工程を少なくとも有することを特徴とするものである
が、以下これらを順に詳細に説明する。
【0015】まず、工程a)は、第1鉄塩とアルカリと
を水中で反応させて第1鉄含有沈殿物を含む懸濁液を得
るものである。使用される第1鉄塩としては、特に限定
されないが、硫酸第1鉄、塩化第1鉄、硝酸第1鉄、お
よび酢酸第1鉄からなる群より選ばれる1種以上が好適
に使用することができる。
【0016】本発明では反応に先立って、通常、上記の
第1鉄塩は水溶液とする。このときの第1鉄濃度は0.
5〜2.0mol/Lにするのが好ましい。
【0017】一方、使用されるアルカリとしては、例え
ば水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、しゅう酸アルカリ等
が使用できるが、水酸化アルカリおよび炭酸アルカリか
らなる群より選ばれる1種以上が好適に使用できる。即
ち、水酸化アルカリまたは炭酸アルカリについて、それ
ぞれ複数使用してもよく、また水酸化アルカリおよび炭
酸アルカリを併用してもよい。とくに水酸化アルカリお
よび炭酸アルカリを混合して用いると懸濁液の粘度の低
減あるいは生成粒子の軸比向上の点で好ましい。炭酸ア
ルカリとしては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウ
ム、炭酸水素アンモニウム等の何れかを使用することが
できる。また、水酸化アルカリとしては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等の何れか
を使用することができる。また、通常、アルカリも水溶
液とする。
【0018】上記のアルカリ水溶液を容れた容器を窒素
非酸化雰囲気にした後、第1鉄塩水溶液を投入すること
で、第1鉄含有沈殿物を含む懸濁液を調製する。このと
きに、第1鉄含有沈殿物を含む懸濁液の温度は後工程の
酸化反応工程の酸化温度と等しくするのが好ましく、ま
た、懸濁液を熟成させてから酸化工程を行う場合には熟
成温度と等しくするのが好ましい。
【0019】本発明においては、上述のように、第1鉄
塩とアルカリを含む水溶液を別々に予め調製してこれを
混合する方法により、第1鉄含有沈殿物を含む懸濁液を
調製することができるが、当該方法以外に、第1鉄塩水
溶液に固体アルカリあるいは市販の高濃度アルカリ水溶
液を直接投入する方法等を用いることができる。工程
a)において、懸濁液中の第1鉄濃度は0.1〜1.2
mol/Lが好ましく、アルカリ量は第1鉄に対して
0.3〜6当量が好ましい。
【0020】以上のような、a)工程で得られる第1鉄
含有沈殿物としては、水酸化第1鉄、炭酸第1鉄および
水酸化第1鉄と炭酸第1鉄の混合物等が挙げられる。
【0021】次に、工程b)は、分散機を経由する外部
循環ラインを設けた反応器を用いて、懸濁液の一部を外
部循環させながら分散させつつ、反応器中または外部循
環ライン中の懸濁液に酸素含有ガスを供給して酸化反応
を行うものである。
【0022】これを図1に基づいて説明すると、次のよ
うになる。即ち、この工程では、上記の第1鉄含有沈殿
物を含む懸濁液を、図1に示すような分散機を経由する
外部循環ラインを設けた反応器に容れ、それに酸素含有
ガスを吹き込みつつ酸化反応を行うが、このときに懸濁
液の一部を外部循環させながら、かつ分散機を運転して
分散させつつそれを行うことにより、分散性に優れたゲ
ーサイトを得ることができる。
【0023】外部循環ラインは、特に限定されないが、
反応器底部より懸濁液を吸引し、反応器中の懸濁液上部
または懸濁液面より上方に排出できる構造が好ましい。
【0024】工程b)における酸化反応温度は、ゲーサ
イトが生成する温度範囲内であればよく、好ましくは8
0℃以下であり、さらに好ましくは30〜60℃であ
る。この範囲より低いと反応速度が遅いため生産効率が
悪くなる傾向があり、この範囲より高いとゲーサイト以
外のマグネタイト等の酸化鉄化合物が副生物として生成
する傾向がある。
【0025】酸素含有ガスとしては、空気、酸素、空気
と酸素との混合ガス、酸素と窒素との混合ガス、空気と
窒素との混合ガス等を用いることができる。
【0026】供給する酸素含有ガスの流量は、懸濁液の
容量と反応器の寸法及び目的とする生成ゲーサイト粒子
の大きさなどにより異なるが、懸濁液1リットル当たり
に対し、0.001〜10リットル/分にするのが好ま
しく、さらに好ましくは0.001〜5リットル/分で
ある。この範囲より多いと粒子の粒度分布が広くなる傾
向があり、また、ガスホールドアップが大きくなりすぎ
て生産効率が悪くなる。この範囲より少ないと反応速度
が遅いため生産効率が悪くなる傾向がある。
【0027】本発明において酸素含有ガスは、反応器中
または外部循環ライン中の何れに供給しても良い。反応
器中に供給する場合は(図1)、反応系内でできるだけ
均一に分散されて供給されるのが好ましく、そのためガ
ス分散機、攪拌機、邪魔板等が用いられる。また、ガス
分散機は、反応器中の気泡が外部循環ラインに混入し、
分散機がキャビテーションを起こすのを防ぐため、循環
ラインの吸引口よりも上方に設置するのが好ましい。外
部循環ライン中に供給する場合は、分散機のキャビテー
ションを防ぐために分散機下流の循環ライン中に供給す
るのが好ましい。
【0028】この工程における外部循環流量は、1〜3
0分/回が適当で、好ましくは3〜20分/回である。
さらに好ましくは3〜10分/回である。ここで、外部
循環流量とは、反応器内の総液量が1回循環するのに何
分かかるかを示す量である。この範囲より少ないと、得
られるゲーサイト1次粒子同士の凝集が生じやすい傾向
があり、また、この範囲より多くしても分散性をさらに
向上する効果がないためである。
【0029】本発明において用いる分散機は、高剪断力
を有するものが好ましい。ここで、分散機の高剪断力と
は、酸化反応過程において生成されたゲーサイト粒子の
核が、1次粒子に成長する段階において、少なくとも1
次粒子同士が凝集しないために必要な剪断力をいう。
【0030】具体的には、回転翼を有する分散機による
剪断力下では式(1)、 φ=(πDN/d) (1) (π;円周率、D;回転翼の直径、N;回転数、d;ク
リアランス)で算出される剪断速度(φ)が2000s
-1以上が好ましく、さらに好ましくは10000〜10
0000s-1の範囲である。この範囲より小さいと、1
次粒子の成長段階で1次粒子同士の凝集が生じやすい傾
向があるからである。なお、回転翼を有しないものを用
いる場合でも、この範囲の剪断速度であれば、同様の効
果を得ることができる。このような剪断力は、市販され
ている高速回転分散機で得ることができ、例えば、配管
に組み込んで用いるラインミキサータイプの(株)エバ
ラ製作所製のエバラマイルダー、特殊機化工業(株)製
のホモミックスラインミル、パイプラインホモミキサー
などを用いることができる。
【0031】また、本発明の製造方法においては、第1
鉄塩含有懸濁液をより均一な懸濁液にしたり、または生
成ゲーサイト粒子の軸比を大きくするなどの目的で、前
記a)工程で得られた懸濁液をさらに熟成させてから、
b)工程を行うことが好ましい。このような熟成を行う
場合、その方法としては、次のような2つの態様があ
る。
【0032】(1)懸濁液を容器(好ましくは反応器)
に入れたまま、非酸化性ガスを吹き込みながら、0.5
〜5時間保持する方法により行うことができる。このと
きに機械的に攪拌を行ってもよい。また、(2)b)工
程で用いるのと同様の分散機を経由する外部循環ライン
を設けた反応器内で懸濁液の一部を外部循環させながら
分散させつつ、非酸化性ガスを吹き込みながら、熟成を
行うことができる。本発明においては、いずれでもよい
が、第1鉄塩沈殿物が微細化し均一な懸濁液が得られ、
また、熟成時間の短縮が可能である等の理由より(2)
の方法がさらに好ましい。即ち、上記の熟成過程を、図
1に示すような、機械的高剪断力を有する分散機を設け
た外部循環ラインを設けた反応器に該懸濁液を容れ、懸
濁液の一部を外部循環しながら分散機を運転する操作を
すれば、短時間で均一な懸濁液を得ることができる。こ
のときの外部循環量と剪断力は、操作を簡単にするため
に、前記のb)工程と同一の循環量と剪断力にするのが
好ましい。これらの熟成過程における温度は、80℃以
下が好ましく、さらに好ましくは30〜60℃である。
この範囲より低いと熟成の効果を十分に得ることができ
ず、また、この範囲より高くしても熟成効果の向上がな
いためである。
【0033】これらの熟成過程では、系に非酸化性ガス
として窒素ガスなどの不活性ガスを吹き込むなどによ
り、非酸化状態にするのが好ましい。吹き込みガス流量
は懸濁液1リットル当たりに換算し、5リットル/分以
下にするのが好ましい。この範囲より多いと必要以上の
ガスを使用することになり非経済的である。
【0034】なお、本発明においては、磁性粒子の特性
向上等のために、ゲーサイト粒子の製造反応中に通常添
加されるNi,Co,Zn,P,Al,Si等のFe以
外の異種元素を含む化合物を添加することもでき、この
場合にも同様な効果が得られる。
【0035】本発明の好適な態様の一例を挙げると、次
の工程を少なくとも有する製造方法が挙げられる。 イ)第1鉄塩と、水酸化アルカリおよび炭酸アルカリか
らなるアルカリとを水中で反応させて第1鉄含有沈殿物
を含む懸濁液を得る工程、 ロ)イ)工程で得られた懸濁液を、高剪断力を有する分
散機を経由する外部循環ラインを設けた反応器内で、該
懸濁液の一部を外部循環させながら分散させつつ熟成さ
せる工程、および ハ)ロ)工程で熟成させた懸濁液を、高剪断力を有する
分散機を経由する外部循環ラインを設けた反応器を用い
て、該懸濁液の一部を外部循環させながら分散させつ
つ、反応器中または外部循環ライン中の懸濁液に酸素含
有ガスを供給して酸化反応を行う工程
【0036】このようにして得られる針状ゲーサイト粒
子について、レーザー散乱法を用いた粒度分布測定器L
A−500(堀場製作所製)により2次粒子の粒度分布
を評価した場合、粒度分布は非常にシャープとなり、9
0%粒子径は通常2.0μm以下、好ましくは1.0μ
m以下、さらに好ましくは0.05〜0.7μmとな
る。即ち、生成ゲーサイトの1次粒子同士の凝集が防止
され、分散性に優れた針状型を呈したゲーサイト粒子で
ある。ここで、2次粒子の90%粒子径とは、上記の方
法により粒度分布を測定したときに小さい粒径から累積
頻度が90%となる粒径である。このようにして製造さ
れる針状ゲーサイト粒子は、磁気記録用磁性粒子粉末を
製造する際の出発原料として好適に用いることができ
る。
【0037】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0038】実施例1 水酸化ナトリウム590gをイオン交換水に溶かした
3.8リットルのアルカリ水溶液に窒素雰囲気下で、硫
酸第1鉄417gをイオン交換水に溶かした1.2リッ
トルの硫酸第1鉄水溶液を2分掛けて投入し、水酸化第
1鉄沈殿物を含む懸濁液5リットル(45℃)を調製し
た。上記懸濁液を(株)エバラ製作所製のマイルダーM
DN303V−BXを設けた外部循環ラインを設置した
内容積10リットルの反応器(図1)に容れ、毎分15
リットルの空気を吹き込みながら、かつ毎分2リットル
の懸濁液を循環(外部循環流量:2.5分/回)させ、
式(1)で示す剪断速度(φ)が44100s-1の剪断
力で分散させながら3時間、45℃で酸化反応を行い、
黄色の短冊型を呈するゲーサイト粒子を合成した。
【0039】生成ゲーサイトスラリーを粒度分布測定器
LA−500(堀場製作所製)で評価し、また水洗後透
過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。図2に示す
ように、LA−500で測定した2次粒子の粒度分布
は、非常にシャープで90%粒子径は0.70μmであ
り、良く分散されたゲーサイトであるのがわかる。な
お、TEM写真から300個の1次粒子の大きさを読み
とり、平均値を求めたところ、平均長軸径は0.215
μm、平均軸比10.5であった。TEM写真の一例を
図7に示した。
【0040】実施例2 炭酸ナトリウム453gと水酸化ナトリウム65gとを
イオン交換水に溶かした3.3リットルのアルカリ水溶
液に窒素雰囲気下で、硫酸第1鉄695gをイオン交換
水に溶かした1.7リットルの硫酸第1鉄水溶液を投入
し、第1鉄含有沈殿物を含む懸濁液5リットル(45
℃)を調製した。上記懸濁液に、毎分15リットルの窒
素ガスを吹き込みながら45℃で2時間保持し、熟成を
行った。熟成過程を経た上記懸濁液を(株)エバラ製作
所製のマイルダーMDN303V−BXを設けた外部循
環ラインを設置した内容積10リットルの反応器に容
れ、毎分15リットルの空気を吹き込みながら、かつ毎
分2リットルの懸濁液を循環(外部循環流量:2.5分
/回)させ、式(1)で示す剪断速度(φ)が4410
0s-1の剪断力で分散させながら酸化反応を45℃で3
時間行い、黄色の紡錘型を呈するゲーサイト粒子を合成
した。
【0041】生成ゲーサイトスラリーをLA−500で
評価し、また水洗後透過型電子顕微鏡により観察した。
図3に示すように、LA−500で測定した2次粒子の
粒度分布はシャープで、90%粒子径は0.94μmで
あり、良く分散されたゲーサイトであるのがわかる。な
お、TEM写真から300個の1次粒子の大きさを読み
とり、平均値を求めたところ、平均長軸径は0.169
μm、平均軸比8.0であった。TEM写真の一例を図
8に示した。
【0042】実施例3 実施例2と同様な方法で、第1鉄含有沈殿物を含む懸濁
液5リットルを調製した。上記懸濁液を(株)エバラ製
作所製のマイルダーMDN303V−BXを設けた外部
循環ラインを設置した内容積10リットルの反応器に容
れ、毎分15リットルの窒素ガスを吹き込みながら、か
つ毎分2リットルの懸濁液を循環(外部循環流量:2.
5分/回)させ、式(1)で示す剪断速度(φ)が44
100s-1の剪断力で分散させながら45℃で熟成を3
0分間行った。その後、懸濁液の循環流量と、剪断力を
上記と同一にし、吹き込みガスを窒素の代わりに空気に
切り替え、毎分15リットルの空気を45℃で3時間吹
き込み、黄色の紡錘型を呈するゲーサイト粒子を合成し
た。
【0043】生成ゲーサイトスラリーをLA−500で
評価し、また水洗後透過型電子顕微鏡により観察した。
図4に示すように、LA−500で測定した2次粒子の
粒度分布は非常にシャープで、90%粒子径は0.57
μmであり、良く分散されたゲーサイトであるのがわか
る。なお、TEM写真から300個の1次粒子の大きさ
を読みとり、平均値を求めたところ、平均長軸径は0.
175μm、軸比8.5であった。
【0044】比較例1 実施例2と同様な方法で、第1鉄含有沈殿物を含む懸濁
液5リットルを調製した。上記懸濁液を実施例2と同様
な方法で45℃で2時間熟成を行った後、図1のような
装置から外部循環ライン及び分散機を取り外した反応器
に上記懸濁液を容れ、毎分15リットルの空気を45℃
で3時間吹き込むことで酸化反応を行い、黄色の紡錘型
を呈するゲーサイトを合成した。
【0045】生成ゲーサイトスラリーをLA−500で
評価し、また水洗後透過型電子顕微鏡により観察した。
図5に示すように、LA−500で測定した2次粒子の
粒度分布は、実施例3より1オーダー大きいところに分
布しており、90%粒子径は4.53μmであるので、
1次粒子同士の凝集により分散性が非常に悪いのがわか
る。なお、TEM写真から300個の1次粒子の大きさ
を読みとり、平均値を求めたところ、平均長軸径は0.
188μm、軸比7.7であった。
【0046】比較例2 実施例2と同様な方法で、第1鉄含有沈殿物を含む懸濁
液5リットルを調製した。図1に示す装置から外部循環
ラインに設置した分散機を取り除き、単にポンプにより
外部循環ができるのみの反応器に上記懸濁液を容れ、毎
分2リットルの懸濁液を循環しながら、毎分15リット
ルの空気を45℃で3時間吹き込むことにより酸化反応
を行い、黄色の紡錘型を呈するゲーサイトを合成した。
【0047】生成ゲーサイトスラリーをLA−500で
評価し、また、水洗後透過型電子顕微鏡により観察し
た。図6に示すように、LA−500で測定した2次粒
子の粒度分布は二重分布を示しており、また、90%粒
子径は2.39μmであり、1次粒子同士の凝集によ
り、分散性が非常に悪いのがわかる。なお、TEM写真
から300個の1次粒子の大きさを読みとり、平均値を
求めたところ、平均長軸径は0.180μm、軸比7.
9であった。
【0048】
【発明の効果】本発明の製造方法により、針状型を呈す
るゲーサイト粒子を製造すれば、従来法に比べ1次粒子
同士の凝集を大幅に防ぐことができ、分散性に優れたゲ
ーサイト粒子を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に用いられる、分散機を経由す
る外部循環ラインを設けた反応器の模式図を示すもので
ある。
【図2】図2は、実施例1におけるLA−500による
粒度分布を示す図である。
【図3】図3は、実施例2におけるLA−500による
粒度分布を示す図である。
【図4】図4は、実施例3におけるLA−500による
粒度分布を示す図である。
【図5】図5は、比較例1におけるLA−500による
粒度分布を示す図である。
【図6】図6は、比較例2におけるLA−500による
粒度分布を示す図である。
【図7】図7は、実施例1で得られたゲーサイトの粒子
構造を示す写真である。
【図8】図8は、実施例2で得られたゲーサイトの粒子
構造を示す写真である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程を少なくとも有することを特
    徴とする針状ゲーサイト粒子の製造方法。 a)第1鉄塩とアルカリとを水中で反応させて第1鉄含
    有沈殿物を含む懸濁液を得る工程、および b)分散機を経由する外部循環ラインを設けた反応器を
    用いて、該懸濁液の一部を外部循環させながら分散させ
    つつ、反応器中または外部循環ライン中の懸濁液に酸素
    含有ガスを供給して酸化反応を行う工程
  2. 【請求項2】 a)工程で得られた懸濁液をさらに熟成
    させてから、b)工程を行うことを特徴とする請求項1
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 熟成が分散機を経由する外部循環ライン
    を設けた反応器内で懸濁液の一部を外部循環させながら
    分散させつつ行われる請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 分散機が高剪断力を有する請求項1〜3
    のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 第1鉄塩が硫酸第1鉄、塩酸第1鉄、硝
    酸第1鉄、および酢酸第1鉄からなる群より選ばれる1
    種以上であり、アルカリが水酸化アルカリおよび炭酸ア
    ルカリからなる群より選ばれる1種以上である請求項1
    〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 アルカリとして水酸化アルカリおよび炭
    酸アルカリを用いることを特徴とする請求項5記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 針状ゲーサイトの2次粒子の90%粒子
    径が2.0μm以下である請求項1〜6のいずれかに記
    載の方法。
JP6126895A 1994-05-16 1994-05-16 針状ゲーサイト粒子の製造方法 Pending JPH07309627A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6126895A JPH07309627A (ja) 1994-05-16 1994-05-16 針状ゲーサイト粒子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6126895A JPH07309627A (ja) 1994-05-16 1994-05-16 針状ゲーサイト粒子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07309627A true JPH07309627A (ja) 1995-11-28

Family

ID=14946536

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6126895A Pending JPH07309627A (ja) 1994-05-16 1994-05-16 針状ゲーサイト粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07309627A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004210633A (ja) * 2002-12-20 2004-07-29 Jfe Chemical Corp 酸化鉄およびその製造方法
JP2006137640A (ja) * 2004-11-12 2006-06-01 Dowa Mining Co Ltd 非磁性粉末およびそれを用いた重層塗布型磁気記録媒体
JP2017527666A (ja) * 2014-09-05 2017-09-21 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー 酸化鉄赤色顔料の製造

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004210633A (ja) * 2002-12-20 2004-07-29 Jfe Chemical Corp 酸化鉄およびその製造方法
JP2006137640A (ja) * 2004-11-12 2006-06-01 Dowa Mining Co Ltd 非磁性粉末およびそれを用いた重層塗布型磁気記録媒体
JP2017527666A (ja) * 2014-09-05 2017-09-21 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー 酸化鉄赤色顔料の製造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20110251054A1 (en) Method for preparing iron oxides
JP2006045655A (ja) 銀ナノ粒子とその製造方法
JP2007001809A (ja) オキシ水酸化コバルト粒子及びその製造方法
JPH07309627A (ja) 針状ゲーサイト粒子の製造方法
US20220234910A1 (en) Cobalt ferrite particle production method and cobalt ferrite particles produced thereby
JP2005104771A (ja) オキシ水酸化コバルト粒子及びその製造方法
EP0726878B1 (en) Process for making goethite
US20220194813A1 (en) Method for producing cobalt ferrite particles and cobalt ferrite particles produced by same
JP2569580B2 (ja) 針状ゲ−タイトの製造法
JP3087777B2 (ja) 針状ゲータイト粒子粉末の製造法
JP2001114514A (ja) 分散性に優れた紡錘状炭酸カルシウムの製造法
JPS5832028A (ja) ゲ−サイトの製造法
JP3087780B2 (ja) 針状ゲータイト粒子粉末の製造法
JPS61106420A (ja) 針状ゲ−サイトの製法
JPH03195779A (ja) 黄色含水酸化鉄顔料およびその製造方法
JP3395811B2 (ja) 偏平状マグネタイト微粒子粉末の製造法
KR930004508B1 (ko) γ-FeOOH 분말의 제조방법
JPS6364923A (ja) ゲ−サイトの製造法
JPH10182162A (ja) 紡錘状ゲーサイトの製造方法
JPH05238730A (ja) 粒径0.0001〜0.001mmの紡錘状あるいは 球状炭酸カルシウムの製造方法
JPH05170451A (ja) オキシ水酸化鉄の製造方法
JPS60127245A (ja) 微細粒状のα−オキシ水酸化鉄の製造法
JPS6081029A (ja) ゲ−タイトの製造方法
JPH0616426A (ja) 紡錘状を呈したゲータイト粒子粉末の製造法
JPS62128929A (ja) ゲ−サイトの製造法