JPH07306202A - 細胞核dnaの損傷検出方法 - Google Patents

細胞核dnaの損傷検出方法

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JPH07306202A
JPH07306202A JP9484593A JP9484593A JPH07306202A JP H07306202 A JPH07306202 A JP H07306202A JP 9484593 A JP9484593 A JP 9484593A JP 9484593 A JP9484593 A JP 9484593A JP H07306202 A JPH07306202 A JP H07306202A
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dna
antibody
tissue
stranded dna
preparation
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Masaru Fukuda
優 福田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 病理組織標品を酸処理して、この病理組織中
の損傷DNAを選択的に加水分解して単鎖DNAを生成
させ、この病理組織標品を抗単鎖DNAに対する抗体で
処理し、この抗体の有無を形態学的に観察することを特
徴とする細胞核DNAの損傷検出方法。抗体を予め標識
するか、又は標識第2抗体を使用することにより、この
抗体の結合を判定できる。 【効果】 特殊な設備を要せず容易に、かつ通常の病理
染色用に固定した標品上においても偽陽性を生じること
なく単鎖DNAを容易に検出して、細胞核DNAの損傷
を検出できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細胞核DNAの損傷検
出方法に関するものである。詳しくは、癌化などに伴う
細胞核DNAの質的変化を検知するものであって、癌細
胞のスクリーニングや癌の病理診断に用いたり、化学的
発癌物質の確認試験に使用したりすることができる。
【0002】
【従来の技術】老化や癌化によって細胞核DNAが量的
に変化することは周知であり、その検出方法も、既に確
立されている。しかし、細胞核DNAがこのような明確
な量的変化を起こす前にも、以下のような質的変化を起
こすことが分かっている。例えば、 1)DNA塩基のアルキル化による微小なひずみ、 2)DNA塩基の水和や脱落による小さいひずみ、 3)分子量の大きい化学物質がDNAに共有結合で働き
(付加物)、DNA塩基配列の間に挿入される大きなひ
ずみ、 4)2つの塩基が結合してできる2本鎖DNA2量体の
形成や、2本鎖DNA同士の交叉結合或いはDNA鎖と
タンパク質との交叉結合によってDNA一本鎖部分に生
じた切断、及び、 5)二本の鎖の切断などの細胞DNAの損傷、 などが知られている。
【0003】かかる細胞核DNAの損傷の検出方法の開
発が当然のことながら強く望まれ、種々の方法が提案さ
れている。例えば、細胞核内で損傷DNAが自己修復さ
れるDNA修復現象を利用して、放射性同位元素で標識
したヌクレオチドを修復DNA中に取り込ませこれを検
出する方法が知られている。しかし、この方法は、放射
性同位元素を使用するため特殊な設備が必要となった
り、その処理量にも限界があるといった問題がある。
【0004】本発明者が特開昭62−8053号におい
て提案した方法は、細胞検体を液中に浮遊状態のまま、
又は適当な方法でプレパラート上に付着せしめた塗抹標
本状態で固定した被検組織から、単鎖DNAを調製し、
アクリジン色素による染色性によって判別する方法であ
る。この方法は、損傷のある核内DNAが適当な条件下
で酸処理することにより選択的に加水分解してDNA単
鎖を生成するという知見に基づき、アクリジン色素がD
NA二重鎖とインターカレーション形式で結合した場合
には緑色蛍光を発するのに対し、DNA単鎖はアクリジ
ン色素とスタック結合して赤色螢光を発することを利用
したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】通常、病理診断用に調
製される組織標品は、ホルマリンで固定した標品であ
る。このホルマリン固定の際にも、DNA鎖は小さな損
傷を受けることがあり、部分的に鎖がほどけたDNA鎖
が生じる。特開昭62−8053号で提案されている方
法では、このように部分的に単鎖となったDNA鎖の単
鎖部分にもアクリジン色素とのスタック結合が生じるこ
とになる。このため、病理診断用に調製されたホルマリ
ン固定標品では偽陽性が生じるという問題が新たに生
じ、被検体は新鮮組織を摩砕して調製した塗抹標本を用
いなければならなかった。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みなされたも
のであり、特殊な設備を要せず容易に、かつ通常の病理
染色用にホルマリン固定した標品上においても偽陽性を
生じることなく単鎖DNAを容易に検出できる細胞核D
NAの損傷検出方法を提供することを目的とする。
【0007】
【問題を解決するための手段およびその作用効果】この
ような本発明の目的は、病理組織標品を酸処理して、こ
の病理組織中の損傷DNAを選択的に加水分解して単鎖
DNAを生成させ、この病理組織標品を単鎖DNAに対
する抗体で処理し、この抗体結合の有無を形態学的に観
察することを特徴とする細胞核DNAの損傷検出方法、
により達成される。
【0008】すなわち本発明は、DNAの加水分解の動
態はその存在様式(即ち、核蛋白との関係やDNA分子
の傷害の有無等)によって微妙に影響され、細胞核DN
Aを酸を用いて加水分解した場合に、正常な細胞核DN
Aと損傷のある細胞核DNAとで加水分解に対する挙動
が異なり、適当な条件を選べば損傷のある細胞核DNA
を選択的に加水分解してDNAの二重鎖を単鎖にするこ
とができることに着目して、この単鎖になった細胞核D
NAを抗単鎖DNA抗体で免疫化学的に検出するもので
ある。
【0009】抗単鎖DNA抗体は抗原として認識できる
程度に大きな構造として分離したDNA単鎖とのみ結合
するものであり、ホルマリン固定処理などによる小さな
損傷による部分的単鎖部分(これは、分子スケールでは
抗原決定基として機能しない程度の大きさである)とは
結合しない。このため、組織標本作製時の操作に起因す
る損傷による偽陽性が生じることがない。
【0010】従って、本発明では、通常のホルマリン固
定パラフィン切片とした病理組織標品を検体として使用
することができる。ただし、本発明の検体はこれに限ら
れず、組織細胞を液中に浮遊させた細胞懸濁液、又は適
当な方法でプレパラート上に付着せしめた塗抹細胞標品
なども検体として使用できる。
【0011】検体は(通常のホルマリン固定パラフィン
切片とした病理組織標品の場合は、リン酸緩衝液でこれ
をリンスした後)、損傷DNAを選択的に加水分解する
ような緩やかな条件下に酸を用いて加水分解する。かか
る加水分解条件は当業者であればあらかじめ予備実験に
よって容易に定めることができる。一般的に述べれば、
例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸などの酸を
希薄状態で使用し(例えば塩酸の場合には1〜5N塩酸
の使用が適当である)、温度40℃以下で5〜120分
間、好ましくは20〜35℃で15〜30分間程度の範
囲内で加水分解することにより、損傷のある細胞核DN
Aを優先的に加水分解させることができる。好ましくは
切片試料については2N塩酸で30℃で20分間、懸濁
(塗抹)試料については2N塩酸で30℃で8.5分間
の加水分解を行う。
【0012】生成物である単鎖DNAを抗単鎖DNA抗
体で処理し、鏡検により組織標本中の抗体結合の有無、
その分布を観察することにより、腫瘍細胞の検出を行な
うことができる。この際、ローダミンやテキサスレッド
などの色素やFITCなどの螢光色素で標識した抗体を
用いれば、形態学的観察は容易となる。或いは、ペルオ
キシダーゼやアルカリホスファターゼなどの酵素やビオ
チンなどで標識した抗体を用い、抗体処理後にその酵素
反応を利用した特殊染色を行なってもよい。又、このよ
うな標識抗単鎖DNA抗体を使用しない場合には、抗単
鎖DNA抗体処理後に標識2次抗体(抗IgG抗体)で
処理して染色する免疫組織化学的染色処理により観察を
行なってもよい。形態学的観察を容易にするため、ヘマ
トキシリンやケルンエヒトロートなどを用いて、核染色
を行ってもよい。この核染色は、抗単鎖DNA抗体処理
の前でも後でもよい。
【0013】抗単鎖DNA抗体は、二重鎖DNAとの交
差反応を示さないものであればよく、常法により単鎖D
NAを動物に免疫して得られる抗血清を使用することが
できる。モノルローナル抗体を使用してもよい。或いは
抗シチジン抗体などのデオキシリボヌクレオチドに対す
る抗体を使用してもよい。
【0014】このように本発明に従えば、単に希酸を用
いる緩やかな加水分解と、標識抗単鎖DNA抗体との結
合によって、病理診断のために常時調製される通常のホ
ルマリン固定パラフィン切片標品を用いても、偽陽性を
生じる問題もなく損傷DNAを正常DNAから識別する
ことができ、腫瘍細胞の検出を行うことが可能となる。
【0015】なおDNAの酸加水分解の前には、試料を
予めリボヌクレオチダーゼ(RNase)で処理し、試料中
のRNAを分解・消化しておくことが好ましい。これに
より抗単鎖DNA抗体がRNAと結合して偽陽性染色を
生じることを防止できる。
【0016】
【実施例1】ウシ血清アルブミン(bovine serum albumi
n; BSA) をメチルアルコールにて1%(w/v) 濃度となる
ように溶解し、これに12規定塩酸を0.84%(v/v) になる
ように添加した。この懸濁液を、時々撹拌しながら3日
間以上冷暗所に放置する。次いでメチルアルコールにて
2度、さらに無水エーテルで2度遠心洗浄を行う。得ら
れた沈渣について、大気中でエーテルを蒸発させた後、
真空にてKOH上で乾燥し、粉末状にしてKOH上で保
存した。得られたメチル化BSA(MBSA)をハプテ
ン担体として抗原の修飾に用いた。
【0017】抗原としては、ウシ胸腺DNAを0.15モル
のNaClに500 μg/mlの濃度に溶かし、これを沸湯中(10
0 ℃)にて10分間保持した後、氷水中で急冷する。この
ようにして得られた単鎖DNA(single-stranded DN
A;ssDNA) 水溶液と1%MBSA水溶液を撹拌しな
がら、最終重量比が1になるまで加えた。得られた単鎖
DNA−MBSA結合物の懸濁液を、等量のフロインド
の完全アジュバントと混合して乳状化し、免疫に使用し
た。
【0018】抗血清の作製に際しては、0.24mgDNA/mlの
濃度の乳状化した単鎖DNA(抗原)を、ウサギの足蹠
部および後大腿部筋肉内に、毎週1回3週間投与した。
投与後1週間ほどで採血して血清を得、これを抗ssDN
A血清とした。
【0019】常法に従ってホルマリン固定、パラフィン
抱埋された子宮頸部癌組織および同じ子宮頸部の組織切
片を、脱パラフィンした後、RNase Aにて30分、2規
定塩酸にて30分間処理し、次いでウサギ抗ssDNA血清
を4℃にて12時間反応させた。リン酸緩衝液(PBS)
にて洗浄後、ビオチン化抗ウサギIgG抗体(2次抗
体)を37℃にて1時間反応させ、同様にPBSにて洗浄
後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを反応さ
せた。さらにPBSにて洗浄後、DAB発色液(0.01%
3,3'-ジアミノベンジジン−50mMトリス塩酸(pH7.
6))にて発色させて、顕微鏡下で観察した。
【0020】図1に示した如く腫瘍部(図中上半部)で
は、塩酸処理によってDNAが単鎖化され、これに対す
るウサギIgG(抗ssDNA)が結合して、さらにその
ウサギIgGに対するビオチン化抗ウサギIgGとアビ
ジンとの結合が観察された。この図は癌細胞が密集した
子宮頸部組織の写真図であり、癌細胞核(図中上半部)
のみが、特異的かつ選択的に茶褐色に染色されていた。
図中下半部は、正常な粘膜下組織であり、抗単鎖DNA
抗体陰性であった。一方、同一患者の子宮頸部正常組織
についても実施例と同様に処理した、図2の鏡検写真図
に示すように、正常組織には茶褐色に染色される核は認
められなかった。
【0021】
【実施例2】図3は実施例1と同様に処理した前立腺癌
組織の鏡検像である。図面中央上半部の空腔部分の周囲
及びその下方では、比較的核が大きく茶褐色に染色され
ている細胞が密集した部分が存在していた。この部分は
周囲の細胞に比べ比較的核が大きいことから癌組織と認
められる。このように、抗ssDNA抗体による染色によ
り正常細胞と癌組織とを判別できることが確認できた。
【0022】
【実施例3】モノクローナルの抗単鎖DNA抗体を調製
して、これによる細胞核DNAの免疫組織化学的染色を
行った。モノクローナル抗単鎖DNA抗体は以下のよう
に調製した。
【0023】実施例1と同様にして得られた単鎖DNA
−MBSA懸濁液を、等量のフロインド完全アジュバン
トで乳状化し、50μg 単鎖DNA/200 μL の乳液を調
製した。これを200 μL 、Balb/Cマウス(8 weeks-fema
le) の腹腔内に投与して1次免疫(1st prime)とした。
追加免疫(immuno-booster) は単鎖DNA−MBSA懸
濁液(100 μg 単鎖DNA/200 μL )を2週間ごとに
2回、腹腔内投与で行った。
【0024】最終免疫の4日後に、免疫マウスの脾臓を
取り出し、この脾臓細胞とマウス・ミエローマ細胞(SP
-2、Sp-2/O-Ag14)とを、ポリエチレングリコールを用い
る常法に従って細胞融合させた。培養上清中に抗ssDN
A活性の認められるクローンを、ELISA法により選
別し、限界希釈法を3回繰り返すことにより、モノクロ
ーン性を確立した。
【0025】得られた抗体産生細胞を生理食塩水(Salin
e)にて1×107 cells/mLに調製し、この細胞浮遊液をBa
lb/Cマウス(15 weeks; female)腹腔内に投与した。マ
ウスは予めプリスタン(Pristane; 2,6,10,14-Tetramet
hylpentadecane, 和光純薬)0.5 mLを7日間おきに2回
腹腔内投与したものを用い、2回目の投与後4日目に、
前述のように抗体産生細胞浮遊液を投与した。
【0026】投与後7日目に、マウス腹腔内で生産され
た抗体含有腹水を集め、遠心により細胞を除去した後、
硫酸アンモニウム沈澱法によりIgG分画を集め、さら
にプロテインA−セファロース・アフィニティ・クロマ
トグラフィにより抗体の精製を行った。こうして得られ
たモノクローナル抗体を用いて、以下の染色を行った。
【0027】染色に際しては、外科切除組織、バイオプ
シー(生検)で採取された組織、あるいは剖検で採取さ
れた組織を10%ホルマリン緩衝液に一晩から二晩浸し
て固定し、エタノール、さらにキシレンをそれぞれ約2
4時間かけて通して脱水した。これを60℃に暖めたパ
ラフィンに2時間ほど浸してから型に組織を載せパラフ
ィンで包埋し、パラフィン包埋ブロックとした。パラフ
ィン包埋ブロックは、ミクロトームで薄切して組織切片
とし、スライドグラスに載せた。この組織切片をキシレ
ンの入った4つの槽に4分間づつ浸して脱パラフィンし
た。続けてエタノールの入った4つの槽に4分間づつ浸
し、さらにPBSの入った槽にてPBSに馴染ませた。
【0028】次に、スライドグラス上の組織切片にRN
ase (Ribonucleotidase A, Type-AS, Bovine pancreas,
Sigma, USA )溶液(0.1mg/mL in PBS )を重層し、3
7℃インキュベータ中で30分間反応させて、抗ssDN
A抗体が認識し得る単鎖状態で存在するRNAを分解除
去した。反応後、PBSの入った槽で5分間づつ3回洗
浄した。この組織切片を載せたスライドグラスを、予め
30℃に暖めておいた2N塩酸に浸して、30℃インキ
ュベータ中で20分間、加水分解を行った。反応後速や
かにPBSの入った槽で5分間づつ4回洗浄し、次いで
1%スキムミルク−PBSを重層して10分間反応(ブ
ロッキング)した。
【0029】反応液を除去した後、抗単鎖DNAモノク
ローナル抗体を0.1%スキムミルク−PBSにて50
倍希釈して重層し、4℃にて一晩反応させた。反応後速
やかにPBSの入った槽で5分間づつ3回洗浄し、さら
にImmu-Mark ユニバーサルキット(ICN,ImmunoBiol
ogicals )のビオチン標識抗マウスIgG抗体を2時
間、次いでImmu-Mark ユニバーサルキットのペルオキシ
ダーゼ標識ストレプトアビジンを1時間、それぞれ標本
に重層し、37℃のインキュベータ中で反応させた。反
応後、PBSの入った槽で5分間づつ3回洗浄し、以下
の組成のDAB−cobalt液の入った槽に5分間浸してか
ら、さらに10μL の3%H22 を加えて15〜30分
発色させた(DAB−cobalt発色)。
【0030】
【表1】 DAB−cobalt液 ─────────────────────────── DAB( 3,3'-diaminobenzidine・5HCl・2H2O ) 50 mg 0.05 M Tris-HCl 緩衝液, pH 7.6 100 mL CoCl2・6H2O (1 %水溶液) 2 mL ───────────────────────────
【0031】次いで、これを流水で水洗し、ケルンエヒ
トロート染色液に30秒間浸し、流水にて十分に水洗し
て組織形態を観察し易くした後に、透過型顕微鏡ににて
観察した。
【0032】図4に示した如く写真図全領域に広がる腫
瘍部は、塩酸処理によってDNAが単鎖化され、これに
対する抗ssDNAモノクローナル抗体が結合して、さら
にそのマウスIgGに対するビオチン化抗マウスIgG
とアビジンとの結合が、特異的に褐色に染色される。こ
の図は癌細胞が密集した大腸癌組織の写真図であり、ほ
ぼすべての細胞が癌細胞であり、すべての核が、特異的
かつ選択的に茶褐色に染色されていた。
【0033】図5に示した組織は、同一条件で染色した
同一患者の大腸正常組織であり、図4に認められる茶褐
色に染色される核は認められなかった。このように、抗
ssDNAモノクローナル抗体による染色によっても正常
細胞と癌組織とが判別できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により処理した子宮頸部組織(子
宮頸部粘膜上皮内癌)の鏡検写真図である(実施例
1)。図中上半部では、細胞核が濃く染色され抗単鎖D
NA抗体陽性の腫瘍組織であることを示している。図中
下半部は、抗単鎖DNA抗体陰性であり、正常な粘膜下
組織であることを示している。
【図2】図1と同じ患者の正常子宮頸部組織を本発明の
方法で同様に処理した結果の鏡検写真図である(実施例
1)。その視野は図1に対応する。図中中央に広がる粘
膜上皮には抗単鎖DNA抗体による染色は認められな
い。
【図3】同様に処理した前立腺癌組織の鏡検像である
(実施例2)。図面中央上半部の空腔部分の周囲及びそ
の下方に存在する、比較的核が大きく茶褐色に染色され
ている細胞が密集した部分が癌組織である。
【図4】本発明の方法により、マウス・モノクローナル
抗ssDNA抗体で処理し、ケルンエヒトロート核染色と
DAB−cobalt発色を行った大腸癌組織の鏡検写真図で
ある(実施例3)。視野全体が大腸癌の腺管組織であ
り、腺管を形成している癌組織の細胞核は、すべてDA
B−cobalt発色陽性を示し、茶褐色に発色した部位が腫
瘍組織であることを示している。
【図5】図4と同じ患者の正常大腸粘膜組織を本発明の
方法で同様に処理した結果の鏡検写真図である(実施例
3)。視野全体が大腸癌の腺管組織であるが、図中に広
がる粘膜上皮細胞には図4に認められるような抗単鎖D
NA抗体により茶褐色に染色される細胞核は認められな
い。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 病理組織標品を酸処理して、この病理組
    織中の損傷DNAを選択的に加水分解して単鎖DNAを
    生成させ、この病理組織標品を単鎖DNAに対する抗体
    で処理し、この抗体結合の有無を形態学的に観察するこ
    とを特徴とする細胞核DNAの損傷検出方法。
  2. 【請求項2】 前記抗体結合の有無を、2次抗体を使用
    して免疫組織化学的染色処理により観察することを特徴
    とする請求項1記載の細胞核DNAの損傷検出方法。
  3. 【請求項3】 前記酸処理の前に、病理組織標品を予め
    リボヌクレアーゼ処理しておくことを特徴とする請求項
    1または2記載の細胞核DNAの損傷検出方法。
  4. 【請求項4】 前記病理組織標品を単鎖DNAに対する
    抗体で処理する前後に、核染色を行うことを特徴とする
    請求項1〜3記載の細胞核DNAの損傷検出方法。
  5. 【請求項5】 前記抗体はモノクローナル抗体であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4記載の細胞核DNAの損傷
    検出方法。
JP9484593A 1992-04-01 1993-03-31 細胞核dnaの損傷検出方法 Withdrawn JPH07306202A (ja)

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