JPH07300559A - 芳香族ポリエーテルスルホン溶液組成物およびフィルムの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリエーテルスルホン溶液組成物およびフィルムの製造方法

Info

Publication number
JPH07300559A
JPH07300559A JP6237001A JP23700194A JPH07300559A JP H07300559 A JPH07300559 A JP H07300559A JP 6237001 A JP6237001 A JP 6237001A JP 23700194 A JP23700194 A JP 23700194A JP H07300559 A JPH07300559 A JP H07300559A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
solvent
polyether sulfone
weight
dope
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6237001A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2991937B2 (ja
Inventor
Hisashi Jo
尚志 城
Kaoru Iwata
薫 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP6237001A priority Critical patent/JP2991937B2/ja
Publication of JPH07300559A publication Critical patent/JPH07300559A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2991937B2 publication Critical patent/JP2991937B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 環境汚染、腐食の恐れのあるハロゲン系溶媒
を用いないで、1,3−ジオキソランを使用することに
より表面性、透明性、均質性等に優れた芳香族ポリエー
テルスルホンのキャストフィルムを製造する。 【構成】 1,3−ジオキソラン60重量%以上含有す
る溶媒15〜90重量部に対し10重量部の芳香族ポリ
エーテルスルホンを溶解したドープ、およびそれを用い
て、流延法により表面性、光学等方性に優れた芳香族ポ
リエーテルスルホンフィルムを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリエーテルス
ルホンの溶液およびその溶液からの表示素子などの光学
用途あるいは電気・電子機器用途に有用な芳香族ポリエ
ーテルスルホンフィルムを製造する方法に関する。更に
詳しくは、環境汚染を引き起こさない非ハロゲン系溶媒
である1,3−ジオキソランからなる溶液組成物(ドー
プ)を用いた、表面性、透明性、均一性に優れかつ残留
溶媒の少ない芳香族ポリエーテルスルホンフィルムの溶
液流延法(キャステイング法)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示装置が消費電力が少な
く、かつ画像品質に優れている点から注目を浴び実用化
が進められている。これらの液晶表示装置においては、
偏光板、保護層、位相差板および電極基板などに高分子
フィルムが使用されている。その内、高分子電極基板す
なわちプラスチック基板は、液晶表示装置の軽薄化のた
めに従来のガラス基板に代わり用いられるもので、透過
する偏光を液晶層に正確に伝えるために極めて高い光学
等方性と均質性が求められる。さらに透明電極の製膜や
配向膜形成など加工時に加わる熱に耐えるだけの耐熱性
が求められる。そのために無延伸のポリカーボネートフ
ィルム、ポリアリレートフィルムなどが用いられている
が、耐熱性の観点で芳香族ポリエーテルスルホンからな
るフィルムが極めて優れた特性を示すことから有望視さ
れている。しかしながら芳香族ポリエーテルスルホンは
芳香族基を分子内に含むために分極率が高く、したがっ
てわずかな分子配向によっても芳香族ポリエーテルスル
ホンフィルムに光学異方性を生じる欠点を有している。
かかる観点から、分子配向を極力抑え、光学等方性に優
れた芳香族ポリエーテルスルホンフィルムを製膜する技
術の開発が重要な課題となっている。
【0003】位相差フィルムは、STN型液晶表示素子
やTN型液晶表示素子において画像の視認性を向上させ
るために用いられるものであり、液晶層を透過した楕円
偏光を直線偏光に変換する役割を担っている。これらの
素材として主として一軸延伸したポリカーボネートフィ
ルムやポリビニルアルコールフィルムが用いられてい
る。最近更なる画像視認性の向上の要請から、液晶層と
一致した位相差の波長分散性を有する位相差フィルムが
求められ、芳香族ポリエーテルスルホンフィルムが有望
視されている。先に述べたように、芳香族ポリエーテル
スルホンは芳香族基を分子内に含むために分極率が高
く、フィルムを一軸延伸で分子配向することにより屈折
率異方性が得やすい。そのために位相差フィルムに要求
される位相差をわずかな延伸で得られる点で有利である
が、その反面、光学的に均質な配向フィルムを得ること
が難しい。かかる配向フィルムを得るためには、未延伸
フィルム(ベースフィルム)の段階で光学的に高度に等
方性を有するフィルムを用いる必要があり、したがって
製膜技術の開発が望まれる。
【0004】一般に芳香族ポリエーテルスルホンは溶融
押し出し法、特にTダイ法により製膜される。Tダイ法
はプラスチックの製膜方法として広く用いられている
が、高粘度の融液を押し出すために、高分子鎖が配向し
やすくさらには膜内に応力歪みが残りやすいため、光学
等方性や均質性が得難い。溶融粘度を下げるには、プラ
スチックの分子量を下げるあるいは製膜温度を上げるこ
とが必要であるが、分子量を下げるとフィルムの力学的
特性が低下し、また製膜温度を上げると熱劣化や着色を
誘発しやすくなる。また、Tダイから押し出した融液を
直接急速冷却するためにTダイによる筋、いわゆるダイ
ラインが発生しやすく高度な表面性を有するフィルムが
得難い。液晶表示装置に用いられるフィルムに要求され
る表面性、光学均質性はかなり厳しい。例えば、プラス
チック基板に対しては、表面厚み斑±5μm以下、位相
差10nm以下、光学軸配向±10°以下が要求され、
位相差フィルム用ベースフィルムに対しては、表面厚み
斑±2μm以下、位相差30nm以下、光学軸配向±1
°以下が要求される。このような厳しい要求を溶融押し
出し法達成することは困難であるのが実状である。
【0005】このような問題を回避するために溶液流延
法(キャスティング法)で製膜することが考えられる。
溶液流延法で液晶表示装置用フィルムのような100μ
m程度の厚膜を得るには高濃度の溶液(ドープ)が必要
であるが、芳香族ポリエーテルスルホンを高濃度に溶解
しかつ製膜に適用可能な溶媒は限定される。たとえば、
ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ピリジ
ンあるいはN−メチルピロリドンなどの極性溶媒はこれ
らの良溶媒である。しかしながらこれらは高沸点である
ために製膜フィルム内の残留溶媒量を容易に低下させる
ことはできず、製膜用溶媒としては実用的でない。ジク
ロロメタンやクロロホルムなどのハロゲン系溶媒も良溶
媒としてあげられるが、これらは環境汚染への影響が問
題視され、かつ発ガン性の疑いがあるために使用禁止の
動向にある。しかもこれらの溶媒は微量でもフィルム内
に残留すると、長期間の使用の過程で好ましくない腐食
性化合物を生成するために微細な素子を用いる表示装置
や電機・ 電子機器分野への適用に制限がある。これらの
観点から非ハロゲン系溶媒からの製膜技術の開発が期待
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、環境
汚染あるいは腐食の恐れのあるハロゲン系溶媒を用いな
いで、表面性、光学特性、均質性に優れた残留溶媒の少
ない芳香族ポリエーテルスルホンフィルムを溶液流延法
により与える製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、(1)1,3−ジオ
キソランが芳香族ポリエーテルスルホンを高濃度に溶解
し、かつその溶液の安定性が優れている、(2)特定の
粘度のその溶液から、白濁を起こさずに透明かつ光学等
方性の平滑なフィルムを製膜できることを見い出し本発
明に到達した。
【0008】すなわち本発明は、1,3−ジオキソラン
を60重量%以上含有する溶媒15〜90重量部に対
し、10重量部の芳香族ポリエーテルスルホンを溶解さ
せた芳香族ポリエーテルスルホン溶液組成物である。
【0009】また、本発明は、溶液組成物(ドープ)を
支持基板上に流延し、これを加熱して溶媒を蒸発させて
フィルムを製造するに際し、1,3−ジオキソランを6
0重量%以上含有する溶媒15〜90重量部に対し、1
0重量部の芳香族ポリエーテルスルホンを溶解させたド
ープを使用することを特徴とする芳香族ポリエーテルス
ルホンフィルムの製造方法である。
【0010】上に述べたように、1,3−ジオキソラン
は芳香族ポリエーテルスルホンの製膜に非常に優れた溶
媒であるが、空気に触れると過酸化物を生じやすい点が
唯一の欠点である。この点に関しても鋭意検討した結
果、不活性ガス雰囲気中で乾燥すれば過酸化物の生成を
抑えることが出来ることを見いだした。そして、驚くべ
きことに、1,3−ジオキソランがその爆発限界下限の
2.1%以上の高濃度含まれていてもきわめて効率よく
乾燥出来ることを見いだし得、本発明に到達した。この
ことは、1,3−ジオキソランを高濃度含む雰囲気で乾
燥することにより、簡単な方法で効率よく溶媒回収でき
ることに相当する。
【0011】以下に本発明を詳述する。
【0012】本発明において用いられる芳香族ポリエー
テルスルホンは、骨格に芳香族基がスルホン基およびエ
ーテル基により結合されているものを総称する。例え
ば、下記一般式(1)〜(3)
【0013】
【化1】 (−Ar1 −SO2 −Ar2 −O−) (1) (−Ar3 −X−Ar4 −O−Ar5 −SO2 −Ar6 −O−) (2) (−Ar7 −SO2 −Ar8 −O−Ar9 −O−) (3) [式(1)中、Ar1 、Ar2 は同一または異なる炭素
数6〜12の芳香族炭化水素基である。式(2)中、A
3 〜Ar6 は同一または異なる炭素数6〜12の芳香
族炭化水素基、Xは炭素数1〜15の二価の炭素水素基
である。式(3)中、Ar7 〜Ar9 は同一または異な
る炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。]からな
る群より選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位からな
る芳香族ポリエーテルスルホンが挙げられる。
【0014】ここで、式(1)において好適なAr1
Ar2 としては炭素数6〜12のアリーレン基であり、
炭素数6〜10のアリーレン基がより好適である。具体
的には、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ジメチ
ル−p−フェニレン基、テトラメチル−p−フェニレン
基、ナフチレン基、ビフェニリレン基などがあげられ
る。Ar1 、Ar2 がともにp−フェニレン基である場
合が、製造面からも有利であり特に好適に用いられる。
【0015】式(2)において、好適なAr3 〜Ar6
としては炭素数6〜12のアリーレン基であり、炭素数
6〜10のアリーレン基がより好適である。具体的に
は、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ジメチル−
p−フェニレン基、テトラメチル−p−フェニレン基、
ナフチレン基、ビフェニリレン基などがあげられ、特に
好適な例としてAr3 〜Ar6 はいずれもp−フェニレ
ン基があげられる。また、Xは炭素数1〜15の二価の
炭素水素基であり、炭素数1〜15の二価の脂肪族炭化
水素基、脂環族炭化水素基及びアラアルキレン基から選
ばれる。好適には炭素数1〜10の二価の脂肪族炭化水
素基、脂環族炭化水素基、アラアルキレン基であり、よ
り好適には、炭素数1〜10の二価の脂肪族炭化水素
基、脂環族炭化水素基、アラアルキレン基である。具体
的にはメチレン基、1,1−エチレン基、2,2−プロ
ピレン基、2,2−ブチレン基、4−メチル−2,2−
ペンチレン基などの脂肪族炭化水素基、1, 1−シクロ
ヘキシレン基、3,3,5−トリメチル−1, 1−シク
ロヘキシレン基などの脂環族炭化水素基、1−フェニル
−1,1−エチレン基、ジフェニルメチレン基などのア
ラアルキレン基が例示できる。これらの中で2,2−プ
ロピレン基がさらにより好適に用いられる。式(2)に
おいて、特に好ましくはAr3 〜Ar6 がいずれもp−
フェニレン基であり、かつXが2,2−プロピレン基で
ある。
【0016】さらに式(3)において、好適なAr7
Ar8 としては炭素数6〜12のアリーレン基であり、
炭素数6〜10のアリーレン基がより好適である。具体
的には、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ジメチ
ル−p−フェニレン基、テトラメチル−p−フェニレン
基、ナフチレン基、ビフェニリレン基などがあげられ
る。これらの中でAr7 、Ar8 はともにp−フェニレ
ン基がさらに好適に用いられる。また、好適なAr9
しては炭素数6〜12のアリーレン基であり、炭素数6
〜10のアリーレン基がより好適である。具体的には、
m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフチレン基、
ビフェニリレン基などがあげられる。これらの中でp−
フェニレン基、ビフェニリレン基がさらにより好適であ
る。式(3)において特に好ましくはAr7 、Ar8
Ar9 がいずれもp−フェニレン基である。
【0017】本発明に用いられる芳香族ポリエーテルス
ルホンは、上記式(1)〜(3)で表される一種あるい
は二種以上の繰り返し単位からなる、組成物または共重
合体も好適に使用できる。例えば共重合体の場合、式
(1)の繰り返し単位および式(2)の繰り返し単位か
らなる芳香族ポリエーテルスルホン、式(1)の繰り返
し単位および式(3)の繰り返し単位からなる芳香族ポ
リエーテルスルホンが好ましく用いられる。その場合、
式(1)の繰り返し単位と式(2)の繰り返し単位、あ
るいは式(1)の繰り返し単位と式(3)の繰り返し単
位の割合、すなわち共重合組成比(1)/(2)、
(1)/(3)は得られる該芳香族ポリエーテルスルホ
ンの溶解性、耐熱性、製膜したフィルムの物性を鑑みて
決定すればよく特に制限はないが、式(1)の繰り返し
単位を0.1〜99.9モル%、好ましくは1〜99モ
ル%含有する芳香族ポリエーテルスルホンが好ましい。
【0018】上記の芳香族ポリエーテルスルホンは公知
の方法で重合できる。例えばアルカリ金属炭酸塩の存在
下、非プロトン性極性溶媒中で水酸基およびハロゲン基
を末端に有するモノマーを重縮合することにより得るこ
とができる。
【0019】本発明において用いられる芳香族ポリエー
テルスルホンの分子量は、その尺度であるηsp/cで表示
すると0.1〜10dl/g、好ましくは0.3〜5.
0dl/gの範囲のものである。但しこれらの粘度は
0.5g/dlジオキソラン溶液中、30℃で測定した
値である。0.1dl/gより小さいと丈夫なフィルム
が得られず、また10dl/gを越えると該ポリマーが
得にくいばかりか溶解性が低下するために好ましくな
い。
【0020】本発明に使用される芳香族ポリエーテルス
ルホンは溶媒に溶解する前に再沈殿を行う、あるいは一
度融解した後急冷したのち用いることが好ましい。なぜ
ならばアモルファスな状態の方が溶解速度が速く、また
溶液組成物(ドープ)の安定性が高いからである。再沈
殿は良溶媒を用いて作製した希薄溶液を貧溶媒に滴下す
ることにより行われる。良溶媒としてはジメチルアセト
アミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン
等の極性溶媒やジクロロメタン、クロロホルム等のハロ
ゲン系溶媒、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル系溶媒があ
げられる。貧溶媒としてはメタノール、エタノール等の
アルコール系溶媒や水があげられる。融解は窒素あるい
は不活性ガス雰囲気下で行う方が着色抑制の観点から良
い。また融点から室温までできるだけ速やかに急冷する
ことが必要である。
【0021】本発明において用いられる溶媒の主成分は
1,3−ジオキソランである。この溶媒は溶解性が高
く、比較的低沸点であり、かつ安定な高濃度溶液を与え
る溶媒として好適に用いられる。しかも非ハロゲン系溶
媒であるために、ハロゲン系溶媒で危ぐされる環境汚染
や発ガン性の影響は少ない。また、ハロゲン系溶媒で
は、例えば空気中の水分と反応して塩化水素で代表され
る腐食性ガスを発生してキャステイング装置、特に心臓
部とも言える鏡面仕上げを施した金属キャストドラムや
キャストベルト面を腐食する可能性があり、さらにはハ
ロゲン系溶媒からなる溶液組成物を用いて製膜した場
合、フイルム内に残留する微量のハロゲンイオンが液晶
表示装置の透明電極やTFT(Thin Film T
ransister)を劣化させる可能性がある。本発
明に用いる1,3−ジオキソランは非ハロゲン系溶媒で
あるためにこのような心配がない。
【0022】本発明において用いられる溶媒としては、
1,3−ジオキソランを60重量%以上、好ましくは7
0重量%以上含有する溶媒であり、単一溶媒、すなわち
100重量%の1,3−ジオキソランが好ましい。使用
する他の溶媒としては特に限定はなく、効果を勘案して
用いればよい。ここで言う効果とは、溶解性や安定性を
犠牲にしない範囲で溶媒を混合することによる、たとえ
ば溶液流延法により製膜したフイルムの表面性の改善
(レベリング効果)、蒸発速度や系の粘度調節、結晶化
抑制効果などである。これらの効果の度合により混合す
る溶媒の種類や添加良を決定すればよく、また混同する
溶媒として1種または2種以上用いてもかまわない。好
適に用いられる溶媒としては1,4−ジオキサン、テト
ラヒドロフランなどの環状エーテル、トルエン、キシレ
ンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、メトキシエチルアセテートなど
のエーテル系溶媒が挙げられる。
【0023】本発明によれば、ドープの芳香族ポリエー
テルスルホンの濃度は、かかる芳香族ポリエーテルスル
ホン10重量部に対して溶媒量が15〜90重量部、好
ましくは20〜50重量部である。溶媒量がこれ以上で
は溶液の安定性は問題ないが、芳香族ポリエーテルスル
ホンの実行濃度が低いために好ましくないばかりか、こ
の溶液組成物を用いて溶液流延法で製膜した場合溶液粘
度が低いために外部擾乱が起きやすく表面平滑性が得ら
ず好ましくない。逆に溶媒量がこれ以下では安定なドー
プが得にくい。これらの濃度は主としてドープの安定
性、溶液粘度を勘案して決定される。
【0024】得られたドープ中に不純物等の不溶物、浮
遊物がある場合、あるいはドープにヘーズが認められる
場合には、ろ過等の処理によってそれらを取り除くこと
が望ましい。かかる処理を実施しないと製膜したフィル
ムの光学特性を悪化させることがある。また調製したド
ープ自体の保存安定性も低下することがある。
【0025】本発明においては1,3−ジオキソランを
主体とする溶媒に芳香族ポリエーテルスルホンを溶解し
て得た溶液組成物(ドープ)を支持基板上に流延した
後、加熱して溶媒を蒸発させることによりフィルムを得
る。工業的連続製膜行程は一般に流延行程、乾燥工程、
熱処理行程の3行程からなる。流延行程はドープを平滑
に流延する行程であり、乾燥工程は流延したドープから
大部分の溶媒を蒸発除去する行程であり、熱処理行程は
残りの溶媒を除去する行程である。
【0026】流延行程では、ドクターブレードによる方
法、リバースロールコーターによる方法、ダイから押し
出す方法などが用いられる。工業的にはダイからドープ
をベルト状もしくはドラム状の支持基板に連続的に押し
出す方法が最も一般的である。用いる支持基板としては
特に限定はないが、ガラス基板、ステンレスやフェロタ
イプなどの金属基板、ポリエチレンテレフタレートなど
のプラスチックフィルムなどが用いられる。しかし、本
発明の主眼となる高度に光学等方性に優れた均質フィル
ムを工業的に得るには表面を鏡面仕上げした金属基板が
最も一般的に用いられる。
【0027】一般にドープから透明かつ平滑なフィルム
を製膜するにあたり溶液粘度は極めて重要な因子であ
る。溶液粘度は樹脂の濃度、分子量および溶媒の種類に
依存するが、本発明の溶液組成物の粘度は、300〜5
0,000cps、好ましくは400〜30,000c
psである。これを越えると溶液の流動性が下がるため
に平滑なフィルムが得られないことがあり好ましくな
い。また、それ未満では流動性が高すぎ外部擾乱のため
に表面の乱れが生じ均質・平滑なフィルムが得られな
い。
【0028】流延行程から乾燥工程に移る前に、ある程
度の時間乾燥を抑制しドープの流動性を確保することに
よりフィルムの表面性を高度に平滑化(レベリング効
果)することが可能である。この際、たとえばジクロロ
メタンやクロロホルムなどのごとく低沸点揮発性溶媒で
は、常温でも著しく溶媒の蒸発がおきる。そのために、
蒸発に伴う擾乱が起きると同時に表面の乾燥がおきてい
わゆる柚肌現象がおきる。それに対して、本発明による
1,3−ジオキソランは適当な沸点および揮発性である
ためにそのような現象がおきにくく、高度に平滑性を要
求されるフィルム製膜には好ましい。
【0029】乾燥工程においては、できるだけ短時間に
支持基板上に流延されたドープから大部分の溶媒を蒸発
除去する必要がある。しかしながら、急激な蒸発が起こ
ると発泡による変形を受けるために、乾燥条件は慎重に
選択するべきである。本発明においては、使用する溶媒
の中で最も低い沸点、好適にはその(沸点−10)℃を
上限とする範囲で行われる。通常、初期段階では使用す
る溶媒の沸点より低い温度、たとえば30℃から逐次的
あるいは連続的に昇温する方法が取られる。また、必要
に応じて風を送ってもよい。その場合、一般的には風速
は1〜20m/秒、好ましくは2〜15m/秒の範囲が
用いられる。それ未満では効果が十分でなく、逆にそれ
を越えると風の擾乱のために平滑面が得られないために
好ましくない。風速は逐次的ないしは連続的に変化させ
てもよい。一方、この段階ではフィルムは基板上にあ
り、この工程の最後に基板から剥離される。その際に残
留溶媒量が多いとフィルムが柔らかいためにフィルム内
でポリマーの流動変形がおき、また、残留溶媒量が少な
いと基板との密着性が高いために応力歪みが生じる。従
って残留溶媒量は重要な因子であり、好適には残留溶媒
量5〜30重量%、さらに好適には10〜20重量%の
範囲が選択される。
【0030】熱処理行程においては、基板より剥離した
フィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3重量%以下、
好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量
%以下にする必要がある。残留溶媒が多いと経時的に変
形が起こったり、後加工工程で熱が加わると寸法変化が
おこる。特に液晶表示装置においては光学的に均質なフ
ィルムが要求されるために重要である。工業的にはピン
テンダー方式あるいはロール懸垂方式でフィルムを搬送
しながら乾燥する方法が取られる。乾燥温度はフィルム
の変形が生じない範囲から選択しなければならない。す
なわち、用いる芳香族ポリエーテルスルホンのガラス転
移温度をTg(℃)とするとき、(Tg−100℃)〜
Tgの範囲、好ましくは(Tg−80℃)〜(Tg−1
0℃)の範囲が選ばれる。熱変形は、残留溶媒が少なく
なるにつれておきにくくなる。従って、該範囲内で初期
に低温で、その後逐次的ないしは連続的に昇温する方法
をとることが好ましい。また、乾燥工程と同様に送風し
てもよい。
【0031】次に、不活性ガス雰囲気における製膜法に
ついて述べる。
【0032】本発明において、乾燥工程すなわち支持基
板上に流延されたドープから溶媒を蒸発除去するに際し
ては、通常空気雰囲気中で行われるが、不活性ガス雰囲
気中にて行うことが好ましい。
【0033】上記不活性ガス雰囲気を構成する不活性ガ
スとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、
炭酸ガスなどの非酸化性、不燃ガスが挙げられる。その
内、経済性を考慮すると窒素ガス、炭酸ガスが好適に用
いられる。
【0034】上記不活性ガスに含まれる酸素濃度は好ま
しくは10容量%以下、より好ましくは8容量%以下、
さらに好ましくは5容量%以下である。酸素濃度が10
容量%より高い場合には爆発の可能性が高くなり好まし
くない。酸素濃度は上記の条件を充足すればよく、技術
的下限はなく経済性を考慮して適宜決定すればよい。
【0035】また、上記不活性ガス雰囲気は、上記ドー
プ中に含まれる1,3−ジオキソランを主成分とする溶
媒の蒸気濃度が好ましくは3容量%以上、より好ましく
は5容量%以上含有することが、溶媒の回収効率を考慮
すると、また、フィルムの乾燥速度が速いことからも望
ましい。上限濃度は特に限定はないが、乾燥温度に於け
る飽和蒸気濃度の50%が好ましい。それ以上では、乾
燥速度が低下するために好ましくない。
【0036】このような濃度の溶媒蒸気を含む不活性ガ
スを、冷却した凝縮器に導き不活性ガス雰囲気中で該溶
媒の回収を行うことにより酸化されやすい1,3−ジオ
キソランを、過酸化物の生成を抑え、安定に回収するこ
とが出来る。
【0037】本発明の実施に当たっては、通常の乾燥機
の空気導入部に流量調整装置を取り付けた窒素などの不
活性ガス源を連結し、排気口に冷却凝縮装置を接続する
ことにより高濃度雰囲気から溶剤を回収することが可能
である。このような装置については既に技術的に整備さ
れている(特公昭55−36389号広報、特公昭59
−21656号広報など)。
【0038】また、乾燥工程で大部分の溶媒が除去され
るために、後乾燥に相当する熱処理工程は、必ずしも不
活性ガス雰囲気中で行う必要はなく、空気中で行っても
よい。但し、熱処理工程は、たとえ不活性ガス雰囲気中
で行っても、雰囲気内の溶媒濃度は低い方がよいことは
自明である。この工程は前記の熱処理工程に準じて行え
ばよい。
【0039】以上述べたように不活性ガス雰囲気中での
乾燥では、爆発限界の懸念がないために、溶媒を高濃度
含む雰囲気で乾燥でき、単なる凝縮法により溶媒が回収
出来る。それに対して空気雰囲気中では、爆発限界以下
の低濃度溶媒雰囲気で乾燥をしなければならず、吸着法
やガス吸収法などの方法しか適用出来ないために溶媒の
回収、精製の点からも不利は免れ得ない。また、不活性
雰囲気での乾燥では、溶媒の空気酸化が起こらないため
に過酸化物の生成が抑えられて有利である。また、通常
溶媒蒸気の濃度は低い程乾燥が効率的に進行すると信じ
られていたが、驚くべきことに本発明に於ける高溶媒濃
度の雰囲気でも乾燥が円滑に進行し、熱処理工程まで含
めたトータルの乾燥まで含めると空気中で低溶媒濃度雰
囲気の場合に劣らない速度で乾燥出来ることがわかっ
た。これは、高溶媒濃度不活性雰囲気中では初期段階に
おいて表面乾燥が抑えられ、表面に皮膜層(スキン層)
が形成しないため、その後の乾燥過程および熱処理工程
に於てフイルム中の溶媒の拡散が円滑に進行するためと
推定される。
【0040】本発明により得られるフィルムの厚みは、
10〜300μm、好ましくは50〜200μmの範囲
である。特にプラスチック基板、位相差フィルム用には
50〜200μmの厚みが好んで用いられる。これより
厚いと残留溶媒を除去することが困難であり、またこれ
より薄いと厚み斑を抑制することが困難である。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、環境汚染あるいは腐食
の恐れのない非ハロゲン系溶媒である1,3−ジオキソ
ランを主溶媒として用いることにより、表面性、光学特
性、均質性に優れかつ残留溶媒の少ない芳香族ポリエー
テルスルホンフィルムを流延法により得ることができ
る。該フィルムは液晶表示素子等に用いられる光学用フ
ィルム、特に位相差フィルムに有用である。
【0042】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳述する。但
し、本発明はこれに限定されるものでない。実施例で行
った測定項目は以下の方法で測定した。
【0043】溶液粘度:東京計器(株)製B型粘度計B
H型を使用。30℃で測定。 透過率:島津製作所(株)製紫外可視分光器(UV−2
40)を使用した。 ヘイズ値:NIPPON DENSHOKU KOGYO(株) 製自動デジタル
ヘイズメーターUDH−20Dを使用した。 位相差および遅相軸:自動複屈折計KOBRA−21A
DH(KSシステムズ(株)製)を使用した。 残留溶媒の定量:窒素雰囲気中で180℃で10時間加
熱し、その前後の重量測定により求めた。 過酸化物の定量:1H−NMRにより定量した。
【0044】[実施例1]1,3−ジオキソラン30重
量部に対して前記式(1)中のAr1 、Ar2 がともに
p- フェニレン基である繰り返し単位から主としてなる
芳香族ポリエーテルスルホン(アモコ社製「Radel A-30
0 」、ηsp/c= 0.34dl/g)10重量部を室温下
で撹拌しながら3回に分け加えたところ、透明で粘ちょ
うなドープを得た。この溶液の30℃における溶液粘度
は4.1×102 cpsであった。この溶液は、室温下
密閉状態で24時間放置しても変化せず、白濁化やゲル
化現象は認められなかった。
【0045】得られた溶液をドクターブレードを用いて
ガラス基板上に流延した後、30℃で20分、50℃で
20分、80℃で20分、さらに100℃で20分乾燥
しフィルムを基板から剥離した。この状態のフィルムの
残留溶媒量は10.3重量%であった。かかるフィルム
をさらに120℃で20分、150℃14時間で乾燥
し、膜厚を触針法で測定したところ76μmであった。
得られたフィルムは発泡、柚肌、波打ち現象がなく均一
であった。また残留溶媒は1.22重量%であった。可
視光領域における透過率は85%以上であり、ヘイズは
1.1%であり光学的に透明であった。波長590nm
における位相差を求めたところ10nm以下でありまた
フィルム内でのバラツキも少なかった。また遅相軸のバ
ラツキも±10°以下であり光学的にも均質であった。
DSCにより測定したガラス転移点は、208.0℃で
あり耐熱性も高かった。
【0046】[比較例1]実施例1において1,3−ジ
オキソランの代わりに、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、n−ブタノール、n−ヘ
キサンの各溶媒を用いたが、いずれも該ポリエーテルス
ルホンを完全に溶解することはできなかった。
【0047】[実施例2]実施例1における1,3−ジ
オキソラン30重量部の代わりに、1,3−ジオキソラ
ン23重量部を用いて実施例1と同様の方法でドープを
調製した。このドープの30℃における溶液粘度は1.
2×103 cpsであった。この溶液は、室温下密閉状
態で24時間放置しても変化せず、白濁化やゲル化現象
は認められなかった。
【0048】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ厚み88μmのフィルムが得られた。得ら
れたフィルムは発泡、柚子肌、波打ち現象がなく均一で
あった。残留溶媒量は1.25重量%であり極めて微量
であった。また可視光領域における透過率は85%以上
であり、ヘイズは1.1であり光学的に透明であった。
波長590nmにおける位相差を求めたところ10nm
以下でありまたフィルム内でのバラツキも少なかった。
また遅相軸のバラツキも±10°以下であり光学的にも
均質であった。DSCにより測定したガラス転移点は、
208.0℃であり耐熱性も高かった。
【0049】[実施例3]実施例1における1,3−ジ
オキソラン30重量部の代わりに、1,3−ジオキソラ
ン20重量部を用いて、実施例1と同様の方法でドープ
を調製した。このドープの30℃における溶液粘度は
2.5×103 c psであった。この溶液は室温下密閉
状態で24時間放置しても変化せず、白濁化やゲル化現
象は認められなかった。
【0050】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ厚み65μmのフィルムか得られた。得ら
れたフィルムは発泡、柚子肌、波打ち現象がなく均一で
あった。残留溶媒量は0.3%であり極めて微量であっ
た。また可視光領域における透過率は89.5%であ
り、ヘイズは0.7%であり光学的に透明であった。波
長590nmにおける位相差を求めたところ10nm以
下でありまたフィルム内でのバラツキも少なかった。ま
た、遅相軸のバラツキも±10°以下であり光学的にも
均質であった。DSCにより測定したガラス転移点は、
219.4℃であり耐熱性も高かった。
【0051】[比較例2]実施例1における1,3−ジ
オキソラン30重量部の代わりに1,3−ジオキソラン
190重量部を用いて実施例1と同様の方法でドープを
調製した。このドープは、室温下密閉状態で24時間放
置しても変化せず、白濁化やゲル化現象は認められなか
った。
【0052】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ厚さ9μmのフィルムを得た。このフィル
ムには柚子肌状の凹凸が全面にわたって観察され、表面
平滑性は良好でなかった。
【0053】[比較例3]実施例1における1,3−ジ
オキソラン30重量部の代わりに1,3−ジオキソラン
10重量部を用いて実施例1と同様の方法でドープを調
製した。24時間攪拌を継続したが不溶分が残った。ま
た、さらに24時間後には溶液全体が白濁し流動性も著
しく低下した。このドープを使って実施例1と同様に製
膜を試みたが、透明で均一なフィルムを得ることはでき
なかった。
【0054】[実施例4]実施例1における1,3−ジ
オキソラン30重量部の代わりに、1,3−ジオキソラ
ン24重量部を用い、芳香族ポリエーテルスルホン(ア
モコ社製「RadelA-300 」)の代わりに芳香族ポリエー
テルスルホン(アモコ社製「Radel A-100」)を用いて
実施例1と同様の方法でドープを調製した。このドープ
の30℃における溶液粘度は2.8x103 c psであ
った。このドープは室温下密閉状態で24時間放置して
も変化せず、白濁化やゲル化現象は認められなかった。
【0055】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ光学的に均一なフィルムか得られた。
【0056】[実施例5]1,3−ジオキソラン40重
量部に対して前記式(2)中のAr3 〜Ar6 がいずれ
もp- フェニレン基であり、Xが2,2−プロピレン基
である繰り返し単位から主としてなる芳香族ポリエーテ
ルスルホン(アモコ社製「Udel P-1700 」、ηsp/c=
0.41dl/g)10重量部を室温下で撹拌しながら
3回に分け加えたところ、透明で粘ちょうなドープを得
た。このドープの30℃における溶液粘度は4.6×1
2 cpsであった。このドープを2.5μm のポアサ
イズのフィルターを用いてろ過を行い浮遊物を除去し、
室温下密閉状態で24時間放置した。その結果、かかる
ドープには何ら変化が見られず、白濁化やゲル化現象は
認められなかった。
【0057】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ厚み60μmのフィルムが得られた。得ら
れたフィルムは発泡、柚子肌、波打ち現象がなく均一で
あった。残留溶媒量は0.64重量%であり極めて微量
であった。また可視光領域における透過率は89%以上
であり、ヘイズは0.9であり光学的に透明であった。
波長590nmにおける位相差を求めたところ10nm
以下でありまたフィルム内でのバラツキも少なかった。
また遅相軸のバラツキも±10°以下であり光学的にも
均質であった。DSCにより測定したガラス転移点は、
189.0℃であり耐熱性も高かった。
【0058】[実施例6]実施例5における1,3−ジ
オキソラン40重量部の代わりに、1,3−ジオキソラ
ン30重量部を用いて実施例5と同様の方法でドープを
調製した。このドープの30℃における溶液粘度は5.
8×103 c psであった。
【0059】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ厚み60μmのフィルムか得られた。得ら
れたフィルムは発泡、柚子肌、波打ち現象がなく均一で
あった。残留溶媒量は0.2%であり極めて微量であっ
た。また可視光領域における透過率は90.7%であ
り、ヘイズは0.3%であり光学的に透明であった。波
長590nmにおける位相差を求めたところ10nm以
下でありまたフィルム内でのバラツキも少なかった。ま
た、遅相軸のバラツキも±10°以下であり光学的にも
均質であった。DSCにより測定したガラス転移点は、
183.3℃であり耐熱性も高かった。
【0060】[実施例7]実施例6における芳香族ポリ
エーテルスルホン(アモコ社製「Udel P-1700 」)の代
わりに芳香族ポリエーテルスルホン(アモコ社製 商品
名:Udel P-3500)を用いて、実施例5と同様の方法でド
ープを調製した。このドープの30℃における溶液粘度
は3.1×103 c psであった。
【0061】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ光学的に均一なフィルムが得られた。
【0062】[実施例8]実施例4における芳香族ポリ
エーテルスルホン(アモコ社製「Radel A-100 」)の代
わりに上記式(1) で表される繰り返し単位と、上記式
(3) で表される繰り返し単位の比が75/25である共
重合体を用いて、実施例4と同様の方法でドープを調製
した。このドープの30℃における溶液粘度は2.9×
103 c psであった。このドープは室温下密閉状態で
24時間放置しても変化せず、白濁化やゲル化現象は認
められなかった。
【0063】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ光学的に均一なフィルムか得られた。
【0064】[実施例9]実施例1における1,3−ジ
オキソラン30重量部の代わりに、1,3−ジオキソラ
ン27重量部を用い、芳香族ポリエーテルスルホン(ア
モコ社製「RadelA-300 」)の代わりに上記式(1) で表
される繰り返し単位と、上記式(2) で表される繰り返し
単位の比が25/75である共重合体を用いて、実施例
1と同様の方法でドープを調製した。このドープの30
℃における溶液粘度は2.2×10 3 c psであった。
このドープを2.5μm のポアサイズのフィルターでろ
過し浮遊物を除去した。かかるドープは室温下密閉状態
で24時間放置しても変化せず、白濁化やゲル化現象は
認められなかった。
【0065】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ光学的に均一なフィルムか得られた。
【0066】[実施例10]1,4−ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、またはシクロヘキサノンを20重量%
含有する1,3−ジオキソラン溶液を3種調製し、おの
おの実施例5と同様にして芳香族ポリエーテルスルホン
のドープを作った。得られたドープ溶液はいずれも透明
な粘ちょうであり、室温下密閉状態で24時間放置して
も変化せず、白濁化やゲル化現象は認められなかった。
これらのドープを用いて、実施例1と同様にフィルムを
製膜し、それぞれ約60μm のフィルムを得た。該フィ
ルムはいずれも発泡、柚子肌、波打ち現象がなく光学的
に透明であった。
【0067】[実施例11]芳香族ポリエーテルスルホ
ン(アモコ社製「Udel P-3500 」)のジクロロメタン1
5重量%溶液を調製し、この溶液を沸騰水に滴下するこ
とにより再沈殿を行った。こうして得られたフレーク状
の芳香族ポリエーテルスルホンを150℃で十分に乾燥
した。実施例7において使用した芳香族ポリエーテルス
ルホン(アモコ社製「Udel P-3500 」)の代わりに、こ
の再沈殿した芳香族ポリエーテルスルホンを用いて、実
施例5と同様の方法でドープを調製した。このドープの
30℃における溶液粘度は2.9×103 c psであっ
た。このドープは室温下密閉状態で48時間放置しても
変化せず、白濁化やゲル化現象は認められなかった。
【0068】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ光学的に均一なフィルムか得られた。
【0069】[実施例12]実施例7において使用した
芳香族ポリエーテルスルホン(アモコ社製「Udel P-350
0 」)の代わりに、窒素雰囲気下で196℃に10分間
加熱することにより融解した後直ちに室温に戻した芳香
族ポリエーテルスルホン(アモコ社製「UdelP-3500
」)を用いて、実施例5と同様の方法でドープを調製
した。このドープの30℃における溶液粘度は2.9×
103 c psであった。このドープは室温下密閉状態で
48時間放置しても変化せず、白濁化やゲル化現象は認
められなかった。
【0070】実施例1と同様にドクターブレード法で製
膜したところ光学的に均一なフィルムか得られた。
【0071】[実施例13]実施例2の方法で得られた
ドープを用いて、連続製膜を行った。製膜機はダイから
鏡面仕上げした金属ベルトに押し出すタイプであり、熱
処理工程はピンテンダー型の熱風乾燥炉を用いた。製膜
は1m/分の速度で行い、乾燥工程の条件は50℃、風
速2m/秒;50℃、風速5m/秒;70℃、風速10
m/秒とした。このとき得られたフィルム中の残留溶媒
量は11.5重量%であった。その後熱処理工程では、
かかるフィルムに120℃、150℃、170℃で風速
5m/秒の熱風を送った。こうして得られたフィルムは
発泡、柚子肌、波打ち現象がなく均一であった。平均膜
厚は86μm であり、膜厚斑は±3.9μm であっ
た。、また透過率88%でありヘイズ値は0.6であっ
た。位相差は10nm以下であり光学的等方性は極めて
高かった。
【0072】[比較例4]実施例5における1,3−ジ
オキソラン40重量部の代わりに、ピリジン40重量部
を用いて実施例5と同様の方法でドープを調製した。か
かるドープより、実施例1と同様にドクターブレード法
で製膜し、厚さ103μm のフィルムを得た。このフィ
ルム中の残留溶媒量は4.3重量%であり、残留溶媒量
を減少させることは困難であった。
【0073】[実施例14]実施例1で用いた芳香族ポ
リエーテルスルホンの1,3−ジオキソラン溶液を用い
て、ガラス基板上にキャストし、乾燥炉中、1,3−ジ
オキソランを10容量%含有する窒素ガス雰囲気で30
℃で20分、50℃で30分、さらに100℃で20分
加熱乾燥した。このフイルムは残留溶媒を15重量%含
むフイルムであった。このフイルムの無風条件(空気
中)で120℃で20分、150℃で14時間熱処理
し、膜厚82μmのフイルムを得た。得られたフイルム
は発泡、柚肌、波打ち現象がなく均一であった。また、
残留溶媒は0.55重量%であり、低溶媒濃度空気中雰
囲気で同様の条件で行った実施例1のフイルムより低残
留溶媒であった。この事実から、1,3−ジオキソラン
を含有する窒素雰囲気中で乾燥しても、効率よく乾燥出
来ることが明らかになった。
【0074】上記フイルムの可視光領域に於ける透過率
は85%以上、ヘイズは0.8%であり光学的にも透明
であった。波長590nmに於ける位相差は10nm以
下でありフイルム内でのばらつきも少なかった。また、
遅相軸のバラツキも10以下であり光学的にも均質であ
った。DSCから求めたガラス転移温度は、209℃で
あり耐熱性も高かった。
【0075】また、乾燥炉内の1,3−ジオキソランを
排気口から取り出し−70℃でトラップして、その中に
含まれる過酸化物量を定量した。その結果、使用した
1,3−ジオキソラン中の過酸化物量は100ppmで
あったのに対して、回収1,3−ジオキソラン中の過酸
化物量は107ppmであり、製膜中には殆ど過酸化物
が生成していないことが明らかになった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,3−ジオキソランを60重量%以上
    含有する溶媒15〜90重量部に対し、10重量部の芳
    香族ポリエーテルスルホンを溶解させた芳香族ポリエー
    テルスルホン溶液組成物。
  2. 【請求項2】 溶液組成物(ドープ)を支持基板上に流
    延し、これを加熱して溶媒を蒸発させてフイルムを製造
    するに際し、1,3−ジオキソランを60重量%以上含
    有する溶媒15〜90重量部に対し、10重量部の芳香
    族ポリエーテルスルホンを溶解させた溶液組成物(ドー
    プ)を使用することを特徴とする芳香族ポリエーテルス
    ルホンフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 溶媒を蒸発させるにあたり、不活性ガス
    雰囲気中で乾燥したのち不活性ガスあるいは空気雰囲気
    中で熱処理することを特徴とする請求項2記載の芳香族
    ポリエーテルスルホンフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 不活性ガス雰囲気が1,3−ジオキソラ
    ンを3容量%以上含むことを特徴とする請求項3記載の
    芳香族ポリエーテルスルホンフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 不活性ガスが酸素濃度10容量%以下の
    窒素ガスおよび/または炭酸ガスを主成分とするガスよ
    りなることを特徴とする請求項3記載の芳香族ポリエー
    テルスルホンフィルムの製造方法。
JP6237001A 1993-10-07 1994-09-30 芳香族ポリエーテルスルホン溶液組成物およびフィルムの製造方法 Expired - Fee Related JP2991937B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6237001A JP2991937B2 (ja) 1993-10-07 1994-09-30 芳香族ポリエーテルスルホン溶液組成物およびフィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25138493 1993-10-07
JP6-39482 1994-03-10
JP5-251384 1994-03-10
JP3948294 1994-03-10
JP6237001A JP2991937B2 (ja) 1993-10-07 1994-09-30 芳香族ポリエーテルスルホン溶液組成物およびフィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07300559A true JPH07300559A (ja) 1995-11-14
JP2991937B2 JP2991937B2 (ja) 1999-12-20

Family

ID=27290156

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6237001A Expired - Fee Related JP2991937B2 (ja) 1993-10-07 1994-09-30 芳香族ポリエーテルスルホン溶液組成物およびフィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2991937B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6899952B2 (en) 2002-10-28 2005-05-31 Daicel Chemical Industries, Ltd. Polysulfone-based resin solution composition and laminate using the same
JP2006291056A (ja) * 2005-04-12 2006-10-26 Daicel Chem Ind Ltd ポリスルホン系樹脂溶液組成物、それを用いた積層体及びポリスルホン系樹脂フィルム
JP2006291055A (ja) * 2005-04-12 2006-10-26 Daicel Chem Ind Ltd ポリスルホン系樹脂溶液組成物、それを用いた積層体及びポリスルホン系樹脂フィルム
JP2008222777A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Kaneka Corp コーティング用樹脂、光学補償用薄膜、光学補償用積層体、光学補償用偏光板、及び液晶表示装置。
US8184291B2 (en) 2007-07-17 2012-05-22 Sharp Kabushiki Kaisha Method for detecting edge on transparent substrate, apparatus for detecting edge on transparent substrate, and processing apparatus
JP2013220371A (ja) * 2012-04-13 2013-10-28 Hitachi Chemical Co Ltd 溶媒回収方法及び塗工乾燥設備
US9023913B2 (en) 2011-12-16 2015-05-05 Lintec Corporation Curable resin composition, curable resin molded body, cured resin molded body, method for producing each of same, and laminate body

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6899952B2 (en) 2002-10-28 2005-05-31 Daicel Chemical Industries, Ltd. Polysulfone-based resin solution composition and laminate using the same
JP2006291056A (ja) * 2005-04-12 2006-10-26 Daicel Chem Ind Ltd ポリスルホン系樹脂溶液組成物、それを用いた積層体及びポリスルホン系樹脂フィルム
JP2006291055A (ja) * 2005-04-12 2006-10-26 Daicel Chem Ind Ltd ポリスルホン系樹脂溶液組成物、それを用いた積層体及びポリスルホン系樹脂フィルム
JP2008222777A (ja) * 2007-03-09 2008-09-25 Kaneka Corp コーティング用樹脂、光学補償用薄膜、光学補償用積層体、光学補償用偏光板、及び液晶表示装置。
US8184291B2 (en) 2007-07-17 2012-05-22 Sharp Kabushiki Kaisha Method for detecting edge on transparent substrate, apparatus for detecting edge on transparent substrate, and processing apparatus
US9023913B2 (en) 2011-12-16 2015-05-05 Lintec Corporation Curable resin composition, curable resin molded body, cured resin molded body, method for producing each of same, and laminate body
JP2013220371A (ja) * 2012-04-13 2013-10-28 Hitachi Chemical Co Ltd 溶媒回収方法及び塗工乾燥設備

Also Published As

Publication number Publication date
JP2991937B2 (ja) 1999-12-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5645766A (en) Film of aromatic polyethersulfone process for the production thereof and solution composition for the production thereof
KR0177850B1 (ko) 광학용 폴리카르보네이트 필름 및 이의 제조방법
JP3443202B2 (ja) ポリアリレート系樹脂溶液組成物およびフィルムの製造方法
JP2991937B2 (ja) 芳香族ポリエーテルスルホン溶液組成物およびフィルムの製造方法
JP3547853B2 (ja) 芳香族ポリエーテルスルホンのフイルム、その製造法およびその製造のための溶液組成物
JPH08323785A (ja) セルロースアシレートフィルムおよびその製造法
JPH08302162A (ja) ポリアリレート系樹脂溶液組成物およびフィルムの製造方法
JPH08318538A (ja) 芳香族ポリエーテルスルホンの光学等方性フィルムの製造方法
JPH07278324A (ja) セルロースアシレートフイルムの製造法
EP0735079B1 (en) Film of aromatic polyethersulfone, process for the production thereof, and solution composition for the production thereof
KR100249926B1 (ko) 방향족 폴리에테르술폰 필름 및 그의 제조방법
JP3262938B2 (ja) 位相差フィルム
JP2971343B2 (ja) ポリカーボネートフィルムの製造方法
JP2002357813A (ja) 液晶ディスプレー用プラスチックフィルム
JP3403851B2 (ja) 芳香族ポリカ−ボネ−ト溶液組成物およびフィルムの製造方法
JP3062014B2 (ja) 光学用ポリカーボネートフィルムおよびその製造方法
JPH05142510A (ja) 耐熱性光学素子の製造方法
JPH08253680A (ja) 芳香族ポリエーテルスルホン溶液組成物およびフィルムの製造方法
JPH08269214A (ja) 光学等方性ポリアリレート系フィルムの製造方法
US11661481B2 (en) Polyimide film and flexible display panel including the same
JP3014581B2 (ja) 位相差フィルムの製造方法
JPH09169901A (ja) ポリカーボネート系樹脂溶液組成物およびフィルムの製造方法
TWI391230B (zh) A manufacturing method of an optical film, an optical film, and a method for producing an extended film
JPH08325390A (ja) ポリカーボネートフィルムの製造方法
JPH08258065A (ja) セルロースアシレートフィルムの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees