JPH07304125A - 緩衝床材 - Google Patents

緩衝床材

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JPH07304125A
JPH07304125A JP10025794A JP10025794A JPH07304125A JP H07304125 A JPH07304125 A JP H07304125A JP 10025794 A JP10025794 A JP 10025794A JP 10025794 A JP10025794 A JP 10025794A JP H07304125 A JPH07304125 A JP H07304125A
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JP
Japan
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resin foam
foam block
cushioning
slits
resin
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Application number
JP10025794A
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English (en)
Inventor
Masao Ishii
井 正 夫 石
茂 信 ▲高▼橋
Shigenobu Takahashi
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明の緩衝床材は、平板状の硬質発泡樹脂か
らなる本体部と、該本体部の一方の面に配置された発泡
樹脂から形成された緩衝材部とを有する緩衝床材であ
り、該緩衝材部が、独立気泡が形成された樹脂発泡体ブ
ロックに、衝撃が加わる方向に略平行な両端面から、衝
撃が加わる方向とほぼ直角に、少なくとも該樹脂発泡体
ブロックの中央部を超えて複数のスリットが形成されて
いる樹脂発泡体ブロックからなる。 【効果】本発明の緩衝床材は、衝撃吸収性が良好であ
り、しかも歩き心地がよい。さらに、長期間使用しても
変形することがなく、耐クリープ性が良好である。また
この緩衝床材を製造する際のカットロスが極めて少な
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、硬質発泡樹脂からなる本
体部と、この本体部の裏面に配置された樹脂発泡体ブロ
ックから形成された緩衝床材に関する。さらに詳しくは
本発明は、特に衝撃音に対する遮音性に優れる緩衝床材
に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来の木造建築に代わって、わが
国でもコンクリート建築物が多くなってきている。この
ようなコンクリート建築物では、コンクリートスラブが
硬質であり音の伝達性が高いため、階上の音がコンクリ
ートスラブを介して階下に伝わり、居住性が損なわれる
ことから、コンクリートスラブ上に遮音性のある床下材
を敷設した後にこの上から仕上げ床材を張設するという
構造が採られている。
【0003】例えば、コンクリート建築物の床構造とし
て、図6に示すようにコンクリートスラブ51上にモル
タルダンゴ52あるいは合成樹脂接着剤等の接着性成分
を配し、この接着成分上に合成樹脂発泡体から形成され
た床下材53を一様に敷設し、この上に仕上げ床板材5
4を配置している。
【0004】この床下材53は、比較的硬質の樹脂発泡
体からなる本体部55と、この本体部55の下部に貼着
され、この本体部55よりも軟質な合成樹脂発泡体から
なる緩衝材部56とを具備している。また、この本体部
55の上面部に凹部を形成しここに桟57を嵌合させる
ことが多い。
【0005】このような床下材53は、仕上げ床材54
がコンクリートスラブ51と直接接触しないように配置
し、仕上げ床材54上で生じた振動あるいは音が直接コ
ンクリートスラブ51に伝達されないような遮音性を必
要とすると共に、仕上げ床材54を支持するとの作用を
有する。床下材53は、床下材がある程度軟らかくない
と必要とする遮音性が発現しないのに対して、仕上げ床
材54を支持するには床下材53の剛性が高いことが必
要となる。即ち、床下材に要求される遮音性と仕上げ床
材の支持性とは、床下材の剛性という点からすると相反
する特性なのである。
【0006】こうした要請から従来の床下材では、硬質
の樹脂発泡体を用いて本体部55を形成し、軟質の樹脂
発泡体を用いて緩衝材部56を形成し、仕上げ床材57
を本体部55で支持すると共に、遮音性を緩衝材部56
の柔軟性を利用し両者のバランスを取ることにより支持
性と遮音性とを確保しようとしているのである。
【0007】このような構成の床下材で緩衝作用を上げ
ようとすれば、緩衝材の発泡倍率を高くする必要がある
が、これまで使用されていた樹脂発泡体で発泡倍率を上
げて遮音率を高くするのには限界がある。即ち、緩衝材
として使用される樹脂発泡体中には多数の独立気泡が形
成されておりこの独立気泡によって発泡体の剛性を維持
しているのである。そして、この発泡倍率を上げすぎる
と、独立気泡が形成されずに連続気泡になり、気泡を形
成するセル壁の樹脂厚も薄くなるために、発泡体自体の
剛性が低下して仕上げ床材を支持することが困難になる
のである。
【0008】こうした状況下に、緩衝材の剛性をそれほ
ど低下させずに遮音性能を向上させるために、樹脂発泡
体をその厚さ方向に1/3程度にまで圧縮して独立気泡
のセル壁を破壊し次いで圧力を開放してその厚さを2/
3程度まで回復させた圧縮樹脂発泡体を使用するという
提案がある(例えば特開昭63-251569号等の公報参
照)。この圧縮樹脂発泡体には、圧縮によってセル壁の
殆ど全部が破壊されるので、独立気泡は殆ど存在してお
らず、セル壁の破壊部分で隣接するセルが連通してあた
かも連続気泡のような気泡を形成している。しかし、こ
のようにセル壁は破壊されても、セル壁の厚さは独立気
泡を形成している樹脂発泡体のセル壁厚さと同等であ
る。そして、このセル壁の有する形状復元力、および、
破壊されたセル内にある幾分流通性が制限された空気を
利用してこの圧縮発泡樹脂を緩衝材として使用している
のである。そして、この圧縮発泡樹脂について遮音性能
を測定すると良好な値を示し、またこの圧縮樹脂発泡体
を硬質樹脂発泡体の裏面に貼着した床下材は、仕上げ床
材に対して良好な支持性を示す。
【0009】しかしながら、圧縮樹脂発泡体を貼着した
床下材を敷設した床の上を実際に歩いてみると歩き心地
がよくない。即ち、歩くときに床からの反発が少なく、
床が粘るように感ずるのである。また、この圧縮樹脂発
泡体を貼着した床下材を敷設した床は、通常の生活音等
に対する遮音性は良好であるが、衝撃音に対する遮音性
に関しては改善の余地がある。また、このように敷設し
た床下材を一定期間経過後に取り外して見たところ、応
力がかかり続けた部分の緩衝材が否塑性的に変形してお
り、こうした否塑性的変形部では遮音性が著しく低下す
ると思われる。
【0010】このように圧縮樹脂発泡体は、測定値から
すると、一見床下材用の緩衝材として好適であるように
思われるが、実際に床下材として使用してみると、居住
性、衝撃に対する緩衝性、耐クリープ性等の特性が充分
ではないという問題を有してる。
【0011】さらに、このような圧縮樹脂発泡体を製造
する際には、原料として使用される樹脂発泡体自体が不
均一物であることから、同一条件で圧縮し圧力を開放し
ても得られる圧縮樹脂発泡体の大きさが一定にはならな
い。従って、こうした圧縮樹脂発泡体を製造する際に
は、大きめの樹脂発泡体を圧縮して、使用しようとする
圧縮樹脂発泡体よりも大きめのものを製造し、これを所
定の大きさにカットして使用する。このために圧縮樹脂
発泡体を製造する場合には、相当量のカットロスが出る
のが一般的である。従って、圧縮樹脂発泡体は、コスト
的に不利であると共に、その製造工程自体が煩雑になる
という問題がある。
【0012】
【発明の目的】本発明は、衝撃に対する緩衝性、耐クリ
ープ性等の特性が特に優れていると共に、居住性の良い
緩衝床材を提供することを目的としている。
【0013】さらに本発明は、製造が容易で、しかも製
造の際にロスの少ない緩衝床材を提供することを目的と
している。
【0014】
【発明の概要】本発明の緩衝床材は、平板状の硬質発泡
樹脂からなる本体部と、該本体部の一方の面に配置され
た発泡樹脂から形成された緩衝材部とを有する緩衝床材
であり、該緩衝材部が、独立気泡が形成された樹脂発泡
体ブロックに、衝撃が加わる方向に略平行な両端面か
ら、衝撃が加わる方向とほぼ直角に、少なくとも該樹脂
発泡体ブロックの中央部を超えて複数のスリットが形成
されている樹脂発泡体ブロックからなることを特徴して
いる。
【0015】このように本発明の緩衝床材は、硬質発泡
樹脂からなる本体部の下面に樹脂発泡体ブロックからな
る緩衝材部を有しており、そして、この緩衝材部が、樹
脂発泡体ブロックの衝撃とは直角の方向に複数のスリッ
トが交互に形成された構造を有している。このように複
数のスリットを形成することにより、この樹脂発泡体ブ
ロック全体が、板バネの一端部を結束して蛇腹のような
連続したバネのように作用する。従って、本発明の緩衝
床材に衝撃が加わると、本外部の下面に配置された樹脂
発泡体ブロックに形成されたスリットが消滅するように
収縮して衝撃を瞬時に吸収する。また、この樹脂発泡体
自体にも衝撃に対する緩衝作用があり、スリットの消滅
と共に、樹脂発泡体自体によっても衝撃が吸収される。
しかも、本発明の緩衝床材は、上面が硬質発泡樹脂で形
成されており、床面を歩行する場合には、この緩衝床材
が変形することがない。さらに、この硬質発泡樹脂から
なる本体部下面に配置された緩衝材は、衝撃が加わった
後は、瞬時にもとの形状に回復する。従って、この緩衝
床材の上に床材を敷設して形成された床構造は、衝撃に
対して良好な緩衝作用を有すると共に、この緩衝床材の
上に敷設された床板の上を歩いたときの感触がよく、こ
の緩衝床材を用いることにより快適な居住空間を形成す
ることができる。
【0016】さらに、この緩衝材中に形成されている独
立気泡は破壊されていないので、通常使用されている状
態で圧力が加わっても、圧力が開放されるともとの形状
に即座に回復する。即ち、良好な耐クリープ性を有して
いる。
【0017】また、この緩衝床材を形成する緩衝材は、
樹脂発泡体ブロックに、所定のスリットを形成するだけ
で製造することができ、加圧圧縮・圧力開放等の煩雑な
工程を経ることなく、容易に製造することができる。し
かも、製造の際に生ずるカットロスが極めて少ない。
【0018】
【発明の具体的説明】次に本発明の緩衝材について図面
を参照しながら具体的に説明する。図1Aは、本発明の
緩衝床材の一実施例を示す平面図、図1BはこのX−X
断面図である。図2は、本発明の緩衝床材を形成する樹
脂発泡体ブロックの一実施例を示す斜視図であり、図3
はこの樹脂発泡体ブロックを部分的に拡大して示す斜視
図である。図4は、この樹脂発泡体ブロックの他の実施
例を示す斜視図である。図5はこの本発明の緩衝床材を
配置した状態を示す断面図である。
【0019】図1Aおよび図1AにおけるX−X断面図
である図1Bに示すように、本発明の緩衝床材31は、
上面に仕上げ床材が配置される本体部21と、この本体
部21の下方に位置し、底面がコンクリートスラブと対
面する緩衝材部(樹脂発泡体ブロック)22とからな
る。
【0020】本体部21は独立気泡を有する硬質の樹脂
発泡体から形成されている。この樹脂発泡体は、仕上げ
床材を支持するので、緩衝材部よりも硬質の樹脂発泡体
で形成されている。硬質の樹脂発泡体の中でもポリスチ
レンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレン
フォーム、耐熱性スチレンフォーム等で形成することが
できる。通常、この本体部21を形成する樹脂発泡体の
4%圧縮強さ(JIS-A-9511により測定)は、通常は0.
5〜4.0kgf/cm2、好ましくは1.0〜3.0kgf/cm2
範囲内にある。そして、この本体部21を形成する硬質
樹脂発泡体は、後述する緩衝材部を形成する樹脂発泡体
の4%圧縮強さの2〜25倍の圧縮強さを有しているこ
とが好ましい。また、この本体部21を形成する硬質樹
脂発泡体について、上記と同様の基準で測定した曲げ強
さは、通常は2.0〜6.0kgf/cm2、好ましくは2.5〜
4.5kgf/cm2の範囲内にある。このような圧縮強さおよ
び曲げ強さを有する硬質樹脂発泡体を使用することによ
り、仕上げ床の支持性が良好になり、仕上げ床上におけ
る通常の動作、例えば歩行等の際に、仕上げ床が沈み込
むような感じがなくなり、居住性が向上する。
【0021】また、この硬質樹脂発泡体は熱伝導率が低
く、通常は、0.1kcal/mh℃以下、好ましくは0.05
〜0.001kcal/mh℃程度である。従って、このような
硬質樹脂発泡体を使用することにより、床の断熱性が良
好になり、例えばフローリング仕上げ床材を用いた場合
に、冬季に足下が冷えるという感触が低減される。
【0022】上記のような特性を有する本体部21は、
例えばポリスチレンフォームである場合、この原料を2
0〜60倍程度に発泡させることにより製造することが
できる。
【0023】この本体部21の上面は、基本的には平面
上に形成されており、その縁部には、この床下材を間隙
なく敷き並べられるように合決等の矧方24が形成され
ている。また、この本体部21の上面に桟を嵌合するた
めの凹部を形成し、ここに合成樹脂製あるいは木製等の
桟23を嵌合することもできる。また、本体部21の表
面には浅溝24を設け、この浅溝24に樹脂接着剤等を
流し込んで仕上げ床材を強固に接着させることもでき
る。このような浅溝24を設けることにより、成型時に
おける本体部21の歪みを是正することもできる。
【0024】この本体部21の厚さは通常は、1〜15
cm程度である。この本体部21の底部には、通常は、緩
衝材である樹脂発泡体ブロック22が嵌合されるように
凹部が形成されており、この凹部に緩衝材である樹脂発
泡体ブロック22が嵌合され接着剤で本体部21に貼着
されて一体化されている。
【0025】本発明の緩衝床材31において、緩衝材で
ある樹脂発泡体ブロック22には、上部(即ち床上)か
らの衝撃を吸収するように仕上げ床材(図示なし)と平
行にスリット2が形成されている。
【0026】図2にこの樹脂発泡体ブロックの斜視図を
示す。図2に示すように、緩衝材部22である樹脂発泡
体ブロックには、概略、樹脂発泡体ブロック1の衝撃が
加わる方向と直交するように複数のスリット2が形成さ
れている。衝撃の加わる方向は矢印で示されており、図
2においては、上部から加わる場合を示している。
【0027】この樹脂発泡体ブロック1は、例えば、ポ
リスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロ
ピレンフォーム、塩化ビニルフォーム、ビスコーススポ
ンジ、ゴムフォーム、EVAフォーム、ABSフォー
ム、ナイロンフォームおよびアクリルフォームのような
熱可塑性樹脂フォーム、ならびにウレタンフォーム、フ
ェノールフォーム、ユリアフォーム、シリコンフォーム
およびエポキシフォームのような熱硬化性樹脂フォーム
で形成されている。これらの中でも本発明の緩衝材は、
熱可塑性樹脂フォームから形成されていることが好まし
い。
【0028】特にこの樹脂発泡体ブロックは、スリット
を形成しない状態における4%圧縮強さ(JIS-A-9511に
より測定した値)が、1kgf/cm3〜6kgf/cm3の範囲内に
ある樹脂フォームで形成されていることが好ましい。こ
のような樹脂フォームを使用することにより、衝撃音に
対する緩衝性が良好になると共に、通常の生活音に対す
る遮音性も良好になる。さらに、この4%圧縮強さが2
kgf/cm3〜5kgf/cm3の範囲内にある樹脂フォームを使用
することにより、緩衝性および遮音性が特に良好にな
り、特に好ましい。
【0029】さらに、この樹脂発泡体ブロックは、熱伝
導率が0.01〜0.1kcal/mh℃の範囲内にあり、曲げ
強さが3〜10kgf/cm2の範囲内にあり、吸水率が0.0
1〜1.0g/100cm2の範囲内にある樹脂フォームから形
成することが特に好ましい。なお、これらの値はJIS-A-
9511により測定した値である。
【0030】このような樹脂フォームとして、特にポリ
スチレンフォーム、ポリエチレンフォームまたはポリプ
ロピレンフォームが好ましく、この中でもポリスチレン
フォームが特に好ましい。
【0031】この樹脂フォームは、常法に従い原料樹脂
を通常は10〜70倍、好ましくは20〜50倍程度の
発泡倍率で発泡させることにより製造することができ
る。また、この樹脂フォームは、押出発泡で製造された
ものであっても型内発泡で製造されたものであってもよ
い。
【0032】このようにして発泡させた樹脂フォーム
は、良好な弾性を有すると共に圧縮強度も高く、スリッ
トを形成することによりこの樹脂フォームの有する弾性
および圧縮強度を利用してこの樹脂フォーム全体をバネ
体とすることができる。
【0033】この緩衝材部は、図2に示すように、上記
のような樹脂フォームからなる樹脂発泡体ブロック1に
所定のスリット2が形成されている。このスリット2
は、本発明の緩衝床材を使用する際に衝撃がかかる方向
とほぼ平行な端面から、この衝撃のかかる方向とほぼ直
角になるように形成されている。即ち、上部に本体部お
よび仕上げ床材が配置されて、図2では矢印で示す方向
から衝撃が加わる態様が示されており、スリット2は樹
脂発泡体ブロック1の厚さ方向Hを等分するように形成
されている。スリット2は、矢印で示した衝撃が加わる
方向に対して、平行な樹脂発泡体ブロック1の端面3
a、3bから、衝撃が加わる方向とほぼ直角に形成され
ている。
【0034】また、図3に示すように、このスリット2
の幅Sは、通常は0.5〜5mmの範囲内にあり、さらに
1〜4mmの範囲内にあることが好ましい。この幅Sが
0.5mmに満たないと衝撃が加わったときに衝撃を吸収
するための緩衝空間が少なくなり、充分に衝撃を吸収で
きないことがある。また、5mmを著しく超えると加わる
衝撃による変形が大きくなりすぎることがあり、スリッ
ト2が重複して形成されていない部分4とスリット2の
先端部分との境界付近で応力を吸収しきれない場合があ
り、樹脂フォームの弾性が低い場合には、極端な場合、
この境界部分に亀裂が生ずる等、この部分で樹脂発泡体
ブロックが破損することがある。
【0035】また、隣接するスリット2相互の間隔T
は、樹脂フォームを形成する原料の特性、樹脂フォーム
の発泡倍率などにより変動する樹脂発泡体ブロックの種
々の特性によって異なるが、通常は0.5〜5cmの範囲
内にあり、好ましくは1〜4cmの範囲内にある。この間
隔Tが0.5cmより狭いとブロック自体の強度が低くな
ることがある。また、5cmを超えると緩衝作用が充分に
発現しないことがある。即ち、緩衝材の静的バネ定数が
高くなりすぎる。
【0036】このスリット2は、衝撃がかかる方向とほ
ぼ平行な樹脂発泡体ブロック1の一方の端面3aから、
他の端面3b方向に、樹脂ブロックの中心部を超えて形
成されている。即ち、図2で示すと、端面3aから形成
されたスリット2の長さD1は、この樹脂発泡体ブロッ
クの幅Lの1/2よりも長い。そして、端面3aから形
成されたスリット2の先端には、端面3a側からのスリ
ット2が形成されていない単一スリット形成部4bが存
在している。この単一スリット形成部4bの幅はU2
示されている。
【0037】また、同様に端面3bから端面3a方向に
長さD2のスリット2が形成されており、その先端から
端面3aにかけて単一スリット形成部4aが存在してい
る。この単一スリット形成部4aの幅はU1で示されて
いる。
【0038】上記のように端面3aおよび端面3bから
形成されるスリット2の長さD1およびD2は、樹脂発泡
体ブロック1の幅Lの1/2よりも長いので、樹脂発泡
体ブロック1において、端面3aから形成されたスリッ
トと端面3bから形成されるスリットとは、樹脂発泡体
ブロック1の中心付近で重複している。このスリットが
重複して形成される部分の幅は、図2ではWで示されて
いる。
【0039】この樹脂発泡体ブロックにおいて、スリッ
トの長さD1,D2は、樹脂発泡体ブロック1の幅Lの5
5〜95%の範囲内にあることが好ましく、さらに、6
5〜85%の範囲内にあることが特に好ましい。従っ
て、単一スリット形成部の長さU1およびU2は、通常は
樹脂発泡体ブロック1の長さLの5〜45%の範囲内に
あり、さらに15〜35%の範囲内にあることが好まし
い。このように端面3aおよび3bから上記のような長
さ(深さ)のスリット2を交互に形成すると、樹脂発泡
体ブロックの中央部には、その長さWが、通常このブロ
ックの長さLの10〜95%、好ましくは50〜80%
の範囲内にあるスリット重複形成部5が形成される。
【0040】上記のような長さのスリットを形成するこ
とにより、緩衝材部に加わる衝撃を瞬時に吸収して良好
な遮音性を示すと共に、この緩衝材部の剛性も損なわれ
ない。
【0041】上記のようなスリットは少なくとも2本以
上設けられていることが必要であり、さらに、このスリ
ットの本数を2〜8本、特に好ましくは4〜8本設ける
ことにより、より高い緩衝性能を示す。
【0042】なお、上記説明において、樹脂発泡体ブロ
ックに形成されるスリットは、同一の長さを有するよう
に記載したが、このスリットの長さが全て同じである必
要はなく、本発明の範囲内で、このスリットの長さに長
短があってもよい。
【0043】このようにスリットが形成された樹脂発泡
体ブロックについて、JIS-A-6322に規定される方法で測
定した静的バネ定数は、通常は1〜30×106N/m3
範囲内にあり、さらに5〜30×106N/m3の範囲内に
あり、特に5〜20×106N/m3の範囲内にあることが
好ましい。この静的バネ定数は、緩衝材の遮音性能を示
す値であり、スリットを形成して上記のような静的バネ
定数を有する緩衝材を床下材として用いると、軽衝撃に
対する床遮音性能(LL)および重衝撃に対する床遮音
性能(LH)共に通常許容されるレベルを充分に満足す
る。
【0044】次にスリットの幅S、スリット間隔T、ス
リット長さD1,D2およびスリットの本数を変えたとき
の緩衝材である樹脂発泡体ブロックの静的バネ定数に及
ぼす影響の例を示す。
【0045】なお、用いた樹脂発泡体ブロックは、L1
0cm×40cm×H5cmのポリスチレン発泡体(発泡倍
率:40倍)であり、その4%圧縮強さは1.7kgf/c
m2、曲げ強さは5.2kgf/cm2である。また、スリット
は、スリット幅Sに対応する幅の鋸で形成した。
【0046】
【表1】
【0047】このようなスリットを有する樹脂発泡体ブ
ロックは、まず所定形状の樹脂発泡体ブロックを形成
し、これに上述ような幅のスリットを鋸等で形成するこ
とにより製造することができる。また、金型にスリット
を形成するような凸片を形成しこの金型内で樹脂を発泡
させて製造することもできる。
【0048】特に鋸あるいは電熱線等でスリットを形成
することが好ましい。この方法によりスリットを有する
樹脂発泡体ブロックを容易に製造することができると共
に、鋸等でスリットを形成すると、スリットの表面の独
立気泡が破壊されて、この部分の弾性が変化して瞬間的
な衝撃をこのスリット表面の破壊された独立気泡が潰れ
ることにより吸収するため、より高い衝撃緩衝性能が発
現する。
【0049】また、この樹脂発泡体ブロックには、上述
のように一方向の衝撃を吸収するだけでなく、上記のよ
うに床上から加えられる衝撃を吸収するスリットと直行
するように他のスリットを形成することができる。
【0050】図4に、直交する二方向にスリットが形成
された樹脂発泡体ブロックを示す。即ち、図2は上下方
向からの衝撃に対する緩衝作用を有するブロックであ
り、図4では上方向からの衝撃に加えて、さらに矢印で
示す左右横方向からの衝撃に対しても緩衝作用を有する
ように、この横方向から矢印に平行な端面13aおよび
13bから、この横方向からの矢印ほぼ直交するよう
に、交互に複数のスリット12が形成されている。
【0051】このスリット12も、図2および図3で示
したスリットの幅S、間隔T、長さD1,D2等の条件と
同様の条件で形成することができる。このように直交す
る二方向からの衝撃を吸収するようにスリット2,12
を形成することにより、上記のように衝撃によってスリ
ット2,12が消滅するように変形して衝撃を吸収する
と共に、このように二方向からスリットを形成すると、
形成されたスリットによって樹脂発泡体ブロック1の中
央部に角柱状に区画された部分14が多数形成される。
こうして形成された角柱状に区画された部分14は、衝
撃が加わると多少ねじれるように変形して衝撃を吸収す
る。従って、図4に示すように二方向にスリットを形成
した緩衝材は、図2に示すように一方向にスリットが形
成された緩衝材から予測される緩衝性よりも高い緩衝性
を示すことが多い。
【0052】なお、図4において、図2と共通の部材に
は同一の符号あるいは番号を賦してある。本発明の緩衝
床材は、上記のような平板状の硬質樹脂発泡体からなる
本体部に、スリットが形成された緩衝材部を接着剤等を
用いて貼着することにより製造することができる。緩衝
材部を形成するスリットが形成された樹脂発泡体ブロッ
クは、本体部よりもわずかに小さいサイズにすることが
好ましいが、さらに、図1に示すように本体部の面積の
1/2以下の表面積を有する樹脂発泡体ブロックを2
個、あるいは1/4以下の表面積を有する樹脂発泡体ブ
ロックを4個、さらには1/6以下または1/8以下の
表面積を有する樹脂発泡体ブロックを6個または8個貼
着して形成しても良い。このように複数の樹脂発泡体ブ
ロックを貼着する場合、それぞれの発泡体ブロックの間
に1〜10cm程度の間隙を形成することが好ましい。こ
のように複数の樹脂発泡体ブロックを間隙を形成して配
置することにより、それぞれのブロックが全体として塑
性変形して衝撃を吸収することができるようになるの
で、本発明の緩衝床材の緩衝性がさらに向上する。
【0053】このような本発明の緩衝床材において、圧
縮樹脂発泡体ブロックの厚さは、通常は1〜15cm程度
であり、本発明の緩衝床材全体の厚さは3〜20cm程度
である。
【0054】本発明の緩衝床材は次のように使用され
る。例えば図5に示すように、まず、コンクリートスラ
ブ32上に接着剤成分を塗布する。次いで、この上にモ
ルタルダンゴ33を置き、このモルタルダンゴ33と床
下材との接触面にも接着剤成分を塗布する。このモルタ
ルダンゴ33は、コンクリートスラブ32と緩衝床材3
1とを接着すると共にレベル調整材としても作用する。
次いで、壁34の室内側に配置された際根太35に密着
させて緩衝床材31を順次敷並べる。こうして緩衝床材
31を敷設した後、モルタルダンゴを養生させる。次い
で、この緩衝床材31の上面に接着剤を塗設しこの上に
仕上げ床材36を敷設することにより、本発明の緩衝床
材を用いた床構造を形成することができる。
【0055】
【発明の効果】本発明の緩衝床材は、硬質発泡樹脂板の
一方の面に独立気泡が形成された樹脂発泡体ブロックが
貼着されてなり、この樹脂発泡体ブロックには、衝撃が
加わる方向にほぼ平行な両端面から、衝撃が加わる方向
とほぼ直角に、少なくともこの樹脂発泡体ブロックの中
央部を超えて複数のスリットが形成されているので、衝
撃に対する緩衝性に優れている。さらにこの樹脂発泡体
ブロックは、独立気泡が破壊されずに存在しており、こ
の緩衝床材は耐クリープ性も良好である。また、本発明
の緩衝床材は、上記のような構成を有するので居住性が
よく、特に歩き心地がよい。
【0056】さらに本発明の緩衝床材は、製造が容易
で、しかも製造の際にカットロスの量が少なく経済的で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1のAは、本発明の緩衝床材の一実施例を示
す平面図であり、BはこのX−X断面図である。
【図2】図2は、本発明の緩衝床材を形成する樹脂発泡
体ブロックの一実施例を示す斜視図である。
【図3】図3は、この樹脂発泡体ブロックを部分的に拡
大して示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明で使用される樹脂発泡体ブロッ
クの他の実施例を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の緩衝床材を配置した状態を示
す断面図である。
【図6】 図6は、従来の緩衝床材を用いた床構造を示
す断面図である。
【符号の説明】
1・・・樹脂発泡体ブロック 2,12・・・スリット 3a,3b,13a,13b・・・端面 4,4a,4b,14a,14b・・・単一スリット形成部 5・・・スリット重複形成部 14・・・角柱状に区画された部分 21,53・・・本体部 22,56・・・緩衝材部(樹脂発泡体ブロック) 23,57・・・桟 24・・・矧方 31,53・・・緩衝床材 32,51・・・コンクリートスラブ 33,52・・・モルタルダンゴ 34・・・壁 35・・・際根太 36,54・・・仕上げ床材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平板状の硬質発泡樹脂からなる本体部
    と、該本体部の一方の面に配置された発泡樹脂から形成
    された緩衝材部とを有する緩衝床材であり、該緩衝材部
    が、独立気泡が形成された樹脂発泡体ブロックに、衝撃
    が加わる方向に略平行な両端面から、衝撃が加わる方向
    とほぼ直角に、少なくとも該樹脂発泡体ブロックの中央
    部を超えて複数のスリットが形成されている樹脂発泡体
    ブロックからなることを特徴とする緩衝床材。
  2. 【請求項2】 スリットの幅が0.5〜5mmの範囲内に
    あり、隣接するスリットの間隔が0.5〜5cmの範囲内
    にあることを特徴とする請求項第1項記載の緩衝床材。
  3. 【請求項3】 上記スリットが形成された樹脂発泡体ブ
    ロックについてJIS-A-6322により測定した静的バネ定数
    が1〜30×106N/m3の範囲内にあることを特徴とす
    る請求項第1項記載の緩衝床材。
  4. 【請求項4】 該樹脂発泡体ブロックに設けられたスリ
    ットと直行するようにさらに複数のスリットが設けられ
    ていることを特徴とする請求項第1項記載の緩衝床材。
  5. 【請求項5】 硬質発泡樹脂からなる本体部についてJI
    S-A-9511により測定した4%圧縮強度が0.5〜4.0kg
    f/cm2であり、かつ同様にして測定した樹脂発泡体ブロ
    ックの圧縮強度の2〜25倍の範囲内にあることを特徴
    とする請求項第1項乃至第4項のいずれかの項記載の緩
    衝床材。
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