【発明の詳細な説明】
標識として用いる酵素の反応生成物に向けられた
抗体を使用する免疫学的検定
ここに記述される発明は、米国エネルギー省からの認可番号DE FG02−
88ER60742号により援助された研究の過程を通して成された。米国政府
は、本発明における一定の権利を有する。本出願は、1995年3月14日に提
出された米国特許出願第08/403,649号の一部継続出願である。
〔発明の背景〕
標識された抗体は、通常、ELISAのような免疫学的検定において使用され
たり、免疫組織化学において使用されたり、またウエスタンブロットにおける酵
素標識抗体の使用のように、ゲル電気泳動後の細胞構成要素の同定のために使用
されたりする。最も普通の方法は、ペルオキシダーゼで標識した特異的抗体を用
いて抗原を検出するもの、または初めに非標識特異的抗体を用い、続いてペルオ
キシダーゼ標識抗抗体を用いて抗原を検出する方法である。例えば、3,3’−
ジアミノベンジジンなどの基質を添加すれば、着色されたシグナルが得られる。
免疫組織化学的実験およびウエスタンブロット実験において、該着色生成物は該
抗原の位置に沈着する。該抗原が低レベルで存在する場合、不確実で誤ったネガ
ティブな結果が含まれる可能性がある。従って、顕著なバックグラウンド「ノイ
ズ」を伴うことなく、該シグナルを増幅する方法が、探求されている。
従来の免疫学的検定では、標識酵素としてのペルオキシダーゼ(セイヨウワサ
ビペルオキシダーゼの形が多い)を、抗体を検出する基質としてのクロモゲン−
過酸化水素混合物と組み合わせて使用する。更に、通常のELISAまたはEI
Aの変法は、スターンバーガー(Sternberger,L.A.,(1986)Immunocyt ochemistry :Third edition
,(Wiley and Sons))並びにポラックおよびヴァ
ン・ノールデン(Polak,J.K.and Von Noorden,S.,(1983)Immunocytoche mistry:Practical Applications in Pathologyand biology
,Wright,pp214-2
15)により公表されている。ここでは、問題となる
分子に結合したペルオキシダーゼ標識抗体を検出するために、ペルオキシダーゼ
に対する抗体が使用される。この方法は、ELISAの特異性および感度を増加
させる。
スターンバーガー(1986)は、3,3’−ジアミノベンジジンが、その高
い感度と高い不溶解性のために、好ましいクロモゲンであるが、その一方で、発
癌性を有し、試料を突然変異させるということを明らかにした。更に、マッキン
ブレスキン(McKimmBreschkin,J.L.,(1990)J.Immunol.Methods,Vol.1
35,p277-280)は、好ましい代替物は3,3’,5,5’−テトラメチルベンジ
ジン(TMB)であり、この化合物は同様な性質を有する非変異原性化合物であ
るが、試薬瓶中で過酸化水素と混合したときに時期尚早に発色しながら分解する
ことを開示している。他の研究者等は、バシトラシン、ペニシリンおよびN−メ
チルピロリジンを用いて該混合物を安定化することにより、この時期尚早な反応
を克服出来ることを開示している。米国特許第5,206,150号(Tai等)、
米国特許第4,891,314号(Pauly等)、および米国特許第4,596,770
号(Parham等)を参照されたい。これら特許の内容は、この参照文献によって本
願明細書中に組み込まれる。
最も広く使用されている増幅方法は、ペルオキシダーゼ標識抗ペルオキシダー
ゼ抗体を使用した方法であり、これは「PAP」増幅と呼ばれる。スターンバー
ガー(Sternberger,L.A,et al.(1970)J.Histochem.Cytochem.,Vol.18,p3
15-333)の報告を参照されたい。スターンバーガー(1970)は、該PAP法による
可能な最大増幅は、約12倍であることを開示した。更なる増幅は、立体干渉に
より妨害される。
しかしながら、PAP増幅とは異なり、本件における発明は、指数関数的な増
幅の可能性を提供する。これは、標識−基質反応の生成物に対して特異的な抗体
を使用することにより達成される。酵素は基質分子を生成物へと連続的に「変換
」させるので、一つの酵素分子により生成した複数の生成物分子との反応は、P
AP増幅や他の公知の技術で見られる増幅をはるかに越えて、該シグナルの著し
い増幅を導く。
この方法による感度の増強により、本発明は、低レベルでの検出と、全ての型
の免疫組織化学的検出における誤ったネガティブな結果の発生を減少を提供する
。本発明は更に、用いる抗体が供給不足であったり、ひどく高価な抗体であった
りするときに、標的となる抗原に対する抗体の使用を少量にすることを可能とす
る。本発明は更に、核酸のPCR検出に対する代替法を提供する。これらの使用
およびそれ以外の使用は、以下で更に十分に説明する。この説明に基づいて、当
業者に明白であるような本発明の更なる使用は、本発明の範囲に含まれるもので
ある。
〔発明の概要〕
本発明は、標識された物質と基質との間の反応生成物に対して特異的に結合す
る抗体を提供する。
本発明はまた、試料中における問題の抗原を検出する方法であって:(a)該
抗原を含有することが疑われる試料を、適切な条件下において、該抗原に特異的
に結合する第一の標識抗体と接触させ、該抗原に結合している第一の標識抗体を
含んでなる複合体を形成することと;(b)形成された複合体中に結合していな
い何れの標識抗体をも除去することと;(c)上記(b)で生じた複合体と基質
とを適切な条件下で接触させて、(b)の複合体に含まれる第一の標識抗体の標
識物質と前記基質との間の反応生成物を生成させることと;(d)上記(c)で
生成した生成物とこれと特異的に結合する第二の標識抗体とを適切な条件下で接
触させて、該第二の標識抗体を該生成物に結合することと;(e)上記(d)に
おける該生成物に結合していない第二の標識抗体を何れも除去することと;(f
)結合している第二の標識抗体を検出することによって、目的とする抗原を検出
こととを具備してなる方法を提供する。
ステップ(b)で得た該複合体としての前サイクルの生成物を使用しながら、
生成物(c)から(f)のステップを繰り返すことにより、本方法における感度
を更に増強することが出来ることに注目すべきである。該サイクルは、理論的に
は無限に何度も繰り返すことが可能であるが、その増強は各サイクルで指数関数
的に強くなることから、抗原の十分な検出のためには、ほんの数サイクルが必要
とされるにすぎないと思われる。
加えて、本発明では、次のような別方法をも考慮していること留意すべきであ
る。この方法では、該第一の抗体は標識されていないが、次のステップ(b)に
おいて該第一の(非標識)抗体は標識された抗動物種(anti-species)抗体(第一
の抗体に特異的に結合する)と適切な条件下で接触されて、前記抗原に結合して
いる該第一の抗体と結合して成る複合体を形成する。次に、該複合体に結合して
いない標識抗動物種抗体の何れをも除去し、該複合体を、上記のステップ(b)
の複合体と同様な方法で処理する。
本発明はまた、試料中における問題のアミノ酸配列を含有するタンパク質を検
出する方法であって;(a)問題のアミノ酸配列を含有するタンパク質が含まれ
ることが疑われる試料を、適切な条件下において、該アミノ酸配列に特異的に結
合する第一の標識抗体を含んでなる複合体を形成することと;(b)上記(a)
のステップで形成された複合体中に、結合していない何れの標識抗体をも除去す
ることと;(c)上記(b)で生じた複合体と基質とを、適切な条件下で接触さ
せて、(b)の複合体に含まれる第一の標識抗体の標識物質と前記基質との間の
反応生成物を生成させることと;(d)上記(c)で生成した生成物とこれと特
異的に結合する第二の標識抗体とを、適切な条件で接触させて、該第二の標識抗
体を該生成物に結合することと;(e)上記(d)における生成物に結合してい
ない第二の標識抗体を何れも除去することと;(f)結合している第二の標識抗
体を検出することによって、前記問題のタンパク質を検出することとを具備して
なる方法を提供する。
本発明は更に、基質と標識物質との間の反応生成物に対する抗体を作成するた
めに使用される免疫原の製造方法であって:(a)標識した物質と基質とを適切
な条件下において結合させ、該標識物質と該基質の間の反応を引き起こすことと
;(b)ステップ(a)の反応を、該反応の中間体が形成される時点で停止させ
ることと;(c)該中間体を単離することと;(d)該中間体と担体分子とを、
適切な条件下において結合させ、該中間体を該担体分子に結合させることによっ
て、前記免疫原を作成することとを具備してなる方法を提供する。本発明は更に
、この方法により作成した免疫原を提供する。
本発明は、基質と標識物質との間の反応生成物と特異的に結合する抗体を製造
する方法であって、該免疫原を用いて動物を免役感作することと、該動物が産生
した該抗体を回収することとを具備する方法を提供する。
本発明は、基質と標識物質との間の反応生成物に対するモノクローナル抗体を
製造する方法であって、本発明の免疫原を用いてマウスを免役感作することと、
該抗体産生リンパ球を該マウスの脾臓から抽出することと、該リンパ球を不死細
胞株に融合させてハイブリドーマ細胞を形成させることと、前記抗体を産生する
ハイブリドーマ細胞を選択することと、該ハイブリドーマ細胞から前記抗体を得
ることとを具備する方法を提供する。
最後に、本発明は、試料中に存在する核酸配列から成る核酸分子を検出する方
法であって、(a)問題となる該核酸配列を含有する核酸分子が含まれることが
疑われる試料を、適切な条件下において、標識プローブ(問題となる該核酸配列
に対して相補的である核酸配列を有する核酸分子より成る)と接触させ、試料中
の問題となる核酸配列を含有する核酸分子の何れかと結合した前記標識プローブ
を含む複合体を形成することと;(b)上記(a)の複合体中に結合していない
何れの標識プローブをも除去することと;(c)上記(b)で得た複合体を、適
切な条件下において基質と接触させ、該基質と、上記(b)で得た複合体に結合
している該標識プローブの該標識物質との間の反応生成物を生成させることと;
(d)上記(c)で生成された生成物を、適切な条件下において、該生成物に対
して特異的に結合する標識抗体に接触させて、該抗体を該生成物に結合させるこ
とと;(e)該標識抗体を検出することによって、前記問題の抗原を検出するこ
ととを具備してなる方法を提供する。
〔図面の簡単な説明〕
図1A−1D: ニトロセルロースの点ブロットは、500ng、100ng
、20ng、4ng(左から右へ)の量でニトロセルロース膜に適用された、シ
クロスポリンA−4−ベンゾイル二安息香酸−BSA結合体(CsA−BBA−
BSA)の検出を示している。図1Aは、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG
抗体および3,3’−ジアミノベンジジンによるCsA−BBA−BSA結合体
の検出を示している。図1Bは、PAP増幅技術によって1Aを増幅した方法に
よる検出を示す。図1Cおよび1Dは、精製した抗体(図1C)および非精製血
清
(図1D)を用いて本発明で権利請求している増幅技術を使用した1Aの検出方
法を示している。
図2Aおよび2B: SDS−ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動させたマ
ウスイムノグロブリンGタンパク質のウエスタンブロット。標準的なペルオキシ
ダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体および3,3’−ジアミノベンジジン(図2
A)を使用した展開像と、本発明で権利請求している増幅技術を使用した展開像
(図2B)。
図3Aおよび3B: 点ブロットによるDNA分子の検出。標準的なペルオキ
シダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体および3,3’−ジアミノベンジジン(図
3A)を使用した展開像と、本発明で権利請求している増幅技術を使用した展開
像(図3B)。
〔詳細な説明〕
本発明は、ラベル用物質と基質との反応生成物を特異的に結合する抗体を提供
する。
本明細書において「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体とモノクローナ
ル抗体の両者を意味する。さらに、本用語は、モノクローナル抗体の抗原結合断
片のみならずモノクローナル抗体全体をも含む。このような断片の例は、通常の
技術を有する当業者に周知であり、Fab、Fab’またはF(ab’)2抗体
断片と称されている。1つの好適な実施態様において、前記モノクローナル抗体
断片は、Fab’断片である。他の好適な実施態様において、前記モノクローナ
ル抗体断片は、F(ab’)2断片である。抗体断片を作成する方法も通常の技
術を有する当業者には公知である。例としては、上記により開示されたFab’
モノクローナル抗体断片は、モノクローナル抗体のパパインによる消化によって
作成される。同様に、F(ab’)2断片は、モノクローナル抗体のペプシンに
よる消化によって作成される。
請求の範囲に記載した抗体(モノクローナルおよびポリクローナルの両者)の
作成法について、以下に詳述する。本発明のポリクローナル抗体は、未精製ポリ
クローナル抗血清または精製ポリクローナル抗体のいずれであってもよい。抗体
の精製法は、通常の技術を有する当業者周知であり、ヒドロキシアパタイト、ゲ
ル濾過、硫安/DEAE、カプリル酸/硫安、タンパクA粒子、抗原アフィニテ
ィーカラム、抗Igアフィニティーカラムを利用する技術が含まれるが、これら
に限定されない。これらの技術の使用法は、ハーローとレーン(Harlow & La
ne)の「抗体:実験室マニュアル(Antibodies:A Laboratory Manual)」(C
old Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY:1988)で議論
されており、その内容を参照文献として本明細書に含める。
本明細書において「ラベル用物質」とは、抗体やプローブのような問題の組成
物をラベルするために使用される物質であり、問題の組成物の検出を可能にする
全ての物質をいう。ラベル用物質の例は、通常の技術を有する当業者に周知であ
り、酵素、色素、蛍光マーカー、放射性同位体またはビオチンを含むが、これら
に限定されない。
本明細書において「基質」とは、ラベル用物質を解像するために使用される全
ての物質を指す。例えば、標準的免疫定量法においては、標的の検出は、基質と
の反応により確認されるラベル用物質の検出によってなされる。ここで用いられ
る「反応」は、検出可能な生成物を形成するために、ラベル用物質と基質を混合
するときに起こる。検出は、視覚的にも機器的にもなし得る。視覚的検出には、
通常、反応液を変色させる沈殿物またはその他の生成物の検出が含まれる。機器
的検出には、例えば、反応液の変色の検出のように、反応によって生じた何らか
の生成物を検出したり、熱放射、光または放射波のような他の「生成物」を検出
するものがあり得る。
それ故、本発明では、動物に投与し得る反応生成物を生じ、かつその動物に当
該生成物に対する抗体を産生せしめることができるのであれば、どのようなラベ
ル用物質および基質も使用できると考えられる。本発明の抗体は、生成物に特異
的に結合する抗体であり、それ故、アッセイ中のラベル用物質と基質との反応の
結果、アッセイ中に生成物が生じれば、その生成物を検出することができる。そ
れ故、上記の抗体は、標的に結合したラベル用物質とアッセイ中に添加された基
質との反応生成物を直接検出することで、ラベルされた標的を間接的に検出する
ため、通常のアッセイ技術を指数的に増幅することができる。本発明の抗体は、
ラベルと基質との反応の進行により、結合したラベルよりも数が多くなった生成
物の方を検出するのである。
本発明の好適な実施態様において、ラベル用物質は、酵素である。本発明を実
施するにあたって有用な酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼのようなペルオ
キシダーゼ、またはアルカリフォスファターゼおよびβ−ガラクトシダーゼのよ
うな他の酵素が含まれる。
ラベル用物質が酵素である場合、基質の好適な態様は、ベンジジンまたはベン
ジジン誘導体である。ベンジジン誘導体には、1以上のアルキル、アリル、アミ
ノ、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素置換基を有する被置換誘導体が含まれる。
例として、3,3’−ジアミノベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル
ベンジジンが含まれるが、これらに限定されない。本発明は、ベンジジンまたは
その誘導体を基質として用いる場合には、反応生成物の生成を増強するために、
コバルトまたはニッケルのような金属塩を添加することも想定している。本発明
を実施する際に有用な他の基質には、1以上のアルキル、アリル、アミノ、臭素
、塩素、フッ素またはヨウ素置換基を有する、カルバゾール複合体およびナフト
ール複合体の誘導体が含まれる。例として、3−アミノ−9−エチルカルバゾー
ルおよび4−クロロ−1−ナフトールが含まれるが、これらに限定されない。本
発明では、ニトロフェニルリン酸、ブロモクロロインドリルニトロブルー・テト
ラゾリウム、ナフトール−AS−BI−リン酸/新フクシンおよびブロモクロロ
インドリル−β−ガラクトピラノシドなどの、通常の技術を有する当業者に公知
の基質を用いることも想定している。アルカリフォスファターゼを酵素として使
用する場合、適切な基質の実例としては、ニトロブルー・テトラゾリウムクロラ
イド(正式名称:(2,2’−ジ−p−ニトロフェニル−5,5’−ジフェニル
−3,3’−[3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニレン])−ジテトラ
ゾリウムクロライド)がある。アルカリフォスファターゼとニトロブルーテトラ
ゾリウムクロライドの生成物は、フォルマザン(formazan)であり、我々は、こ
れに対する抗体を作成した。他の関連テトラゾリウム誘導体も、同様の反応によ
りフォルマザン類を生じると予想される。それ故、上記の反応生成物を産する類
似の酵素と基質の組み合わせは、本発明の実施に有用である。
本発明の抗体を検出することにより、標準アッセイの増幅を達成することがで
きる。この種の検出は、標準的技術によってなし得る。例えば、本発明の抗体は
、ポリクローナルであれモノクローナルであれ、検出用ラベルでラベルすること
ができる。本発明を実施するために、有用なラベルとして、酵素、色素、蛍光マ
ーカー、着色した粒子、放射性同位体、またはビオチンなどがある。好適な実施
態様において、本発明の抗体は、ビオチン化の手法によりビオチンのような補酵
素でラベルすることができる。ビオチンをラベルとして用いる場合、抗体の検出
は、アビジンまたは細菌における同種タンパクであるストレプトアビジンのよう
なタンパクを添加することによりなされ、前記アビジンまたは前記ストレプトア
ビジンには、前述の色素、フルオレセインのような蛍光マーカー、着色された粒
子、放射同位体、またはペルオキシダーゼのような酵素などの検出用マーカーを
結合させることができる。本発明の抗体は、本発明の抗体に特異的に結合する別
の抗体を使用して検出することもできる。さらに、上記の既知の方法によりこの
抗体をラベルし、検出することができる。上述したハーローとレーンの「抗体:
実験室マニュアル」に開示されているように、このような抗−抗体の作成方法は
通常の技術を有する当業者に公知なものである。
また、本発明は、サンプル中の調べたい抗原を検出する方法であって:
a)適切な条件下で、抗原を含有すると推定されるサンプルと、抗原を特異的
に結合するラベルされた第一の抗体とを接触(contact)させ、抗原とラベルさ
れた第一の抗体との複合体を形成させることと;
b)(a)で形成された複合体に結合しなかった、ラベルされた抗体を全て除
去することと;
c)適切な条件下で、(b)で得られた複合体を基質と接触させ、(b)の複
合体中のラベル用物質(第一の抗体上の)と基質との反応生成物を生じさせるこ
とと;
d)上記(c)で生じた生成物と結合させるために、適切な条件下で、生成物
と特異的に結合する第二の抗体を生成物に接触させる。
e)上記(d)において生成物に結合しなかった、ラベルした第二の抗体を全
て除去することと;
f)結合したラベルされた第二の抗体を検出することにより、前記調べたい抗
原の検出を行うこととを具備してなる方法を提供する。
この方法を実施するにあたり、ラベルされた第一の抗体と抗原との複合体を生
じせしめる段階であるステップ(a)における「接触」では、抗体と、調べたい
抗原を含有すると予測されるサンプルの培養液をインキュベートする。インキュ
ベーションは、30分から3時間の間で、4〜37℃の温度範囲の下で行う。好
適な実施態様において、インキュベーションは、37℃で、1時間行う。
ステップ(b)とステップ(e)における、未結合抗体と結合抗体との分離は
、通常の技術を有する当業者に公知の方法によりなされる。例えば、抗マウスグ
ロブリンを用いて、複合体を沈殿させる方法がある。
ラベルされた第一の抗体のラベル用物質と基質との反応生成物を産生する段階
であるステップ(c)における「接触」では、ラベルされた結合した第一の抗体
を含む培養液に基質を添加し、室温付近で、15分から1時間程度、基質をラベ
ルされた抗体と反応させる。
ラベル用物質と基質との反応により生じた生成物と、ラベルされた第二の抗体
との複合体を産生する段階であるステップ(d)における「接触」では、ステッ
プ(c)で得られた複合体をさらにインキュベートする。インキュベーションは
、30分から3時間の間で、4〜37℃の温度範囲の下で行う。好適な実施態様
において、インキュベーションは、37℃で、1時間行う。
上記方法の好適な実施態様においては、ラベルされた第一の抗体は、ペルオキ
シダーゼ、アルカリフォスファターゼ、またはβ−ガラクトシダーゼのような酵
素でラベルされる。
ラベルされた抗体が酵素でラベルされる場合の好適な実施態様においては、好
適な基質は、先に詳述したように、ベンジジンまたはベンジジンの誘導体である
。
上記方法の最適な実施態様においては、ベンジジンの誘導体には、3,3’−
ジアミノベンジジンまたは3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンが含ま
れる。
発明の実施にあたり、ラベルされた第二の抗体は、酵素、色素、蛍光マーカー
、着色した粒子、または放射性同位体によりラベルし得る。上述のように、ラベ
ル
された第二の抗体は、通常の技術を有する当業者に公知の技術を用いて検出する
ことができる。
本発明の好適な実施態様においては、上述の方法は、細胞および/または組織
に含まれる抗原を検出するのに使用される。細胞および組織に含まれる抗原に対
する抗体産生を詳述した参照文献が多数存在することは、通常の技術を有する当
業者には、公知であろう。例えば、1994年10月11日に発行された、リウ
ら(Liuetal.)の、ヒト腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体に関する米国特
許第5,354,847号、および1994年9月20日に発行された、ハンナ
・ジュニアら(Hanna Jr.et al.)の、ヒトB細胞腫瘍抗原に対するモノクロ
ーナル抗体に関する米国特許第5,348,880号などの特許を参照されたい
。より一般的には、R.J.コートら(R.J.Cote et al.)の、“細胞の抗原
と反応するヒトモノクローナル抗体の作成”(Proc.Nat.Acad.Sci.,80巻,(1
983 4月)、2026-2030頁)を参照されたい。ここで引用した公報および参照文献
は、その全体が、本明細書の一部として本出願中に含められる。これらの抗体は
、抗原を伴った組織または細胞の異常をスクリーニングし、治療するのに有用で
ある。本発明の実施にあたって、このような、調べたい抗原を検出するために用
いる既知の抗体を“第一の抗体”と称する。本発明による抗体は、“第二の抗体
”と称し、上述の方法において“第一の抗体”を検出するために用いられる。本
発明による方法は、任意“第一の抗体”の検出を増幅することにより、調べたい
抗原を検出するための道を開く。ここで、前記第一の抗体は、上述の基質と反応
させると検出可能な生成物を形成する物質でラベルされている。それ故、通常の
技術を有する当業者に公知の、または将来公知となるべき、組織および細胞に含
まれ且つ検出用マーカーでラベルし得る抗原は、本発明を実施する上で有用であ
り、本発明の範囲に含まれるものと考えられる。
この方法を実施するにあたり、標的抗原は、細胞または組織に含まれる任意の
抗原である。細胞に含まれる抗原の例には、動物および植物の細胞が含まれる。
本発明の適用が有用であると思われる抗原をもつ動物細胞の例として、血液細胞
、腫瘍細胞、および脂肪細胞があるが、これらに限定されるわけではない。最適
な実施態様においては、本方法は、白血病細胞のような悪性腫瘍に伴う抗原に対
し
て有用であるが、これらに限定されるわけではない。
本発明が有用であると思われる組織の例として、骨、皮膚、筋肉などの動物組
織並びに脳、心臓、肺、胃、肝臓、膵臓および腸を含む(ただし、これらに限定
されない)内臓がある。好適な実施態様において、組織に含まれる抗原としては
、腫瘍を含む組織中の、腫瘍に含まれる抗原がある。ここで、“腫瘍”という用
語は、既存の組織から生じる全ての異常な組織群を意味する。このような腫瘍に
は、良性のものまたは癌性腫瘍などの悪性腫瘍と呼ばれるものがある。例として
、脳、中枢神経系、口、喉、肺、胸、卵巣、精巣、大腸、胃、骨、皮膚、膵臓、
膀胱、甲状腺または前立腺の腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。上述の
方法は、リンパ腫に伴う抗原に対しても有用である。
本発明は、調べたいアミノ酸配列を含むサンプル中のタンパクを検出するため
の方法であって、下記のステップa)〜f)を具備した方法を提供する。:
a)適切な条件下で、調べたいアミノ酸配列を有するタンパクを含んでいると
思われるサンプルをラベルされた第一の抗体と接触させる。ここで、前記ラベル
された第一の抗体は、調べたいアミノ酸配列を有するタンパクに特異的に結合す
る抗体であり、調べたいアミノ酸配列を有する任意のタンパクと複合体を生成す
る;
b)(a)で形成された複合体に結合しなかった、ラベルされた抗体を全て除
去する;
c)適切な条件下で、基質と(b)の複合体を接触させ、基質と(b)の複合
体中のラベルされた第一の抗体上のラベル用物質との反応生成物を得る;
d)適切な条件下で、(c)で得られた生成物と当該生成物に特異的に結合す
るラベルされた第二の抗体とを接触させ、ラベルされた第二の抗体を生成物に結
合させる;
e)上記(d)の生成物に結合しなかった、ラベルされた第二の抗体を全て除
去する。
f)結合した、ラベルされた第二の抗体を検出することにより、タンパクの検
出を行う。
本法の実施にあたり、サンプル中の調べたいタンパクとラベルされた第一の抗
体との複合体を形成する段階であるステップ(a)における「接触」では、抗体
と、調べたいタンパタを含有すると予測されるサンプルの培養液をインキュベー
トする。インキュベーションは、30分から3時間の間で、4〜37℃の温度範
囲の下で行う。好適な実施態様において、インキュベーションは、37℃で、1
時間行う。
ステップ(b)とステップ(e)における、未結合抗体と結合抗体との分離は
、通常の技術を有する当業者に周知の方法によってなし得る。例としては、抗マ
ウスグロブリンを用いて、複合体を沈殿させる方法がある。
基質とラベルされた第一の抗体上のラベル用物質との反応生成物を産生する段
階であるステップ(c)における「接触」では、結合した、ラベルされた第一の
抗体を含む培養液に基質を添加し、室温付近で、15分から1時間程度、基質を
ラベルされた抗体と反応させる。
ラベル用物質と基質との反応により生じた生成物と、ラベルされた第二の抗体
との複合体を産生する段階であるステップ(d)における接触では、ステップ(
c)で得られた複合体をさらにインキュベートする。インキュベーションは、3
0分から3時間の間で、4〜37℃の温度範囲の下で行う。好適な実施態様にお
いて、インキュベーションは、37℃で、1時間行う。
上記方法の好適な実施態様においては、ラベルされた第一の抗体は、ペルオキ
シダーゼ、アルカリフォスファターゼ、またはβ−ガラクトシダーゼのような酵
素でラベルされる。
ラベルされた抗体が酵素でラベルされる場合の好適な実施態様においては、好
適な基質は、先に詳述したように、ベンジジンまたはベンジジンの誘導体である
。
上記方法の最適な実施態様においては、ベンジジンの誘導体には、3,3’−
ジアミノベンジジンまたは3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンが含ま
れる。
発明の実施にあたり、ラベルされた第二の抗体は、酵素、色素、蛍光マーカー
、着色した粒子、または放射性同位体によりラベルし得る。上述のように、ラベ
ルされた第二の抗体は、通常の技術を有する当業者に周知の技術を用いて検出す
ることができる。
別の実施態様おいて、上述のタンパク検出法は、多糖の検出にも用いることが
できる。これらの実施態様においては、ラベルされた第一の抗体は、多糖に含ま
れる任意の糖分子に特異的に結合する抗体である。
さらに本発明は、基質とラベル用物質との反応生成物に対する抗体産生用の免
疫原を作成する方法であって、
a)適切な条件下でラベル用物質と基質を混合し、ラベル用物質と基質を反応
させることと;
b)反応生成物の中間体が形成される時点で、ステップ(a)の反応を停止さ
せることと;
c)中間体を単離することと;
d)適切な条件下で、中間体と担体分子を混合し、中間体を担体分子と結合さ
せ、免疫原を形成することとを具備してなる方法を提供する。
上述の方法を実施するにあたり、混合によって、検出用の生成物が生じるので
あれば、どのようなラベル用物質および基質を用いてもよい。混合(Combining
)は、2つの反応生成物の溶液を作ることからなる。例えば、ペルオキシダーゼ
とベンジジンまたはその誘導体とを混合することにより、生成物を作ることがで
きる。溶液は、ベンジジンまたはその誘導体をリン酸緩衝液を含む生理的食塩水
(PBS)に溶かし、その後蒸留水に溶かしたペルオキシダーゼを添加して作成
する。ラベル用物質と基質は、モル比が1:20〜1:50になるような割合で
混合する。反応は、4〜36℃温度で、2〜8時間行う。あるいは、4℃で、一
晩行ってもよい。溶液の呈色または変色により検出される中間体の生成開始時点
で、反応の進行を分析する。ベンジジンとペルオキシダーゼを用いると、即座に
色が生じ、鮮やかな赤色を呈する。この時点で、スパーテル1匙のパラジウムブ
ラックを添加して、反応を停止させる。通常の技術を有する当業者には、他の反
応停止法も周知である。これらも、上記の方法において、同様に適用でき、本発
明の範囲に含まれると想定される。反応停止後、生成物は遠心により単離される
。次に、上清中の反応生成物を担体分子と混合し、動物を免疫感作するための免
疫原を形成させる。本発明の実施において有用な担体分子は、上記の生成物と結
合できる高分子であって、免疫原として生成物を動物に投与するための担体とし
て供する
ことができ、その結果、動物に免疫応答を引き起こし、生成物に特異的な抗体産
生を可能にする全ての高分子である。有用な高分子の例として、多糖、複合糖質
、ポリアクリルアミド、ポリニトロヤルロースおよびポリスチレンを含む全ての
有機ポリマーが含まれるが、これらに限定されるわけではない。本発明の好適な
実施態様において、担体分子は、ポリペプチドである。最適な実施熊様において
、ポリペプチドは、タンパクである。担体分子として有用なタンパクには、ウシ
血清アルブミン、ウサギ血清アルブミン、キーホールカサガイ(key-hole limpe
t)のヘモシアニン、オボアルブミン、またはサイログロブリンのような全ての
グロブリンが含まれる。
担体分子は、既知の方法にしたがって、生成物に結合させる。例えば、PBS
中のウシ血清アルブミン(BSA)タンパクの溶液を調製し、生成物をBSAの
溶液と混合して、担体分子に結合した生成物を含んだ免疫原を作成する。生成物
と単体分子は、モル比で1:2から1:5の割合で反応させる。反応は、室温で
6〜12時間進行させる。
さらに、本発明は、本法により作成した免疫原を提供する。
また、本発明は、基質とラベル用物質との反応生成物に特異的に結合する抗体
の作成方法であって、上述の免疫原で動物を免疫感作することと、動物が産生し
た抗体を採取することとを含んでなる方法を提供する。
ポリクローナル抗体は、ウサギ、ラット、ヤギ、マウスまたはその他の動物に
、本発明の免疫原を注射することにより作成する。宿主動物から血清を抽出し、
免疫原に特異的なポリクローナル抗体を得るためにスクリーニングをする。ポリ
クローナル抗体のスクリーニング法は、通常の技術を有する当業者には周知であ
り、先に引用したハーローとレーンの「抗体:実験室マニュアル」などに開示さ
れている。
上述の方法の好適な実施態様においては、前記動物は、ウサギ、マウスまたは
ヤギである。
また、本発明は、基質とラベル用物質との反応生成物に対するモノクローナル
抗体の作成方法であって、上述の免疫原でマウスを免疫感作することと、マウス
脾臓から抗体産生能をもつリンパ球を抽出することと、ハイブリドーマ細胞を作
るためにリンパ球を不死化した細胞系と融合させることと、抗体を産生するハイ
ブリドーマ細胞を選択することと、ハイブリドーマ細胞から抗体を採取すること
とを含んでなる方法を提供する。
モノクローナル抗体は、例えば、マウスを免疫原で免疫感作することにより得
られる。上記免疫原を免疫感作量で、マウスに腹腔内接種し、その後同様な量の
免疫原を追加接種して、効果を持続させる。最後の追加接種から2〜3日後に、
免疫感作されたマウスの脾臓を集め、細胞懸濁液を脾臓から調製し、融合に用い
る。ハイブリドーマは、コーラー(Kohler,B.)とミルシュタイン(Milstein
,C.)の一般的な体細胞雑種作成技術(Nature(1975)256:495-497)により、脾
臓細胞とマウス腫瘍の組み合わせを用いて作成する。アメリカ合衆国20852
MDロックビル、パークローンドライブ12301所在のアメリカン・タイプ・
コレクション(ATCC)などからマウスのミエローマ系が入手でき、雑種作成
に用いることができる。基本的には、前記技術は、ポリエチレングリコールなど
の融合剤を用いて腫瘍細胞と脾臓細胞を融合することを含む。融合後、細胞を融
合液から分離し、融合しなかった親細胞を取り除くために、HAT培養液などの
選択的増殖培養液で増殖させる。ハイブリドーマを増大させ、例えば、免疫化剤
を抗原として、放射性免疫定量法(Radioimmunoassay)のような従来の免疫定
量法により上清を定量することもできる。陽性の細胞を特定して、さらに、それ
らが本発明の抗体の基準に適合するかどうかを決定する。
このような抗体を産生するハイブリドーマは、周知の手順を用いて、インビト
ロまたはインビボで増殖させ得る。この場合、モノクローナル抗体は、硫安沈殿
、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィー、限外濾過などの従来の免疫グロブ
リン精製法により、培養液または体液から単離できる。
本発明は、また、上述の方法で産生したポリクローナルまたはモノクローナル
抗体を提供する。これらの抗体は、検出用ラベルでラベルすることができる。本
発明の実施において有用な検出用ラベルは、酵素、色素、蛍光マーカー、着色し
た粒子、放射性同位体、またはビオチンなどを含む。
最後に、本発明は、サンプル中の、調べたい核酸配列を有する核酸分子を検出
する方法であって:
a)適切な条件下で、調べたい核酸配列を有する核酸分子を含むと考えられる
サンプルをラベルしたプローブ(調べたい核酸配列と相補的な核酸配列を有する
核酸分子を含む)と接触させ、ラベルしたプローブとサンプル中の調べたい核酸
配列を含む全ての核酸分子とが結合した複合体を生成させることと;
b)(a)の複合体に結合しなかったラベルされたプローブを全て除去する。
;
c)適切な条件下で、(b)で得られた複合体を基質と接触させ、(b)の複
合体に結合した、ラベルされたプローブ上のラベル用物質と基質との反応生成物
を得る。
d)適切な条件下で、(c)で得られた生成物を、当該生成物に特異的に結合
するラベルされた抗体と接触させ、抗体を生成物に結合させることと;
e)ラベルされた抗体を検出し、それにより調べたい抗原を検出することとを
具備してなる方法を提供する。
本法の実施において、サンプル中の調べたい核酸分子と、ラベルされた第一の
抗体との複合体を形成する段階であるステップ(a)の「接触」では、調べたい
核酸分子を含有すると予測されるサンプルの培養液と抗体をインキュベートする
。インキュベーションは、30分から3時間の間で、4〜37℃の温度範囲の下
で行う。好適な実施態様において、インキュベーションは、37℃で、1時間行
う。
ステップ(b)における、未結合プローブと結合プローブとの分離は、通常の
技術を有する当業者に周知の方法によってなし得る。
基質とラベルされた第一の抗体上のラベル用物質との反応生成物を生成する段
階であるステップ(c)における「接触」では、ラベルされた、結合した第一の
抗体を含む培養液に基質を添加し、室温付近で、15分から1時間程度、基質を
ラベルされた抗体と反応させる。
ラベル用物質と基質との反応により生じた生成物と、ラベルされた第二の抗体
との複合体を産生する段階であるステップ(d)における「接触」では、ステッ
プ(c)で得られた複合体をさらにインキュベートする。インキュベーションは
、30分から3時間の間で、およそ4〜37℃の温度範囲の下で行う。好適な実
施態様において、インキュベーションは、37℃で、1時間行う。
上記方法の好適な実施態様においては、ラベルされたプローブは、ペルオキシ
ダーゼ、アルカリフォスファターゼ、またはβ−ガラクトシダーゼのような酵素
によりラベルされる。
本明細書において、“プローブ”とは、ラベルすることができ、相補的塩基対
により、調べたい核酸配列を含有する分子に結合して二重螺旋を形成する全ての
核酸分子をいう。当業者は、プローブのことを「ハイブリッド形成用プローブ(
hybriization probe)」とも称する。例えば、調べたいDNA配列の位置を定め
るためにDNAプローブを用いるときには、二本鎖DNAを含むサンプルをDN
Aプローブと反応させれば、サンプル中の、調べたい配列を含む全てのDNA(
“target DNA”)の位置を決定することができる。このような方法において
は、サンプル中の二本鎖DNAは、一本鎖DNAに解離した後、DNAプローブ
と反応する。プローブは、相補的塩基対(すなわちアデニンとチミジン、グアニ
ンとシトシン)により、サンプル中の全ての標的DNAと結合する。それ故、D
NAプローブは、二重螺旋DNAのうちの一本鎖であり、調べたい配列に相補的
な核酸分子を含む。
ラベルされた核酸プローブを作成する方法は、DNA、RNAともに、通常の
技術を有する当業者に周知である。それ故、上記の方法は、検出不能な微量でサ
ンプル中に存在し得る、調べたい核酸分子を増幅して検出することができる。
ラベルされたプローブが酵素でラベルされた場合の好適な実施態様において、
上述のように、好適な基質は、ベンジジンまたはその誘導体である。上記の方法
の最適な実施態様においては、ベンジジン誘導体には、3,3’−ジアミノベン
ジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンが含まれる。
本発明の実施においては、ラベルされた抗体は、酵素、色素、蛍光マーカー、
着色された粒子または放射線同位体でラベルすることができる。上述のように、
ラベルされた抗体は、通常の技術を有する当業者に周知の技術を用いて、検出す
ることができる。
上述の方法は、既知の核酸プローブを用いて、任意の核酸配列を検出するのに
使用することができる。
このような核酸配列は、どのようなDNAおよびRNAの核酸配列であっても
よい。上述の方法の好適な実施態様において、調べたい核酸配列は、DNA配列
であり、プローブもDNA配列である。上述の方法の他の好適な実施態様におい
て、調べたい核酸配列は、RNA配列であり、プローブもRNA配列である。
以下の「実験の詳細」の項では、後述の特許請求の範囲において更に完全に定
義される本発明を例示するにすぎない。本実例は、いかなる意味においても、請
求の範囲を制限することを意図するものではなく、またそのように解釈してはな
らない。
〔実験方法〕
本発明の一実施例として、我々は、ペルオキシダーゼと3,3’−ジアミノベ
ンジジン(DAB)との反応生成物に対する抗体の作成を選ぶことにする。抗体
を得ることができれば、何らかの既知の有用な抗体検出方法によって、ラベルす
ることができる。例として、ペルオキシダーゼまたは検出用ラベルとして有用な
他の酵素によるラベリング、またはビオチンによるラベリングが含まれる。後者
の場合、本発明による抗体の検出は、既知のアビジン−酵素法またはアビジン−
フルオレセイン検出により行われる。それ故、最終的なシグナルは、色、光、ま
たは蛍光である。
例1−抗体の産生
A.抗原の合成
ウシ血清アルブミン(BSA)48mg(0.72μmol)を2mlのPB
Sに溶かし、希釈した重炭酸ナトリウムでpHを6.5に調整する。
DAB・4H207. 6mg(21μmol)を5mlのPBSに溶かす。3
0%の過酸化水素を2μl加える。この溶液に、0. 5mgのペルオキシダーゼ
を溶かした蒸留水300μlのうち50μlを添加する。即座に、呈色し始める
。鮮やかな赤色になったら、すぐにスパーテル1匙のパラジウムブラックを加え
、混合し、反応を停止させる。遠心して、懸濁液を清澄にし、上清をBSA溶液
に添加する。再度、pHを6.5に調整して、25%グルタルアルデヒド40μ
lを溶液に加え、室温で8時間放置する。その後、溶液にエタノールアミン40
μl添加してグルタルアルデヒドを除去し、反応を停止させる。低温室で、一晩
、溶液を透析する。
B.抗原による免疫化
不完全アジュバント中の抗原で強化した、フロイントの完全アジュバントハン
ド中の抗原により、ウサギを免疫化する。特異的抗体の存在は、上記手順で作成
された生成物とウサギ血清アルブミン(RSA)との抱合体の沈殿および当該R
SA抱合体を用いたELISAによって決定される。
前記特異的抗体は、抗血清として用いることもできるし、固定化したRSA抱
合体などを用いて作成した、特に精製された抗体として用いることもできる。こ
のような場合、標準的な方法で、抗体をペルオキシダーゼに結合してラベルする
ことができる。あるいは、精製抗体をビオチン化し、シグナル発信用にアビジン
−ペルオキシダーゼまたはアビジン−フルオレセインを用いることができる。
C.抗体の精製
抗体は、必ずしも精製する必要はなく、抗血清として用いることができる。し
かし、以下の方法により、アフィニティーカラムで抗体を精製することもできる
。Affigel−10(BIORAD)の製造者の記載にしたがって、免疫原
である一部重合させた3,3’−ジアミノベンジジンの抱合体(この場合RSA
抱合体)をAffigel−10と反応させて固定化する。抗血清を、固定化し
た抱合体とともに、4℃で、混合しながら24時間インキュベートする。PBS
で完全に洗浄した後、0.2Mグリシン−HCl、pH 2.5で、アフィニテ
ィー精製された抗体を溶出し、すぐにトリス緩衝液 pH7.4で中和する。そ
の後、PBSに対して、2時間透析を行う。
抗体は、上述したように、免疫用抱合体に対するELISAおよび沈殿により
同定される。
例2− 増幅法を用いた、マウスタンパク用のウェスタンブロットおよびドッ
トブロット
ニトロセルロース膜へ負荷または転写し、さらに2%ウシ血清アルブミンによ
る遮断を行った後、0.1%Tween−20を含むリン酸で緩衝化した生理的
食塩水(PBS)中で、適度に希釈した、ペルオキシダーゼラベルを行ったヤギ
抗マウス抗体とともに、30分間室温で膜をインキュベートする。膜を上記のP
BS−Tween溶液で洗浄し、3,3’−ジアミノベンジジン(30%過酸化水
素10μlを含有した5.0mM トリス-HCl pH7.410ml中に6mgの3,3'-ジアミノベンジジン
)を用いて、10分間、室温で展開する。
膜をPBS−Tweenで洗浄し、室温で30分間、適度な希釈(通常PBS
-Tweenで、抗血清を1:500に希釈)を行った、本発明による抗−生成物抗
体とインキュベートする。
膜を洗浄し、 PBS−Tweenで1:1000に希釈した、ペルオキシダ
ーゼでラベルしたヤギ抗ウサギ免疫グロブリンとともに、30分間インキュベー
トする。もう一度PBS−Tで洗浄した後、前述のごとく、3,3’−ジアミノ
ベンジジンで展開する。
例3− 検出方法の比較
A.ドットブロット
図1A−1Dに、請求の範囲の方法により、標準的免疫定量法に比べて、増幅
の改善がなされたこと、およびサイクロスポリンA(CsA)を検出するために
使用したPAP−増幅免疫定量法を示す。
4種類の濃度のサイクロスポリンA−4−ベンゾイル安息香酸−ウシ血清アル
ブミン抱合体(CsA−BBa−BSA)を、4片の各ニトロセルロース膜に、
スポット状に負荷した。各ニトロセルロース膜とも、左から右に、500ng、
100ng、20ng、4ng(リン酸緩衝液を含む生理的食塩水 pH7.4
中)の濃度である。
1.標準的免疫定量法
1mg/mlのマウス抗サイクロスポリンモノクローナル抗体H4.13とと
もに、膜を1時間インキュベートする。PBS−0.1%Tween−20で、
過剰分を洗浄する。つぎに、ペルオキシダーゼラベルされたヤギ抗マウス免疫グ
ロブリンGとともに、膜を室温で、30分間インキュベートし、余分なラベルさ
れた抗体をPBS−0.1%Tween−20で取り除く。6mgの3,3’−
ジアミノベンジジンの溶液10ml、30%過酸化水素(50mMトリスヒドロ
キシアミノメタン pH7.5中)10mlとともに10分間インキュベートす
る。図1Aは、この方法では、500ngと100ngの濃度しか検出できない
ことを示している。
2.PAP増幅
ペルオキシダーゼラベルしたヤギ抗マウス抗体とともにインキュベーションし
た後、公知の方法に従い、膜をペルオキシダーゼ−抗ペルオキシグーゼ抗体(P
AP)とともにインキュベーションする以外は、Aで詳述した方法をくり返す。
図1Bに示されているように、図1Aに示される標準的免疫定量法にくらべて、
ほとんど増幅がなされていない。
3.請求の範囲に記載された増幅方法
3、3’−ジアミノベンジジンで展開した後、請求の範囲の記載による抗−生
成物抗体(R594)を点状のブロット(blot)とともに30分間インキュベー
ションする以外は、Aの方法を再度くり返す。抗体は、ビオチン化された、特に
精製した抗体(図1C)または1:500に希釈したR954抗血清(図1D)
として用いることができる。ラベルされた精製抗体を用いる場合には、公知の手
順にしたがい、アビジン−ペルオキシダーゼおよび3,3’−ジアミノベンジジ
ンを用いて展開する。非精製抗体を用いる場合には、ペルオキシダーゼラベルさ
れたヤギ抗ウサギ抗体とともにインキュベーションして展開し、さらに3,3’
−ジアミノベンジジンを用いて展開する。図1Cおよび図1Dに示されているよ
うに、標準的免疫定量法およびPAP増幅定量法に比べて25倍増幅されており
、4ngの濃度のサンプルも検出されている。
B.ウェスタンブロット
公知の手順にしたがって、マウス免疫グロブリンGをSDS−ポリアクリルア
ミドゲル中で電気泳動する。
図2Aは、上記の標準的免疫定量法において概説した条件に従って行った、ペ
ルオキシダーゼラベルされたヤギ抗マウス免疫グロブリンG抗体ウェスタンブロ
ットの展開および3,3’−ジアミノベンジジンによる展開を示している。
図2Bは、1:500に希釈したR595(抗−生成物抗体)抗血清、さらに
ペルオキシダーゼラベルしたヤギ抗ウサギ抗体を用いた検出を示す。請求の範囲
に記載の方法に対して、前に概説した条件に従って、展開は、3,3’−ジアミ
ノベンジジンを用いて行う。図2Bには、ウェスタンブロットの場合、通常の検
出方法を用いたときと比べて、請求の範囲に記載の方法を用いた検出では、25
倍増幅されることが示されている。
例4−増幅法を用いた核酸分子の検出
100mg/ml溶液を、10mM トリス−1mM EDTA pH8中で
、10分間煮沸した後、氷上で急冷して、DNAのサンプルを線状化する。10
μlのDNA溶液それぞれに、1.1μlのソラーレン−ビオチン試薬(Psora
len-biotin−reagent;Schelercher and Schuell)を加える。混合液に、36
5nmの放射を1時間行う。架橋されたサンプルをブタノールで二度抽出し、過
剰な試薬を除去し、ニトロセルロース膜に載せる。2%ウシ血清アルブミンで、
膜を遮断する。1:1000に希釈したアビジン−ペルオキシダーゼで、膜上の
サンプルを処理し、例2のように視覚化する。
例5−DNA検出法の比較
例4のようにDNAサンプルを調製し、2枚のニトロセルロース膜各々に、2
.5ng、0.5ngおよび0.1ngの濃度のものを載せる。図3Aに、アビ
ジン−ペルオキシダーゼ、さらに基質3,3’−ジアミノベンジジンを用いる標
準的免疫定量法技術による展開を示す。図3Bには、上述のように、未精製のR
595抗血清を用い、さらにペルオキシダーゼラベルしたヤギ抗ウサギ抗体とジ
アミノベンジジンで検出を行う、請求の範囲に記載の方法による展開を示す。図
3Aおよび3Bに示されているように、請求の範囲に記載の方法により、25倍
の増幅がなされ、標準的方法では見ることができない0.5ngおよび0,1n
gのDNAが検出できる。
【手続補正書】
【提出日】1998年4月1日
【補正内容】
請求の範囲
1.標識物質と基質との間の反応生成物に対して特異的に結合する抗体。
2.請求項1に記載の抗体であって、前記標識物質が酵素である抗体。
3.請求項2に記載の抗体であって、前記酵素がペルオキシダーゼである抗体
。
4.請求項2に記載の抗体であって、前記酵素がアルカリホスフアターゼであ
る抗体。
5.請求項2に記載の抗体であって、前記酵素がβ−ガラクトシダーゼである
抗体。
6.請求項2に記載の抗体であって、前記基質がベンジジンまたはベンジジン
誘導体である抗体。
7.請求項1に記載の抗体であって、該抗体は非精製ポリクローナル抗血清で
ある抗体。
8.請求項1に記載の抗体であって、該抗体は精製ポリクローナル抗体である
抗体。
9.請求項1に記載の抗体であって、該抗体はモノクローナルである抗体。
10.請求項1に記載の抗体であって、検出マーカーで標識された抗体。
11.サンプル中の問題の抗原を検出する方法であって:
a)当該抗原を含有していることが疑われる前記サンプルを、適切な条
件下において、当該抗原に特異的に結合する第一の標識抗体と接触させ、当該抗
原に結合した第一の標識抗体を含む複合体を形成させることと;
b)上記(a)で形成された複合体中に結合していない何れの標識抗体
をも除去することと;
c)上記(b)で得た複合体を適切な条件下で基質と接触させて、(b
)の複合体における前記第一の標識抗体の標識物質と前記基質との間の反応生成
物を生成させることと;
d)上記(c)で生成した生成物を、適切な条件下において、該生成物
に特異的に結合する第二の標識抗体と接触させ、前記第二の標識抗体を前記生成
物に結合させることと;
e)上記(d)において前記生成物に結合しなかった第二の標識抗体を
何れも除去することと;
f)前記結合した第二の標識抗体を検出することにより、問題の抗原を
検出することとを具備した方法。
12.請求項11に記載の方法であって、前記第一の標識抗体は酵素で標識さ
れる方法。
13.請求項12に記載の方法であって、前記酵素がペルオキシダーゼである
方法。
14.請求項12に記載の方法であって、前記酵素がアルカリホスファターゼ
である方法
15.請求項12に記載の方法であって、前記酵素がβ−ガラクトシダーゼで
ある方法。
16.請求項11に記載の方法であって、前記基質がベンジジンまたはベンジ
ジン誘導体である方法。
17.請求項16に記載の方法であって、前記ベンジジン誘導体が3,3´−
ジアミノベンジジンまたは3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジンである
方法。
18.請求項11に記載の方法であって、前記第二の標識抗体は、酵素、色素
、蛍光マーカー、着色ビーズ、放射性アイソトープまたはビオチンで標識される
方法。
19.請求項11に記載の方法であって、前記抗原は細胞関連抗原である方法
。
20.請求項11に記載の方法であって、前記抗原は組織関連抗原である方法
。
21.請求項20に記載の方法であって、前記組織関連抗原が腫瘍関連抗原で
ある方法。
22.請求項21に記載の方法であって、前記腫瘍関連抗原が悪性腫瘍に関連
した抗原である方法。
23.請求項21に記載の方法であって、前記抗原は、リンパ腫または白血病
に関連した抗原である方法。
24.サンプル中において、問題のアミノ酸配列を有するタンパクを検出する
方法であって:
a)問題のアミノ酸配列を含む当該タンパクを含有することが疑われる
前記サンプルを、適切な条件下で、問題のアミノ酸配列に特異的に結合する第一
の標識抗体と接触させて、前記サンプル中の問題のアミノ酸配列を含む何れかの
タンパクに結合した前記第一の標識抗体を含む複合体を生成させることと;
b)工程(a)で形成された複合体中に結合されなかった何れの標識抗
体をも除去することと;
c)上記(b)の複合体を、適切な条件下で基質と接触させて、上記(
b)の複合体における前記第一の標識抗体の標識物質と前記基質との間の反応生
成物を生成させることと;
d)上記(c)で生成した生成物を、適切な条件下で、該生成物に特異
的に結合する第二の標識抗体と接触させて、該第二の標識抗体を前記生成物に結
合させることと;
e)上記(d)で前記生成物に結合しなかった第二の標識抗体の何れを
も除去することと;
f)前記結合した第二の標識抗体を検出することにより、前記タンパク
を検出することとを具備した方法。
25.請求項24に記載の方法であって、前記第一の標識抗体が酵素で標識さ
れている方法。
26.請求項25に記載の方法であって、前記酵素がペルオキシダーゼである
方法。
27.請求項25に記載の方法であって、前記酵素がアルカリホスファターゼ
である方法。
28.請求項25に記載の方法であって、前記酵素がβ−ガラクトシダーゼで
ある方法。
29.請求項24に記載の方法であって、前記基質がベンジジンまたはベンジ
ジン誘導体である方法。
30.請求項29に記載の方法であって、前記ベンジジン誘導体が3,3´−
ジアミノベンジジンまたは3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジンである
方法。
31.請求項24に記載の方法であって、前記第二の標識抗体が、酵素、色素
、蛍光マーカー、着色ビーズ、放射性アイソトープまたはビオチンで標識されて
いる方法。
32.基質と標識物質との間の反応生成物に向けられた抗体を作成するために
使用される免疫原を製造する方法であって、
a)適切な条件下で標識物質と基質とを組み合わせて、該標識物質と基
質との間の反応を起こさせることと;
b)工程(a)の反応を、前記反応生成物の中間体が形成された時点で
停止させることと;
c)前記中間体を単離する工程と;
d)適切な条件下で前記中間体とキャリア分子とを組み合わせて、前記
中間体を前記キャリア分子に結合させることにより、免疫原を形成することとを
具備した方法。
33.請求項32の方法によって製造された免疫原
34.基質と標識物質との間の反応生成物に特異的に結合する抗体を製造する
方法であって、請求項33の免疫原で動物を免疫感作することと、該動物により
産生された抗体を回収することとを具備した方法。
35.請求項34に記載の方法であって、前記動物がウサギである方法。
36.請求項34に記載の方法であって、前記動物がマウスである方法。
37.請求項34に記載の方法であって、前記動物がヤギである方法。
38.基質と標識物質との間の反応生成物に向けられたモノクローナル抗体を
製造する方法であって、請求項33の免疫原でマウスを免疫感作することと、該
マウスの脾臓から前記抗体を産生するリンパ球を抽出することと、該リンパ球を
不死細胞株と融合させてハイブリドーマ細胞を形成することと、前記抗体を産生
するハイブリドーマ細胞を選択することと、該ハイブリドーマ細胞から前記抗体
を回収することとを具備した方法。
39.請求項34または38の方法によって製造された抗体。
40.検出可能な標識で標識された請求項39に記載の抗体。
41.請求項40に記載の抗体であって、前記検出可能な標識が酵素、色素、
蛍光マーカー、着色ビーズ、放射性アイソトープまたはビオチンである抗体。
42.サンプルにおいて、問題の核酸配列を含む核酸分子を検出する方法であ
って:
(a)問題の核酸分子を含む前記核酸分子を含有することが疑われるサ
ンプルと、標識されたプローブ(該プローブは前記問題の核酸配列に対して相補
的な核酸配列を有する核酸分子を含む)とを適切な条件下で接触させて、前記サ
ンプル中の問題の核酸配列を含む何れかの核酸分子に結合した前記標識プローブ
を含む複合体を生成させることと;
b)上記(a)の複合体中に結合していない何れの標識プローブをも除
去することと;
c)上記(b)で得た複合体と基質とを適切な条件下で接触させて、上
記(b)の複合体に結合した標識プローブの標識物質と前記基質との間の反応生
成物を生成させることと;
d)上記(c)で生成した複合体を、適切な条件下で、該生成物に特異
的に結合する標識抗体に接触させて、該抗体を前記生成物に結合させることと;
e)前記標識抗体を検出することにより、前記問題の抗原を検出するこ
ととを具備する方法。
43.請求項42に記載の方法であって、前記標識プローブは酵素で標識され
ている方法。
44.請求項43に記載の方法であって、前記酵素はペルオキシダーゼである
方法。
45.請求項43に記載の方法であって、前記酵素はアルカリホスファターゼ
である方法。
46.請求項43に記載の方法であって、前記酵素はβ−ガラクトシダーゼで
ある方法。
47.請求項42に記載の方法であって、前記基質はベンジジンまたはベンジ
ジン誘導体である方法。
48.請求項47に記載の方法であって、前記ベンジジン誘導体は3,3´−
ジアミノベンジジンまたは3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジンである
方法。
49.請求項42に記載の方法であって、前記標識抗体は酵素、色素、蛍光マ
ーカー、着色ビーズ、放射性アイソトープまたはビオチンである方法。
50.請求項42に記載の方法であって、前記問題の核酸配列はDNA配列で
あり、前記プローブはDNAプローブである方法。
51.請求項42に記載の方法であって、前記問題の核酸配列はRNA配列で
あり、前記プローブはRNAプローブである方法。
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(72)発明者 チェン、ビー−シン
アメリカ合衆国、ニューヨーク州 10033、
ニューヨーク、サウス・パインハースト・
アベニュー 4、アパートメント 2ビー