JPH07305052A - 摩擦材の製造方法 - Google Patents

摩擦材の製造方法

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JPH07305052A
JPH07305052A JP8170995A JP8170995A JPH07305052A JP H07305052 A JPH07305052 A JP H07305052A JP 8170995 A JP8170995 A JP 8170995A JP 8170995 A JP8170995 A JP 8170995A JP H07305052 A JPH07305052 A JP H07305052A
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JP
Japan
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friction material
friction
mass
fiber
dispersion liquid
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JP8170995A
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English (en)
Inventor
Keita Nakanishi
圭太 中西
Takuo Ishihara
卓夫 石原
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】炭素繊維の優れた耐熱性、耐摩耗性および補強
性を有効に利用しつつ、使用方法によっては摩擦係数を
下げるという炭素繊維の欠点を抑制した摩擦材の製造方
法を提供する。 【構成】加重平均繊維長が0.3mm以上の炭素繊維、
結合材及び摩擦調整材からなる摩擦材原料と分散用液体
を混合して固形分濃度0.5〜50質量%の分散液を調
製し、前記分散液を濾過して前記炭素繊維を濾過面に実
質的に平行に配向させ、得られた濾過ケーキを乾燥し、
(1)乾燥した濾過ケーキを炭素繊維の配向方向に垂直に
切断し成形する、又は(2)乾燥した濾過ケーキを成形し
たのち炭素繊維の配向方向に垂直に切断する、短径が2
mm以上の毛玉を実質的に含まない摩擦材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、航空機、建設
機械、2輪車などの回転部を制動するための摩擦材の製
造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来、摩擦材には、耐熱補強繊維としてア
スベストが大量に用いられていた。しかしながら、アス
ベストの人体に対する影響が大きな社会問題となり、使
用によって摩耗粉を発生するアスベスト含有摩擦材は、
他の繊維材料により代替されつつある。代替繊維材料と
しては、アラミド繊維(デュポン・東レ・ケブラー
(株) 技術資料 DTK−T01 91.2)、アク
リル繊維(特開昭62−106133号公報、特開昭6
3−183950号公報など)、炭素繊維(特開昭55
−157671号公報、特公昭59−4455号公報、
特開昭55−104378号公報など)が提案され、使
用されている。炭素繊維は、これらの代替繊維材料の中
でも、特に耐熱性、耐摩耗性および補強性の点で優れて
いる(炭素繊維:昭和61年3月1日 近代編集社刊
pp557〜567)。
【0003】しかしながら、炭素繊維は、摩擦係数を低
下させるという欠点を有しているため、耐熱性、耐摩耗
性および補強性に優れるとともに、実用領域の摩擦係数
を備えた炭素繊維含有摩擦材を得ることは、極めて困難
である。繊維長の長い炭素繊維を使用する場合には、原
料成分の均一な混合ができず、毛玉が発生するので、強
度、摩擦特性、耐摩耗性などの各種特性が安定した製品
を得ることができない。一方、繊維長の短い炭素繊維を
使用する場合には、摩擦係数が小さくなりすぎるため、
大量のセラミックス粒子或いは繊維を添加することがあ
る。しかし、この場合は摩擦材の相手材に対する攻撃性
が大きくなる欠点がある。さらに、繊維長が短くて補強
効果が十分ではないので、アラミド繊維、セラミックス
繊維などの補強繊維を多量に配合しなければならない。
【0004】摩擦材は、通常原料の混合、成形およびポ
ストキュアーという工程を経て、製造されている。摩擦
材原料の混合方法としては、V型、遊星運動型、円筒
型、高速流動型、回転円板型、パグミル型、単軸ロータ
型などの混合機を用いて、原料構成成分のみを乾式で混
合する方法、および結合材を水或いはトルエン、アルコ
ール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解させた
溶液を乾式で混合した原料構成成分に少量加え、潤式ミ
ル、スクリュー押出機、ニーダ、パグミルなどの混練機
で粘稠なスラリー状に混練する方法がある。しかしなが
ら、繊維長の長い炭素繊維を使用する場合これらの方法
で均一な混合物を得ることは極めて困難である。もし、
均一な混合物を得るために、過酷な条件下に混合を行う
と、原料にかかるせん断力が大きくなり、繊維成分が短
く切断されてしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭素繊維の
優れた耐熱性、耐摩耗性および補強性を有効に利用しつ
つ、使用方法によっては摩擦係数を下げるという炭素繊
維の欠点を抑制した摩擦材の製造方法を提供することを
主な目的とする。
【0006】さらに、本発明は、繊維成分を含む摩擦材
の製造に際し、均一混合を可能とする方法を提供するこ
とをも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来技術の
問題点に留意しつつ鋭意研究を重ねた結果、加重平均繊
維長が0.3mm以上という炭素繊維を使用しながら
も、短径が2mm以上の毛玉の形成が実質的に抑制さ
れ、強度のばらつきが極めて小さく、実用領域の摩擦係
数と高強度を備えた摩擦材を製造することに成功した。
【0008】即ち、本発明は、下記の摩擦材の製造方法
を提供する; 1.加重平均繊維長が0.3mm以上の炭素繊維、結合
材及び摩擦調整材からなる摩擦材原料と分散用液体を混
合して固形分濃度0.5〜50質量%の分散液を調製し
た後、分散液をろ過し、濾過ケーキを乾燥し、成形する
ことを特徴とする短径が2mm以上の毛玉を実質的に含
まない摩擦材の製造方法。
【0009】2.炭素繊維を摩擦材混合原料の0.5〜
20質量%用いる項1に記載の摩擦材の製造方法。
【0010】3.加重平均繊維長が0.3mm以上の炭
素繊維、結合材及び摩擦調整材からなる摩擦材原料と分
散用液体を混合して固形分濃度0.5〜50質量%の分
散液を調製し、前記分散液を濾過して前記炭素繊維を濾
過面に実質的に平行に配向させ、得られた濾過ケーキを
乾燥し、(1)乾燥した濾過ケーキを炭素繊維の配向方向
に垂直に切断し成形する、又は(2)乾燥した濾過ケーキ
を成形したのち炭素繊維の配向方向に垂直に切断する、
短径が2mm以上の毛玉を実質的に含まない前記炭素繊
維が摩擦面に実質的に垂直に配向した摩擦材の製造方
法。
【0011】4.加重平均繊維長が0.3mm以上で且
つ触手状に枝分かれした平均繊維径が50μm以下の有
機繊維、結合材および摩擦調整材からなる摩擦材原料と
分散用液体を混合して固形分濃度0.5〜50質量%の
分散液を調製した後、分散液をろ過し、濾過ケーキを乾
燥し、成形することを特徴とする短径が2mm以上の毛
玉を実質的に含まない摩擦材の製造方法。
【0012】5.摩擦材原料として、さらに加重平均繊
維長が0.05mm以上の炭素繊維を含んだ項4に記載
の摩擦材の製造方法。
【0013】本明細書における加重平均繊維長とは、次
式で示される繊維長を意味する。
【0014】
【数1】 「毛玉」とは、繊維が立体的に絡まってできた不均一部
分で、塊状になっているものをいう。毛玉が存在する
と、強度が低下し、摩擦係数が低下し、摩耗しやすくな
るため、短径が2mm以上の毛玉、好ましくは短径が1
mm以上の毛玉が存在しないことが好ましく、より好ま
しくは毛玉が存在しないことが好ましい。毛玉の大きさ
は、図1及び図2に示すように摩擦材の切断面の拡大写
真を撮ることによって定量できる。
【0015】本発明において、炭素繊維としては、ピッ
チ系、PAN系、フェノール樹脂系、レーヨン系などの
任意の種類のものを用いることができる。摩擦材の摩擦
係数および強度をより一層向上させるためには、異方性
ピッチを原料とする炭素繊維を使用することがより好ま
しい。炭素繊維は、加重平均繊維長0.3mm以上のも
の用いる。この値が0.3mm未満である場合には、得
られる摩擦材の摩擦係数が低くなりすぎるとともに、補
強効果も不十分となる。加重平均繊維長は、15mm程
度以下、好ましくは10mm程度以下であることが好ま
しい。加重平均繊維長が15mmを超える場合には、摩
擦材中に毛玉が形成されていなくとも、摩擦材の摩擦係
数、摩耗率、強度などに大きなばらつきが生じるおそれ
がある。摩擦調整材および他の補強繊維の配合量を減少
させて、摩擦材に高い摩擦係数を付与し且つ十分な補強
効果を得るためには、炭素繊維の好ましい加重平均繊維
長は、0.5〜15mm程度、より好ましくは1.0〜
15mm程度、最も好ましくは1〜10mm程度であ
る。炭素繊維の径は、特に限定されるものではないが、
50μm以下がよい。好ましくは0.5〜25μm程
度、より好ましくは8〜20μm程度である。繊維径が
50μm以下であれば、アスペクト比(繊維長/繊維
径)が十分大きく、十分な補強効果が得られるため好ま
しい。
【0016】好ましい炭素繊維の量は、摩擦材製造用原
料混合物の0.5〜20質量%、好ましくは0.5〜1
0質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。炭
素繊維の量が0.5〜20質量%の範囲にあれば、摩擦
係数が高く、十分な耐熱性、耐摩耗性、補強性などを具
備する摩擦材が得られるため好ましい。
【0017】ここに、摩擦材製造用原料混合物とは、製
品である摩擦材中に残る成分をいう(以下同じ)。
【0018】摩擦材の均一分散性をより一層改善するた
めに、両端部が触手状に枝分かれした有機繊維(フィブ
リル化有機繊維;有機繊維としては、アラミド繊維、ア
クリル繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリプ
ロピレン繊維、フッ素繊維、フェノール繊維、ポリビニ
ルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊
維、ポリベンズイミダゾール繊維、パルプ、綿など)を
摩擦材に配合することができる。耐熱性、強度、価格な
どの点からは、アラミド繊維、アクリル繊維などを用い
ることが好ましい。枝分かれした部分を含む有機繊維全
体の長さは、0.3mm以上、好ましくは0.3〜15
mm程度、より好ましくは0.5〜15mm程度、最も
好ましくは1〜10mm程度である。枝分かれした部分
を含む有機繊維の長さが0.3mm未満である場合に
は、補強効果が十分に達成されないのに対し、15mm
を超える場合には、補強効果にばらつきが生じる。上記
のような特定形状の有機繊維は、通常のパルプ状、フィ
ラメント状、ロービング状の繊維、短繊維などを叩解機
などにより処理することにより得られる。
【0019】有機繊維中央の非枝分かれ部の径は、50
μm以下、好ましくは0.5〜25μm程度、より好ま
しくは8〜20μm程度である。該径が50μm以下で
あれば、アスペクト比(繊維長/繊維径)が大きく、十
分な補強効果が得られる。さらに、十分な補強効果を得
るためには、有機繊維における触手状の枝分かれ部の径
は、非枝分かれ部の径の1/5以下であることが好まし
い。有機繊維の配合量は、摩擦材製造用原料化合物の
0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%であ
ることがより好ましい。有機繊維の配合量が0.1〜1
0質量%である場合には、均一分散性の付与効果が十分
に達成され、十分な耐熱性が得られる。
【0020】結合材としては、摩擦材用の結合材として
公知のノボラック型およびレゾール型のフェノール樹
脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、メ
ラミン樹脂、架橋型の芳香族熱硬化型樹脂などを単独で
或いは2種以上混合して用いることができる。摩擦材の
耐熱性を高くするためには、フェノール樹脂、架橋型の
芳香族熱硬化型樹脂などを用いることがより好ましい。
結合材の量は、原料混合物中の3〜50質量%程度が好
ましく、3〜15質量%程度がより好ましい。結合材の
量が3〜50質量%である場合には、結合力が強く、摩
擦材の摩耗量は小さく抑えられ、耐熱性も十分に保たれ
る。
【0021】摩擦調整材としては、銅、黄銅、青銅、
鉄、ステンレス鋼などの金属の粉および粒;黒鉛、硫酸
バリウム、アルミナ、マグネシア、酸化クロム、ウォラ
ストナイト、炭酸カルシウム、珪藻土、ドロマイト、炭
酸マグネシウムなどの無機化合物の粉および粒;カシュ
ーダスト、ラバーダストなどの有機化合物の粉および
粒;銅、黄銅、鉄、ステンレス鋼などの金属の繊維;ロ
ックウール、セラッミクス繊維、ガラス繊維、チタン酸
カリウム繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維などの無機繊
維などを使用することもできる。これらは、摩擦材に対
して要求される性能に応じて、単独でも或いは2種以上
を混合して使用することができる。摩擦調整材の粒径
は、特に限定されるものではなく、摩擦材に要求される
特性などに応じて適宜定めることができる。例えば、金
属を使用する場合には10μm〜5mm程度、無機化合
物を使用する場合には1μm〜1mm程度、有機化合物
を使用する場合には10μm〜1mm程度の粒径範囲か
ら選択すれば良い。
【0022】摩擦調整材として粉状、粒状又は繊維状の
金属を使用する場合には、金属の種類などによるが、そ
の添加量は、摩擦材製造用原料混合物に対し5〜80質
量%程度が好ましく、10〜50質量%程度が特に好ま
しい。添加量が5〜80重量%程度である場合には、摩
擦係数が安定し、相手材の摩耗量を小さく抑えることが
でき、好ましい。
【0023】摩擦調整材として黒鉛を使用する場合に
は、添加量は、0.5〜30質量%程度が好ましく、3
〜20質量%程度が特に好ましい。添加量が0.5〜3
0質量%程度である場合には、摩耗量は小さく抑えら
れ、異音を発することもない。
【0024】摩擦調整材としてカシューダスト、ラバー
ダストなどの有機系材料を使用する場合には、添加量
は、1〜10質量%程度とすることが好ましい。添加量
が1〜10質量%程度である場合には、低温での摩擦係
数の調整が容易であり、高温での摩耗量が小さく抑えら
れるため好ましい。
【0025】摩擦調整材としては、これらの他に金属硫
化物、金属酸化物、硫酸バリウム等も使用できる。上述
のような各種の摩擦調整材は、単独で又は組み合わせて
使用する。使用する摩擦調整材の総量が摩擦材原料混合
物中に占める割合は40〜96.9質量%程度とするこ
とが好ましい。
【0026】上記項1の本発明の摩擦材は、炭素繊維、
結合材及び摩擦調整材を以下の比率で含む。
【0027】炭素繊維:結合材:摩擦調整材=0.5〜20
質量%:3〜50質量%:40〜96.5質量%;好ましくは炭
素繊維:結合材:摩擦調整材=0.5〜10質量%:3〜15質
量%:80〜96.5質量%。
【0028】さらに、上記項5の本発明の摩擦材は、有
機繊維、結合材及び摩擦調整材を以下の比率で含む。
【0029】有機繊維:結合材:摩擦調整材=0.1〜10
質量%:3〜50質量%:40〜96.9質量%;好ましくは有
機繊維:結合材:摩擦調整材=0.1〜5質量%:3〜15質
量%:80〜96.9質量%。
【0030】さらに、上記項6の本発明の摩擦材は、炭
素繊維、有機繊維、結合材及び摩擦調整材を以下の比率
で含む。
【0031】炭素繊維:有機繊維:結合材:摩擦調整材
=0.5〜20質量%:0.1〜10質量%:3〜50質量%:40〜9
6.4質量%;好ましくは炭素繊維:有機繊維:結合材:
摩擦調整材=0.5〜10質量%:0.1〜5質量%:3〜15質量
%:80〜96.4質量%。
【0032】摩擦調整材の総量が上記の範囲内である場
合には、摩擦係数および摩耗率、並びに賦形および摩擦
調整が容易に行える。
【0033】本発明による摩擦材は、上記の様な摩擦材
製造原料を分散用液体中に分散し、混合し、ろ過し、乾
燥し、成形することにより、製造される。
【0034】分散用液体としては、水、トルエン、メチ
ルエチルケトン、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、アセトン、四塩化炭素、クロロホルム、キシレン、
ベンゼン、メチルイソブチルケトンなどが使用できる。
作業上の安全性、排液処理問題、価格などを考慮する
と、水を使用することがより有利である。また、分散用
液体と結合材との組合せによっては、結合材が溶解する
ことがあるので、収率を重視するならば、結合材を溶解
させない分散用液体を選択し、且つ結合材をできるだけ
溶解させない分散処理温度および時間を選択することが
好ましい。また、乾燥過程で水の存在下に硬化反応が進
行するような結合材を使用する場合には、水以外の分散
用液体を使用する。この際、混合、ろ過、乾燥などの過
程で防爆対策を必要としない不燃性液体(四塩化炭素、
クロロホルムなど)を使用することが好ましい。
【0035】摩擦材製造原料を混合する場合、分散用液
体に対し撹拌下に加重平均繊維長の大きい繊維成分から
順次添加した後、結合材、摩擦調整材などの粉体成分を
比重の小さいものから順次添加することが好ましい。こ
の様な混合の手順を例えば逆にすると、均一な混合が困
難となる。例えば、加重平均繊維長の小さい繊維成分を
初めに添加すると、均一に混合を行い難くなり、また、
比重の大きい粉体成分を先に混合すると、沈降して、や
はり均一な混合物が得られなくなる。
【0036】なお、原料中の繊維成分に関しては、各種
の繊維成分をそれぞれの種類に応じて1分から5時間程
度かけて予め分散用液体中に分散させておき、使用する
ことが好ましい。例えば、炭素繊維およびセラミックス
繊維は、1分から1時間程度、触手状に枝分かれした有
機繊維は、30分から5時間程度液体中で撹拌し、分散
させておいた後用いることが好ましい。
【0037】また、繊維成分が分散用液体に分散しにく
い場合、或いは異なる材質或いは形状の繊維成分を併用
する場合(2種以上の炭素繊維を使用する場合、炭素繊
維と触手状に枝分かれした有機繊維とを併用する場合、
摩擦調整材として金属繊維或いは無機繊維を使用する場
合など)には、叩解機、解繊混合機などを用いて予め解
繊混合した後、分散用液体に分散させることが好まし
い。
【0038】さらに、粉体成分についても、分散用液体
に予め分散させた状態で上記の混合過程に供することが
好ましい。
【0039】炭素繊維、結合材、摩擦調整材などの全て
の原料成分と分散用液体を加えたら、10秒から10分
間程度さらに撹拌混合を継続する。撹拌は、均一な混合
が可能である限り、如何なる方法を採用しても良く、例
えば、液体中で撹拌羽根を回転させる方法、空気或いは
蒸気を吹き込む方法などが例示される。分散用液体中で
の固形分(炭素繊維、結合材、摩擦調整材、有機繊維な
ど)の濃度は、繊維の長さなどにより異なり得るが、
0.5〜50質量%程度、好ましくは0.5〜25質量
%程度、より好ましくは0.5〜10質量%程度であ
る。固形分濃度が0.5〜50質量%程度の場合には、
製造コストが低く、十分量の分散用液体中で混合物が均
一に分散するため好ましい。
【0040】混合が不均一なものを成形して作った摩擦
材は、強度が低く、摩擦係数が低下し、且つ摩耗しやす
い。均一混合物を得るために激しく混練を行うと、混合
物中の繊維成分が切断されるため、それを成形して作っ
た摩擦材は強度が低下し、摩擦係数も低下する。従っ
て、分散液中の固形分濃度は極めて重要である。
【0041】上記の混合過程においては、繊維、粉粒の
分散用液体中での移動分散が円滑に行われ、且つ繊維成
分は実質的に切断されないので、混合過程終了後には、
実質的に毛玉を生じない摩擦材の製造を可能とする均一
な混合物が分散用液体中に得られる。
【0042】上記の均一な混合物は、そのまま固液分離
工程に送っても良いが、固液分離中に成分の偏析が生じ
ない様に、分散用液体に凝集剤を添加し、固形の均一混
合物を沈降分離させることが好ましい。凝集剤として
は、硫酸バンド、塩化第一鉄、塩化第二鉄、ポリ塩化ア
ルミニウムなどの無機化合物;ポリアクリルアミド、ポ
リアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、澱
粉、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、水溶性尿
素樹脂、ポリエチレンイミンなどの高分子を使用するこ
とができる。これらの凝集剤の中では、安定で、凝集効
果に優れた合成高分子を使用することがより好ましい。
凝集剤の添加量は、固形分に対して0.1〜30質量%
程度である。凝集剤の添加量が0.1〜30質量%程度
である場合には、凝集効果が十分に発揮され、摩擦材の
耐熱性は保たれる。
【0043】なお、より効果的に凝集を行うためには、
上記の分散混合工程で使用する液体に可溶である樹脂或
いは分散用液体にゾル状に分散させた凝集用バインダー
を使用することが好ましい。凝集用バインダーは、結合
材或いは摩擦調整材として機能するものが好ましい。例
えば、分散用液体として水を使用する場合には、可溶性
樹脂としての水溶性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリビニルアルコールなどを、また、
ゾルとしてアルミナゾル、シリカゾル、水酸化マグネシ
ウムゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル、ムライトゾ
ルなどを用いることができる。凝集用バインダーを使用
する場合には、凝集剤の添加前に混合液に添加する。凝
集用バインダーの使用量は、凝集用バインダーが結合材
或いは摩擦調整材の一部を構成した際に、結合材或いは
摩擦調整材の量が前記の規定範囲を超えない限り、限定
されない。但し、水溶性樹脂或いは分散用液体分散性ゾ
ルである凝集用バインダーは、摩擦材の機能(耐熱性、
耐摩耗性、摩擦係数など)を低下させるおそれがあるの
で、その添加量は、固形分に対して0.1〜10質量%
程度の範囲とすることが好ましい。凝集用バインダーの
添加量が少なすぎる場合には、所望の効果が十分に発揮
されないのに対し、過剰となる場合には、摩擦材の機能
が低下することがある。
【0044】また、凝集効果をより高めるためには、凝
集用バインダーを添加した後、均一な固形混合物を含む
分散用液体のpH調整を行うことが好ましい。pH調整
は、混合物、凝集用バインダーおよび凝集剤の種類に応
じて、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アン
モニウムなどの塩;塩酸、硫酸、酢酸などの酸;水酸化
ナトリウム、アンモニアなどの塩基を添加することによ
り、行われる。上記の凝集過程において、混合過程で得
られた繊維が解繊されている均一組成の混合物が分散用
液体から分離されて柔らかな固形物が得られる。
【0045】次いで、上記の凝集過程を終えた柔らかな
固形物をろ過する。このろ過に先立って、沈降分離物を
デカンテーションにより、分離用液体を除いておくこと
が好ましい。ろ過は、ベルト式ろ過機、フィルタープレ
スなどの任意の形式のろ過機により、行われる。ろ過に
使用するろ布にも制限はなく、金属、有機繊維、無機繊
維などの任意の材質で構成された織布および不織布を用
いることができる。ろ布の開口径は、10〜400メッ
シュ程度が好ましい。ろ布の開口径が10〜400メッ
シュ程度である場合には、ろ過に要する時間は短く、十
分な収率が達成される。ろ過により得られた固形物中の
揮発分は、次工程の加熱・成型時に蒸発させて取り除く
ことも可能であるが、成形前に乾燥・除去しておくこと
が好ましい。このろ過過程においても、繊維成分は実質
的に切断されない。 次いで、上記で得られた固形物を
成形する。成形は、金型、ラバー型、プラスチック型な
どを使用して、加熱下に一軸加圧、二軸加圧、静水圧な
どの方法で圧力をかけて行えばよい。成形温度は、使用
する結合材の流動特性、硬化特性などに応じて適切な温
度範囲を選択すればよいが、摩擦材構成材料の密度から
計算で求めた値の80%以上の密度を得るためには、1
20〜200℃程度であることが好ましく、150〜2
00℃程度であることがより好ましい。成形圧は、用い
る成型方法によって異なるが、摩擦材構成材料の密度か
ら計算で求めた値の80%以上の密度を得るためには、
5MPa以上であることが好ましい。この成形工程にお
いても、繊維成分は実質的に切断されない。
【0046】次いで、得られた成形体は、硬化を完全に
行うためにポストキュアされる。ポストキュア温度およ
び時間は、組成により異なるが、180〜300℃程度
で1〜10時間程度とすることが好ましい。また、初期
摩擦特性を向上させるために、ポストキュア後に400
〜600℃程度で1秒乃至10分間程度熱処理すること
が好ましい。
【0047】上記の炭素繊維含有摩擦材中でも、摩擦係
数をより高く、磨耗をより少なくするためには、炭素繊
維が摩擦面に対し実質的に垂直に配向した摩擦材が好ま
しい。ここに、「垂直に配向する」とは、摩擦面に存在
する炭素繊維の本数の中、繊維断面の長径の短径に対す
る比が2以下である繊維の本数が55%以上、好ましく
は70%以上、より好ましくは90%以上である状態を
意味する。摩擦面に露出する炭素繊維は、面に垂直な場
合は円となり、斜めに存在するときは楕円形になり、完
全に平行なときはほぼ長方形になる。上記長径および短
径はこの断面に対して適用する。この比が55%以上で
あれば、摩耗を少なくし、且つ摩擦係数を保持できるた
め好ましい。この様に炭素繊維が垂直方向に配向した摩
擦材は、以下の様にして製造できる。上記の製造方法を
実施するに際し、均一混合物をろ過して固形物を得る過
程では、炭素繊維は、固形物中に完全には固定されてい
ない。従って、固形物に、沈降面およびろ過面に対して
垂直な方向に力を及ぼすと、炭素繊維を沈降面或いはろ
過面に対して平行に配向させることができる。例えば、
沈降過程で炭素繊維を沈降面に平行に配向させるために
は、混合過程の固形分濃度をできるだけ低くして、炭素
繊維の移動および変形を十分に行わせることが好まし
い。均一混合性と経済性とを考慮すると、固形分濃度を
0.5〜25質量%程度とすることが好ましく、0.5
〜10質量%程度とすることがより好ましい。ろ過過程
で炭素繊維をろ過面に対して平行に配向させるために
は、吸引或いは圧縮により、固形分をろ過面に対し強制
的に移動させることが好ましい。デカンテーションによ
り調節された固形分濃度は、上記の沈降過程と同様に
0.5〜25質量%程度であることが好ましく、0.5
〜10質量%程度であることがより好ましい。この様に
して得られた固形物を成形する過程においては、炭素繊
維の配向は、あまり変わらない。最終的には、炭素繊維
が平行に配向した成形物を繊維に対して垂直に切断する
ことにより、炭素繊維が摩擦面に対し実質的に垂直に配
向した摩擦材が得られる。
【0048】上記の炭素繊維含有摩擦材の製造方法は、
炭素繊維を含有しない加重平均繊維長が0.3mm以
上、平均繊維径が50μm以下の触手状に枝分かれした
有機繊維、結合材および摩擦調整材からなる摩擦材原料
を用いる摩擦材の製造方法にも、適用できる。加重平均
繊維長が0.3mm以上、平均繊維径が50μm以下の
触手状に枝分かれした有機繊維としては、上記の炭素繊
維含有摩擦材の均一分散性をより改善するために使用し
た有機繊維と同様のものを使用することができる。摩擦
材原料の混合過程も同様に行えばよい。繊維成分が分散
用液体に分散しにくい場合、或いは異なる材質或いは形
状の繊維成分を併用する場合(2種以上の有機繊維を使
用する場合、摩擦調整材として金属繊維或いは無機繊維
を使用する場合など)には、叩解機、解繊混合機などを
使用して予め解繊混合した後、分散用液体に分散させる
ことが好ましい。ろ過、成形、ポストキュアーなども、
炭素繊維含有摩擦材の製造の場合と同様にして行えばよ
い。
【0049】
【発明の効果】請求項1の発明によると、炭素繊維が切
断されずに、かつ短径が2mm以上の毛玉を実質的に含
まない、強度が大きく、摩擦係数が高く、かつ摩耗が少
ない摩擦材が得られる。
【0050】請求項3の発明によると、炭素繊維が切断
されずに、かつ短径が2mm以上の毛玉を実質的に含ま
ない、炭素繊維が摩擦面に垂直に配向した摩擦係数がさ
らに高く、摩耗がさらに少ない摩擦材が得られる。
【0051】請求項4の発明によると、有機繊維が切断
されずに、かつ短径が2mm以上の毛玉を実質的に含ま
ない、強度が大きく、摩擦係数が高い摩擦材が得られ
る。
【0052】請求項5の発明によると、摩耗が少ない摩
擦材が得られる。
【0053】
【実施例】炭素繊維、アラミド繊維、結合材としてフェ
ノール樹脂、摩擦調整材としてロックウール、セピオラ
イト、ウォラストナイト、カシューダスト、黒鉛、硫酸
バリウムを用いて摩擦材を製造評価した結果を以下の通
り実施例で示す。
【0054】実施例1 まず、次の要領で各種の分散液を調製した。
【0055】(a) 水道水375ml中で炭素繊維
(ドナック(株)製、S−231;平均繊維径13μ
m、加重平均繊維長3.0mm、引張強度800MP
a、引張弾性率40GPa)2.3gをモーターにより
撹拌しつつ1分間分散させた。
【0056】(b) また、水道水375ml中でロッ
クウール(日本セメント(株)製、CMF#3000)
5.7gをモーターにより撹拌しつつ30分間分散させ
た。
【0057】(c) 水道水125mlにフェノール樹
脂(鐘紡(株)製、ベルパールS−899)11.4g
をスパチュラーにより分散させた。
【0058】(d) 水道水125mlにカシューダス
ト(カシュー(株)製、H−9109)6.8gをスパ
チュラーにより分散させた。
【0059】(e)水道水125mlに黒鉛((株)中
越黒鉛工業所製、G−3)18.4gをスパチュラーに
より分散させた。
【0060】(f)水道水125mlに硫酸バリウム
(堺化学工業(株)製、A−15)42gをスパチュラ
ーにより分散させた。
【0061】次いで、上記の分散液(a)及び(b)を
混ぜ合わせ、モーターにより撹拌しつつ、10分間かけ
て均一に混合した後、分散液(c)を添加し、1分間撹
拌混合し、さらに上記の分散液(d)〜(f)を(c)
と同様に順次添加し、混合し、次いで銅粉(福田金属箔
粉工業(株)製、CE−8A)23gを添加し、30秒
間で均一に混合した。
【0062】次いで、上記の混合液を5分間撹拌した
後、以下の3種の凝集剤希釈液(g)〜(i)を下記の
要領で順次添加した。
【0063】(g)アルミナゾル(日産化学工業(株)
製、アルミナゾル−520)20gを水道水30mlで
希釈した液を混合液に添加し、1分間撹拌した。
【0064】(h)硫酸アンモニウム3gを水道水20
mlに溶解した液を混合液に添加し、1分間撹拌した。
【0065】(i)アクリルアミド系高分子凝集剤(荒
川化学工業(株)製、ポリストロン705)15gを水
道水50mlに希釈した液を混合液に添加し、凝集させ
た。
【0066】次いで、形成された凝集物を100メッシ
ュのステンレス鋼製金網でろ過して、濾過ケーキ(金網
の上に残ったもの)を得た後、80℃で12時間乾燥し
た。得られた乾燥体を105℃で軽く圧縮してガス抜き
した後、170℃、11MPaで成形し、210℃で6
時間ポストキュアーし、さらに500℃で10秒間熱処
理して、摩擦材を得た。上述のロックウール、カシュー
ダスト、黒鉛、硫酸バリウム及び銅粉は、摩擦調整材と
して機能する。また、上述のフェノール樹脂は結合材と
して機能する。さらに、(g)〜(i)の凝集剤希釈液
から生じる沈殿物も摩擦調整材として機能する。
【0067】次いで、得られた摩擦材から13mm×1
25mm×5mmの試験片を切り出し、その曲げ強度を
クロスヘッドスピード2mm/分、スパン50mmの条
件下で測定した。測定結果を表1に示す。
【0068】また、上記の摩擦材から25mm×25m
m×5mmの試験片を切り出し、定速式摩擦試験機を用
いてJIS D 4411に準じた方法で摩擦係数およ
び摩耗率を測定した。測定条件は、面圧1MPa、スラ
イディング速度7.8m/秒、1回当たりの測定時間1
0分、測定回数3回とした。測定温度は、高温での摩擦
摩耗を比較するため、350℃で行った。
【0069】また、原料としての炭素繊維および混合後
の炭素繊維の加重平均繊維長を画像解析法で測定した。
【0070】上記の測定結果を表1にまとめて示す。表
1には、他の実施例および比較例の結果も併せて示す。
【0071】なお、摩擦材の切断面組織を光学顕微鏡で
観察したところ、図1に示すように毛玉は実質的に存在
していなかった。
【0072】実施例2 加重平均繊維長が0.35mmの炭素繊維(ドナック
(株)製、S−242;平均繊維径13μm、引張強度
800MPa、引張弾性率40GPa)を使用する以外
は実施例1と同様にして、摩擦材を製造し評価した。測
定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微
鏡で観察したところ、毛玉は実質的に存在していなかっ
た。
【0073】実施例3 加重平均繊維長が0.73mmの炭素繊維(ドナック
(株)製、S−244;平均繊維径13μm、引張強度
800MPa、引張弾性率40GPa)を使用する以外
は実施例1と同様にして、摩擦材を製造し評価した。測
定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微
鏡で観察したところ、毛玉は実質的に存在していなかっ
た。
【0074】実施例4 加重平均繊維長が1.2mmの炭素繊維(ドナック
(株)製、S−246;平均繊維径13μm、引張強度
800MPa、引張弾性率40GPa)を使用する以外
は実施例1と同様にして、摩擦材を製造し評価した。測
定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微
鏡で観察したところ、毛玉は実質的に存在していなかっ
た。
【0075】実施例5 加重平均繊維長が8.8mmの炭素繊維(ドナック
(株)製、S−233;平均繊維径13μm、引張強度
800MPa、引張弾性率40GPa)を使用する以外
は実施例1と同様にして、摩擦材を製造し評価した。測
定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微
鏡で観察したところ、毛玉は実質的に存在していなかっ
た。
【0076】実施例6 加重平均繊維長が14.5mmの炭素繊維(ドナック
(株)製;平均繊維径13μm、引張強度800MP
a、引張弾性率40GPa)を使用する以外は実施例1
と同様にして、摩擦材を製造し評価した。測定結果を表
1に示す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微鏡で観察し
たところ、毛玉は実質的に存在していなかった。
【0077】実施例7 加重平均繊維長が0.35mmの炭素繊維(ドナック
(株)製、S−242;平均繊維径13μm、引張強度
800MPa、引張弾性率40GPa)を9.2g使用
する以外は実施例1と同様にして、摩擦材を製造し評価
した。測定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を
光学顕微鏡で観察したところ、毛玉は実質的に存在して
いなかった。
【0078】実施例8 加重平均繊維長が0.35mmの炭素繊維(ドナック
(株)製、S−242;平均繊維径13μm、引張強度
800MPa、引張弾性率40GPa)を23.0g使
用する以外は実施例1と同様にして、摩擦材を製造し評
価した。測定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面
を光学顕微鏡で観察したところ、毛玉は実質的に存在し
ていなかった。
【0079】実施例9 ロックウールの替わりにウォラストナイト(丸和バイオ
ケミカル(株)製、KEMOLIT)5.7gを使用
し、375mlの水道水にスパチュラーにより分散させ
て(c)〜(f)の分散液と同様に(a)分散液に添加
する以外は実施例1と同様にして、摩擦材を製造し評価
した。測定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を
光学顕微鏡で観察したところ、毛玉は実質的に存在して
いなかった。
【0080】実施例10 ウォラストナイトの替わりにセピオライト(近江鉱業
(株)製、ミラクレーP−150)を使用する以外は実
施例9と同様にして、摩擦材を製造し評価した。測定結
果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微鏡で
観察したところ、毛玉は実質的に存在していなかった。
【0081】実施例11 加重平均繊維長が0.35mmの炭素繊維(ドナック
(株)製、S−242;平均繊維径13μm、引張強度
800MPa、引張弾性率40GPa)を使用し、
(a)〜(i)の水道水の量を15倍とする以外は実施
例1と同様にして、摩擦材を製造し評価した。測定結果
を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微鏡で観
察したところ、毛玉は実質的に存在していなかった。
【0082】実施例12 加重平均繊維長が0.35mmの炭素繊維(ドナック
(株)製、S−242;平均繊維径13μm、引張強度
800MPa、引張弾性率40GPa)を使用し、
(a)〜(f)の水道水の量を1/3倍とする以外は実
施例2と同様にして、摩擦材を製造し評価した。測定結
果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微鏡で
観察したところ、毛玉は実質的に存在していなかった。
【0083】実施例13 加重平均繊維長が0.35mmの炭素繊維(ドナック
(株)製、S−242;平均繊維径13μm、引張強度
800MPa、引張弾性率40GPa)を使用し、
(a)の水道水の量を200mlとし、(b)〜(f)
の固形分を水道水で希釈せずに添加し、(g)および
(h)の調製に当たり水道水で希釈せず、且つ(i)の
水道水の量を30mlにした以外は実施例2と同様にし
て、摩擦材を製造し評価した。測定結果を表1に示す。
なお、摩擦材の切断面を光学顕微鏡で観察したところ、
毛玉は実質的に存在していなかった。
【0084】実施例14 まず、次の要領で各種の分散液を調製した。
【0085】(a) 水道水750ml中で触手状に枝
分かれした(フィブリレイティッド)アラミド樹脂(デ
ュポン・東レ・ケプラー(株)製、ケプラードライパル
プ1F302;加重平均繊維長2.0mm)2.3gを
モーターにより撹拌しつつ2時間分散させた。
【0086】(b) 水道水375ml中で炭素繊維
(ドナック(株)製、S−231;平均繊維径13μ
m、加重平均繊維長3.0mm、引張強度800MP
a、引張弾性率40GPa)2.3gをモーターにより
撹拌しつつ1分間分散させた。
【0087】(c) また、水道水375ml中でロッ
クウール(日本セメント(株)製、CMF#3000)
5.7gをモーターにより撹拌しつつ30分間分散させ
た。
【0088】(d) 水道水125mlにフェノール樹
脂(鐘紡(株)製、ベルパールS−899)11.4g
をスパチュラーにより分散させた。
【0089】(e) 水道水125mlにカシューダス
ト(カシュー(株)製、H−9109)6.8gをスパ
チュラーにより分散させた。
【0090】(f) 水道水125mlに黒鉛((株)
中越黒鉛工業所製、G−3)18.4gをスパチュラー
により分散させた。
【0091】(g) 水道水125mlに硫酸バリウム
(堺化学工業(株)製、A−15)42gをスパチュラ
ーにより分散させた。
【0092】次いで、上記の3種の分散液(a)〜
(c)を混ぜ合わせ、モーターにより撹拌しつつ、10
分間かけて均一に混合した後、分散液(d)を添加し、
1分間撹拌混合し、さらに上記の分散液(e)〜(g)
を(d)と同様に順次添加し、混合し、次いで銅粉(福
田金属箔粉工業(株)製、CE−8A)23gを添加
し、30秒間で均一に混合した。以下実施例1と同様に
して、摩擦材を製造し評価した。測定結果を表1に示
す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微鏡で観察したとこ
ろ、毛玉は実質的に存在していなかった。
【0093】実施例15 試験片を加圧方向に対して垂直な面から採取するため、
全ての材料の量を2.5倍とする以外は実施例14と同
様にして、摩擦材を作った。得られた摩擦材の加圧方向
に対して垂直な面から実施例1と同様の曲げ試験片と摩
擦試験片とを切り出し、実施例1と同様にして評価し
た。測定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光
学顕微鏡で観察したところ、毛玉は実質的に存在してい
なかった。また、摩擦面に存在する炭素繊維断面の長径
の短径に対する比が2以下である繊維の割合は次のよう
に測定して平均60%であった。上記の方法で試料を3
ヶ作成し、その切断面上の5カ所を偏光顕微鏡(200
倍)で観察する操作を15回行い(n=15)、平均値
を求めた。
【0094】実施例16 (b)の炭素繊維に代えて異方性ピッチを原料とする炭
素繊維(ドナック(株)製、平均繊維径11μm、加重
平均繊維長3.1mm、引張強度1.8GPa、引張弾
性率130GPa)を使用する以外は実施例14と同様
にして摩擦材を製造し評価した。測定結果を表1に示
す。
【0095】なお、摩擦材の切断面を光学顕微鏡で観察
したところ、毛玉は実質的に存在しなかった。
【0096】実施例17 炭素繊維を使用しない以外は実施例14と同様にして、
摩擦材を製造し評価した。測定結果を表1に示す。
【0097】なお、摩擦材の切断面を光学顕微鏡で観察
したところ、毛玉は実質的に存在しなかった。
【0098】実施例18 (b)の炭素繊維に代えて加重平均繊維長が0.12m
mである炭素繊維を使用する以外は実施例14と同様に
して、摩擦材を製造し評価した。測定結果を表1に示
す。実施例14と比較すると、曲げ強度及び平均摩擦係
数が低く、摩耗率が高い。これは、炭素繊維の加重平均
繊維長が小さいためである。また、実施例17と比較す
ると、平均摩擦係数は下がるが摩耗率は改善される。
【0099】実施例19 試験片を加圧方向に対し垂直な面から採取するため、す
べての材料の量を2.5倍とする以外は実施例1と同様
にして摩擦材を作った。得られた摩擦材の加圧方向に対
して垂直な面から実施例1と同様の曲げ試験片と摩擦試
験片とを切り出し、実施例1と同様にして評価した。測
定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光学顕微
鏡で観察したところ、毛玉は実質的に存在していなかっ
た。また、摩擦面に存在する炭素繊維断面の長径の短径
に対する比が2以下である繊維の割合を実施例15と同
様に測定したところ、平均65%であった。
【0100】比較例1 加重平均繊維長が0.12mmである炭素繊維を使用す
る以外は実施例1と同様にして、摩擦材を製造し評価し
た。測定結果を表1に示す。実施例1〜5の結果と比較
すると、比較例1の場合曲げ強度が低く且つ平均摩擦係
数も低いことが分かる。
【0101】比較例2 実施例1と同じ(a)〜(f)の各成分(ただし、分散
液としての水道水は使用せず)と銅粉を使用し、次のよ
うにして摩擦材を作った。
【0102】炭素繊維をフェニックスブレンダー(オス
ター社製)中で10秒間解繊した後、ロックウール、フ
ェノール樹脂、カシューダスト、黒鉛、硫酸バリウム及
び銅粉を順次添加し、各成分の添加毎に10秒間乾式で
混合撹拌し、混合物Aを作った。また、実施例1の
(g)〜(i)の混合液から生じる沈殿物を濾過し、乾
燥し、乳鉢で粉砕したものを前記混合物Aに加えて10
秒間混合した。
【0103】得られた混合物を用いて実施例1と同様に
して摩擦材を製造し評価した。測定結果を表1に示す。
尚、摩擦材の切断面を光学顕微鏡で観察したところ、図
2に示すように炭素繊維の毛玉が発生していることが確
認された。実施例1の結果と比較すると、曲げ強度及び
平均摩擦係数が低く且つ摩耗率が高くなっている。
【0104】比較例3 加重平均繊維長が22.5mmの炭素繊維(ドナック
(株)製;平均繊維径13μm、引張強度800MP
a、引張弾性率40GPa)2.3gを使用する以外は
比較例2と同様にして、摩擦材を製造し評価した。測定
結果を表1に示す。この場合には、強度、摩擦係数及び
摩耗率のすべてにばらつきが極めて大きく、データとし
て表示することが不可能であった。なお、摩擦材の切断
面を光学顕微鏡で観察したところ、比較例2と同様に炭
素繊維の毛玉が発生していることが確認された。
【0105】比較例4 実施例17と同様の材料を使用し且つ同様の組成となる
ように、比較例2と同様の方法で摩擦材を製造し評価し
た。測定結果を表1に示す。なお、摩擦材の切断面を光
学顕微鏡で観察したところ、アラミド繊維の比較例2と
同様の毛玉が発生していることが確認された。実施例1
7の結果と比べると曲げ強度が低く摩耗率が高い。
【0106】
【表1】 表1に示す結果から明らかな様に、本発明品は曲げ強
度、摩擦係数および摩耗率のいずれにおいても優れてい
る。
【0107】これに対し、本発明の要件のいずれかを充
足しない比較例による製品は、曲げ強度が低く、摩擦係
数も低く、摩耗率が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた摩擦材の切断面表面を示す
光学顕微鏡写真である。
【図2】比較例2で得られた摩擦材の切断面表面を示す
光学顕微鏡写真である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加重平均繊維長が0.3mm以上の炭素繊
    維、結合材及び摩擦調整材からなる摩擦材原料と分散用
    液体を混合して固形分濃度0.5〜50質量%の分散液
    を調製した後、分散液をろ過し、濾過ケーキを乾燥し、
    成形することを特徴とする短径が2mm以上の毛玉を実
    質的に含まない摩擦材の製造方法。
  2. 【請求項2】炭素繊維を摩擦材混合原料の0.5〜20
    質量%用いる請求項1に記載の摩擦材の製造方法。
  3. 【請求項3】加重平均繊維長が0.3mm以上の炭素繊
    維、結合材及び摩擦調整材からなる摩擦材原料と分散用
    液体を混合して固形分濃度0.5〜50質量%の分散液
    を調製し、前記分散液を濾過して前記炭素繊維を濾過面
    に実質的に平行に配向させ、得られた濾過ケーキを乾燥
    し、(1)乾燥した濾過ケーキを炭素繊維の配向方向に垂
    直に切断し成形する、又は(2)乾燥した濾過ケーキを成
    形したのち炭素繊維の配向方向に垂直に切断する、短径
    が2mm以上の毛玉を実質的に含まない前記炭素繊維が
    摩擦面に実質的に垂直に配向した摩擦材の製造方法。
  4. 【請求項4】加重平均繊維長が0.3mm以上で且つ触
    手状に枝分かれした平均繊維径が50μm以下の有機繊
    維、結合材および摩擦調整材からなる摩擦材原料と分散
    用液体を混合して固形分濃度0.5〜50質量%の分散
    液を調製した後、分散液をろ過し、濾過ケーキを乾燥
    し、成形することを特徴とする短径が2mm以上の毛玉
    を実質的に含まない摩擦材の製造方法。
  5. 【請求項5】摩擦材原料として、さらに加重平均繊維長
    が0.05mm以上の炭素繊維を含んだ請求項4に記載
    の摩擦材の製造方法。
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