JPH0730398B2 - 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH0730398B2
JPH0730398B2 JP2121765A JP12176590A JPH0730398B2 JP H0730398 B2 JPH0730398 B2 JP H0730398B2 JP 2121765 A JP2121765 A JP 2121765A JP 12176590 A JP12176590 A JP 12176590A JP H0730398 B2 JPH0730398 B2 JP H0730398B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、磁束密度の高い一方向性電磁鋼板を安定して
製造する方法に関する。
(従来の技術) 一方向性電磁鋼板は、鋼板面が{110}面で圧延方向に
〈001〉軸を有する、いわゆるゴス方位(ミラー指数で
{110}〈001〉と表す)をもつ結晶粒から構成されてお
り、軟磁性材料として変圧器あるいは発電機用の鉄心に
使用される。一方向性電磁鋼板は、磁気特性として磁化
特性と鉄損特性が良好であることが要求される。
磁化特性は、かけられた一定の磁場力のもとで鉄心内に
誘起される磁束密度の高低によってその良否が評価され
る。高い磁束密度を持つ一方向性電磁鋼板は、結晶粒の
方位を{110}〈001〉に高度に揃えることによって得ら
れる。
鉄損特性は、鉄心に所定の交流磁場を与えた場合に熱エ
ネルギーとして消費される電力損失の多寡によってその
良否が評価される。鉄損特性の良否には、磁束密度、板
厚、比抵抗、結晶粒径等の因子が影響する。高い磁束密
度をもつ一方向性電磁鋼板は、電気機器を小型化するこ
とを可能ならしめると共に、鉄損特性を良好ならしめる
ので非常に好ましい。
ところで、一方向性電磁鋼板は、熱間圧延、冷間圧延お
よび焼鈍の適切な組合せによって最終板厚とした鋼板
に、高温の仕上焼鈍を施すことによって{110}〈001〉
方位を有する一次再結晶粒が選択的に成長する、いわゆ
る、二次再結晶によって得られる。
二次再結晶は、二次再結晶前の鋼板中に微細な析出物、
例えばMnS,AlN,MnSe等が存在することによって達成され
る。これら鋼板中の微細な析出物あるいは粒界存在型の
元素は、仕上焼鈍中の{110}〈001〉方位以外の二次再
結晶粒の成長を抑え、{110}〈001〉方位粒を選択的に
成長させる機能を持つ。この様な粒成長の抑制作用を、
一般にインヒビター効果と呼んでいる。従って、当該技
術分野における研究開発の重点課題は、如何なる種類の
析出物を用いて二次再結晶を安定させるか、そして正確
な{110}〈001〉方位粒の存在割合を高めるために、そ
れらの適切な存在状態をいかにして達成するかにある。
現在、工業生産されている代表的な一方向性電磁鋼板の
製造方法は3種類ある。
第一の技術は、M.F.リットマンによる、特公昭40-3651
号公報に開示された、MnSをインヒビターとして機能さ
せる2回冷延法による製造方法である。
第二の技術は、田口、板倉による特公昭40-15644号公報
に開示された、AlN+MnSをインヒビターとして機能させ
る最終冷間圧延を80%以上の強圧下率の適用下に行う製
造方法である。
第三の技術は、今中等による、特公昭51-13469号公報に
開示された。MnS(または、およびMnSe)+Sbをインヒ
ビターとして機能させる2回冷延法による製造方法であ
る。
これらの技術においては、何れも析出物を微細、均一に
分散、析出せしめる手段として熱間圧延に先立つ鋳片の
加熱段階での加熱温度を、第一の技術にあっては、1260
℃以上、第二の技術にあっては、特開昭48-51852号公報
に開示されているように、素材におけるSi含有量による
が、3%Siの場合で1350℃、第三の技術にあっては、特
開昭51-20716号公報に開示されているように、1230℃以
上、高い磁束密度を有する製品が得られる実施例では13
20℃、といった極めて高い温度に鋳片を加熱することに
よって、粗大な状態で存在する析出物を一旦固溶させ、
その後の熱間圧延或は熱処理中に微細に分散、析出させ
るようにしている。
鋳片の加熱温度を高くすることには、加熱時の使用エネ
ルギーの増大、ノロと呼ばれる溶融スラグの発生に起因
する歩留の低下ならびに加熱炉の補修頻度が高くなるこ
とによるメインテナンスコストの増大及び設備稼働率の
低下といった問題があるほか、特公昭57-41526号公報に
開示されているように、二次再結晶不良が発生するため
に、連続鋳造鋳片を使用するには種々の対策が必要であ
り、さらに、特公昭59-7758号公報に開示されているよ
うに、製品板厚を薄くすると、この二次再結晶不良が一
層増加するなどの問題があった。鋳片の高温加熱に起因
するこれらの問題を解決するための技術として、特公昭
61-60896号公報に開示された技術がある。この技術にお
いては、鋳片は1280℃未満、実施例では例えば1150℃と
いった低温に加熱されるから、上述の従来技術における
問題は根本的に解決される。しかしながら、この技術に
あっても、高い磁束密度を有する製品を安定して製造し
うることおよびさらなる低コスト化のために解決すべき
問題がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、前記した従来技術の問題点に鑑み、きわめて
安定した二次再結晶を実現させることを達成しかつ製品
を低コストで製造しうる一方向性電磁鋼板の製造方法を
提供することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨とするところは下記の通りである。
(1)重量で、C:0.01〜0.2%、Si:1.5〜4.7%、酸可溶
性Al:0.010〜0.060%、N:0.003〜0.0130%、S≦0.012
%、Mn:0.06〜0.45%、残部がFe及び不可避的不純物か
らなる電磁鋼スラブを、900℃以上1250℃未満の温度域
に加熱した後、熱間圧延し、冷間圧延し、脱炭および一
次再結晶のための焼鈍を施し、焼鈍分離材を塗布した
後、仕上焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法におい
て、厚さ方向に少なくとも35%の柱状晶域を、少なくと
も一方のスラブ表面から有する連続鋳造電磁鋼スラブを
出発材とすることを特徴とする磁束密度の高い一方向性
電磁鋼板の製造方法。
(2)厚さ方向に少なくとも35%の柱状晶域を、少なく
とも一方のスラブ表面から有する連続鋳造電磁鋼スラブ
が、水平連続鋳造法によって鋳造され或は、湾曲型連続
鋳造プロセスにおける非垂直部において凝固を完了せし
められ、等軸晶が厚さ方向中央部から片面側に偏位せし
められたものである前項1記載の磁束密度の高い一方向
性電磁鋼板の製造方法。
(3)重量で、C:0.01〜0.2%、Si:1.5〜4.7%、酸可溶
性Al:0.010〜0.060%、N:0.0003〜0.0130%、S≦0.012
%、Mn:0.06〜0.45%、残部がFe及び不可避的不純物か
らなる電磁鋼スラブを、900℃以上1250℃未満の温度域
に加熱した後、熱間圧延し、冷間圧延し、脱炭および一
次再結晶のための焼鈍を施し、焼鈍分離材を塗布した
後、仕上焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法におい
て、厚さ方向に少なくとも35%の柱状晶域を、少なくと
も一方のスラブ表面から有する連続鋳造電磁鋼スラブを
出発材とするとともに、鋼板を一次再結晶発現後から仕
上焼鈍における二次再結晶発現までの何れかの段階で窒
化処理することを特徴とする磁束密度の高い一方向性電
磁鋼板の製造方法。
(4)厚さ方向に少なくとも35%の柱状晶域を、少なく
とも一方のスラブ表面から有する連続鋳造電磁鋼スラブ
が、水平連続鋳造法によって鋳造され或は、湾曲型連続
鋳造プロセスにおける非垂直部において凝固を完了せし
められ、等軸晶が厚さ方向中央部から片面側に偏位せし
められたものである前項3記載の磁束密度の高い一方向
性電磁鋼板の製造方法。
以下に、本発明を詳細に説明する。
先に述べたように、高配向{110}〈001〉方位粒を安定
して発現させるためには、二次再結晶に必要な析出物を
鋼中に均一に存在させる必要がある。鋼中の析出物に粗
密がある場合、たとえば、高配向の{110}〈001〉方位
粒出現潜在位置の析出物が密で、その他の方位粒位置の
析出物が疎であると、高配向{110}〈001〉方位粒の成
長開始前にその他の方位粒の成長が始まり、二次再結晶
不良或は低配向二次再結晶になると考えられる。特に製
品厚が薄くなり、板厚方向における一次再結晶粒の個数
が少なくなって来ると、析出物の粗密の悪影響が顕著に
現れる。
ところで、本発明が基盤とする析出物形成過程は、鋳造
から一次再結晶にいたる間での、α,γ二相状態におけ
る成分分配に基づく、析出物、特にAlNの場所的分布の
制御である。AlNの溶解度はα相よりもγ相の方が大き
い。α相においては、AlNはオストワルド成長をし、あ
るいはMnSと複合析出をして大きくなるが、γ相に一度
溶解して、γ→α変態を通して析出したAlNは微細であ
る。インヒビター強度は微細であるほど強い。また、Al
はγ相よりα相側に濃度富化するので、AlNの量はα相
の方が多い。この様なメカニズムが考えられるので、
α,γ二相温度域、即ち900℃以上1250℃未満の温度で
のスラブ加熱は一次再結晶粒に対するインヒビター分布
の場所的不均一を生じさせうる。
この様な知見に基づき、本発明者らはさらに研究を進め
た結果、AlNのインヒビター強度の不均一は、連続鋳造
スラブにおける柱状晶よりも等軸晶の方が大きいことを
発見した。柱状晶は凝固速度が速いために、デンドライ
ト凝固の際のアーム間隔が狭いが、等軸晶は逆に広い。
そのため柱状晶域では直径1〜2mmのγ相不析出域が存
在する。鋳片の析出物の状態を観察すると、炭化物周
辺、即ちγ→α変態域ではAlNが微細に析出している
が、γ相不析出域ではAlNはMnS等に付着して大きくなっ
ていることが判明した。
以下、本発明の実施様態について述べる。
先ず、素材成分であるが、AlとNは本発明では二次再結
晶に必要な析出物としてAlNを用いているところから必
須である。
Cは二次再結晶粒の方位集積度を高めるのに必要であ
る。Cを添加すると900℃以上の温度でγ相が析出し、
それ未満の温度で炭化物相が析出する。冷間圧延時に炭
化物相周辺に不均一な変形が生じ、二次再結晶が良好に
生じ、また方位集積度が高まって磁気特性の良好な一方
向性電磁鋼板が得られる。しかし、Cは最終製品のなか
に含まれていると磁気時効などの悪特性を生じさせる原
因となるので製造途中で脱炭を行う。このときC量が多
いと脱炭に費やす時間・エネルギーが増大し、コスト増
大、生産性低下を招く。前記の理由から、良好な磁気特
性を生ぜしめ、かつコスト上生産性に見合うC量として
0.01〜0.2%と規定した。
Siが1.5%未満では、仕上焼鈍時に鋼がα+γ二相にな
り、二次再結晶方位が破壊されるので1.5%以上とす
る。一方、Siが4.7%を超えると、鋼板を冷間圧延する
ときに割れが大きくなるので、4.7%以下とする。
MnおよびSはMnSの形で析出物を形成し、AlNがこれに付
着して析出の分布状態を変えるので制御が必要である。
その量としてS≦0.012%、Mn:0.06〜0.45%の範囲であ
ればAlNの析出状態に悪影響を及ぼさないので、該条件
とした。
Alは二次再結晶に必要インヒビターを形成するために、
最小限0.010%必要である。一方、0.060%を超えて添加
すると、AlNの粒径分布が不適切となるので上限を0.060
%とした。
次にNであるが、0.003%未満では一次再結晶粒の大き
さを制御できなくなり、0.0130%を超えるとブリスター
と呼ばれる鋼板表面の膨れが著しいので、N量を0.003
〜0.013%とした。
一般に、元素は、その傾向の大小はあるが、α/γに分
配されるものであるから、基本的には含有しない方が窒
化物形成には望ましい。特に本発明の効果が著しいの
は、α→γ変態が多い場合であり、Si:1.5〜4.7%の範
囲で、この変態が生じる成分系での本発明での意義が大
きい。例えば、Si:2.0%ではCとして約0.02%以上、S
i:4.7%ではCとして約0.042%以上の場合にはα→γ変
態が生じ、その中間のSi含有領域ではCがこの0.02〜0.
042%の範囲にある場合に、本発明の手段が明確な効果
を現すことになる。
一方、Mn,Ni等のγ生成元素が含まれると、この変態出
現C量限界値が下がる。
次に、全厚の35%以上の柱状晶を得るための、鋳造組織
の制御について述べる。
連続鋳造スラブの組織は凝固時に、鋳片内に温度分布が
あるために、一般に柱状晶域と等軸晶域に分かれてい
る。ここで、前述のように、スラブ加熱時に存在するγ
相は、凝固の際のデンドライトアームの幹の部分に沿っ
て析出し、即ち、鋳造組織を反映して析出する。機長35
mの連続鋳造機で、スラブ厚250mm、引き抜き速度1.4m/m
inで鋳造した場合、等軸晶の二次デンドライトアーム間
隔は、1mm程度、柱状晶は0.1mm程度であった。我々の調
査では、Fe-Si-C合金においてγ相は、デンドライトア
ーム中心(幹の部分)に沿って析出しており、柱状晶に
比べて等軸晶のγ相分布は、粗密が激しい。
この組織の制御は、鋳型につぎ込まれた溶鋼の温度と凝
固温度の差(ΔTと称する)によって成されており、差
が大きければ柱状晶が増加し、等軸晶が減少する。前述
した連続鋳造機を用いると、ΔT=20℃の時等軸晶率は
5%で、ΔT=10℃の時、等軸晶率は25%であった。ま
た、湾曲型連続鋳造機を用いて、水平部で凝固を完了さ
せた場合、ΔT=14℃で、柱状晶は上面52%、下面は23
%だけ存在していた。非垂直部で凝固を行う場合、等軸
晶発生核は溶鋼中で重力により下面側に沈降し、したが
って下面側で等軸晶が発達するので、その分上面側で柱
状晶が発達したと考えられる。水平連続鋳造機を用いれ
ば、この効果がさらに顕著に現れた鋳片を得ることがで
きる。
スラブ加熱温度は1250℃以上になると、加熱のための燃
料原単位が高くなるばかりでなく、スラブの表面が溶融
し始めて、ノロと呼ばれるスラグを発生し、設備の整
備、保全のために時間と費用が割かれることになる。90
0℃未満の温度では、熱間圧延における変形抵抗が増大
し、圧延荷重が増大して、生産コストが増大する。以上
の理由により、スラブ加熱温度は900℃以上1250℃未満
とした。
ところが、本発明における成分範囲において、900℃以
上1250℃未満の温度では、組織はα,γ二相共存状態に
なる。この様な温度で焼鈍した時には、前述したよう
に、AlNの分布に場所的不均一が起こり得る。従って、
等軸晶はγ相が粗密を持って分布するので、AlNの場所
的な不均一分布は鋳造直後よりもさらに拡大されるが、
柱状晶ではAlNの分布は均一なままである。
二次再結晶は板厚表面層から核発生し、中心層を侵食し
て板厚を貫通した後に、数mm〜数cmの大きさまで粗大化
していく。中心層のAlN分散が不均一であって、一次再
結晶の大きさが不均一であったとき、表面ゴス核は、接
触した中心層粒の小さいものが、優先的に成長する。中
心層粒径が均一であれば、集合組織的にはゴス方位粒が
成長し易いが、中心層に粗密があると、粒径不均一の影
響が出て、ゴス方位からずれた粒も成長する機会が増加
する。これらの粒が二次再結晶を完了すると、全体とし
て磁束密度の低い一方向性電磁鋼板ができあがってしま
う。表面ゴス粒が二次再結晶核となる最小の大きさは、
結晶粒二つないし三つ分の大きさである。本発明を通じ
て生じる一次再結晶粒の大きさは10〜30μm程度である
ので、板厚0.225mmの場合、全厚の35%以上の大きさと
なる。この時、二次再結晶核は、片側表面だけあれば十
分良好な磁気特性が得られるので、片側35%以上の領域
でAlNが均一に分散していればよい。即ち鋳片の段階
で、少なくとも片側表面から35%以上の柱状晶が得られ
れば、磁束密度の高い一方向性電磁鋼板を得ることがで
きるのである。
成品が薄手化すると、表面層での二次再結晶核の、全厚
に対する大きさの割合が大きくなるので、本発明の効果
がより顕著に現れると共に、より広い柱状晶域が必要と
なる。また、AlNの場所的な不均一分布は、1050℃以上
の熱延板焼鈍でやや緩和されるが、熱延板焼鈍温度が高
いことは生産の原単位を上げることになるので本発明は
製造コストの低下にも効果がある。
(実施例) 以下に、本発明の実施例を示す。
実施例1 表1の中で、試料番号1〜6,13〜18が本発明に相当す
る。試料番号1〜12は、垂直型連続鋳造機で鋳造された
鋳片の中から柱状晶部及び等軸晶部を厚さ40mmに切り出
し、熱延、冷延、一次再結晶焼鈍を経て、MnNを5%含
む焼鈍分離材を塗布した後に、高温仕上焼鈍により二次
再結晶させた一方向性電磁鋼板の製造条件と磁気特性で
ある。磁気特性の指標であるB8とは磁化力80A/m、周波
数50Hzで励磁したときの磁束密度の値であり、この値が
高いほど二次再結晶が良好に行われたことを意味する。
表より柱状晶部の多い素材を用いたときの方が磁気特性
が良好であることがわかる。また、非垂直状態での凝固
による連続鋳造鋳片を用いることによって本発明が容易
に実行できることも明らかである。本実施例において
は、全て熱延板焼鈍を実施しているが、1050℃以下の温
度で熱延板焼鈍を施す場合に、本発明の効果は顕著であ
り、就中熱延板焼鈍を行わずに二次再結晶させた場合
に、特に効果がはっきりと現れる。
また、本発明による時は、一次再結晶温度の変化に対す
る特性の変化が小さいことがわかる。これは、操業上に
おいても本発明による方が、一次再結晶温度の管理が緩
やかになることを意味し、一方向性電磁鋼板の安定製造
に有利である。
実施例2 Si:3.2%、C:0.053%、酸可溶性Al:0.0272%、N:0.0073
%、Mn:0.121%、S:0.005%、残部Feの成分を持ち、柱
状晶域が広い方でそれぞれ40%、25%の鋳片と、Si:3.3
%、C:0.052%、酸可溶性Al:0.0281%、N:0.0011%、M
n:0.115%、S:0.004%、残部Feの成分を持ち、柱状晶域
が広い方でそれぞれ43%、22%の鋳片を1150℃、1300℃
に加熱し、熱間圧延、900℃での熱延板焼鈍、冷間圧
延、830℃での一次再結晶焼鈍を行った後に、MnNを5%
含む焼鈍分離材を塗布して、高温仕上焼鈍を行った一方
向性電磁鋼板の磁気特性を表2に示す。スラブ加熱が高
温の時は本発明の効果が現れず、また磁気特性も悪い。
N量の少ないNo.29〜32も磁気特性が悪い。
実施例3 実施例1で用いた湾曲CC材、垂直CC材を1100℃でスラブ
加熱の後、熱間圧延、950℃での熱延板焼鈍、冷間圧
延、830℃での一次再結晶焼鈍を行ない、MnNを5%含む
焼鈍分離材を塗布して、高温仕上焼鈍を行って二次再結
晶させた一方向性電磁鋼板の磁気特性を表3に示す。こ
の時、熱延板の板厚を変えて、冷延圧下率が一定になる
条件で、成品板の板厚を0.1mm,0.2mm,0.3mmとなるよう
に圧延を行った。湾曲CC材と垂直CC材の特性の差は、板
厚0.3mmの時は、B8で0.5テスラであるが、0.1mmの時は
1.1テスラまで広がる。薄手材で本発明の効果が顕著に
なることが、この実施例から示される。
実施例4 実施例1で用いた湾曲CC材、垂直CC材を1100℃でスラブ
加熱の後、熱間圧延、950℃での熱延板焼鈍、冷間圧
延、830℃での一次再結晶焼鈍を行い、高温仕上焼鈍を
行って二次再結晶させた一方向性電磁鋼板の磁気特性を
表4に示す。この時、焼鈍分離材の中に、窒化の目的で
混入するMnNを添加しなかったものと、5%添加したも
の、及び一次再結晶焼鈍後仕上焼鈍前にアンモニアを含
む雰囲気中で焼鈍して窒化させたものを比較している。
窒化の有無に関わらず本発明材は比較材より磁気特性が
優れているが、窒化を行わなかったNo.39は、比較材のN
o.42と共に一部細粒が発生し二次再結晶不良を起こして
いる。
(発明の効果) 本発明を用いることにより、900℃以上1250℃未満の低
温スラブ加熱による一方向性電磁鋼板の製造において、
二次再結晶がより良好に生じ、さらなる安定製造が可能
になる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量で、C:0.01〜0.2%、Si:1.5〜4.7%、
    酸可溶性Al:0.010〜0.060%、N:0.003〜0.0130%、S≦
    0.012%、Mn:0.06〜0.45%、残部がFe及び不可避的不純
    物からなる電磁鋼スラブを、900℃以上1250℃未満の温
    度域に加熱した後、熱間圧延し、冷間圧延し、脱炭およ
    び一次再結晶のための焼鈍を施し、焼鈍分離材を塗布し
    た後、仕上焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法にお
    いて、厚さ方向に少なくとも35%の柱状晶域を、少なく
    とも一方のスラブ表面から有する連続鋳造電磁鋼スラブ
    を出発材とすることを特徴とする磁束密度の高い一方向
    性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】厚さ方向に少なくとも35%の柱状晶域を、
    少なくとも一方のスラブ表面から有する連続鋳造電磁鋼
    スラブが、水平連続鋳造法によって鋳造され或は、湾曲
    型連続鋳造プロセスにおける非垂直部において凝固を完
    了せしめられ、等軸晶が厚さ方向中央部から片面側に偏
    位せしめられたものである請求項1記載の磁束密度の高
    い一方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】重量で、C:0.01〜0.2%、Si:1.5〜4.7%、
    酸可溶性Al:0.010〜0.060%、N:0.0003〜0.0130%、S
    ≦0.012%、Mn:0.06〜0.45%、残部がFe及び不可避的不
    純物からなる電磁鋼スラブを、900℃以上1250℃未満の
    温度域に加熱した後、熱間圧延し、冷間圧延し、脱炭お
    よび一次再結晶のための焼鈍を施し、焼鈍分離材を塗布
    した後、仕上焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法に
    おいて、厚さ方向に少なくとも35%の柱状晶域を、少な
    くとも一方のスラブ表面から有する連続鋳造電磁鋼スラ
    ブを出発材とするとともに、鋼板を一次再結晶発現後か
    ら仕上焼鈍における二次再結晶発現までの何れかの段階
    で窒化処理することを特徴とする磁束密度の高い一方向
    性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】厚さ方向に少なくとも35%の柱状晶域を、
    少なくとも一方のスラブ表面から有する連続鋳造電磁鋼
    スラブが、水平連続鋳造法によって鋳造され或は、湾曲
    型連続鋳造プロセスにおける非垂直部において凝固を完
    了せしめられ、等軸晶が厚さ方向中央部から片面側に偏
    位せしめられたものである請求項3記載の磁束密度の高
    い一方向性電磁鋼板の製造方法。
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