JPH0729814U

JPH0729814U - 電磁装置

Info

Publication number: JPH0729814U
Application number: JP5099593U
Authority: JP
Inventors: 宏小笠原; 晃伸松尾
Original assignee: Matsushita Electric Works Ltd
Current assignee: Panasonic Electric Works Co Ltd
Priority date: 1993-09-20
Filing date: 1993-09-20
Publication date: 1995-06-02
Anticipated expiration: 2008-09-20
Also published as: JP2602204Y2

Abstract

(57)【要約】【目的】磁心の磁化特性の劣化が少なくすると共に、
騒音を小さくする。【構成】アモルファス金属からなる薄板状の磁性材料
帯を環状に巻回してなり環状の磁路を形成する磁心２
を、絶縁性材料からなり内部に磁心２を収納する中空部
を有し、かつ磁心２を収納した時に磁心２との間に空隙
５を有するように、磁心２の断面よりも少し大きい断面
を有して環状に形成された磁心ケース３に収納し、磁心
２を、その磁心２の下面である１つの面の３ヵ所でのみ
磁心支持手段である接着剤７により磁心ケース３に固定
し、その磁心ケース３上に、磁心２がその主磁路を形成
するように、その環状の中心部にある空間を通ってコイ
ル４を巻回した。このため、磁心２の外方の殆どを空隙
５が占め、磁心２が外力をうけにくくなるため磁心２の
磁化特性の劣化が少なくなり、さらには、磁心２から磁
心ケース３への振動伝達も少なくなるため、騒音の低減
が図れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、環状の磁心を有してなる電磁装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

形状が環状（トロイダル）の磁心は、他の分割されて形成される磁心に比べて、漏れ磁束の低減が図れ、さらにその形状から小型化及び薄型化が図れるために、スイッチング電源やインバータ安定器及びイグナイタ回路等の電力変換用トランスに使用される電磁装置に使用されている。また最近では、磁心材料としてフェライトに比べて高透磁率でかつ高飽和磁束密度等の磁気特性に優れるアモルファス金属や超微細結晶合金等が使用されるようになってきている。

【０００３】ここで、超微細結晶合金とは、組織の少なくとも５０％を微細な結晶粒とし、粒径の平均が１０００Å以下の平均粒径を有するものとしたもの、たとえば、原子％で表される組成式が、 ( Fe_1-aMa) _100-x-y-z-jCu_xSi_y B_z M_j' ( 但し、ＭはCo及び／又はNiであり、M'はNb,W,Ta,Mo,Zr,Hf, 及びTiからなる群から選ばれた少なくとも１種の元素であり、a,x,y,z 及びj はそれぞれ、 0≦a ≦0.3, 0.1≦x ≦3, 0≦y ≦17, 4 ≦z ≦17, 10≦y+z ≦28,0.1≦j ≦5 を満たす。) のようなものを言う。

【０００４】しかしながら、このようなアモルファス金属や超微細結晶合金等の磁性材料は、金属材料であり材料の抵抗率が低いことから、磁心と巻線との間の絶縁を確保する目的で、磁心ケースを用いたり、磁心に絶縁材料をコーティングしたりする方法がとられていた。

【０００５】図１１及び図１２は、従来の電磁装置であるトランス１の一例を示すもので、トランス１は、主に磁心２と磁心ケース３、及びコイル４を有して構成されたものである。同図において、磁心２は、アモルファス金属からなる薄板状の磁性材料帯を環状（トロイダル）に巻回してなり、絶縁性材料からなり磁心２との間に空隙５を有する磁心ケース３に収納され、その空隙５は磁心２を固定するために樹脂等の充填物６で満たされる。このように構成された磁心ケース３には、コイル４として一次巻線４ａ及び二次巻線４ｂが巻かれている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このように構成された従来の電磁装置１においては、磁心２と磁心ケース３の間が充填物６で満たされているため、充填物６の充填、硬化により磁心２に応力が生じ、その応力により磁心２の磁気特性が劣化し、特に、磁心２の材料として磁気歪みの大きいFe系のアモルファス金属を用いた場合には、磁気特性が大きく劣化するという問題点があった。

【０００７】また、磁心２が薄板状の磁性材料帯により構成されているため、コイル４が励磁されると、磁心２は磁気歪みにより伸縮したり積層間で反発したりして、積層された個々の層が振動し、この振動が磁心２と磁心ケース３を接着している充填物６を介して磁心ケース３に伝わり、電磁装置１から騒音を生ずるという問題点があり、磁心２の材料として磁気歪みの大きいFe系のアモルファス金属を用いた場合には、この問題が特に顕著であった。

【０００８】本考案は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、磁心の磁化特性の劣化が少なく、また、騒音の小さい電磁装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記の問題点を解決するため、請求項１記載の考案にあっては、磁性材料により環状に形成され環状の磁路を形成する磁心２と、該磁心２が収納される絶縁材料からなる環状の磁心ケース３と、該磁心ケース３に巻回されるコイル４とを有してなる電磁装置１において、前記磁心２と前記磁心ケース３の間に空隙５を設けると共に、該空隙５の一部に前記磁心２を前記磁心ケース３に固定する磁心支持手段７を設けたことを特徴とするものである。

【００１０】また、請求項２記載の考案にあっては、前記磁心支持手段７を、前記空隙５の全体積の略４０％以下の部分に設けたことを特徴とするものである。

【００１１】さらには、請求項３記載の考案にあっては、前記磁心支持手段７を、前記空隙５の全体積の略２０％以下の部分に設けたことを特徴とするものである。

【００１２】また、請求項４記載の考案にあっては、前記磁心２が、アモルファス磁性合金により形成されたことを特徴とするものである。

【００１３】

【作用】

上記のように構成したことにより、請求項１記載の考案にあっては、磁心２と磁心ケース３の間の空隙５の一部に、磁心２を磁心ケース３に固定する磁心支持手段７を設けたため、磁心２と磁心ケース３の間の他の部分を空隙５が占め、磁心２は磁心支持手段７の部分でのみ、その外方からの外力を受けるのみであるため、磁心２の磁気特性の劣化が防げると共に、磁心２が磁心ケース３とその一部でのみ固定されているだけであるため、磁心２の振動が磁心ケース３に伝わりにくくなり、電磁装置１から生ずる騒音の低減が図れる。

【００１４】また、請求項２記載の考案にあっては、前記磁心支持手段７を、前記空隙５の全体積の略４０％以下の部分に設け、空隙５の全体積の略４０％以下の部分で磁心２を磁心ケース３に固定したため、磁心２はさらにその外方からの外力を受けにくくなり、磁心２の磁気特性の劣化が防げると共に、磁心２が磁心ケース３とその略４０％以下の部分でしかつながっておらず他の大部分を空隙５が占めるため、磁心２の振動が磁心ケース３に伝わりにくくなり、電磁装置１から生ずる騒音がさらに低減される。

【００１５】また、請求項３記載の考案にあっては、前記磁心支持手段７を、前記空隙５の全体積の略２０％以下に設け、空隙５の全体積の略２０％以下の部分で磁心２を磁心ケース３に固定したため、磁心２と磁心ケース３のつながった部分がさらに少なくなり、さらに磁心２の磁気特性の劣化が防げると共に、騒音の低減が図れる。

【００１６】さらには、請求項３記載の考案にあっては、磁心２をアモルファス磁性合金により形成したため、電磁装置１の小型化、薄型化が図れる。

【００１７】

【実施例】

図１乃至図３は、本考案の第１の実施例を示すものである。同図における電磁装置１は、主に磁心２と磁心ケース３、及びコイル４を有して構成され、磁心２は、アモルファス金属からなる薄板状の磁性材料帯を環状（トロイダル）に巻回してなり、環状の磁路を形成するものである。また、磁心ケース３は、絶縁性材料からなり内部に磁心２を収納する中空部を有し、かつ磁心２を収納した時に、磁心２との間に空隙５を有するように、磁心２の断面よりも少し大きい断面を有して環状（トロイダル）に形成されたもので、図１に示すように、磁心２は磁心ケース３に、その断面において磁心２のまわりに磁心ケース３との間に空隙５を生ずるように収納され、図２に示すように、環状の磁心２の下面である１つの面の３ヵ所で磁心支持手段である接着剤７により磁心ケース３に固定されている。また、このように構成された磁心ケース３には、磁心２がその主磁路を形成するように、その環状の中心部にある空間を通ってコイル４が巻回されている。

【００１８】このように構成されているため、本実施例における電磁装置１においては、磁心２と磁心ケース３の間の空隙５の一部である３ヶ所にのみ、磁心２を磁心ケース３に固定する磁心支持手段である接着剤７が存在するのみであり、磁心２と磁心ケース３の間の大部分を空隙５が占め、磁心２は磁心支持手段７の部分でのみ、その外方からの外力を受けるだけであるため、磁心２はその外方からの力を受けにくくなり、磁心２の磁気特性の劣化が防げると共に、磁心２が磁心ケース３とその一部でのみ固定されているだけであるため、磁心２の振動が磁心ケース３に伝わりにくくなり、電磁装置１から生ずる騒音の低減が図れる。

【００１９】実際に、本願考案者等は、種種の電磁装置１を試作し、磁心支持手段である接着剤７の空隙５に占める割合と、電磁装置１の１０kHz から２０kHz の騒音の関係を実測してみたところ、図３に示すような結果が得られた。それによると、接着剤からなる磁心支持手段７の割合を少なくすればする程、電磁装置１の騒音は低減でき、この結果を漸近線近似すると分かるように、空隙５に占める磁心支持手段７の割合が、略４０％以下では騒音の低減効果が大きくみられる。

【００２０】また、その割合をさらに略２０％以下とすると、騒音の低減効果は顕著となり、特に磁心支持手段である接着剤７を殆ど充填しない場合における騒音は、従来の空隙５が充填物６で略満たされたものに比べて、約半分に低減された。これは、充填物６や磁心支持手段７等が磁心２と磁心ケース３を強固に連結し、磁心２の振動を磁心ケース３に伝えるのに対し、空隙５の部分では、磁心２の振動は磁心ケース３に伝わらず、したがって、その部分で発生する騒音は磁心ケース３内に閉じ込められるためと考えられる。

【００２１】図４乃至図６は、本考案の第２の実施例を示すもので、前記第１の実施例と異なる点は、磁心支持手段７であり、他は前記第１の実施例と同様に構成されている。磁心支持手段７は、前記第１の実施例における接着剤に代えて、磁心ケース３の下面側である一面側の内面と、上面側である他面側の内面にそれぞれ３ヵ所ずつ合計６ヵ所設けられたピン状の突起物７によりなり、その磁心支持手段である突起物７を磁心２に当接させて磁心２を突起物７により挟持することにより、磁心２を磁心ケース３に固定している。

【００２２】このように構成したため、本実施例における電磁装置１においては、磁心２が磁心支持手段であるピン状の突起物７の先端でのみ磁心ケース３に当接するのみであるため、前記第１の実施例と同様の効果を奏する。

【００２３】図７乃至図９は、本考案の第３の実施例を示すものであり、前記第２の実施例と異なる点は、磁心支持手段７の形状であり、他は前記第２の実施例と同様に構成されている。磁心支持手段７は、前記第２の実施例のピン状の突起物に代えて、磁心ケース３の下面側である一面側の内面と、上面側である他面側の内面にそれぞれ放射状に３ヵ所ずつ合計６ヵ所設けられた帯状の突起物７によりなり、その磁心支持手段である帯状の突起物７を磁心２に当接させて磁心２を突起物７により挟持することにより、磁心２を磁心ケース３に固定した点であり、このように構成しても前記第２の実施例と同様の効果を奏する。

【００２４】図１０は、本考案の第４の実施例を示すものであり、前記第２の実施例と異なる点は、磁心ケース３に突起部を設けず、磁心ケース３と磁心２との間の空隙を限りなく小さくすることにより、磁心２を磁心ケース３内に収納しただけで、磁心２と磁心ケース３の固定を行った点であり、他は前記第２の実施例と同様に構成されている。つまり、磁心ケース３は、磁心２に外力を加えることなく、磁心２との間にわずかの空隙５を残して磁心２を収納できる寸法とされている。このように構成しても前記第２の実施例の効果に加えて、さらに電磁装置１の騒音の低減効果が大きくなる。

【００２５】なお、前記第１の実施例においては、磁心支持手段としての接着剤７を、磁心２の下面側である１つの面にのみ充填したものを例示したが、本考案はこれに限らず、それに加えて上面側である他面側に充填したもの等、どのような位置に充填したものであっても良く、また、前記第２及び第３の実施例においては、磁心ケース３に設けた磁心支持手段である突起物を、ピン状または帯状とし、磁心ケース３の上面側である一面側と、下面側である他面側の内面側にそれぞれ３ヵ所ずつ設けたものを示したが、本考案はこれに限らず、突起物はどの様な形状であっても良いことは勿論、その数も、４ヵ所、５ヵ所等、何ヶ所に何個有するものであっても良い。さらには、前記第１乃至第４の実施例においては、磁心２の材料として、アモルファス磁性合金を用いたものを例示して説明を行ったが、本考案はこれに限らず、前述の超微細結晶合金等のどのような磁性材料であっても良いことは勿論である。

【００２６】

【考案の効果】

本考案の電磁装置は上記のように構成したものであるから、請求項１記載の考案にあっては、磁心の磁気特性の劣化が防げると共に磁心の振動が磁心ケースに伝わりにくくなり、電磁装置から生ずる騒音の低減が図れる。

【００２７】また、請求項２及び請求項３記載の考案にあっては、さらに磁心の磁気特性の劣化が防げると共に、磁心の振動が磁心ケースにさらに伝わりにくくなり、電磁装置から生ずる騒音がさらに低減される。

【００２８】さらには、請求項３記載の考案にあっては、請求項２及び請求項３記載の考案の効果に加えて、電磁装置の小型化、薄型化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る電磁装置の第１の実施例を示す要
部断面側面図である。

【図２】同上の要部断面平面図である。

【図３】同上の電磁装置の騒音と空隙に占める磁心支持
手段の割合との関係を示す特性図である。

【図４】本考案に係る電磁装置の第２の実施例を示す要
部断面側面図である。

【図５】同上の要部平面図である。

【図６】同上の磁心支持手段の形状を示す斜視図であ
る。

【図７】本考案に係る電磁装置の第３の実施例を示す要
部断面側面図である。

【図８】同上の要部平面図である。

【図９】同上の磁心支持手段の形状を示す斜視図であ
る。

【図１０】本考案に係る電磁装置の第４の実施例を示す
要部断面側面図である。

【図１１】従来の電磁装置の一例を示す要部断面側面図
である。

【図１２】同上の要部斜視図である。

【符号の説明】

１電磁装置２磁心３磁心ケース４コイル５空隙７磁心支持手段

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】磁性材料により環状に形成され環状の磁
路を形成する磁心と、該磁心が収納される絶縁材料から
なる環状の磁心ケースと、該磁心ケースに巻回されるコ
イルとを有してなる電磁装置において、前記磁心と前記
磁心ケースの間に空隙を設けると共に、該空隙の一部に
前記磁心を前記磁心ケースに固定する磁心支持手段を設
けたことを特徴とする電磁装置。
【請求項２】前記磁心支持手段を、前記空隙の全体積
の略４０％以下の部分に設けたことを特徴とする請求項
１記載の電磁装置。
【請求項３】前記磁心支持手段を、前記空隙の全体積
の略２０％以下の部分に設けたことを特徴とする請求項
１記載の電磁装置。
【請求項４】前記磁心が、アモルファス磁性合金によ
り形成されたことを特徴とする請求項２、又は請求項３
記載の電磁装置。