JP2009280499A - 板状4チタン酸カリウム並びにその製造方法及び摩擦材 - Google Patents

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Abstract

【課題】板状の4チタン酸カリウム並びにその製造方法を得る。
【解決手段】チタン酸カリウムマグネシウムまたはチタン酸カリウムリチウムなどを酸処理することにより得られる板状チタン酸を、水酸化カリウム溶液中に浸漬し、その後焼成することにより、平均長径1〜100μm、平均アスペクト比3〜500の板状4チタン酸カリウムを製造することを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、板状4チタン酸カリウム並びにその製造方法及び摩擦材に関するものである。
6チタン酸カリウム(K2O・6TiO2)及び4チタン酸カリウム(K2O・4TiO2)は、通常、繊維状の化合物として得られ、優れた結晶強度と高い断熱性を有することから、摩擦調整剤や樹脂等の強化剤として広く使用されている。
しかしながら、従来の6チタン酸カリウム及び4チタン酸カリウムは繊維形状を有しているため嵩高く、流動性に劣り、製造時において供給路の壁に付着して、供給路を閉塞させるといった問題点を有している。また、樹脂強化剤としては、ねじれ方向に加わる力に対する補強性能が十分でないという欠点を有している。また、摩擦剤用途においては、摩擦面における高い効果を確保するため板状のものが要望されている。
しかしながら、6チタン酸カリウム及び4チタン酸カリウムは繊維状に結晶成長する性質があるため、これまでに板状の6チタン酸カリウム及び4チタン酸カリウムは得られていなかった。
本発明の目的は、板状の4チタン酸カリウム並びにその製造方法及びそれを用いた摩擦材を提供することにある。
本発明の板状4チタン酸カリウムは、平均長径1〜100μm、平均アスペクト比3〜500を有することを特徴としている。
本発明の板状4チタン酸カリウムの製造方法は、板状チタン酸を水酸化カリウム溶液中に浸漬した後、焼成することを特徴としている。
板状チタン酸としては、例えば、チタン酸カリウムマグネシウムまたはチタン酸カリウムリチウムの板状物を酸処理して得られるものを用いることができる。
本発明の製造方法において、焼成温度は700〜800℃が好ましい。
本発明の摩擦材は、板状4チタン酸カリウムを摩擦調整剤として含有することを特徴としている。含有量は、3〜50重量%であることが好ましい。
参考例1において得られた板状6チタン酸カリウムの走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍)。 参考例1において得られた板状6チタン酸カリウムのX線回折チャート。 実施例2において得られた板状4チタン酸カリウムのX線回折チャート。
本発明の板状4チタン酸カリウムは、平均長径1〜100μm、好ましくは3〜30μm、平均アスペクト比3〜500、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜20の板状物である。ここで、平均長径は、いわゆる平均粒子径を意味しており、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置によりメジアン径として測定される値である。また、アスペクト比は、平均短径(厚み)に対する平均長径の比(平均長径/平均短径)をいう。平均アスペクト比は、走査型電子顕微鏡で平均短径(厚み)を測定し、上記平均長径との比率を算出することにより求めることができる。この場合一般に、走査型電子顕微鏡の視野内で厚みを確認できるもの20個程度について測定し、平均短径の平均値を求める。
本発明の板状4チタン酸カリウムの製造方法は、板状チタン酸を水酸化カリウム溶液中に浸漬し、カリウムイオンをインターカーレートした後、焼成することを特徴としている。板状チタン酸は、酸処理により層間の陽イオンをデインターカーレートすることができる化合物を用い、これを酸処理することにより得ることができる。このような化合物としては、板状チタン酸カリウムマグネシウム及び板状チタン酸カリウムリチウム等が挙げられる。これらの化合物は、例えば特開平5−221795号公報及び本出願人による特願平11−158086号に開示された方法に従って製造することができる。
板状チタン酸カリウムマグネシウムは、チタン源とカリウム源とマグネシウム源を混合し、フラックスを添加し、十分混合した後、1000〜1100℃で1〜8時間焼成することにより得ることができる。
チタン源としては酸化チタンを含有する化合物より任意に選択でき、具体的には、酸化チタン、ルチル鉱石、水酸化チタンウエットケーキ、含水チタニアを例示できる。
カリウム源としては、加熱により酸化カリウムを生じる化合物より選択することができ、具体例としては、酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、硝酸カリウム等が例示できる。中でも炭酸カリウムが好ましい。
マグネシウム源としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、フッ化マグネシウム等を例示できる。
チタン源とカリウム源とマグネシウム源の混合割合としては、Ti:K:Mg=4:2:1(モル比)の割合を基本とするが、各々5%程度であれば変化させても支障ない。前記割合を大きく外れると、板状でない副生物であるK2MgTi716の析出を生じることがあり、好ましくない。
フラックスとしては、塩化カリウム、フッ化カリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸カリウムを例示でき、中でも塩化カリウムが好ましい。
フラックスの添加割合としては、前記原料とのモル比(原料:フラックス)で、3:1〜3:15、好ましくは3:3.5〜3:10の割合とするのがよい。フラックスの添加量は少ない程経済的に有利であるが、少なすぎると板状結晶が崩れるため好ましくない。
焼成は、電気炉、マッフル炉等任意の方法により行うことができるが、量産する際には、調製した原料を煉瓦状、円柱状等の形状の成形体にプレス成形した上、トンネルキルンを用いて行うのが好ましい。
焼成温度は1000℃〜1100℃の間で1〜24時間保持することにより行うのが好ましい。昇温、降温速度は特に制限はないが、通常、3〜7℃/分とするのが好ましい。焼成温度が高い程、大型の板状物が得られるが、1100℃を超えると溶融により形状が損なわれるので一般に好ましくない。また、保持時間が長い程、粒子形状を大型化することができる。
焼成後はジョークラッシャー、ビンミル等を用いて粗粉砕、微粉砕を行った後、水中に分散させ5〜10%程度のスラリーとして撹拌することにより湿式解砕を行うことができる。さらに、必要に応じて分級、ろ過、乾燥して板状のチタン酸カリウムマグネシウムを得る。板状のチタン酸カリウムマグネシウムは、平均長径3〜30μm程度の比較的小型の本発明の板状4チタン酸カリウムの原料として好適である。
また、チタン酸カリウムリチウムの製造方法としては、例えば、チタン源とカリウム源とリチウム源を混合し、フラックスを添加し、十分混合した後、825〜1150℃で1〜12時間保持する方法が例示できる。
チタン源、カリウム源、フラックスとしては、前記のチタン酸カリウムマグネシウムの製造に用いられるものと同様のものを使用することができる。
リチウム源としては、加熱により酸化リチウムを生成し得る化合物より適宜選択することができ、例えば、炭酸リチウム、硝酸リチウム等を例示できる。
チタン源とカリウム源とリチウム源の混合割合としては、Ti:K:Li=1.73:0.8:0.27(モル比)の割合を基本とするが、それぞれ5%程度であれば変化させても支障ない。また、フラックスの添加割合は、原料1に対して1〜4(モル比)の割合で使用するのがよい。フラックスの量が少なすぎると生成物が板状にならず、またフラックスの量が多すぎると経済的に不利であるため、それぞれ好ましくない。
焼成手段は、前記チタン酸カリウムマグネシウムの製造と同様の手段により行うことができるが、焼成温度は825〜1150℃の間とし、1〜24時間保持することにより行うことが好ましい。
解砕、分級、ろ過、乾燥工程は、前記チタン酸カリウムマグネシウムの製造と同様の手段により行うことができる。
チタン酸カリウムリチウムは、平均長径10〜100μm程度の比較的大型の本発明の板状4チタン酸カリウムの原料として好適である。
これらの化合物の酸処理によるデインターカレーションに用いる酸としては硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸が例示できる。酸処理は、これらの酸の1モル/リットル(1N)程度の水溶液中で層間の陽イオンが略完全に溶出されるまで撹拌することにより行うのが好ましい。撹拌は通常5時間〜8時間程度かけて行うのがよい。
得られた板状チタン酸は水洗して次のカリウムイオンインターカレーション工程に供する。なお、このインターカレーション工程以降の工程の条件により、板状6チタン酸カリウムが製造されるか、あるいは板状4チタン酸カリウムが製造されるかが決定する。以下、板状6チタン酸カリウムを製造する場合と板状4チタン酸カリウムを製造する場合に分けて説明する。
(板状6チタン酸カリウムの製造)
カリウムイオンのインターカレーションは、前記で得られた板状チタン酸を1〜30%程度、好ましくは5〜20%程度の水酸化カリウム水溶液スラリーとし、スラリー中の水酸化カリウム濃度がスラリーのpHで13.5以上14未満、好ましくは約13.75となるように、必要に応じて水酸化カリウムを添加して維持しながら、撹拌を続けることにより行うことができる。撹拌は、好ましくは1時間以上、より好ましくは5〜10時間程度行う。
pHが14以上になると次工程において4チタン酸カリウム及び2チタン酸カリウムの副生が多くなるため好ましくなく、pHが13.5未満では次工程において酸化チタンの副生が多くなるため好ましくない。
カリウムイオンのインターカレーション完了後、ろ過、水洗、乾燥した後、600〜800℃で焼成することにより、板状6チタン酸カリウムを得ることができる。焼成は、電気炉、マッフル炉、ロータリーキルン等のトンネルキルン、ロータリングキルン等により行うことができる。焼成時間は3時間以上であることが好ましい。
焼成温度が600℃を下回ると結晶構造が変化せず、レピドクロサイトとなり6チタン酸カリウムが得られない場合がある。また、焼成温度が800℃を超えると板状形状が損なわれ、柱状または繊維状結晶となる場合があるため好ましくない。
(板状4チタン酸カリウムの製造)
カリウムイオンのインターカレーションは、前記で得られた板状チタン酸を1〜30%程度、好ましくは5〜20%程度の水酸化カリウム水溶液スラリーとし、スラリー中の水酸化カリウム濃度がスラリーのpHで14.5以上16.3未満、好ましくは約15.0〜15.5となるように、必要に応じて水酸化カリウムを添加して維持しながら、撹拌を続けることにより行うことができる。撹拌は、好ましくは1時間以上、より好ましくは5〜10時間程度行う。
pHが16.3以上になると次工程において2チタン酸カリウムの副生が多くなるため好ましくなく、pHが14.5未満では次工程において6チタン酸カリウムの副生が多くなるため好ましくない。
カリウムイオンのインターカレーション完了後、ろ過、水洗、乾燥した後、700〜800℃で焼成することにより、板状4チタン酸カリウムを得ることができる。焼成は、電気炉、マッフル炉、ロータリーキルン等のトンネルキルン、ロータリングキルン等により行うことができる。焼成時間は3時間以上であることが好ましい。
焼成温度が700℃を下回ると結晶構造が変化せず、レピドクロサイトとなり4チタン酸カリウムにならないか、あるいは2チタン酸カリウムが析出する場合があるので好ましくない。また、焼成温度が800℃を超えると板状形状が損なわれ、柱状または繊維状結晶となる場合があるため好ましくない。
なお、上記インターカレーション工程における水酸化カリウムは、粉末、ペレット、水溶液等の態様で使用することができ、例えば85重量%ペレットや5〜48重量%水溶液等の使用を例示できる。水酸化カリウムを、粉末、ペレット、水溶液等のいずれの態様で使用するかは、設定すべき水溶液のpHの値により適宜選択される。
当業者の便宜のため、各々のインターカレーション工程における各々の所定のpHへの設定に必要な水酸化カリウム濃度の目安を示せば、18〜20℃において、pH12(1.46g/l)、pH12.5(3.09g/l)、pH13.0(8.0g/l)、pH13.5(30.57g/l)、pH14(65.97g/l)、pH15(400g/l)、pH16.0(480g/l)となる。
インターカレーション工程においては、必要に応じてスラリーのpHをモニターし、所定範囲に維持されるように水酸化カリウム(水溶液)の追加または水の追加を行うことができる。
かくして得られる板状6チタン酸カリウム及び板状4チタン酸カリウムは、その形状及び結晶系に由来する性質を除く他、繊維状6チタン酸カリウム及び繊維状4チタン酸カリウムと同様の物理的性質を有しており、繊維状6チタン酸カリウム及び繊維状4チタン酸カリウムと同様に安定で無毒の化合物である。
さらに樹脂に配合した際に引張強度や曲げ強度といった機械的強度を向上させる効果を有する点においても繊維状6チタン酸カリウム及び繊維状4チタン酸カリウムと同様であるが、板状物であるため、高い表面平滑性、摺動特性の実現やねじれ方向に加わる力に対する強度の確保、アイゾット衝撃強度の向上に一層顕著な効果が期待できる。さらに、以下に説明するように、ブレーキ用摩擦材としても一層顕著な効果が期待できる。
本発明の摩擦材は、摩擦調整剤として上記本発明の板状4チタン酸カリウムを含有することを特徴としている。
板状4チタン酸カリウムの摩擦材中の配合量は、3〜50重量%であることが好ましい。3重量%未満であると、摩擦摩耗特性の改善効果を発現させることができない場合があり、また50重量%を超えると、摩擦摩耗特性の効果改善はそれ以上期待できないため経済的に不利となる場合がある。
本発明の摩擦材の具体例としては、例えば基材繊維、摩擦調整剤及び結合剤からなる摩擦材を例示できる。該摩擦材中の各成分の配合割合としては、基材繊維1〜60重量部、摩擦調整剤(板状6チタン酸カリウム及び/または板状4チタン酸カリウムを含め)20〜80重量部、結合剤10〜40重量部、その他の成分0〜60重量部を例示できる。
基材繊維としては、例えばアラミド繊維等の樹脂繊維、スチール繊維、黄銅繊維等の金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール、木質パルプ等を挙げられる。これらの基材繊維は、分散性及び結合剤との密着性向上のためにアミノシラン系、エポキシシラン系またはビニルシラン系等のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤あるいはリン酸エステル等の表面処理を施して用いてもよい。
本発明の摩擦材における摩擦調整剤としては、板状4チタン酸カリウムに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、他の摩擦調整剤を併用してもよい。例えば、加硫または未加硫の天然、合成ゴム粉末、カシュー樹脂粉末、レジンダスト、ゴムダスト等の有機物粉末、カーボンブラック、黒鉛粉末、二硫化モリブデン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、タルク、ケイソウ土、アンチゴライト、セピオライト、モンモリロナイト、ゼオライト、三チタン酸ナトリウム、五チタン酸ナトリウム、8チタン酸カリウム等の無機質粉末、銅、アルミニウム、亜鉛、鉄等の金属粉末、アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化チタン、酸化鉄等の酸化物粉末等が挙げられる。
結合剤としては、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂、天然ゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリルゴム、ハイスチレンゴム、スチレンプロピレンジエン共重合体等のエラストマー、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性液晶ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂等の有機質結合剤及びアルミナゾル、シリカゾル、シリコーン樹脂等の無機質結合剤を例示できる。
本発明の摩擦材には、前記各成分に加えて、必要に応じて防錆剤、潤滑剤、研削剤等の成分を配合することができる。
本発明の摩擦材の製造に際しては、特に制限はなく、従来公知の摩擦材の製造方法に準じて適宜製造することができる。
本発明の摩擦材の製造方法の一例を挙げれば、基材繊維を結合剤中に分散させ、摩擦調整剤及び必要に応じて配合されるその他の成分を組み合わせて配合して摩擦材組成物を調製し、次いで金型中に該組成物を注入し加圧加熱して結着成形する方法を例示できる。
また、他の一例を挙げれば、結合剤を二軸押出機にて溶融混練し、サイドホッパーから基材繊維、摩擦調整剤及び必要に応じて配合されるその他の成分を組み合わせて配合し、押出成形後、所望の形状に機械加工する方法を例示できる。
また、他の一例を挙げれば、摩擦材組成物を水等に分散させ抄き網上に抄き上げ、脱水してシート状に抄造した後、プレス機にて加熱加圧し結着成形し、得られた摩擦材を適宜切削・研磨加工して所望の形状とする方法を例示できる。
本発明の摩擦材は、低温から高温域までの広い温度範囲にわたって、優れた安定した摩擦係数と耐摩耗性を有している。従って、自動車、鉄道車両、航空機、各種産業用機器類等に用いられる制動部材用材料、例えばクラッチフェーシング用材料及びブレーキライニングやディスクパッド等のブレーキ用材料等として用いることにより、制動機能の向上、安定化、耐用寿命の改善効果が得られる。
本発明の摩擦材は、摩擦調整剤として板状6チタン酸カリウム及び/または板状4チタン酸カリウムを含有することにより、以下のような作用効果を奏する。
1) 摩擦調整剤が板状形状を有しているので安定した摩擦摩耗特性が得られる。
2) 摩擦調整剤のアスペクト比が大きいので摩擦材自体の強度の向上に資する。
3) 摩擦調整剤の流動性が高く、原料混合物の調整が容易である。
4) 耐熱性が高く、低温〜高温の広い温度領域で安定した摩擦係数が得られる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(参考例1)
1.板状チタン酸カリウムマグネシウム(K0.8Mg0.4Ti1.64)の合成
アナターゼ酸化チタン粉末14.73kg、炭酸カリウム6.38kg、水酸化マグネシウム2.79kg、塩化カリウム10.03kg、水2リットルをヘンシェルミキサーを用いて十分に混合した後、19.6MPa(200kgf/cm2)の圧力にて加圧プレスし、1個約3kg程度の煉瓦状の成形物とした。
このものを台車に乗せトンネルキルンにより焼成した。焼成は、5℃/分の割合で1050℃まで昇温し、3時間保持した後、5℃/分の割合で室温まで降温することにより行った。
得られた焼成物をジョークラッシャーを用いて粗粉砕した後、ピンミルを用いて数mm以下に微粉砕し、次いでこのものを水に分散させ10%のスラリー溶液とし、プロペラ羽根で1時間撹拌し、湿式解砕を行った。次いでスラリー液を200メッシュ(目開き75μm)のフルイに通し、分級を行った。フルイ上の粉体は再度湿式解砕を行い分級を行った。遠心濾過後、乾燥して、板状チタン酸カリウムマグネシウム(K0.8Mg0.4Ti1.64、平均長径4.6μm、平均アスペクト比約10)17.80kgを得た。なお、形状は走査型電子顕微鏡(SEM)観察により確認し、同定はX線回折法及び蛍光X線分析により行った。平均長径(メジアン径)はレーザ回折式粒度分布測定装置で測定した。
2.酸処理によるデインターカレーション
前工程で得られた板状チタン酸カリウムマグネシウム(K0.8Mg0.4Ti1.64)の全量を、35%硫酸36.1kgを水141.9リットルに溶解させた溶液に分散させ、10%スラリーとした。撹拌羽根により約5時間撹拌を続けた後、ろ過、水洗、乾燥して、板状のチタン酸(H2Ti25)12.03kgを得た。得られた板状チタン酸は、板状チタン酸カリウムマグネシウムとほぼ同様の形状を有していた。なお、形状はSEM観察により確認し、同定はX線回折法及び蛍光X線分析により行った。平均長径(メジアン径)はレーザ回折式粒度分布測定装置で測定した。
3.アルカリ処理によるカリウムイオンのインターカレーション
前工程で得られた板状チタン酸の全量を水114.4リットルに分散させ、10%スラリーとし、pHが終始13.75前後に維持されるように85%水酸化カリウムを加えながら、攪拌羽根により約5時間撹拌を続けた後、ろ過、水洗、110℃2時間乾燥した。85%水酸化カリウムの添加量は合計で6.99kgであった。
4.板状6チタン酸カリウムの合成
次いで、このものを電気炉により700℃にて3時間焼成し、板状6チタン酸カリウム(平均長径4.2μm、平均アスペクト比約10)13.87kgを得た。なお、形状はSEM観察により確認し、同定はX線回折法及び蛍光X線分析により行った。平均長径(メジアン径)はレーザ回折式粒度分布測定装置で測定し、平均短径はSEM観察で測定した。図1は、得られた板状6チタン酸カリウムのSEM写真である。図2は、得られた板状6チタン酸カリウムのX線回折チャートである。
(実施例2)
上記参考例1の工程2で得られた板状チタン酸を用いて板状4チタン酸カリウムを製造した。具体的には、板状チタン酸50gを40%水酸化カリウム水溶液800mlに分散し、プロペラ羽根にて500rpm、24時間撹拌を行った。この間pHは終始15程度に維持されていた。このスラリーを吸引濾過器にて濾過し、濾過ケーキを110℃で乾燥した後、電気炉で800℃2時間焼成した。なお、昇温速度は5℃/分とした。得られた粉末をX線回折法及び蛍光X線分析により同定したところ、4チタン酸カリウムであった。平均長径(メジアン径)はレーザ回折式粒度分布測定装置で測定し、平均短径はSEMで観察した。その結果、得られた粉末の平均長径は3.5μmであり、平均アスペクト比は約15であった。図3は、得られた板状4チタン酸カリウムのX線回折チャートである。
(参考例3)
参考例1で得られた板状6チタン酸カリウム20重量部、アラミド繊維(商品名「ケブラーパルプ」、平均長3mm、東レ株式会社製)10重量部、結合剤(フェノール樹脂)20重量部、硫酸バリウム50重量部を混合した原料混合物を、加圧力300kgf/cm2 、常温、1分間で予備成形した後、金型による結着成形(加圧力150kgf/cm2 、温度170℃、時間5分間)を行い、成形後、熱処理(180℃で3時間保持)した。金型から取り出した後、研磨加工を施して供試ディスクパッドA(JIS D 4411試験片)を得た。
摩擦調整剤の流動性は良好であり、原料混合物の調製は容易であった。
(実施例4)
実施例2で得られた板状4チタン酸カリウム20重量部、アラミド繊維(商品名「ケブラーパルプ」、平均長3mm、東レ株式会社製)10重量部、結合剤(フェノール樹脂)20重量部、硫酸バリウム50重量部を混合した原料混合物を、加圧力300kgf/cm2 、常温、1分間で予備成形した後、金型による結着成形(加圧力150kgf/cm2 、温度170℃、時間5分間)を行い、成形後、熱処理(180℃で3時間保持)した。金型から取り出した後、研磨加工を施して供試ディスクパッドA(JIS D 4411試験片)を得た。
摩擦調整剤の流動性は良好であり、原料混合物の調製は容易であった。

Claims (7)

  1. 平均長径1〜100μm、平均アスペクト比3〜500の板状4チタン酸カリウム。
  2. 板状チタン酸をpH14.5以上pH16.3未満の水酸化カリウム溶液中に浸漬した後、焼成することを特徴とする板状4チタン酸カリウムの製造方法。
  3. 板状チタン酸が、チタン酸カリウムマグネシウムまたはチタン酸カリウムリチウムの板状物を酸処理して得られるものであることを特徴とする請求項2に記載の板状4チタン酸カリウムの製造方法。
  4. 焼成温度が700〜800℃であることを特徴とする請求項2または3に記載の板状4チタン酸カリウムの製造方法。
  5. 摩擦調整剤として板状4チタン酸カリウムを含有することを特徴とする摩擦材。
  6. 板状4チタン酸カリウムを3〜50重量%含有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦材。
  7. 前記板状4チタン酸カリウムが、請求項1に記載の板状4チタン酸カリウムまたは請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法により製造された板状4チタン酸カリウムであることを特徴とする請求項5または6に記載の摩擦材。
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