JPH0729816B2 - ガラス繊維用バインダー - Google Patents

ガラス繊維用バインダー

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JPH0729816B2
JPH0729816B2 JP2223999A JP22399990A JPH0729816B2 JP H0729816 B2 JPH0729816 B2 JP H0729816B2 JP 2223999 A JP2223999 A JP 2223999A JP 22399990 A JP22399990 A JP 22399990A JP H0729816 B2 JPH0729816 B2 JP H0729816B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ガラス繊維用バインダーに関する。
[従来の技術] 従来、ガラス繊維用バインダーとして、ポリアミンおよ
び/またはその誘導体に高級アルコールのアルキレンオ
キシド付加物のグリシジルエーテルおよびエピハロヒド
リンを反応させてなる乳化剤の存在下に、(共)重合性
単量体を乳化重合してなる水性樹脂分散液がある。(特
開昭62−170567号公報など。) [発明が解決しようとする課題] しかしながら、例えばガラス繊維を原料として鉛蓄電
池、アルカリ蓄電池などのセパレーターなどに有用なガ
ラス紙を湿式抄造法で製造する場合に、ガラス繊維用バ
インダーとして上記水性樹脂分散液を使用すると下記
(a)、(b)の問題がある。
(a)バインダー単独での泡立ちが多いので、湿式抄造
作業時にも比較的多量の泡が発生し、作業に支障をきた
す。
(b)ガラス紙に充分な耐薬品性を付与できないので、
ガラス紙を鉛蓄電池、アルカリ蓄電池などのセパレータ
ーなどとして使用する場合、電解液(鉛蓄電池では希硫
酸水溶液など、アルカリ蓄電池では水酸化カリウム水溶
液など)中でのガラス紙の強度低下が大きく、実用上支
障をきたす。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、上記(a)、(b)の問題点を解決し、
泡の発生がなく、耐薬品性の良好なガラス紙を提供する
ことができるガラス繊維用バインターを鋭意検討した結
果本発明に到達した。すなわち本発明は、(共)重合性
乳化剤(I)0.1〜10重量%と(共)重合性不飽和基含
有機珪素単量体(II)0.1〜20重量%と他の(共)重合
性不飽和単量体(III)70〜99.8重量%との乳化共重合
物を有効成分とすることを特徴とするガラス繊維用バイ
ンダーである。
(共)重合性乳化剤(I)の(共)重合性不飽和基とし
ては、(メタ)アリル基)、(メタ)アクリロイル基、
クロトノイル基、マレオイル基、フマロイル基、シトラ
コノイル基、メサコノイル基、イタコイル基またはこれ
ら以外のビニル基などが挙げられ、好ましくは(メタ)
アリル基および(メタ)アクリロイル基である。これら
の(共)合性不飽和基を分子中に1種または2種以上含
有していてもよいし、同種の基を2個以上含有していて
もよい。また、これらの(共)重合性乳化剤は、分子中
に(共)重合性不飽和基とともに親水基を含有してお
り、親水基の種類により、アニオン性乳化剤、カチオン
性乳化剤、両性乳化剤およびノニオン性乳化剤に分類す
ることができる。アニオン性乳化剤としては、スルホン
酸(塩)型、硫酸エステル(塩)型、カルボン酸(塩)
型、リン酸エステル(塩)型など、カチオン性乳化剤と
しては、第1級アミン(塩)型、第2級アミン(塩)
型、第3級アミン(塩)型、第4級アンモウム(塩)型
など、両性化剤としては、アミノ酸型、ベタイン型な
ど、ノニオン性乳化剤としては、ポリアルキレングリコ
ール型、多価アルコール型などの乳化剤が挙げられる。
これら(共)重合性乳化剤(I)(以下、反応性乳化剤
という)の具体例としては、次の(1)〜(46)のもの
が挙げられる。以下の各構造式において、EOはエチレン
オキシド、POはプロピレンオキシドを示し、整数(m,
n)を使用して表示される(EO)m(PO)n(EO)m
は、EOmモル、POnモル、EOmモルをこの順に付加した構
造のブロック付加物を、 また(EO/PO)(m/n)はEOmモルとPOnモルの混合物を付
加したランダム型の付加物を各々示す。
(A)(メタ)アリル基含有反応性乳化剤 (A−1)アニオン性乳化剤 (R1は炭素数12〜13の高級アルコール残基を示す。) (A−2)カチオン性乳化剤 (A−3)両性乳化剤 (10)CH2=CHCH2NHCH2CH2COONa (A−4)ノニオン性乳化剤 (12)CH2=CHCH2O(EO/PO)(40/10)H (B)(メタ)アクリロイル基含有反応性乳化剤 (B−1)アニオン性乳化剤 (R2はソルビトール残基を示す。) (B−2)カチオン性乳化剤 (B−3)両性乳化剤 (B−4)ノニオン性乳化剤 (30)CH2=CHCOO(EO)(PO)10(EO)5OCCH=CH2 (R3はペンタエリスリトール残基を示す。) (C)(メタ)アリル基および(メタ)アクリロイル基
含有反応性乳化剤 (D)クロトノイル基含有反応性乳化剤 (E)マレオイル基含有反応性乳化剤 (BZはベンジル基を示す。) (F)フマロイル基含有反応性乳化剤 (G)シトラコイル基含有反応性乳化剤 (H)メサコイル基含有反応性乳化剤 (Stは、スチリル基を示す。) (I)イタコイル基含有反応性乳化剤 (J)D〜I以外のビニル基含有反応性乳化剤 (46)CH2=CH(CH28COONa 以上例示した反応性乳化剤のうち好ましいものは、スル
ホン酸(塩)型、硫酸エステル(塩)型およびカルボン
酸(塩)型のアニオン性反応性乳化剤である。これらア
ニオン性反応性乳化剤を形成する塩としては、アルカリ
金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土
類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩など)、アン
モニウム塩、アミン塩(低級アルキルアミン塩、低級ア
ルカノールアミン塩など)などが挙げられ、好ましいも
のはアルカリ金属塩(特に好ましいものはナトリウム
塩)である。
本発明において、該有機珪素単量体(II)としては、下
記一般式(1)〜(5) (上記各式中、X1,X2は、(共)重合性不飽和基、Y1,
Y2,Y3は、加水分解可能な基、Z1、Z2、Z3は、(共)重
合性不飽和基および加水分解可能な基以外の有機基を表
わす。)で示される単量体が挙げられ、好ましくは一般
式(1)〜(4)で示される単量体である。X1、X2
(共)重合性不飽和基としては、ビニル基、(メタ)ア
クリロキシプロピル基、(メタ)アリル基などが挙げら
れ、好ましくはビル基および(メタ)アクリロキシプロ
ピル基である。Y1、Y2、Y3の加水分解可能な基として
は、アルコキシ基(炭素数1〜4のアルコキシ基)、フ
ェノキシ基、ハロゲン基、アシロキシ基、アミノ基など
が挙げられ、好ましくはアルコキシ基(特に好ましくは
メトキシ基およびエトキシ基)およびハロゲン基であ
る。これらは、同種の基でも異種の基でもよい。一般式
(1)〜(5)で示される有機珪素単量体としては、次
の(A)〜(C)の単量体が挙げられ、これらは1種ま
たは2種以上の混合物を使用することができる。
(A)ビニル基含有有機珪素単量体 (A−1)アルコキシ基たはフェノキシ基含有有機珪素
単量体 ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジメチ
ルシラン、ビニルエトキシジメチルシラン、ビニルジメ
トキシメチルシラン、ビニルイソブトキシジメチルシラ
ン、ビルジエトキシメチルシラン、ビニルトリイソプロ
ポキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)
シラン、ビニルジフエニルエトキシシラン、ビニルトリ
フェノキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノプロピ
ル)トリメトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ
プロピル)トリエトキシシラン、3−(ビニルフェニル
アミノプロピル)トリメトキシシラン、3−ビニルフェ
ニルアミノプロピル)トリエトキシシラン、2−スチリ
ルエチルトリメトキシラン、3−(N−スチリルメチル
−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラ
ン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシ
ラン、ジビニニルジ−2−メトキシエトキシシランな
ど。
(A−2)アシロキシ基含有有機珪素単量体 ビニルジアセトキシメチルシラン、ビニルトリアセトキ
シシラン、ビルジブトキシメチルシランなど。
(A−3)アミノ基含有有機珪素単量体 ビニルビス(ジメチルアミノ)メチルシランなど。
(A−4)ハロゲン基含有有機珪素単量体 ビニルメチルジクロルシラン、ビニルジメチルクロルシ
ラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルメチルフェニニ
ルクロルシラン、ビニルフェニルジクロルシラン、ビニ
ルクロルメチルジメチルシラン、ジビニルジクロルシラ
ン、ジビニル3−クロルプロピルメチルシランなど。
(A−5)加水分解可能な基以外の基含有有機珪素単量
体 ビニルトリメチルシラン、ビニルジエチルメチルシラ
ン、ビニルブチルジメチルシラン、ビニルジメチルフェ
ニルシラン、ビニルトリブチルシラン、ビニルジフェニ
ルメチルシラン、ビニルトリフェニルシラン、ビニル4
−ブロモフェニルジメチルシラン、ジビニルジメチルシ
ラン、ジビニルジフェニニルシランなど。
(B)(メタ)アリル基含有有機珪素単量体 (B−1)アルコキシ基含有有機珪素単量体 アリルトリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピル
トリメトキシシランなど。
(B−2)アシロキシ基含有有機珪素単量体 アリルジアセトキシメチルシラン、アリルトリアセトキ
シシランなど。
(B−3)アミノ基含有有機珪素単量体 アリルビス(ジメチルアミノ)メチルシランなど。
(B−4)ハロゲン基含有有機珪素単量体 アリルメチルジクロルシラン、アリルジメチルクロルシ
ラン、アリルトリクロルシラン、メタリルフェルジクロ
ルシランなど。
(B−5)加水分解可能な基以外の基含有有機珪素単量
体 アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、アリ
ルアミノトリメチルシラン、ジアリルジメチルシラン、
ジアリルジフェニルシランなど。
(C)(メタ)アクリロキシプロピル基含有有機珪素単
量体 (C−1)アルコキシ基含有有機珪素単量体 γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチル
ジクロルシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなど。
本発明において、他の(共)重合性不飽和単量体(II
I)として、次の(D)〜(M)の単量体が挙げられ、
それらは1種たは2種以上の混合物を使用することがで
きる。
(D)不飽和カルボン酸のエステル 炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸
のアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸たはイタコ
ン酸のジアルキルエステルなど。
(E)置換されていてもよい芳香族炭化水素単量体 スチレン、アルキル基置換スチレン(α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)、ハロ
ゲン置換スチレン(モノクロルスチレンなど)。
(F)ニトリル基含有単量体 (メタ)アクリロニトリルなど。
(G)ヒドロキシル基含有単量体 ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレートなど。
(H)ハロゲン基含有単量体 塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレンなど。
(I)脂肪族炭化水素単量体 エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンなど。
(J)ビニルエステルまたは(メタ)アリルエステル 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸アリルなど。
(K)アミノ基含有単量体 (メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリ
ルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミドな
ど。
(L)不飽和カルボン酸(塩) (メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸などおよびそれらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウ
ム塩、アミン塩など)など。
(M)ポリビル単量体 ジビニル単量体(ジビニルベンゼン、ジビニルフタレー
ト、ジアリルフタレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレートなど)、トリビニル単量体(トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メ
タ)アクリレートなど)、テトラビニル単量体(ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど)、ヘ
キサビニル単量体(ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレートなど)など。
上記(D)〜(M)で例示したもののうち好ましいもの
は、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン、
α−メチルスチレン、アクリロトリル、酢酸ビニル、ア
クリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、(メ
タ)アクリル酸、ジビニルベンゼンおよび1,6−ヘキサ
ンジオージメタクリレートである。
本発明において、該乳化共重合物中の(I)と(II)と
(III)の各構成割合は、(I)は通常0.1〜10重量%、
好ましくは0.5〜5量%であり、(II)は通常0.1〜20重
量%、好ましくは1〜10重量%であり、(III)は通常7
0〜99.8重量%、好ましくは85〜98.5重量%である。但
し、(III)として前記に例示したもののうち(K)、
(L)または(M)は、(D)〜(J)の何れかと通常
併用されるものであり、その量は(III)の合計量に基
づいて通常0.1〜10量%である。
(I)が0.1量%未満では、該乳乳化共重合物を製造す
る際、多量の凝集物が生成し、目的とする乳化共重合物
が得られず、10重量%を越えると該乳化共重合物の泡立
ちが多くなる。また、(II)が0.1重量%未満では、例
えば最終的に得られるガラス紙の耐薬品性が低下し、20
重量%を超えると、該乳化共重合物を製造する際、多量
の凝集物が生成し、目的とする該乳化共重合物が得られ
ない。
本発明における乳化共重合物は、通常水系エマルション
である。また、その製法を例示すると、(I)、(II)
および(III)からなる混合物を通常重合開始剤存在
下、水系媒体中で乳化重合して得られるが、この乳化重
合の方法は公知の方法(一括仕込み法、モノマー滴下
法、モノマーエマルション滴下法など)が使用できる。
乳化剤として該反応性乳化剤(I)の他に下記(イ)〜
(ハ)に挙げられる公知の乳化剤1種または2種以上を
使用してもよいが、その使用量は通常該反応性乳化剤
(I)に対して50重量%以下であり、多量の使用は好ま
しくない。
(イ)アニオン性乳化剤 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸
エステルナトリウム、アルキルジフェニニルエーテルジ
スルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸エステルアンモニウムなど。
(ロ)ノニオン性乳化剤 ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコ
ールエチレンオキシド付加物など。
(ハ)カチオン性乳化剤 ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジ
ステリルベンジルジメチルアンモニウムクロリドなど。
上記重合開始剤としては、 (イ)過硫酸塩 過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど。
(ロ)パーオキシド化合物 ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t
−ブチルヒドロパーオキシド、過酸化水素など。
(ハ)アゾ系化合物 アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニト
リルなど。
(ニ)レドックス系開始剤 亜硫酸塩とパーオキシド化合物、過酸化水素とFe2+
ど。
など公知のものが挙げられる。
上記水系媒体としては、水の他に有機溶剤(メタノー
ル、イソプロパノール、アセトンなど)などを併用して
もよい。また、必要により連鎖移動剤(メルカプタン類
など)、電解質(炭酸水素ナトリウム、トリポリリン酸
ナトリウム、塩化カリウムなど)、pH調整剤(アンモニ
ア水、水酸化ナトリウム水溶液など)などを併用しても
よい。
本発明の乳化共重合物の固形分は、重量換算で通常5〜
60%、好ましくは30〜50%である。
本発明のガラス繊維用バインダーは、通常該乳化共重合
物の水系エマルション単独からなるが、必要により公知
の造膜助剤(エチレングリコール、ジブチルフタレート
など)、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ポリビ
ニルアルコールなど)、難燃剤、分散剤、消泡剤、防腐
剤および劣化防止剤などを含有させてもよい。
本発明のガラス繊維用バインダーは、鉛蓄電池、アルカ
リ蓄電池などの陽極両電極間のセパレーター、空気ろ過
用などのフイルター類、電気絶縁用基材、高耐火炉材、
クリーンルーム用基材などに使用できるガラス紙の製造
用として有用である。また、ガラス紙の他にもガラス繊
維を原料とするプリント配線基板、ルーフィング基材、
クッションフロアなどの製造用としても有用である。
[実施例] 以下、製造例および実施例により本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。以下に
おいて%は量%を示す。
製造例1 攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管、温度計および還
流冷却器を備えた反応容器に水235g、過硫酸カリウム0.
8g、トリポリリン酸ナトリウム0.4gおよび反応性乳化剤
として前記に例示した(A-1)の(1)のアニオン乳化
剤を2g仕込み、攪拌下、系内を窒素ガスで置換し、80℃
に昇温した。同温度にて、滴下ロートよりビニルトリメ
トキシシラン2gとアクリル酸エチル/メタクリル酸メチ
ル/アクリル酸=50/45/5(重量比)小計198gとの混合
物200gを2時間かけて滴下し、さらに2時間反応させ
た。反応物を30℃に冷却し、25%アンモニア水でpH7に
調整後、150メッシュ金網でろ過することにより、固形
分46.4%の乳化共重合物からなる本発明のバインダー
を定量的収率で得た。
製造例2 ビーカーに水139g、過硫酸アンモニウム0.8g、炭酸水素
ナトリウム0.4g、反応性乳化剤として前記に例示した
(A-1)の(2)のアニオン性乳化剤を4g、ビニルトリ
エトキシシラン3gとアクリル酸ブチル/スチレン/メタ
クリル酸=45/50/5(重量比)小計197gとの混合物200g
を仕込み、ホモミキサー(3000rpm×1分)にて乳化
し、モノマーエマルション344.2gを得た。次に製造例1
と同様の反応容器に、モノマーエマルション100gおよび
水100を仕込み、攪拌下、系内を窒素ガスで置換し、80
℃に昇温した。同温度にて、滴下ロートよりモノマーエ
マルションの残量244.2gを2時間かけて滴下し、さらに
2時間反応させた。反応物を30℃に冷却し、25%アンモ
ニア水でpH7に調整後、150メッシュ金網でろ過すること
により、固形分46.4%の乳化共重合物からなる本発明の
バインダーを定量的収率で得た。
製造例3 製造例1と同様の反応容器に水239g、重亜硫酸ナトリウ
ム0.5gおよび反応性乳化剤として前記に例示した(A−
1)の(3)のアニオン性乳化剤を6g仕込み、攪拌下、
系内を窒素ガスで置換し、50℃に昇温した。50℃到達後
直ちにベンゾイルパーオキシド0.5gを仕込み、同温度に
て、滴下ロートよりγ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン10gとアクリル酸2−エチルヘキシル/メ
タクリル酸メチル/アクリル酸/ジビニルベンゼン/N−
メチロールアクリルアミド=47/47/2/2/2(重量比)小
計190gとの混合物200gを2時間かけて滴下し、さらに2
時間反応させた。反応物を30℃に冷却し、25%アンモニ
ア水でpH7に調整後、150メッシュ金網でろ過することに
より、固形分46.4%の乳化共重合物からなる本発明のバ
インダーを定量的収率で得た。
製造例4〜6 製造例1と同様の方法にて、表−1に示す反応性乳化剤
(I)、有機珪素単量体(II)および他の(共)重合性
不飽和単量体(III)を使用し、かつこれら(I)、(I
I)および(III)の重量%を各々表−1に記載のものに
代えて反応させ、各々固形分46.2%〜47.3%の乳化重合
物からなる本発明のバインダー〜を定量的収率で得
た。
比較製造例1〜7 製造例1と同様の方法にて、表−1に代えて表−2に示
す乳化剤および単量体を使用し、かつこれらの重量%を
各々表−1に代え表−2に記載のものに代えて反応させ
た結果、比較製造例1〜3のバインダー〜、比較製
造例5および6のバインダーおよびを得た。これら
バインダーは、各々固形分46.4%〜47.9%であった。ま
た、比較製造例4および7では、反応中に多量の凝集物
が生成し、目的とする乳化共重合物からなるバインダー
は得られなかった。
実施例1〜6(湿式抄造法によるガラス紙の作製) カラス繊維(繊維径0.7μm)5g、ケイ酸アルミニウム5
gおよび水900gをミキサーに仕込み、攪拌、粉砕し、水
スラリー液910gを得た。次にこの水スラリー液910gに製
造例1〜6で得られたバインダー〜2.5g(固形分)
を各々添加し、さらに高分子凝集剤(サンフロックC−
009P:三洋化成業(株)製)0.05g(固形分)を各々添加
し、樹脂分を凝集させた後、抄紙機にて抄紙し、乾燥
(100℃×20分)することにより坪量約100g/m2のガラス
紙1〜6を得た。
実施例7〜12(乾式抄造法によるガラス紙の作製) ガラス繊維(繊維径4μm)5g、ケイ酸アルミニウム5g
および水900gからなる水スラリー液910gを抄紙機で抄
紙、乾燥(100℃×20分)することにより得られたガラ
スマットを製造例1〜6で得られたバインダー〜各
々を固形分5%となるように水で希釈した液(バインダ
ー浴を略記)中に浸漬した。次に各バインダー浴からガ
ラスマットを取り出し、ロールでバインダー付着量が10
%(固形分)となるように調整後、乾燥(150℃×5
分)することにより坪量約100g/m2のガラス紙7〜12を
得た。
比較例1〜5(湿式抄造法によるガラス紙の作製) 比較製造例1〜3、5および6で得られたバインダー
〜を用いて、実施例1〜6と同様の方法にて坪量約10
0g/m2のガラス紙13〜17を得た。
比較例6〜10(乾式抄造法によるガラス紙の作製) 比較製造例1〜3、5および6で得られたバインダーを
用いて、実施例7〜12と同様の方法にて坪量約100g/m2
のガラス紙18〜22を得た。
実施例13〜24および比較例11〜20(バインダーおよびガ
ラス紙の性能試験) 表−3に製造例1〜6および比較製造例1〜3、5およ
び6で得られたバインダー〜の泡立ち性の試験結果
並びに、実施例1〜6および比較例1〜5中、抄紙機に
て抄紙中の水スラリー液の泡立ち性の試験結果並びに、
得られたガラス紙1〜6および13〜17の引張り強度およ
び耐薬品性(耐酸強度保持性および耐アルカリ強度保持
性)の各試験結果を示す。また、表−4に実施例7〜12
および比較例6〜10で得られたガラス紙7〜12および18
〜22の引張り強度および耐薬品性(耐酸強度保持特性お
よび耐アルカリ強度保持性)の試験結果を示す。
表−3および表−4中の各試験項目の試験方法ガラス繊
維用バインダーの泡立ち性(cc): 固形分3%に希釈したバインダー30ccを100cc供栓付メ
スシリンダーに入れ、手で10回強振し、5分後の泡量を
測定。
抄紙作業中における水スラリー液の泡立ち性: 抄紙作業中における水スラリー液の泡立ち状態を目視に
て◎〜×の4段階で判定。
◎ 泡立ちなし 〇 わずかに泡立ちあり △ かなりの泡立ちあり × 泡立ち多く抄紙作業に支障あり ガラス紙の引張り強度(kg/cm幅): 1cm×8cmに裁断したガラス紙の引張り強度をシヨッパー
型抗張力試験にて測定。
耐酸強度保持性(%): bの引張り強度/aの引張り強度×100にて算出。
耐アルカリ強度保持性(%): cの引張り強度/aの引張り強度×100にて算出。
[発明の効果] 本発明のガラス繊維用バインダーは以下の効果を奏す
る。すなわち、ガラス繊維を原料としてガラス紙を湿式
抄造法で製造する場合に、本発明のガラス繊維バインダ
ーを使用すると (a)バインダー単独での泡立ちが非常に少ないので、
従来のバインダーの問題点であった湿式抄造作業時の泡
の発生が解決できた。
(b)ガラス紙に充分な耐薬品性を付与する。
従って、例えばガラス紙を鉛蓄電池、アルカリ蓄電池な
どのセパレータとして使用する場合、電解液(鉛蓄電池
では希硫酸水溶液など、アルカリ蓄電池では水酸化カリ
ウム水溶液など)中でもガラス紙の強度が低下せず、従
来の問題点が解決できた。
上記効果を奏することから本発明のガラス繊維用バイン
ダーは、鉛蓄電池またはアルカリ蓄電池などのセパレー
ターの製造に特に有用である。また、他にガラス繊維を
原料とするフイルター類、電気絶縁用基材、高耐火炉
材、クリーンルーム用基材、プリント配線基板、ルーフ
イング基材、クッションフロアなどの製造にも有用であ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(共)重合性乳化剤(I)0.1〜10重量%
    と(共)重合性不飽和基含有有機珪素単量体(II)0.1
    〜20重量%と他の(共)重合性不飽和単量体(III)と
    の乳化共重合物を有効成分とすることを特徴とするガラ
    ス繊維用バインダー。
  2. 【請求項2】該乳化共重合物を構成する(I)の割合
    が、0.5〜5重量%である請求項1記載のバインダー。
  3. 【請求項3】該乳化共重合物を構成する(II)の割合
    が、1〜10重量%である請求項1または2記載のバイン
    ダー。
  4. 【請求項4】該(共)重合性乳化剤(I)が、(メタ)
    アリル基または(メタ)アクロイル基含有(共)重合性
    乳化剤である請求項1〜3何れか記載のバインダー。
  5. 【請求項5】該(共)重合性乳化剤(I)が、アニオン
    性の(共)重合性乳化剤である請求項1〜4何れか記載
    のバインダー。
  6. 【請求項6】該有機珪素単量体(II)が、(共)重合性
    不飽和基とともに、珪素原子に直結した単量体である請
    求項1〜5何れか記載のバインダー。
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