JPH07295817A - 故障診断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 故障診断作業を中断することができ、又診断
を再開するときには目的とする事例を簡単に特定するこ
とのできる故障診断装置を提供する。 【構成】 データ収集部１５ａでは、故障診断作業を中
断したときに、今回の診断作業の経過を収集し、光磁気
ディスクなどの記憶媒体に設けた作業経過一時記憶部１
７ａに格納し、タグ生成部１５ｂでは、診断を中断する
事例に、整備員等が入力したタグを付与する。その結
果、故障診断を再開する時に、このタグを一覧表示させ
ることで目的とする事例をいち早く特定することができ
る。そして、故障診断作業を再開すると、上記作業経過
一時記憶部１７に格納した当該事例が読出され、前回の
作業経過が踏襲された状態で故障診断を行うことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、いわゆるエキスパート
システムを利用して車輛、航空機等の不具合現象の結び
付く故障原因を探究する故障診断装置に係り、特に診断
作業を中断しても容易に再開することのできる故障診断
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、医学、建築、化学等の各分野でコ
ンピュータを活用して問題解決の手がかりとするエキス
パートシステムが採用されている。このエキスパートシ
ステムは、ある特定分野における専門家の知識をコンピ
ュータに入力し、それを利用して複雑な問題を専門家と
同等なレベルで解決することができるようにしたシステ
ムである。

【０００３】従来、このエキスパートシステムを車輛の
故障診断に採用したものとしては、例えば、特開昭６２
−６８４６号公報に開示されているように、不具合現象
を入力し、その現象を引き起している根本的な故障原因
（故障箇所）を、ルールの集合で表した知識データ或は
過去の事例を記憶する知識データ等を利用して推論する
ものが知られている。

【０００４】ところで、この種の故障診断では、整備員
或はユーザなどに対して問診を行い、所定箇所の点検或
は動作状態などのデータを逐次入力することで故障原因
の絞り込みを行う。

【０００５】従って、整備員は、上記問診による指示に
従って、必要な箇所の点検を行い、或は、部品を交換す
るなどし、その結果を逐次、診断装置に入力しなければ
ならない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、例えば診断作
業中に急に他の機器の整備が割込まれた場合、或は、交
換する部品を手配しなければならない場合には、現在行
っている故障診断作業を中断しなければならないが、一
旦作業を中断するために故障診断装置をＯＦＦにする
と、当該機器の故障診断の際に行った作業過程が故障診
断装置からすべて消えていまい、故障診断再開時には、
再度不具合現象を故障診断装置に入力して最初から診断
を開始しなければならず、手間がかかり作業性が悪い。

【０００７】一方、故障診断再開時まで、上記故障診断
装置の表示状態を継続させておくことは不経済であり、
しかもこの故障診断装置を使用して他の整備作業を行う
ことができなくなるために、故障診断装置の稼働効率が
悪くなる。

【０００８】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、一旦中断した故障診断を再開するときには、前回ま
での作業経過を踏襲して引続き行うことができるように
して作業性の向上を図り、しかも故障診断を中断したと
きには、他の機器の故障診断を行うことができて稼働効
率の向上が図れると共に、診断を再開するときには目的
とする事例を簡単に特定することができて使い勝手の良
く、しかも経済的な故障診断装置を提供することを目的
としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明による第一の故障診断装置は、故障診断に必要な
知識データを記憶する知識ベース部と、上記知識データ
を利用して、入力された不具合現象に対応する故障原因
を推論により探究する推論機構部と、診断作業の中断が
選択されたときには、作業経過を収集して作業経過一時
記憶部に保存し、診断作業の再開が選択されたときに
は、作業経過一時記憶部に保存されている作業経過を読
出して診断を再開させるデータ収集部とを備えることを
特徴とする。

【００１０】上記目的を達成するため本発明による第二
の故障診断装置は、故障診断に必要な知識データを記憶
する知識ベース部と、上記知識データを利用して、入力
された不具合現象に対応する故障原因を推論により探究
する推論機構部と、診断作業の中断が選択されたときに
は、作業経過を収集して事例毎に作業経過一時記憶部に
保存し、診断作業の再開が選択されたときには、選択さ
れたタグに対応する事例の作業経過を作業経過一時記憶
部から読出して診断を再開させるデータ収集部と、上記
作業経過一時記憶部に保存する作業経過に対してタグを
事例毎に付与するタグ生成部とを備えることを特徴とす
る。

【００１１】

【作 用】本発明による第一の故障診断装置では、整備
員等が不具合現象を入力すると、推論機構部では、入力
された不具合現象に基づき知識ベース部に記憶されてい
る知識データを利用して推論により故障原因を探究し、
仮説を生成する。

【００１２】そして、この生成した仮説に基づき、整備
員等に対して、仮説を検証するため、或はこの仮説から
故障原因を更に探究する必要がある場合等に問診を行
い、その点検結果の入力、或は必要な部品を交換した場
合には、その検証結果の入力を待つ。

【００１３】ここで、部品を手配しなければならない場
合など、整備員等が故障診断作業を中断しなければなら
ない事態が生じた場合、整備員等が作業の中断を選択す
ると、データ収集部では、今回の故障診断における作業
経過を作業経過一時記憶部に保存した後、故障診断作業
を終了する。

【００１４】その後、故障診断作業を再開する際に、デ
ータ収集部では上記作業経過一時記憶部に保存した作業
経過データを読出して、前回の終了時点から引続いて故
障診断を開始する。

【００１５】本発明による第二の故障診断装置では、整
備員等が不具合現象を入力すると、推論機構部では、入
力された不具合現象に基づき知識ベース部に記憶されて
いる知識データを利用して推論により故障原因を探究
し、仮説を生成する。

【００１６】そして、この生成した仮説に基づき、整備
員等に対して、仮説を検証するため、或はこの仮説から
故障原因を更に探究する必要がある場合等に問診を行
い、その点検結果の入力、或は必要な部品を交換した場
合には、その検証結果の入力を待つ。

【００１７】ここで、部品を手配しなければならない場
合など、整備員等が故障診断作業を中断しなければなら
ない事態が生じた場合、整備員等が作業の中断を選択す
ると、データ収集部では、今回の故障診断における作業
経過を事例毎に作業経過一時記憶部に保存し、又、タグ
生成部では、今回保存した事例にタグを付与して、故障
診断作業を終了する。

【００１８】その後、故障診断を再開する際には、該当
するタグの事例を整備員等が選択すると、上記データ収
集部では、該当する事例を作業経過一時記憶部から読出
し、前回の終了時点から引続いて故障診断を開始する。

【００１９】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。

【００２０】なお、本実施例では、航空機の燃料系統の
不具合現象を故障診断対象の一例として記述しながら説
明する。

【００２１】図５に示すように、本実施例に係る故障診
断装置Ａは装置本体１と入力ペン２とで構成されてお
り、この装置本体１には上記入力ペン２を用いて情報を
入力するタッチスクリーン１ａが設けられている。

【００２２】上記故障診断装置Ａは空港の整備部門等に
配備されるもので、上記入力ペン２を用いて上記タッチ
スクリーン１ａに不具合現象等を入力すると、内蔵する
コンピュータが不具合現象の原因あるいは故障箇所を探
究し、探究結果及び点検の要領等、必要な情報を上記タ
ッチスクリーン１ａ上に表示して整備員を支援する。

【００２３】図１に示すように、装置本体１に内蔵する
コンピュータには、故障診断を実行する機能として、ウ
インドウ処理部１２、システム制御部１３、推論機構部
１４、技術情報収集部１５、知識ベース部１６、及び運
用記録データ部１７が構成されている。又、上記タッチ
スクリーン１ａは、入力部１１ａと表示部１１ｂとで構
成されている。

【００２４】上記ウインドウ処理部１２には、前処理と
しての文字認識部１２ａと操作入力部１２ｂとが設けら
れていると共に、後処理としての表示制御部１２ｃが設
けられている。

【００２５】文字認識部１２ａでは、上記タッチスクリ
ーン１ａに表示されたペン入力用ウインドウ（図８参
照）に整備員が上記入力ペン２で入力した不具合現象等
の手書き文字をキャラクタコードに変換し、コマンド類
を上記システム制御部１３へ出力する。又、操作入力部
１２ｂでは上記タッチスクリーン１ａに表示されたグラ
フィックスあるいはメニュー等を入力ペン２で選択した
とき、それに対応するコマンド類を上記システム制御部
１３へ出力する。又、上記表示制御部１２ｃでは上記シ
ステム制御部１３から出力された信号に基づいて、表示
部１１ｂに文字及びグラフィック等を表示させる。

【００２６】上記システム制御部１３には、マン・マシ
ンインターフェース制御部１３ａと、動作モード制御部
１３ｂと、システム管理部１３ｃとが設けられている。
マン・マシンインタフェース制御部１３ａでは、上記ウ
インドウ処理部１２からのコマンド類に従って実行処理
を行う。あるいは、上記表示制御部１２ｃへ文字データ
及びグラフィックス・データ等を出力する。動作モード
制御部１３ｂでは、整備員が選択し入力した使用モード
に対応して、使用モードを通常の故障探究モードに固定
する外に、中断した故障診断を再開する診断再開モー
ド、及び整備記録の印刷、発注管理システムのデータ電
送等の周辺機器等を含めた装置全体の動作モードを制御
する。システム管理部１３ｃでは、システムの作動状
態、データ管理等、システム全体を管理する。

【００２７】又、上記推論機構部１４には、知識ベース
推論部１４ａと推論制御部１４ｂとが設けられている。

【００２８】知識ベース推論部１４aでは、入力された
不具合現象と、同一あるいは類似する事象を上記知識ベ
ース部１６に設けた知識データ記憶部１６ａに記憶され
ている知識データから探索し、この事象に基づき、この
知識データを利用して故障原因あるいは故障箇所を推論
により探究し、仮説を生成する。

【００２９】上記推論制御部１４ｂでは、知識ベース推
論部１４ａで生成した仮説の検証を行い、或は複数の仮
設が生成された場合には、その仮説の整合性を判断し、
仮説を絞り込む。

【００３０】技術情報収集部１５には、データ収集部１
５ａと、タグ生成部１５ｂとが設けられている。このデ
ータ収集部１５ａでは、整備員等が故障原因を探究する
ときに装置本体１に入力した不具合項目、点検箇所、測
定値等の整備データを収集して、後述の整備記録データ
記憶部１７ｂに事例毎に格納すると共に、診断作業を中
断するときには、後述の作業経過一時記憶部１７ａに、
推論データ及び問診に対する点検結果等、現在までの作
業経過を事例毎に格納する。また、診断再開モードが選
択されたときには、後述するタグ生成部１５ｂによって
事例毎に付与されたタグを、タッチスクリーン１ａを介
して整備員が選択することで、選択されたタグに対応す
る事例の作業経過を作業経過一時記憶部１７ａから読出
して、前回の終了時点から引続いて故障診断を再開させ
る。

【００３１】又、タグ生成部１５ｂでは、上記作業経過
一時記憶部１７ａに格納される事例にタグを付与する。
このタグは整備員等が故障診断を中断する際に入力した
当該事例を識別するための文字列等に基づいて生成され
る。なお、このタグは診断再開時に、データ収集部１５
ａで呼出されて、タッチスクリーン１ａに表示される
（図１０参照）。

【００３２】上記知識ベース部１６は、故障診断に必要
な知識データを格納する知識データ記憶部１６ａと電子
化マニュアルデータを記憶する電子化マニュアルデータ
記憶部１６ｂとで構成されている。

【００３３】上記知識データ記憶部１６ａに格納されて
いる知識データとしては、過去の故障原因の探究結果を
事例としてまとめた診断事例型知識データ、或は、設計
資料及び熟練整備員等の経験等を解析し、不具合現象と
故障原因とを構成部品の体系毎に論理的に分析してルー
ルの集合で表したルール型知識データなどがある。な
お、このルール型知識データには、一定の場合、中間仮
説と結論仮説との結び付の深さを示すための確信度が付
けられていることがある。具体的には、ルール型知識デ
ータとして、不具合現象と故障原因との因果関係を理論
的に分析し仮設の集合体としてツリー状に表わした故障
樹木解析（フォルトツリーアナリシス；ＦＴＡ）型知識
データ、不具合現象と故障原因とを確信度で結び付けマ
トリクス状に整理した故障モード影響分析（確信度付マ
トリクス；ＦＭＥＣＡ）型知識データが採用される。

【００３４】又、電子化マニュアルデータは、構成部品
等の点検、交換あるいは組立手順等を表したテキスト及
びグラフィックス・データであり、例えば、図９に示す
ように、上記装置本体１のタッチスクリーン１ａに、ブ
ースタ・ポンプのグラフィックや、このブースタ・ポン
プの点検要領などのデータを上記電子化マニュアルデー
タから読込んでウインドウに表示させる。

【００３５】又、上記運用記録データ部１７は、光磁気
ディスクなどの記憶媒体に設けられており、作業経過一
時記憶部１７ａと整備記録データ記憶部１７ｂとで構成
されている。

【００３６】上記作業経過一時記憶部１７ａには、交換
部品を手配する等のために、診断作業を中途で中断せざ
るを得ないような事態が生じた場合に、上記データ収集
部１５ａによって、今回の故障診断の際に行った推論デ
ータ及び問診に対する点検結果等の作業経過が、タグ生
成部１５ｂによって付与されたタグと共に格納される。
この作業経過一時記憶部１７ａに診断途中の作業経過デ
ータが格納されることで、故障診断を再開する際には、
前回までの故障診断作業を踏襲した状態から行うことが
できる。

【００３７】次に、故障診断手順について、図２〜図４
の推論処理ルーチンに示すフローチャートに従い、航空
機の燃料系の不具合を適宜例示しながら説明する。

【００３８】装置本体１の電源スイッチをＯＮすると、
装置本体１のタッチスクリーン１ａに、図６に示すよう
に使用モードの選択画面が表示され、整備員等は表示さ
れたメニューから今回の使用モードを、入力ペン２によ
りポイントすることで選択する。ステップＳ１では、入
力ペン２によりポイントされて選択された使用モードを
判断する。この使用モードには、通常の故障探究モード
の外に、診断再開モードがある。この診断再開モードを
選択すると、運用記録データ部１７に設けた作業経過一
時記憶部１７ａに格納されている中断した事例の一覧表
がタッチスクリーン１ａに表示されて、故障診断を再開
することができる。

【００３９】以下の説明では、まず、通常の故障探究モ
ードを選択した場合について説明し、次に、診断再開モ
ードを選択した場合について説明する。

【００４０】まず、ステップＳ１で、整備員が、画面表
示された「診断の開始」を入力ペン２によりポイントし
て通常の故障探究モードを選択すると、ステップＳ２へ
進み、今回の使用モードを故障探究モードに固定した
後、図３の破線で囲まれた推論実行ルーチンへ進む。

【００４１】すると、上記タッチスクリーン１ａには、
図８に示すように、不具合現象を入力するためのウイン
ドウと、不具合現象を文章表現で入力するためのペン入
力用ウインドウが表示される。

【００４２】そして、ステップＳ３で、今回の診断作業
を中断するかどうかが判断される。このステップＳ３に
おける診断作業中断の判断は、整備受付窓口で乗員から
のインタビューに基づき不具合現象を入力し、その後、
別の場所の整備現場にて故障診断を行う場合、あるい
は、後述するステップＳ１２において、例えば図９に示
すように、問診の画面が表示され、この問診に応じ、部
品交換のため部品を手配しなければならない場合など、
図８あるいは図９の画面において右上に表示されている
「中断」のボタンを入力ペン２によりポイントすること
で、故障診断が中断される。なお、この故障診断作業の
中断時の処理については後述する。

【００４３】診断を中断しない場合には、そのままステ
ップＳ４，Ｓ５へ進み、不具合現象及びその他必要事項
を入力する。ステップＳ４では、入力ペン２を用いて上
記タッチスクリーン１ａの各ウインドウに、手渡された
不具合記録票２１（図７参照）等の帳票を参照して、航
空機のシステムの可動状態などの必要事項、及び不具合
事項、或は乗員などから伝えられた不具合現象（症状）
等のデータ、あるいは、後述するステップＳ１２で表示
された問診に対する回答を入力する。一方、上記ステッ
プＳ５では、後述するステップＳ１２で表示された問診
に基づく点検指示に応じて、上記航空機の検査箇所に接
続したテスタからの計測値を直接入力する。そして、必
要事項の入力を完了し、画面表示されている「入力終
了」のボタンを入力ペン２によりポイントすると、ステ
ップＳ６へ進み、入力された情報（年月日、任務、内容
等）が入力データとして内部メモリに保管される。

【００４４】次いで、ステップＳ７で、知識ベース部１
６に設けた知識データ記憶部１６ａに記憶されている知
識データに基づいて、故障原因を推論により探究し、仮
説を生成する。この知識データが、例えばルール型知識
データであれば、不具合現象と、この不具合現象に最も
因果関係の深いと思われる原因とを結ぶルートをルール
に従って探究し、結論となる仮説を生成する。また、上
記知識データが診断事例型知識データであれば、不具合
現象と同一或は類似する過去の事例を上記知識データか
ら検索して仮説を生成する。

【００４５】そして、上記ステップＳ７で推論が終了し
て仮説が生成されると、ステップＳ８へ進み、仮説の整
合性を判断する。

【００４６】この仮説の整合性の判断は、上記推論機構
部１４の推論制御部１４ｂで実行されるもので、上記ス
テップＳ７で生成した仮説が、複数の種類の知識データ
に基づいて複数生成され、この各仮説が競合する場合、
予め設定した基準に従って１つの仮説に絞り込み、競合
を解消する。

【００４７】この仮説の競合を解消する基準としては、
例えば、知識データに優先順位をつけたり、生成された
仮説に対して不具合現象と故障原因との結び付きの強さ
を示す信頼度を算出し、この信頼度の最も高いものを選
択する等がある。

【００４８】そして、上記ステップＳ８で１つの仮説に
絞り込まれると、ステップＳ９へ進み、推論が終了した
かを判断する。推論が終了したかどうかの判断は、例え
ば、上記ステップＳ７で生成した仮説が整合した場合、
或は設定回数以上推論を繰返しても、上記ステップＳ７
で生成した仮説に整合性がないために優先順位等により
１つの仮説に絞り込んだ場合、或は、仮説が全く生成さ
れなかった場合を基準に判断する。一方、上記ステップ
Ｓ７で生成した仮説が競合し、しかも再推論の余地があ
る場合には「推論未終了」と判断する。

【００４９】そして、推論未終了のときは、上記ステッ
プＳ７へ戻り、メモリに保管されている入力データと、
上記ステップＳ８で絞り込まれた仮説とを組合わせて再
推論を行う。また、推論終了のときは、ステップＳ１０
へ進む。

【００５０】ステップＳ１０では、他に点検項目がある
かを判断し、点検項目がある場合は、ステップＳ１１へ
分岐する。点検項目があるかどうかは、例えばルール型
知識データで生成された結論仮説に他のルールが連鎖さ
れており、故障原因をさらに探究する余地がある場合等
である。

【００５１】そして、上記ステップＳ１０で点検項目が
あると判断されて、ステップＳ１１へ分岐すると、今回
の点検項目に必要な問診の内容を絞り込み、ステップＳ
１２で上記タッチスクリーン１ａに問診の内容を表示
し、同時に、関連する点検要領等の作業内容や必要な情
報を、例えば、図９に示すように表示する。そして、ス
テップＳ３へ戻り、今回の故障診断作業を中断するかを
判断する。図９に示すように、このときの上記タッチス
クリーン１ａの画面右上には、「中断」のボタンが表示
されており、この「中断」ボタンを上記入力ペン２でポ
イントすると作業の中断と判断される。又、作業を中断
しない場合には、そのままステップＳ４，Ｓ５へ進み、
整備員等からの点検結果の入力を待つ。

【００５２】そして、整備員等が上記タッチスクリーン
１ａに入力ペン２を用いて点検結果を入力し、あるいは
テスタから直接計測結果を入力すると、ステップＳ６
で、この入力データが内部メモリに格納され、ステップ
Ｓ７で、知識データ記憶部１６ａに格納されている知識
データに基づいて再推論により故障原因を探究する。

【００５３】そして、推論が終了し、ステップＳ９から
ステップＳ１０へ進み、仮説を検証するための点検項目
がないかを判断し、点検項目がない場合は、ステップＳ
１３へ進み、故障原因が探究できたかを判断する。

【００５４】故障原因が探究できたときは、ステップＳ
１４へ進み、又、故障原因が探究できなかったときはス
テップＳ１６へジャンプする。

【００５５】上記ステップＳ１３で、故障原因が探究で
きたと判断されてステップＳ１４へ進むと、例えば、図
１１に示すように、上記タッチスクリーン１ａに推論の
結果及び論拠を表示し、整備員等が、この内容を確認
し、画面表示された「了解」のボタンを入力ペン２によ
りポイントすると、ステップＳ１５で、仮説に対応する
部品の交換手順等、必要な処置要領等の情報を表示し、
整備員等からの処置結果、すなわち、不具合が解消した
かどうかの検証結果の入力を待つ。

【００５６】整備員等は、上記タッチスクリーン１ａ上
で提示された部品を交換し、あるいは必要な箇所の点検
を行った結果、不具合現象が解消し、あるいは、故障箇
所を特定できた場合、又は、指定された部品を交換して
も不具合現象が依然解消されない場合、あるいは、故障
箇所が特定できない場合、その情報を入力する。なお、
この情報は内部メモリに格納される。

【００５７】推論制御部１４ｂでは、整備員等の入力し
たデータに基づいて今回の原因探究が成功かどうかを判
断し、ステップＳ１６で、上記タッチスクリーン１ａに
今回の故障探究結果の確認画面を、例えば、図１２に示
すように表示する。なお、今回の推論では故障原因が探
究されないと判断されて上記ステップＳ１３からステッ
プＳ１６へジャンプしたときには、上記タッチスクリー
ン１ａには、 と表示される。

【００５８】そして、整備員等がこの表示内容を了解す
ると、ステップＳ１７へ進み、今回の探究経緯及び処置
の内容を補足情報と共に、整備記録データ記憶部１７ｂ
に格納して、故障診断を終了する。

【００５９】その結果、今回の整備データは上記整備記
録データ記憶部１７ｂに格納される。なお、この整備記
録データ記憶部１７ｂに格納された整備データは、外部
印刷機などを介し読出すことができ、例えば、図１３に
示すように、不具合記録票２１に処置内容及び処置結果
としてプリントアウトすることで集計することができ
る。

【００６０】次に、故障診断の中断処理について説明す
る。整備受付窓口で乗員からのインタビューにより不具
合現象を入力して、その後、整備現場にて故障診断を行
う場合、あるいは、問診に応じ部品交換のため部品を手
配する必要が生じた場合等、診断作業を中断するとき、
図８、図９に示すタッチスクリーン１ａの表示画面の右
上に表示されている「中断」ボタンを上記入力ペン２で
ポイントすると、ステップＳ３からステップＳ２１へ分
岐し、整備員等により入力された不具合現象等の入力デ
ータ、推論データ、及び問診に対する点検結果等、内部
メモリに格納されている現在までの作業経過が上記作業
経過一時記憶部１７ａに格納されると共に、タッチスク
リーン１ａにはタグを設定する画面が表示され、整備員
等がタグを入力すると、ステップＳ２２で、上記作業経
過一時記憶部１７ａに格納される今回の事例にタグが付
与されて、故障診断が終了される。

【００６１】なお、上記タグは、整備員等が故障診断を
再開する際にタッチスクリーン１ａに一覧表示されるも
ので、例えば、図１０に示すように、事例番号及び不具
合現象等の文字列、或は西暦など整備員等が故障診断を
再開する際に、目的とする事例を簡単に特定できるよう
な比較的自由な表現で入力することができる。

【００６２】このように、現在行っている故障診断の作
業経過を保存した状態で故障診断を中断することができ
るので、例えば、故障診断中の機器の交換部品を手配し
ている間に他の故障診断を同一の故障診断装置Ａを用い
て行うことができる。

【００６３】そして、故障診断を再開する場合には、装
置本体１の電源スイッチをＯＮし、この装置本体１のタ
ッチスクリーン１ａに表示された図６に示す使用モード
の選択画面から、「診断の再開」を入力ペン２によりポ
イントすることで診断再開モードを選択する。すると、
ルーチンは、ステップＳ１からステップＳ３１へ分岐し
て診断再開モードが選択され、ステップＳ３２で、上記
作業経過一時記憶部１７ａに格納されている事例に付与
されたタグが読み出され、図１０に示すように、タッチ
スクリーン１ａに中断されている事例の一覧表が表示さ
れる。整備員等は、この表示された事例から今回の診断
対象となる事例を入力ペン２により選択すると、ステッ
プＳ３３で対応する事例が選択され、ステップＳ３４へ
進み、この事例の作業経過が上記作業経過一時記憶部１
７ａから読出され、前回の作業をそのまま踏襲した状態
でステップＳ３へ進み、故障診断作業を引続いて実行す
ることができる。

【００６４】このタグは整備員等が認識し易い自由な表
現で入力されているため、このタグを一覧表示すること
で整備員等は診断作業を再開するときに目的とする事例
をいち早く特定することができる。

【００６５】なお、図１４に示すように、作業の中断
は、割込みルーチンにより、実行させるようにしても良
い。このときの上記図３、図４に示すステップＳ３，Ｓ
２１，Ｓ２２は不要となり、又、図１４のステップＳ４
１，Ｓ４２が上記ステップＳ２１，２２に対応すること
になる。又、故障診断の中断は、例えば、プログラム・
マネージャーに表示されているファイル（Ｆ）を選択
し、この「ファイル（Ｆ）」メニューの保存を選択する
ことで実行させるようにしても良い。

【００６６】なお、本発明は上記実施例に限るものでは
なく、例えば故障診断の対象は、航空機に限らず、自動
車、鉄道等の車輌あるいは船舶などであっても良い。

【００６７】

【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
故障診断を中断する際に、故障診断装置における診断作
業経過が収集されて保存されるので、故障診断を再開す
るときには、前回の故障診断作業が踏襲された状態から
引続き行うことができて作業性がよい。又、診断作業を
中断している間に、他の機器の故障診断を行うことがで
きるので、稼働効率がよく、しかも経済的である。

【００６８】又、請求項２記載の故障診断装置では、中
断する事例にタグを付与するようにしたので、故障診断
を再開する際に、これを一覧表として表示することで、
目的とする事例を簡単に特定することができ、使い勝手
がよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】故障診断装置の機能ブロック図

【図２】推論処理ルーチンを示すフローチャート

【図３】推論処理ルーチンを示すフローチャート（続
き）

【図４】推論処理ルーチンを示すフローチャート（続
き）

【図５】故障診断装置の外観図

【図６】使用モードの選択画面を示す説明図

【図７】不具合現象が記載された不具合記録票を示す説
明図

【図８】不具合現象の入力画面を示す説明図

【図９】問診時の表示画面を示す説明図

【図１０】診断再開時の事例の一覧表の表示画面を示す
説明図

【図１１】推論結果及び論拠の表示画面を示す説明図

【図１２】探究結果の確認の表示画面を示す説明図

【図１３】処置内容を記載した不具合記録票を示す説明
図

【図１４】他の態様による作業中断ルーチンを示すフロ
ーチャート

【符号の説明】

Ａ 故障診断装置 １４ 推論機構部 １５ａ データ収集部 １５ｂ タグ生成部 １６ 知識ベース部 １７ａ 作業経過一時記憶部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 影井 康夫 東京都新宿区西新宿一丁目７番２号 富士 重工業株式会社内 (72)発明者 古山 雅章 東京都新宿区西新宿一丁目７番２号 富士 重工業株式会社内 (72)発明者 阿部 邦宏 東京都新宿区西新宿一丁目７番２号 富士 重工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 故障診断に必要な知識データを記憶する
   知識ベース部（１６）と、 上記知識データを利用して、入力された不具合現象に対
   応する故障原因を推論により探究する推論機構部（１
   ４）と、 診断作業の中断が選択されたときには、作業経過を収集
   して作業経過一時記憶部（１７ａ）に保存し、診断作業
   の再開が選択されたときには、作業経過一時記憶部（１
   ７ａ）に保存されている作業経過を読出して診断を再開
   させるデータ収集部（１５ａ）とを備えることを特徴と
   する故障診断装置。
2. 【請求項２】 故障診断に必要な知識データを記憶する
   知識ベース部（１６）と、 上記知識データを利用して、入力された不具合現象に対
   応する故障原因を推論により探究する推論機構部（１
   ４）と、 診断作業の中断が選択されたときには、作業経過を収集
   して事例毎に作業経過一時記憶部（１７ａ）に保存し、
   診断作業の再開が選択されたときには、選択されたタグ
   に対応する事例の作業経過を作業経過一時記憶部（１７
   ａ）から読出して診断を再開させるデータ収集部（１５
   ａ）と、 上記作業経過一時記憶部（１７ａ）に保存する作業経過
   に対してタグを事例毎に付与するタグ生成部（１５ｂ）
   とを備えることを特徴とする故障診断装置。